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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B32B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B32B
管理番号 1323791
審判番号 不服2014-26374  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-24 
確定日 2015-12-24 
事件の表示 特願2014-507788「表面処理金属板及び表面処理金属板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日国際公開、WO2015/063866〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、2013年(平成25年)10月29日を国際出願日とする出願であって、平成26年9月11日付けで拒絶査定され、これに対し、同年12月24日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がなされたものである。

第2 平成26年12月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)
「厚さが0.5mm?2.0mmの金属板と、
前記金属板の一方の面上に形成され、蓄電デバイスが直接設置される電気的絶縁層と、
前記金属板の他方の面上に形成された第1熱放射層と、を備え、
前記金属板は、鋼板を含むことを特徴とする、表面処理金属板。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成26年5月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「厚さが0.5mm?2.0mmの金属板と、
前記金属板の一方の面上に形成され、蓄電デバイスが直接設置される電気的絶縁層と、
前記金属板の他方の面上に形成された第1熱放射層と、を備えることを特徴とする、表面処理金属板。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「金属板」について、「前記金属板は、鋼板を含む」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は上記1(1)に記載したとおりである。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2013-222541号公報(平成25年10月28日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、リチウムイオン電池等の蓄電システムの電池性能を長期にわたり維持することが可能で、低コストのプレコートアルミニウム板および蓄電システムの冷却構造を提供することを目的とする。」(段落[0006])
イ 「本発明によれば、リチウムイオン電池等の蓄電システムの電池性能を長期にわたり維持することが可能で、低コストのプレコートアルミニウム板および蓄電システムの冷却構造を提供することができる。」(段落[0013])
ウ 「以下、本発明の実施形態に係る蓄電システムの冷却構造および蓄電システム用のプレコートアルミニウム板を説明する。なお、本明細書において、『アルミニウム』とは、『純アルミニウム』だけでなく、『アルミニウム合金』をも含むものとする。」(段落[0015])
エ 「本発明のプレコートアルミニウム板は、アルミニウム板1の両方の表面に化成皮膜が形成された表面処理層(図示せず)が設けられ、少なくとも一方の面に熱硬化性樹脂を含有する第一層2aと第二層2bとをさらに備えているため、プレコートアルミニウム板には絶縁性が付与されている。第一層2aおよび第二層2bの詳細は後述される。カバー部4の外側は、リチウムイオン電池3から発生した熱を、本発明の樹脂層(以下、絶縁性樹脂皮膜2ともいう)の表面、アルミニウム板1に伝熱し、蓄電システムの外部に放出する機能を有する。この際、冷媒を用いることによって熱放出を促進することができるが、絶縁性樹脂皮膜2の反対側の面に、放熱性樹脂皮膜6(第三層)を設けることによって(図3)、放熱性樹脂皮膜6の輻射機能によって、熱放出をさらに促進することも可能である。」(段落[0017])
オ 「本発明の一実施形態のプレコートアルミニウム板に用いられるアルミニウムは、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、圧延用合金であれば特に限定されるものではないが、非熱処理型合金のうち、たとえば、1000系アルミニウム、3000系アルミニウム、5000系アルミニウム等が好ましく用いられる。アルミニウム板の板厚は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下の板厚が選択される。用途によって要求される機械的性質が異なるため、本発明の効果を奏する範囲で、合金の種類、調質、板厚が適宜調整される。本発明に用いられるアルミニウム板は、一般的な圧延加工により製造される。直方体のスラブ(圧延用鋳塊)を面削し、均熱処理した後に、約400℃以上の高温で熱間圧延し、次に室温で冷間圧延して、本発明に用いられるアルミニウム板を製造する。」(段落[0019])
カ 「(絶縁性樹脂皮膜)
本発明のプレコートアルミニウム板は、以下に述べるように第一層と第二層とを順に積層し、第二層2bの外側表面がリチウムイオン電池3の外装面と接触可能に形成されるもので、第一層2a及び第二層2bのいずれもが熱硬化性樹脂で形成される。
(第一層)
第一層2aは、熱硬化性樹脂を含有する絶縁性の樹脂皮膜である。第一層2aの熱硬化性樹脂は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることが特に好ましい。また、単一の熱硬化性樹脂を用いてもよいし、複数の熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。」(段落[0027]?[0028])
キ 「(第二層)
本発明に係る第二層2bは、図2に示すように、第一層2aを覆うように形成される。本発明において、第二層2bに熱硬化性樹脂が用いられることによって、リチウムイオン電池3の外装材(例えば、ポリプロピレン)が損傷し、リチウムイオン電池3内の電解液が漏れるような事があっても、第二層2bが耐薬品性に優れており、第二層2bの皮膜が劣化しにくいため、電解液が筐体5の外部に漏れ出すことを防ぐことができる。また、リチウムイオン電池3を被覆する外装材の樹脂層とプレコートアルミニウム板の熱硬化性の絶縁性樹脂皮膜2とが接触する構造において、外装材の樹脂層の温度が室温程度であるため外装材を構成する樹脂層(たとえば熱可塑性樹脂の層)の変形量が小さく、振動による外装材の樹脂層の変形に熱硬化性の絶縁性樹脂皮膜2も追随するので、外装材の樹脂層が破損しにくく、電池性能を長期にわたり維持することが可能である。さらに、絶縁性樹脂皮膜2を第一層2a及び第二層2bからなる二層構造とすることによって、第一層2aにピンホールが発生した場合であっても、ピンホールが繋がることが抑制され、第一層2a及び第二層2bを含む熱硬化性を有する絶縁性樹脂皮膜2の絶縁性を向上させることができる。」(段落[0036])
ク 「本発明においては、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池3を用いる形態について説明したが、二次電池やキャパシタなどの蓄電システムであればよく、たとえば、NAS電池(ナトリウム硫黄電池)やリチウムイオンキャパシタ等を用いてもよい。・・・リチウムイオン電池の種類によっては発熱量が大きくなることがあり、リチウムイオン電池3の外面とプレコートアルミニウム板の第二層2bとを接触させることによって、より効率的に熱を外部に逃がすことができる。」(段落[0065])
ケ 「また、筐体5の外部を通る冷媒を設ける、および/または、アルミニウム板1の絶縁性樹脂皮膜2が設けられた面とは反対側の面に第三層の樹脂層として放熱性樹脂皮膜6を設けることによって放熱がより促進され、冷却構造の冷却性能をさらに向上させることができる。この冷却構造により、リチウムイオン電池3周辺に熱が溜まることが抑制され、リチウムイオン電池3周辺の温度環境を低く抑えることができる。放熱性樹脂皮膜6を構成する樹脂は、上述した第三層に用いることができる樹脂であればよく、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、熱硬化性樹脂100質量部に対して平均粒径30μm以下のグラファイト粉末を1?20質量部を含有し、膜厚が5μm以上40μm以下の熱硬化性樹脂を皮膜として用いることが好ましい。」(段落[0066])

上記のア?ウ、カ及びクの「リチウムイオン電池3の外面とプレコートアルミニウム板の第二層2bとを接触させることによって、より効率的に熱を外部に逃がすことができる。」との記載により、リチウムイオン電池等の蓄電システムの冷却構造として用いるプレコートアルミニウム板は、当該蓄電システムが接触するように設けることができるものである。
また、上記エの「少なくとも一方の面に熱硬化性樹脂を含有する第一層2aと第二層2bとをさらに備えているため、プレコートアルミニウム板には絶縁性が付与されている。」との記載および上記カ、キから、プレコートアルミニウム板に用いるアルミニウム板の一方の面には絶縁性樹脂皮膜2が設けられており、上記エ及びケの「アルミニウム板1の絶縁性樹脂皮膜2が設けられた面とは反対側の面に第三層の樹脂層として放熱性樹脂皮膜6を設けることによって放熱がより促進され、冷却構造の冷却性能をさらに向上させることができる。」との記載から、アルミニウム板の絶縁性樹脂皮膜2が設けられる面と反対側の面には放射性樹脂皮膜6が設けられているものである。
また、上記オの「アルミニウム板の板厚は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下の板厚が選択される。用途によって要求される機械的性質が異なるため、本発明の効果を奏する範囲で、合金の種類、調質、板厚が適宜調整される。」との記載から、アルミニウム板の板厚は、効果を奏する範囲で適宜選択されるものであるが、0.1mm以上1.0mm以下の板厚のものを用いているものである。

よって、上記の記載ア?ケ及び図3によれば、引用文献には、
「厚さが0.1mm以上1.0mm以下のアルミニウム板1と、
前記アルミニウム板1の一方の面上に形成され、リチウムイオン電池等の蓄電システムが接触される絶縁性樹脂被膜2と、
前記アルミニウム板の他方の面上に形成された放熱性樹脂皮膜6と、
を備えたプレコートアルミニウム板。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「リチウムイオン電池等の蓄電システム」は、本願補正発明の「蓄電デバイス」に相当し、以下同様に、「絶縁性樹脂皮膜2」は「電気的絶縁層」に、「放熱性樹脂被膜6」は「第1熱放射層」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明においてリチウムイオン電池等の蓄電システムが「接触される」ことは、本願補正発明の蓄電デバイスが「直接設置される」ことに相当する。
また、引用発明の「アルミニウム板1」は金属製の板である限りにおいて本願補正発明の「金属板」に相当し、引用発明の「プレコートアルミニウム板」は、表面に処理が施された金属板である限りにおいて本願補正発明の「表面処理金属板」に相当する。
よって両者は、
「金属板と、
前記金属板の一方の面上に形成され、蓄電デバイスが直接設置される電気的絶縁層と、
前記金属板の他方の面上に形成された第1熱放射層と、
を備えた表面処理金属板」
である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:表面処理金属板に用いる金属板に関して、本願補正発明は、厚さが0.5mm?2.0mmの金属板であり、金属板は鋼板を含むものであるのに対し、引用発明では厚さが0.1mm以上1.0mm以下のアルミニウム板を用いている点。

(4)判断
上記相違点について検討すると、電気的なデバイスのために用いる放熱効果を有する金属板として、アルミニウム板の他に鋼板あるいは鉄の板を用いることは、特開2004-243310号公報(段落[0040]?[0042])、特開2001-77254号公報(段落[0002]?[0007])、特開平4-255254号公報(段落[0009]、[0017])、特開2010-10460号公報(請求項1、請求項2、段落[0010]?[0011]、[0025])に見られるように、本願出願前に周知の技術である。
そして、蓄電システムを含む電気的なデバイスに利用される放熱効果を有する金属板について、「用途によって要求される機械的性質が異なるため、本発明の効果を奏する範囲で、合金の種類、調質、板厚が適宜調整される」(上記(2)オ)ことが引用文献1に示唆されるように、要求される冷却性能や機械的性質(強度、重量、冷却性能)等の条件を考慮して選択されることが一般的に行われているところ、引用文献1に記載の表面処理金属板(プレコートアルミニウム板)の金属板の面上に形成される電気的絶縁層(絶縁性樹脂被膜)及び第1熱放射層(放熱性樹脂皮膜)は、アルミニウム板にのみ適用可能な層とはいえず、アルミニウム板以外の金属板に設けられたとしても、放熱性樹脂皮膜による放熱性の向上の効果や絶縁性樹脂皮膜による蓄電デバイスとの接触を可能とする効果が期待されるものといえる。
よって、引用発明のアルミニウム板に替えて鋼板を用いることは、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得た程度のことである。
また、金属板の厚さをどの程度とするかについては、引用文献1の上記(2)オに示唆のあるとおり、表面処理金属板に必要とされる機械的性質(強度、重量、冷却性能)等の条件を考慮して設定すべきことであり、本願補正発明において0.5mm?2.0mmの厚さとしたことは、適宜設定し得た設計事項である。

なお、請求人は審判請求書において、
(a)「引用文献1において冷却性能発現に大きく寄与する高熱伝導性のアルミニウム板に換えて、熱伝導性の低い鋼板を採用する事は引用文献1の目的である蓄電システムの冷却性能の低下を意味するものであり、そこには明白な阻害要因が存在するものと思料いたします。」、
(b)「鋼板はアルミニウム板に比べて熱伝導率が悪いですが、本発明者は、このような鋼板に熱放射層を形成することで、蓄電デバイスの熱を効率的に外部に放出することができることを見出しました。このような知見は引用文献1には何ら記載されていません。」、
(c)「鋼板を蓄電デバイスの設置部材に使用した場合、様々な有利な効果を得ることができます。」との旨主張するところである。
しかしながら、以下に示すように、これらの主張はいずれも上記相違点に関する判断を覆す根拠にはならない。
(a)について
上記のとおり表面処理金属板に用いる金属板は、要求される冷却性能や強度、重量等の条件を考慮して選択されるものである。
一方、引用文献1には、アルミニウム板以外の金属板を用いることを禁止する直接的な記載があるわけではない。
そして、引用文献1には「アルミニウム板1の絶縁性樹脂皮膜2が設けられた面とは反対側の面に第三層の樹脂層として放熱性樹脂皮膜6を設けることによって放熱がより促進され、冷却構造の冷却性能をさらに向上させることができる。」(上記(2)ケ)と記載されており、この記載に接した者であれば、金属板の面上に放射性樹脂被膜6(第1熱放射層)を設けることにより、放熱をより促進し、冷却構造の冷却性能をさらに向上させることができるという知見を得られることが明らかである。
したがって、「鋼板はアルミニウム板に比べて熱伝導率が悪い」ことのみをもって、引用発明において、アルミニウム板に替えて鋼板を採用することに阻害要因が存在するとはいえない。
(b)について
上記したように、引用文献1の記載事項(上記(2)ケ)から、上記知見が得られることを踏まえると、たとえ引用文献1には、鋼板のような熱伝導率が低いものであっても、熱放射層を設けることで蓄電デバイスの熱を効率的に外部に放出することができることが直接的に記載されていなくても、このようなことは、この分野において通常の知識を有する者が容易に予測し得るというべきである。
(c)について
審判請求書に列挙されている金属板として鋼板を用いることによる効果は、鋼板自体が有する特性によるものであって、当該鋼板を表面処理金属板に用いたことによる格別の効果とは認められず、引用発明及び周知技術からこの発明の属する分野において通常の知識を有する者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいてこの発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年12月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?13に係る発明は、平成26年5月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)のとおりである。

2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献、記載事項、及び引用発明は、上記第2の2(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記第2で検討した本願補正発明から「前記金属板は、鋼板を含む」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の2(3)の本願補正発明と引用発明との一致点と同じ点で一致し、以下の点でのみ相違している。

相違点:表面処理金属板に用いる金属板に関して、本願発明は、厚さが0.5mm?2.0mmの金属板であるのに対し、引用発明では厚さが0.1mm以上1.0mm以下のものを用いている点。

そして、上記第2の2(4)でも示したように、金属板の厚さをどの程度とするかは、必要とされる強度、放熱性や重量、費用等の条件を考慮して設定すべきことであり、本願発明で0.5mm?2.0mmの厚さとしたことは、適宜設定し得た設計事項である。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいてこの発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-20 
結審通知日 2015-10-27 
審決日 2015-11-09 
出願番号 特願2014-507788(P2014-507788)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B32B)
P 1 8・ 575- Z (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松岡 美和  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 見目 省二
蓮井 雅之
発明の名称 表面処理金属板及び表面処理金属板の製造方法  
代理人 亀谷 美明  

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