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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F
管理番号 1321935
審判番号 不服2014-20955  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-16 
確定日 2016-11-24 
事件の表示 特願2010-240723「ランドリー機器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月17日出願公開、特開2012- 90774〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年10月27日の出願であって、平成26年7月14日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月16日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされ、その後、当審において平成28年4月20日付けで拒絶理由が通知され、同年6月17日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年6月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「外箱と、
有底円筒状をなし、前記外箱内に設けられた外槽と、
洗濯物が収容可能な有底円筒状をなし、周壁に前記外槽と連通する孔を有し、前記外槽内に当該外槽の中心軸を中心に回転可能に設けられ、当該洗濯物の乾燥に用いられるドラムと、
前記外槽と連結している入口および出口を有する循環ダクトと、
前記外槽内の空気を前記入口から前記循環ダクト内を通し前記出口から前記外槽内へ戻して当該空気の循環を行う送風機と、
前記循環ダクト内に設けられ、前記循環ダクト内の空気を冷却するエバポレータと、
前記循環ダクト内に設けられ、前記エバポレータに比べて前記送風機の運転状態での空気の流れの下流側に配置されたものであって前記循環ダクト内の空気を加熱するコンデンサと、
冷媒を前記コンデンサおよび前記エバポレータに供給するとともに、出力が変更可能であり、当該出力が小さくなるほど前記冷媒の供給量が少なくなるコンプレッサと、
前記エバポレータと前記コンデンサとの間に設けられた電子膨張弁と、
乾燥行程として通常の乾燥行程としわ伸ばし行程を実行可能であり、しわ伸ばし行程では、前記コンプレッサを前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように駆動する制御を行うように構成され、且つ、前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように前記電子膨張弁の開閉度合いを制御可能に構成されている制御手段と、
を備えていることを特徴とするランドリー機器。」

第3 引用文献
1.当審の拒絶の理由に引用された特開2004-358028号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類の乾燥を行う衣類乾燥機、または洗濯と乾燥を同一槽で行う乾燥機能付き洗濯機に具備される衣類乾燥装置に関するものである。」

「【0009】
従来のヒートポンプ式の衣類乾燥装置では、安定運転を行うために冷媒温度に対しては配慮し、これを制御するものはあっても、乾燥用温風の条件を制御して乾燥シワを減少させるものはなかった。」

「【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ヒートポンプを熱源に用いた衣類乾燥装置において、乾燥用温風の条件を制御して乾燥シワを減少させることを目的としている。」

「【0022】
(実施例1)
図1は本実施例の洗濯乾燥機の外観斜視図で、図2は筐体1の背面1b方向から見た断面図を示す。図3は図2のZ-Z線に沿って切断した断面図である。また、図4は本実施例のヒートポンプ装置の構成と乾燥用空気の流れを示すシステム概念図である。
【0023】
図に示すように、筐体1の内部には、複数のサスペンション2によって弾性的に支持された円筒状の水槽3を設け、洗濯・脱水時の振動をサスペンション2によって吸収する。水槽3の内部には、衣類4を収容する円筒状で横軸型の回転槽5を回転可能に設け、駆動モータ6により回転駆動される。・・・
【0024】
12は送風手段を構成する送風機で、筐体1の上面1cと側面1dが成す隅部空間に位置するように、水槽3の上部に設けられている。送風機12は水槽3の外面に設けた給気ダクト20と連通し、給気ダクト20の給気ダクト入口21から入った空気を矢印cの方向に送風して給気口14から回転槽5内に供給する。また、水槽3の外面には、水槽3の背面部の排気口16と連通する排気ダクト22を設け、回転槽5および水槽3を通過して排気口16から出てきた空気を矢印dのように排気ダクト出口23へ導出する。
【0025】
水槽3の下部には、ヒートポンプ装置を構成する熱交換器からなる吸熱器30に矢印aの方向に空気を流す吸熱器風路31と、同様に熱交換器からなる放熱器32に矢印bの方向に空気を流す放熱器風路33とが水平方向に並べて配設され、この吸熱器風路31と放熱器風路33とは循環ダクト34で連通して吸熱器30および放熱器32を通過する空気が直線的に流れるようになっている。
・・・
【0027】
このように、送風機12で送風される乾燥用空気は、図4の矢印40に示すように、給気ダクト20を通り給気口14から回転槽5内に入り、回転槽5内の衣類4を通過した後、排気口16から出て、排気ダクト22を通って吸熱器風路31の吸熱器30を通過し、循環ダクト34を介して放熱器風路33の放熱器32を通過して送風機12へ戻り、循環するようになっている。
【0028】
また、ヒートポンプ装置は、圧縮機41、および圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器32、および高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り弁やキャピラリーチューブ等からなる絞り手段42、および減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器30とを冷媒が循環するように管路43で連結されており、冷媒は矢印44の方向に流れて循環し、ヒートポンプサイクルを実現する。」

「【0034】
圧縮機41は温度検知手段46の出力に応じて圧縮能力可変手段45により回転数が制御され、回転槽5内に送風される空気温度が70℃以下になるようにしている。」

「【0035】
発明者らは、回転槽5内に送風される温風条件と、その条件で乾燥した衣類のシワの付き具合との関係を実験により調べ、図6に示すような結果を得た。すなわち、定性的には温風の温度が低いほど、また湿度が高いほど乾燥シワが少なくなる。定量的には温風温度が70℃以下であれば極端に乾燥シワが多くならないことが分かった。」

【図2】 【図3】


【図4】


これらの記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「筐体1と、
筐体1の内部に設けた円筒状の水槽3と、
水槽3の内部に回転可能に設けられた、衣類4を収容する円筒状の回転槽5と、
水槽3の背面部の排気口16、排気ダクト22、吸熱器風路31、循環ダクト34、放熱器風路33、給気ダクト20、給気口14と、
送風機12と、
ヒートポンプ装置とを備え、
送風機12で送風される乾燥用空気は、給気ダクト20を通り給気口14から回転槽5内に入り、回転槽5内の衣類4を通過した後、排気口16から出て、排気ダクト22を通って吸熱器風路31の吸熱器30を通過し、循環ダクト34を介して放熱器風路33の放熱器32を通過して送風機12へ戻り、循環するようになっており、
ヒートポンプ装置は、圧縮機41、および圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器32、および高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り弁やキャピラリーチューブ等からなる絞り手段42、および減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器30とを冷媒が循環するように管路43で連結されており、
圧縮機41は温度検知手段46の出力に応じて圧縮能力可変手段45により回転数が制御され、回転槽5内に送風される空気温度が70℃以下になるようにして、乾燥シワを減少させる、
洗濯乾燥機。」

2.当審の拒絶の理由に引用された特開2004-350981号公報(以下「引用文献2」という。)には、「洗濯乾燥機」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0039】
ここで、洗濯・乾燥コースは、洗いから乾燥までの運転を一貫して実行するコースであり、洗濯コースは、洗いから遠心脱水までの運転を実行するコースであり、乾燥コースは、洗濯および脱水されている洗濯物の乾燥運転のみを実行するコースである。また、標準モードは、各コースの運転を標準的に実行するモードであり、・・・生乾燥モードは、洗濯物の洗濯皺を伸ばす程度に短時間の乾燥までのコースを実行するモードであり・・・。」

第4 対比
引用発明の「筐体1」、「筐体1の内部に設けた円筒状の水槽3」は、それぞれ、本願発明の「外箱」、「有底円筒状をなし、前記外箱内に設けられた外槽」に相当する。
引用発明の「水槽3の内部に回転可能に設けられた、衣類4を収容する円筒状の回転槽5」は、技術常識も踏まえると、周壁に孔を有し、水槽3の中心軸を中心に回転可能であり、洗濯物の乾燥に用いられることは明らかなので、本願発明の「洗濯物が収容可能な有底円筒状をなし、周壁に前記外槽と連通する孔を有し、前記外槽内に当該外槽の中心軸を中心に回転可能に設けられ、当該洗濯物の乾燥に用いられるドラム」に相当する。
引用発明の「水槽3の背面部の排気口16」、「給気口14」は、それぞれ、本願発明の「外槽と連結している入口」、「出口」に相当し、引用発明の「排気ダクト22、吸熱器風路31、循環ダクト34、放熱器風路33、給気ダクト20」は、本願発明の「循環ダクト」に相当する。
引用発明の「送風機12で送風される乾燥用空気」が「給気ダクト20を通り給気口14から回転槽5内に入り、回転槽5内の衣類4を通過した後、排気口16から出て、排気ダクト22を通って吸熱器風路31の吸熱器30を通過し、循環ダクト34を介して放熱器風路33の放熱器32を通過して送風機12へ戻り、循環する」は、本願発明の「前記外槽内の空気を前記入口から前記循環ダクト内を通し前記出口から前記外槽内へ戻して当該空気の循環を行う」に相当し、引用発明の「送風機12」は、本願発明の「送風機」に相当する。
引用発明の「吸熱器30」は、吸熱器風路31に設けられ、周囲から熱を奪うものであるから、本願発明の「前記循環ダクト内に設けられ、前記循環ダクト内の空気を冷却するエバポレータ」に相当する。
引用発明の「放熱器32」は、放熱器風路33に設けられ、圧縮された冷媒の熱を放熱するものであって、送風機12で送風される乾燥用空気は、吸熱器30を通過した後に放熱器32を通過することを踏まえると、本願発明の「前記循環ダクト内に設けられ、前記エバポレータに比べて前記送風機の運転状態での空気の流れの下流側に配置されたものであって前記循環ダクト内の空気を加熱するコンデンサ」に相当する。
引用発明の「圧縮機41」は、放熱器32、吸熱器30に冷媒を循環させるものであり、圧縮能力可変手段45により回転数が制御されるものであって、出力が小さくなるほど回転数が小さくなって冷媒の循環量が少なくなることは明らかであるから、本願発明の「冷媒を前記コンデンサおよび前記エバポレータに供給するとともに、出力が変更可能であり、当該出力が小さくなるほど前記冷媒の供給量が少なくなるコンプレッサ」に相当する。
引用発明の「絞り弁やキャピラリーチューブ等からなる絞り手段42」は、放熱器32と吸熱器30との間に設けられているので、本願発明の「電子膨張弁」とは、「エバポレータとコンデンサとの間に設けられた絞り手段」との限りで一致する。
引用発明の「圧縮機41は温度検知手段46の出力に応じて圧縮能力可変手段45により回転数が制御され、回転槽5内に送風される空気温度が70℃以下になるようにして、乾燥シワを減少させる」運転は、通常の乾燥運転に比べてシワを減少させる運転であるといえるから、本願発明の「乾燥工程として」の「しわ伸ばし行程」に相当する。そして、引用発明の上記運転を実現する「圧縮能力可変手段45」と、本願発明の「しわ伸ばし行程では、前記コンプレッサを前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように駆動する制御を行うように構成され、且つ、前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように前記電子膨張弁の開閉度合いを制御可能に構成されている制御手段」とは、「しわ伸ばし行程では、前記コンプレッサを前記外槽内に入る空気の温度が所定温度以下となるように駆動する制御を行うように構成されている制御手段」との限りで一致する。
引用発明の「洗濯乾燥機」は、本願発明の「ランドリー機器」に相当する。

よって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「外箱と、
有底円筒状をなし、前記外箱内に設けられた外槽と、
洗濯物が収容可能な有底円筒状をなし、周壁に前記外槽と連通する孔を有し、前記外槽内に当該外槽の中心軸を中心に回転可能に設けられ、当該洗濯物の乾燥に用いられるドラムと、
前記外槽と連結している入口および出口を有する循環ダクトと、
前記外槽内の空気を前記入口から前記循環ダクト内を通し前記出口から前記外槽内へ戻して当該空気の循環を行う送風機と、
前記循環ダクト内に設けられ、前記循環ダクト内の空気を冷却するエバポレータと、
前記循環ダクト内に設けられ、前記エバポレータに比べて前記送風機の運転状態での空気の流れの下流側に配置されたものであって前記循環ダクト内の空気を加熱するコンデンサと、
冷媒を前記コンデンサおよび前記エバポレータに供給するとともに、出力が変更可能であり、当該出力が小さくなるほど前記冷媒の供給量が少なくなるコンプレッサと、
前記エバポレータと前記コンデンサとの間に設けられた絞り手段と、
乾燥行程としてしわ伸ばし行程を実行可能であり、しわ伸ばし行程では、前記コンプレッサを前記外槽内に入る空気の温度が所定温度以下となるように駆動する制御を行うように構成されている制御手段と、
を備えているランドリー機器。」

[相違点1]
本願発明は、「乾燥行程として通常の乾燥行程としわ伸ばし行程を実行可能」であるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

[相違点2]
本願発明は、絞り手段として「電子膨張弁」を備え、制御手段が「しわ伸ばし行程では、前記コンプレッサを前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように駆動する制御を行うように構成され、且つ、前記外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように前記電子膨張弁の開閉度合いを制御可能に構成されている」のに対し、引用発明は、絞り手段が「絞り弁やキャピラリーチューブ等からなる絞り手段」であり、制御手段は「回転槽5内に送風される空気温度が70℃以下になるように」圧縮機41の回転数を制御する「圧縮能力可変手段」である点。

第5 判断
(1)相違点1について
引用文献2には、通常の乾燥を行う乾燥コース(標準モード)の他に、洗濯皺を伸ばす程度の乾燥を行うモード(生乾燥モード)を備えることが記載されており、その他、例えば、特開2004-105266号公報には、洗濯乾燥のモードとして、しわの多い時間短縮モード等としわの少ない通常モードを備えることが記載され(【0034】?【0037】)、特開2010-82199号公報には、乾燥運転において、しわを伸ばして仕上げるスチームアイロンモードでの乾燥運転も設定できることが記載されている(【0030】?【0031】)ことから、洗濯乾燥機において、しわの多い工程としわの少ない工程という、複数の乾燥工程を備えることは周知といえる(以下「周知技術1」という。)。
そうすると、引用発明の「乾燥シワを減少させる」運転、すなわち「しわ伸ばし行程」に加えて、これよりもしわの多くなる乾燥運転、すなわち「通常の乾燥工程」を実行可能とすることは、上記周知技術1を勘案して適宜になし得た程度の設計事項にすぎない。
よって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
洗濯乾燥機に適用されるヒートポンプ装置において、絞り弁に「電子膨張弁」を用い、その開閉度合いを制御することは、例えば、特開2006-87484号公報(【0052】)、特開2008-237496号公報(【0014】、【0026】)、特開2010-82113号公報(【0026】)に示すように周知である(以下「周知技術2」という。)。
また、引用発明は、「回転槽5内に送風される空気温度が70℃以下になるようにして、乾燥シワを減少させる」ものであるところ、引用文献1には、「定性的には温風の温度が低いほど、また湿度が高いほど乾燥シワが少なくなる。定量的には温風温度が70℃以下であれば極端に乾燥シワが多くならないことが分かった。」(【0035】)とも記載されているから、当該教示に従って、外槽内に入る空気の温度を、70℃よりも低い「65℃以下」に設定することに困難性はない。
さらに、引用文献1には、「従来のヒートポンプ式の衣類乾燥装置では、安定運転を行うために冷媒温度に対しては配慮し、これを制御するものはあっても、乾燥用温風の条件を制御して乾燥シワを減少させるものはなかった。」(【0009】)と記載されているから、引用発明において冷媒温度も制御することは、当業者が、従来技術と同じく普通に配慮し得たことといえる。そして、その具体的温度については、エバポレータ(吸熱器30)において、循環ダクト内の空気を冷却して除湿できる範囲で適宜に設定し得るとともに、エバポレータの温度が30℃以下の範囲で運転することは、例えば、前記特開2006-87484号公報(【0022】、【図6】のT5参照)、前記特開2008-237496号公報(【0045】、【0046】)に示すように周知である(以下「周知技術3」という。)。
そうすると、引用発明において、「外槽内に入る空気の温度が65℃以下となり且つ前記エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下となるように」制御することは、引用文献1の記載事項及び周知技術3に基いて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、このような制御を容易にするために、上記周知技術2を採用し、圧縮能力可変手段による圧縮機の制御に加えて、電子膨張弁の開閉度合いを制御可能に構成することも、当業者が適宜になし得たことである。
よって、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明、引用文献1の記載事項並びに周知技術2及び3に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(3)効果について
本願明細書の実施例の記載を参照しても、本願発明が、「外槽内に入る空気の温度が65℃以下」としたことに加えて、「エバポレータに供給される冷媒の温度が30℃以下」としたことにより、しわの発生の抑制について相乗的な効果を奏するとは認められない。
そして、引用発明は、外槽内に入る空気の温度を低くして、しわの発生を抑制できるものであるから、本願発明と同様の効果を奏するといえる。
よって、本願発明が、引用発明及び周知技術1?3から予測できない格別顕著な効果を奏するとは認められない。

第6 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1?3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-20 
結審通知日 2016-09-27 
審決日 2016-10-11 
出願番号 特願2010-240723(P2010-240723)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早房 長隆二階堂 恭弘  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 紀本 孝
佐々木 正章
発明の名称 ランドリー機器  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  

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