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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1322192 |
審判番号 | 不服2016-5371 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-12 |
確定日 | 2016-12-21 |
事件の表示 | 特願2015- 10908「TVWS(TVWhiteSpace)で存在するネットワークをスキャニングするための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 80272、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成22年(2010年)10月12日(パリ条約による優先権主張 2009年10月21日(KR)大韓民国、2009年10月21日(KR)大韓民国、2010年3月12日(US)アメリカ合衆国、2010年4月7日(US)アメリカ合衆国、2010年7月7日(US)アメリカ合衆国、2010年7月9日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2012-535112号の一部を新たに特許出願したものであっ て、手続の概要は以下のとおりである。 平成27年 1月23日 特許出願 平成27年11月11日 拒絶理由通知 平成28年 1月13日 意見書、手続補正書 平成28年 1月26日 拒絶査定 平成28年 4月12日 審判請求、手続補正書 平成28年 5月26日 前置報告 第2.平成28年4月12日付けの手続補正 平成28年4月12日付けの手続補正は、特許請求の範囲の記載を以下のように補正するものである。 「 【請求項1】 通信システムにおいて第1のステーションで存在するネットワークをス キャニングする方法であって、前記方法は、 第1のステーションにより、第2のステーションから、利用可能なチャンネルのための情報を含むホワイトスペースマップ(WSM)を受信することと、 前記第1のステーションにより、前記受信されたWSM内で識別される前記利用可能なチャンネル上の前記存在するネットワークをスキャニングすることと を含み、 前記存在するネットワークをスキャニングすることは、第1の方式または第2の方式のうちの1つ以上により実行され、 前記第1の方式は、 前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中の特定チャンネル上で基本的サービスセット(BSS)のAPステーションからのビーコンフレームをリスニングすることを含み、 前記第2の方式は、 前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中のいずれかのチャンネル上で前記BSSのAPステーションにプローブ要請フレームを伝送することと、 前記プローブ要請フレームに応答したプローブ応答フレームを受信することと を含む、方法。 【請求項2】 前記プローブ要請フレームは、前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネル以外のチャンネル上では伝送されない、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記第1のステーションは、依存的ステーションであり、前記第2のス テーションは、 活性化ステーションであり、 前記依存的ステーションは、前記依存的ステーションの動作を活性化する前記活性化ステーションから前記利用可能なチャンネルのための前記情報を受信するステーションである、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記第1のステーションは、前記WSMによって識別される前記利用可能なチャンネル内のみで動作する、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記WSMは、ビーコンフレーム、プローブ応答フレーム、及びホワイトスペースマップ放送フレームのうちの1つを通して受信される、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記第1のステーションにおいて前記第2のステーションからアップデートされたWSMを受信することをさらに含み、 前記第1のステーションは、前記アップデートされたWSM内で識別される前記利用可能なチャンネル上で前記存在するネットワークをスキャニングする、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 第1のステーションとして通信システムにおいて存在するネットワークをスキャニングする装置であって、前記装置は、 第2のステーションから、利用可能なチャンネルのための情報を含むホワイトスペースマップ(WSM)を受信するように構成されている送受信部 と、 前記受信されたWSM内で識別される前記利用可能なチャンネル上の前記存在するネットワークをスキャニングすることを制御するように構成されているプロセッサと を含み、 前記プロセッサは、第1の方式または第2の方式のうちの1つ以上により前記スキャニングすることを実行するように前記送受信部を制御するように構成されており、 前記プロセッサは、前記第1の方式に従い、前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中の特定チャンネル上で基本的 サービスセット(BSS)のAPステーションからのビーコンフレームをリスニングするように前記送受信部を制御し、 前記プロセッサは、前記第2の方式に従い、前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中のいずれかのチャンネル上で前記BSSのAPステーションにプローブ要請フレームを伝送することと、前記プローブ要請フレームに応答したプローブ応答フレームを受信することとを実行するように前記送受信部を制御する、装置。 【請求項8】 前記プロセッサは、前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネル以外のチャンネル上では前記プローブ要請フレームを伝送しないように前記送受信部を制御する、請求項7に記載の装置。 【請求項9】 前記装置は、依存的ステーションとして動作するように構成されており、前記第2のステーションは、活性化ステーションであり、 前記依存的ステーションは、前記依存的ステーションの動作を活性化する前記活性化ステーションから前記利用可能なチャンネルのための前記情報を受信するステーションである、請求項7に記載の装置。 【請求項10】 前記プロセッサは、前記WSMによって識別される前記利用可能なチャンネル内のみで動作するように前記装置を制御するように構成されている、請求項7に記載の装置。 【請求項11】 前記WSMは、ビーコンフレーム、プローブ応答フレーム、及びホワイトスペースマップ放送フレームのうちの1つを通して受信される、請求項7に記載の装置。 【請求項12】 前記プロセッサは、さらに、前記送受信部が前記第2のステーションからアップデートされたWSMを受信する場合に、前記アップデートされたWSM内で識別される前記利用可能なチャンネル上で前記存在するネットワークをスキャニングするように構成されてい る、請求項7に記載の装置。」 (下線が補正箇所で、手続補正書の記載のとおりである。) 上記補正は、審判請求書の請求の理由に、 「3.本願特許が登録されるべき理由 3.1 本願の特許請求の範囲は、本審判請求書と同時に提出した手続補正書に示されるとおりです。特許請求の範囲において「1つ」、「一つ」と表記が統一されていなかったところを「1つ」に統一する補正をしました。少なくとも誤記の訂正を目的とした補正です。」 とあるとおり、誤記の訂正を目的としたもので、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、平成28年4月12日付けの手続補正は、適法なものであ る。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成28年4月12日付けの手続補正は、上記のとおり適法なものであるから、本願の請求項1-12に係る発明は、平成28年4月12日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定されるとおりのもので、その記載は、上記「第2.」のとおりである。 (以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明という。) 2.原査定の理由 拒絶査定の理由となった拒絶理由の概要は、本願の請求項1-12に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された特開2007-184850号公報(以下、「引用例」という。)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 3.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例には、図面とともに、以下の記載がなされている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 互いに無線通信可能な複数の無線通信機と、周囲の電波を受信し、該電波の周波数の利用状況を検出する検出装置と、前記検出装置において検出された前記周波数の利用状況を保存する第1のデータベース装置とから構成される無線通信システムと、 前記第1のデータベース装置を1つ以上統合する第2のデータベース装置とを備え、 前記無線通信機が送受信可能な周波数は、電波を利用する他のシステムにライセンスされた周波数を含み、 前記第1および第2のデータベース装置は、前記無線通信機が送受信可能な周波数帯域内の各周波数における電波の利用状況と該電波が利用される位置情報を共に記載し、 前記第1および第2のデータベース装置に記載される前記利用状況は、前記検出装置および類似の検出装置が受信することによって使用が検出された周波数の利用状況と、予め利用が決定されている周波数の利用状況とを含み、 前記第1および第2のデータベース装置は階層化されたネットワークを構築し、前記第1のデータベース装置は、少なくとも、前記検出装置から通知される周波数利用状況と、前記第2のデータベース装置から通知される周波数利用状況とを周波数および該周波数が利用される場所に基づいて整理、登録する登録手段と、この登録手段で登録された利用状況を前記無線通信機に配布する手段とを備え、 前記無線通信機が利用する周波数は、前記第1のデータベース装置の前記配布手段から配布された、前記利用状況から推測される利用可能周波数 と、前記無線通信機が行う通信に必要なパラメータに基づいて決定されることを特徴とするコグニティブ通信システム。」 (2)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 …… 【0007】 一方、コグニティブラジオでは、他のライセンスされたシステムの空きを見て、使用していないならば使用するといったシステムである。それぞれの無線機が、どの周波数がどのように利用されているかを受信して検出することが予想される。しかし、それではわからない情報、例えば、受信のみを行う電波天文やテレビ受像機の利用状況を知ることによってより細やかな周波数利用が可能になる可能性がある。例えば電波天文に関する周波数を一切使用禁止にする方法も考えられるが、1000km離れた電波望遠鏡のため に、その周波数の利用を差し控えても意味がない。 …… 【0009】 従って、コグニティブラジオの無線機が通信を開始する際の周波数は、その無線機で検出できる電波の利用状況のみでなく、その電波到達範囲の周波数の利用状況を把握して決定する必要がある。しかし、その範囲の周波数利用状況をそのコグニティブラジオ無線機単独で把握することは困難である。 【0010】 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、コグニティブラジオの無線通信機が、その電波到達範囲内の他のシステムに悪影響を及ぼさない周波数に関する情報を容易に収集し、かつ、悪影響を及ぼさない周波数を確実に選択することができるコグニティブ通信システムおよびこのシステムで用いられるデータベース装置、無線通信機を提供する。」 (3)「【実施例1】 【0037】 図1は本発明のコグニティブ通信システムの概略構成を示す図である。図1において、コグニティブ通信システム1は、階層化ネットワークを構成する複数のデータベース装置2-1?2-n、1つ以上の無線通信システム3で構成される。 …… 【0039】 無線通信システム3は、データベース装置2-4、コグニティブラジオによる無線通信を行う複数の無線通信機5a?5c、無線通信システム3内およびその近傍の周波数利用状況を検出するための利用状況検出装置4を備えている。 【0040】 図2にデータベース装置2-4の概略構成を示す。図2において、データベース装置2-4は、無線通信システム3がカバーする領域に存在し、後述する利用状況検出装置4で検出対象とした周波数とその帯域、当該帯域での周波数利用状況検出結果、利用状況検出装置4の位置情報を登録し、保存する登録部201、登録された利用状況を無線通信システム3に含まれる無線通信機5に配布する配布部202を備える。登録部201は、周波数利用状況検出結果を該周波数が利用される場所に基づいて整理して記載、登録す る。配布部203は例えば無線機であり、登録部201に登録されている情報を無線信号で送出する機能を有する。」 (4)「【0043】 以下、利用状況検出装置4の動作を説明する。 利用状況検出装置4の利用状況検出部403によって検出された周波数利用状況は、通知部404によってデータベース装置2-4に通知される。通知内容は、少なくとも利用状況検出装置4が測定を行った周波数と、その周波数で実際に電波が受信されたか否かの情報を含む。利用状況検出装置4は基本的には、無線通信システム3内の無線通信機5a?5cが出した電波以外の電波を検出する。検出方法は利用状況検出装置4の構成による。無線通信機5a?5cが送信している電波の周波数は、無線通信システムの管理情報をやり取りするための制御チャンネルから知ることができる。従って、例えば、利用状況検出装置4が、指定された各周波数ポイントについてそれぞれ測定するような場合は、無線通信機5a?5cが使用している周波数は除いて測れば良い。また、利用状況検出装置4が利用可能な全周波数をスイープして測定するような場合は、その測定結果から無線通信機5a?5cが利用中の周波数を除けばよい。測定データから無線通信機5a?5cが利用中の周波数を除く作業は、利用状況検出装置4が行っても良いし、データベース装置2-4が通知された情報から除外してもよい。なお、無線通信機5a?5cによる電波の利用状況は、その電波を利用している無線通信機5a?5c自身からの申告に基づいてデータベース装置2-4に登録するか、制御チャンネル等での管理情報からデータベース装置2-4がこれを検知すると良い。 …… 【0049】 予め利用が決定されている周波数の情報は、まとめて最上位のデータベース装置2-1が有しており、全ての下位データベース装置が上位のデータ ベース装置から情報を得ればよい。あるいは、それぞれのデータベース装置2-2a?2-2k,2-3a?2-3mが、自己の管轄する領域の情報について予めすぐ上位のデータベース装置から取得して保持していてもよい。データベース装置2-3aが管轄する領域は、その下位データベース装置2-4が管轄する領域を含むので、データベース装置2-4は、接続する上位データベース装置2-3aから、無線通信システム3の範囲での予め利用が決定されている周波数の情報を得ることが出来る。このような情報は地域ごとに異なる可能性が高いので、これらの情報には位置情報が記載されてい る。データベース装置2-4は、上位のデータベース装置から得た予め利用が決定されている周波数の情報を当該周波数が利用される位置情報と共に記憶する。 …… 【0052】 データベース装置2-4には、利用状況検出装置4による検出情報、無線通信機5a?5cの送信周波数情報、データベース装置2-3aから得られたその周辺の予め利用が決定されている周波数の情報、無線通信システム3周囲の同様のデータベース装置から上げられた周波数利用状況が集められ る。データベース装置2-4はこれらの情報を周波数と位置ごとに整理して登録する。なお、整理する際、自システムで検出された情報か上位データ ベース装置から得た情報かを、項目を設けて区別しておく。 …… 【0058】 このような構成を採ることによって、コグニティブラジオによる通信を行う無線通信機5a?5cが使用する周波数を決定するための情報を容易か つ、確実に収集することができる。」 したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 無線通信機と、周波数の利用状況を保存するデータベース装置とから構成される無線通信システムにおける方法であって、 前記無線通信機が送受信可能な周波数は、電波を利用する他のシステムにライセンスされた周波数を含み、 前記データベース装置は、前記無線通信機が送受信可能な周波数帯域内の各周波数における電波の利用状況を登録し、 前記データベース装置に登録される前記利用状況は、検出装置が受信することによって使用が検出された周波数の利用状況と、予め利用が決定されている周波数の利用状況とを含み、 前記無線通信機が利用する周波数は、前記データベース装置から無線信号で前記無線通信機に配布された、前記利用状況から推測される利用可能周波数に基づいて決定されることを特徴とする方法。 4.対比 引用発明と本願発明とを対比する。 引用発明は「無線通信機と、周波数の利用状況を保存するデータベース装置とから構成される無線通信システムにおける方法」であり、本願発明は 「通信システムにおいて第1のステーションで存在するネットワークをス キャニングする方法」であるから、両者は通信システムにおける方法である点で共通する。 引用発明の「無線通信機」は、本願発明の「第1のステーション」に対応する。 引用発明の「利用状況」は、「前記無線通信機が利用する周波数は、……前記利用状況から推測される利用可能周波数に基づいて決定される」とするものであるから、利用可能なチャンネルのための情報といえる。引用発明の「データベース装置」は、「前記無線通信機が利用する周波数は、前記データベース装置から無線信号で前記無線通信機に配布された、前記利用状況から……」とすることから、ステーションといえる。「データベース装置」 は、上記のように「利用状況」を無線信号で「無線通信機」に配布するの で、「無線通信機」は「データベース装置」から「利用状況」を受信するものである。したがって、引用発明は、第1のステーションにより、第2のステーションから、利用可能なチャンネルのための情報を受信することで、本願発明と共通する。 引用発明は、「前記無線通信機が利用する周波数は、……、前記利用状況から推測される利用可能周波数に基づいて決定される」とするので、「無線通信機」が「利用状況」に基づいた周波数で通信することは明らかであり、本願発明の「前記第1のステーションにより、前記受信されたWSM内で識別される前記利用可能なチャンネル上の前記存在するネットワークをスキャニングすること」とは、第1のステーションにより、(第2のステーションから)受信された利用可能なチャンネルのための情報に基づいて通信を行う点で共通する。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、以下の点で一致及び相違する。 一致点 通信システムにおける方法であって、前記方法は、 第1のステーションにより、第2のステーションから、利用可能なチャンネルのための情報を受信することと、 前記第1のステーションにより、前記受信された利用可能なチャンネルのための情報に基づいて通信を行うことと を含む方法。 相違点1 本願発明は、「通信システムにおいて第1のステーションで存在するネットワークをスキャニングする方法」であって、通信を行うことが「……前記利用可能なチャンネル上の前記存在するネットワークをスキャニングすること」であり、さらにスキャニングについて、 「前記存在するネットワークをスキャニングすることは、第1の方式または第2の方式のうちの1つ以上により実行され、 前記第1の方式は、 前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中の特定チャンネル上で基本的サービスセット(BSS)のAPステーションからのビーコンフレームをリスニングすることを含み、 前記第2の方式は、 前記受信されたWSMによって識別される前記利用可能なチャンネルの中のいずれかのチャンネル上で前記BSSのAPステーションにプローブ要請フレームを伝送することと、 前記プローブ要請フレームに応答したプローブ応答フレームを受信すること」 とするのに対して、引用発明はスキャニングすることについての特定がない点。 相違点2 利用可能なチャンネルのための情報が、本願発明は「利用可能なチャンネルのための情報を含むホワイトスペースマップ(WSM)」であるのに対して、引用発明は、「前記無線通信機が送受信可能な周波数は、電波を利用する他のシステムにライセンスされた周波数を含み、 前記データベース装置は、前記無線通信機が送受信可能な周波数帯域内の各周波数における電波の利用状況を登録し、」とあるように、他のシステムにライセンスされた周波数の利用状況を含む、ホワイトスペースマップ(WSM)といえるものではない点。 5.相違点の判断 相違点1について 引用発明は、無線通信機に利用状況が配布され、その利用状況から推測される利用可能周波数に基づいて、利用する周波数が決定されるものである。 したがって、無線通信機はスキャニングすることなく、その利用する周波数を決定できるから、引用発明において、本願発明のように「……前記利用可能なチャンネル上の前記存在するネットワークをスキャニングすること」とすることは、当業者が容易にできることとはいえない。 また、引用発明は「3.引用発明」の(1)の「コグニティブラジオの無線機が通信を開始する際の周波数は、その無線機で検出できる電波の利用状況のみでなく、その電波到達範囲の周波数の利用状況を把握して決定する必要がある。しかし、その範囲の周波数利用状況をそのコグニティブラジオ無線機単独で把握することは困難である。」という課題を解決するものであるから、引用発明において、その無線機で検出できる電波の利用状況のみとなる、本願発明のようなスキャニングすることは、阻害要因があるというべきである。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 請求項7に係る発明は、本願発明に対応する装置の発明であり、その他の請求項は、請求項1または7を引用するものであるから、本願発明と同様 に、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1-12に係る発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-12-09 |
出願番号 | 特願2015-10908(P2015-10908) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 深津 始 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 佐藤 智康 |
発明の名称 | TVWS(TVWhiteSpace)で存在するネットワークをスキャニングするための方法及び装置 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |