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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1321810
審判番号 不服2015-22777  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-25 
確定日 2016-12-07 
事件の表示 特願2014-133921「基板処理装置及びその制御方法並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月25日出願公開、特開2014-241412、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年8月31日に出願した特願2009-199736号の一部を平成26年6月30日に新たな特許出願としたものであって、平成27年6月5日付け(同年同月18日発送)で拒絶理由が通知され、同年8月6日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされたが、同年9月28日付け(同年10月8日送達)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審より平成28年8月1日付け(同年同月4日発送)で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年10月3日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年10月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「基板処理に関する情報を操作する操作画面の表示を制御する制御手段と、着脱可能な外部記憶装置を装備する装着部と、を有する基板処理装置であって、
前記操作画面は、少なくともログインボタンを備えた初期画面と、前記ログインボタンが押下されると表示される認証作業を行うためのログイン画面と、前記認証作業により認証されると表示されるセットアップボタンを備えた画面と、前記セットアップボタンが押下されると表示されるメンテナンスを受け付ける画面とを含み、必要な制御又はモニタを行うためのインフォメーションパネルと、各種ナビゲーションボタンが配置されるナビゲーションパネルとで少なくとも構成され、
前記制御手段は、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンと障害情報を一覧で表示する障害情報一覧画面を同じ操作画面に表示させ、
前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンを、前記ナビゲーションパネルに配置し、
前記障害情報一覧画面を、前記インフォメーションパネルに表示するよう構成され、
前記制御手段は、前記メンテナンスを受け付ける画面に表示される所定のボタンが押下された後、障害情報のメンテナンスを受け付けるボタンが押下されたとき、前記障害情報一覧画面を前記インフォメーションパネルに表示させると共に、前記装着部の状態変化を監視し、前記外部記憶装置が装着されていることを検出したら、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンを前記ナビゲーションパネルに配置させ、
前記外部記憶装置が前記装着部に挿入されていない場合、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが前記操作画面に押下できない状態で配置され、前記外部記憶装置が前記装着部に挿入されている場合、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが前記操作画面に押下できる状態で配置されると共に前記インフォメーションパネルに表示された前記障害情報が選択されると、選択した前記障害情報を前記外部記憶装置に出力させ、前記外部記憶装置への前記障害情報の出力が終了していない場合に、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが押下されると、エラーを発生するように構成されている基板処理装置。」

第3 原査定の拒絶理由について
1 原査定の拒絶理由の概要
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

本願請求項1-5,8-10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2007/088872号
2.特開平10-055942号公報(周知技術を示す文献)
3.国際公開第02/027769号(周知技術を示す文献)
4.特開2008-176461号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2003-108274号公報(周知技術を示す文献)
6.アイティースリー,特別付録 完全保存版 USBメモリー CD&DVD 活用大全75,日経PC21,日経BP社,2008年 5月 1日,第13巻,第9号,pp.14-15(周知技術を示す文献)
7.特開2004-087839号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2008-244072号公報(周知技術を示す文献)

2 原査定の拒絶理由の判断
(1)引用文献の記載事項、引用発明、技術事項
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1の記載事項
引用文献1には次の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。以下、同様。)
引用例には、以下の記載がある。
「[0030]図1に示される半導体製造システム100は、工場内生産管理ホストシステム101、トラック102、露光工程管理コントローラ103、露光装置105、解析システム107、CVD装置113、エッチング装置115、CMP装置117及び酸化イオン注入装置119などを有している。このうち、トラック102は、内部にウェハ搬送系を有する不図示のインラインインタフェース部を介して露光装置105にインライン接続されている。トラック102の内部には、ウェハ測定・検査器109及びコータ・デベロッパ111等が設置されている。そして、上記各部は、双方向の通信路で互いに接続され、情報の送受信が可能となっている。なお、図1において、細線の両矢印は信号及び情報の流れを示し、太線の両矢印は、代表的な信号や情報の流れ及びウェハの移動経路を示す。なお、これらは各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。」

「[0038]コータ・デベロッパ111は、ウェハWに感光材(フォトレジスト)等を塗布する塗布装置、露光処理されたウェハWを現像する現像装置、ウェハWをべ一キングするべ一キング装置、成膜状態などを計測する計測装置、各装置を制御する制御装置、該制御装置で用いられる各種プログラムが格納されているフラッシュメモリ及び作業用メモリなどを有している。
[0039]ウェハ測定・検査器109は、露光パターンの欠陥検査及び外観検査などを行う検査装置、露光パターンの重ね合わせ計測及び線幅計測などを行う測定装置、各装置を制御するとともに、後述する検査条件の最適化などを行う制御装置などを有している。この制御装置は、該制御装置で用いられる各種プログラムが格納されているフラッシュメモリ及び作業用メモリを有している。
[0040]解析システム107は、露光装置105からの情報及びウェハ測定・検査器109からの情報などを解析する解析装置を有している。この解析装置は、該解析装置で用いられる各種プログラムが格納されているフラッシュメモリ及び作業用メモリを有している。」

「[0109]このステップ403では、液浸モニタの条件設定処理が露光装置本体Sで行われる。この液浸モニタの条件設定処理では、図24のフローチャートで示される処理(ステップ801?ステップ807)が行われる。なお、液浸モニタの条件設定処理は、作業者が不図示の表示装置に表示される内容に応答して、すなわち対話形式で不図示の入力装置を介して行っても良いし、露光工程管理コントローラ103からの露光条件に応じてメインコントローラ42が行っても良い。」

「[0137]次のステップ501では、ウェハ測定・検査器109は、「少なくとも1つのウェハ処理条件処理結果」に関する情報に基づいて、前記液浸露光されたウェハWを検査するウェハ検査処理1の検査条件を最適化する。ここでの検査条件は、ウェハWにおける検査位置及び検査感度の少なくとも一方を含む。
[0138]次のステップ503では、ウェハWはウェハ測定・検査器109に移送され、ウェハ測定・検査器109にてウェハ検査処理1が行われる。ここでは、最適な検査条件に基づいてウェハWの外観検査が行われる。
[0139]次のステップ505では、ウェハ検査処理1の検査結果が解析システム107などに送信される。」

「[0174]また、上記実施形態において、前記ウェハ測定・検査器109に代えて、オフラインのウェハ測定・検査器が用いられても良い。」

「[0196]また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムは、各フラッシュメモリに記録されているが、他の記録媒体(CD、光磁気ディスク、DVD、メモリカード、USBメモリ、フレキシブルディスク等)に記録されていても良い。また、ネットワーク(LAN、イントラネット、インターネットなど)を介して本発明に係るプログラムを各フラッシュメモリに転送しても良い。」

(イ)引用発明
オフラインのウェハ測定・検査器が用いられる場合(段落[0174]参照。)、検査や測定を行う装置を制御するには(段落[0039]参照。)、操作者がどのような検査、測定を行うのかの設定をする必要があることから、オフラインのウェハ測定・検査器は、操作者が設定を入力する入力装置及び表示装置を有することは、液浸モニタの条件設定処理を表示装置及び入力装置を介して行っているように(段落[0109]参照。)、明らかである。また、解析システム107は、ウェハ測定・検査器109からの情報(検査結果)を解析する解析装置であるから(段落[0040]、[0139]参照。)、オフラインのウェハ測定・検査器は、解析システム107に情報(検査結果)を送付するための手段を有し、その手段として、段落[0196]に記載されている外部記録媒体が用いられることは明らかである。
してみると、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明」という。)
「半導体製造システムは、工場内生産管理ホストシステム、トラック、露光工程管理コントローラ、露光装置、解析システム、CVD装置、エッチング装置、CMP及び酸化イオン注入装置などを有し、前記トラックの内部には、ウェハ測定・検査器及びコータ・デベロッパが設置され、
前記ウェハ測定・検査器は、オフラインのウェハ測定・検査器であり、
前記解析システムは、ウェハ測定・検査器からの情報(検査結果)を解析する解析装置であり、
前記オフラインのウェハ測定・検査器は、入力装置及び表示装置を有し、前記解析システムに情報(検査結果)を送付するための手段を有し、前記手段は外部記録媒体を用いたものである、
半導体製造システム。」

イ 引用文献2について
(ア)引用文献2の記載事項
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体製造装置の制御系に使われる表示装置に関する。」

「【0036】図5に示した初期画面としてのデフォルト画面は、ログイン動作の際のユーザレベルの設定、例えばユーザ名やユーザの操作レベル等の設定を行うための画面である。」

(イ)引用文献2に記載された技術事項
引用文献2には、「半導体製造装置の制御系に使われる表示装置において、初期画面としてのデフォルト画面は、ログイン動作の際のユーザレベルの設定画面であること」の技術事項が記載されている。

ウ 引用文献3について
(ア)引用文献3の記載事項
「まず、図3に示すタイミングチャートを用いて第1の装置立ち上げの動作を説明する。 なお、製造メ ーカ端末3と情報の送受信を行う半導体製造装置2は複数存在する。 以 下の例でも同様である。
図3に示すように、まず製造メ ーカ端末3は複数の半導体製造装置2にアクセスの要求を行う(s1)。各半導体製造装置2は製造メーカ端末3に対してID番号及びパスワードを要求する(s2)。製造メーカ端末3は、入力部35を用いてID番号及びパスワードを入力する。もちろん、アクセスを要求する半導体製造装置2毎にID番号及びパスワードをデータベース33に予め格納しておき、このデータベース33に格納された情報を読み出してもよい。」(第8頁第14行-第25行)

(イ)引用文献3に記載された技術事項
引用文献3には、「半導体製造装置にアクセスする際、ID番号及びパスワードの入力を行うこと」の技術事項が記載されている。

エ 引用文献4について
(ア)引用文献4の記載事項
「【0087】
この表示画像に対するドラッグ&ドロップが行われると、デバイス記憶制御部29は、ドラッグされた表示画像に対応する医療情報16の電子ファイルを医療情報記憶部28から読み出し(S33)、ドロップ操作されたデバイス表示アイコン18に対応するUSBポート110に装着されたUSBメモリ15に、読み出した医療情報16の電子ファイルを記憶させる(S34)。」

「【0108】
このように、本実施形態に係る医用機器1では、デバイス表示アイコン18によりUSBメモリ15の装着の有無を識別できる一方で、個人情報の保護をも図ることができる。」

(イ)引用文献4に記載された技術事項
引用文献4には、「表示画像に対するドラッグ&ドロップが行われると、表示画像に対応する電子ファイルを、ドロップ操作されたデバイス表示アイコンに対応するUSBポートに装着されたUSBメモリに記憶させること」及び「デバイス表示アイコン18によりUSBメモリ15の装着の有無を識別できること」の技術事項が記載されている。

オ 引用文献5について
(ア)引用文献5の記載事項
「【0008】本発明に係る拡張デバイスの管理方法は、所定の操作を受けたときに、拡張デバイスが取り外し可能であるか否かを示すリスト情報に基づいて、取り外し可能な拡張デバイスのみのリストを明示し、その中から特定の拡張デバイスの指定を受け付けると、指定された拡張デバイスをコンピュータ装置のシステムからアンロードする。
【0009】本発明は、コンピュータ装置に接続されている拡張デバイスを検出する処理と、検出された拡張デバイスをコンピュータ装置から取り外し禁止とするか否かの指定を受け付ける処理と、コンピュータ装置に接続されている拡張デバイスのリスト表示の要求を受け付けたときに、取り外し禁止と指定された拡張デバイスを除いた拡張デバイスのリストを表示させる処理と、をコンピュータ装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラムとして捉えることもできる。ところで、拡張デバイスを取り外し禁止とするか否かの指定を受け付ける処理は、コンピュータ装置のシステム起動時に所定の操作がなされることによって実行される。」

「【0021】図2に示すように、このような制限機能では、ユーザがこれら対象となる拡張デバイスを取り外そうとしたときに、LCD18上に表示される所定のアイコンMをクリック操作することによって、取り外し可能な拡張デバイスのリストLが、ユーザからの拡張デバイスの取り外し要求を受け付ける指定受付部としてポップアップ表示される。そして、ユーザがこのリストL中にリストアップされた拡張デバイスの中から取り外したいものを選択する操作を行なうと、これに応じ、アンロード処理部としてのOS側で、選択された拡張デバイスのドライバを削除し、システム上からその拡張デバイスをアンロードする処理を行なう。しかる後、OSは、LCD18上に、ユーザが選択した拡張デバイスが取り外し可能な状態となった旨のメッセージを表示し、これを受けたユーザは、所定のインターフェイスから、選択した拡張デバイスを物理的に取り外すのである。」

(イ)引用文献5に記載された技術事項
引用文献5には、「取り外し可能な拡張デバイスのみのリストを明示し、その中から特定の拡張デバイスの指定を受け付けると、指定された拡張デバイスをコンピュータ装置のシステムからアンロードすること」、「コンピュータ装置に接続されている拡張デバイスのリスト表示の要求を受け付けたときに、取り外し禁止と指定された拡張デバイスを除いた拡張デバイスのリストを表示させること」及び「ユーザがこれら対象となる拡張デバイスを取り外そうとしたときに、LCD上に表示される所定のアイコンMをクリック操作することによって行うこと」の技術事項が記載されている。

カ 引用文献6について
(ア)引用文献6の記載事項
「USBメモリー内の「UnplugDrive」アイコンをダブルクリックするか、マイコンピュータのUSBメモリーを右クリック、「記憶デバイスの安全な停止」を選ぶと瞬時に取り外せる(図4、図5)。
このとき、USBメモリー内のファイルが開いていると、エラーメッセージが表示される。該当するファイルを終了させると、USBメモリーを取り外せる(図6)。」(第15頁第14行-22行)

(イ)引用文献6に記載された技術事項
引用文献6には、「アイコンのクリックにより、USBメモリーを取り外せること」及び「USBメモリーを取り外すためのクリックをした際、USBメモリー内のファイルが開いていると、エラーメッセージが表示されること」の技術事項が記載されている。

キ 引用文献7について
(ア)引用文献7の記載事項
「【0046】
トラブルの発生が通知されたベンダ4側の担当者は,先ずトラブルの情報を収集するために塗布現像処理装置M1側にトラブル情報の情報要求信号を送信する。この送信には,安全のためパスワードが必要となる。送信された情報要求信号は,インターネット6を介して通信制御装置3に送信され,通信制御装置3からLAN7を介して塗布現像処理装置M1に送信される。当該情報要求信号を受けた塗布現像処理装置M1では,通信許可・不許可設定ボタンDが「許可」に設定されている場合に,例えば入力・表示装置93の操作画面に表示されている現在の設定情報,運転情報が,通信装置91からコンピュータ5に向けて送信される。このとき,入力・表示装置93に表示されている操作画面をそのままコンピュータ5に送信してもよい。また,データ蓄積装置92に蓄積されているログ情報,つまりトラブル発生までの設定情報,運転情報やCCDカメラで撮像された画像情報等もコンピュータ5に送信される。
【0047】
このように塗布現像処理装置M1から送信されたトラブル情報は,ベンダ4側のコンピュータ5で受信され,コンピュータ5の表示部23に表示される。入力表示装置93の操作画面がそのまま送信された場合には,表示部23には,当該操作画面が表示される。ベンダ4側の担当者は,この表示により,例えば塗布現像処理装置M1の現状を把握し,トラブルの原因を特定して,その対処法を案出できる。トラブルの対処法を案出した担当者は,その対処法を,遠隔操作情報として入力部21から入力する。例えば主搬送ユニット50にトラブルが発生し,トラブル原因が搬送アーム50aにあると認定された場合,例えば搬送アーム50aの停止位置の設定を変更する設定変更情報,搬送アーム50aを実際に動かして調整する駆動調整情報,調整後の搬送アーム50aの動作を確認させる動作確認情報が入力部21に入力される。」

(イ)引用文献7に記載された技術事項
引用文献7には、「トラブルの情報を収集するために塗布現像処理装置側にトラブル情報の情報要求信号を送信し、塗布現像処理装置から送信されたトラブル情報は,ベンダ側のコンピュータで受信され,コンピュータの表示部に表示されること」の技術事項が記載されている。

ク 引用文献8について
(ア)引用文献8の記載事項
「【0056】
上記実施の形態において、トラブル発生時に所定の条件にあったウェハWについては、トラブル解消後にカセットCから再搬送しないように設定したが、これらのウェハWについての再搬送を選択できるようにしてもよい。かかる場合、例えば図11に示すように塗布現像処理装置1にウェハ情報Iを表示する表示部130を設けてもよい。表示部130には、例えばタッチスクリーンが用いられる。例えば図12に示すように表示部130の表示画面130aには、25枚の各ウェハWについてトラブル発生時の位置と処理状況(ウェハ情報I)が表示される。また表示画面に130aには、例えば再搬送を行わない設定のウェハWについての搬送選択欄が設けられる。」

(イ)引用文献8に記載された技術事項
引用文献8には、「表示画面に、各ウェハWについてトラブル発生時の位置と処理状況が表示されること」の技術事項が記載されている。

(2)対比
ア 本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明において、「ウェハ測定・検査器」が「解析システムに」送付する「情報(検査結果)」は、本願発明の「基板処理に関する情報」に相当する。
引用発明における「ウェハ測定・検査」は、「表示装置」を有しており、「情報(検査結果)」を操作する操作画面の表示を制御する制御手段を有することは明らかである。
引用発明において、「ウェハ測定・検査」は、「解析システムに情報(検査結果)を送付するための手段を有し、その手段は外部記録媒体を用いたものである」から、本願発明の「着脱可能な外部記憶装置を装備する装着部」に相当する構成を有することは明らかである。
引用発明の「半導体製造システム」は、「露光装置」などのウェハを処理する装置を有するから、本願発明の「基板処理装置」に相当する。

イ 一致点
してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
「基板処理に関する情報を操作する操作画面の表示を制御する制御手段と、着脱可能な外部記憶装置を装備する装着部と、を有する基板処理装置。」

ウ 相違点
そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(ア)相違点1
本願発明は、「前記操作画面は、少なくともログインボタンを備えた初期画面と、前記ログインボタンが押下されると表示される認証作業を行うためのログイン画面と、前記認証作業により認証されると表示されるセットアップボタンを備えた画面と、前記セットアップボタンが押下されると表示されるメンテナンスを受け付ける画面とを含み、必要な制御又はモニタを行うためのインフォメーションパネルと、各種ナビゲーションボタンが配置されるナビゲーションパネルとで少なくとも構成され」ているのに対し、引用発明は、表示装置が表示する画面について特定されていない点。

(イ)相違点2
本願発明において、「前記制御手段は、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンと障害情報を一覧で表示する障害情報一覧画面を同じ操作画面に表示させ、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンを、前記ナビゲーションパネルに配置し、前記障害情報一覧画面を、前記インフォメーションパネルに表示するよう構成され」ているのに対し、引用発明は、外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンと障害情報を一覧で表示する障害情報、及びその画面上の配置関係について特定されていない点。

(ウ)相違点3
本願発明において、「前記制御手段は、前記メンテナンスを受け付ける画面に表示される所定のボタンが押下された後、障害情報のメンテナンスを受け付けるボタンが押下されたとき、前記障害情報一覧画面を前記インフォメーションパネルに表示させる」のに対し、引用発明は、メンテナンスを受け付ける画面と障害情報一覧画面の表示について特定されていない点。

(エ)相違点4
本願発明において、「前記装着部の状態変化を監視し、前記外部記憶装置が装着されていることを検出したら、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンを前記ナビゲーションパネルに配置させ、前記外部記憶装置が前記装着部に挿入されていない場合、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが前記操作画面に押下できない状態で配置され、前記外部記憶装置が前記装着部に挿入されている場合、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが前記操作画面に押下できる状態で配置されると共に前記インフォメーションパネルに表示された前記障害情報が選択されると、選択した前記障害情報を前記外部記憶装置に出力させ、前記外部記憶装置への前記障害情報の出力が終了していない場合に、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが押下されると、エラーを発生するように構成されている」のに対し、引用発明の表示装置の画面表示と外部記録媒体がどのように制御される構成なのか特定されていない点。

(3)判断
以下、事案に鑑み上記相違点4について検討する。
引用文献2、3に記載されているように、半導体製造装置において、ログイン動作やID番号及びパスワードの入力を行うことは周知技術である。また、引用文献7、8に記載されているように、半導体製造装置において、トラブル発生の情報を表示させることは周知技術である。

また、引用文献4ないし6に記載されているように、アイコンにより取り外し可能な拡張デバイス(USBメモリー)の装着の有無を識別し、アイコンのクリックにより取り外し可能な拡張デバイス(USBメモリー)を取り外し、取り外すためのクリックをした際、USBメモリー内のファイルが開いていると、エラーメッセージを表示させることは、USBメモリー等の取り外し可能な拡張デバイスを装着可能な装置における周知技術である。

しかしながら、相違点4のうち、「表示された前記障害情報が選択されると、選択した前記障害情報を前記外部記憶装置に出力させ、前記外部記憶装置への前記障害情報の出力が終了していない場合に、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが押下されると、エラーを発生するように構成」することは、引用文献2ないし8には記載がなく、また、半導体装置における周知技術及び取り外し可能な拡張デバイスを装着可能な装置における周知技術を組合わせることにより導くことができるものでもない。
そして、本願発明は、上記の相違点4に係る構成を備えることによって、少なくとも、障害情報の書込みが途中で、着脱可能な記録媒体が誤って取り外されないよう、使用者の注意を喚起するとともに、記録媒体を取り外すことができるか否かの確認を操作画面上で行うことができるという顕著な効果を奏する。
したがって、相違点1ないし3について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用文献2ないし8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものということはできない。
また、請求項2ないし4に係る発明は、本願発明の発明特定事項の全てを有し、さらに限定した発明であり、請求項5に係る発明は、本願発明の制御方法の発明であり、請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明の発明特定事項の全てを有し、さらに限定した発明であり、請求項7に係る発明は、本願発明のプログラムの発明であり、いずれも引用発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。

3 原査定の拒絶理由についてのまとめ
原査定の拒絶理由についての判断は、上記のとおりであるから、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(サポート要件)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

本願の発明の詳細な説明の記載によれば、情報の書込みが途中で、着脱可能な記録媒体が誤って取り外されないよう、使用者の注意を喚起するとともに、記録媒体を取り外すことができるか否かの確認を操作画面上で行うことが、発明が解決しようとする課題であると読み取れる。
そして、段落0033,0039,0041-0044,0047,図6等に記載された記録媒体の取り外しの手順等では、
<1>「USB大容量記憶装置デバイス」等のデバイスノードにアクセスされており、取外しボタン65が押下された場合、「ステップ320(S320)において、エラーメッセージを返した後、処理を終了」し、ステップ414で取外し禁止画面が表示され、
<2>「USB大容量記憶装置デバイス」等のデバイスノードにアクセスされておらず、取外しボタン65が押下されてUSBフラッシュメモリが取外された場合、ステップ416で取外し許可画面が表示され、
<3>「USB大容量記憶装置デバイス」等のデバイスノードにアクセスされておらず、取外しボタン65が押下されずにUSBフラッシュメモリが取外された場合、ステップ412で警告画面表示が表示される
ことが読み取れる。
そして、「USB大容量記憶装置デバイス」等のデバイスノードにアクセスされている場合には、情報の書込みが途中の場合も含むと考えられるから、上記<1>ないし<3>の場合は、「情報の書込みが途中で、着脱可能な記録媒体が誤って取り外されないよう、使用者の注意を喚起するとともに、記録媒体を取り外すことができるか否かの確認を操作画面上で行う」とする発明が解決しようとする課題に対応した解決手段であるといえる。 しかしながら、本願発明は、「外部記憶装置が挿入されていることを示すボタン」が配置されるにとどまり、上記課題に対応した解決手段を有しておらず、上記課題を解決できない発明を含むものである。
したがって、請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本願発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。
よって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、請求項3ないし請求項7に係る発明も、請求項1に係る発明と同様に発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 当審拒絶理由の判断
当審拒絶理由で指摘した点については、平成28年10月3日付けの手続補正により、補正前の請求項1の「前記外部記憶装置が前記装着部に挿入されている場合」について、「前記外部記憶装置への前記障害情報の出力が終了していない場合に、前記外部記憶装置が挿入されていることを示すボタンが押下されると、エラーを発生するように構成されている」と限定する補正がなされ、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されることになった。
したがって、当審拒絶理由は解消した。

第5 結論
以上のとおりであり、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。また、他に、本願を拒絶する理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-24 
出願番号 特願2014-133921(P2014-133921)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐野 浩樹  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 松川 直樹
森 竜介
発明の名称 基板処理装置及びその制御方法並びにプログラム  

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