• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1322215
審判番号 不服2015-16447  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-07 
確定日 2016-12-20 
事件の表示 特願2013-125082「マルチメディア・コンテンツの検索および録画予約システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月31日出願公開、特開2013-225895、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明
1 手続の経緯
本件出願は、2008年(平成20年)5月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年5月15日、米国)を国際出願日とする特願2010-508589号の一部を平成25年6月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成26年 7月11日:拒絶理由の通知
平成26年12月15日:手続補正
平成27年 4月24日:拒絶査定
平成27年 5月 7日:拒絶査定の謄本の送達
平成27年 9月 7日:拒絶査定不服審判の請求
平成27年 9月 7日:手続補正
平成28年 1月18日:上申書の提出
平成28年 6月10日:拒絶理由の通知(当審)
平成28年10月 6日:手続補正

2 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明(以下、それぞれの発明を項番を用いて「本願発明1」等という。)は、平成26年12月15日付け、平成27年9月7日付け、平成28年10月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?15に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1?15の記載は次のとおりのものである。

「 【請求項1】
サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップと、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップと、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、ブロードバンド検索情報を受信するステップと、
前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信するステップであって、前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する、ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバ内に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバを作動させるブロードバンド・コンテンツ情報パートナーが、前記サーバが前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースにアクセスするために、前記サーバを作動させるサービス・プロバイダに料金を支払う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを、前記クライアント・デバイスが表示する表示情報にフォーマットするステップを、更に、備え、前記検索結果情報が、前記表示情報を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フォーマットするステップが、前記クライアント・デバイスが表示するのに適したユーザ・インタフェース・スクリーンを生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するクライアント・デバイス・コミュニケータと、
データベース問合せサブシステムと
を備える装置であって、
前記装置が、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記データベース問合せサブシステムが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換し、かつ前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行し、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含み、
前記データベース問合せサブシステムが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信し、
前記データベース問合せサブシステムが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換し、かつ前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行し、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含み、
前記データベース問合せサブシステムが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、ブロードバンド検索情報を受信し、
前記クライアント・デバイス・コミュニケータが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信し、前記データベース問合せサブシステムが、前記クライアント・デバイスのタイプに基づいて前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とをフィルター処理する、
装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバ内に配置されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバを作動させるブロードバンド・コンテンツ情報パートナーが、前記サーバが前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースにアクセスするために、前記サーバを作動させるサービス・プロバイダに料金を支払う、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを、前記クライアント・デバイスが表示する表示情報にフォーマットする表示フォーマッタを、更に、備え、前記検索結果情報が、前記表示情報を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記表示フォーマッタが、前記クライアント・デバイスが表示するのに適したユーザ・インタフェース・スクリーンを生成する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップ、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップ、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップ、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップ、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップ、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップ、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、ブロードバンド検索情報を受信するステップ、及び
前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信するステップであって、前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する、ステップ、
を、一つ以上のプロセッサに実行させる一つ以上の命令のシークエンスを保持するコンピュータ読出し可能な非一時的記憶媒体。
【請求項12】
前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバ内に配置されている、請求項11に記載のコンピュータ読出し可能な非一時的記憶媒体。
【請求項13】
前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバを作動させるブロードバンド・コンテンツ情報パートナーが、前記サーバが前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースにアクセスするために、前記サーバを作動させるサービス・プロバイダに料金を支払う、請求項12に記載のコンピュータ読出し可能な非一時的記憶媒体。
【請求項14】
前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを、前記クライアント・デバイスが表示する表示情報にフォーマットするステップを、更に、備え、前記検索結果情報が、前記表示情報を備える、請求項11に記載のコンピュータ読出し可能な非一時的記憶媒体。
【請求項15】
前記フォーマットするステップが、前記クライアント・デバイスが表示するのに適したユーザ・インタフェース・スクリーンを生成する、請求項14に記載のコンピュータ読出し可能な非一時的記憶媒体。」

3 本願発明1の分説
本願発明1を分説すると次のとおりである。

(本願発明1)
(A)サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップと、
(B)前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップと、
(C)前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
(D)前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップと、
(E)前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップと、
(F)前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
(G)前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、ブロードバンド検索情報を受信するステップと、
(H)前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信するステップであって、前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する、ステップと、
(I)を備える方法。

((A)?(I)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

第2 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願の請求項1?15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開2004-23118号公報
引用文献2:特開平11-275462号公報

・請求項1等
引用文献1には、個別電子番組表生成装置は、電子番組案内提供手段から電波放送番組についての、電子番組案内とネットワーク放送についての電子番組案内を取得し、両者の電子番組案内を同一画面に統合して表示する統合電子番組案内を生成すること、および、ユーザ端末から受信したキーワードに基づいて検索して得られた番組に基づいて個別番組番組案内を生成して該ユーザ端末に送信することが記載されている([0015]?[0030])。
引用文献1に記載の発明において、電波放送番組とネットワーク放送番組について、データベースを分けることは当業者が適宜なし得た事項である。

・請求項4等
引用文献1に記載の発明において、引用文献2に記載のように、クライアントの解像度に適合するような番組表を生成するためのテンプレートを選択するようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

2 原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づく容易想到性について
(1)引用文献に記載された発明
ア 引用文献1
引用文献1には、次の事項が記載されている。

「【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る個別番組表生成システムのブロック構成を示す図である。図1において、個別番組表生成システム1000は、ネットワーク310を介して接続された個別番組表生成装置200とユーザ端末320とによって構成され、ユーザ端末320には、TVモニタ330とDVD(Di-gital Versatile Disk)等のパッケージメディア、PVR(Personal Video Recorder)、また、特に図示していないがハードディスク等の記憶媒体を駆動する装置とが接続される。
【0016】
地上波アンテナ120または衛星130を介して放送局110から放送される電波放送番組は、ユーザ端末320の制御の下にあるTVモニタ330によって受信され表示される。同様に、ネットワーク310経由で放送局110から送信されるコンテンツは、ユーザ端末320の制御の下にあるTVモニタ330に表示される。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る個別番組表生成装置200の内部の構成を示す図である。
【0017】
個別番組表生成装置200は、受信手段210、統合番組案内生成手段220、情報抽出手段230、利用状況テーブル保持更新手段240、個別番組案内生成手段250、及び送信手段260によって構成される。
受信手段210は、放送局110その他の電子番組案内提供手段111(ここでは放送局110に設置されたものとして説明する)から送信される電子番組案内を受信すると共に、ユーザ端末320によって送信される特定情報その他の情報(以下、特定情報等という。)を受信し、受信した情報を統合番組案内生成手段220及び情報抽出手段230に出力する手段である。
【0018】
ここで、上記の電子番組案内提供手段111から送信される電子番組案内には、電波放送番組についての電子番組案内のみならず、ネットワーク放送についての電子番組案内も含まれるものとする。また、特定情報とは、図3に示すように、ユーザ端末320を特定するための情報と、ユーザ端末320において表示された電波放送番組に関する情報またはユーザ端末320において表示されたネットワーク放送経由のコンテンツに関する情報とを含む情報をいう。
統合番組案内生成手段220は、受信手段210によって出力された情報を入力とし、入力された情報に含まれる電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成する。図4(a)、(b)は、それぞれ、電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内の一例を示す図、尚、図4(c)は本発明の第3の実施形態で適用する局所コンテンツを示す。また、図5は、本発明の第1の実施の形態に係る統合電子番組案内の一例を示す図である。統合電子番組案内とは、図5に示すように、電波放送番組、ネットワーク放送番組案内を一つの画面においても、放送の媒体(電波なのかネットワークなのか)を意識することなく、一覧性がよくなるように放送局ごとに並べたものである。並べ方は視聴率を計る手段を設けて、視聴率の高い順に並べてもよいし、あるいはユーザが設定できる手段を設けて、ユーザが設定できるようにしてもよい。情報抽出手段230は、受信手段210によって出力された情報を入力とし、入力された情報に含まれる特定情報、すなわち、ユーザ端末320を特定するための情報、ユーザ端末320において表示された電波放送番組に関する情報またはユーザ端末320において表示されたネットワーク放送経由のコンテンツに関する情報を抽出して利用状況テーブル保持更新手段240に出力するための手段である。
【0019】
利用状況テーブル保持更新手段240は、情報抽出手段230によって抽出された特定情報を入力とし、入力されたユーザ端末320において表示された電波放送番組またはネットワーク放送経由のコンテンツ(以下、表示番組という。)をユーザ端末毎に記録し、更新して保持する手段である。利用状況テーブル保持更新手段240には、ユーザ端末毎の番組やコンテンツが表示された頻度や履歴が記録されるのでもよい。利用状況テーブルの例を図6に示す。このようなデータが利用状況テーブル保持更新手段によって保持され、更新される。
【0020】
個別番組案内生成手段250は、統合番組案内生成手段220によって出力された統合電子番組案内、および利用状況テーブル保持更新手段240によって出力された利用状況テーブルを入力とし、利用状況テーブルに保持された情報に基づいて統合電子番組案内における番組またはコンテンツの再配列を行って個別番組案内を生成し、生成した個別番組案内を送信手段260に出力するための手段である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る個別番組案内の一例を示す図である。図7に示すように、個別番組案内生成手段250は、同一時間帯における表示頻度が最も高い表示番組を、例えば、図7に示す番組表の左側に寄せたり、中央に配置したり、その他の所定の位置に配置させたりする手段である。送信手段260は、個別番組案内生成手段250によって出力された個別番組案内を入力とし、ネットワーク310経由でユーザ端末320に送信するための手段である。」

「【0029】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る個別番組表生成装置800のブロック構成を示す図である。
個別番組表生成装置800は、受信手段210、統合番組案内生成手段220、情報抽出手段830、個別番組案内生成手段850、及び送信手段260によって構成される。ここで、本発明の第2の実施の形態に係る個別番組表生成装置800を構成する構成手段のうち、上記本発明の第1の実施の形態に係る個別番組表生成装置200における構成手段と同様の処理を行うものには同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0030】
情報抽出手段830は、受信手段210によって受信された情報のうち、後述するユーザ端末900から送信されたキーワード等の検索条件を抽出し、抽出した検索条件を個別番組案内生成手段850に出力する手段である。
個別番組案内生成手段850は、統合番組案内生成手段220によって生成された統合電子番組案内と情報抽出手段830によって抽出された検索条件とを入力とし、入力された検索条件に関して統合電子番組案内中の番組を検索し、検索で得られた番組を、例えば、番組表の左側に寄せたり、中央に配置したり、その他の所定の位置に配置させたりして個別番組案内を生成し、送信手段260に出力する手段である。」

引用文献1に記載された「個別番組表生成装置」は、
電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成し(段落【0018】)、
ユーザ端末から送信されたキーワード等の検索条件に関して統合電子番組案内中の番組を検索し、検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し(段落【0030】)、ユーザ端末に配信する(段落【0020】)
ものである。

ここで、「個別番組表生成装置」の動作を方法の発明として認定する。

「個別番組表生成装置」は、「電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成」するから、当該方法は、「個別番組表生成装置が、電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成するステップ」を備えている。
また、「個別番組表生成装置」は、「ユーザ端末から送信されたキーワード等の検索条件に関して統合電子番組案内中の番組を検索」するから、当該方法は、「前記個別番組表生成装置が、ユーザ端末から検索条件を受信するステップ」、「前記個別番組表生成装置が、受信された検索条件を用いて統合電子番組案内中の番組を検索するステップ」を備えている。
さらに、「個別番組表生成装置」は、「検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し(段落【0030】)、ユーザ端末に配信する」から、当該方法は、「前記個別番組表生成装置が、検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し、ユーザ端末に配信するステップ」を備えている。

以上まとめると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を「引用発明」という。

(引用発明)
(a)個別番組表生成装置が、電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成するステップと、
(b)前記個別番組表生成装置が、ユーザ端末から検索条件を受信するステップと、
(c)前記個別番組表生成装置が、受信された検索条件を用いて統合電子番組案内中の番組を検索するステップと、
(d)前記個別番組表生成装置が、検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し、ユーザ端末に配信するステップと、
(e)を備える方法。

なお、(a)?(e)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。

イ 引用文献2
引用文献2の段落【0095】?【0107】には、『視聴者の端末の画面サイズに応じたテンプレートを作成し、番組情報とともに端末に送信するセンター装置』が記載されている。

(2)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 構成要件Aと構成bとを対比する。
引用発明の「個別番組表生成装置」、「ユーザ端末」は、それぞれ、本願発明1の「サーバ」、「クライアント・デバイス」に相当する。
引用発明の「検索条件」は、この「検索条件」を用いて「統合電子番組案内中の番組を検索する」から、「マルチメディア・コンテンツに対する検索要求」といえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップ」を備える点で一致する。

イ 構成要件B?Gと構成cとを対比する。
引用発明は、「前記個別番組表生成装置が、受信された検索条件を用いて統合電子番組案内中の番組を検索する」ものであるから、本願発明1の構成要件B?Gに対応する構成を備えていない。
したがって、本願発明1は、構成要件B?Gを備えているのに対し、引用発明は、構成要件B?Gを備えていない点で相違する。

ウ 構成要件Hと構成dとを対比する。
引用発明は、「前記個別番組表生成装置が、検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し、ユーザ端末に配信する」から、「前記サーバが、検索結果を前記クライアント・デバイスに送信するステップ」として、本願発明1と共通する。
しかしながら、「検索結果」が、本願発明においては、「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ」たものであるのに対し、引用発明においては、「統合電子番組案内中の番組を検索」したものであるから、「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ」たものではなく、
さらに、本願発明1においては、「前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」のに対し、引用発明においては、当該フィルター処理をしない点で相違する。

エ 構成要件Iと構成eとを対比する。
本願発明1と引用発明とは、「方法」として一致する。

オ 以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップと、
前記サーバが、検索結果を前記クライアント・デバイスに送信するステップと、
を備える方法。

(相違点1)
本願発明1が、
「前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップと、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、ブロードバンド検索情報を受信するステップ」
を備えているのに対し、
引用発明が、当該ステップを備えていない点

(相違点2)
「検索結果」が、本願発明においては、「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ」たものであるのに対し、引用発明においては、「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを同種のセットに合体させ」たものではない点

(相違点3)
本願発明1においては、「前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」のに対し、 引用発明においては、当該フィルター処理をしない点

(3)判断
ア 相違点1、相違点2について
引用発明は、
個別番組表生成装置が、電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内に関する情報を抽出し、両方の電子番組案内を統合して統合電子番組案内を生成し(構成a)、
ユーザ端末から検索条件を受信し(構成b)、
受信された検索条件を用いて統合電子番組案内中の番組を検索し(構成c)、
検索で得られた番組を配置して個別番組案内を生成し、ユーザ端末に配信する(構成d)ものである。
一方、本願発明1は、、クライアント・デバイスからのマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を、放送コンテンツ情報データベース、ブロードバンド・コンテンツ情報データベースそれぞれに対する、第一問合せ、第二問合せに変換して検索し、それぞれの検索情報を合体してクライアント・デバイスに送信するものである。
引用発明から出発して、本願発明1に到達するには、電波放送番組についての電子番組案内及びネットワーク放送についての電子番組案内を統合した統合電子番組案内の番組を検索条件を用いて検索する代わりに、電波放送番組についての電子番組案内、ネットワーク放送についての電子番組案内それぞれに対し、検索条件をそれぞれの電子番組案内に対する問合せに変換して検索するようにしなければならないが、引用文献2には、そのようなことは開示されておらず、また他にそのようなことを開示した証拠はない。
したがって、相違点1は克服できない。
さらに、相違点2は、相違点1を克服したときの検索結果を合体させるものであるから、上記のとおり相違点1は克服できないから、相違点2も克服できない。

イ 相違点3について
「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」ことは、引用文献2に開示されておらず、また、他に当該フィルター処理することを開示した証拠はない。
したがって、相違点3は克服できない。

(4)小括
以上のとおり、相違点1?3は克服できないから本願発明1は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
本願発明2?5は、請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明2?5は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
また、本願発明6、11は、本願発明1とカテゴリーが異なる発明であるから、本願発明1と同様に、本願発明6、11は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
本願発明7?10、12?15は、請求項6又は11を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明7?10、12?15は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。

第3 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
本願の請求項1?15に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献3:特開2001-243240号公報
引用文献1:特開2004-23118号公報
引用文献2:特開平11-275462号公報

・請求項1、6、11
引用文献3には、
「クライアントは、予めサーバ1から標準スキーマをダウンロードし(S0301)、ユーザからの質問をもとに標準スキーマに則って標準クエリーを生成し(S0302)、サーバ2にアクセスする(S0303)。
アクセスを受けた(S0321)サーバ2は、オントロジ変換機能によってデータベースごとのクエリー1?3を発行し、データベースごとにリザルト1?3を回収する(S0322?S034)。回収したリザルト1?3をもとに標準リザルトに変換し(S0325)、この標準リザルトを端末に送る(S0326)。」(段落【0046】?【0047】)
と記載されている。
サーバ2の動作としてみると、クライアントから標準クエリー(「検索要求」に相当)を受信し、データベースごとにクエリー(「第一問合せ」、「第二問合せ」に相当)を発行し、データベースごとにリザルトを回収し、回収したリザルトをもとに標準リザルト(「検索結果情報」に相当)に変換し、この標準リザルトを端末に送るものである。
引用文献3には、サービス提供者ごとに異なるEPGを検索することが記載されている(段落【0010】)から、上記の複数のデータベースはサービス提供者ごとのEPGとする発明(以下「引用発明」という。)を認定できる。

本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明においては、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」がない点で本願発明と相違する。
しかしながら、引用文献2の段落【0018】には、電波放送番組についての電子番組案内、ネットワーク放送についての電子番組案内があることが開示されているから、引用発明における1つのEPGをネットワーク放送についての電子番組案内にすることは当業者が容易に想到し得ることである。
(他の請求項については省略)

2 当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づく容易想到性について
(1)引用文献3に記載された発明
引用文献3には、次の事項が記載されている。

「【0010】更に、デジタル放送やインタラクティブ・テレビ(Interactive Television)などの登場により、視聴者とサービス提供者が対話をしながら、視聴者の希望するサービスを提供する対話型システムが広がりつつある。視聴者は、サービス提供者からEPG(Electronic Program Guide)と呼ばれる番組表データを受信する。ところが、サービス提供者ごとに異なった書式のEPGを配信しているのが現状であり、視聴者はサービス提供者ごとのスキーマに合わせて番組等を検索しなければならない。従って、異なる複数のサービス提供者の情報を同時に検索したり、検索結果を並べて比較することができなかった。」

「【0046】クライアントは、予めサーバ1から標準スキーマをダウンロードし(S0301)、ユーザからの質問をもとに標準スキーマに則って標準クエリーを生成し(S0302)、サーバ2にアクセスする(S0303)。
【0047】アクセスを受けた(S0321)サーバ2は、オントロジ変換機能によってデータベースごとのクエリー1?3を発行し、データベースごとにリザルト1?3を回収する(S0322?S034)。回収したリザルト1?3をもとに標準リザルトに変換し(S0325)、この標準リザルトを端末に送る(S0326)。」

上記段落【0046】、【0047】の記載事項を、サーバ2の動作としてみると、クライアントから標準クエリーを受信し、データベースごとにクエリーを発行し、データベースごとにリザルトを回収し、回収したリザルトをもとに標準リザルトに変換し、この標準リザルトを端末に送るものである。
引用文献3には、サービス提供者ごとに異なるEPGを検索することが記載されている(段落【0010】)から、上記の複数のデータベースはサービス提供者ごとのデータベースであるEPGとする発明を認定できる。
このサーバの動作を方法の発明として認定すると、引用文献3には、次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を「引用発明3」という。

(引用発明3)
(a3)サーバが、クライアントから標準クエリーを受信するステップと、
(b3)サーバが、サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリーを発行するステップと、
(c3)サーバが、サービス提供者のデータベースであるEPGごとにリザルトを回収するステップと、
(d3)サーバが、回収したリザルトをもとに標準リザルトに変換し、この標準リザルトを端末に送るステップと、
(e3)を備える方法。

なお、(a3)?(e3)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a3」等という。

(2)対比
本願発明1と引用発明3とを対比する。

ア 構成要件Aと構成a3とを対比する。
引用発明3の「標準クエリー」は、構成b3、c3のとおり、EPGを検索するためのものあるから、「マルチメディア・コンテンツに対する検索要求」といえる。
また、引用発明の「サーバ」、「クライアント」は、それぞれ本願発明1の「サーバ」、「クライアント・デバイス」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明3とは、「サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップ」を備える点で一致する。

イ 構成要件Bと構成b3とを対比する。
引用発明3は、「サーバが、サービス提供者のデータベースごとにクエリーを発行する」ものであり、構成a3のステップの後に行われるステップであることは明らかであり、また、上記アのとおりであるから、構成b3のステップは、「前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、」いるといえる。
また、「サーバが、サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリーを発行する」ことは、「標準クエリー」を「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリー」に変換しているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明3とは、「前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップ」を備える点で一致する。

ウ 構成要件Cと構成c3とを対比する。
引用発明3は、「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにリザルトを回収する」ものであり、「リザルトを回収する」から、「サービス提供者のデータベースであるEPG」に検索を実行するステップがあることは明らかであり、また、上記イのとおりであるから、「前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップ」を備えているといえる。
そして、「サービス提供者のデータベースであるEPG」は、「前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベース」といえ、また、EPGは番組の録画に用いられ、番組に関する情報を含むことは、技術常識であるから、「前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む」といえる。
したがって、本願発明1と引用発明3とは、「前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップ」を備える点で一致する。

エ 構成要件Dと構成c3とを対比する。
引用発明3の「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにリザルトを回収するステップ」は、本願発明1の「前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップ」に相当する。

オ 構成要件Eと構成b3とを対比する。
引用発明3の「サーバが、サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリーを発行する」ことは、「標準クエリー」を「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリー」に変換しているといえる。
上記イのとおり、引用発明3は、「前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップ」を備えているといえ、また、上記のとおり、「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにクエリー」に変換しているといえるから、上記「放送コンテンツ情報データベース」とは異なる「データベース」に対しての「クエリー」は、「第二問合せ」といえる。
したがって、本願発明1と引用発明3とは、「前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのコンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップ」を備える点で共通する。
しかしながら、「コンテンツ情報データベース」が、本願発明1においては、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」であるのに対し、引用発明3においては、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」であると特定されていない点で相違する。

カ 構成要件Fと構成要件c3とを対比する。
引用発明3は、「サービス提供者のデータベースであるEPGごとにリザルトを回収する」ものであり、「リザルトを回収する」から、「サービス提供者のデータベースであるEPG」に検索を実行するステップがあることは明らかであり、また、上記オのとおりであるから、「前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのコンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップ」を備えているといえる。
ここで、「コンテンツ情報データベース」は、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」であると特定されていない点で、本願発明1と相違する。
この相違に伴い、本願発明1においては、「前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む」のに対して、引用発明3においては、そうではない点で相違する。

キ 構成要件Gと構成要件c3とを対比する。
引用発明3の「サーバが、サービス提供者のデータベースであるEPGごとにリザルトを回収するステップ」は、「前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのコンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、検索情報を受信するステップ」といえる。
しかしながら、「コンテンツ情報データベース」が「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」と特定されておらず、「検索情報」が「ブロードバンド検索情報」でない点で本願発明1と相違する。

ク 構成要件Hと構成d3とを対比する。
引用発明3の「サーバが、回収したリザルトをもとに標準リザルトに変換し、この標準リザルトを端末に送るステップ」は、「前記サーバが、前記放送検索情報と前記検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信するステップ」といえる。
しかしながら、「前記検索情報」が「前記ブロードバンド検索情報」でない点で本願発明1と相違する。
さらに、本願発明1においては、「前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」のに対し、引用発明3においては、当該フィルタ処理をしない点で相違する。

ケ 構成要件Iと構成e3とを対比すると、「方法」として一致する。

コ 以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
サーバが、クライアント・デバイスからマルチメディア・コンテンツに対する検索要求を受信するステップと、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスから前記検索要求を受信することに応じて、前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第一問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せにより前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第一検索を実行するステップであって、前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースが、電子番組ガイドを含む、録画可能な放送マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む、ステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第一問合せによる前記少なくとも一つの放送コンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第一検索に応じて、放送検索情報を受信するステップと、
前記サーバが、前記クライアント・デバイスからの前記検索要求を、少なくとも一つのコンテンツ情報データベースに対する少なくとも一つの互換性のある第二問合せに変換するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せにより前記少なくとも一つのコンテンツ情報データベースに少なくとも一つの第二検索を実行するステップと、
前記サーバが、前記少なくとも一つの互換性のある第二問合せによる前記少なくとも一つのコンテンツ情報データベースについての前記少なくとも一つの第二検索に応じて、検索情報を受信するステップと、
前記サーバが、前記放送検索情報と前記検索情報とを同種のセットに合体させ、かつ検索結果情報として前記同種のセットを前記クライアント・デバイスに送信するステップと、
を備える方法。

(相違点1)
「コンテンツ情報データベース」が、本願発明1においては、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」であるのに対し、引用発明3においては、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」であると特定されておらず、
それに伴い、本願発明1においては、「前記少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ情報データベースが、少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む」のに対して、引用発明3においては、そうではなく、
さらに、「検索情報」が、本願発明1においては、「ブロードバンド検索情報」であるのに対し、引用発明3においては、「ブロードバンド検索情報」でない点

(相違点2)
本願発明1においては、「前記サーバが、前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」のに対し、引用発明3においては、当該フィルタ処理をしない点

(3)判断
ア 相違点1について
引用文献2の段落【0018】には、電波放送番組についての電子番組案内、ネットワーク放送についての電子番組案内があることが開示されているから、引用発明3における1つのEPGをネットワーク放送についての電子番組案内、すなわち、ブロードバンド・コンテンツ情報データベースとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、「ブロードバンド・コンテンツ情報データベース」は、「少なくとも一つのブロードバンド・コンテンツ・プロバイダ・パートナー・サーバから取得可能で録画可能なブロードバンド・マルチメディア・コンテンツに関する情報を含む」ものといえる。
また、1つのEPGをブロードバンド・コンテンツ情報データベースとすることで、「検索結果」は、「ブロードバンド検索情報」となる。

イ 相違点2について
「前記放送検索情報と前記ブロードバンド検索情報とを前記クライアント・デバイスのタイプに基づいてフィルター処理する」ことは、引用文献1、2に開示されておらず、また、他に当該フィルター処理することを開示した証拠はない。
したがって、相違点3は克服できない。

(4)小括
以上のとおり、相違点3を克服できないから、本願発明1は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
本願発明2?5は、請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明2?5は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
また、本願発明6、11は、本願発明1とカテゴリーが異なる発明であるから、本願発明1と同様に、本願発明6、11は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。
本願発明7?10、12?15は、請求項6又は11を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明7?10、12?15は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。

第4 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-05 
出願番号 特願2013-125082(P2013-125082)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 福西 章人松元 伸次  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 渡邊 聡
小池 正彦
発明の名称 マルチメディア・コンテンツの検索および録画予約システム  
代理人 毛受 隆典  
代理人 美恵 英樹  
代理人 森川 泰司  
代理人 木村 満  
代理人 沢田 雅男  
代理人 桜田 圭  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ