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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 一部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
管理番号 1322242
異議申立番号 異議2015-700343  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-24 
確定日 2016-06-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5743411号発明「光画像撮像装置及びその方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5743411号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕及び〔10?15〕について、訂正することを認める。 特許第5743411号の請求項1、6、8、9、10、14及び15に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第5743411号の請求項1乃至15に係る特許についての出願は、平成22年3月3日(優先権主張平成21年5月8日)に特許出願され、平成27年5月15日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人尾川秀昭により特許異議の申立てがなされ、平成28年2月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年4月28日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のア乃至サのとおりである。
ア 訂正事項1
請求項1を削除する。

イ 訂正事項2
請求項2における「前記戻り光の収差を測定する収差測定手段を更に備え、前記調整手段は、前記収差測定手段により測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする請求項1記載の光画像撮像装置。」との記載を独立形式に改め、「測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像装置であって、前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズと、前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整手段と、前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する取得手段と、前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成手段と、前記戻り光の収差を測定する収差測定手段と、を備え、前記調整手段は、前記収差測定手段により測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする光画像撮像装置。」に訂正する。

ウ 訂正事項3
請求項6の「請求項1乃至5のいずれか1項に記載」との記載を請求項1の削除に伴い「請求項2乃至5のいずれか1項に記載」に訂正する。

エ 訂正事項4
請求項8における「請求項1乃至7のいずれか1項に記載」との記載を請求項1の削除に伴い「請求項2乃至7のいずれか1項に記載」に訂正する。

オ 訂正事項5
請求項9における「請求項1乃至8のいずれか1項に記載」との記載を請求項1の削除に伴い「請求項2乃至8のいずれか1項に記載」に訂正する。

カ 訂正事項6
明細書の段落0016における記載を、上記訂正事項1、2に伴い、「本発明の光画像撮像装置は、測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像装置であって、前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズと、前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整手段と、前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する取得手段と、前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得
する合成手段と、前記戻り光の収差を測定する収差測定手段と、を備え、前記調整手段は、前記収差測定手段により測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする。」に訂正する。


キ 訂正事項7
請求項10を削除する。

ク 訂正事項8
請求項11における「前記被検査物の収差を測定する収差測定工程を更に備え、前記調整工程では、前記収差測定工程において測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする請求項10記載の光画像撮像方法。」との記載を独立形式に改め、「測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像方法であって、前記被検査物の収差を測定する工程と、前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整工程と、前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する工程と、前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成工程と、前記被検査物の収差を測定する収差測定工程と、を備え、前記調整工程では、前記収差測定工程において測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする光画像撮像方法。」に訂正する。

ケ 訂正事項9
請求項14における「請求項10乃至13のいずれか1項に記載」との記載を請求項10の削除に伴い「請求項11乃至13のいずれか1項に記載」に訂正する。

コ 訂正事項10
請求項15における「請求項10乃至14のいずれか1項に記載」との記載を請求項10の削除に伴い「請求項11乃至14のいずれか1項に記載」に訂正する。

サ 訂正事項11
明細書の段落0017における記載を、上記訂正事項7、8に伴い、「また、本発明に係る光画像撮像方法は、測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像方法であって、前記被検査物の収差を測定する工程と、前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整工程と、前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する工程と、前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成工程と、前記被検査物の収差を測定する収差測定工程と、を備え、前記調整工程では、前記収差測定工程において測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立請求項へ改めるための訂正であって、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項3乃至5は、訂正事項1に伴い、引用先から請求項1を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 訂正事項6は、訂正事項1、2により独立請求項の記載が変更されたことにより生じる明細書の段落0016との不整合を解消する訂正であって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ 訂正事項1?6は、一群の請求項1?9に対し請求されたものである。


カ 訂正事項7は、請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

キ 訂正事項8は、訂正前の請求項11が請求項10の記載を引用する記載であるところ、請求項10を引用しないものとした上で、請求項10を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立請求項へ改めるための訂正であって、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ク 訂正事項9及び10は、訂正事項7に伴い、引用先から請求項1を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ケ 訂正事項11は、訂正事項7、8により独立請求項の記載が変更されたことにより生じる明細書の段落0017との不整合を解消する訂正であって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

コ 訂正事項7乃至11は、一群の請求項10?15に対し請求されたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-9〕及び〔10-15〕について訂正を認める。

3 特許異議の申立てについて
請求項1、6、8、9、10、14及び15に係る特許に対して特許異議の申立てがなされているところ、請求項6、8及び9については請求項1を引用するもの、並びに、請求項14及び15についていは請求項10を引用するもの以外に、申立ての理由が示されていない。
よって、請求項6、8及び9については請求項1を引用するもののみ、並びに、請求項14及び15については請求項10を引用するもののみについて特許異議の申立てがなされたものと認められる。

上記2のとおり本件訂正が認められ、請求項1及び10に係る特許発明、請求項1を引用する請求項6、8及び9に係る特許発明、並びに、請求項10を引用する請求項14及び15に係る特許発明は、訂正の結果削除されたため、請求項1、6、8、9、10、14及び15に係る特許に対して、特許異議申立人尾川秀昭がした特許異議の申立ての対象となる請求項が存在しないものとなった。
よって、この特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。

したがって、本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する第135条の規定によって却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光画像撮像装置及びその方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、光画像撮像装置および光画像の撮像方法に関し、特に眼科診療等に用いられる光画像撮像装置および光画像の撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)は、試料(特に眼底)の断層画像を高分解能に得る方法である。
【0003】
以下、このようなOCTにより断層画像を撮像する装置をOCT装置と記す。
【0004】
近年、フーリエドメイン方式のOCT装置において測定光のビーム径を大きくすることにより、横分解能を向上させた網膜の断層画像を取得することが可能になってきた。しかし、
測定光のビーム径の大径化に伴い、網膜の断層画像の取得において、被検眼の収差による断層画像のSN比及び分解能の低下が問題になってきた。
【0005】
それを解決するために、被検眼の収差を波面センサでリアルタイムに測定し、被検眼にて発生する測定光やその戻り光の収差を波面補正デバイスで補正する補償光学系を有する補償光学OCT装置が開発され、高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。
【0006】
このような補償光学系を用いた装置として、特許文献1においては、走査型レーザー検眼鏡(SLO装置)において、補償光学系及びポリゴンミラー、ガルバノミラー等を用い、眼底画像を取得可能とした眼科撮影装置が提案されている。この眼科撮影装置では、被検眼の収差を測定し、補償光学系を用いて、眼底に照射された測定光による戻り光の収差を補正することにより、横分解能の劣化を防ぐように構成されている。
【0007】
また、非特許文献1では、フーリエドメイン方式のOCT装置において、補償光学系及び色収差補正レンズを用いて、横分解能と縦分解能との両立が図られている。
【0008】
ここでは、被検眼にて発生する測定光とその戻り光の収差を補償光学系で測定及び補正し、さらに取得した網膜の断層画像を平均化することでスペックルを低減させ、断層画像のコントラストの向上が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-14569号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】¨Ultrahigh-resolution optical coherence tomography with monochromatic and chromatic aberration correction,¨Opt.Express 16,8126(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来例の補償光学系を有する眼科装置は、上記したように、補償光学系を用いて、被検眼にて発生する測定光やその戻り光の収差を測定及び補正することにより、高横分解能な画像の取得が可能とされている。
【0012】
しかしながら、これらの従来例のものにおいては、測定光のビーム径の大径化による焦点深度の減少による影響を排除できず、高分解能な画像を取得するうえで、かならずしも満足の得られるものではない。
【0013】
また、撮像前に、被検査物である各被検眼に合わせた様々な光学調整が必要であり、これらが撮像に際しての制約となっている。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑み、被検査物である被検眼の画像の撮像に際し、広い領域で横分解能が高く、撮像前の調整を簡単に行うことが可能となる光画像撮像装置および光画像の撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、つぎのように構成した光画像撮像装置及びその方法を提供するものである。
【0016】
本発明の光画像撮像装置は、
測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像装置であって、
前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズと、
前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整手段と、
前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する取得手段と、
前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成手段と、
前記戻り光の収差を測定する収差測定手段と、を備え、
前記調整手段は、前記収差測定手段により測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光画像撮像方法は、
測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像方法であって、
前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整工程と、
前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する工程と、
前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成工程と、
前記被検査物の収差を測定する収差測定工程と、を備え、
前記調整工程では、前記収差測定工程において測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被検査物である被検眼の画像の撮像に際し、広い領域で横分解能が高く、撮像前の調整を簡単に行うことが可能となる光画像撮像装置および光画像の撮像方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1におけるOCT装置の全体の構成について説明する図である。
【図2】本発明の実施例1におけるOCT装置の画像の取得方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施例1におけるOCT装置の断層画像の取得方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施例1におけるOCT装置の断層画像の取得の手順を説明する図である。
【図5】本発明の実施例2におけるOCT装置の全体の構成について説明する図である。
【図6】本発明の実施例2におけるOCT装置の断層画像の取得方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施例2におけるOCT装置の断層画像の取得の手順を説明する図である。
【図8】本発明の実施例3におけるOCT装置の全体の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0021】
つぎに、本発明の実施例について説明する。
【0022】
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用したOCT装置について説明する。
【0023】
ここでは特に、被検眼の平面画像(SLO像)と断層画像(OCT像)との両方の撮像 が可能な高横分解能のOCT装置について説明する。
【0024】
本実施例では、光源からの測定光を被検査物に照射し、被検査物に照射された該測定光による戻り光の強度により被検査物の平面画像と断層画像とを撮像する光画像撮像装置が構成される。
【0025】
特に、被検査物の断層画像は、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検査物に照射された該測定光による戻り光と、参照光路を経由した参照光とを干渉させ、干渉による干渉信号の強度により取得される。その際、合焦位置の異なる複数の断層画像を合成して単一の断層画像を取得するフーリエドメイン方式のOCT装置が構成され、これにより被検眼の視度によらず良好な断層画像が得られるようにされている。
【0026】
図1を用いて、まず、本実施例におけるOCT装置の光学系の全体の概略構成について、具体的に説明する。
【0027】
本実施例のOCT装置100は、図1に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成している。
図中、光源101から出射した光がビームスプリッタ103によって参照光105と測定光106とに分割される。
【0028】
測定光106は、観察対象である被検眼107によって反射あるいは散乱された戻り光108となって戻され、ビームスプリッタ103によって、参照光105と合波される。
【0029】
参照光105と戻り光108とは合波された後、透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、ラインカメラ139に入射される。
【0030】
ラインカメラ139は位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼107の断層画像が構成される。
【0031】
また、戻り光108の一部はビームスプリッタ158-3によって、ディテクター138に入射される。ディテクター138は光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼107の平面画像が構成される。
【0032】
本実施例では、光学系の全体を主にレンズを用いた屈折光学系を用いて、構成しているが、レンズの代わりに球面ミラーを用いた反射光学系によっても構成することができる。
また、光学系の一部を光ファイバーを用いて構成することができる。
【0033】
つぎに、光源101の周辺について説明する。光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。
波長は830nm、バンド幅50nmである。
ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメーターである。
【0034】
また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
【0035】
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。
【0036】
観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。光源101から出射された光はシングルモードファイバー110を通して、レンズ111に導かれ、ビーム径2mmの平行光になるよう、調整される。
【0037】
つぎに、参照光105の光路について説明する。
ビームスプリッタ103によって分割された参照光105はミラー114-2に入射されて方向を変え、ミラー114-1に入射し、反射されることで、再びビームスプリッタ103に向かう。
【0038】
次に、参照光105はビームスプリッタ103を通過し、ラインカメラ139に導かれる。ここで、115は分散補償用ガラスである。
【0039】
分散補償用ガラス115は被検眼107に測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し、L1=23mmとする。
【0040】
さらに、117-1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
【0041】
また、電動ステージ117-1はパソコン125により高速に制御することができる。
【0042】
つぎに、測定光106の光路について説明する。
ビームスプリッタ103によって分割された測定光106は、ビームスプリッタ158-1、158-3、レンズ120-3、120-4を通過し、XYスキャナ119のミラーに入射される。
【0043】
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
【0044】
レンズ120-1、120-2は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
【0045】
ここでは、レンズ120-1、120-2の焦点距離はそれぞれ50mm、40mmである。ここで、測定光106のビーム径は2mm、焦点深度は被検眼107内で250μm程度である。
より高分解能な断層画像を取得するために、ビーム径はより大径化してもよい。
【0046】
しかし、焦点深度はビーム径の2乗に反比例するため、光学調整が困難になる。
また、117-2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するフォーカスレンズであるレンズ120-2の位置を、調整・制御することができる。
【0047】
レンズ120-2の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106を合焦し、観察することが可能になる。
また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。
測定光106は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となり、ビームスプリッタ103で反射され、ラインカメラ139に導かれる。
【0048】
また、戻り光108の一部はビームスプリッタ158-3で反射され、レンズ120-5を介して、ディテクター138に導かれる。ここで、172はピンホールを有する遮光板であり、戻り光108の内、網膜127に合焦していない不要な光を遮光する役割がある。また、遮光板172はピンホールがレンズ120-5の合焦位置に共役になるように配置される。また、ピンホールの直径は例えば50μmである。ディテクター138は例えば高速・高感度な光センサであるAPD(Avalanche Photo Diode)が用いられる。
【0049】
ここで、電動ステージ117-2はパソコン125により制御することができ、本実施例の特徴としている。
【0050】
また、ビームスプリッタ158-1にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ(実施例において収差測定手段に対応する)155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
【0051】
波面センサ155はパソコン125に電気的に接続されている。
【0052】
ここで、角膜126とXYスキャナ119と波面センサ155とは光学的に略共役になるよう、レンズ120-1?4が配置され、波面センサ155は被検眼107の収差を測定することが可能になっている。
【0053】
さらに、得られた収差に基づいてレンズ120-2の位置を調整・制御し、網膜127の所定の層に測定光106を合焦することが可能になっている。
【0054】
ここでは、レンズ120-2は球面レンズを用いているが、被検眼107の収差(屈折異常)によっては、レンズ120-2にシリンドリカルレンズを用いてもよい。
【0055】
また、新たなレンズを測定光106の光路に追加してもよい。シリンドリカルレンズはツェルニケ多項式のアスティグマの項の補正に効果的であり、また、被検眼107が乱視の場合に有効である。
【0056】
つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
OCT装置100は、マイケルソン干渉系による干渉信号の強度から構成される断層画像(OCT像)を取得することができる。
【0057】
その測定系について説明する。網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108の一部は、ビームスプリッタ103で反射される。
【0058】
ここで、参照光105と戻り光108とはビームスプリッタ103の後方で合波されるように調整される。
【0059】
そして、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が位置(波長)毎に電圧に変換される。
【0060】
具体的には、ラインカメラ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
【0061】
得られた電圧信号群はフレームグラバー140にてデジタル値に変換されて、パソコン125にてデータ処理され、断層画像が形成される。
【0062】
ここでは、ラインカメラ139は1024画素を有し、合波された光142の波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
【0063】
また、OCT装置100は、戻り光108の強度から構成される平面画像(SLO像)を取得することができる。
【0064】
その測定系について説明する。網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108の一部は、ビームスプリッタ158-3で反射される。反射された光は遮光板172によって不要な光が遮断された後、ディテクター138に到達し、光の強度が電気信号に変換される。
【0065】
得られた電気信号に対して、パソコン125にて走査信号と同期したデータ処理が行われ、平面画像が形成される。また、ビームスプリッタ158-1にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
波面センサ155はシャックハルトマン方式の波面センサである。
【0066】
得られた収差はツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼107の収差を示している。
【0067】
ツェルニケ多項式は、チルト(傾き)の項、デフォーカス(defocus)の項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。
【0068】
つぎに、OCT装置を用いた断層画像の取得方法について説明する。
OCT装置100は、XYスキャナ119を制御し、ラインカメラ139で干渉縞を取得することで、網膜127の断層画像を取得することができる(図1)。
【0069】
ここでは、図2を用いて網膜127の断層画像(光軸に平行な面)の取得方法について説明する。
【0070】
図2(a)は被検眼107の模式図であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。
図2(a)に示すように、測定光106は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインカメラ139に到達する。
【0071】
ここでは、光源101のバンド幅が広く、コヒーレンス長が短いために、参照光路の光路長と測定光路の光路長とが略等しい場合に、ラインカメラ139にて、干渉縞が検出できる。
上述のように、ラインカメラ139で取得されるのは波長軸上のスペクトル領域の干渉縞となる。
【0072】
次に、波長軸上の情報である干渉縞を、ラインカメラ139と透過型グレーティング141との特性を考慮して、光周波数軸の干渉縞に変換する。
【0073】
さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の情報が得られる。
【0074】
さらに、図2(b)に示すように、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、干渉縞を検知すれば、各X軸の位置毎に干渉縞が得られ、つまり、各X軸の位置毎の深さ方向の情報を得ることができる。
【0075】
結果として、XZ面での戻り光108の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち断層画像132である(図2(c))。
【0076】
本来は、断層画像132は上記説明したように、戻り光108の強度をアレイ状に並べたものであり、例えば強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものである。
【0077】
ここでは得られた断層画像の境界のみ強調して表示している。ここで、146は網膜色素上皮層、147は視神経線維層である。
【0078】
つぎに、OCT装置を用いた平面画像の取得方法について説明する。
OCT装置100は、XYスキャナ119を制御し、ディテクター138で戻り光108の強度を取得することで、網膜127の平面画像を取得することができる(図1)。
【0079】
ここでは、図2を用いて網膜127の平面画像(光軸に垂直な面)の取得方法について説明する。
【0080】
図2(a)は被検眼107の模式図であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。
図2(a)に示すように、測定光106は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108となり、ディテクター138に到達する。
【0081】
さらに、図2(b)に示すように、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、戻り光108の強度を検知すれば、各X軸の位置毎の情報を得ることができる。
【0082】
さらに、XYスキャナのY軸を駆動しながら戻り光108の強度を検知すれば、XY面での戻り光108の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち平面画像である。
【0083】
つぎに、本実施例の特徴であるOCT装置を用いた断層画像の取得手順について、図1、図3及び図4を用いて説明する。ここでは、断層画像の取得手順について説明するが、平面画像の取得にも同様の手順が適用できる。
【0084】
ここでは、図1に示されるように、OCT装置100は波面センサ155にて取得した、被検眼107の収差に基づいて、レンズ120-2の位置を電動ステージ117-2を用いて制御する。
【0085】
これにより、複数の断層画像を取得し、それらを合成することで、断層画像を取得することができる。
ここでは、2枚の断層画像を取得する場合について説明しているが、何枚であってもよい。
【0086】
特に、測定光106のビーム径が大きい場合には、測定光106の焦点深度が短くなるため、多くの断層画像を取得・合成することが有効である。
【0087】
図3はOCT装置100の断層画像の取得の手順について説明する図である。
ここでは、図3に示されているように、近視の被検眼107の網膜127の断層画像を取得する手段が構成されている。
もちろん、被検眼107が遠視や乱視であっても同様の手段を用いることができる。
【0088】
断層画像の取得する手段は以下の(1)?(6)の工程で、例えば連続して行うものである。
或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。図4に、上記断層画像の取得する手順を説明するフロー図を示す。
【0089】
(1)ステップ1(図4のS1)において、被検眼107に固視灯(固視標)156を注視させた状態で、測定光106を被検眼107に対して入射させる。
ここでは、測定光106が平行光の状態で、被検眼107に対して出射するように、レンズ120-2の位置が調整されている(図3(a))。
そして、ステップ2(図4のS2)において、戻り光108を波面センサ155で測定し、戻り光108の収差を得る(第1の工程)。
【0090】
(2)ステップ3(図4のS3)において、得られた収差をパソコン125にてツェルニケ多項式の表現に変換し、そのデフォーカスの成分をメモリーに記録する(第2の工程)。これは、被検眼107の視度を示している。
【0091】
(3)ステップ4(図4のS4)において、デフォーカスの成分が最小になるように、電動ステージ117-2を用いてレンズ120-2の位置を調整する(第3の工程)。
ここで、測定光106は網膜127の網膜色素上皮層(不図示)付近に合焦している状態となっている(図3(b))。例えば、被検眼107の視度が-5Dであった場合、レンズ120-2の位置を、レンズ120-1側に8mm動かすことになる。
【0092】
(4)ステップ5(図4のS5)において、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、ラインセンサ139にて干渉縞を検知して、第1の断層画像157-1(XZ面)を得る(図3(c))。
ここで、断層画像157における破線は横解像度とコントラストの低い様子を模式的に示している。
つまり、断層画像157-1は網膜色素上皮層146付近の撮像が良好である様子を示している。
【0093】
(5)ステップ6(図4のS6)において、パソコン125を用いて、電動ステージ117-2を制御し、レンズ120-2の位置を調整し、測定光106を視神経線維層147の付近に合焦させる(第5の工程)。
ここで、レンズ120-2の移動量は(2)で測定した被検眼107の視度に基づいて行う。
そして、ステップ7(図4のS7)において、上記(4)と同様に第2の断層画像157-2を得る(図3(d))。
【0094】
(6)ステップ8(図4のS8)において、第1の断層画像157-1と第2の断層画像157-2とを合成し断層画像132を得る(図3(e))。
ここで、断層画像132は測定範囲全域において解像度とコントラストが良好であることを示している。
【0095】
以上のように、収差に基づいてフォーカスレンズを調整するフォーカス調整手段を構成することで、被検査物の自体の有する収差を計測し、該収差を補正するように前記フォーカスレンズを調整することが可能になる。
【0096】
その結果、高横分解能・高測定感度の平面画像・断層画像を得ることが可能になる。
【0097】
また、合焦状態を定量化することができ、簡単にフォーカスレンズを調整し、撮像前の調整を簡単に行うことができる。
【0098】
また、フォーカスレンズの調整をデフォーカスの成分に基づいて行うことが可能になる。
【0099】
なお、上記手順ではデフォーカスの成分に基づく場合について説明したが、前記デフォーカスの成分と前記アスティグマの成分との少なくともいずれかの成分に基づいて、前記フォーカスレンズを調整するように構成することができる。特に、フォーカスレンズにシリンドリカルレンズを用いる場合に特に有効である。結果として、被検眼が近視、遠視、乱視であっても適切にフォーカスレンズを調整することが可能になる。
【0100】
また、被検査物である被検眼に注視させるための固視標を有することで、ブレの無い断層画像を取得することが可能になる。
【0101】
また、合焦位置の異なる複数の断層画像を合成して単一の断層画像を取得できるよう構成することで、光軸方向に広い領域で高横分解能の断層画像を取得することが可能になる。
【0102】
[実施例2]
実施例2においては、本発明を適用した、OCT装置について説明する。
ここでは特に、被検眼の断層画像(OCT像)を撮像する高横分解能のOCT装置について説明する。
【0103】
本実施例では、被検眼にて発生する測定光と戻り光の収差を可変形状ミラー(実施例において収差補正手段に対応する)を用いて補正して断層画像を取得するフーリエドメイン方式のOCT装置が構成され、被検眼の視度や収差によらず良好な断層画像が得られるようにされている。図5を用いて、まず、本実施例におけるOCT装置の光学系の全体の概略構成について説明する。
【0104】
図5には図1の実施例1と同じ構成には同一の符号が付されているので、共通する部分の説明は省略する。
【0105】
図5において、131は光カプラー、135はレンズである。
130はシングルモードファイバー、153は偏光コントローラである。
159は可変形状ミラーである。
【0106】
本実施例のOCT装置100は、図5に示されるように、全体として、マイケルソン干渉系を構成している。
【0107】
図5において、光源101から出射された光は、光ファイバー130-1と光カプラー131とを介して、参照光105と測定光106とに、90:10の割合で分割される。
【0108】
測定光106は、光ファイバー130-4と可変形状ミラー159とXYスキャナ119等を介して、観察対象である被検眼107に導かれる。
【0109】
さらに、被検眼107にて、測定光106は反射や散乱により戻り光108となって戻され、光カプラー131によって、参照光105と合波される。
【0110】
参照光105と戻り光108とは合波された後、ラインカメラ139に入射され、得られた光強度を用いて、被検眼107の断層画像が構成される。
【0111】
つぎに、光源101の周辺について説明する。
【0112】
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)であり、実施例1の光源101と同様であるため説明を省略する。
【0113】
光源101から出射された光はシングルモードファイバー130-1を通して、光カプラー131に導かれ、強度比90:10で分割され、それぞれ参照光105、測定光106となる。
【0114】
つぎに、参照光105の光路について説明する。
【0115】
光カプラー131にて分割された参照光105はシングルモードファイバー130-2を通して、レンズ135-1に導かれ、ビーム径2mmの平行光になるよう、調整される。
【0116】
次に、参照光105は、ミラー114-2?3によって、参照ミラーであるミラー114-1に導かれる。
【0117】
次に、ミラー114-1にて反射され、再び光カプラー131に導かれる。ここで、参照光105が通過した分散補償用ガラス115は被検眼107とレンズ135-4?10とに測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
【0118】
分散補償用ガラス115の長さはL2であり、ここではL2=50mmとする。さらに、117-1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
【0119】
また、電動ステージ117-1はパソコン125によって制御される。
【0120】
つぎに、測定光106の光路について説明する。
【0121】
光カプラー131によって分割された測定光106はシングルモードファイバー130-4を介して、レンズ135-4に導かれ、ビーム径2mmの平行光になるよう調整される。
【0122】
測定光106は、ビームスプリッタ158-2とレンズ135-5?6を通過し、可変形状ミラー159に入射される。
【0123】
ここで、可変形状ミラー159は波面センサ155にて検知した収差に基づいて、測定光106と戻り光108との収差を、ミラー形状を自在に変形させることで補正するミラーデバイスである。ここでは、収差を補正するデバイスとして可変形状ミラーを用いたが、収差を補正できればよく、液晶を用いた空間光位相変調器等を用いることもできる。
【0124】
次に、レンズ135-7?8を通過し、XYスキャナ119のミラーに入射される。
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
レンズ135-9、135-10は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
【0125】
ここでは、レンズ135-9、135-10の焦点距離はそれぞれ50mm、40mmである。
また、117-2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ135-10の位置を、調整・制御することができる。
【0126】
レンズ135-10の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106を集光し、観察することが可能になる。
また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。測定光106は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となり、再び光カプラー131に導かれ、ラインカメラ139に到達する。
【0127】
ここで、電動ステージ117-2はパソコン125により制御することができ、本実施例の特徴としている。
また、ビームスプリッタ158-2にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
波面センサ155はパソコン125に電気的に接続されている。
【0128】
得られた収差はパソコン125を用いて、ツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼107の有する収差を示している。
得られた収差はツェルニケ多項式を用いて表現される。
【0129】
さらに、ツェルニケ多項式のデフォーカスの成分については、レンズ135-10の位置を電動ステージ117-2を用いて制御して、補正することができる。デフォーカス以外の成分については、可変形状ミラー159の表面形状を制御して、補正することができ、本実施例の特徴としている。
【0130】
ここで、角膜126とXYスキャナ119と波面センサ155と可変形状ミラー159とは光学的に共役になるよう、レンズ135-5?10が配置され、波面センサ155は被検眼107の有する収差を測定することを可能にしている。
【0131】
ここでは、レンズ135-10は球面レンズを用いているが、被検眼107の収差(屈折異常)によっては、レンズ135-10にシリンドリカルレンズを用いてもよい。
また、新たなレンズを測定光106の光路に追加してもよい。
【0132】
シリンドリカルレンズはツェルニケ多項式のアスティグマの項の補正に効果的であり、また、被検眼107が乱視の場合に有効である。
【0133】
さらに、得られた収差に基づいてレンズ135-10の位置を調整・制御し、網膜127の所定の層に測定光106を集光した状態で、可変形状ミラー159の表面形状を制御する。
【0134】
そして、被検眼107で発生する収差を補正し、より高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
【0135】
OCT装置100は、マイケルソン干渉系による干渉信号の強度から構成される断層画像(OCT像)を取得することができる。
【0136】
その測定系について説明すると、網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108は、参照光105と光カプラー131にて合波される。
【0137】
そして、合波された光142は光ファイバー130-3とレンズ135-2とを介して、透過型グレーティング141に入射される。
【0138】
また、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135-2で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が位置(波長)毎に電圧に変換される。
【0139】
具体的には、ラインカメラ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
【0140】
得られた電圧信号群はフレームグラバー140にてデジタル値に変換されて、パソコン125にてデータ処理を行い断層画像を形成する。
【0141】
ここでは、ラインカメラ139は1024画素を有し、合波された光142の波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
【0142】
また、ビームスプリッタ158-2にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
波面センサ155はシャックハルトマン方式の波面センサである。
【0143】
得られた収差はツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼107の収差を示している。ツェルニケ多項式は、チルト(傾き)の項、デフォーカスの項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。
【0144】
なお、OCT装置を用いた断層画像の取得方法は、実施例1と同一であるため説明を省略する。
【0145】
OCT装置100は、XYスキャナ119を制御し、ラインカメラ139で干渉縞を取得することで、網膜127の断層画像を取得することができる。
【0146】
次に、図5?図7を用いて、本実施例の特徴であるOCT装置を用いた断層画像の取得手順について説明する。
【0147】
ここでは、OCT装置100は波面センサ155にて取得した、被検眼107の収差に基づいて、可変形状ミラー159の表面形状を制御し、被検眼107で発生する測定光106や戻り光108の収差を補正し、より高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。
【0148】
さらに、可変形状ミラー159を用いて収差を補正した状態で、レンズ135-10の位置を電動ステージ117-2を用いて制御することで、2枚の断層画像を取得し、それらを合成することで、高横分解能の断層画像を取得することができる(図5)。
【0149】
ここでは、2枚の断層画像を取得しているが、何枚であってもよい。特に、測定光106のビーム径が大きい場合には、測定光106の焦点深度が短くなるため、多くの断層画像を取得・合成することが有効である。
【0150】
図6はOCT装置100の断層画像の取得の手順について説明する図である。
ここでは、近視の被検眼107の網膜127の断層画像を取得する手段を説明する。
断層画像の取得する手段は以下の(1)?(7)の工程で、例えば連続して行うものである。
【0151】
或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。また、コンピュータ等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。
【0152】
図7に、上記断層画像の取得する手順を説明するフロー図を示す。
【0153】
(1)ステップ1(図7のS1)において、被検眼107に固視灯156を注視させた状態で、測定光106を被検眼107に対して入射する。
ここでは、測定光106は平行光の状態で被検眼107に対して出射するように、レンズ135-10の位置が調整されている(図6(a))。
ここで、測定光106のビーム径は2mm、焦点深度は被検眼107内で250μm程度である。
そして、ステップ2(図7のS2)において、戻り光108を波面センサ155で測定し、ステップ3(図7のS3)において、戻り光108の収差を得る(第1の工程)。
【0154】
(2)得られた収差をパソコン125にてツェルニケ多項式の表現に変換し、そのデフォーカスの成分をメモリーに記録する(第2の工程)。これは、被検眼107の視度を示している。
【0155】
(3)ステップ4(図7のS4)において、デフォーカスの成分が最小になるように、電動ステージ117-2を用いてレンズ135-10の位置を調整する(第3の工程)。ここで、測定光106は網膜127の網膜色素上皮層(不図示)付近に合焦している状態となっている(図6(b))。
【0156】
(4)ステップ5(図7のS5)において、戻り光108を波面センサ155で測定し、被検眼107の収差を得る。
ステップ6(図7のS6)において、得られた収差が最小になるように、可変形状ミラー159の表面形状を制御する(第4の工程)。
ここでは、収差が最小になるように、波面センサ155、可変形状ミラー159、パソコン125を用いてフィードバック制御を行い、リアルタイムに可変形状ミラー159の表面形状を制御する。ここでは、収差のうち、デフォーカスの成分あるいはアスティグマの成分を無視してフィードバック制御を行い、制御の高速化を図ってもよい。
【0157】
(5)ステップ7(図7のS7)において、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、ラインセンサ139にて干渉縞を検知して、第1の断層画像157-1(XZ面)を得る(図6(c))。
ここで、断層画像157における破線は横解像度とコントラストの低い様子を模式的に示している。つまり、断層画像157-1は網膜色素上皮層146付近の撮像が良好である様子を示している。
【0158】
(6)ステップ8(図7のS8)において、パソコン125を用いて、電動ステージ117-2を制御し、レンズ135-10の位置を調整し、測定光106を視神経線維層147の付近に合焦させる(第5の工程)。
ここで、レンズ135-10の移動量は(2)で測定した被検眼107の視度に基づいて行う。
そして、ステップ9(図7のS9)において、上記(4)と同様に第2の断層画像157-2を得る(図6(d))。
【0159】
(7)ステップ10(図7のS10)において、第1の断層画像157-1と第2の断層画像157-2とを合成し断層画像132を得る(図6(e))。
ここで、断層画像132は測定範囲全域において解像度とコントラストが良好であることを示している。
さらに、本実施例では被検眼107の収差が補正されているため、実施例1と比較して、高横分解能、高コントラストの断層画像が取得される。
【0160】
[実施例3]
実施例3においては、本発明を適用した、OCT装置について説明する。
【0161】
ここでは特に、被検眼の断層画像(OCT像)を撮像する高横分解能のOCT装置について説明する。
【0162】
本実施例では、被検眼の収差を可変形状ミラー(実施例における収差補正手段に対応する)を用いて補正して断層画像を取得するフーリエドメイン方式のOCT装置が構成され、被検眼の視度や収差によらず良好な断層画像が得られるようにされている。
【0163】
本実施例においては、光学系の全体を主に球面ミラーを用いた反射光学系を用いて、構成している。
【0164】
図8を用いて、まず、本実施例におけるOCT装置の光学系の全体の概略構成について説明する。
図8には図5の実施例2と同じ構成には同一の符号が付されているので、共通する部分の説明は省略する。
図8において、157はミラー、160は球面ミラーである。
【0165】
本実施例のOCT装置100は、図8に示されるように、全体として、マイケルソン干渉系を構成している。
【0166】
図5において、光源101から出射された光は、光ファイバー130-1と光カプラー131とを介して、参照光105と測定光106とに、90:10の割合で分割される。
【0167】
測定光106は、光ファイバー130-4と球面ミラー160-1?9と可変形状ミラー159とXYスキャナ119等を介して、観察対象である被検眼107に導かれる。
【0168】
さらに、被検眼107にて、測定光106は反射や散乱により戻り光108となって戻され、光カプラー131によって、参照光105と合波される。
【0169】
参照光105と戻り光108とは合波された後、ラインカメラ139に入射され、得られた光強度を用いて、被検眼107の断層画像が構成される。
【0170】
つぎに、光源101の周辺について説明する。
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)であり、実施例1の光源101と同様であるため説明を省略する。
【0171】
光源101から出射された光はシングルモードファイバー130-1を通して、光カプラー131に導かれ、強度比90:10で分割され、それぞれ参照光105、測定光106となる。
【0172】
つぎに、参照光105の光路について説明する。
光カプラー131にて分割された参照光105はシングルモードファイバー130-2を通して、レンズ135-1に導かれ、ビーム径2mmの平行光になるよう、調整される。
【0173】
次に、参照光105は、ミラー157-1?4によって、参照ミラーであるミラー114に導かれる。
次に、ミラー114にて反射され、再び光カプラー131に導かれる。ここで、参照光105が通過した分散補償用ガラス115は被検眼107に測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
【0174】
分散補償用ガラス115の長さはL3であり、ここではL3=40mmとする。さらに、117-1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
【0175】
また、電動ステージ117-1はパソコン125によって制御される。
また、参照光105の光路長は後述の測定光106の光路長と略等しくなっている。そのため、参照光105の光路長は実施例2と比較して長くなっている。
【0176】
つぎに、測定光106の光路について説明する。
光カプラー131によって分割された測定光106はシングルモードファイバー130-4を介して、レンズ135-4に導かれ、ビーム径2mmの平行光になるよう調整される。
【0177】
測定光106は、ビームスプリッタ158と球面ミラー160-1?2を介し、可変形状ミラー159に入射される。
【0178】
ここで、可変形状ミラー159は波面センサ155にて検知した収差に基づいて、測定光106と戻り光108との収差を、ミラー形状を自在に変形させることで補正するミラーデバイスである。ここでは、収差を補正するデバイスとして可変形状ミラーを用いたが、収差を補正できればよく、液晶を用いた空間光位相変調器等を用いることもできる。
【0179】
次に、レンズ160-3?6を介し、XYスキャナ119のミラーに入射される。
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
【0180】
球面ミラー160-7?9は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
また、117-2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随する球面ミラー160-8の位置を、調整・制御することができる。
【0181】
球面ミラー160-8の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106を集光し、観察することが可能になる。
【0182】
また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。測定光106は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となり、再び光カプラー131に導かれ、ラインカメラ139に到達する。
【0183】
ここで、電動ステージ117-2はパソコン125により制御することができ、本実施例の特徴としている。
【0184】
また、ビームスプリッタ158にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
波面センサ155はパソコン125に電気的に接続されている。
【0185】
得られた収差はパソコン125を用いて、ツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼107の有する収差を示している。
得られた収差はツェルニケ多項式を用いて表現され、本実施例の特徴としている。
【0186】
さらに、ツェルニケ多項式のデフォーカスの成分については、球面ミラー160-8の位置を電動ステージ117-2を用いて制御して、補正することができる。デフォーカス以外の成分については、可変形状ミラー159の表面形状を制御して、補正することができ、本実施例の特徴としている。
【0187】
ここで、角膜126とXYスキャナ119と波面センサ155と可変形状ミラー159とは光学的に共役になるよう、球面ミラー160-1?9が配置され、波面センサ155は被検眼107の有する収差を測定することを可能にしている。
【0188】
さらに、得られた収差に基づいて球面ミラー160-8の位置を調整・制御し、網膜127の所定の層に測定光106を集光した状態で、可変形状ミラー159の表面形状を制御する。
【0189】
そして、被検眼107で発生する収差を補正し、より高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。
【0190】
前述の参照光105と戻り光108とは、光カプラー131にて合波され、さらに90:10に分割される。
【0191】
そして、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135-3で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が各位置(波長)毎に電圧に変換される。
【0192】
具体的には、ラインカメラ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
【0193】
得られた電圧信号群はフレームグラバー140にてデジタル値に変換されて、パソコン125にてデータ処理を行い断層画像を形成する。
【0194】
ここでは、ラインカメラ139は1024画素を有し、合波された光142の波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
【0195】
つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
OCT装置100は、マイケルソン干渉系による干渉信号の強度から構成される断層画像(OCT像)を取得することができる。
その測定系については実施例2と同様であるため、説明を省略する。
【0196】
次に、本実施例の特徴であるOCT装置を用いた断層画像の取得方法について説明する。
【0197】
その断層画像の測定方法についても実施例2と同様であるため、説明を省略する。但し、ここでは、実施例2のレンズ135-10の代わりに、球面ミラー160-8を用いて、測定光106の合焦位置を調整している。
【0198】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。なお、記憶媒体は、コンピュータに実行させるためのプログラムを格納するものである。
【符号の説明】
【0199】
101 光源
103、158 ビームスプリッタ
105 参照光
106 測定光
107 被検眼
108 戻り光
111、120、135 レンズ
114 ミラー
115 分散補償用ガラス
117 電動ステージ
119 XYスキャナ
125 パソコン
126 角膜
127 網膜
138 ディテクター
172 遮光板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像装置であって、
前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズと、
前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整手段と、
前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する取得手段と、
前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成手段と、
前記戻り光の収差を測定する収差測定手段と、を備え、
前記調整手段は、前記収差測定手段により測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする光画像撮像装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記収差を表現しているツェルニケ多項式におけるデフォーカスの成分とアスティグマの成分とのうち少なくとも一つの成分に基づいて、前記レンズを調整することを特徴とする請求項2に記載の光画像撮像装置。
【請求項4】
前記調整手段により前記デフォーカスの成分に基づいて前記レンズを調整した後に、前記収差のうち前記デフォーカスの成分と前記アスティグマの成分とのうち少なくとも一つの成分を除いた収差に基づいて、前記測定光と前記戻り光とのうち少なくとも一つの光の収差の補正を行う収差補正手段を有することを特徴とする請求項3に記載の光画像撮像装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記収差を表現しているツェルニケ多項式におけるデフォーカスの成分が閾値以下になるように、前記レンズの光軸方向の位置を調整することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光画像撮像装置。
【請求項6】
光源からの光を前記測定光と前記参照光とに分割する手段と、
前記戻り光と参照光路を経由した前記参照光とを干渉させる手段と、
前記干渉した光による信号の強度を検出する手段と、を有し、
前記取得手段は、前記検出する手段の検出結果に基づいて、前記複数の断層画像を取得することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光画像撮像装置。
【請求項7】
前記レンズは、シリンドリカルレンズであり、
前記調整手段は、前記収差を表現しているツェルニケ多項式におけるアスティグマ成分に基づいて、前記シリンドリカルレンズを調整することを特徴とする請求項2に記載の光画像撮像装置。
【請求項8】
前記被検査物は、被検眼であり、
前記被検眼に注視させるための固視標を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光画像撮像装置。
【請求項9】
前記被検査物は、被検眼の眼底であることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の光画像撮像装置。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
測定光を照射した被検査物からの戻り光と前記測定光に対応する参照光とを合波した光を用いて、前記被検査物の画像を取得する光画像撮像方法であって、
前記測定光を前記被検査物に合焦させるレンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整する調整工程と、
前記深さ方向における異なる合焦位置のそれぞれにおいて前記被検査物の断層画像を取得する工程と、
前記異なる合焦位置で取得された複数の断層画像を合成することで1の断層画像を取得する合成工程と、
前記被検査物の収差を測定する収差測定工程と、を備え、
前記調整工程では、前記収差測定工程において測定された収差を低減するように前記レンズを移動させることで前記被検査物の深さ方向における合焦位置を調整することを特徴とする光画像撮像方法。
【請求項12】
前記調整工程では、前記収差を表現しているツェルニケ多項式におけるデフォーカスの成分とアスティグマの成分とのうち少なくとも一つの成分に基づいて、前記レンズを調整することを特徴とする請求項11に記載の光画像撮像方法。
【請求項13】
前記レンズは、シリンドリカルレンズであり、
前記調整工程では、前記収差を表現しているツェルニケ多項式におけるアスティグマ成分に基づいて、前記シリンドリカルレンズを調整することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の光画像撮像方法。
【請求項14】
前記被検査物は、被検眼の眼底であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の光画像撮像方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の光画像撮像方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-06-01 
出願番号 特願2010-47052(P2010-47052)
審決分類 P 1 652・ 113- XA (A61B)
P 1 652・ 121- XA (A61B)
P 1 652・ 537- XA (A61B)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 九鬼 一慶  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
藤田 年彦
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5743411号(P5743411)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 光画像撮像装置及びその方法  
代理人 黒岩 創吾  
代理人 阿部 琢磨  
代理人 阿部 琢磨  
代理人 黒岩 創吾  

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