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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A62B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A62B
管理番号 1321956
審判番号 不服2015-18548  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-13 
確定日 2016-11-24 
事件の表示 特願2013-500067「電動空気浄化式呼吸用保護具」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月22日国際公開、WO2011/115754、平成25年 6月13日国内公表、特表2013-521933〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011(平成23)年3月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2010(平成22)年3月17日 英国)を国際出願日とする出願であって、平成24年9月14日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成24年11月13日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、平成26年2月26日に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成26年12月25日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年4月3日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年6月11日付けで拒絶査定がされ、平成27年10月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、平成28年3月16日及び平成28年4月15日に上申書が提出されたものである。

第2 平成27年10月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成27年10月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
(1)本件補正の内容
平成27年10月13日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年4月3日付け手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
濾過された空気の強制的な流れを着用者に送給するための電動空気浄化式呼吸用保護具であって、
ファンと、電気モータと、無線電子制御送受信機を有する電子制御ユニットとを含む、ターボユニット構成要素を備える、ターボユニットであって、前記ファンが、前記電子制御ユニットの制御下で前記電気モータによって駆動され、前記電子制御ユニットが、前記電子制御送受信機を介して情報を送受信するように構成されている、ターボユニットと、
前記ターボユニット構成要素に電力を提供するターボユニット電源と、
無線ターボ遠隔制御送受信機を有するターボ遠隔制御ユニットと、
無線ターボ状態送受信機を有する、前記ターボユニット及び/又は前記ターボユニット構成要素の現在の動作状態を表示するように適合された、少なくとも1つのターボ状態表示器ユニットと、を備え、
前記ターボ遠隔制御ユニット及び前記ターボ状態表示器ユニットのうちの少なくとも1つが、前記ターボユニットから遠隔にあり、前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機のうちの少なくとも2つが、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され、
前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機が、閉ループネットワークとして配置される、電動空気浄化式呼吸用保護具。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
濾過された空気の強制的な流れを着用者に送給するための電動空気浄化式呼吸用保護具であって、
ファンと、電気モータと、無線電子制御送受信機を有する電子制御ユニットとを含む、ターボユニット構成要素を備える、ターボユニットであって、前記ファンが、前記電子制御ユニットの制御下で前記電気モータによって駆動され、前記電子制御ユニットが、前記電子制御送受信機を介して情報を送受信するように構成されている、ターボユニットと、
前記ターボユニット構成要素に電力を提供するターボユニット電源と、
無線ターボ遠隔制御送受信機を有するターボ遠隔制御ユニットと、
無線ターボ状態送受信機を有する、前記ターボユニット及び/又は前記ターボユニット構成要素の現在の動作状態を表示するように適合された、少なくとも1つのターボ状態表示器ユニットと、を備え、
前記ターボ遠隔制御ユニット及び前記ターボ状態表示器ユニットのうちの少なくとも1つが、前記ターボユニットから遠隔にあり、前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機が、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され、
前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機が、閉ループネットワークとして配置される、電動空気浄化式呼吸用保護具。」
(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機のうちの少なくとも2つが、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され」を、本件補正後に「前記電子制御送受信機、前記ターボ遠隔制御送受信機、及び前記ターボ状態送受信機が、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され」とするものであるから、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2 独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2-1 引用文献
2-1-1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である国際公開第2009/067583号(以下、「引用文献1」という。)には、「MODULAR POWERED AIR PURIFYING RESPIRATOR」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、当審仮訳は、特表2011-504398号公報の記載を参考にし当審で作成した。(当審仮訳中の段落番号は、特表2011-504398号公報の対応部分の記載による。)また、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「[0002] The invention relates to powered air purifying respirators. In one of its aspects, the invention relates to a modular powered air purifying respirator that is adapted to be removably mounted to a respirator mask and to a filter canister. In another of its aspects, the invention relates to a modular powered air purifying respirator that is adapted to be removably mounted to a hose that is connected to a respirator mask. In yet another of its aspects, the invention relates to a modular powered air purifying respirator that has a portable, rechargeable power source. In yet another of its aspects, the invention relates to a sealed modular powered air purifying respirator that has a replaceable, portable power source. In yet another of its aspects, the invention relates to a modular powered air purifying respirator which delivers a constant flow of purified air to a respirator in the event of partial filter clogging.」(段落[0002])
{当審仮訳:「【0001】
本発明は電動式空気浄化呼吸器(powered air purifying respirators:電動ファン付き呼吸用保護具)に関する。本発明の1つの態様では、本発明は、呼吸マスク及びフィルタキャニスタに着脱可能に装着されるようになっている電動式空気浄化呼吸器モジュールに関する。本発明の別の態様では、本発明は、呼吸マスクに接続されるホースに着脱可能に装着されるようになっている電動式空気浄化呼吸器モジュールに関する。本発明のさらに別の態様では、本発明は、充電式ポータブル電源を有する電動式空気浄化呼吸器モジュールに関する。本発明のさらに別の態様では、本発明は、交換式ポータブル電源を有する密閉型電動式空気浄化呼吸器モジュールに関する。本発明のさらに別の態様では、本発明は、フィルタが部分的に詰まった場合に一定流の浄化空気を呼吸器に送る電動式空気浄化呼吸器モジュールに関する。」}

(イ)「[0003] Powered air-purifying respirators (PAPRs) continually supply positive air pressure to a respirator to maintain positive pressure in the respirator. PAPRs are generally used in military, industrial or hazardous environments to provide personal respiratory protection by preventing ambient air from entering the user's mask, helmet, or hood. Respiratory hazards might include particulate matter, harmful gases, or vapors, which are removed by passing the ambient air through the filter. Typically, a powered air-purifying respirator includes a powered fan that forces ambient air through one or more filters for delivery to an inlet opening in the respirator. The fan and filter may be mounted on a facemask, or in some cases, may be mounted on a belt or backpack and connected to the facemask through a hose and a fan. Power for the fans are typically mounted remote from the facemask but can also be mounted on the mask itself.」(段落[0003])
{当審仮訳:「【0003】
電動式空気浄化呼吸器(PAPR)は、正の空気圧を呼吸器に連続供給することで呼吸器内に正圧を維持する。PAPRは一般に軍事的、工業的又は危険な環境において用いられて、周囲空気がユーザのマスク、ヘルメット又はフードに入るのを防ぐことによって個人の呼吸保護を行う。呼吸器系の有害物として、粒子状物質、有害ガス又は蒸気が挙げられ得るが、これらは周囲空気をフィルタに通すことによって除去される。典型的に、電動式空気浄化呼吸器は、周囲空気を強制的に1つ又は複数のフィルタに通して呼吸器の入口開口部に送る電動ファンを備える。ファン及びフィルタはフェイスマスクに装着されてもよく、又は、場合よってはベルト若しくはバックパックに装着されてホース及びファンを介してフェイスマスクに接続されてもよい。ファン用の電源は典型的にフェイスマスクから離して装着されるが、マスク自体に装着されることもできる。」}

(ウ)「[0007] According to the invention, a modular powered air purifying respirator (PAPR) comprises a housing, a fan, a motor, and a portable power source mounted within a housing, an inlet opening in the housing for selectively mounting a filter canister for filtering air that is drawn into the inlet opening, an outlet opening formed in the housing; and a releasable mounting connector that is adapted to mount the housing to a facepiece of a respirator mask or to a conduit that is fluidly connected a facepiece inlet opening of a respirator mask. The modular PAPR can thus be positioned between a filter canister and a respirator mask, or between a filter and a conduit connected to a respirator mask, to draw air in axial flow through the filter and deliver filtered air to a mask.
[0008] In one embodiment, the housing is formed by an upper cylindrical portion and a lower cylindrical portion. In another embodiment, the power source is mounted within the upper cylindrical portion of the housing and the power source comprises at least one battery.
Preferably, the at least one battery is rechargeable. Typically, there are multiple batteries that are spaced annularly about a central axis of the housing.
[0009] In another embodiment, the housing further has a receptacle electrically connected to the motor for powering the motor. In addition, the receptacle electrically can be connected to the power source for recharging the power source. Further, the (PAPR) module can have a control circuit electrically connected to the motor and the power source for controlling the power to the motor.
[00010] In a preferred embodiment, a scroll is mounted between the fan and the outlet opening to optimize the air flow to the respirator.
[00011] In another embodiment, the inlet opening is formed by an internally threaded sleeve. In addition, the outlet opening can be formed by an externally threaded sleeve.
[00012] In yet another embodiment, the inlet opening is formed by a bayonet connector.
In addition, the outlet opening can be formed by a bayonet connector.
[00013] In use, ambient air is drawn into the inlet opening through the attached filter by the centrifugal fan, which is driven by direct connection to the shaft of the motor. The air is then accelerated by an optimized scroll to pass pressurized air through the outlet opening to a respirator mask.
[00014] The PAPR module can be employed in multiple use configurations. For example, it could also be configured for use with an air hose and belt, and worn on the waist, back, or any remote location. 」(段落[0007]ないし[00014])
{当審仮訳:「【0007】
本発明によれば、電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュールが、ハウジングと、ファンと、モータと、ハウジング内に装着されるポータブル電源と、ハウジング内の入口開口部であって、該入口開口部に引き込まれる空気を濾過するフィルタキャニスタを選択的に装着するようになっている、入口開口部と、ハウジング内に形成される出口開口部と、呼吸器マスクの面体に、又は呼吸器マスク内の面体入口開口部と流体接続される導管に、ハウジングを装着するようになっている取り外し可能な装着コネクタとを備える。したがって、該PAPRモジュールは、軸流の空気をフィルタを通して引き込み、濾過された空気をマスクに送るために、フィルタキャニスタと呼吸器マスクとの間、又はフィルタキャニスタと呼吸器マスクに接続される導管との間に位置付けされることができる。
【0008】
一実施の形態では、ハウジングは上部円筒部及び下部円筒部によって形成される。別の実施の形態では、電源は、ハウジングの上部円筒部内に装着され、少なくとも1つのバッテリを含む。好ましくは、少なくとも1つのバッテリは充電式である。典型的には、ハウジングの中心軸の周りに環状に離間した複数のバッテリがある。
【0009】
別の実施の形態では、ハウジングは、モータに給電するように該モータに電気的に接続されるコンセント(receptacle)をさらに有する。さらに、コンセントは、電源を充電するように該電源に電気的に接続される。さらに、(PAPR)モジュールは、モータへの電力を制御するようにモータ及び電源に電気的に接続される制御回路を有することができる。
【0010】
好ましい実施の形態では、スクロールが、呼吸器への空気流を最適化するようにファンと出口開口部との間に装着される。
【0011】
別の実施の形態では、入口開口部は雌ねじ付きスリーブによって形成される。さらに、出口開口部は雌ねじ付きスリーブによって形成されることができる。
【0012】
さらに別の実施の形態では、入口開口部はバヨネット型コネクタによって形成される。さらに、出口開口部は、バヨネット型コネクタによって形成されることができる。
【0013】
使用の際、モータのシャフトへの直接接続によって駆動される遠心ファンによって、周囲空気が、取り付けられたフィルタを通って入口開口部に引き込まれる。次いで、この空気が最適化スクロールによって加速され、加圧された空気が出口開口部を通って呼吸マスクに入る。
【0014】
PAPRモジュールは複数の使用構成で用いることができる。例えば、PAPRモジュールは空気ホース及びベルトと共に使用するように構成することもでき、腰、背中又は任意の離れた箇所に着用することもできる。」}

(エ)「[00034] Referring to FIGS. 1 and 2, a first embodiment of a powered air purifying respirator (PAPR) module 10 according to the present invention is illustrated. The PAPR module 10 is a self-contained, compact unit, and generally comprises a motor 24, a fan 26, a scroll 28, and a power source 22 all within a single housing 12. The PAPR module 10 has an inlet 18 that can be attached to an air filtering means, and an outlet 20 that can be attached to a user- wearable respiration protection device. The PAPR module 10 can be considered an "in-line" PAPR, wherein the inlet 18 and outlet 20 are co-axially aligned, such that the direction of inlet and outlet airflow is generally parallel to the center axis of the PAPR.
(中略)
[00041] The centrifugal fan 26, scroll 28 and motor 24 are positioned within the sealed breathing zone 36. The centrifugal fan 26 and motor 24 are co-axial and the centrifugal fan 26 is driven by direct connection to a shaft 30 of the motor 24. The scroll 28 encircles the centrifugal fan 26 and is located between the fan and the lower body 16. The centrifugal fan 26 draws air through the inlet 18 and propels it radially. The scroll 28 then spirally directs the pressurized air toward the outlet 20. The motor 24 is preferably oriented in axial alignment with the central axis of the housing.」(段落[00034]ないし[00041])
{当審仮訳:「【0016】
図1及び図2を参照すると、本発明による電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール10の第1の実施形態が示されている。PAPRモジュール10は、内蔵型コンパクトユニットであり、包括的にモータ24、ファン26、スクロール28及び電源22を全て、一つのハウジング12内に備える。PAPRモジュール10は、空気濾過手段に取り付けることができる入口18と、ユーザが着用可能な呼吸保護装置に取り付けることができる出口20とを有する。PAPRモジュール10は「インライン型(in-line:直列型)」PAPRと見なすことができ、ここでは、入口18及び出口20が同軸方向に整列していることで、入口及び出口の空気流の方向がPAPRの中心軸に実質的に平行となっている。
(中略)
【0023】
遠心ファン26、スクロール28及びモータ24は密閉呼吸ゾーン36内に位置付けされる。遠心ファン26及びモータ24は同軸であり、遠心ファン26はモータ24のシャフト30への直接接続によって駆動される。スクロール28は遠心ファン26を包囲し、該ファンと下部体16との間に位置する。遠心ファン26は空気を入口18を通じて引き込んで放射状に推進させる。次いで、スクロール28が加圧された空気を出口20に向けて螺旋状に導く。モータ24の向きはハウジングの中心軸と軸方向に整列した状態にすることが好ましい。」}

(オ)「[00042] Referring to FIG. 3, a controller 42 is located on the face 68 of the lower body cover 32. The controller 42 monitors the speed of the centrifugal fan 26 and controls the motor 24 speed in response to the monitored fan speed to ensure a substantially constant flow rate through the PAPR module 10. Control of the motor 24 by this method provides the ability to maintain a minimum flow rate between the inlet 18 and outlet 20 openings, even when an air filter in line with the inlet 18 is partially clogged. The controller is connected to a speed sensor (not shown) that senses that rotational speed of the motor shaft, compares the sensed speed to a predetermined speed set in the controller and adjusts the power to the motor so that the sensed speed matches the predetermined. To this end, the controller has a power supply circuit that is connected to the batteries and is also connected to the motor to control the current supplied to the motor. The power switch 66 is slidable between open and closed position to controls the power supplied by the batteries to the controller 42. .
[00043] The controller 42 can further be configured to store a simplistic and limited amount of data, with possible received inputs from the motor 24 and the power source 22. Operational data, such as the voltage of the power source 22 can be measured and monitored.
[00044] Referring to FIGS. 2 and 3, the upper body 14 and lower body cover 32 together form an enclosed space 90 in which the power source 22 can be located. The power source provides power at least to the motor 24 and the controller 42.
[00045] The power source 22 is typically one or more rechargeable batteries 22. The batteries 22 are received within cradles 92 formed on the face 68 of the lower body cover 32 and spaced annularly about the threaded filter connector 64. The upper body 14 serves as a lid to enclose the batteries 22 located within the cradles and can optionally be removable to gain access the batteries 22. The batteries 22 can be configured to provide power to the motor 24 for up to eight hours of continuous run time.」(段落[00042]ないし[00045])
{当審仮訳:「【0024】
図3を参照すると、コントローラ42が下部体カバー32の面68に位置している。コントローラ42は遠心ファン26の速度を監視し、監視したファン速度に応じてモータ24の速度を制御することで、PAPRモジュール10を流れる実質的に一定の流量を確実にする。この方法によるモータ24の制御により、入口18と一列に並んだ空気フィルタが部分的に詰まった場合であっても入口18及び出口20の開口部間に最低限の流量を維持することができる。コントローラは速度センサ(図示せず)に接続され、この速度センサがモータシャフトの回転速度を検知し、検知した速度を、コントローラに設定した所定の速度と比較し、検知した速度が所定の速度と一致するようにモータへの電力を調整する。このため、コントローラは、モータに供給される電流を制御するように、バッテリに接続されると共にモータにも接続される電源回路を有する。電源スイッチ66は、コントローラ42にバッテリによって供給される電力を制御するように開位置及び閉位置間で摺動可能である。
【0025】
コントローラ42はさらに、単純な限られた量のデータを格納するように構成することができ、モータ24及び電源22からの入力が可能な限り受け取られる。電源22の電圧等の動作データを測定及び監視することができる。
【0026】
図2及び図3を参照すると、上部体14及び下部体カバー32が共に、電源22を配置することができる包囲空間90を形成している。電源は少なくともモータ24及びコントローラ42に電力を供給する。
【0027】
電源22は典型的に、1つ又は複数の充電式バッテリ22である。バッテリ22は、下部体カバー32の面68に形成されていると共にねじ付きフィルタコネクタ64の周りに環状に離間したクレードル92内に収容される。上部体14は、クレードル内に配置されているバッテリ22を密閉する蓋として働き、バッテリ22の出し入れがなされるように任意に取り外し可能とすることができる。バッテリ22は、最大8時間の連続稼動時間、モータ24に電力を供給するように構成することができる。」}

(カ)「[00050] Referring to FIG. 8, a fourth embodiment of the PAPR module 10 according to the present invention is illustrated, where similar elements from the first embodiment are labeled with the same reference numerals. In this embodiment, the PAPR module 10 includes a cable management feature and an interface port 74 by which the enclosed rechargeable batteries 22 may be charged. Charging of the batteries 22 is accomplished by affixing to a socket on the interface port 74 a complementary plug 78 of an AC charger 76. Further, the AC charger 76 can be attached to the socket of the interface port 74 and to an AC outlet to provide a power source for the PAPR module 10. Optionally, an external battery pack 80 can be connected to the PAPR module 10 through the interface port 74. The external battery pack 80 can provide power to the PAPR module 10 for extended use, up to, for example, twelve hours or more of run time. When the external battery pack 80 is plugged into the interface port 74, the PAPR module 10 is powered first by the battery pack 80; upon depletion of the battery pack 80, the system "hot-swaps" to run for additional time, now powered by the internal batteries 22. A warning light 70 signals to the user that the battery pack 80 is close to depletion, and the PAPR module 10 is automatically switched to the internal batteries 22 when depletion of the battery pack 80 does occur. An alarm can also sound to additionally signal to the user that the battery pack 80 is close to depletion, and that a "hot-swap" is about to occur. The AC charger 76 and external battery pack 80 can be two separate components, or can be combined into one multi-purpose component.
[00051] Furthermore, the interface port 74 can function as a multipurpose communication port to the PAPR module 10. The interface port 74 can be configured to provide inputs, for example to disable the audible alarm in desirable situations. Data stored by the controller 42 can also be uploaded to a remote computer through the interface port 74 to provide information, for example, of run time or activation of the warning system.
[00052] The cable management function is provided by a plug cavity 44 and a crescent groove 46. The interface port 74 is located at approximately the center of the plug cavity 44 the plug 78 can be inserted into the interface port 74 along the plug cavity 44 in either of two directions. The plug cavity 44 can thus be used for either right or left handed orientation. The crescent groove 46 is formed on the surface of the lower body 16 periphery and is spaced from the plug cavity 44. The crescent groove 46 is formed to receive and retain a cable 88 extending from the plug 78. The cable 88 is inserted into the crescent groove 46 to keep the plug 78 from being dislodged from the interface port 74. There are multiple crescent grooves 46 on the lower body 16 surface to further aid in selectively orienting the plug 78 for either right or left handed users.
[00053] The PAPR module 10 can be designed for extended use or for one-time use, after which the PAPR module 10 may be discarded, depending on the economics of the prospective use. For an extended use model, the PAPR 10 can utilize components with longer use lives, and may be higher cost components, such as a precious metal brushed motor 24 and rechargeable lithium-ion batteries for the power source 22. For a one-time use model, the PAPR module 10 can utilize components that do not have to be used more than one, and may be lower cost components, such as a less expensive motor 24 with a lower life expectancy or durability and alkaline batteries for the power source 22. The one-time use model can also be made available to the consumer with a filter 58 bonded to the PAPR module 10, and packaged in a sealed package to be opened by the user at the time of need. (段落[00050]ないし[00053])
{当審仮訳:「【0032】
図8を参照すると、本発明によるPAPRモジュール10の第4の実施形態が示されており、ここでは、第1の実施形態による要素と同様の要素が同じ参照符号を付されている。この実施形態では、PAPRモジュール10はケーブル管理機構及びインタフェースポート74を備え、これによって、充電式密閉型バッテリ22を充電することができる。バッテリ22の充電は、インタフェースポート74のソケットにAC充電器76の相補的なプラグ78を挿入する(affix)ことによって達成される。さらに、PAPRモジュール10用の電源を提供するのにAC充電器76をインタフェースポート74のソケット及びACコンセントに取り付けることができる。任意選択的に、外部バッテリパック80を、インタフェースポート74を介してPAPRモジュール10に接続することができる。外部バッテリパック80は、長時間使用、例えば最大12時間以上の稼働時間のために、PAPRモジュール10に電力を供給することができる。外部バッテリパック80がインタフェースポート74にプラグ接続されると、PAPRモジュール10は先にバッテリパック80によって給電され、バッテリパック80が消耗すると、システムが「活線挿抜(hot-swaps:ホットスワップ)」してさらなる時間稼動させ、次に内部バッテリ22によって給電される。警告ライト70はバッテリパック80が消耗に近いことをユーザに知らせ、バッテリパック80の消耗がまさしく生じると、PAPRモジュール10が内部バッテリ22に自動的に切り替わる。バッテリパック80が消耗に近いこと及び「活線挿抜」が行われようとしていることをユーザにさらに知らせるようにアラームが音を発することもできる。AC充電器76及び外部バッテリパック80は2つの別個のコンポーネントとすることができるか、又は組み合わせて1つの多目的コンポーネントにすることができる。
【0033】
さらに、インタフェースポート74がPAPRモジュール10に対し多目的通信ポートとして機能することができる。インタフェースポート74は、例えば所望の状況下で可聴アラームを無効にする入力を与えるように構成することができる。コントローラ42によって格納されたデータを、例えば稼働時間又は警告システム起動の情報を提供するようにインタフェースポート74を介してリモートコンピュータにアップロードすることもできる。
【0034】
ケーブル管理機能がプラグ穴44及び三日月形の溝46によって提供される。インタフェースポート74はプラグ穴44のおよそ中心に位置するため、プラグ78をプラグ穴44に沿って2つの方向のいずれにもインタフェースポート74に挿入することができる。このように、プラグ穴44は右手方向又は左手方向のいずれにも用いることができる。三日月形の溝46は下部体16の周縁の表面上に形成され、プラグ穴44から離間している。三日月形の溝46は、プラグ78から延びるケーブル88を収容及び保持するように形成されている。ケーブル88が三日月形の溝46に挿入されることで、プラグ78がインタフェースポート74から外れないようにする。下部体16の表面上には複数の三日月形の溝46があり、右利きユーザ又は左利きユーザのいずれの場合にもプラグ78の向きを選択的に決める際にさらに役立つようになっている。
【0035】
PAPRモジュール10は、長時間使用又は使い捨て用に設計することができ、使用後、期待使用の経済性に応じて廃棄してもよい。長時間使用モデルの場合、PAPR10は、使用寿命がより長いコンポーネントを用いることができるが、貴金属製のブラシモータ24、及び電源22用に充電式リチウムイオン電池等、コストがより高いコンポーネントとなるであろう。使い捨てモデルの場合、PAPRモジュール10は2回以上使用される必要のないコンポーネントを用いることができるため、寿命又は耐久性がより低く費用のあまりかからないモータ24、及び電源22用にアルカリ電池等、コストがより低いコンポーネントとなるであろう。また、使い捨てモデルは、フィルタ58がPAPRモジュール10に付いており必要時にユーザによって開けられる密封パッケージ内にパッケージされている状態で消費者に利用可能にすることもできる。」}

(キ)「[00058] In both the remote, or belt- worn, configurations shown in FIGS. 10 and 11, a remote switch 112 can be advantageously used to remotely power on/off the PAPR module 10 when it is worn on the back, or other location, as shown in FIG. 8 A. The remote switch 112 plugs into the interface port 74, in similar fashion as described above, and can also be configured to provide the user with information, such as run time or battery life indication, for example. The remote switch 112 can be clipped to the user's belt or other object, could be carried in the user's pocket, or any other suitable means or method. The remote switch 112 beneficially allows the user easy access, without having to remove the belt, to power the PAPR module 10 on or off when it is located in a hard to reach location, such as the user's back.」(段落[00058])
{当審仮訳:「【0040】
図10及び図11に示すリモート型構成又はベルト着用型構成ではいずれも、リモートスイッチ112は有利には、図8Aに示したようにPAPRモジュール10が背中又は他の箇所に着用されている場合にPAPRモジュール10をリモートでオン/オフにするのに用いることができる。リモートスイッチ112は上述したのと同様の仕方でインタフェースポート74にプラグ接続し、例えば稼働時間又はバッテリ寿命表示等の情報をユーザに提供するように構成することもできる。リモートスイッチ112はユーザのベルト又は他の物体にクリップで固定することができ、ユーザのポケットに入れて、又は任意の他の適した手段若しくは方法によって携帯することができる。リモートスイッチ112は有利には、PAPRモジュール10がユーザの背中等の達しにくい箇所に位置している場合にPAPRモジュール10をオン又はオフにするのにベルトを外す必要なくユーザが容易にアクセスすることを可能にする。」}

(ク)「[00059] Referring to FIG. 12, a fourth user configuration is shown where the PAPR module 10 can be used with a wireless transmitter 114 that can be affixed to the interface port 74 for wireless communication to a heads up display module 116 located in the user's facepiece 56 or hood. The heads up display can be mounted in the facepiece 56, and can display operational information, such as run time or battery power level, for example, to be viewed by the user on the inside of the facepiece 56. The heads up wireless transmitter 114 and display module 116 can be used with both a mask mounted PAPR module 10 and a belt or remote mounted PAPR module 10.
[00060] One of the most significant benefits the PAPR module 10 provides is the ability to modularize the respirator system. Depending on several variables, such as the hazard to protect against or the economics of the prospective user, the PAPR module 10 can be used in several different configurations and against a variety of hazards. The same PAPR module 10 can be mounted on the user's facemask or mounted on a plenum belt 98 to advantageously protect against CBRN hazards. This modularity is unique to the disclosed invention.
[00061] To this end, the PAPR module 10 can be made available to the consumer in various kits. These kits can consist of the PAPR module 10 and multiple combinations of the accessory components, such as a hose 82, mask 56, hood, external battery pack 80, belt or harness, wireless heads up display 114, 116, battery charger 76, or filters 58. The various combinations of components within the kits can be offered to the consumer based on typical use configurations and perceived user needs.」(段落[00059]ないし[00061])
{当審仮訳:「【0041】
図12を参照すると、第4のユーザ構成が示されており、ここでは、PAPRモジュール10をワイヤレス送信器114と共に用いることができ、この送信器114は、ユーザの面体56又はフードに配置されるヘッドアップディスプレイモジュール116へのワイヤレス通信のためにインタフェースポート74に挿入することができる。ヘッドアップディスプレイは面体56内に装着され、例えば面体56の内側にユーザによって明示される稼働時間又はバッテリ電力レベル等の動作情報を表示することができる。ヘッドアップワイヤレス送信器114及びディスプレイモジュール116は、マスク装着型PAPRモジュール10及びベルト型又はリモート装着型PAPRモジュール10の双方と使用することができる。
【0042】
PAPRモジュール10が提供する最も有意な利益の1つは、呼吸器システムをモジュール化することができることである。保護すべき危険又は期待使用の経済性等、いくつかの変数に応じて、PAPRモジュール10をいくつかの異なる構成において様々な危険に抗して用いることができる。CBRNの危険から有利に保護するのに同じPAPRモジュール10をユーザのフェイスマスクに装着するか又はプレナムベルト98に装着することができる。このモジュール性は開示の本発明に固有のものである。
【0043】
このため、PAPRモジュール10は様々なキットで消費者に利用可能に作製されることができる。これらのキットは、PAPRモジュール10と、ホース82、マスク56、フード、外部バッテリパック80、ベルト若しくはハーネス、ワイヤレスヘッドアップディスプレイ114、116、バッテリ充電器76又はフィルタ58等の付属部品の複数の組合せとから成ることができる。キット内の部品の様々な組合せは、典型的な使用構成及び把握されたユーザニーズに基づいて消費者に提供することができる。」}

(ケ)「 CLAIMS
What is claimed is:
1. A powered air purifying respirator (PAPR) module comprising: a housing; a fan having a fan inlet and a fan outlet, a motor operably connected to the fan for driving the fan, and a power source mounted within a housing and operably connected to the motor for powering the motor; an inlet opening in the housing in fluid communication with the fan inlet for selectively mounting a filter canister for filtering air that is drawn into the inlet opening; an outlet opening formed in the housing and in fluid communication with the fan outlet; and a releasable mounting connector that is adapted to mount the housing to a facepiece of a respirator mask or to a conduit that is fluidly connected a facepiece inlet opening in a respirator mask; whereby the modular PAPR can be positioned between a filter canister and a respirator mask or between a filter canister and a conduit that is connected to a respirator mask.
2. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 1 wherein the housing is formed by an upper cylindrical portion and a lower cylindrical portion.
3. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 2 wherein the power source is mounted within the upper cylindrical portion of the housing.
4. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-3 wherein the power source comprises at least one battery.
5. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 4 wherein the at least one battery is rechargeable
6. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 4 or 5 wherein there are multiple batteries that are spaced annularly about a central axis of the housing.
7. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim any of claims 1-6 wherein the housing further has a receptacle electrically connected to the motor for powering the motor.
8. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-6 wherein the power source is rechargeable and the housing further has a receptacle electrically connected to the power source for recharging the power source.
9. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-8 and further comprising a controller electrically connected to the motor and the power source for controlling the power to the motor.
10. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-9 and further comprising a scroll mounted between the fan outlet and the housing outlet opening to optimize the air flow to the respirator.
11. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-10 wherein the inlet opening is formed by an internally threaded sleeve.
12. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-11 wherein the outlet opening is formed by an externally threaded sleeve.
13. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-10 wherein the inlet opening is formed by a bayonet connector.
14. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-10 and 13 wherein the outlet opening is formed by a bayonet connector.
15. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-10, 13 and 14 and further including an indicator for informing a user of a condition of the PAPR.
16. The powered air purifying respirator (PAPR) module claim 15 wherein the condition is the life of any battery in the PAPR module.
17. The powered air purifying respirator (PAPR) module claim 15 wherein the condition is low air flow through the PAPR module.
18. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 15-17 wherein the indicator is an audible signal.
19. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 15-17 wherein the indicator is a visual signal.
20. The powered air purifying respirator (PAPR) module claim 19 wherein the visual signal extends around the circumference of the PAPR module for viewing from any angle.
21. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-20 and further comprising a switch having an actuator mounted to an external portion of the housing for controlling the power to the motor, wherein the external portion of the housing on which the switch is mounted is rotatable with respect to other parts of the housing so that the switch actuator can be oriented for operation by a right hand or left hand of the user.
22. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 7 wherein the housing further has wire management channels adjacent the receptacle for receiving a wire that leads to the receptacle from either side of the receptacle.
23. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 9 wherein the controller is adapted to store data that can also be uploaded to a remote computer through an interface port provide information related to conditions of the PAPR or its operation.
24. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 23 wherein the controller is adapted receive inputs from a remote source for control of the PAPR module.
25. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 24 wherein the interface port is wireless.
26. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to claim 24 wherein the interface port includes a receptacle in the housing that is hard wired t the controller.
27. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claim 9-26 the controller is adapted to monitor the speed of the fan and control the motor speed in response to the monitored fan speed to adjust the fan speed for a substantially constant flow rate through the PAPR module.
28. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claim 9-26 the controller is adapted to monitor the internal battery life and to connect the motor to an external power source when the internal battery life falls below a predetermined level.
29. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-28 and further comprising a remote switch spaced from the PAPR module and connected to the power source for enabling or disabling the power source.
30. The powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-29 and further comprising a remote heads up display adapted to be mounted to a mask or other structure that is visible to a user and connected to the PAPR module to indicate a condition of the PAPR.
31. A air purifying kit for use with a mask or hood and comprising: one or more powered air purifying respirator (PAPR) module according to any of claims 1-30; one or more filtration modules that are adapted to mount to the PAPR module and to filter CBN, NBC CBRN, TIM and particulate materials in the atmosphere; optionally, an auxiliary power source with a wire that is adapted to connect to the PAPR and supply power to the motor therein, and optionally, a battery charger, a belt for remote mounting one or more of the PAPR modules to the body of a user a hose kit for connecting the one or more of the remotely mounted PAPR modules to a mask or hood ; and optionally, a heads up display for mounting to a mask or hood of a user. 」(特許請求の範囲の請求項1ないし31)
{当審仮訳:「【請求項1】
電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール(10)であって、
ハウジング(12)と、
前記ハウジングに装着されると共に、ファン入口及びファン出口を有する、ファン(26)と、前記ハウジングに装着されると共に、前記ファン(26)を駆動するように該ファン(26)に動作可能に接続される、モータ(24)と、前記ハウジング(12)内に装着されると共に、前記モータ(24)に給電するように該モータ(24)に動作可能に接続される、電源(22)と、
前記ハウジング(12)内の入口開口部(18)であって、前記ファン入口と流体連通すると共に、該入口開口部(18)に引き込まれる空気を濾過するフィルタキャニスタ(58)を選択的に装着するようになっている、入口開口部(18)と、
前記ハウジング(12)内に形成されると共に、前記ファン出口と流体連通する、出口開口部(20)であって、呼吸器マスクの面体(56)に、又は該呼吸器マスク内の面体入口開口部(96)と流体接続される導管(82)に、前記ハウジング(12)を装着するようになっている取り外し可能な装着コネクタ(60)を有する、出口開口部(20)と、
を備え、
該PAPRモジュール(10)は、前記フィルタキャニスタ(58)と前記呼吸器マスクとの間、又は前記フィルタキャニスタ(58)と前記呼吸器マスクに接続される前記導管(82)との間に位置付けされることができる、電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項2】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記ハウジング(12)は上部円筒部(14)及び下部円筒部(16)によって形成される、請求項1に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項3】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記電源(22)は前記ハウジング(12)の前記上部円筒部(14)内に装着される、請求項2に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項4】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記電源(22)は少なくとも1つのバッテリを含む、請求項3に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項5】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記少なくとも1つのバッテリは充電式である、請求項4に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項6】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記ハウジング(12)の中心軸の周りに環状に離間した複数のバッテリがある、請求項4に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項7】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記ハウジング(12)は、前記モータ(24)に給電するように該モータ(24)に電気的に接続されるコンセント(78)をさらに有する、請求項1に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項8】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記電源(22)は充電式であり、前記ハウジング(12)は、該電源(22)を充電するように該電源(22)に電気的に接続される前記コンセント(78)をさらに有する、請求項7に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項9】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記モータ(24)への電力を制御するように前記モータ(24)及び前記電源(22)に電気的に接続されるコントローラ(42)をさらに備える、請求項8に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項10】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記呼吸器への空気流を最適化するように前記ファン出口と前記ハウジングの前記出口開口部(20)との間に装着されるスクロール(28)をさらに備える、請求項9に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項11】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記入口開口部(18)は雌ねじ付きスリーブ(64)によって形成される、請求項10に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項12】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記出口開口部(20)は雄ねじ付きスリーブ(60)によって形成される、請求項11に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項13】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記入口開口部(18)はバヨネット型コネクタによって形成される、請求項11に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項14】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記出口開口部(20)は前記バヨネット型コネクタによって形成される、請求項13に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項15】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
ユーザに前記PAPR(10)の状態を知らせるインジケータ(70、72)をさらに含む、請求項1に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項16】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記状態は前記PAPRモジュール(10)内の任意のバッテリ(22)の寿命である、請求項15に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項17】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記状態は前記PAPRモジュール(10)を流れる少ない空気流である、請求項15に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項18】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記インジケータ(72)は可聴信号である、請求項15に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項19】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記インジケータ(70)は視覚信号である、請求項15に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項20】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記視覚信号は、任意の角度から見えるように前記PAPRモジュール(10)の周囲に及ぶ、請求項19に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項21】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記モータ(24)への電力を制御するように前記ハウジング(12)の外側部分に装着されるアクチュエータを有するスイッチ(66)をさらに備え、該スイッチ(66)が装着される、前記ハウジング(12)の前記外側部分は、該ハウジング(12)の他の部品に対して回転可能であり、そのため、前記スイッチのアクチュエータの向きを前記ユーザの右手操作又は左手操作用にすることができる、請求項10に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項22】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記ハウジング(12)は、前記コンセント(78)の片側から該コンセント(78)に通じるワイヤ(88)を収容するように該コンセント(78)に隣接したワイヤ管理溝路(46)をさらに有する、請求項7に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項23】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記コントローラ(42)は、前記PAPR(10)の状態又はその動作状態に関する情報を提供するようにインタフェースポート(74)を介してリモートコンピュータにアップロードされることもできるデータを格納するようになっている、請求項9に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項24】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記コントローラ(42)は、前記PAPRモジュール(10)を制御するようにリモートソースから入力を受け取るようになっている、請求項23に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項25】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記インタフェースポート(74)はワイヤレスである、請求項24に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項26】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記インタフェースポート(74)は、前記コントローラ(42)にハードワイヤードされている前記コンセント(78)を前記ハウジング(12)に有する、請求項24に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項27】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記コントローラ(42)は、前記ファン(26)の速度を監視するようになっていると共に、該監視したファン(26)の速度に応じて、前記PAPRモジュール(10)を流れる実質的に一定の流量に対し前記ファン(26)の速度を調整するように前記モータ(24)を制御するようになっている、請求項9に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項28】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記コントローラ(42)は内部バッテリ(22)の寿命を監視するようになっていると共に、該内部バッテリ(22)の寿命が所定のレベルを下回ると前記モータ(24)を外部電源(80)に接続するようになっている、請求項9に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項29】
電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記電源(22、80)を有効又は無効にするように、前記PAPRモジュール(10)から離隔し前記電源(22、80)に接続されるリモートスイッチ(112)をさらに備える、請求項28に記載の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項30】
請求項29に記載の電動式空気浄化呼吸器モジュール(10)であって、
前記PAPR(10)の状態を示すように、マスク(56)又はユーザに見える他の構造部に装着されるようになっていると共に前記PAPRモジュール(10)に接続されるリモートヘッドアップディスプレイ(116)をさらに備える、電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール。
【請求項31】
マスク(56)又はフード(136)と共に使用する空気浄化キットであって、
請求項1に記載の1つ又は複数の電動式空気浄化呼吸器(PAPR)モジュール(10)と、
前記PAPRモジュール(10)に装着されるようになっていると共に、CBN、NBC、CBRN、TIM及び大気中の粒子状物質を濾過するようになっている、1つ又は複数の濾過モジュール(58)と、
任意選択的に、前記PAPR(10)に接続されると共に内部の前記モータ(24)に電力を供給するようになっている、ワイヤ(88)を有する補助的な電源(80)と、
任意選択的に、バッテリ充電器と、
前記PAPRモジュール(10)の1つ又は複数をユーザの身体にリモート(remote)装着するベルト(86)と、
前記リモート装着型PAPRモジュール(10)の1つ又は複数を前記マスク(56)又は前記フード(136)に接続するホース(82)キットと、
任意選択的に、前記ユーザの前記マスク(56)又は前記フード(136)に装着するヘッドアップディスプレイ(116)と、
を備える、空気浄化キット。」}

(2)引用文献1の記載から分かること
上記(1)及び図1ないし図17の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。

(サ)上記(1)(ア)及び図1ないし図17の記載から、引用文献1には、電動式空気浄化呼吸器(powered air purifying respirators:電動ファン付き呼吸用保護具)に関する発明が記載されていることが分かる。

(シ)上記(1)(ア)ないし(ウ)及び図1ないし図17の記載から、引用文献1に記載された電動式空気浄化呼吸器において、濾過された空気が加速され、加圧された空気が呼吸マスクに送られることが分かる。

(ス)上記(1)(ア)ないし(オ)及び図1ないし図17の記載から、引用文献1に記載された電動式空気浄化呼吸器において、PAPRモジュール10は、遠心ファン26と、モータ24と、コントローラ42とを含み、該コントローラ42は、遠心ファン26の速度を監視し、監視したファン速度に応じてモータ24の速度を制御する(当審仮訳の段落【0024】)ことが分かる。

(セ)上記(1)(ク)及び図12の記載から、引用文献1に記載された電動式空気浄化呼吸器において、PAPRモジュール10をワイヤレス送信機114と共に用いることができ、この送信器114は、ユーザの面体56又はフードに配置されるヘッドアップディスプレイモジュール116へのワイヤレス通信のためにインタフェースポート74に挿入することができ、ヘッドアップディスプレイは面体56内に装着され、例えば面体56の内側にユーザによって明示される稼働時間又はバッテリ電力レベル等の動作情報を表示することができることが分かる。また、ワイヤレス送信機114とワイヤレス通信を行うヘッドアップディスプレイモジュール116は、ワイヤレス受信機能を有することが分かる。

(ソ)上記(1)(キ)及び図10及び図11の記載から、引用文献1に記載された電動式空気浄化呼吸器において、PAPRモジュール10にリモートスイッチを接続することができ、PAPRモジュール10をリモートでオン/オフすることができるとともに、稼働時間又はバッテリ寿命表示等の情報をユーザーに提供するように構成することもできることが分かる。この場合には、リモートスイッチは、PAPRモジュール10に情報(オン/オフ)の送信を行うとともに、PAPRモジュール10から情報(稼働時間又はバッテリ寿命等)の受信を行っているといえる。

(タ)上記(1)(ケ)の請求項24及び25の記載から、コントローラ42はリモートソースから入力を受け取ることができ、インターフェースポート74はワイヤレスであるから、コントローラ42は、インターフェースポート74を介して、リモートソースからワイヤレスに入力を受け取ることができると解される。

(チ)上記(1)(ク)の段落[00059]の「The heads up wireless transmitter 114 and display module 116 can be used with both a mask mounted PAPR module 10 and a belt or remote mounted PAPR module 10. (当審仮訳:ヘッドアップワイヤレス送信器114及びディスプレイモジュール116は、マスク装着型PAPRモジュール10及びベルト型又はリモート装着型PAPRモジュール10の双方と使用することができる。)」という記載から、ヘッドアップワイヤレス送信器114及びディスプレイモジュール116と、リモート装着型PAPRモジュール10とを共に使用することが想定されているといえる。

(3)引用発明及び引用技術1
上記(1)及び(2)並びに図1ないし17の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「濾過された空気の強制的な流れを着用者に送給するための電動式空気浄化呼吸器であって、
遠心ファン26と、モータ24と、ワイヤレス送信機112を有するコントローラ42とを含む、PAPRモジュール10構成要素を備える、PAPRモジュール10であって、前記遠心ファン26が、前記コントローラ42の制御下で前記モータ24によって駆動され、前記コントローラ42が、前記ワイヤレス送信機112を介して情報を送信するように構成されている、PAPRモジュール10と、
前記PAPRモジュール10構成要素に電力を提供する電源22と、
前記PAPRモジュール10及び/又は前記PAPRモジュール10構成要素の現在の動作状態を表示するように適合された、少なくとも1つのディスプレイモジュール116と、を備え、
前記ディスプレイモジュール116が、前記PAPRモジュール10から遠隔にあり、前記ワイヤレス送信機112及びディスプレイモジュール116が、無線通信し、所定の範囲内において通信するように構成され、
前記ワイヤレス送信機112及びディスプレイモジュール116がネットワークとして配置される、
電動式空気浄化呼吸器。」

また、上記(1)及び(2)並びに図1ないし17の記載から、引用文献1には、次の技術(以下、「引用技術1」という。)が記載されているといえる。

「濾過された空気の強制的な流れを着用者に送給するための電動式空気浄化呼吸器において、
PAPRモジュール10のインターフェースポート74に、情報の送信と受信を行うリモートスイッチ112を接続する技術。」

2-1-2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表2000-507121号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「呼吸装置の差動性を調査するための方法及びシステム」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【特許請求の範囲】
1. 呼吸装置の正しい機能を確認し表示する方法において、呼吸装置が呼吸に適しているガスを使用者に供給する手段、少なくとも一つの電気部品、少なくとも一つの電気部品に接続されたプロセッサー、及びプロセッサーに接続された少なくとも一つの状態表示器を含み、次の工程を含む方法:
-検査信号をプロセッサーで生成する;
-少なくとも一つの電気部品へ検査信号を送る;
-検査信号に対する反応を少なくとも一つの電気部品で生成する;
-プロセッサーに反応を伝達する;
-少なくとも一つの電気部品の正しい機能に対応する予め決められた反応を少なくとも一つの電気部品の状態を決定するためのプロセッサーで比較する;
-少なくとも一つの電気部品の正しい又は誤った機能に対応する出力信号をプロセッサーで生成する;
-状態表示器に出力信号を伝達する;及び
-少なくとも一つの電気部品の正しい又は誤った機能を表示するために状態信号を状態表示器で生成する。
2. 次の工程のうち少なくとも一つを実行できない場合に少なくとも一つの電気部品の誤った機能の表示を行うことを特徴とする請求の範囲1に記載の方法:
-検査信号をプロセッサーで生成する;
-少なくとも一つの電気部品へ検査信号を送る;
-検査信号に対する反応を少なくとも一つの電気部品で生成する;
-プロセッサーに反応を伝達する;
-少なくとも一つの電気部品の正しい機能に対応する予め決められた反応を少なくとも一つの電気部品の状態を決定するためのプロセッサーで比較する;
-少なくとも一つの電気部品の正しい又は誤った機能に対応する出力信号をプロセッサーで生成する;
-状態表示器に出力信号を伝達する。
3. 前記確認又は表示が呼吸装置中の電気部分の起動によって開始されることを特徴とする請求の範囲1に記載の方法。
4. 前記電気部分が起動している時はいつでも前記確認又は表示が断続的に実行されることを特徴とする請求の範囲3に記載の方法。
5. 前記確認又は表示が少なくとも一秒毎に実行されることを特徴とする請求の範囲4に記載の方法。
6. 前記状態表示が可視表示であることを特徴とする請求の範囲1?5のいずれか一つに記載の方法。
7. 前記状態表示が可聴表示であることを特徴とする請求の範囲1?5のいずれか一つに記載の方法。
8. 前記状態表示が機械的表示、例えば振動であることを特徴とする請求の範囲1?5のいずれか一つに記載の方法。
9.前記状態表示が離れた位置にある制御ステーションの受信機へ伝達されることを特徴とする請求の範囲1?5のいずれか一つに記載の方法。
10.少なくとも一つの電気ベース部品(10,14,17,19)を含む呼吸装置中の少なくとも一つの電気ベース部品の作動性を調査するためのシステムであって、それが
-前記呼吸装置(16)が起動している時に検査信号を生成して送り、状態信号を受け取るために少なくとも一つの前記電気ベース部品(10,14,17,19)と情報伝達できるように連結された処理手段(7);及び
-前記の少なくとも一つの電気ベースの部品(10,14,17,19)の作動性の表示を与えるために前記処理手段(7)と情報伝達できるように連結された表示手段(11)を含み:
前記処理手段(7)は少なくとも一つの電気ベース(10,14,17,19)部品がそれぞれ正しく機能している又はしていないという前記表示を与えるために前記表示手段(11)を制御することを特徴とするシステム。
11.前記システムが前記処理手段(7)と情報伝達できるように連結された送信機(21)及び受信ステーション(22)を含み、前記送信機(21)は受信ステーションに表示を伝達することを特徴とする請求の範囲10に記載のシステム。
12.表示手段(11)が可視表示手段であることを特徴とする請求の範囲10又は11に記載のシステム。
13.表示手段(11)が可聴表示手段であることを特徴とする請求の範囲10又は11に記載のシステム。
14.表示手段(11)が機械的表示手段であることを特徴とする請求の範囲10又は11に記載のシステム。」(【特許請求の範囲】の請求項1ないし14)

(イ)「本発明は、例えばダイバー、消防士又は危険材料を取り扱う人によって使用される呼吸装置に関する。特に、本発明は本発明の配線された実施例の電流又は光を伝導するコンジットを含む、電気、電子、電気機械又は光電子部品が呼吸装置中で正しく作動しているかどうかを調査し、部品のどれかが機能不全の場合に欠陥警告を表示するための方法及びシステムに関する。」(第5ページ第4ないし8行)

(ウ)「従って本発明の目的は呼吸装置中の電気ベース部品の作動性を調査するための手段を提供することである。
本発明の他の目的は少なくとも一つの電気ベース部品が機能不全の場合に欠陥警告表示を与えることである。
更に本発明の他の目的は、使用者によるいかなる行動も要求されずにすべての電気ベース部品の動作調査を素早く、自動的に開始することである。」(第6ページ第13ないし18行)

(エ)「これらの及び他の目的、特徴及び利点は呼吸装置中の少なくとも一つの電気ベース部品の正しい作動性を調査するためのシステムによって達成される。主として呼吸装置は出口開口に弁が付いた高圧ガス容器、減圧調節器経由で高圧ガス容器に接続された呼吸マスク、及び幾つかの電気ベース部品を含む。本発明におけるシステムは表示手段及び処理手段を含む。処理手段は情報伝達ができるように少なくとも一つの電気ベース部品と表示手段に連結される。処理手段を含む呼吸装置が、例えば弁の開口上のスイッチ又は他の手段に影響を与えることによって起動される時、処理手段は少なくとも一つの電気ベース部品から状態信号を受け取る。もし状態信号が受け取られなければ、表示手段は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという可視警告表示を与えるために処理手段によって制御される。
本発明の一つの実施例において、表示手段は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという可視警告表示を与えることができる。
本発明の他の実施例において、表示手段は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという可視警告表示を与えるために動かない又は点滅する(即ち一時的についたり消えたりする)。
本発明の更なる他の実施例において、表示手段は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという可聴警告表示を与えることができる。
更に本発明の他の実施例において、表示手段は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという機械的警告表示(例えば振動)を与えることができる。」(第6ページ第20行ないし第7ページ第12行)

(オ)「図によると、呼吸装置16は通常呼吸ガスが入ったガスシリンダー又はガス容器1であるガス貯蔵器を含む。呼吸ガスは、容器が満タンの時、通常300バールの圧力下で少なくとも20%容量の酸素及び不活性ガス(例えば窒素又はヘリウムなど)を典型的に含む酸素含有ガス又は空気を含んでもよい。ガス容器1は弁2が装着される出口開口を含む。ガス容器1は弁2を通じて第1圧力調節器4に接続される。ライン3は第1圧力調節器4から呼吸マスク6のすぐ上流に位置する第2圧力調節器5へ延びる。
第1圧力調節器4は第1圧力調節器4の下流のライン3においてガス容器内を典型的には約7バールまで減圧するために調節される。第2圧力調節器5は呼吸マスク6へ渡すガスの圧力を約25mm水柱の圧力、つまり呼吸マスク6での使用に適した圧力まで更に減らす。着用者が呼吸するにつれ、マスク内の圧力が呼吸段階中にこの弁の周りで振動し、これにより絶えず高圧を維持する。第2圧力調節器5は通常、マスク着用前に閉められ、着用者が初めて吸い込む時に生じる圧力の減少によって開けられる条件制御された調節器である。マスク6内の相対圧力が予め決められた値より下がる時、第2圧力調節器5が開けられる。
更に、図は位置12、即ち弁2と第1圧力調節器4の間で圧力に反応する圧力感知器10を示す。圧力感知器10は位置12において圧力を測定し、ライン8経由でマイクロプロセッサー7に接続される。ライン9はマイクロプロセッサー7から表示器11へ延びる。この具体例において表示器11は呼吸マスク6内に取り付けられ、発光ダイオード(LED)又は他の光学装置などの少なくとも一つの表示装置を含む。好ましくは、少なくとも一つの表示装置は動作検査において調査される各機能のために与えられる。使用者は呼吸マスク6に与えられた表示器11を、好ましくはマスク6が着用された時及び外された時の両方において見ることができ、使用者の近くの他の人も見ることができる。
第2圧力調節器5とマスク6を接続するガス管は第2圧力調節器5によって減らされたガス圧力を監視する低圧感知器19を含む。低圧感知器19はライン20経由でマイクロプロセッサー7に接続される。
呼吸マスク6は、好ましくはライン15経由でマイクロプロセッサー7に接続された差圧計量器14も与えられる。測定された差圧はマスク6を着けた使用者又は使用者の近くの他の人のいずれかが見ることができる表示器11によって表示される。
より複雑なコンピューターシステムであってもかまわないマイクロプロセッサー7はライン18経由で個人警報安全システム(Personal Alert Safety System)(PASS)ユニット17に接続される。起動される時、PASSユニット17は呼吸装置16を着用した使用者の動きを表示する。もしPASSユニット17が予め決められた時間間隔中に使用者によるいずれの動きも感知しないならば、PASSユニット17は使用者が動かないこと及び遭難したかもしれないことを表示するための警告信号を与える。
ライン8,9,15,18及び20はマイクロプロセッサー7が圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれと情報伝達するために、公知のワイヤレス情報伝達手段を使用してもかまわない場合には不要である。
呼吸装置16中の電気ベース部品の動作を調査するために、好ましくはマイクロプロセッサー7に位置するスイッチが圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19などの他の電気ベース部品だけでなく呼吸装置16及びマイクロプロセッサー7も起動する。電源が入るとすぐに、上述の各電気ベース部品はそれぞれのライン経由でマイクロプロセッサー7へ信号を送る。この信号は対応する電気ベース部品の電源が入ったこと及び電気ベース部品が正しく機能していることを表示する。又この信号は圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれとマイクロプロセッサー7を接続するライン8,9,15,18及び20などの電流伝導コンジットにおいて故障がないことを確認する。この実施例において電気ベース部品の動作の調査を装置16の使用中のみならず使用前にも行うことができる。
スイッチによって呼吸装置16を起動しないで、ガス圧力を開始し高圧ガス容器1からガスを流し始めるために弁2を開けることによって前記装置を起動することができる。これは圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19などの他の電気ベース部品だけでなく呼吸装置16及びマイクロプロセッサー7も起動する。
マイクロプロセッサー7は電気ベース部品が正しく機能していることを確認する信号を受け取るとすぐに、信号を表示器11に送る。表示器11は、好ましくはすべての電気ベース部品が正しく機能しているという可視表示を与えるために個々のLEDをつける。すでに述べたように、好ましくは各LEDは一つの電気ベース部品の動作状態に対応する。
もしマイクロプロセッサー7が電気ベース部品からの信号を受け取らないならば、表示器11が動かない、即ちつかない。或いは、もし信号が受け取られないならば、表示器11が一時的についたり消えたりしてもよい、即ち点滅してもよい。例えば、もし電源が入った後すぐに圧力感知器10がマイクロプロセッサー7へ信号を送らないならば、マイクロプロセッサー7が動かない、即ち表示器11をつけたり点滅したりしない。これは機能不全が少なくとも一つの電気ベース部品又は電流伝導コンジットで生じたことを使用者に知らせる。
或いは、本発明の他の実施例において、もし電気ベース部品が正しく機能していることを確認する信号をマイクロプロセッサー7が受け取らないならば、表示器11が作動される。これは少なくとも一つの電気ベース部品又は電流伝導コンジットが正しく機能してないという可視警告表示を与える。
本発明の他の実施例において、電源が入った後マイクロプロセッサー7は呼吸装置16の起動後、電気ベース部品のそれぞれに検査信号を送る。検査信号が、例えば圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19によって個々に受け取られた後、状態信号がこれら電気ベース部品のそれぞれからマイクロプロセッサー7へ送られる。もし状態信号が電気ベース部品のどれからも受け取られないならば、表示器11、好ましくは一つのLEDが動かない、即ちついたり点滅したりしない。これは少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないという可視警告表示を与える。或いは、もしなくとも一つの電気ベース部品が正しく機能してないということを可視的に表示するための状態信号が少なくとも一つの電気ベース部品から受け取られないならば、表示器11、好ましくは一つのLEDがつかなくてもよい。
これに対して、もしマイクロプロセッサー7が状態信号を受け取るならば、信号はディジタル表現に変えられる。状態信号のディジタル表現は電気ベース部品の正しい動作に対応する予め決められた記憶されたしきい値表現と比較される。もし状態信号のディジタル表現が予め決められた記憶されたしきい値表現と異なるならば、表示器11、好ましくは一つのLEDが動かない、即ち点滅したり、ついたりしない。或いは、もし状態信号のディジタル表現が予め決められた記憶されたしきい値表現と異なるならば、表示器11、好ましくは一つのLEDが動作されてもよい、即ちついてもよい。両方の選択肢は少なくとも一つの電気ベース部品が正しく機能していないという可視警告表示を与える。
本発明の他の態様はマイクロプロセッサー7が機能不全であるかどうかを表示する表示器11中のLEDを含む。もしマイクロプロセッサー7が機能しないならば、表示器11においてマイクロプロセッサー7の動作状態に対応するLEDがつくだろう。或いは、この実施例において、上述の例のようにもしマイクロプロセッサー7が機能しないならば、LEDが動かなくても、点滅しなくてもよい。
本発明は呼吸装置16に取り付けられた伝達装置21も含む。送信機21は離れた位置にある制御ステーション22の受信機へ少なくとも一つの信号を送るために制御される。信号は呼吸装置16中の電気ベース部品の動作状態の状況(即ち本発明の上述に従って電気ベース部品が調査された後、電気ベース部品が正しく機能しているか)を制御ステーション22へ知らせる。」(第7ページ第19行ないし第11ページ第12行)

(2)引用文献2の記載から分かること
上記(1)(ア)ないし(オ)及び図1の記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていることが分かる。

(カ)上記(1)(ア)ないし(オ)及び図1の記載から、引用文献2には、呼吸装置16中の電気部品の状態を検査し、検査信号を送り、表示する装置が記載されていることが分かる。

(キ)上記(1)(オ)の「ライン8,9,15,18及び20はマイクロプロセッサー7が圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれと情報伝達するために、公知のワイヤレス情報伝達手段を使用してもかまわない場合には不要である。」という記載から、マイクロプロセッサー7が、圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれと情報伝達するために、公知のワイヤレス情報伝達手段を使用することができることが分かる。

(3)引用技術2
上記(1)及び(2)並びに図1の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用技術2」という。)が記載されているといえる。

「呼吸装置中の電気部品の状態を検査し、検査信号を送り、表示する装置において、
マイクロプロセッサー7が、圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれと情報伝達するために、公知のワイヤレス情報伝達手段を使用する技術。」

2-1-3 引用文献3
(1)引用文献3の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表平6-504245号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「ポータブル呼吸装置用監視装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「請求の範囲
1.呼吸装置の1つまたは複数の圧力容器内の圧力を圧力センサを用いて検出しかつ圧力を表す電気的な圧力信号を送出する圧力測定装置と、
前記圧力測定装置から送出された圧力信号を受取りかつこれに相応する送信信号を送出する送信装置と、
前記送信装置から放射される送信信号を受信する受信装置と、
前記受信装置に結合されかつデータを、少なくとも部分的に、前記受信装置から受信された送信信号から導出される数または記号として指示する指示装置とを備えている、ポータブル呼吸装置用監視装置において、
前記送信装置は、前記送信信号が間隔をおいて送出されるように作用する制御装置を有しており、かつ
前記送信装置は、個々の送信装置に対して特徴的でありかつこれを一義的に識別する識別信号を発生する信号発生装置を有しており、かつ
前記制御装置は、前記識別信号がそれぞれの送信インターバル内で少なくとも1回送信されるように作用し、かつ
前記受信装置は、所属の個々の送信装置に対応している識別比較信号が記憶されるメモリを有しており、かつ
前記受信装置によって検出された信号の転送ないし後続処理は、前記受信装置によって受信されかつ該受信装置に記憶された前記識別比較信号が一致しているときにのみ行われる
ことを特徴とする監視装置。」(特許請求の範囲の請求項1)

(イ)「本発明の監視装置は、送信装置とこの送信装置とは切り放されている受信装置とから成っている。この構成は、通例指示装置に直接組み合わせた受信装置を、利用者の運動区間を、例えばホース装置によって不必要にも制限することなくかつ指示装置の読み取りのために特別な操作を必要とすることなく、利用者の視野内に配置することができるという利点を有している。
従って受信装置を任意の方法で利用者は携帯することができる。受信装置は利用者の手首に直接配置されていると有利である。このことは顔面マスクに配置する場合に比べて、利用者が指示の読み取りの際の適応調節に困難を有しないという利点を有している。更には利用者は、ともすれば利用者を惑わせたり、気を反らせたりすることになりがちである、指示計器を常時視野におく必要もない、利用者にとって手首への配置は、利用者が例えばなにかある仕事を手で行うときにも相応の指示データを簡単に読み取することが可能である。
(中略)
無線伝送の際の過小評価すべきではない危険は、相応の職務遂行またはダイビング活動が通例、単独では行われず、複数の人員が職務遂行またはダイビング活動を一緒に行うということからも生じる。時として救助編隊またはダイビングチーム内でこの種のグループのメンバー全員に対して同一の機器が使用されるので、ある受信装置がそばにいる人員の送信装置の信号を受信し、従って利用者に誤った値を指示する危険性は非常に高い。
グループ内で複数の監視装置の利用する問題点を、それぞれの機器に固有の周波数を割り当て、これらの周波数を相応に調節された受信装置によってしか受信することができないようにすることによって解決することができる。しかしこの構成には2、3の欠点がある。異なった周波数を有する比較的多くの個数のこの形式の監視装置を利用できるようにしようとすれば、個々の機器にとって使用可能な周波数帯域は非常に狭く選定しなければならない、しかしこのために受信機側において、複数の受信された周波数からそれぞれの受信機器に対して選定された周波数を確実に取り出すために比較的高い技術コストが要求される。これにより受信機器は繁雑になり、かつ障害が生じる確率は高くなる。
受信される信号の強度が距離とともに低減されるという事実も、このような場合に機器の一義的な対応を保証するために十分ではない。
一方において、ある程度残る受信強度は、送信機および受信機が相互に比較的短い距離において配置されておりかつ常時相互に同じ空間関係を有しているときにしか到達することができない、しかしこのことは、送信機が圧力容器に取り付けられかつ受信機が利用者の頭または例えば顔面マスクの領域に取り付けられている場合にはそれだけでそうはならない。この場合、空間的な対応、従って受信強度を変化するために、首を回すだけで十分である。送信機が圧力容器に取り付けられかつ受信機が利用者の手首に取り付けられているならば、利用者の運動に依存して、受信強度の著しい変動を計算すべきである。その上、例えばダイビングの際の気泡のような別の障害が受信強度に付加的に影響することがある。
更に、例えば対象または人員の共同救助の際に様々な利用者の距離が非常に短くなることがあり、その場合距離により得られる強度差はもはや役割を果さない。
このことは例えば、ダイバーが、苦境に陥っている仲間を救助しようとするとき当て嵌まる。
本発明の監視装置はこの問題点を非常に信頼性をもって解決する。識別信号の使用によって、それぞれの受信機器は常に、対応する送信機器から放射される信号のみを受信しかつ引き続いて処理することが保証される。これにより別の機器の信号を受信する可能性が妨げられるだけでない、予め固定的に定められた識別パターンに基づいて、例えば任意の別の送信機からの外部障害から生じる信号が引き続き処理されることも妨げられる。このことは、信号が、それがそれぞれの識別パターンに正確に相応するときにのみ引き続き処理されるようにすることによって実現される。別の、任意の送信機からの障害信号が相応する識別パターンを含んでいることは極めて起こりそうもない。
有利な実施例によれば、データおよび識別信号の伝送はデジタルに行われる。これにより、データ伝送のより大きな信頼性が得られ、かつ更に、この信号を相応に大きな数の個々のビットから組み合わせることによって多数の識別パターンを選択することが可能である。」(第5ページ左下欄第21行ないし第6ページ左下欄第10行)

(2)引用技術3
上記(1)及び図1ないし8の記載から、引用文献3には、次の技術(以下、「引用技術3」という。)が記載されているといえる。

「送信装置と受信装置とを備えるポータブル呼吸装置用監視装置において、送信装置から受信装置に信号を送信する際に、固有の周波数を割り当てたり、識別信号を使用することにより、別の送信機からの信号による危険を防止する技術。」

2-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「電動式空気浄化呼吸器」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「電動空気浄化式呼吸用保護具」に相当し、以下同様に、「遠心ファン26」は「ファン」に、「モータ24」は「電動モータ」に、「コントローラ42」は「電子制御ユニット」に、「PAPR構成要素」は「ターボユニット構成要素」に、「PAPRモジュール10」は「ターボユニット」に、「電源22」は「ターボユニット電源」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「ワイヤレス送信機114」は、「無線送信機」という限りにおいて、本願補正発明における「無線電子制御送受信機」及び「電子制御送受信機」に相当する。
また、引用発明における「ディスプレイモジュール116」は、本願補正発明における「ターボ状態表示器ユニット」に相当するとともに、無線受信機能を有するから、「無線受信機」という限りにおいて、本願補正発明における「無線ターボ状態送受信機」にも相当する。
また、引用発明における「ディスプレイモジュール116が、PAPRモジュール10から遠隔にあり」は、本願補正発明における「ターボ遠隔制御ユニット及びターボ状態表示器ユニットのうちの少なくとも1つが、ターボユニットから遠隔にあり」に包含される。
また、引用発明における「ワイヤレス送信機112及びディスプレイモジュール116が、無線通信し」は、「無線送信機及び無線受信機が、無線通信し」という限りにおいて、本願補正発明における「電子制御送受信機、ターボ遠隔制御送受信機、及びターボ状態送受信機が、互いに無線通信し」に相当する。
また、引用発明における「所定の範囲内」は、「所定の範囲内」という限りにおいて、本願補正発明における「75メートル未満の範囲内」に相当する。
また、引用発明における「ネットワーク」は、「ネットワーク」という限りにおいて、本願補正発明における「閉ループネットワーク」に相当する。

以上から、本願補正発明と引用発明は、
「濾過された空気の強制的な流れを着用者に送給するための電動空気浄化式呼吸用保護具であって、
ファンと、電気モータと、無線電子制御送信機を有する電子制御ユニットとを含む、ターボユニット構成要素を備える、ターボユニットであって、前記ファンが、前記電子制御ユニットの制御下で前記電気モータによって駆動され、前記電子制御ユニットが、前記無線送信機を介して情報を送信するように構成されている、ターボユニットと、
前記ターボユニット構成要素に電力を提供するターボユニット電源と、
無線ターボ遠隔制御送信機を有するターボ遠隔制御ユニットと、
無線送信機を有する、前記ターボユニット又は前記ターボユニット構成要素の現在の動作状態を表示するように適合された、少なくとも1つのターボ状態表示器ユニットと、を備え、
前記ターボ遠隔制御ユニット及び前記ターボ状態表示器ユニットのうちの少なくとも1つが、前記ターボユニットから遠隔にあり、前記無線送信機及び前記無線受信機が、互いに無線通信し、所定の範囲内において通信するように構成され、
前記無線送信機、及び前記無線受信機が、ネットワークとして配置される、電動空気浄化式呼吸用保護具。」
である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

〈相違点〉
(1)「無線送信機」及び「無線受信機」に関して、本願補正発明においては、ターボユニット構成要素である電子制御ユニットが「無線電子制御送受信機」を有し、ターボ状態表示ユニットが「無線ターボ状態送受信機」を有するのに対して、引用発明においては、PAPRモジュール10のコントローラ42が「ワイヤレス送信機114」を有し、ディスプレイモジュール116が無線受信機能を有するものの、それぞれが「無線送受信機」を有するか否か明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

(2)「無線ターボ遠隔制御送受信機」に関して、本願補正発明においては、「無線ターボ遠隔制御送受信機を有するターボ遠隔制御ユニット」を備えるのに対し、引用発明においては、「無線ターボ遠隔制御送受信機を有するターボ遠隔制御ユニット」を備えるか否か明らかでない点(以下、「相違点2」という。)。

(3)「無線送信機及び無線受信機が、無線通信し、所定の範囲内において通信するように構成され」に関して、本願補正発明においては、「電子制御送受信機、ターボ遠隔制御送受信機、及びターボ状態送受信機が、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され」るのに対し、引用発明においては、「ワイヤレス送信機112及びディスプレイモジュール116が、無線通信し、所定の範囲内において通信するように構成され」るものの、「電子制御送受信機、ターボ遠隔制御送受信機、及びターボ状態送受信機が、互いに無線通信し、75メートル未満の範囲内において通信するように構成され」るか否か明らかでない点(以下、「相違点3」という。)。

(4)「無線送信機、及び無線受信機が、ネットワークとして配置される」に関して、本願補正発明においては、「電子制御送受信機、ターボ遠隔制御送受信機、及びターボ状態送受信機が、閉ループネットワークとして配置される」のに対し、引用発明においては、「ワイヤレス送信機112及びディスプレイモジュール116が、ネットワークとして配置される」ものの、「電子制御送受信機、ターボ遠隔制御送受信機、及びターボ状態送受信機が、閉ループネットワークとして配置される」か否か明らかでない点(以下、「相違点4」という。)。

2-3 判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用発明においては、PAPRモジュール10のコントローラ42がインターフェースポート74及びワイヤレス送信機114を介して、ディスプレイモジュール116に信号を送信しているが、無線通信の技術分野においては、例えば、エラーチェック等の機能のため、受信機から送信機に対して、要求信号を通信する機能を備えていることは本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。例えば、国際公開第2009/096145号(段落[0002]等の記載を参照。)及び国際公開第2009/054856号(段落[0005]等の記載を参照。)等を参照。)である。
したがって、引用文献1に記載の「ワイヤレス送信機114」において、受信機からの信号を受信できる機能を備えることは、当業者における周知技術を適用したものにすぎない。
また、引用文献1には、リモートスイッチ112を備えた実施例(上記2-1-1(1)(カ)、(キ)及び図8を参照。)において、リモートスイッチ112とインターフェースポート74との間で信号を送受信することも記載され(上記2-1-1(2)(ソ)及び「引用技術1」を参照。)、さらに、リモートソースからワイヤレスで入力を受け取ることも記載されている(上記2-1-1(2)(タ)を参照。)から、リモートスイッチ112とインターフェースポート74との間でワイヤレスで送受信することも当業者にとって自明といえる。
さらに、上記引用技術2は、
「呼吸装置中の電気部品の状態を検査し、検査信号を送り、表示する装置において、
マイクロプロセッサー7が、圧力感知器10、表示器11、差圧計量器14、PASSユニット17、及び低圧感知器19のそれぞれと情報伝達するために、公知のワイヤレス情報伝達手段を使用する技術。」
というものであるから、マイクロプロセッサー7と、表示器11及び各種センサとの間でワイヤレス情報伝達手段を使用するものである。
これらのことから、引用発明において、周知技術1並びに引用技術1及び2を適用することにより、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

(2)相違点2について
上記(1)に記載したように、引用文献1にはリモートスイッチ112を備えた実施例(上記2-1-1(1)(カ)、(キ)及び図8を参照。)において、リモートスイッチ112とインターフェースポート74との間で信号を送受信することも記載され(上記「引用技術1」を参照)、さらに、リモートソースからワイヤレスで入力を受け取ることも記載されているから、リモートスイッチ112とインターフェースポート74との間でワイヤレスで送受信することも当業者にとって自明といえる。
また、引用文献1の翻訳文の段落【0033】の「インタフェースポート74がPAPRモジュール10に対し多目的通信ポートとして機能することができる。」という記載及び段落【0041】の「ヘッドアップワイヤレス送信器114及びディスプレイモジュール116は、マスク装着型PAPRモジュール10及びベルト型又はリモート装着型PAPRモジュール10の双方と使用することができる。」という記載を踏まえれば、インターフェースポート74は多目的通信ポートであり、複数の機能を併用することも想定されているといえる。
してみれば、引用発明において、周知技術1並びに引用技術1及び2を適用することにより、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

(3)相違点3について
上記(1)に記載したように、引用文献1には、インターフェースポート74がワイヤレス送信器114を介してヘッドアップディスプレイモジュール116と互いに通信すること、及びインターフェースポート74がリモートスイッチ112と互いに通信することも記載されている。
また、上記引用技術2は、マイクロプロセッサー7と、各部品の間で互いにワイヤレス情報伝達手段を使用するものである。
また、無線通信の範囲を75メートル未満の範囲内とすることは、所定の仕様や規格に従って当業者が必要に応じ設定することであり、また、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。例えば、特開2005-354350号公報(段落【0072】等の記載を参照。)及び特開2007-293705号公報(段落【0033】等の記載を参照。)等を参照。)でもある。
してみれば、引用発明において、引用技術1及び2並びに周知技術1及び2を適用することにより、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

(4)相違点4について
ポータブル呼吸装置の技術分野において、無線通信を使用する際に他の通信機からの危険を防止するために、閉ループネットワークを構成することは、例えば上記引用技術3に示されるように、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術3」という。)である。
してみれば、引用発明において、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3を適用することにより、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

(3)まとめ
そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明1、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明1、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、平成27年10月13日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成27年4月3日付け手続き補正書により補正された特許請求の範囲、平成24年11月13日に翻訳文が提出された明細書及び国際段階の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)(ア)【請求項1】のとおりのものである。

2 引用発明1及び2
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2009/067583号)、引用発明1及び引用技術1は、前記第2[理由]2-1 2-1-1に記載したとおりである。
また、本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特表2000-507121号公報)及び引用技術2は、前記第2[理由]2-1 2-1-2に記載したとおりである。
また、本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特表平6-504245号公報)及び引用技術3は、前記第2[理由]2-1 2-1-3に記載したとおりである。

3 対比・判断
前記第2[理由]1(2)で検討したとおり、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2[理由]2-2及び2-3に記載したとおり、引用発明1、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用技術1及び2並びに周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-23 
結審通知日 2016-06-28 
審決日 2016-07-11 
出願番号 特願2013-500067(P2013-500067)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A62B)
P 1 8・ 121- Z (A62B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯島 尚郎杉▲崎▼ 覚  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 梶本 直樹
金澤 俊郎
発明の名称 電動空気浄化式呼吸用保護具  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 池田 正人  
代理人 城戸 博兒  
代理人 清水 義憲  
代理人 柳 康樹  

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