• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
管理番号 1323070
審判番号 不服2016-4272  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-22 
確定日 2016-12-22 
事件の表示 特願2014-172404「画像記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-218380〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成22年6月17日に出願した特願2010-138771号の一部を平成26年8月27日に新たな特許出願としたものであって、同年9月26日に手続補正書が提出され、平成27年7月17日付けで拒絶理由が通知され、同年9月28日に意見書と手続補正書が提出され、同年12月15日付けで拒絶査定(謄本送達日同月22日)がなされ、平成28年3月22日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成27年9月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「シートに画像を記録するプリンタ部を有する画像記録装置であって、
前記プリンタ部は、
前記画像記録装置の背面側においてシートを下方から上方へUターンさせて搬送する第1搬送路と、
前記画像記録装置の背面から前記第1搬送路へ通ずる第2搬送路と、
前記第1搬送路に案内されるシートを支持する給紙カセットと、
前記画像記録装置の背面において起立姿勢及び傾倒姿勢に回動可能に設けられており、前記傾倒姿勢において前記第2搬送路に案内されるシートを支持するトレイと、
前記第2搬送路に侵入した異物を取り込んで貯留する異物収集部、及び、前記異物収集部に設けられ前記第2搬送路を案内されるシートをガイドする複数のリブを備えた搬送処理構造体と、を有し、
前記搬送処理構造体は、前記複数のリブによって前記第2搬送路を案内されるシートをガイドするガイド姿勢及び前記異物収集部を前記画像記録装置外部へ露出させる露出姿勢に回動可能であることを特徴とする画像記録装置。」

3 刊行物
(1)特開平10-297794号公報(以下「引用例1」という。)
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。

ア 「【0008】まず、本発明のジャムアクセスカバーを備えた電子写真式画像記録装置概略構成について、図1、図2により説明する。プロセスユニットPUが、画像記録装置Pの上部に配設され、該プロセスユニットPUはドラムユニット10と現像器ユニット4などとから成っている。ドラムユニット10内には、感光体ドラム1が配設され、該感光体ドラム1の周囲にその回転方向(矢視A)に沿って帯電器2、光書き込みユニット(LEDヘッドアレイ)3、現像器ユニット4、転写器5、メモリ除去部材51、絶縁性部材52が順に配設されている。」

イ 「【0010】ドラムユニット10の下流側には、用紙に転写されたトナー像を定着するための定着ユニット6が配設され、該定着ユニット6は互いに圧接された加熱ローラ61と加圧ローラ62とで構成されている。ドラムユニット10の上流側には、フィードローラ71・79、ピックアップローラ73、下ガイド78、及び上ガイド77などから構成される用紙搬送経路7が設けられて、給紙カセット74から繰り出された用紙を、プロセスユニットPUが設置されたプロセス部へ搬送するよう構成している。
【0011】前記フィードローラ79は駆動ローラ75と従動ローラ72とで構成され、該従動ローラ72はジャムアクセスカバー91に取付けられている。ジャムアクセスカバー91は、回動支点91aを中心にして外側方向へ回動可能に構成して、該ジャムアクセスカバー91上部には手差し用紙用の用紙搬送路80が形成され、手差し供給口80aから供給された手差し用紙を該用紙搬送路80によりプロセス部へ搬送する。手差し供給口80aから用紙を供給した場合には、用紙搬送路80に設けたセンサ81により、該用紙搬送路80へ手差し用紙が供給されたことを検知して、給紙カセット74からの用紙の搬送は停止する。そして、ジャムアクセスカバー91上方の装置本体21には手差しトレイ86を取付けて、手差し供給口80aから供給する用紙を支持可能にしている。」

ウ 「【0013】次に、ジャムアクセスカバーについて図2、図3により説明する。まず、給紙カセット74内に堆積した用紙は、押し上げ板74aにより給紙カセット74の上方に設けたピックアップローラ73に押接され、該給紙カセット74内の最上部に位置する用紙は、ピックアップローラ73の回転動作に伴って、分離爪74bにより他の用紙と分離されるとともに、図2における右側へ繰り出される。給紙カセット74の用紙繰り出し方向には用紙搬送経路7を形成しており、該用紙搬送経路7は上方へ屈曲して、その後プロセスユニットPUが配置されたプロセス部まで延設して、略U字状に形成し、給紙カセット74端部から繰り出された用紙を、プロセス部まで搬送するよう構成している。」

エ 「【0015】ジャムアクセスカバー91の上部には手差し供給口80aを設けて、該手差し供給口80aから用紙を手差しによって装置へ供給し、用紙搬送路80を通過して前記プロセス部へ案内するようにしている。手差し供給口80aはその幅寸法を、供給する用紙の幅寸法より大きく形成し、用紙搬送路80はジャムアクセスカバー91とフレーム28とによって形成され、該用紙搬送路80の先端は前記用紙搬送経路7と合流している。そして、フレーム28に配設した駆動ローラ85と、ジャムアクセスカバー91に取付けた従動ローラ82とを対向して配置するとともに、従動ローラ82をバネ27によって駆動ローラ85側に付勢して両ローラ82・85を圧接し、該駆動ローラ85の回転によって手差し供給口80aから供給された用紙をプロセス部へ搬送するように構成している。」

オ 「【0017】そして、ジャムアクセスカバー91は、回動支点91aを中心として装置外側方向へ回動可能に構成している。前記用紙搬送路7及び用紙搬送路80の一方の路壁はジャムアクセスカバー91によって形成されており、従動ローラ72・82は該ジャムアクセスカバー91に取付けられているので、ジャムアクセスカバー91を装置外側方向へ回動することで、用紙搬送路7・82が外部に開放される。」

上記イの【0010】及びウ、エには「用紙搬送経路7」との記載がある一方、オには「用紙搬送路7」との記載があるが、これらは同一の意味であることは自明である。また、オには「用紙搬送路7・82」との記載があるが、これは「用紙搬送路7・80」の誤記であることは自明である。
したがって、上記アないしオの記載を総合すると、引用例1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「電子写真式画像記録装置であって、プロセスユニットが、画像記録装置の上部に配設され、
用紙搬送路7が設けられて、給紙カセットから繰り出された用紙を、プロセスユニットが設置されたプロセス部へ搬送し、
ジャムアクセスカバーは、回動支点を中心にして外側方向へ回動可能に構成して、該ジャムアクセスカバー上部には手差し用紙用の用紙搬送路80が形成され、手差し供給口から供給された手差し用紙を該用紙搬送路80によりプロセス部へ搬送し、
ジャムアクセスカバー上方の装置本体には手差しトレイを取付けて、手差し供給口から供給する用紙を支持可能にし、
給紙カセットの用紙繰り出し方向には用紙搬送路7を形成しており、該用紙搬送路7は上方へ屈曲して、その後プロセスユニットが配置されたプロセス部まで延設して、略U字状に形成し、給紙カセット端部から繰り出された用紙を、プロセス部まで搬送し、
該手差し供給口から用紙を手差しによって装置へ供給し、用紙搬送路80を通過して前記プロセス部へ案内し、
用紙搬送路80はジャムアクセスカバーとフレームとによって形成され、該用紙搬送路80の先端は前記用紙搬送路7と合流し、
フレームに配設した駆動ローラと、ジャムアクセスカバーに取付けた従動ローラによって手差し供給口から供給された用紙をプロセス部へ搬送し、
用紙搬送路7及び用紙搬送路80の一方の路壁はジャムアクセスカバーによって形成されており、ジャムアクセスカバーを装置外側方向へ回動することで、用紙搬送路7、80が外部に開放される電子写真式画像記録装置。」

(2)実願昭57-21357号(実開昭58-123843号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)
原査定の拒絶の理由で引用した引用例2には、以下の記載がある。

ア 「3.考案の詳細な説明
本考案は、マイクロフィルムカメラ、複写機等の画像記録装置、あるいはシート状書類を分類する事務機などのように、所定の本体装置内にシート状の物体(以下単にシートと称する)を送り込んで適宜の処理を行なう装置に適用するシート送り込みのための給送ガイドの構造に関するものである。」(明細書第1頁第9行ないし第16行)

イ 「ところでこのような給送ガイド機構をもつ種々の装置に送り込みするシートは、一般にその複数枚のクリップ、虫ピン等によりとじてあるものが多く、これらのシートを一枚一枚給送口から本体の装置内に送り込むためにクリップ等を前記給送口付近で外す作業をすることにより、これらクリップ等を給送口へ落したり、あるいは外し忘れたりした場合にこれが給送ガイドから本体装置内に入って送りローラーを傷つけたり、装置をこわしてしまうことがあった。
そこで本考案は、給送ガイド上に落とされることのある異物が本体装置内に入り込まないようにすることを目的としてなされたものである。」(明細書第2頁第6行ないし第18行)

ウ 「図において1は給送ガイドであり、本体装置の給送口に配置された上送りローラー2および下送りローラー3が形成するニップ部に対して、シート(図示せず)を滑り込ませるように傾斜したガイド面を備えている。そしてこの給送ガイド1のガイド面にはシート搬送方向に沿って複数本のガイド底上げ用のリブ1’、1’…が形成されている。
4は、前記給送ガイド1の傾斜下縁部に形成された箱溝状の異物受けであり、本体装置給送口の幅方向全長(給送ガイドの幅方向全長)に渡るように設けられている。
このような構成によれば、給送シート(図示せず)はリブ1’、1’…上に載せられた状態で給送ガイド1を滑り落ちて一対の送りローラー2、3に挟み込まれて本体装置内に送り込まれる。
他方、給送ガイド1上に落されることのある異物は、リブ1’、1’…の間に落ちて滑り落ち、給送ガイド1の傾斜下縁部に設けた異物受け4内に入り、給送口から本体装置内に入り込むことはない。」(明細書第3頁第19行ないし第4頁第18行)

上記アないしウの記載を総合すると、引用例2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「複写機等の画像記録装置に適用するシート送り込みのための給送ガイドの構造に関するものであり、クリップ等の異物が本体装置内に入って送りローラーを傷つけたり、装置をこわしてしまうことがあるため、異物が本体装置内に入り込まないようにすることを目的としてなされたものであって、給送ガイドのガイド面にはシート搬送方向に沿って複数本のガイド底上げ用のリブが形成され、給送ガイドに箱溝状の異物受けが形成され、給送シートはリブ上に載せられた状態で給送ガイドを滑り落ちて一対の送りローラーに挟み込まれて本体装置内に送り込まれ、異物は、リブの間に落ちて滑り落ち、給送ガイドの傾斜下縁部に設けた異物受け内に入る給送ガイド。」

4 対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「用紙」は本願発明の「シート」に相当する。
引用発明1の「電子写真式画像形成装置」は本願発明の「画像記録装置」に相当する。
引用発明1の「用紙搬送路7」は、「上方へ屈曲して、その後プロセスユニットが配置されたプロセス部まで延設して、略U字状に形成」されているから、本願発明の「シートを下方から上方へUターンさせて搬送する第1搬送路」に相当する。
引用発明1の「用紙搬送路80」は、「該用紙搬送路80の先端は前記用紙搬送経路と合流」するから、本願発明の「第1搬送路へ通ずる第2搬送路」に相当する。
引用発明1の「給紙カセット」は、「用紙繰り出し方向には用紙搬送路7を形成して」いるから、本願発明の「第1搬送路に案内されるシートを支持する給紙カセット」に相当する。
引用発明1の「手差しトレイ」は、「手差し供給口から供給する用紙を支持可能」とするとともに、「手差し供給口から用紙を手差しによって装置へ供給し、用紙搬送路80を通過して前記プロセス部へ案内」されるから、本願発明の「第2搬送路に案内されるシートを支持するトレイ」に相当する。
引用発明1では、「ジャムアクセスカバー上部には手差し用紙用の用紙搬送路が形成」され、「用紙搬送路80はジャムアクセスカバーとフレームとによって形成」され、また、「用紙搬送路80の一方の路壁はジャムアクセスカバーによって形成」されるから、引用発明1の「ジャムアクセスカバー」は、本願発明の「第2搬送路を案内されるシートをガイドする」「搬送処理構造体」に相当する。
引用発明1では、「ジャムアクセスカバーを装置外側方向へ回動することで、用紙搬送路7、80が外部に開放される」から、引用発明1の「ジャムアクセスカバー」は、本願発明1の「第2搬送路を案内されるシートをガイドするガイド姿勢」及び「画像記録装置外部へ露出させる露出姿勢に回動可能である」「搬送処理構造体」に相当する。
引用発明1の「電子写真式画像形成装置」は、「プロセスユニットが配置されたプロセス部」、「用紙搬送路7」、「用紙搬送路80」、「紙カセット」、「手差しトレイ」、「ジャムアクセスカバー」を備え、これらを使用して「用紙」に画像を記録するプリンタ部を形成していることは自明であるから、引用発明1は、本願発明1の「第1搬送路」、「第2搬送路」、「給紙カセット」、「トレイ」、「搬送処理構造体」を有する「シートに画像を記録するプリンタ部」を有しているといえる。

以上より、本願発明と引用発明1とは
「シートに画像を記録するプリンタ部を有する画像記録装置であって、
前記プリンタ部は、
シートを下方から上方へUターンさせて搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路へ通ずる第2搬送路と、
前記第1搬送路に案内されるシートを支持する給紙カセットと、
前記第2搬送路に案内されるシートを支持するトレイと、
前記第2搬送路を案内されるシートをガイドする搬送処理構造体と、を有し、
前記搬送処理構造体は、前記第2搬送路を案内されるシートをガイドするガイド姿勢及び前記画像記録装置外部へ露出させる露出姿勢に回動可能である画像記録装置。」
である点で共通し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、「画像記録装置の背面側」においてシートを下方から上方へUターンさせており、また、第2搬送路が「画像記録装置の背面」から通じており、「画像記録装置の背面」にトレイが設けられているが、引用発明1ではいずれの面側でシートを下方から上方へUターンさせているか、第2搬送路がいずれの面から通じているのか、及び、いずれの面にトレイが設けられているか不明である点。
(相違点2)
本願発明では、「トレイ」が「起立姿勢及び傾倒姿勢に回動可能に設けられており、前記傾倒姿勢において第2搬送路に案内される」のに対し、引用発明1ではそうではない点。
(相違点3)
本願発明では、搬送処理構造体が「第2搬送路に侵入した異物を取り込んで貯留する異物収集部」、及び「異物収集部に設けられ」た「複数のリブ」を備え、露出姿勢において「異物収集部」を画像記録装置外部へ露出させるのに対し、引用発明1はそうではない点。

以下、相違点1ないし3について検討する。

(1)相違点1について
引用発明1において、シートを下方から上方へUターンさせる搬送路をどの面に形成するか、第2搬送路をどの面から通ずるようにするか、あるいはトレイを設ける面をどの面にするかは、装置の各面から当業者が適宜選択できる設計的事項であるから、裏面を選択することは当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、「画像記録装置の背面側」においてシートを下方から上方へUターンさせて、また、第2搬送路が「画像記録装置の背面」から通じており、「画像記録装置の背面」にトレイが設けられるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
相違点1に係る本願発明の効果について検討しても、引用発明1から当業者が予想し得る範囲のものである。

(2)相違点2について
画像記録装置の技術分野において、「トレイ」が「起立姿勢及び傾倒姿勢に回動可能に設けられており、前記傾倒姿勢において第2搬送路に案内される」ことは、当業者に周知の事項(以下「周知事項1」という。)である。
周知事項1が周知であることを示す刊行物の例として、特開平6-110278号公報(以下「周知例1」という。)について検討すると、周知例1には以下の記載がある。

「【0012】また、画像処理部12と給紙部38との間すなわち複写機10の側面には、手差しテーブル60が形成される。手差しテーブル60は、たとえば図4に示すように、折り畳み式に形成され、未使用時すなわち手差しテーブル60を折り畳んだ状態では、縦搬送ガイド部材53より側部に突出しないように形成され、複写機10をより一層小型化する。したがって、用紙を手差しによって供給する場合には、図5に示すように、手差しテーブル60を開いた後、用紙を手差しテーブル60から挿入し、搬送ローラ56およびレジストローラ58を介して感光体ドラム22に与える。このように、搬送ローラ56およびレジストローラ58は、各カセット40,42,44または46からの用紙および手差しテーブル60からの用紙を、それぞれ感光体ドラム22に与える機能を有する。」

上記記載より、周知例1には以下の事項が記載されている。
「手差しテーブルは、折り畳み式に形成され、未使用時には手差しテーブルを折り畳んだ状態として一層小型化し、用紙を手差しによって供給する場合には、手差しテーブルを開くこと。」

そして、引用発明1に対して周知事項1を適用して、「トレイ」が「起立姿勢及び傾倒姿勢に回動可能に設けられており、前記傾倒姿勢において第2搬送路に案内される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
相違点2に係る本願発明の効果について検討しても、引用発明1および周知事項1から当業者が予想し得る範囲のものである。

(3)相違点3について
引用発明2の「箱溝状の異物受け」は、本願発明の「異物を取り込んで貯留する異物収集部」に相当する。また、引用発明2において、「異物は、リブの間に落ちて滑り落ち、給送ガイドの傾斜下縁部に設けた異物受け内に入る」から、「複数本のガイド底上げ用のリブ」は、「異物受け」に設けられていることは自明である。したがって、引用発明2の「複数本のガイド底上げ用のリブ」は、本願発明の「異物収集部に設けられ」た「複数のリブ」に相当する。よって、引用発明2は、本願発明の「異物を取り込んで貯留する異物収集部」及び「異物収集部に設けられ」た「複数のリブ」を備えている。
一方、「シートを支持するトレイ」を備えた「画像記録装置」において、「異物が本体装置内に入ってローラーを傷つけたり、装置を壊してしまうことがあるため、異物が本体装置内に入り込まないようにする」という課題は周知のものである(以下「周知の課題」という。)。当該課題が記載されている刊行物の例として、特開平2-13542号公報(以下「周知例2」という。)には、以下の記載がある。

ア 「この発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の用紙を使用する装置の手差し用の用紙挿入路に用紙を挿入するために設けられる手差し用紙挿入部に関する。」(第1頁右下欄第5行ないし第8行)

イ 「また、固定式の手差しテーブルを使用している手差し用紙挿入部の場合には、常に手差しテーブルが開いた状態にあるため外部からほこりや異物が侵入しやすく、特に作業者がクリップ等を誤って手差しテーブル上に落下させた時には、それが用紙挿入部の奥まで達することがあり、その場合には給紙系に損傷を与えたり、場合によっては重大な故障の原因となることもあるという問題点があった。」(第2頁右上欄第9行ないし第17行)

上記ア、イの記載からすると、周知例2には、「複写機、ファクシミリ、プリンタ等の用紙を使用する装置に関し、手差しテーブルを使用している手差し用紙挿入部において、クリップ等が用紙挿入部の奥まで達することがあり、給紙系に損傷を与えたり、重大な故障の原因となることもあるという問題点があった。」という事項が記載されている。
上記のとおり、「シートを支持するトレイ」を備えた「画像記録装置」において、「異物が本体装置内に入ってローラーを傷つけたり、装置を壊してしまうことがあるため、異物が本体装置内に入り込まないようにする」という課題は周知のものであるから、引用発明1においても当該課題が内在することは自明である。したがって、引用発明1と引用発明2とは課題が共通するものであるから、引用発明1が有する課題を解決するために、引用発明2に基づいて、「異物を取り込んで貯留する異物収集部」及び「異物収集部に設けられ」た「複数のリブ」を、「搬送処理構造体」の「第2搬送路を案内されるシートをガイドする」部分に設けることは、当業者が容易に想到し得たものである。また、「搬送処理構造体」の「第2搬送路を案内されるシートをガイドする」部分に「異物収集部」を設ければ、「露出姿勢」において「異物収集部」は「画像記録装置外部へ露出」することは自明である。
よって、引用発明1において、引用発明2に基づいて、「搬送処理構造体が第2搬送路に侵入した異物を取り込んで貯留する異物収集部、及び異物収集部に設けられた複数のリブを備え、露出姿勢において異物収集部を画像記録装置外部へ露出させる」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たものである。
相違点3に係る本願発明の効果について検討しても、引用発明1、2から予想できる範囲のものである。

また、本願発明全体が奏する効果について検討しても、引用発明1、2、及び周知事項1から当業者が予想できる範囲のものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2、及び周知事項1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-20 
結審通知日 2016-10-25 
審決日 2016-11-07 
出願番号 特願2014-172404(P2014-172404)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨江 耕太郎  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 植田 高盛
吉村 尚
発明の名称 画像記録装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ