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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q |
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管理番号 | 1323515 |
異議申立番号 | 異議2016-700952 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-10-05 |
確定日 | 2016-12-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第5899360号発明「予約管理端末、予約管理方法および予約管理プログラム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5899360号の請求項1から7までに係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第5899360号の請求項1から7までに係る特許についての出願は,平成27年7月3日に特許出願され,平成28年3月11日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,特許異議申立人遠藤義彦により特許異議の申立てがされたものである。 2.本件発明 本件特許の請求項1?7に係る発明は,以下のとおりである。なお,請求項1に係る発明を以下「本件特許発明」という。 「【請求項1】 店舗内に配置される複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンを画面上に表示するアイコン表示手段と、 予約日時に来店する顧客の予約人数の入力を受け付けるとともに、前記アイコン表示手段により表示された前記アイコンの中から、前記受け付けた予約人数分の顧客に対して割り当てる複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンの選択を受け付ける受付手段と、 前記予約人数の入力および前記複数のアイコンの選択が確定した後に、少なくとも、前記顧客を特定する顧客識別情報、前記予約日時、前記予約人数、および前記選択されたいずれかの前記アイコンに対応するテーブルを特定するテーブル識別情報を含む予約情報を、前記選択された複数の前記アイコンに対応する前記テーブル識別情報ごとにそれぞれ生成する情報生成手段と、 前記情報生成手段により生成された各前記予約情報を、サーバに送信する手段と、を備え、 前記情報生成手段は、前記選択された複数の前記アイコンに対応する複数のテーブルで形成するグループを特定するグループ識別情報を発行して各前記予約情報に付加することを特徴とする予約管理端末。 【請求項2】 前記テーブルごとの利用スケジュールを、前記利用スケジュール単位に時系列に並べて一覧表示するスケジュール表示手段を、さらに備え、 前記スケジュール表示手段は、前記グループ識別情報を含む前記予約情報に対応する前記利用スケジュールを表示する際に、当該利用スケジュールを表示する枠内に、前記グループ識別情報を表示する、ことを特徴とする請求項1記載の予約管理端末。 【請求項3】 前記情報生成手段は、他システムで管理されている情報であって、少なくとも、前記顧客識別情報、前記予約日時、前記予約人数、および前記テーブルの種別を特定するテーブル種別情報を含む他システム予約情報を受信したときに、当該他システム予約情報に基づいて、前記予約情報を生成することを特徴とする請求項2記載の予約管理端末。 【請求項4】 前記情報生成手段は、前記他システム予約情報を受信したときに、当該他システム予約情報に含まれる前記テーブル種別情報に基づいて、前記テーブル識別情報を生成することを特徴とする請求項3記載の予約管理端末。 【請求項5】 前記情報生成手段は、前記テーブル識別情報を生成する際に、前記テーブル種別情報に対応する前記テーブルのうち、前記他システム予約情報に含まれる前記予約日時に空席となっており、前記他システム予約情報に含まれる前記予約人数分の席を確保可能な一つ以上の前記テーブルに対応する前記テーブル識別情報を前記生成の対象として選定することを特徴とする請求項4記載の予約管理端末。 【請求項6】 コンピュータが、 店舗内に配置される複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンを画面上に表示するアイコン表示ステップと、 予約日時に来店する顧客の予約人数の入力を受け付けるとともに、前記アイコン表示ステップにおいて表示された前記アイコンの中から、前記受け付けた予約人数分の顧客に対して割り当てる複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンの選択を受け付ける受付ステップと、 前記予約人数の入力および前記複数のアイコンの選択が確定した後に、少なくとも、前記顧客を特定する顧客識別情報、前記予約日時、前記予約人数、および前記選択されたいずれかの前記アイコンに対応するテーブルを特定するテーブル識別情報を含む予約情報を、前記選択された複数の前記アイコンに対応する前記テーブル識別情報ごとにそれぞれ生成する情報生成ステップと、 前記情報生成手段により生成された各前記予約情報を、サーバに送信するステップと、を実行し、 前記情報生成ステップは、前記選択された複数の前記アイコンに対応する複数のテーブルで形成するグループを特定するグループ識別情報を発行して各前記予約情報に付加することを特徴とする予約管理方法。 【請求項7】 コンピュータを、 店舗内に配置される複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンを画面上に表示するアイコン表示手段、 予約日時に来店する顧客の予約人数の入力を受け付けるとともに、前記アイコン表示手段により表示された前記アイコンの中から、前記受け付けた予約人数分の顧客に対して割り当てる複数のテーブルにそれぞれ対応するアイコンの選択を受け付ける受付手段、 前記予約人数の入力および前記複数のアイコンの選択が確定した後に、少なくとも、前記顧客を特定する顧客識別情報、前記予約日時、前記予約人数、および前記選択されたいずれかの前記アイコンに対応するテーブルを特定するテーブル識別情報を含む予約情報を、前記選択された複数の前記アイコンに対応する前記テーブル識別情報ごとにそれぞれ生成する情報生成手段、 前記情報生成手段により生成された各前記予約情報を、サーバに送信する手段、として機能させ、 前記情報生成手段は、前記選択された複数の前記アイコンに対応する複数のテーブルで形成するグループを特定するグループ識別情報を発行して各前記予約情報に付加することを特徴とする予約管理プログラム。」 3.申立ての理由の概要 特許異議申立人は,証拠として以下の書証(甲第1号証から甲第6号証まで)を提出し,主たる証拠として甲第1号証,従たる証拠として甲第2号証から甲第6号証までを示したうえで,請求項1?7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 ・甲第1号証: 「TableSolution2.0操作説明マニュアル2015.06.09」, 株式会社VESPER,2015年6月9日,1?177ページ ・甲第2号証:特開2006-260144号公報 ・甲第3号証:特開平9-282394号公報 ・甲第4号証:特開2003-167949号公報 ・甲第5号証:特開2003-288399号公報 ・甲第6号証: 「『TableCheck』,『TableSooutionAPI』 正式リリースのお知らせ どこよりも 正確に,ユーザーのご予約希望に応えます」, 株式会社VESPER,2013年11月18日 特に,本件特許発明については,甲第1号証に記載の発明に,甲第2号証から甲第5号証までに記載された慣用技術を適用し,容易になし得たものである旨主張している。 なお,異議申立書の4ページには,「甲第1号証記載の発明,慣用技術(甲2?甲5)から容易想到。」と,同書の5ページの「3.3 申立ての根拠」には,「証拠 甲第3号証ないし甲第6号証」との記載があるが,同書全体の記載から上記のとおり把握した。 4.刊行物の記載 異議申立書によれば,各甲号証から,以下の事項が認定できる。 (1)甲第1号証 「a:フロア画面において,複数のテーブル等のアイコンを表示する手段と, b:予約作成画面において,日付,時間,人数を選択し,フロア画面において,表示されたテーブル等のアイコンの中から予約する席を選択し,予約する手段と, c,d:「テーブル」ごとに,「日付」,「時間」,「人数」,「顧客」,「予約ID」を含む顧客の情報からチャートを生成する手段と,を備え, 自社サイト(TableCheck)からのオンライン予約の予約情報として,「到着時間」,「着席時間」,「人数:大人」,「人数:子」,「名(あ・ア・A)」,「氏(あ・ア・A)」,「名(漢字)」,「氏(漢字)」,「テーブル」を取り込み,自動配席し, g,h:チャート画面において,テーブルと時間に対応した位置に配置した顧客の情報を表示する手段を,さらに備える, f:クラウドサービスであるTableSolutionを導入したパソコン端末。」 (2)甲第2号証 「飲食店における予約,配膳,精算業務を行なう店舗システムにおいて,複数の使用席(座敷席,カウンタ席)を使用しているグループに,同じ客グループ番号を客情報として付与すること,及び,タイムチャートにおいて,客が使用している使用席に客グループ番号を表示すること」 (3)甲第3号証 「飲食店等の客席の空き状態を管理する客席管理システムにおいて,複数のテーブルを予約している顧客に,同じ予約番号を予約情報として付与すること」 (4)甲第4号証 「宴会などの会場の予約システムにおいて,複数のテーブルを予約している会合ごとに,同じ会合IDを予約状況情報として割り振ること」 (5)甲第5号証 「座席の予約状況を管理 する座席予約方法において,複数のテーブルを予約した団体の予約テーブルに,同じ団体IDを付与すること」 (6)甲第6号証 「「TableCheck」では,日時及び利用人数に応じた空席状況に加えて,席の種類(禁煙か喫煙か,個室・半個室・屋外席・オープン席・バーカウンターなどのタイプ)を指定することができること」 5.判断(特許法第29条第2項について) (1)本件特許発明について ア 甲第1号証について 特許異議申立人は,甲第1号証について,「本件特許の出願日前である2015年6月9日に頒布された刊行物である」(異議申立書9ページ10行目)としている。 しかしながら,特許法29条1項3号にいう頒布された刊行物とは,その原本自体が公開されて公衆の自由な閲覧に供されることが必要である(最高裁第二小法廷昭和55年7月4日 昭和53(行ツ)69号)。 甲第1号証は,販売・頒布する目的で書籍や雑誌の形態で発行されたものの写しでないことは明らかであり,甲第1号証が公開されて公衆の自由な閲覧に供されたものであるかは不明である。むしろ,甲第1号証の各ページの下には,「This material is confidential and the property of KK.VESPER. 本資料は株式会社VESPERの許可無く対外的に参照・配布しないようお願い申し上げます。」との記載があり,これが機密(confidential)資料であったことを推認できる記載がある。よって,特許法29条1項3号にいう頒布された刊行物に該当するものであると認めることができない。また,同法同条各号に掲げる発明を開示したものであると認めることもできない。 したがって,申立ての理由は,その前提を欠くものであり,この理由によって本件特許発明を取り消すことはできない。 イ 甲第2号証から甲第6号証までについて 上記アで述べたとおり,甲第1号証は特許法第29条第2項の主たる証拠としては採用できない。そこで,職権で甲第2号証から甲第6号証までのいずれかにより,本件特許発明が容易になし得たものであるか検討する。 本件特許発明は,「前記予約人数の入力および前記複数のアイコンの選択が確定した後に、少なくとも、前記顧客を特定する顧客識別情報、前記予約日時、前記予約人数、および前記選択されたいずれかの前記アイコンに対応するテーブルを特定するテーブル識別情報を含む予約情報を、前記選択された複数の前記アイコンに対応する前記テーブル識別情報ごとにそれぞれ生成する情報生成手段」を発明特定事項とするものである。甲第2号証から甲第6号証までには,上記の点,特に,テーブル識別情報ごとにそれぞれ予約情報を生成する点については,そのような記載も示唆も見いだすことができない。 よって,甲第2号証から甲第6号証までのいずれかに基づいて,本件特許発明が容易になし得たものであるとはいえない。 (2)請求項2?7に係る発明について 請求項2?5に係る発明は,本件特許発明の発明特定事項を全て含むものであるから,本件特許発明と同様の理由により特許異議申立人の主張に根拠があると認めることができない。 また,請求項6に係る発明は,本件特許発明の各手段の機能をステップとする方法の発明,請求項7に係る発明は,コンピュータを本件特許発明の各手段として機能させるプログラムの発明であるから,本件特許発明と同様の理由により特許異議申立人の主張に根拠があると認めることができない。 6.むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-12-14 |
出願番号 | 特願2015-134273(P2015-134273) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(G06Q)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 青柳 光代 |
特許庁審判長 |
金子 幸一 |
特許庁審判官 |
星野 昌幸 野崎 大進 |
登録日 | 2016-03-11 |
登録番号 | 特許第5899360号(P5899360) |
権利者 | 株式会社リクルートホールディングス |
発明の名称 | 予約管理端末、予約管理方法および予約管理プログラム |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 伊藤 健太郎 |