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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05B |
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管理番号 | 1321875 |
審判番号 | 不服2014-11749 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-19 |
確定日 | 2016-12-06 |
事件の表示 | 特願2011-513083号「接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスおよびかかるユーザーインターフェースデバイスを使用する照明システム、電気消費製品の負荷の使用を制御するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月17日国際公開、WO2009/150571、平成23年8月4日国内公表、特表2011-523187号、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2009年6月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年6月10日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成22年12月14日に手続補正書が提出され、平成25年7月4日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年2月26日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、平成26年6月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正され、その後、当審において平成27年4月30日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由1」という)が通知され、同年11月13日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月10日付けで拒絶理由<最後>(以下「当審拒絶理由2」という。)が通知され、同年9月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである(以下当審拒絶理由1及び2を合わせて「当審拒絶理由」という場合がある。)。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし11に係る発明(以下「本願発明1ないし11」という。)は、平成28年9月9日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1及び10は以下のとおりである。 【本願発明1】 「照明システムを含む接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスであって、 マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できるディスプレイユニットと、 ユーザー入力を受信するための入力ユニットと、 前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記ディスプレイユニットに提供される情報信号を発生すると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニットとを備え、 前記制御ユニットは、前記入力ユニットが前記入力ユニットの表面上の物体又は指の移動を検出し、前記物体又は指が前記入力ユニットから解放されたとき、前記制御信号を前記照明システムへ送信し、前記制御信号を前記照明システムへ送信する前に前記ユーザー入力を介して選択された値に関するフィードフォワード情報をユーザーに提供するために、前記物体又は指が前 記入力ユニットから離れていない間、前記情報信号を前記ディスプレイユニットへ送信し、 前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記選択された値に関するフィードフォワード情報をユーザーに提供するためのレリーフおよび/またはフィードフォワード情報を示すペーパーを挿入するためのスロットを備え、前記ディスプレイユニットの前方には照明システムの値を調節するためのスケールを示すカラー層が配置されている、ユーザーインターフェースデバイス。」 【本願発明10】 「照明システムを含む接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスであって、 マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できるディスプレイユニットと、 ユーザー入力を受信するための入力ユニットと、 前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記ディスプレイユニットに提供される情報信号を発生すると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニットとを備え、 自動光設定またはユーザーが制御する光設定を行うと、前記照明システムの光および前記ディスプレイユニットによって出力される光は、プリセットされた時間にわたって低速でフェードアウトされ、前記ユーザーインターフェースデバイスは前記照明システムの光をフェードアウトするための時間を設定するための手段を含み、前記ディスプレイユニットは、グロー状態の多数のドットをディスプレイするようにでき、前記ドットの数は、残存フェードアウト時間を示し、ユーザーはより多い数のドットを示す場所で前記入力ユニットを押すことによってフェードアウト時間を長くすることができ、フェードアウト時間の経過中に前記ドット数が減少する、ユーザーインターフェースデバイス。」 第3 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 本願発明1及び10は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないという理由を含むものである。 記 刊行物1:特開平6-76957号公報 刊行物2:特開2007-53096号公報 刊行物1には、照明システムを制御するユーザーインターフェースデバイスについて、マトリックス状に配されたスイッチ(SW1?SW25)に内蔵したLED2eを有する点、ディスプレイユニット3と、入力ユニット2と、制御ユニット1とを有する点が記載されている。 刊行物2には、入力ユニットの表面上の指先(物体)の移動を検出することで、照明システム90を制御する点が記載されている。 刊行物1に記載されたユーザーインターフェースデバイスに、刊行物2に記載された構成を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 2.原査定の理由の判断 (1)刊行物1に記載された事項 刊行物1には図面とともに以下の事項が記載されている(下線は便宜のため当審で付記した。以下同様。) (1a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、使用する部屋に複数ないし異種の照明器具が設置されている場合に、各照明器具を制御する照明制御装置に関するものである。」 (1b)「【0008】図4は制御装置の全体のブロック図を示し、制御手段を構成するマイクロプロセッサ1、スイッチ入力部2、LED表示部3、調光出力部4、発振部5、メモリ6、直流電源部・ゼロクロス部7等で構成されている。図3はスイッチ入力部2の操作部を示し、例えば内照式の非ラッチ式の25個のスイッチSW1?SW25をマトリクス状に配列したスイッチパネル部2aと、照明シーンを予め記憶でき、後で呼び出して再生できるプリセットスイッチA?D及びオフスイッチOFFからなるプリセットスイッチ部2cと、このプリセットスイッチ部2cの選択に応じて点灯する表示用の発光ダイオードL1 ?L5からなる表示部2bで構成されている。 」 (1c)「【0009】図5は具体回路図を示し、交流電源を整流後、直流電源部7aのレギュレータ等で直流化してマイクロプロセッサ1に電源を供給している。・・・また、スイッチパネル部2aのスイッチ回路2dの出力もマイクロプロセッサ1に入力されており、このスイッチ回路2dの具体回路図を図6に示している。図6に示すように、各スイッチSW1?SW25はマトリクス状に配置されている。」 (1d)「【0010】メモリ6はEEPROMからなり、また、各スイッチSW1?SW25に内蔵した内照灯用の発光ダイオード群2eも設けられている。調光出力部4は、フォトカップラ及びトライアック等で構成されており、マイクロプロセッサ1からの制御信号によりトライアックを位相制御をして、照明器具を点滅、調光の制御を行うようになっている。」 (1e)「【0017】(3)次に、各照明器具11?14の調光レベルを決める場合について図9のフローチャートを参照して説明する。・・・例えば、照明回路1〔当審注記:原文は照明回路に付されている数字は○囲み数字である。以下同様。〕(コーナーライト11)を任意の明るさにするには、スイッチSW1を押し、その後、スイッチSW3を押すことによりコーナーライト11が明転していく。 【0018】逆に、スイッチSW23を押すと暗転していく。この明転、暗転のスピードは、マイクロプロセッサ1内で予めプログラムされている。丁度、好みの明るさになれば、スイッチSW3又はスイッチSW23の手を離す。以上で、コーナーライト11の明るさが設定できる。・・・」 (1f)「【0019】・・・スイッチSW3或いはスイッチSW23を押すことにより、好みの明るさに調整できる。・・・これらの際、スイッチ内部の発光ダイオード群2eの内照灯は(3)で調整した明るさと同程度の調光レベルで点灯するようにしておくことで、各照明回路1?4の調光レベルインジケータとなる。」 倣って (1g)「【0025】また、マトリクス状のスイッチSW1?SW25をタッチ操作式のシートパネルにしても良い。」 (1h) 図5より、発光ダイオード群2eは、1?25の番号が付されたマイクロプロセッサ1のポートに接続されていることが看て取れる。 (2)引用発明 上記(1a)ないし(1h)から以下の事項が認定できる。 ア.照明制御装置はマイクロプロセッサ1を備えていること(1a、1b、図4等)。 イ.マイクロプロセッサ1は、スイッチが押されると、その出力が入力され、照明器具の明るさを調整するための制御信号を出力すること(1c?1e、図4等)。 ウ.マイクロプロセッサ1は、照明器具の明るさを調整する際に、発光ダイオード群2eを前記明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号も出力すること(1e、1f、図4等)。 以上の記載事項、認定事項等を踏まえ、本願発明1の発明特定事項に倣って整理すると、刊行物1には以下の発明が開示されていると認められる(以下「引用発明」という。)。 <引用発明> 「照明器具を制御する照明制御装置であって、 スイッチをマトリクス状に配列したスイッチパネル部2aと、 前記マトリックス状に配列された前記スイッチに内蔵され、1?25の番号が付されたマイクロプロセッサ1のポートに接続されている発光ダイオード群2eと、 前記スイッチが押されると、その出力が入力され、前記照明器具の明るさを調整するための制御信号を出力し、前記照明器具の明るさを調整する際に、前記発光ダイオード群2eを前記明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号も出力する前記マイクロプロセッサ1とを備え、 前記マイクロプロセッサ1は、 前記スイッチパネル部2aにおいて、前記スイッチが押されると、前記制御信号を前記照明器具に出力し、前記照明器具の明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号も前記発光ダイオード群2eに出力する照明制御装置。」 (3)本願発明1について ア.対比 本願発明1と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「照明器具」は、その技術的意義において、本願発明1の「照明システムを含む接続された電気消費製品の負荷」及び「照明システム」に相当し、以下同様に、「照明制御装置」は、「ユーザーインターフェースデバイス」に、「スイッチをマトリクス状に配列したスイッチパネル部2a」は、「ユーザー入力を受信するための入力ユニット」にそれぞれ相当するといえる。 (イ)引用発明の「発光ダイオード群2e」は、複数のLEDからなることは明らかであり、「マトリックス状に配列したスイッチに内蔵され」、「1?25の番号が付されたマイクロプロセッサのポートに接続されている」ことから、マトリックス状に配列され、別々にアドレス指定できるようにされているといえる。また、「発光ダイオード群2e」は、調整される照明器具の「明るさと同程度の調光レベルで点灯する」ものであるから、表示手段を構成する要素であるといえる。 そうすると、引用発明の「前記マトリックス状に配列された前記スイッチに内蔵され、1?25の番号が付されたマイクロプロセッサ1のポートに接続されている発光ダイオード群2e」と本願発明1の「マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できるディスプレイユニット」とは、「マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できる表示手段」の限度で共通するといえる。 (ウ)引用発明において、スイッチを押すのはユーザーであり、スイッチを押すことは入力をすることに他ならない。また、引用発明の「マイクロプロセッサ1」は、スイッチを押すことにより出力された信号が入力されているから、入力に基づく信号を受信していることは明らかである。さらに、「マイクロプロセッサ1」は、「照明器具の明るさを調整するための制御信号を出力」するものであるところ、その「明るさを調整する際」に、「発光ダイオード群2e」へも、その「明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号を出力」しているものであり、かかる点灯するための信号は一つの情報であるということができるから、制御信号を発生すると共に、発光ダイオード群2eに対し情報信号を提供しているものといえる。 そうすると、引用発明の「前記スイッチが押されると、その出力が入力され、前記照明器具の明るさを調整するための制御信号を出力し、前記照明器具の明るさを調整する際に、前記発光ダイオード群2eを前記明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号も出力する前記マイクロプロセッサ1」と本願発明1の「前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記ディスプレイユニットに提供される情報信号を発生すると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニット」とは、「前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記表示手段に提供される情報信号を発生させると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニット」の限度で共通するといえる。 以上によれば、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 〔一致点〕 照明システムを含む接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスであって、 マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できる表示手段と、 ユーザー入力を受信するための入力ユニットと、 前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記表示手段に提供される情報信号を発生すると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニットとを備えたユーザーインターフェースデバイス。 〔相違点1〕 本願発明1では、表示手段が「ディスプレイユニット」として構成されているのに対して、引用発明は、表示手段が「ディスプレイユニット」、特にユニットとして構成されているのか不明である点。 〔相違点2〕 本願発明1では、制御ユニットが、「前記入力ユニットが前記入力ユニットの表面上の物体又は指の移動を検出し、前記物体又は指が前記入力ユニットから解放されたとき、前記制御信号を前記照明システムへ送信し、前記制御信号を前記照明システムへ送信する前に前記ユーザー入力を介して選択された値に関するフィードフォワード情報をユーザーに提供するために、前記物体又は指が前記入力ユニットから離れていない間、前記情報信号を前記ディスプレイユニットへ送信する」ように構成されているのに対して、引用発明では、「前記スイッチパネル部2aにおいて、前記スイッチが押されると、前記制御信号を前記照明器具に出力し、前記照明器具の明るさと同程度の調光レベルで点灯するための信号も前記発光ダイオード群2eに出力する」ように構成されている点。 〔相違点3〕 本願発明1は、ユーザーインターフェースデバイスが、「前記選択された値に関するフィードフォワード情報をユーザーに提供するためのレリーフおよび/またはフィードフォワード情報を示すペーパーを挿入するためのスロットを備え、前記ディスプレイユニットの前方には照明システムの値を調節するためのスケールを示すカラー層が配置されている」構成を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。 イ.判断 事案に鑑み相違点3について検討する。 刊行物2には、「照明装置を制御するためのスイッチ12であって、前記スイッチ12は透明なゾーン24を有し、前記透明なゾーン24における指先のスライド移動を検出し、前記スライド移動に基づいて照明装置によって放射される光の強度を制御するスイッチ」(以下「刊行物2に記載された事項」という。)が記載されているところ(特許請求の範囲、図1)、上記相違点3に係る本願発明1の構成については記載も示唆もされていないから、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の構成を備えるようにすることは当業者が容易になし得たものとはいえない。 ウ.本願発明1についてのまとめ 以上より、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本願発明2ないし9について 本願発明2ないし9は、本願発明1をさらに限定するものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本願発明10について 上記(3)アの対比を参考にしつつ、本願発明10と引用発明とを対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 〔一致点〕 照明システムを含む接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスであって、 マトリックス状をした複数のLEDを含み、前記マトリックスの前記LEDの各々を別々にアドレス指定できる表示手段と、 ユーザー入力を受信するための入力ユニットと、 前記ユーザー入力に基づき、信号を受信し、前記表示手段に提供される情報信号を発生すると共に、前記接続された電気消費製品の負荷を制御するための制御信号を発生する制御ユニットとを備えたユーザーインターフェースデバイス。 〔相違点4〕 本願発明10では、表示手段が「ディスプレイユニット」として構成されているのに対して、引用発明は、表示手段が「ディスプレイユニット」、特にユニットとして構成されているのか不明である点。 〔相違点5〕 本願発明10では、ユーザーインターフェースデバイスは、「照明システムの光をフェードアウトするための時間を設定するための手段を含み」、ディスプレイユニットは、「グロー状態の多数のドットをディスプレイするようにでき、前記ドットの数は、残存フェードアウト時間を示し、ユーザーはより多い数のドットを示す場所で前記入力ユニットを押すことによってフェードアウト時間を長くすることができ、フェードアウト時間の経過中に前記ドット数が減少する」構成を備え、「自動光設定またはユーザーが制御する光設定を行うと、前記照明システムの光および前記ディスプレイユニットによって出力される光は、プリセットされた時間にわたって低速でフェードアウトされ」る構成を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を備え ていない点。 事案に鑑み上記相違点5について検討するに、刊行物2には、上記(3)イで示した刊行物2に記載された事項は記載されているものの、上記相違点5に係る本願発明10の構成は記載も示唆もされていないから、引用発明において、上記相違点5に係る本願発明10の構成を備えるようにすることは当業者が容易になし得たものとはいえない。 したがって、上記相違点4について判断するまでもなく、本願発明10は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本願発明11は、本願発明10をさらに限定するものであるから、本願発明10と同様に、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)小括 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 当審において、平成26年6月19日(審判請求と同時)に提出された手続補正書により補正された請求項1ないし17に係る発明のうち、請求項1ないし7、9ないし11、及び13ないし17に係る発明に対して下記刊行物A1ないしA5を引用し、前記各請求項に係る発明はかかる刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができた旨の拒絶理由(以下「29条2項に係る理由1」という。)及び、請求項1、8、12及び14に記載されている事項に対して明確でない旨の拒絶理由(以下「36条6項2号に係る理由1」という。)を含む当審拒絶理由1を通知したところ、これに対して平成27年11月13日に手続補正書が提出されたので、当該補正書により補正された請求項1ないし16に係る発明のうち、請求項1ないし7、9ないし10、及び12ないし16に係る発明に対して下記刊行物B1ないしB6を引用し、前記各請求項に係る発明はかかる刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができた旨の拒絶理由(以下「29条2項に係る理由2」という。)及び請求項2、3及び4に記載されている事項に対して明確でない旨の拒絶理由(以下「36条6項2号に係る理由2」という。)を含む当審拒絶理由2を通知したものである。 記 (当審拒絶理由1で引用した刊行物) 刊行物A1 特開平6-76957号公報 刊行物A2 米国特許第6608617号明細書 刊行物A3 特開昭62-113392号公報 刊行物A4 国際公開第2007/105151号 刊行物A5 特表平6-508239号公報 (当審拒絶理由2で引用した刊行物) 刊行物B1 特開平6-76957号公報 刊行物B2 特開平2-94293号公報 刊行物B3 特開2006-277972号公報 刊行物B4 特開2008-103126号公報 刊行物B5 国際公開第2007/105151号 刊行物B6 特表平6-508239号公報 2.当審拒絶理由の判断 (1)36条6項2号に係る理由1及び2について 平成27年11月13日及び平成28年9月9日に提出された手続補正書による補正によって解消した。 (2)29条2項に係る理由1及び2について 平成28年9月9日に提出された手続補正書による補正により、29条2項に係る理由1及び2の対象とされていない請求項8に係る発明における請求項8に特定されている事項が請求項1に特定されることとなったため、本願発明1及び本願発明1をさらに限定する本願発明2ないし9については29条2項に係る理由1及び2は有しなくなった。同様に、29条2項に係る理由1の対象とされていない請求項12に係る発明及び29条2項に係る理由2の対象とされていない請求項11に係る発明は本願発明10と同一であるから、本願発明10及び本願発明10をさらに限定する本願発明11については29条2項に係る理由1及び2は有していない。 (3)小括 以上のとおり、当審拒絶理由1及び2は解消されたので当審拒絶理由1及び2によっては、本願を拒絶することはできない。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-11-22 |
出願番号 | 特願2011-513083(P2011-513083) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H05B)
P 1 8・ 537- WY (H05B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 光治 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
平田 信勝 和田 雄二 |
発明の名称 | 接続された電気消費製品の負荷を制御するためのユーザーインターフェースデバイスおよびかかるユーザーインターフェースデバイスを使用する照明システム、電気消費製品の負荷の使用を制御するための方法 |
代理人 | 特許業務法人M&Sパートナーズ |