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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C02F |
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管理番号 | 1322569 |
審判番号 | 訂正2016-390119 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2016-09-02 |
確定日 | 2016-10-27 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5806793号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5806793号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第5806793号(以下、「本件特許」という。)は、平成20年2月21日に出願され、平成27年9月11日に特許権の設定登録がなされたものであって、その後、平成28年9月2日付けで本件訂正審判が請求されたものである。 2.請求の趣旨及び内容 本件審判の請求は、本件特許の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その内容は次の訂正事項のとおりである。 訂正事項 特許請求の範囲の請求項1に、 「塩素系酸化剤を添加して遊離塩酸を発生させ、前記スルファミン酸化合物と前記遊離塩酸との反応により結合塩素を再生させて、」 と記載されているのを、 「塩素系酸化剤を添加して遊離塩素を発生させ、前記スルファミン酸化合物と前記遊離塩素との反応により結合塩素を再生させて、」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?4も同様に訂正する)。 3.当審の判断 (1)訂正の目的について 本件特許の明細書の【0012】には、「本発明に係る水系処理剤の濃度制御方法は、遊離塩素を水系に発生させることで、この水系の結合塩素の量を制御することを少なくとも行うものである。遊離塩素を水系に発生させることで、水系内に残留する塩素安定化剤と結合させることができる。これにより、結合塩素を再生させることができる。本発明においては、処理対象とする被処理水中に遊離塩素を生成させればよく、少なくとも遊離塩素を所定濃度以上で水系内に残留させることで、効率よく結合塩素として再生させることができる。」と記載され、【0014】には、「結合塩素は、塩素安定化剤と遊離塩素が結合することで生成させることができる。この塩素安定化剤は塩素安定化効果のある剤であればよく、その種類は限定されない。例えば、スルファミン酸、ヒダントイン等が挙げられる。」と記載され、【0016】には、「例えば、遊離塩素とスルファミン酸を水系に共存させると、水系内で結合してクロロスルファミン酸化合物となり結合塩素として再生させることができる。例えば、塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物、あるいは塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物からなるクロロスルファミン酸系結合塩素剤等を被処理水に共存せしめた場合、酸性域からアルカリ性域にわたる広範なpH範囲であっても、被処理水中における遊離塩素濃度が大きく変化しないという特徴がある。」と記載され、【0027】には、「水系内で結合塩素が消耗されることによって塩素安定化剤が生じ得るが、本発明では遊離塩素を塩素安定化剤と反応させることで結合塩素として再生させることができる。これによって塩素安定化剤を有効利用でき、塩素安定化剤等が水系内に蓄積すること等が防止できる。」と記載されている。 してみると、塩素安定化剤であるところのスルファミン酸化合物と反応して結合塩素を再生するのは、「遊離塩素」であり、訂正前の「塩素系酸化剤を添加して遊離塩酸を発生させ、前記スルファミン酸化合物と前記遊離塩酸との反応により結合塩素を再生させて、」は、「塩素系酸化剤を添加して遊離塩素を発生させ、前記スルファミン酸化合物と前記遊離塩素との反応により結合塩素を再生させて、」の誤記であることが明らかである。 そうすると、訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項について 上記(1)で検討したとおり、訂正事項は、本件特許の明細書の【0012】、【0014】、【0016】、【0027】の記載により導かれる。そして、本件特許の明細書の【0012】、【0014】、【0016】、【0027】の記載は、本件特許の出願当初の明細書の【0012】、【0014】、【0016】、【0027】の記載と同じである。 また、その他の本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載を検討しても、訂正事項は、本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項は、上記(1)で検討したとおり、誤記の訂正を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 したがって、訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1?4に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 4.むすび 本件審判の請求は、特許権全体に対してされたものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5?7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 結合塩素剤を添加し、該結合塩素剤から生じるスルファミン酸化合物を含む循環水系に、塩素系酸化剤を添加して遊離塩素を発生させ、前記スルファミン酸化合物と前記遊離塩素との反応により結合塩素を再生させて、該水系の結合塩素の量を制御する水系処理剤の濃度制御方法。 【請求項2】 前記結合塩素の量の制御は、前記水系内の遊離塩素濃度を制御することにより行うことを特徴とする請求項1記載の水系処理剤の濃度制御方法。 【請求項3】 前記水系内の遊離塩素濃度を、0.05mg-Cl/L以上とすることを特徴とする請求項1又は2記載の水系処理剤の濃度制御方法。 【請求項4】 前記遊離塩素は、次亜塩素酸と亜塩素酸と二酸化塩素と塩素ガスの少なくともいずれか一つを前記水系に添加することによって生成させることを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載の水系処理剤の濃度制御方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2016-09-27 |
結審通知日 | 2016-09-29 |
審決日 | 2016-10-18 |
出願番号 | 特願2008-39924(P2008-39924) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(C02F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 金 公彦 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
瀧口 博史 大橋 賢一 |
登録日 | 2015-09-11 |
登録番号 | 特許第5806793号(P5806793) |
発明の名称 | 水系処理剤の濃度制御方法 |
代理人 | 渡邊 薫 |
代理人 | 渡邊 薫 |