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審決分類 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  H05K
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H05K
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  H05K
審判 全部申し立て 2項進歩性  H05K
管理番号 1323497
異議申立番号 異議2016-700254  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-28 
確定日 2016-11-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5786569号発明「パワーモジュール用基板の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5786569号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第5786569号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第5786569号の請求項2に係る特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5786569号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成23年9月5日に特許出願され、平成27年8月7日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人により特許異議の申立てがされ、平成28年5月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年7月15日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成28年8月26日付けで意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のアないしエのとおりである。

ア 請求項1に係る「積層された」、「両面に配置し」、「これらを加熱して」、「厚さ方向に加圧」及び「冷却する」を、それぞれ「積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成された」、「両面にろう材を介して積層し」、「これらをろう付け温度に加熱して」、「厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧」及び「-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却する」に訂正する。

イ 請求項2を削除する。

ウ 明細書の段落【0008】の「積層された」、「両面に配置し」、「これらを加熱して」、「厚さ方向に加圧」及び「冷却する」という記載を、それぞれ「積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成された」、「両面にろう材を介して積層し」、「これらをろう付け温度に加熱して」、「厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧」及び「-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却する」に訂正する。

エ 明細書の段落【0010】の「本発明のパワーモジュール用基板の製造方法において、前記セラミックス基板の両面に積層される厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成し、厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却するとよい。
このように、」との記載を削除する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アの訂正に関連して、出願当初の明細書の段落【0010】に「「本発明のパワーモジュール用基板の製造方法において、前記セラミックス基板の両面に積層される厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成し、厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却するとよい。」と記載され、 段落【0020】に「まず、セラミックス基板2の一方の面に回路層となる金属層6をろう材箔を介して積層し、セラミックス基板2の他方の面に放熱層となる金属層7もろう材箔を介して積層する。そして、この積層体Sを図2に示す加圧装置110に設置する。」と記載され、段落【0021】に「図1に示すパワーモジュール用基板3のように、回路層及び放熱層となる金属層6,7の厚さを異ならせた場合、ろう付け時の加熱による熱伸縮の差が大きいので、接合後の冷却過程で発生する残留応力のために、常温まで戻して加圧状態を解放すると薄肉の金属層6側を凸とする反りが生じる。冷却過程において、常温以下の低温までさらに冷却を進めると、熱収縮による変形(反り量)は、さらに増加することとなる。」と記載されている。
これらの記載から、上記アの訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において「積層された」、「両面に配置し」、「これらを加熱して」、「厚さ方向に加圧」及び「冷却する」という事項を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記イの訂正は、請求項2を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、上記ウ及びエの訂正は、上記ア及びイの訂正後の特許請求の範囲の記載に明細書の記載を整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

[本件発明]
「セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面にろう材を介して積層し、これらをろう付け温度に加熱して接合した後に、その接合体を平行な板の間で厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することにより前記金属層に塑性変形を生じさせ、その後、常温まで戻してから加圧を解くことを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して平成28年5月24日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

ア 請求項1に係る発明は、甲第3号証刊行物に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。

イ 請求項2に係る発明は、甲第3号証刊行物に記載された発明及び甲第1号証刊行物に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項2に係る特許は、取り消されるべきものである。

(3)甲各号証刊行物の記載
ア 甲第3号証刊行物(特開2006-128286号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
近年、パワートランジスタモジュール用基板やスイッチング電源モジュール用基板等の放熱基板として、セラミック基板上に銅板、アルミニウム板、各種クラッド板等の金属板を接合して回路を構成した放熱基板が広く用いられている。また、このセラミック基板としては、特許文献1?3で示されているように安価で汎用性が高いアルミナ(Al_(2)O_(3))基板、または電気絶縁性を有すると共に熱伝導性に優れた窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化珪素(Si_(3)N_(4))基板等が一般的に使用されている。」
(イ)「【0024】
さらにまた、本発明の金属セラミック複合体の接合方法は、セラミック基板上に、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とする第1の中間層を形成し、第1の中間層上にニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の少なくともいずれか1種を主成分とする第2の中間層を形成した後、銅を主成分とする結合層を形成し、銅または銅合金を主成分とする金属基板を前記結合層に水素雰囲気中で加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧するものである。」
(ウ)「【0090】
(実施例1)
長さ30mm、幅10mmのセラミック基板の両面に、それぞれ第1の中間層、第2の中間層、銅からなる結合層を順次形成した。第1の中間層、第2の中間層の各材質、その他特性及び結合層の特性は、表1に示す通りとした。
【0091】
次に、上記セラミック基板の裏側に銅を主成分とする金属基板を、またセラミック基板の表側に銅を主成分とする所定パターンの回路を形成した基板(以下、回路基板と称す。)を水素雰囲気中、390℃で加熱圧着し、圧着した状態で-50℃まで冷却した後、常温に上げて抜圧することにより接合し、放熱基板を得た。なお、金属基板の厚み(T1)、回路基板の厚み(T2)はそれぞれ1.5mm、0.98mmとし、金属基板の平均結晶粒径、平均サブ粒界密度、0.2%耐力、ビッカース硬度HVs、回路基板の厚み(T2)、加熱温度、冷却温度は表1の通りとした。」
(エ)明細書の段落【0096】の【表1】の実施例1の試料No.4の第1中間層及び第2中間層は空欄であるから、試料No.4には第1中間層及び第2中間層が無いと認められる。
(オ)【図1】からは、回路基板3、結合層7a、セラミック基板2、結合層7b、銅板4を、順次上から積層したパワートランジスタモジュール用基板の構造が見て取れる。

上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本件発明に則って整理すると、甲第3号証には、実施例1の試料No.4に係るパワートランジスタモジュール用基板の製造方法に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
「セラミック基板の両面に厚み1.5mmと厚み0.98mmの金属基板が積層されるとともに、厚み1.5mmの金属基板に対する厚み0.98mmの金属基板の厚さの比が0.65で構成されたパワートランジスタモジュール用基板の製造方法であって、両金属基板を前記セラミック基板の両面に銅からなる結合層を介して積層し、これらを390℃に加熱圧着した後に、その圧着した状態のものを厚さ方向に加圧した状態で-50℃に冷却することにより前記金属基板に塑性変形を生じさせ、その後、常温に上げて抜圧するパワートランジスタモジュール用基板の製造方法」

イ 甲第1号証刊行物(特開2005-252159号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
近時、産業機器や乗用車(ハイブリッド車、燃料電池車)のインバータ等に用いられるパワーモジュールの構成部材であるヒートスプレッダモジュールは、ICチップから発生する熱を効率よくヒートシンク(放熱体)に放散するための高熱伝導特性と、電気回路間の短絡を防止するための高い絶縁特性が要求される。これらの特性を満足するために、ヒートスプレッダモジュールは、銅、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料あるいはSiCと銅、カーボンと銅等の高い熱伝導率と適正な熱膨張係数を兼ね備えた複合材と、AlN(窒化アルミニウム)やSi_(3)N_(4)(窒化珪素)等の熱伝導率と絶縁性を兼ね備えたセラミックスが積層されて構成されている。」
(イ)「【0045】
まず、第1の製造方法は、図4のステップS1及び図5Aに示すように、台座12上に、板状の接合材(硬ろう材等)47、ヒートスプレッダ材14、板状の接合材(硬ろう材等)16、応力緩和板20、板状の接合材(硬ろう材等)48、絶縁基板22、板状の接合材(硬ろう材等)50及び回路基板24の順に載置(セッティング)する。このセッティング工程は、例えば大気中で行われる。
【0046】
その後、図4のステップS2及び図5Bに示すように、セッティングされた台座12、ヒートスプレッダ材14、応力緩和板20、絶縁基板22及び回路基板24の積層体に対して治具52を使って上下から荷重をかけ、その状態で800℃程度まで昇温してこれらの部材を接合する。この接合処理によって、反り形状制御前のヒートスプレッダモジュール10Aが作製される。」
(ウ)「【0049】
ヒートスプレッダモジュール10Aを冷却用容器60の第1の収容空間68に収容した後、図4のステップS5及び図6Aに示すように、液体窒素72を冷却用容器60の第2の収容空間70に入れる。このとき、ヒートスプレッダモジュール10Aには、液体窒素72は直接接触していないが、冷却用容器60の底部64を通じて熱が奪われることになる。すなわち、第1の収容空間68に収容されているヒートスプレッダモジュール10Aは、液体窒素72によって間接的に冷却されることとなる。これによって、ヒートスプレッダモジュール10Aは、急激に冷やされるのではなく、ある程度の温度勾配をもって冷やされる。このとき、-80℃程度まで冷却された段階で飽和状態となる。
【0050】
その後、図4のステップS6及び図6Bに示すように、液体窒素72を冷却用容器60の第1の収容空間68に入れる。これによって、ヒートスプレッダモジュール10Aは液体窒素72に直接接触することになり、該液体窒素72によって直接的に冷却される。この直接的冷却によって、ヒートスプレッダモジュール10Aは急激に-200℃程度まで冷却される。」
(エ)「【0080】
また、実施例2(サンプルSP4)の突出量は実施例1(サンプルSP3)の突出量よりも小さくなっている。確かに、実施例1(サンプルSP3)では、接合荷重とサブゼロ荷重が共に同じ(4.1MPa)であるが、実施例2(サンプルSP4)では、サブゼロ荷重を接合荷重よりも低く設定(2.6MPa)している。このことから、突出量がサブゼロ荷重によって依存しているものと考えられる。」

ウ 甲第2号証刊行物(特開2006-228969号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0045】
本発明に係るセラミックス回路基板10は、図1に示すように、絶縁層として機能するセラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面にろう材を介して接合された回路パターン形成用金属板12と、セラミックス基板11の他方の面にろう材を介して接合された放熱用金属板13とを有している。」

(4)判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
(ア)対比
本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「セラミック基板」は、本件発明の「セラミックス基板」に相当し、以下同様に、「厚み1.5mmと厚み0.98mmの金属基板」は「異なる厚さの金属層」に、「厚み1.5mmの金属基板」は「厚みの厚い金属層」に、「厚み0.98mmの金属基板」は「厚みの薄い金属層」に、「0.65」は「0.2以上0.9以下」に、「パワートランジスタモジュール用基板」は「パワーモジュール用基板」に、「両金属基板」は「両金属層」に、「加熱圧着」は「加熱して接合」に、「-50℃」は「-5℃以下-70℃以上の範囲内」に、「常温に上げて抜圧する」ことは「常温まで戻してから加圧を解く」ことに、それぞれ相当する。
したがって、本件発明と引用発明には、以下の一致点及び相違点がある。

[一致点]
「セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率を0.2以上0.9以下で構成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面に積層し、これらを加熱して接合した後に、厚さ方向に加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することにより前記金属層に塑性変形を生じさせ、その後、常温まで戻してから加圧を解くパワーモジュール用基板の製造方法。」

[相違点]
両金属層をセラミックス基板の両面に積層するにあたって、本件発明は
「ろう材を介して積層し、これらをろう付け温度に加熱して接合した後に、その接合体を平行な板の間で厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却する」のに対し、引用発明は
「銅からなる結合層を介して積層し、これらを390℃に加熱圧着した後に、その圧着した状態のものを厚さ方向に加圧した状態で-50℃に冷却する」点。

(イ)検討
次に、相違点について検討する。
前記相違点に係る本件発明の構成のうち、「ろう付け温度に加熱して接合した後に」、「-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却する」という一連の温度操作に関することは、甲第1号証刊行物に記載されていない。また、この一連の温度操作が、ろう材を介して積層した基板に対し、本件の特許出願前から慣用されていたものとも認められない。
そして、本件発明は、この一連の温度操作に加え、「接合体を平行な板の間で厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した」ことによって、ろう材を介して積層した基板の構造でありながら、「冷却過程において生じる反りの発生を防止して、パワーモジュール用基板の接合信頼性を向上させることができる。」(段落【0010】)という顕著な効果を奏するものである。
そうであれば、本件発明は、引用発明及び甲第1号証刊行物に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、平成28年8月26日付け意見書において、甲第3号証刊行物の段落【0004】の「ロウ材」による積層に関する記載や、甲第2号証刊行物の段落【0045】の「ろう材」による積層に関する記載から、「ろう材を介して積層」することは周知の技術手段である旨主張している。
ところが、甲第3号証刊行物の段落【0007】において「しかしながら、上記半導体素子を半田付け等により実装化しようとすると、急激な温度上昇により放熱基板に大きな反りが発生し、セラミック基板2、回路基板3間、あるいはセラミック基板2、銅板4間に隙間ができ、この隙間により放熱特性が低下するという問題があった。」と、ロウ材を介して積層することについて否定的な事項が記載されている。
そうであれば、「ろう材を介して積層」することが、仮に周知の技術手段であったとしても、引用発明の「銅からなる結合層」を介して積層することを、特許異議申立人が主張する上記周知の技術手段に置き換える動機付けがあるとはいえない。
したがって、本件発明は、引用発明、甲第1号証刊行物に記載された事項及び特許異議申立人が主張する周知の技術手段から当業者が容易に発明したものでない。

ウ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1及び2に係る発明について、甲第1号証刊行物ないし甲第3号証刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであると主張している。
しかしながら、甲第1号証刊行物ないし甲第3号証刊行物のいずれの文献にも、本件発明の「ろう付け温度に加熱して接合した後に」、「-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することにより前記金属層に塑性変形を生じさせ」ることについて記載も示唆もされていないことから、かかる主張は、理由がない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2は、上記訂正により削除されたので、請求項2に係る特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パワーモジュール用基板の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層を積層したパワーモジュール用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーモジュールとして、セラミックス基板の一方の面に、回路層となるアルミニウム金属層が積層され、この回路層の上に半導体チップ等の電子部品がはんだ付けされるとともに、セラミックス基板の他方の面に放熱層となるアルミニウムの金属層が形成され、この金属層にヒートシンクが接合された構成のものが知られている。
【0003】
また、このようなセラミックス基板に回路層又は放熱層となるアルミニウム金属層を積層状態に形成する方法として、セラミックス基板に、Al-Si系又はAl-Ge系のろう材を介在させてアルミニウム金属層を重ね合わせ、その積層体を加圧、加熱することにより、ろう材を溶融させて、セラミックス基板とアルミニウム金属層とを接合することが知られている。
この場合、回路層及び放熱層とも同じ板材で形成されるのが一般的であったが、放熱層とヒートシンクとの間の熱伸縮を緩和するための緩衝機能を放熱層自身に持たせるべく、放熱層を肉厚に形成することが検討されている。
【0004】
特許文献1には、セラミックス基板の両面に厚さの異なる金属層を積層したパワーモジュール用基板が提案されており、体積が大きい金属層側を凹とする(体積が小さい金属層側を凸とする)反りが生じることが開示されている。
また、特許文献2には、反り防止対策として、厚い金属層を薄い金属層より変形抵抗の小さい材料で構成することが開示されている。例えば、厚肉の金属層を純度99.99?99.9999%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム?6Nアルミニウム)で構成し、薄肉の金属層をそれより純度の低い純度99?99.99%以上のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム?4Nアルミニウム)で構成することにより、反りを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-252433号公報
【特許文献2】特開2010-93225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、両金属層とも同じ組成、同じ性状であるとすると、回路層と放熱層との厚さの差から、ろう付けのための加熱処理を経由するとパワーモジュール用基板の全体に反りが生じて、その後のヒートシンクとの接合が困難になるという問題があった。
また、特許文献2記載の技術では、2枚の金属層の材料を変えなければならず、同じ材料のものを用いる場合には適用できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層を積層する場合に、接合時に発生する反りを低減することができ、接合の信頼性を高めることができるパワーモジュール用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率が0.2以上0.9以下で構成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面にろう材を介して積層し、これらをろう付け温度に加熱して接合した後に、その接合体を平行な板の間で厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することにより前記金属層に塑性変形を生じさせ、その後、常温まで戻してから加圧を解くことを特徴とする。
【0009】
厚さを異ならせた金属層では熱伸縮の差が大きいので、これらをセラミックス基板の両面に接合した場合は、加熱接合後の冷却過程において薄肉の金属層側を凸とする反りを生じさせる応力が発生する。本発明においては、両金属層とセラミックス基板との接合後において、厚さ方向に加圧した状態で冷却されることにより、反りの発生が抑制される。両金属層とセラミックス基板との接合後において、常温以下の低温まで冷却を進めると、厚肉の金属層の熱収縮による応力が大きくなるが、両金属層とセラミックス基板とは加圧されて拘束された状態であるので、反りとしては変形できなくなる。これをさらに冷却すると、金属層に塑性変形が生じる。この塑性変形は、反りとは逆方向の変形であり、その塑性変形領域まで冷却した後に常温まで戻すと、塑性変形した分、反りが相殺されて、冷却前の常温時に生じていた反りよりも小さくなる。
このように、両金属層とセラミックス基板とを厚さ方向に加圧した状態で冷却することで、両金属層に、熱伸縮による反りと逆向きの塑性変形を生じさせることができ、パワーモジュール用基板全体の反りを低減することができる。
【0010】
両金属層の厚さの比率に合わせて加圧と冷却の条件を設定することにより、冷却過程において生じる反りの発生を防止して、パワーモジュール用基板の接合信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層を積層する場合に、接合により発生する反りを低減することができ、接合の信頼性を高めることができるパワーモジュール用基板の製造方法を提供することができる。また、両金属層が同じ材料であっても適用できることから、種々のパワーモジュール用基板の製造に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態のパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の製造方法で用いられる加圧装置の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態のパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示している。このパワーモジュール1は、セラミックス等からなるセラミックス基板2を有するパワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面に接合されたヒートシンク5とから構成される。
【0014】
パワーモジュール用基板3は、セラミックス基板2の両面に金属層6,7が積層されており、その一方の金属層6が回路層となり、その表面に電子部品4がはんだ付けされる。また、他方の金属層7は放熱層とされ、その表面にヒートシンク5が取り付けられる。
セラミックス基板2は、例えば、AlN(窒化アルミニウム)、Si_(3)N_(4)(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl_(2)O_(3)(アルミナ)等の酸化物系セラミックスやSiC(炭化珪素)等の炭化物系セラミックスにより形成され、その厚さは例えば0.635mmとされる。
金属層6,7は、いずれも純度99.90質量%以上のアルミニウムが用いられ、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。なお、金属層6,7には、アルミニウムの他、Cuを用いることもできる。
このパワーモジュール用基板3は、放熱層となる金属層7に緩衝機能を持たせたるため、回路層となる金属層6よりも肉厚に形成されたものを用いている。
【0015】
この場合、回路層及び放熱層となる金属層6,7の厚さは、その金属層7に対する金属層6の厚さの比率(金属層6の厚さ/金属層7の厚さ)が0.2以上0.9以下となるように形成されている。
本実施形態のパワーモジュール用基板3においては、例えば、回路層となる金属層6の厚さは0.6mmとされ、放熱層となる金属層7の厚さが1.6mmとされており、その厚さの比率は0.375となる。
これら金属層6,7は、プレス加工により所望の外形に打ち抜いたものをセラミックス基板2に接合するか、あるいは、平板状のものをセラミックス基板2に接合した後に、エッチング加工により所望の外形に形成するか、いずれの方法も採用することができる。
【0016】
なお、本実施形態のパワーモジュール用基板3は、放熱層となる金属層7の厚さの方が回路層となる金属層6の厚さよりも厚い例であるが、逆の形態として、放熱層となる金属層7の厚さの方が回路層となる金属層6の厚さよりも薄く設けられるものであってもよい。
以下、特に指定しない限り、金属層7の厚さの方が金属層6の厚さよりも厚いものとして説明する。
また、両金属層6,7の厚さは、上述の厚さに限定されることはなく、例えば、0.6mmよりも薄いものや、1.6mmよりも厚いものも用いられる。
【0017】
セラミックス基板2と回路層及び放熱層となる金属層6,7とは、ろう付けにより積層されている。ろう材としては、Al-Si系、Al-Ge系、Al-Cu系、Al-Mg系またはAl-Mn系等の合金が使用される。
【0018】
なお、金属層6と電子部品4との接合には、Sn-Ag-Cu系,Zn-Al系もしくはPb-Sn系等のはんだ材が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と金属層6の端子部との間は、アルミニウム等からなるボンディングワイヤ(図示略)により接続される。
【0019】
また、ヒートシンク5は、平板状のもの、熱間鍛造等によって多数のピン状フィンを一体に形成したもの、押出成形によって相互に平行な帯状フィンを一体に形成したもの等、適宜の形状のものを採用することができる。
放熱層となる金属層7とヒートシンク5との間の接合法としては、Al-Si系、Al-Ge系、Al-Cu系、Al-Mg系またはAl-Mn系等の合金のろう材によるろう付け法や、Al-Si系のろう材にフラックスを用いたノコロックろう付け法、金属層およびヒートシンクにNiめっきを施し、Sn-Ag-Cu系、Zn-AlもしくはPb-Sn系等のはんだ材によりはんだ付けする方法が用いられ、あるいは、シリコングリースによって密着させた状態でねじによって機械的に固定される。
【0020】
このように構成される本実施形態のパワーモジュール1は、以下のようにして製造される。
まず、セラミックス基板2の一方の面に回路層となる金属層6をろう材箔を介して積層し、セラミックス基板2の他方の面に放熱層となる金属層7もろう材箔を介して積層する。そして、この積層体Sを図2に示す加圧装置110に設置する。
この加圧装置110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に垂直に取り付けられたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に固定された固定板113と、これらベース板111と固定板113との間で上下移動自在にガイドポスト112に支持された押圧板114と、固定板113と押圧板114との間に設けられて押圧板114を下方に付勢するばね等の付勢手段115とを備えている。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に前述の積層体Sが配置される。積層体Sの両面に加圧を均一にするためにカーボンシート116が配設される。
この加圧装置110により積層体Sを加圧した状態で、加圧装置110ごと図示略の加熱炉内に設置し、真空雰囲気中で例えば630℃のろう付け温度に加熱してろう付けを行うことにより、パワーモジュール用基板3を製造する。
【0021】
図1に示すパワーモジュール用基板3のように、回路層及び放熱層となる金属層6,7の厚さを異ならせた場合、ろう付け時の加熱による熱伸縮の差が大きいので、接合後の冷却過程で発生する残留応力のために、常温まで戻して加圧状態を解放すると薄肉の金属層6側を凸とする反りが生じる。冷却過程において、常温以下の低温までさらに冷却を進めると、熱収縮による変形(反り量)は、さらに増加することとなる。
本実施形態においては、この金属層6側を凸とする反りが生じたパワーモジュール用基板に対して、反りを矯正するように荷重を負荷し、厚さ方向に加圧した状態で冷却を行う。その際、9.8×10^(4)Pa(1kg/cm^(2))以上343×10^(4)Pa(35kg/cm^(2))以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することが好ましい。加圧状態のパワーモジュール用基板を冷却する場合、図2に示す加圧装置ごと冷却器に投入すると、通常5分程度でパワーモジュール用基板も雰囲気温度に到達することから、保持時間としては、パワーモジュール用基板をその冷却温度まで冷却するために、冷却器へ投入後5分程度放置するとよい。より好ましくは、-10℃?-20℃で10分間の冷却を行うとよい。
【0022】
この場合、両金属層6,7とセラミックス基板2とは厚さ方向に加圧され、反りが生じないように拘束されていることから、冷却時において見かけ上は変化がないように見えるが、応力に抗して加圧されていることにより金属層6,7に塑性変形が生じる。両金属層6,7の塑性変形は、反りとは逆方向の変形であり、その塑性変形領域まで冷却した後に常温まで戻すと、塑性変形した分、反りが相殺されて、冷却前の常温時に生じていた反りよりも、冷却後の常温時の反りの方が小さくなる。したがって、冷却前の常温時の応力よりも、冷却後の常温時の応力の方が小さくなる。
このように、両金属層6,7とセラミックス基板2とを厚さ方向に加圧した状態で冷却することにより、両金属層6,7に、熱伸縮による反りと逆向きの塑性変形を生じさせ、パワーモジュール用基板3の全体の反りを低減させることができる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例および比較例について説明する。
回路層及び放熱層ともにアルミニウム純度99.99質量%の28mm角の金属層を用い、回路層となる金属層6の厚さは0.6mm、放熱層となる金属層7の厚さは1.6mmとした。これらの金属層の厚さの比率(回路層の厚さ/放熱層の厚さ)は0.375である。セラミックス基板2には、AlNを用い、厚さ0.635mmとした。これら金属層6,7とセラミックス基板2とは、厚さ10μm?15μmのAl-Si系ろう材を用いて接合した。
このように構成されたパワーモジュール用基板の製造には、まず、金属層6の裏面とセラミックス基板2の表面、および金属層7の表面とセラミックス基板2の裏面を、それぞれろう材を挟んで当接させ、これらを積層したセラミックス基板2および金属層6,7を厚さ方向に加圧しながら、真空雰囲気中、600℃?650℃で約1時間加熱することにより、セラミックス基板2と両金属層6,7とをろう付け接合し、試料1?15のパワーモジュール用基板を製造した。
【0024】
その後、セラミックス基板2と金属層6,7とを加圧した状態で常温まで冷却し、加圧を解放した。この状態では、薄肉の金属層6側を凸とする反りが認められた。そして、これら接合後のパワーモジュール用基板について全体の反りを測定した。これらの測定結果を接合後の反り量として28mm長さ当たりの平面度を表1に示す。
次に、各試料1?15について、平面度改善のために3種類の処理を実施し、これらの平面度改善後の各試料1?15の反り量について測定を行った。試料1?5については、接合後に53.9×10^(4)Pa(5.5kg/cm^(2))で厚さ方向に加圧し、その加圧状態を20分間保持した後に加圧を解く方法で平面度改善を行った。試料6?10については、接合後に加圧を解いた状態で-70℃まで冷却し、全体の温度が一定となるように20分間保持した後に、再度-70℃から常温まで戻す方法で行った。また、試料11?15については、接合後に53.9×10^(4)Pa(5.5kg/cm^(2))で厚さ方向に加圧し、その加圧状態で-70℃まで冷却し、冷却および加圧を20分間保持した後に、再度-70℃から常温まで戻し、加圧を解く方法で行った。これら試料1?15の平面度改善後の反り量の測定結果を表1に示す。
なお、平面度は、定盤上にパワーモジュール用基板を載置し、上部よりレーザー変位計で測定した。また、平面度変化率Zは、接合後の平面度をXとし、平面度改善後の平面度をYとした場合に、Z=(X-Y)/X×100(%)により算出される値である。
【0025】
【表1】

【0026】
表1からわかるように、試料11?15については、所定の荷重を付加し、その加圧状態で冷却を行うことにより、平面度改善前と比べて反り量が大幅に低減された。平面度改善の方法として加圧のみ行う場合(試料1?5)や、冷却のみ行う場合(試料6?10)においても反り量は低減されたが、加圧と冷却とを同時に行う場合(試料11?15)と比べて、効果は小さかった。
なお、上記においては、セラミックス基板と両金属層とを-70℃まで冷却したが、金属層に塑性変形が生じる温度領域まで冷却すればよい。どの程度まで冷却するかは、パワーモジュール用基板の面積、板厚、材質等によって生じる反り量の程度に応じて設定すればよい。例えば、少なくとも-10℃?-20℃まで冷却し、その状態を10分間保持することが好ましい。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、セラミックス基板と両金属層との接合後に一度加圧を解放し、冷却過程において再度の加圧を行っていたが、接合後に加圧を解放せずに、そのまま連続して冷却を行ってもよい。
【0028】
また、セラミックス基板と金属層との接合は、ろう付け以外にもはんだ付けも可能である。また、TLP接合法(Transient Liquid Phase Bonding)と称される過渡液相接合法によって接合してもよい。この過渡液相接合法においては、金属層の表面に蒸着させた銅層を、金属層とセラミックス基板との界面に介在させて行う。加熱により、金属層のアルミニウム中に銅が拡散し、金属層の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス基板と反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇し、温度を一定に保持した状態で凝固が進行する。これにより、金属層とセラミックス基板との強固な接合が得られる。
また、セラミックス基板と金属層とを、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、金属層とセラミックス基板との積層体を加圧した状態で真空中で加熱し、活性金属であるTiをセラミックス基板に優先的に拡散させて、Ag‐Cu合金を介して金属層とセラミックス基板とを接合できる。
【符号の説明】
【0029】
1 パワーモジュール
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ヒートシンク
6,7 金属層
8 はんだ接合層
110 加圧装置
111 ベース板
112 ガイドポスト
113 固定板
114 押圧板
115 付勢手段
116 カーボンシート
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されるとともに、厚みの厚い金属層に対する薄い金属層の厚さの比率が0.2以上0.9以下で構成されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面にろう材を介して積層し、これらをろう付け温度に加熱して接合した後に、その接合体を平行な板の間で厚さ方向に9.8×10^(4)Pa以上343×10^(4)Pa以下で加圧した状態で-5℃以下-70℃以上の範囲内に冷却することにより前記金属層に塑性変形を生じさせ、その後、常温まで戻してから加圧を解くことを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
【請求項2】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-11-17 
出願番号 特願2011-192754(P2011-192754)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H05K)
P 1 651・ 851- YAA (H05K)
P 1 651・ 841- YAA (H05K)
P 1 651・ 854- YAA (H05K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉澤 秀明  
特許庁審判長 阿部 利英
特許庁審判官 内田 博之
中川 隆司
登録日 2015-08-07 
登録番号 特許第5786569号(P5786569)
権利者 三菱マテリアル株式会社
発明の名称 パワーモジュール用基板の製造方法  
代理人 青山 正和  
代理人 青山 正和  
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