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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1323808
審判番号 訂正2016-390121  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-09-23 
確定日 2017-01-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5756824号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5756824号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5756824号は、平成20年12月12日に出願した特願2008-317124号の一部を平成25年4月12日に新たに特許出願(特願2013-83557号)したものであって、その請求項1及び2に係る発明は、平成27年6月5日に特許権の設定登録がなされ、平成28年9月23日に本件訂正審判の請求がなされ、平成28年10月17日付けの訂正拒絶理由通知に対して、同年11月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成28年11月10日付け手続補正の適否について
1 補正事項
上記手続補正書における補正は、以下の通りである(下線部は、当審で付与した。)。
(1)補正事項1
審判請求書の「6.請求の理由 (2)訂正事項 ア 訂正事項1」の
「前記事前判定手段は、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する」
という記載を、
「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」
に補正する。

(2)補正事項2
審判請求書の「6.請求の理由 (2)訂正事項 イ.訂正事項2」の
「前記事前判定手段は、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する」
という記載を、
「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」
に補正する。

2 当審の判断
(1)補正事項1について
審判請求書の上記の「ア 訂正事項1」に対しては、概略、次のア(ア)及び(イ)並びにイの訂正拒絶理由が通知されていた。

「ア 訂正の目的について
(ア)明瞭でない記載の釈明について
段落【0114】及び【0116】の記載によれば、「連続演出の実行を禁止する」のは「連続演出設定変更部205」である。また、「事前判定手段」は、請求項1並びに段落【0112】及び【0117】の記載によれば、「事前判定部203」に対応する。そして、段落【0108】の記載によれば、「演出制御基板130」における「連続演出設定変更部205」と「演出制御基板130」における「事前判定部203」とは、別の機能を処理する処理部であって、請求項1の「事前判定手段」たる「事前判定部203」が「連続演出設定変更部205」を含む上位概念であるともいえない。そうであるにもかかわらず、訂正後の請求項1には「事前判定手段」が「連続演出の実行を禁止する」というように記載されており、本件特許明細書の記載と整合せず、不合理であって不明瞭である。
以上のように、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を、不明瞭な記載を有する訂正後の請求項1の記載に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当しない。

(イ)請求の範囲の減縮について
訂正事項1は、訂正により、「連続演出の実行を禁止する」主体を「第2変動表示保留手段」から「事前判定手段」に変更するものである。ここで、「第2変動表示保留手段」は、請求項1並びに段落【0048】、【0056】、【0059】、【0061】及び【0177】の記載によれば、「メイン制御基板100」における「第2変動表示保留部114」に対応する。これに対し、「事前判定手段」は上記(ア)で検討したとおり「演出制御基板130」における「事前判定部203」に対応する。したがって、「事前判定手段」と「第2変動表示保留手段」とは別の制御基板における処理部であって、「事前判定手段」が「第2変動表示保留手段」の下位概念ともいえないから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当しない。
さらに、訂正事項1は、その訂正の内容からみて、特許法第126号第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」、同第4号の「他の請求の記載を引用する請求項の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすること」のいずれを目的とする訂正にも該当しない。

イ 新規事項について
訂正後の請求項1は、「事前判定手段」が「連続演出の実行を禁止する」というものであるが、訂正前の本件特許明細書では、上記ア(ア)で検討したとおり、「連続演出の実行を禁止する」主体は「連続演出設定変更部205」である。そして、本件特許明細書には、「事前判定手段」が「連続演出の実行を禁止する」点は記載されておらず、本件特許明細書の記載から自明な事項であるともいえない。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものではないから、特許法第126条第5項の規定に適合しない。」


以上の訂正拒絶理由の通知に対して、提示された補正事項1の「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」との記載は、「連続演出の実行を禁止する」主体が「演出設定変更手段」となっている。そして、本件特許明細書の「【0114】連続演出設定変更部205は…ステップアップ連続演出の実行を禁止したり…するための処理部である」及び「【0116】…連続演出設定変更部205は、…ステップアップ連続演出の実行を禁止する」との記載に鑑みれば、補正事項1の「連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段」は、本件特許明細書の「連続演出設定変更部205」に相当するといえ、本件特許明細書には「演出設定変更手段」が記載されているといえる。
したがって、補正事項1により、「連続演出の実行を禁止する」主体として、「前記事前判定手段は、」が削除され、「演出設定変更手段をさらに備える」と特定するように補正されることにより、その構成は明瞭になることから、補正事項1は、上記の訂正拒絶理由のアを解消するものである。

また、補正事項1は、上述したように本件特許明細書に記載された事項に基づくものであって、本件特許明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項等の関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、上記の訂正拒絶理由のイを解消するものである。

よって、補正事項1は、当審が訂正拒絶理由通知において訂正事項1に対して訂正の要件を満たしていないとした上記の点を解消するものであり、実質的な内容変更を伴う補正ではなく、審判請求書の要旨を変更するものではないから、特許法第131条の2第1項の規定を満たすものである。

(2)補正事項2について
審判請求書の上記の「イ 訂正事項2」に対しては、概略、次の訂正拒絶理由が通知されていた。

「訂正事項2は、訂正事項1の訂正により、本件訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0010】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正である。
しかしながら、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号のいずれをも目的としておらず、また、特許法第126条第5項の規定に適合しないから、訂正事項2は、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正には該当せず、特許法第126条第1項ただし書各号のいずれをも目的としておらず、また、特許法第126条第5項の規定に適合しない。」

以上の訂正拒絶理由の通知に対して、補正事項2は、特許請求の範囲の記載を補正事項1のとおりに補正したことに伴い、整合性を取るために関連する発明の詳細な説明の段落【0010】の記載を補正事項1に併せて補正したものであって、当審が訂正拒絶理由通知において訂正事項1に対して訂正の要件を満たしていないとした点の解消に伴い、訂正事項2に対して訂正の要件を満たしていないとした点を解消するものであり、実質的な内容変更を伴う補正ではなく、審判請求書の要旨を変更するものではないから、特許法第131条の2第1項の規定を満たすものである。

第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求は、本件特許明細書及び本件特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである(下線部は訂正箇所を意味する。)。その訂正内容は、次のとおりである。

1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における
「前記第2変動表示保留手段は、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留を記憶した場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する」
という記載を、
「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」に訂正する。

2 訂正事項2
本件特許明細書の段落【0010】における
「前記第2変動表示保留手段は、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留を記憶した場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する」
という記載を、
「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」
に訂正する。

第4 当審の判断
1 訂正事項1について
訂正前の請求項1の「前記第2変動表示保留手段は、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留を記憶した場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する」との記載は、「第2変動表示保留手段」が「連続演出の実行を禁止する」というものであった。

しかしながら、第2変動表示保留手段について、請求項1の
「特別図柄の変動表示中に前記第2始動口に遊技球が入球した個数を記憶して、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留し、前記第1変動表示保留手段よりも優先的に保留を消化する」
との記載及び本件特許明細書の
「【0048】
…メイン制御基板100のCPU101は、所定のプログラムを実行することにより、遊技機1における動作全般を統括的に制御する遊技制御部110として機能する。この遊技制御部110は、遊技の進行状況に応じて種々の処理部として機能するが、その一部について例を挙げると、図7に示すように…変動表示保留部112…として機能する。そして変動表示保留部112は、さらに…第2変動表示保留部114とを備えている。」、
「【0056】
…また第2変動表示保留部114は、第2始動口21に遊技球が入球して取得された遊技データを第2変動表示保留記憶部105に格納する…」、
「【0059】
また第2変動表示保留部114は、第2始動口21に遊技球が入球した個数分の遊技データを第2変動表示保留記憶部105に記憶することにより、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留する。この第2変動表示保留部114もまた、4つまでの保留球を記憶しておくことができる。そして第2変動表示保留記憶部105に記憶した保留球を消化して特別図柄の変動表示を行う際、第2変動表示保留部114は、第1記憶領域105aの遊技データを読み出して保留を消化し、第2記憶領域105b?第4記憶領域105dの遊技データをそれぞれ第1記憶領域105a?第3記憶領域105cにシフトさせる。」、
「【0061】
また本実施形態の遊技機1は、第1変動表示部保留部113が第1始動口19に入球した1個以上の保留球を保留しており、且つ、第2変動表示部保留部114が第2始動口21に入球した1個以上の保留球を保留している場合、特別図柄変動処理部115が保留を消化して次の特別図柄の変動表示を開始する際、第2変動表示保留部114による保留を優先的に消化するように構成されている。」、
「【0177】
…114 第2変動表示保留部(第2変動表示保留手段)…」
との記載に鑑みれば、第2変動表示保留手段は、第2始動口への入球に基づき特別図柄の変動表示を保留し、この保留を消化する処理部であり、連続演出を行うか否かを決定するものでないことは明らかである。

また、訂正前の本件特許明細書の
「【0114】
連続演出設定変更部205は、連続演出設定部204によりステップアップ連続演出が設定されている状態で、その後さらに第2始動口21に入球したことに伴う遊技データを受信した場合、ステップアップ連続演出の実行状況に応じて、既に設定されているステップアップ連続演出の実行を禁止したり…するための処理部である。」、
「【0116】
…連続演出設定部204によりステップアップ連続演出が設定され、そのステップアップ連続演出が開始される前に、第2始動口21に遊技球が入球した場合、連続演出設定変更部205は、当該入球に基づいて優先的に行われる特別図柄の変動表示においてステップアップ連続演出の実行を禁止する。」
との記載によれば、「連続演出の実行を禁止する」のは「連続演出設定変更部205」である。

そうであるにもかかわらず、訂正前の請求項1には、恰も第2変動表示保留手段が連続演出の実行の禁止を決定するかのように記載されており、係る記載が請求項1及び明細書における他の記載との関係において不合理を生じていることは明らかである。

これに対して、提示された訂正事項1の「前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える」との記載は、「連続演出の実行を禁止する」主体が「演出設定変更手段」となっている。そして、本件特許明細書の「【0114】連続演出設定変更部205は…ステップアップ連続演出の実行を禁止したり…するための処理部である」及び「【0116】…連続演出設定変更部205は、…ステップアップ連続演出の実行を禁止する」との記載に鑑みれば、補正事項1の「連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段」は、本件特許明細書の「連続演出設定変更部205」に相当するといえ、本件特許明細書には「演出設定変更手段」が記載されているといえる。

したがって、訂正事項1により、「連続演出の実行を禁止する」主体として、「前記第2変動表示保留手段は、」が削除され、「演出設定変更手段をさらに備える」と特定するように訂正されることにより、その構成は明瞭になることから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

また、訂正事項1は、上述したように本件特許明細書等に記載された事項に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項等の関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

2 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1の訂正により、本件訂正前の請求項1における明瞭でない記載の釈明の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0010】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

そして、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、本件特許明細書の記載に基づくものであって、本件特許明細書のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

第4 むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動口に遊技球が入球したことを条件として大当たり抽選を行うパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機などの遊技機において、遊技盤面に打ち出された遊技球が始動口に入球することを条件として乱数を取得し、大当たり抽選を行うものが知られている。このような遊技機では、始動口に遊技球が入球して大当たり抽選が行われると、それに伴って特別図柄の変動表示を開始する。そして所定時間経過後にその変動表示を大当たり抽選の結果に応じた特別図柄で停止させる。また遊技機は、特別図柄の変動表示中、さまざまな趣向を凝らした演出を行うことによって遊技の興趣を高めている。
【0003】
一方、特別図柄の変動表示中にさらに遊技球が始動口に入球した場合、それに伴う特別図柄の変動表示は先の変動表示が終了するまで開始することができない。そのため、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口に入球した場合はそれに伴って取得する乱数を一時的に記憶しておき、当該入球に伴う特別図柄の変動表示を所定球数分保留することができるようになっている。
【0004】
そして従来は、一時的に記憶された乱数を、特別図柄の変動表示が保留された時点で判定し、その判定結果に基づいてさまざまな演出を行うようにした遊技機も知られている(例えば、特許文献1)。例えば、特別図柄の変動表示が4つ保留されているときに、4つ目の保留球が大当たりに当選していると判定された場合、1つ目の保留球から4つ目の保留球までの複数回にわたる特別図柄の変動表示が消化されるまでの間に、4つ目の保留球が大当たりに当選しているかもしれないという期待感を遊技者に与えるような連続的な演出を行う。このような演出により、大当たりに当選するかもしれないという遊技者の期待感を早期に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-283544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年の遊技機には、第1始動口と第2始動口への入球を個別に検知してそれぞれの始動口への入球を個別に保留していくものも存在する。このような遊技機では、第1始動口と第2始動口への入球順に保留を消化していくのではなく、第2始動口に入球して保留された変動表示を、第1始動口に入球して保留された変動表示よりも優先的に消化していくように構成されている。例えば、特別図柄の変動表示中に、第1始動口に遊技球が2個入球した後、第2始動口に遊技球が1個入球した場合、現在の変動表示終了後、第2始動口に入球して保留された変動表示が優先的に行われ、その後、第1始動口に入球して保留された変動表示がその入球順に従って消化される。
【0007】
このような遊技機の場合、上述した従来の複数回の特別図柄の変動表示にわたる連続的な演出を設定すると、次のような問題が生じる。例えば、特別図柄の変動表示中に、第1始動口の保留数が4個となり、且つその4つ目の保留球によってその後の4回の特別図柄の変動表示において行う連続的な演出が設定された場合、その連続的な演出が既に開始している際に、第2始動口に遊技球が入球してしまうと、その第2始動口への入球に伴う特別図柄の変動表示が優先的に行われるため、第1始動口に入球した4つ目の保留に基づく特別図柄の変動表示時には、既に連続的な演出が終了してしまう。このような場合、連続的な演出が設定された後の4回目の特別図柄の変動表示時には、リーチ演出すら発生しない可能性があり、4回目の変動表示が大当たりに当選するかもしれないという遊技者の期待感を損ねる演出になってしまうという問題がある。
【0008】
一方、連続的な演出が既に開始している際に第2始動口に遊技球が入球した場合、その第2始動口への入球に基づいて優先的に行われる特別図柄の変動表示時には、連続的な演出を行わないように構成することも考えられる。しかしこの場合は、複数回の特別図柄の変動表示中に行うための連続的な演出が、途中で途切れることとなる。そして連続的な演出の途中で、前後の演出とは何ら関連性のない演出が割り込んで行われる。そのため、遊技者の興趣が連続的な演出の途中で低下することとなり、効果的な演出を行うことができなくなるという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記のような問題のある演出態様とは異なる態様の演出を行うことにより、複数回の連続した特別図柄の変動表示にわたって遊技者の期待感を継続させることができる遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に遊技球の入球が記憶されたとき、当該入球より先に入球したことに基づく保留の中に、リーチ演出を行う保留又は大当たりの抽選において当選する保留が含まれていないことを条件として、当該入球に基づく特別図柄の変動表示の開始前に、当該入球を契機として、前記遊技データ取得手段により取得された遊技データに基づいて、当該入球に基づく保留が消化されるまでの間の複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に行われる連続演出を行うか否かを判定する事前判定手段と、前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に記憶されている保留数に応じた保留表示を行う保留表示手段とを備え、前記保留表示手段は、前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に遊技球の入球が記憶されることに伴って行われる前記事前判定手段の判定結果が前記連続演出を行うものである場合、当該入球によって新たに表示する保留表示の表示態様を通常の表示態様とは異なる表示態様に変化させて表示し、前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記保留表示手段は、新たに表示する保留表示の表示態様を通常の表示態様とは異なる表示態様に変化させて表示するとき、通常の表示態様とは異なる複数種類の表示態様のうちから一の表示態様を選択して表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる遊技機によれば、第1変動表示保留手段又は第2変動表示保留手段に遊技球の入球が記憶されることに伴って行われる事前判定手段の判定結果が所定の演出を行うものである場合、当該入球によって新たに表示される保留表示の表示態様が通常の表示態様とは異なる表示態様に変化した状態に表示されるため、その保留表示に対応する保留が消化されるまでの間に行われる複数回の連続した特別図柄の変動表示において遊技者の期待感を継続させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】遊技機の一構成例を示す正面図である。
【図2】遊技盤の一構成例を示す正面図である。
【図3】第1始動口の構成を示す拡大図である。
【図4】第2始動口の構成を示す拡大図である。
【図5】遊技盤に設けられた表示器を拡大して示す図である。
【図6】遊技盤の背面側に取り付けられる遊技機の制御機構を示すブロック図である。
【図7】メイン制御基板における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図8】メイン制御基板の乱数格納領域に格納される各乱数の一例を説明する図である。
【図9】メイン制御基板における保留記憶領域の一構成例を示す図である。
【図10】遊技機における保留消化の一例を示す図である。
【図11】メイン制御基板の遊技制御部による主要動作を示すフローチャートである。
【図12】第1始動口スイッチ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】第2始動口スイッチ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】第1始動口スイッチ処理および第2始動口スイッチ処理によってメイン制御基板にセットされる送信用遊技データの一例を示す図である。
【図15】ゲートスイッチ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】特別図柄処理の詳細を示すフローチャートである。
【図17】大当たり判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図18】変動パターン選択処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】停止中処理の詳細を示すフローチャートである。
【図20】普通図柄処理の詳細を示すフローチャートである。
【図21】大入賞口処理の詳細を示すフローチャートである。
【図22】大入賞口処理の詳細を示すフローチャートである。
【図23】電動チューリップ処理(電チュー処理)の詳細を示すフローチャートである。
【図24】出力処理の詳細を示すフローチャートである。
【図25】演出制御基板における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図26】演出制御基板における保留記憶領域の一構成例を示す図である。
【図27】演出制御基板のCPUによる主要動作を示すフローチャートである。
【図28】遊技データ受信処理の詳細を示すフローチャートである。
【図29】事前判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図30】連続演出設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図31】連続演出設定変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【図32】連続演出開始前処理の詳細を示すフローチャートである。
【図33】演出コマンド受信処理の詳細を示すフローチャートである。
【図34】連続演出決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図35】演出制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図36】画像表示器8における表示画面の一構成例を示す図である。
【図37】ステップアップ連続演出の複数の段階の一例を示す図である。
【図38】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図39】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図40】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図41】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図42】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図43】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【図44】遊技機においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器における演出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本実施形態における遊技機1の一例を示す正面図である。遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成されたものである。この遊技機1は、透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有する枠部材3と、その枠部材3の窓部2の背面側に着脱自在に取り付けられる遊技盤10とを備えている。
【0017】
枠部材3は窓部2の下部右側に遊技者が操作するハンドルレバー4を備えており、遊技者がこのハンドルレバー4を時計方向に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で打ち出されるようになっている。また枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられたスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えており、スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
【0018】
図2は、本実施形態における遊技盤10の一例を示す正面図である。遊技盤10は、正面側に相当する遊技盤面10aに、外側レール11と内側レール12とで囲まれた遊技領域13を有しており、遊技者がハンドルレバー4を操作することによって打ち出される遊技球は外側レール11と内側レール12との間から遊技領域13の左上の部分に打ち出される。その遊技領域13の内側には、遊技盤10の略中央に位置するように液晶表示デバイスなどで構成された画像表示器8が設けられており、さらにその画像表示器8の周縁にはセンター役物などとも呼ばれる飾り枠体14が設けられている。画像表示器8は、演出のための各種の画像を表示するためのものであり、遊技の進行に伴い、例えば大当たり抽選の抽選結果を、1?9などの数字を付した複数の装飾図柄によって報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。飾り枠体14は画像表示器8の画面枠を規定している。この飾り枠体14には種々のランプや可動物などの演出用役物32が配置されている。また飾り枠体14の左側には遊技球のワープ通路31が設けられており、飾り枠体14の中央下部には遊技球が転動可能なステージ30が設けられている。ワープ通路31の上端には遊技領域13の上部左側に向かって開放した流入口31aが形成されており、下端には遊技球をステージ30上に導くための流出口31bが形成されている。
【0019】
遊技領域13における飾り枠体14の周囲には、多数の釘15、スルーゲート16、風車17、普通入賞口18、第1始動口19、電動チューリップ20、第2始動口21、大入賞口22、大入賞口22を開閉する役物23、アウト口24等の公知の部材が配置されている。さらに、遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部には、特別図柄の変動表示を行って大当たりの抽選結果に応じた特別図柄の表示を行ったり、第1始動口19および第2始動口21に遊技球が入球したことによる保留数に関する表示を行ったりするための表示器60が設けられている。
【0020】
図2に示すようにスルーゲート16は遊技領域13の左側に設けられている。このスルーゲート16は、遊技機1において普通図柄抽選が行われる条件となるゲートであり、遊技球がこのゲートを通過すると普通図柄抽選が開始される。普通入賞口18は遊技領域13の下部の複数箇所に設けられている。普通入賞口18は、遊技球が入球した場合、所定球数の賞球を払い出すための入賞口である。
【0021】
第1始動口19は飾り枠体14の中央下方に設けられており、電動チューリップ20および第2始動口21は第1始動口19の下方に設けられている。電動チューリップ20は左右に開閉する羽根部材を備えており、電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球し易い状態となる。この電動チューリップ20は、遊技球がスルーゲート16を通過したことに伴って行われる普通図柄抽選に当選すると、左右の羽根部材が所定時間および所定回数開放するようになっている。第1始動口19および第2始動口21のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選(特別図柄抽選)が行われる条件となる入賞口である。そのため、これら始動口19,21に遊技球が入球すると、遊技機1において大当たり抽選が行われ、表示器60において特別図柄の変動表示が開始されると共に、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が開始される。また画像表示器8においては装飾図柄の変動表示と共に、さまざまなキャラクタの出現などによる各種の予告演出なども表示される。
【0022】
図2に示すように、第1始動口19および第2始動口21は、飾り枠体14のステージ30の中央直下に位置しており、ステージ30に流入した遊技球がステージ30のほぼ中央から下方に落下すると、第1始動口19又は第2始動口21に入球しやすくなる。
【0023】
大入賞口22および役物23は、電動チューリップ20のさらに下方に設けられている。役物23は、大入賞口22を開閉する役物であり、通常は大入賞口22を閉鎖した状態となっている。そして遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを条件として行われる大当たり抽選(特別図柄抽選)において大当たり又は小当たりに当選すると、その大入賞口開放遊技において大入賞口22の下縁に沿って配置された略水平な回動軸周りに回動して大入賞口22を開放するように構成されている。
【0024】
図3は第1始動口19の構成を示す拡大図であり、図4は第2始動口21の構成を示す拡大図である。図3および図4に示すように第1始動口19および第2始動口21は、遊技盤面10aに取り付けられる一体的な盤面部品40によって形成される。第1始動口19は盤面部品40の上部に設けられ、第2始動口21は盤面部品40の第1始動口19の下に設けられている。図3(a)および(b)に示すように、遊技球Bが第1始動口19に入球すると、その遊技球Bは盤面部品40の背面側に設けられた図示しない遊技球案内部材によって遊技盤面10aの背面側に案内される。この遊技球Bは、遊技盤面10aの背面側で盤面部品40の近傍に設けられた第1始動口スイッチ41に導かれ、第1始動口スイッチ41を通過する際に入球が検知される。また図4(a)に示すように、第2始動口21の左右両側に設けられた電動チューリップ20が開放しているとき、遊技球Bは第2始動口21の左右両側から第2始動口21に入球しやすい状態となる。この状態で遊技球Bが第2始動口21に入球すると、その遊技球Bは、図4(b)に示すように、盤面部品40の内部に形成された遊技球案内通路を転動し、遊技盤面10aの背面側で盤面部品40の下部に取り付けられた第2始動口スイッチ42を通って下方に排出される。そして遊技球Bが第2始動口スイッチ42を通過する際に入球が検知される。
【0025】
第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42で遊技球の入球が検知されると、遊技機1において各種乱数が遊技データとして取得され、その遊技データに基づいて大当たり抽選が行われる。
【0026】
ここで本実施形態の遊技機1において大当たり抽選で当選する当たりの種別について説明する。本実施形態では、大当たり抽選において当選する当たりの種別として「大当たり」と「小当たり」の2つの当たりがあり、「大当たり」の場合には更に「長当たり」と「短当たり」の2つの当たりがある。これらうちのいずれの当たりに当選した場合でも、遊技機1は、大入賞口22を開放する大入賞口開放遊技(特別遊技状態)に移行する。ただし、当たりの種別によって大入賞口開放遊技で大入賞口22が開閉する回数(ラウンド数)や、大入賞口22の開放時間が異なっている。つまり、大入賞口開放遊技には、大当たりに当選した場合の大当たり遊技と、小当たりに当選した場合の小当たり遊技とがあり、大当たり遊技には更に「長当たり」の場合の第1の大当たり遊技と、「短当たり」の場合の第2の大当たり遊技とがある。そして大当たりに当選して「短当たり」となった場合の第2の大当たり遊技と、小当たりに当選した場合の小当たり遊技とがほぼ同じ動作の遊技となっている。そのため、大入賞口開放遊技には、大当たり抽選(特別図柄抽選)で「長当たり」となった場合の第1の大入賞口開放遊技と、「短当たり」又は「小当たり」となった場合の第2の大入賞口開放遊技との2つの遊技がある。以下、さらに詳しく説明する。
【0027】
「大当たり」の場合に「長当たり」が設定されると、その大入賞口開放遊技では、役物23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的長い時間(例えば30秒など)に設定される。そして「長当たり」の大入賞口開放遊技では、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。そのため、この「長当たり」の大入賞口開放遊技では、役物23が大入賞口22を開放している間に遊技球が大入賞口22に入球する可能性が高くなり、遊技者にとって多くの賞球を獲得し得る遊技状態となる。そして大当たりの場合に「長当たり」が設定されると、その大入賞口開放遊技後の遊技状態として、その後の大当たり抽選での大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動する確変モード(確変遊技状態(高確率状態))と、大当たりの当選確率が通常確率のままである通常モード(通常遊技状態(通常確率状態))とのいずれか一方が設定される。また「長当たり」が設定された場合の大入賞口開放遊技後の遊技状態には、通常遊技状態と比較して普通図柄の変動表示時間が短縮された「時短遊技」が付与される。この時短遊技の場合は、非時短遊技の場合よりも電動チューリップ20が開放される時間が長くなり、第2始動口21に対して遊技球が入球しやすい状態となる。尚、時短遊技は、通常、特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行われるまで継続する。
【0028】
これに対し、「大当たり」の場合で「短当たり」が設定されると、その大入賞口開放遊技では、役物23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そして「短当たり」の大入賞口開放遊技では、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。この「短当たり」の大入賞口開放遊技では、役物23が大入賞口22を開放する開放時間が遊技球の入球しにくい短い時間に設定されるため、大入賞口22が開放している間に遊技球が大入賞口22に入球する可能性は低く、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となる。また遊技機1は、大当たりとして「短当たり」を設定した場合、その大入賞口開放遊技後における遊技状態として、その後の大当たり抽選での大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動する確変モード(確変遊技状態(高確率状態))、同じくその後の大当たり抽選での大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動する潜伏確変モード(確変遊技状態(高確率状態))、および、大当たりの当選確率が通常確率のままである通常モード(通常遊技状態(通常確率状態))のうちのいずれか一つを設定する。また「短当たり」が設定された場合の大入賞口開放遊技後の遊技状態には、通常遊技状態と比較して普通図柄の変動表示時間が短縮された「時短遊技」と、普通図柄の変動表示時間が通常遊技状態と同様である「非時短遊技」とのいずれか一方が付与される。
【0029】
ここで確変モードと潜伏確変モードの違いについて説明する。遊技機1の遊技状態が確変モードに移行すると、その確変モードでは遊技機1において大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動したことを報知する演出が行われる。そのため、確変モードの場合は、遊技者が大当たり抽選における当選確率が高確率状態に移行したことを容易に把握することができる遊技状態となる。これに対し、遊技機1の遊技状態が潜伏確変モードに移行すると、その潜伏確変モードでは遊技機1において大当たりの当選確率が通常確率よりも高確率に変動したことは、通常、遊技者に対して報知されない。そのため、潜伏確変モードの場合は、遊技機1の遊技状態そのものは通常の遊技状態と変わるところがないので、遊技者が潜伏確変モードに移行したことを明確には把握することができない遊技状態となる。ただし、確変モード及び潜伏確変モードのいずれのモードであっても、高確率状態であることに変わりはないため、その後の大当たり抽選における当選確率は同じ確率(すなわち高確率)である。
【0030】
一方、「小当たり」は上述した「大当たり」とは異なり、「小当たり」の前後で大当たり抽選における大当たりの当選確率は変動しないようになっている。またその他の遊技状態も変化することがない。この「小当たり」に当選した場合の大入賞口開放遊技では、「短当たり」の場合と同様に、役物23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が比較的短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そしてその1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口22を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。したがって、「小当たり」の大入賞口開放遊技でも、「短当たり」の場合と同様に、大入賞口22の開放時間が遊技球の入球しにくい短い時間に設定されるので、大入賞口22の開放中に遊技球が大入賞口22に入球する可能性は低く、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となる。そして役物23が大入賞口22を開閉する動作は、「小当たり」の場合と「短当たり」の場合でほぼ同じ動作になるので、遊技者は役物23による大入賞口22の開閉動作からいずれの当たりであるかを判別することが難しい動作態様となっている。
【0031】
このように本実施形態の遊技機1は、遊技盤10に設けられた始動口19,21に遊技球が入球したことを条件として大当たり抽選を行い、当選した場合にはその当たり種別に応じて遊技盤10に設けられた大入賞口22を開放するように構成されている。
【0032】
次に、遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部に設けられる表示器60は、LED表示部や7セグメント表示器などで構成される。図5は、この表示器60を拡大して示す図である。表示器60は、遊技球がスルーゲート16を通過することによって作動する普通図柄表示器61と、普通図柄抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器62と、遊技球が第1始動口19に入球することによって特別図柄の変動表示を作動させる第1特別図柄表示器63と、第1始動口19に入球した保留数を表示する第1特別図柄保留表示器64と、遊技球が第2始動口21に入球することによって特別図柄の変動表示を作動させる第2特別図柄表示器65と、第2始動口21に入球した保留数を表示する第2特別図柄保留表示器66とを備えている。
【0033】
普通図柄表示器61は、遊技球がスルーゲート16を通過したことによって行われる普通図柄の抽選結果を表示するものであり、当選した場合には当選図柄(例えば○の図柄)を表示し、ハズレの場合にはハズレ図柄(例えば×の図柄)を表示する。この普通図柄表示器61は、遊技機1において普通図柄の抽選が行われると、当選図柄とハズレ図柄とを交互に点灯表示する変動表示を所定時間行った後、普通図柄の抽選結果に応じて当選図柄とハズレ図柄とのいずれか一方を点灯させる。そして普通図柄の抽選に当選した場合、普通図柄表示器61は当選図柄を表示した状態で停止し、遊技状態に応じて電動チューリップ20が所定時間および所定回数開放される。例えば「時短遊技」の場合、普通図柄の変動表示時間は3秒程度となり、普通図柄の抽選に当選したときの電動チューリップ20の開放時間は3.5秒程度となる。これに対して「非時短遊技」の場合、普通図柄の変動表示時間は29秒程度となり、普通図柄の抽選に当選したときの電動チューリップ20の開放時間は0.2秒程度となる。
【0034】
普通図柄保留表示器62は、普通図柄の変動表示中に遊技球がスルーゲート16を通過した場合に先の変動表示が終了するまで次の変動表示が保留されるので、その保留数を表示するものである。尚、図例において普通図柄保留表示器62は、LED表示部が一列に配設された4つの保留ランプを備えており、最大4つの保留数を表示することができるようになっている。
【0035】
第1特別図柄表示器63は、遊技球が第1始動口19に入球したことによって行われる大当たり抽選(特別図柄抽選)の抽選結果を表示するものであり、例えば7セグメント表示器で構成される。この第1特別図柄表示器63は、第1始動口19に入球したことによる大当たり抽選が行われると、特別図柄の変動表示を所定時間行った後、その大当たり抽選の結果を種々の態様で表示する。例えば、大当たり抽選の結果、何らかの当たりに当選していれば、第1特別図柄表示器63は特別図柄の変動表示後にその当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止し、遊技機1は大入賞口開放遊技に移行する。そしてその大入賞口開放遊技では、当たり種別に応じて、役物23が大入賞口22を開放するラウンドが所定ラウンド数繰り返される。
【0036】
第2特別図柄表示器65は、遊技球が第2始動口21に入球したことによって行われる大当たり抽選(特別図柄抽選)の抽選結果を表示するものであり、例えば7セグメント表示器で構成される。この第2特別図柄表示器65は、第2始動口21に入球したことによる大当たり抽選が行われると、特別図柄の変動表示を所定時間行った後、その大当たり抽選の結果を種々の態様で表示する。例えば、大当たり抽選の結果、何らかの当たりに当選していれば、第2特別図柄表示器65は特別図柄の変動表示後にその当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止し、遊技機1は大入賞口開放遊技に移行する。そしてその大入賞口開放遊技では、当たり種別に応じて、役物23が大入賞口22を開放するラウンドが所定ラウンド数繰り返される。
【0037】
第1及び第2特別図柄表示器64,65における特別図柄の変動表示は、いずれか一方において択一的に行われるようになっている。そして第1及び第2特別図柄表示器64,65のいずれか一方による特別図柄の変動表示中は、遊技機1において各種の演出が行われる。特に画像表示器8では、複数の装飾図柄の変動表示が行われ、リーチ演出や予告演出などが行われる。そして大当たり抽選に当選している場合には、複数の装飾図柄が例えば「111」や「777」などの所定の図柄で停止し、遊技者に対して当選を報知する。
【0038】
第1特別図柄保留表示器64は、第1及び第2特別図柄表示器63,65のいずれか一方において特別図柄の変動表示中である場合、遊技球が第1始動口19に入球すると、その入球に伴う特別図柄の変動表示が保留されるので、その保留数を表示するものである。第1特別図柄保留表示器64は、LED表示部が一列に配設された4つの保留ランプを備えており、第1始動口19に入球する遊技球を最大4つまで保留して表示することができるようになっている。
【0039】
第2特別図柄保留表示器66は、第1及び第2特別図柄表示器63,65のいずれか一方において特別図柄の変動表示中である場合、遊技球が第2始動口21に入球すると、その入球に伴う特別図柄の変動表示が保留されるので、その保留数を表示するものである。第2特別図柄保留表示器66もまた、LED表示部が一列に配設された4つの保留ランプを備えており、第2始動口21に入球する遊技球を最大4つまで保留して表示することができるようになっている。
【0040】
また本実施形態では、表示器60だけでなく、画像表示器8に対しても、第1始動口19に入球して保留された保留数と、第2始動口21に入球して保留された保留数とを区別して表示するように構成されている。尚、画像表示器8における保留表示については後に詳しく説明する。
【0041】
図6は、遊技盤10の背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技盤10の背面側には、遊技機1の主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板200とが設けられている。サブ制御基板200は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、ランプ制御基板150等で構成されている。
【0042】
メイン制御基板100は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。このメイン制御基板100には、遊技球が第1始動口19に入球したことを検知する第1始動口スイッチ41、遊技球が第2始動口21に入球したことを検知する第2始動口スイッチ42、電動チューリップ20を開閉させる電チューソレノイド91、遊技球がスルーゲート16を通過したことを検知するゲートスイッチ92、遊技球が普通入賞口18に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ93、遊技球が大入賞口22に入球したことを検知する大入賞口スイッチ94、役物23を開閉駆動させる大入賞口ソレノイド95、普通図柄表示器61、普通図柄保留表示器62、第1特別図柄表示器63、第1特別図柄保留表示器64、第2特別図柄表示器65および第2特別図柄保留表示器66が接続されている。
【0043】
そしてメイン制御基板100は、第1始動口スイッチ41、第2始動口スイッチ42、普通入賞口スイッチ93および大入賞口スイッチ94のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板120に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技盤2の背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されており、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の払い出しを行う。
【0044】
またメイン制御基板100は上述の大当たり抽選や普通図柄の抽選を行うように構成されている。例えば遊技球がスルーゲート16を通過した場合、電動チューリップ20を開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド91を所定時間若しくは所定回数駆動させて電動チューリップ20を開放させる。また遊技球が第1始動口19や第2始動口21に入球したことを検知した場合には、上述した大当たり抽選を行い、特別図柄の変動表示を開始すると共に、その抽選結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。また遊技球が第1始動口19や第2始動口21に入球したことを検知したとき、特別図柄の変動表示中である場合は、その入球に伴う特別図柄の変動表示を保留する。そして大当たり抽選に当選した場合には、特別図柄の変動表示後にその当たり種別に対応した特別図柄を表示し、その当たり種別に応じてサブ制御基板200の各部を制御する。
【0045】
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて具体的な演出内容を決定し、画像制御基板140とランプ制御基板150のそれぞれを制御する。リアルタイムクロック(RTC)134は、電源投入の有無にかかわらず、リアルタイムに現在時刻をカウントする時計回路(計時手段)である。
【0046】
画像制御基板140は、CPU141とROM142とRAM143とVRAM144とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて画像表示器8における装飾図柄の変動表示を行うと共に、演出制御基板130から指定された図柄でその変動表示を停止させるなど、画像表示器8での表示画像を制御する。また画像制御基板140は、演出制御基板130からの指定に基づいてリーチ演出や画像表示器8にキャラクタを出現させるなどの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器8に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器8に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、スピーカ5から演出用の効果音などを発生させるように構成されている。
【0047】
ランプ制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて上述した枠ランプ6などを含む各種ランプ97を点灯させると共に、演出用役物32などを駆動するための役物駆動部98を制御するように構成されている。
【0048】
図7は、メイン制御基板100における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。メイン制御基板100のCPU101は、所定のプログラムを実行することにより、遊技機1における動作全般を統括的に制御する遊技制御部110として機能する。この遊技制御部110は、遊技の進行状況に応じて種々の処理部として機能するが、その一部について例を挙げると、図7に示すように遊技データ取得部111、変動表示保留部112および特別図柄変動処理部115として機能する。そして変動表示保留部112は、さらに第1変動表示保留部113と第2変動表示保留部114とを備えている。またメイン制御基板100のRAM103は、乱数格納領域103aと保留記憶領域103bとを備えている。乱数格納領域103aには遊技データとなる種々の乱数が格納されているが、図例には、大当たり乱数RN1、図柄乱数RN2およびリーチ乱数RN3が格納されている場合を示している。これら乱数RN1,RN2,RN3は遊技制御部110によって逐次更新されている。また保留記憶領域103bには、第1変動表示保留記憶部104と第2変動表示保留記憶部105との2つの領域が設けられている。
【0049】
遊技データ取得部111は、第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42が遊技球の入球を検知した場合、乱数格納領域103aにおいて逐次更新されている大当たり乱数RN1、図柄乱数RN2およびリーチ乱数RN3を遊技データとして取得する処理部である。遊技データ取得部111が取得するこれら乱数の値によって、大当たり抽選における当否、大当たりの場合の大当たりの種類、ハズレの場合のリーチ演出の有無などが確定する。
【0050】
図8は、乱数格納領域103aに格納される各乱数の一例を説明する図である。例えば、図8(a)に示すように大当たり乱数RN1は大当たり抽選に用いられる乱数であり、0?600の範囲内で逐次更新される乱数である。遊技機1が通常確率状態である場合、遊技データ取得部111が取得する大当たり乱数RN1の値が「7」又は「317」の場合、大当たりとなり、大当たりに当選する確率は2/601となっている。これに対し、遊技機1が高確率状態である場合、20個の乱数値が大当たりを示す値に設定されており、遊技データ取得部111が取得する大当たり乱数RN1の値がそれら20個の乱数値のうちのいずれかであれば大当たりとなり、大当たりに当選する確率は20/601となっている。また通常確率状態および高確率状態のいずれの場合であっても、「50」と「100」の2つの乱数値が小当たりを示す値に設定されており、遊技データ取得部111が取得する大当たり乱数RN1の値が「50」又は「100」の場合は小当たりとなる。尚、大当たり抽選において小当たりに当選する確率は2/601である。
【0051】
遊技データ取得部111が取得する大当たり乱数RN1が大当たりを示す値である場合、その大当たりの種類は図柄乱数RN2によって判定される。そして本実施形態では、遊技データ取得部111による遊技データの取得が、第1始動口19への入球によって行われたか、或いは第2始動口21への入球によって行われたかにより、図柄乱数RN2を判定する際に参照するテーブルが異なっている。
【0052】
図8(b-1)は、第1始動口19への入球による大当たり時の図柄乱数RN2の判定を示している。図柄乱数RN2は、例えば0?250の範囲内で逐次更新される乱数である。第1始動口19への入球により大当たりに当選した場合、遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値が0?150のいずれかであれば「長当たり」となる。これに対し、遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値が151?250のいずれかであれば「短当たり」となる。また遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値によって、高確率状態と通常確率状態とのいずれか一方が付与されると共に、時短遊技と非時短遊技とのいずれか一方が付与される。
【0053】
図8(b-2)は、第2始動口21への入球による大当たり時の図柄乱数RN2の判定を示している。第2始動口21への入球により大当たりに当選した場合、遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値が0?150のいずれかであれば「高確率時短付き長当たり」となる。これに対し、遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値が151?250のいずれかであれば「通常確率時短付き長当たり」となる。つまり、この例では、第2始動口21への入球によって大当たりに当選すると、必ず「長当たり」となるように設定されている。
【0054】
また図8(b-3)は、小当たり時の図柄乱数RN2の判定を示している。大当たり抽選で小当たりに当選すると、遊技データ取得部111が取得した図柄乱数RN2の値によって「小当たり1」と「小当たり2」のいずれであるかが判定される。ただし、「小当たり1」と「小当たり2」の違いは、第1特別図柄表示器63又は第2特別図柄表示器65に停止表示される特別図柄のみである。
【0055】
また図8(c)に示すようにリーチ乱数RN3は、演出表示としてリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数であり、0?250の範囲内で逐次更新される乱数である。遊技データ取得部111が取得したリーチ乱数RN3の値が0?24のいずれかであれば、大当たり抽選においてハズレとなった場合でもリーチ演出が行われる。またリーチ乱数RN3の値が25?250のいずれかであれば、リーチ演出が行われずに変動表示が停止する。一方、大当たり抽選において大当たり又は小当たりに当選した場合、リーチ演出は必ず行われるのでこのリーチ乱数RN3の値は無視される。つまり、このリーチ乱数RN3は、大当たり乱数RN1がハズレであったときに参照される乱数である。
【0056】
図7に戻り、遊技制御部110の変動表示保留部112は、遊技データ取得部111が取得した遊技データを保留記憶領域103bに格納することによって特別図柄の変動表示を保留する処理部である。第1変動表示保留部113は、第1始動口19に遊技球が入球して取得された遊技データを第1変動表示保留記憶部104に格納すると共に、第1特別図柄保留表示器64に対して保留表示を行う。また第2変動表示保留部114は、第2始動口21に遊技球が入球して取得された遊技データを第2変動表示保留記憶部105に格納すると共に、第2特別図柄保留表示器66に対して保留表示を行う。
【0057】
図9は、保留記憶領域103bの一構成例を示す図である。第1変動表示保留記憶部104は、図9(a)に示すように、第1記憶領域104a、第2記憶領域104b、第3記憶領域104cおよび第4記憶領域104dを備えている。それぞれの記憶領域104a?104dには、第1始動口19に遊技球が入球して取得された遊技データが格納される。つまり、第1始動口19に遊技球が入球して遊技データが取得された順に、第1記憶領域104aから第4記憶領域104dまで順次遊技データが格納されていく。また第2変動表示保留記憶部105は、図9(b)に示すように、第1記憶領域105a、第2記憶領域105b、第3記憶領域105cおよび第4記憶領域105dを備えている。それぞれの記憶領域105a?105dには、第2始動口21に遊技球が入球して取得された遊技データが格納される。つまり、第2始動口21に遊技球が入球して遊技データが取得された順に、第1記憶領域105aから第4記憶領域105dまで順次遊技データが格納されていく。第1変動表示保留記憶部104および第2変動表示保留記憶部105の各記憶領域は、図9(c)に示すように、大当たり乱数RN1を記憶するための大当たり乱数記憶領域と、図柄乱数RN2を記憶するための図柄乱数記憶領域と、リーチ乱数RN3を記憶するためのリーチ乱数記憶領域とを備えており、遊技データ取得部111によって取得された乱数がそれぞれ格納される。
【0058】
第1変動表示保留部113は、第1始動口19に遊技球が入球した個数分の遊技データを第1変動表示保留記憶部104に記憶することにより、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留する。この第1変動表示保留部113は4つまでの保留球を記憶しておくことができる。そして第1変動表示保留記憶部104に記憶した保留球を消化して特別図柄の変動表示を行う際、第1変動表示保留部113は、第1記憶領域104aの遊技データを読み出して保留を消化し、第2記憶領域104b?第4記憶領域104dの遊技データをそれぞれ第1記憶領域104a?第3記憶領域104cにシフトさせる。
【0059】
また第2変動表示保留部114は、第2始動口21に遊技球が入球した個数分の遊技データを第2変動表示保留記憶部105に記憶することにより、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留する。この第2変動表示保留部114もまた、4つまでの保留球を記憶しておくことができる。そして第2変動表示保留記憶部105に記憶した保留球を消化して特別図柄の変動表示を行う際、第2変動表示保留部114は、第1記憶領域105aの遊技データを読み出して保留を消化し、第2記憶領域105b?第4記憶領域105dの遊技データをそれぞれ第1記憶領域105a?第3記憶領域105cにシフトさせる。
【0060】
特別図柄変動処理部115は、変動表保留部112による保留を消化して特別図柄の変動表示を行う処理部である。特別図柄変動処理部115は、第1変動表示保留記憶部104の保留を読み出して特別図柄の変動表示を行う場合は、第1特別図柄表示器63において変動表示を行う。また第2変動表示保留記憶部105の保留を読み出して特別図柄の変動表示を行う場合は、第2特別図柄表示器65において変動表示を行う。この特別図柄変動処理部115は、保留記憶領域103bに格納された遊技データを読み出して大当たり判定を行い、当選していればその当たりの種類に応じた特別図柄で変動表示を停止させる。この停止図柄の決定は、図8(b-1)?(b-3)に示したテーブルに基づいて行われる。またハズレの場合はハズレ図柄で変動表示を停止させる。
【0061】
また本実施形態の遊技機1は、第1変動表示部保留部113が第1始動口19に入球した1個以上の保留球を保留しており、且つ、第2変動表示部保留部114が第2始動口21に入球した1個以上の保留球を保留している場合、特別図柄変動処理部115が保留を消化して次の特別図柄の変動表示を開始する際、第2変動表示保留部114による保留を優先的に消化するように構成されている。
【0062】
図10は、保留消化の一例を示す図である。図10(a)は第1変動表示保留部113により3つの保留球が記憶されており、且つ、第2変動表示保留部114により2つの保留球が記憶されている状態での第1特別図柄保留表示器64と第2特別図柄保留表示器66の点灯状態を示している。この状態では、図10(a)に示すように、第1特別図柄保留表示器64に設けられた4つの保留ランプ64a?64dのうち、第1保留ランプ64aと第2保留ランプ64bと第3保留ランプ64cが点灯する。また第2特別図柄保留表示器66に設けられた4つの保留ランプ66a?66dのうち、第1保留ランプ66aと第2保留ランプ66bが点灯する。また各保留ランプの内側に示している数字は、始動口への入球順序を示しており、図例の場合、「第1始動口19→第2始動口21→第1始動口19→第2始動口21→第1始動口19」の順に遊技球が入球したことを示している。
【0063】
図10(b)は、図10(a)の状態において保留が消化されていく順序を矢印で示している。上述したように本実施形態では、第2変動表示保留部114の保留が第1変動表示保留部113よりも優先的に消化されていくため、先の特別図柄の変動表示が終了すると、第2変動表示保留部114の2つの保留が優先的に順次消化されていく。そして第2変動表示保留部114の保留が全て消化されると、次に第1変動表示保留部113の3つの保留が順次消化されていく。
【0064】
図10(c)は、第1変動表示保留部113により3つの保留球が記憶されていた状態で1個の保留球を消化して特別図柄の変動表示を開始した後に、第2始動口21に1個の遊技球が入球した場合を示している。この場合、第1特別図柄保留表示器64の第1保留ランプ64aの保留を消化して特別図柄の変動表示を開始する時点では、その後の保留の消化順序は、図中破線矢印で示す順序となっている。ところが、第1保留ランプ64aに基づく特別図柄の変動表示を開始してから第2始動口21に遊技球が入球することにより、第2始動口21に入球した保留球が優先的に消化されることになるので、その後の特別図柄の変動表示は、図中実線矢印で示すように第2変動表示保留部114の保留に基づいて行われる。そして第2変動表示保留部114の保留が消化された後、それ以前より保留されていた第1変動表示保留部113の保留が順次消化されていく。
【0065】
このように本実施形態の遊技機1は、第2始動口21に遊技球が入球すると、第1始動口18に入球した保留が既に記憶されている場合であっても、第2始動口21に入球したことに基づく特別図柄の変動表示が優先的に実行されるようになっている。
【0066】
また本実施形態1の遊技機1は、メイン制御基板100において第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球したことに基づき遊技データが取得されると、その遊技データを演出制御基板130に出力する。そして演出制御基板130は、メイン制御基板100と同様にして保留数を管理すると共に、メイン制御基板100から取得する遊技データの事前判定を行う。そしてその事前判定の結果に基づいて、保留数分に対応した複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に行われる演出であって、特別図柄の変動表示が行われる度に段階的にステップアップしていくステップアップ連続演出を設定するように構成される。このステップアップ連続演出は、例えば第1始動口19に入球したことによって行われる事前判定において当選した場合、当該入球に基づく特別図柄の変動表示が消化されるまでの間に、それ以前に消化される特別図柄の変動表示を含み、複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に、且つ段階的にステップアップしていく演出である。それ故、このステップアップ連続演出が設定されると、事前判定に当選した当該入球に基づく特別図柄の変動表示時には、ステップアップ連続演出の最終ステップに対応する演出が行われる。
【0067】
ここでステップアップ連続演出における連続的な演出とは、複数回の特別図柄の変動表示ごとに行われる各演出の内容が互いに関連しており、且つ、その関連した演出が連続的に行われるものであって、後に行われる演出が先に行われた演出の続きであることを遊技者に連想させるような演出である。そしてステップアップ連続演出では、特別図柄の変動表示ごとに、先の演出と関連した内容の演出が段階的にステップアップしていき、事前判定に当選した当該入球に基づく特別図柄の変動表示時には最終段階の演出が行われる。演出制御基板130においてこのようなステップアップ連続演出を設定し、且つ実行することにより、事前判定に当選した当該入球に基づく特別図柄の変動表示を開始する前の早期の段階から、大当たりに当選するかもしれないという遊技者の期待感を高めることができる。以下、このような遊技機1の動作について更に詳しく説明する。
【0068】
まずメイン制御基板100における動作について説明する。図11は、遊技制御部110の主要動作を示すフローチャートである。遊技制御部110は、電源投入時や電源断時などの特殊な場合を除く通常の動作時において図11に示すフローチャートに基づく処理をタイマ割込処理として一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。この処理が開始されると、遊技制御部110は、乱数更新処理(ステップS101)、第1始動口スイッチ処理(ステップS102)、第2始動口スイッチ処理(ステップS103)、ゲートスイッチ処理(ステップS104)、各種スイッチ処理(ステップS105)、賞球処理(ステップS106)、特別図柄処理(ステップS107)、普通図柄処理(ステップS108)、大入賞口処理(ステップS109)、電動チューリップ(電チュー)処理(ステップS110)および出力処理(ステップS111)が順次実行され、それらが終了すると、その後は初期値乱数更新処理(ステップS112)が繰り返し実行される。そして一定時間が経過し、タイマによる割込が発生すれば、再び乱数更新処理(ステップS101)以降の処理が実行され、以降これが繰り返される。
【0069】
乱数更新処理(ステップS101)では、RAM103の乱数格納領域103aに格納されている大当たり乱数RN1、図柄乱数RN2、リーチ乱数RN3などの各種乱数の値を更新する。また第1始動口スイッチ処理(ステップS102)では、上述の遊技データ取得部111が第1始動口スイッチ41の状態を監視し、第1始動口スイッチ41がオンとなった場合に乱数格納領域103aから遊技データを取得するための処理を実行する。また第2始動口スイッチ処理(ステップS103)では、上述の遊技データ取得部111が第2始動口スイッチ42の状態を監視し、第2始動口スイッチ42がオンとなった場合に乱数格納領域103aから遊技データを取得するための処理を実行する。またゲートスイッチ処理(ステップS104)では、遊技制御部110がゲートスイッチ92の状態を監視し、ゲートスイッチ92がオンとなった場合に普通図柄を抽選するための処理を実行する。また各種スイッチ処理(ステップS105)では、遊技制御部110がその他全てのスイッチ(例えば普通入賞口スイッチや入賞口スイッチなど)からの入力処理を行う。また賞球処理(ステップS106)では、遊技制御部110が各種入賞口への入賞数を計数し、その計数値に基づいて賞球コマンドを設定する。また特別図柄処理(ステップS107)では、遊技制御部110において特別図柄の変動およびその図柄変動に伴う処理が行われる。また普通図柄処理(ステップS108)では、遊技制御部110において普通図柄変動およびその図柄変動に伴う処理が行われる。また大入賞口処理(ステップS109)では、役物23が大入賞口22を開閉する動作が制御される。電動チューリップ処理(ステップS110)では、遊技制御部110が所定の条件に基づいて電動チューリップ20の開閉動作を制御する。また出力処理(ステップS111)では、遊技制御部110が払出制御基板120および演出制御基板130に対して制御用コマンドや遊技データなどを出力する。各基板に出力するコマンドやデータは、ステップS102?S110までの各処理において生成され、予めRAM103にセットされているので、この出力処理ではRAM103にセットされたコマンドやデータを読み出して出力する。そして初期値乱数更新処理(ステップS112)では、遊技制御部110により、乱数格納領域103aに格納されている大当たり乱数RN1、図柄乱数RN2、リーチ乱数RN3などの各種乱数の初期値が更新される。プログラム実行における残余時間は、この初期値乱数更新処理(ステップS112)を繰り返し実行することにより、各種乱数の初期値をその都度更新することができる。プログラムの残余時間は、遊技機1の状態によって毎回異なるので、各種乱数の初期値の更新は不規則なものとなる。そのため、大当たりを不正に発生させようとした場合でも大当たり乱数RN1の初期値が不明なため、大当たり乱数RN1が大当たりの当選値となるタイミングを知ることができず、ひいては不正を防止することができる。
【0070】
図12は、第1始動口スイッチ処理(図11のステップS102)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、第1始動口19に遊技球が入球して第1始動口スイッチ41がオンになったか否かを判断する(ステップS201)。ここで第1始動口スイッチ41がオンになっていない場合には第1始動口スイッチ処理を終了する。第1始動口スイッチ41がオンになっていれば、第1変動表示保留記憶部104の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(ステップS202)。図例の場合、上限値を4個としている。そして保留数U1が上限値に達している場合には(ステップS202でNO)、それ以上保留数を増加させることができないので、第1始動口スイッチ処理を終了する。
【0071】
一方、保留数U1が上限値未満である場合(ステップS202でYES)、保留数U1の値を1加算する(ステップS203)。そして第1始動口19に入球したことによる大当たり抽選のための各種乱数(遊技データ)を乱数格納領域103aから読み出し、それら乱数値をRAM103に設けられた保留記憶領域103bの第1変動表示保留記憶部104に格納する(ステップS204)。このとき読み出した大当たり乱数RN1の値によって、第1始動口19への入球に伴う大当たり抽選が「大当たり」又は「小当たり」のいずれかに当選しているか、或いは「ハズレ」であるかが確定する。また「大当たり」である場合、読み出した図柄乱数RN2の値によってその「大当たり」の種類が確定する。また「ハズレ」である場合、読み出したリーチ乱数RN3の値によってリーチ演出が行われるか否かが確定する。そして遊技制御部110は、読み出した各種乱数を含む遊技データを演出制御基板130に送信するための送信用遊技データとしてセットする(ステップS205)。このときセットする送信用遊技データには、第1始動口19に入球したことによって取得した遊技データであることを示す情報が付与される。そして遊技データのセットが完了すれば、第1始動口スイッチ処理を終了する。
【0072】
図13は、第2始動口スイッチ処理(図11のステップS103)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、第2始動口21に遊技球が入球して第2始動口スイッチ42がオンになったか否かを判断する(ステップS301)。ここで第2始動口スイッチ42がオンになっていない場合には第2始動口スイッチ処理を終了する。第2始動口スイッチ42がオンになっていれば、第2変動表示保留記憶部105の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(ステップS302)。図例の場合、上限値を4個としている。そして保留数U2が上限値に達している場合には(ステップS302でNO)、それ以上保留数を増加させることができないので、第2始動口スイッチ処理を終了する。
【0073】
一方、保留数U2が上限値未満である場合(ステップS302でYES)、保留数U2の値を1加算する(ステップS303)。そして第2始動口21に入球したことによる大当たり抽選のための各種乱数(遊技データ)を乱数格納領域103aから読み出し、それら乱数値をRAM103に設けられた保留記憶領域103bの第2変動表示保留記憶部105に格納する(ステップS304)。このとき読み出した大当たり乱数RN1の値によって、第2始動口21への入球に伴う大当たり抽選が「大当たり」又は「小当たり」のいずれかに当選しているか、或いは「ハズレ」であるかが確定する。また「大当たり」である場合、読み出した図柄乱数RN2の値によってその「大当たり」の種類が確定する。また「ハズレ」である場合、読み出したリーチ乱数RN3の値によってリーチ演出が行われるか否かが確定する。そして遊技制御部110は、読み出した各種乱数を含む遊技データを演出制御基板130に送信するための送信用遊技データとしてセットする(ステップS305)。このときセットする送信用遊技データには、第2始動口21に入球したことによって取得した遊技データであることを示す情報が付与される。そして遊技データのセットが完了すれば、第2始動口スイッチ処理を終了する。
【0074】
図14は、上記の第1始動口スイッチ処理(ステップS102)および第2始動口スイッチ処理(ステップS103)によってRAM103にセットされる送信用遊技データの一例を示す図である。図14に示すように、送信用遊技データには、第1始動口19と第2始動口21とのいずれに入球した遊技データであるかを示す入球始動口に関する情報と、各始動口への入球に伴って取得された大当たり乱数RN1、図柄乱数RN2およびリーチ乱数RN3とが含まれている。尚、RAM103にセットされた送信用遊技データは、図11の出力処理(ステップS111)で演出制御基板130に出力される。
【0075】
次に図15は、ゲートスイッチ処理(図11のステップS104)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、スルーゲート16を遊技球が通過してゲートスイッチ92がオンになったか否かを判断する(ステップS401)。ここでゲートスイッチ92がオンになっていない場合にはゲートスイッチ処理を終了する。ゲートスイッチ92がオンになっていれば、普通図柄抽選の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(ステップS402)。図例の場合、上限値を4個としている。そして保留数Gが上限値に達している場合には(ステップS402でNO)、それ以上保留数を増加させることができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
【0076】
一方、保留数Gが上限値未満である場合(ステップS402でYES)、保留数Gの値を1加算する(ステップS403)。そして遊技球がスルーゲート16を通過したことによる普通図柄の抽選のための乱数を読み出し、その乱数値を、RAM103の乱数格納領域103aおよび保留記憶領域103bとは異なる領域に格納する(ステップS404)。尚、このとき読み出される乱数の値により、遊技球がスルーゲート16を通過したことによる普通図柄抽選の当否が確定する。
【0077】
次に図16は、特別図柄処理(図9のステップS107)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、遊技機1の現在の状態が「大当たり」や「小当たり」に当選した後の大入賞口開放遊技中であるか否かを判断する(ステップS501)。大入賞口開放遊技中であれば、既に何らかの「大当たり」や「小当たり」を表す特別図柄が選択されて停止している状態なので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(ステップS501でYES)。これに対し、大入賞口開放遊技中でない場合(ステップS501でNO)、次に遊技機1の現在の状態が特別図柄の変動表示中であるか否かを判断する(ステップS502)。特別図柄の変動表示中でない場合(ステップS502でNO)、第2変動表示保留記憶部105の保留数U2が1以上であるか否かを判断する(ステップS503)。ここで保留数U2が1以上である場合(ステップS503でYES)、第2変動表示保留記憶部105の第1記憶領域105aに格納されている遊技データを読み出し、その保留数U2の値を1減算する(ステップS504)。そして第2変動表示保留記憶部105に記憶されている他の保留の記憶領域をシフトさせる(ステップS505)。
【0078】
一方、保留数U2が0である場合(ステップS503でNO)、次に第1変動表示保留記憶部104の保留数U1が1以上であるか否かを判断する(ステップS506)。ここで保留数U1が1以上である場合(ステップS506でYES)、第1変動表示保留記憶部104の第1記憶領域104aに格納されている遊技データを読み出し、その保留数U1の値を1減算する(ステップS507)。そして第1変動表示保留記憶部104に記憶されている他の保留の記憶領域をシフトさせる(ステップS508)。
【0079】
また保留数U1が0である場合(ステップS506でNO)は、特別図柄抽選の条件となる第1始動口19又は第2始動口21への入球が無いことを意味するため、特別図柄の変動表示を開始せずに処理を終了する。
【0080】
ステップS504とステップS507のいずれか一方で遊技データの読み出した行われた場合、大当たり判定処理(ステップS509)と変動パターン選択処理(ステップS510)とを順に実行する。これらの大当たり判定処理および変動パターン選択処理により、演出制御基板130に出力するための変動開始コマンドに含まれる設定情報(図柄、遊技状態、変動パターンなど)が決定される。尚、これら大当たり判定処理および変動パターン選択処理の詳細については後述する。
【0081】
そして遊技制御部110は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定情報を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM103にセットする(ステップS511)。そしてこの設定情報に基づき、第1特別図柄表示器63又は第2特別図柄表示器65における特別図柄の変動表示を開始する(ステップS512)。このとき第2変動表示保留記憶部105の保留に基づく変動表示の場合には、第2特別図柄表示器65における特別図柄の変動表示を開始する。また第1変動表示保留記憶部104の保留に基づく変動表示の場合には、第1特別図柄表示器63における特別図柄の変動表示を開始する。そして変動パターンで設定された時間だけ特別図柄の変動表示を継続させるために、変動時間の計測を開始する(ステップS513)。尚、ステップS511でRAM103にセットされた変動開始コマンドは、図11の出力処理(ステップS111)で演出制御基板130に出力される。
【0082】
またステップS502で特別図柄の変動表示中であると判断された場合(ステップS502でYES)、遊技制御部110は、変動時間が終了したか否かを判断する(ステップS514)。ここでは特別図柄の変動表示開始に伴いステップS513で計測開始された変動時間がステップS510の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。そして変動時間が終了していなければ(ステップS514でNO)、特別図柄の変動表示が継続されるので、そのまま特別図柄処理を終了する。
【0083】
これに対し、変動時間が終了した場合には(ステップS514でYES)、遊技制御部110は変動停止コマンドをRAM103にセットする。尚、ここでセットされる変動停止コマンドは、図11の出力処理(ステップS111)で演出制御基板130に出力される。そして第1特別図柄表示器63又は第2特別図柄表示器65における特別図柄の変動表示を予めセットされた停止図柄で停止させ(ステップS516)、計測された変動時間をリセットする(ステップS517)。そして停止中処理(ステップS518)を実行する。尚、停止中処理の詳細については後述する。
【0084】
図17は、大当たり判定処理(図16のステップS509)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、遊技機1の遊技状態が高確率状態であるか否かを判断し(ステップS531)、高確率状態であれば、大当たり乱数RN1を判定するためのテーブルとして高確率時の乱数判定テーブルを選択する(ステップS532)。すなわち、この場合、図8(a)に示したテーブルのうち高確率状態(確変遊技状態)におけるテーブルを選択する。一方、遊技機1の遊技状態が高確率状態でない場合は、通常確率時の乱数判定テーブルを選択する(ステップS533)。すなわち、この場合、図8(a)に示したテーブルのうち通常確率状態(通常遊技状態)におけるテーブルを選択する。
【0085】
そして遊技制御部110は、選択したテーブルに基づいて、保留記憶領域103bから読み出した大当たり乱数RN1の判定を行い(ステップS534)、大当たりに当選したか否かを判断する(ステップS535)。そして大当たりに当選していれば(ステップS535でYES)、続いて図柄乱数RN2の判定を行う(ステップS536)。図柄乱数RN2の判定を行う際、判定対象となる図柄乱数RN2が第1変動表示保留記憶部104の保留から読み出された乱数である場合と、第2変動表示保留記憶部105の保留から読み出された乱数である場合とで参照するテーブルが異なっている。つまり、第1変動表示保留記憶部104の保留から読み出した図柄乱数RN2を判定する際には、図8(b-1)に示した判定テーブルを参照し、第2変動表示保留記憶部105の保留から読み出した図柄乱数RN2を判定する際には、図8(b-2)に示した判定テーブルを参照する。その結果、大当たりの種類が「長当たり」と「短当たり」のいずれであるかが決定されると共に、大入賞口開放遊技後の遊技状態が「高確率状態」と「通常確率状態」とのいずれか一方に決定され、更には「時短遊技」と「非時短遊技」とのいずれか一方が決定される。そして大当たりの種類およびその後の遊技状態が確定すると、遊技制御部110は、特別図柄の変動表示後に停止させる停止図柄として大当たりに対応した特別図柄をセットする(ステップS537)。
【0086】
これに対し、大当たりに当選していなかった場合(ステップS535でNO)、小当たりに当選したか否かを判断する(ステップS538)。そして小当たりに当選していれば(ステップS538でYES)、続いて図柄乱数RN2の判定を行い(ステップS539)、特別図柄の変動表示後に停止させる停止図柄として小当たりに対応した特別図柄をセットする(ステップS540)。また小当たりにも当選していなかった場合(ステップS538でNO)は、特別図柄の変動表示後に停止させる停止図柄としてハズレに対応したハズレ図柄をセットする(ステップS541)。
【0087】
次に図18は、変動パターン選択処理(図16のステップS510)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、画像表示器8での装飾図柄の変動表示を含む各種演出のための変動パターンが決定される。そのためにまず、遊技制御部110は、変動パターンを決定するための乱数(図示を省略)を取得し、RAM103に格納する(ステップS561)。そして次に遊技制御部110は大当たりに当選したか否かを判断する(ステップS562)。この判断では、大当たり判定処理(図17)におけるステップS535と同様の判定を行っても良いし、また大当たり判定処理(図17)における大当たりの判定結果を参照することで判断しても良い。そして大当たりであった場合(ステップS562でYES)、その大当たりの種類が長当たりであるか否かを判断する(ステップS563)。そして長当たりである場合(ステップS563でYES)、遊技制御部110は、長当たり用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする(ステップS564)。また長当たりでなかった場合には(ステップS563でNO)、短当たり用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする(ステップS565)。
【0088】
一方、大当たりでなかった場合(ステップS562でNO)、更に小当たりに当選したか否かを判断する(ステップS566)。そして小当たりであった場合(ステップS566でYES)、遊技制御部110は、小当たり用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする(ステップS567)。また小当たりでもなかった場合(ステップS566でNO)、遊技制御部110は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行う否かを決定するためのリーチ乱数RN3の判定を行う(ステップS568)。リーチ演出を行うか否かは、保留記憶領域103bから読み出したリーチ乱数RN3の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。そしてリーチ乱数判定の結果、リーチ演出を行う場合(ステップS569でYES)、遊技制御部110は、リーチ演出用の変動パターンテーブルをROM102から読み出し、RAM103にセットする(ステップS570)。またリーチ演出を行わない場合(ステップS569でNO)、遊技制御部110は、ハズレ用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする(ステップS571)。ここで変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
【0089】
そして遊技制御部110は、ステップS564,S565,S567,S570又はS571でセットされた変動パターンテーブルを用いて変動パターン乱数の判定を行う(ステップS572)。ここでは、RAM103にセットされた変動パターンテーブルを参照し、ステップS561で取得した変動パターン乱数の値に応じた変動パターンを選択する。したがって、変動パターン乱数の値が同じ値であっても、大当たりに当選したか否か、大当たりに当選した場合には長当たりであるか否か、小当たりに当選したか否か、大当たり又は小当たりに当選していない場合にはリーチ演出を行うか否か、といった状態の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なることがある。そしてその後、遊技制御部110はステップS572で選択した変動パターンを設定情報としてRAM103にセットする(ステップS573)。尚、ここでセットされた変動パターンの設定情報は、特別図柄処理(図16)のステップS511でセットされる変動開始コマンドに含まれる。
【0090】
次に図19は、停止中処理(図16のステップS518)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、特別図柄の変動表示が停止した後に大当たり抽選の結果に応じて遊技機1の遊技状態を大当たり遊技に移行させたり、小当たり遊技に移行させたりする処理を行う。また時短遊技を通常遊技状態に戻す処理も行う。停止中処理が開始すると、遊技制御部110は、大当たりに当選したか否かを判断する(ステップS581)。そして大当たりであった場合(ステップS581でYES)、その大当たりの種類に対応した遊技状態をセットする(ステップS583)。このとき大入賞口開放遊技として「長当たり」と「短当たり」のいずれか一方がセットされると共に、大入賞口開放遊技が終了した後の遊技状態(例えば高確率状態と通常確率状態とのいずれか一方や、時短遊技有りと無しとのいずれか一方など)もセットされる。そして時短遊技の有無を判断し(ステップS583)、時短遊技がセットされていれば、時短遊技による特別図柄の変動表示回数をカウントするための時短変動回数Jに100をセットする(ステップS584)。尚、この例では、時短変動回数を100回に設定しているが、これに限られるものではない。一方、時短遊技がセットされていなければ、時短変動回数のセットは行わない。
【0091】
そして遊技制御部110が、大当たり開始コマンドをRAM103にセットして(ステップS585)、大当たりの動作制御を開始する(ステップS586)。これにより、遊技機1は大当たり中となって大入賞口開放遊技に移行し、所定のオープニングが行われた後、役物23がRAM103にセットされた大当たりに種類に対応した開放パターンに基づいて大入賞口22を所定ラウンド数だけ開閉するようになる。
【0092】
一方、大当たりでなかった場合(ステップS581でNO)、遊技制御部110は、小当たりに当選したか否かを判断する(ステップS587)。そして小当たりであった場合(ステップS587でYES)、小当たり開始コマンドをRAM103にセットして(ステップS588)、小当たりの動作制御を開始する(ステップS589)。これにより、遊技機1は小当たり中となって大入賞口開放遊技に移行し、所定のオープニングが行われた後、役物23がRAM103にセットされた小当たりに対応した開放パターンに基づいて大入賞口22を所定ラウンド数だけ開閉するようになる。
【0093】
また小当たりでもなかった場合(ステップS587でNO)、遊技制御部110は、時短変動回数Jが0か否かを調べる(ステップS590)。そして時短変動回数Jが0であれば(ステップS590でYES)、停止中処理を終了する。また時短変動回数Jが0でない場合(ステップS590でNO)、遊技制御部110は時短変動回数Jの値を1減算し(ステップS591)、再度時短変動回数Jが0か否かを調べる(ステップS592)。そして時短変動回数Jが0でない場合(ステップS592でNO)、時短遊技が継続するので、停止中処理を終了する。また時短変動回数Jが0であれば(ステップS592でYES)、時短遊技が終了するので、遊技制御部110は、遊技機1を通常遊技に移行させるべく通常遊技状態をRAM103にセットする(ステップS593)。
【0094】
次に図20は、普通図柄処理(図11のステップS108)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、遊技機1の現在の状態が補助遊技中であるか否かを判断する(ステップS601)。補助遊技中とは、普通図柄抽選に当選して電動チューリップ20の開放動作中であることを意味している。補助遊技中であれば(ステップS601でYES)、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する。また補助遊技中でない場合(ステップS601でNO)、遊技機1の現在の状態が普通図柄の変動表示中であるか否かを判断する(ステップS602)。そして普通図柄が変動表示中でない場合(ステップS602でNO)、遊技制御部110は普通図柄抽選の保留数Gが1以上であるか否かを判断する(ステップS603)。保留数Gが0である場合には(ステップS603でNO)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄の変動表示を開始せずに普通図柄処理を終了する。
【0095】
これに対し、保留数Gが1以上であれば(ステップS603でYES)、遊技制御部110は、保留数Gの値を1減算し(ステップS604)、今回の普通図柄抽選における乱数の判定を行い、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(ステップS605)。ここでの判断は、ゲートスイッチ処理(図15)のステップS404で取得した乱数の値が予め設定された当選値と一致したか否かを判断することによって行われる。普通図柄抽選に当選すると(ステップS605でYES)、遊技制御部110は、当選したことを示す図柄(当たり図柄)をRAM103にセットする(ステップS606)。また普通図柄抽選に当選しなかった場合(ステップS605でNO)、遊技制御部110は、普通図柄抽選に外れたことを示す図柄(ハズレ図柄)をRAM103にセットする(ステップS607)。
【0096】
そして遊技制御部110は、遊技機1の現在の遊技状態が通常遊技状態であるか否かを判断する(ステップS608)。この判断では、遊技機1の遊技状態が確変モード或いは時短遊技中であればNOとなり、潜伏確変モード或いは通常モードであればYESとなる。つまり、潜伏確変モードでは大当たりの当選確率は高くなるが、その他の遊技状態は通常モードと同じであるので、ここでは潜伏確変モードは通常モードと同様に通常遊技状態として判断される。そして通常遊技状態と判断した場合(ステップS608でYES)、普通図柄の変動時間を長時間(図例の場合は29秒)に設定する(ステップS609)。また通常遊技状態でないと判断した場合(ステップS608でNO)、普通図柄の変動時間を短時間(図例の場合は3秒)に設定する(ステップS610)。そして遊技制御部110は、ステップS606又はS607でセットされた内容に基づき、普通図柄表示器61の変動表示を開始し(ステップS611)、ステップS609又はS610でセットされた時間だけ普通図柄の変動表示を行うために変動時間の計測を開始する(ステップS612)。
【0097】
また普通図柄の変動表示中であった場合(ステップS602でYES)、遊技制御部110は、普通図柄の変動時間が終了したか否かを判断する(ステップS613)。つまり、ステップS612で計測開始された変動時間が、ステップS609又はS610でセットされた変動時間に達したか否かが判断される。そして変動時間が終了していない場合(ステップS613でNO)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理を終了する。また変動時間が終了した場合(ステップS613でYES)、遊技制御部110は、普通図柄の変動表示を停止させ、ステップS606又はS607でセットされた図柄を表示する(ステップS614)。その後、計測された変動時間をリセットする(ステップS615)。そして普通図柄抽選に当選したか否かを判断し(ステップS616)、当選していれば(ステップS616でYES)、電動チューリップ20を開放するなどの補助遊技の動作制御を開始する(ステップS617)。これにより、遊技状態は、補助遊技中となる。一方、普通図柄抽選に当選していなければ(ステップS616でNO)、遊技機1の現在の状態を保持したまま普通図柄処理を終了する。
【0098】
次に図21および図22は、大入賞口処理(図11のステップS109)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、大当たり又は小当たりとなった場合の大入賞口開放遊技が制御される。遊技制御部110は、遊技機1の現在の状態が大当たり中或いは小当たり中であるかを判断する(ステップS701)。大当たり中又は小当たり中でない場合(ステップS701でNO)、大入賞口22の開閉動作は行わないため、大入賞口処理を終了する。これに対し、大当たり中又は小当たり中である場合(ステップS701でYES)、遊技制御部110は、遊技機1が停止中処理(図19)で開始させた大当たり時又は小当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中であるか否かを判断する(ステップS702)。
【0099】
遊技機1がオープニング中である場合(ステップS702でYES)、遊技制御部110は予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(ステップS703)。オープニング時間を経過していない場合(ステップS703でNO)、オープニング動作が継続されるので大入賞口処理を終了する。またオープニング時間を経過している場合(ステップS703でYES)、遊技制御部110は、大入賞口22を開放するラウンド数Rの現在の値に対して1加算する(ステップS704)。そして役物23を駆動して大入賞口22を開放する(ステップS705)。尚、大入賞口22の開放パターンは当たりの種類に応じて予めRAM103にセットされている。
【0100】
そして役物23による大入賞口22の開放時間がRAM103にセットされた開放パターンによって予め設定された時間(開放時間)を経過したか否かを判断する(ステップS706)。開放時間が経過していない場合(ステップS706でNO)、遊技制御部110は、開放された大入賞口22への入賞個数Cが9個以上であるか否かを判断する(ステップS707)。開放時間が経過しておらず、かつ、入賞個数Cが9個未満である場合(ステップS707でNO)、大入賞口22を開放した状態が継続されるので、大入賞口処理を終了する。これに対し、役物23による大入賞口22の開放時間が予め設定された時間を経過した場合(ステップS706でYES)、又は入賞個数Cが9個に達した場合(ステップS707でYES)、遊技制御部110は、役物23を駆動して大入賞口22を閉鎖する(ステップS708)。
【0101】
次に遊技制御部110は、大入賞口22を開放するラウンド数Rが予め設定された最大値に達したか否かを判断する(ステップS709)。尚、本実施形態では、ラウンド数Rの最大値は15ラウンドとして設定されている。そして最大値に達していないならば(ステップS709でNO)、大当たり時の動作制御が継続するので、大入賞口処理を終了する。これに対し、ラウンド数Rが最大値に達した場合(ステップS709でYES)、遊技制御部110は、ラウンド数Rを0にリセットし(ステップS710)、大当たり時又は小当たり時の動作制御におけるエンディング動作を開始する(ステップS711)。
【0102】
そして予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(ステップS712)。エンディング時間を経過していない場合(ステップS712でNO)、エンディング動作が継続されるので大入賞口処理を終了する。またエンディング時間を経過した場合(ステップS712でYES)、遊技制御部110は、大当たり又は小当たりに伴う大入賞口開放遊技を終了させるべく、大当たりの動作制御或いは小当たりの動作制御を終了して大入賞口処理を終了する(ステップS713)。
【0103】
一方、ステップS702の判断において遊技機1がオープニング中でないと判断した場合(ステップS702でNO)、図22のフローチャートに進み、遊技制御部110は、大入賞口22が開放中であるか否かを判断する(ステップS721)。そして開放中である場合は(ステップS721でYES)、上述のステップS706以降の処理を実行する。また開放中でない場合は(ステップS721でNO)、遊技機1がエンディング中であるか否かを判断する(ステップS722)。そしてエンディング中である場合は(ステップS722でYES)、上述のステップS712以降の処理を実行する。またエンディング中でない場合は(ステップS722でNO)、役物23が大入賞口22を閉鎖した後の経過時間が開放パターンによって予め設定された開放ラウンドの実施間隔(インターバル時間)を経過したか否かを判断する(ステップS723)。そしてインターバル時間を経過していない場合は(ステップS723でNO)、まだ次のラウンドを実施するタイミングではないので、大入賞口処理を終了する。これに対し、インターバル時間が経過した場合は(ステップS723でYES)、次のラウンドを実施して大入賞口22を開放させるべく、上述のステップS704以降の処理を実行する。
【0104】
上記のような大入賞口処理により、遊技機1において大当たり又は小当たりが開始された大入賞口開放遊技において役物23が大入賞口22を開放するラウンドが合計15ラウンド行われる。
【0105】
次に図23は、電動チューリップ処理(図11のステップS110(電チュー処理))の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、遊技機1の現在の状態が補助遊技中であるか否かを判断する(ステップS801)。補助遊技中でない場合(ステップS801でNO)、電動チューリップ20は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する。一方、補助遊技中である場合(ステップS801でYES)、補助遊技時の動作制御におけるオープニング動作の最中であるか否かを判断する(ステップS802)。遊技機1がオープニング中である場合(ステップS802でYES)、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(ステップS803)。オープニング時間が経過していない場合(ステップS803でNO)、オープニング動作が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する。これに対し、オープニング時間が経過している場合は(ステップS803でYES)、現在の遊技機1の動作状態が通常遊技状態であるか否かを判断する(ステップS804)。ここでの判断は、普通図柄処理(図20)のステップS608と同様であり、遊技機1の遊技状態が確変モード或いは時短モードであればNOとなり、潜伏確変モード或いは通常モードであればYESとなる。そして通常遊技状態と判断した場合(ステップS804でYES)、遊技制御部110は、電動チューリップ20の開放時間を短時間(図例の場合は0.2秒)に設定する(ステップS805)。また通常遊技状態でないと判断した場合(ステップS804でNO)、遊技制御部110は、電動チューリップ20の開放時間を長時間(図例の場合は3.5秒)に設定する(ステップS806)。そして遊技制御部110は、電動チューリップ20を開放し(ステップS807)、開放後の経過時間の計測を開始する(ステップS808)。そしてステップS805又はS806でセットされた開放時間を経過したか否かを判断する(ステップS809)。開放時間を経過していない場合(ステップS809でNO)、電動チューリップ20の開放が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する。また開放時間を経過した場合(ステップS809でYES)、遊技制御部110は、電動チューリップ20を閉鎖し(ステップS810)、補助遊技時の動作制御を終了して電動チューリップ処理を終了する(ステップS811)。
【0106】
次に図24は、出力処理(図11のステップS111)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、メイン制御基板100からサブ制御基板200に対して各種データやコマンドなどが出力される。まず遊技制御部110は、送信用遊技データがセットされている場合、それを演出制御基板130に送信する(ステップS901)。尚、送信用遊技データがセットされていなければ、ステップS901の送信処理は行われない。次に変動開始コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、画像表示部8における装飾図柄の変動表示を開始させると共に、特別図柄の変動表示に伴う各種演出動作の開始を指示する(ステップS902)。尚、変動開始コマンドがセットされていなければ、ステップS902の送信処理は行われない。次に変動停止コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、画像表示部8における装飾図柄の変動表示を停止させ、遊技者に対して大当たり抽選の結果を報知させる指示を行う(ステップS903)。尚、変動停止コマンドがセットされていなければ、ステップS903の送信処理は行われない。次に大当たり開始コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、大当たり時の大入賞口開放遊技における演出動作の開始を指示する(ステップS904)。尚、大当たり開始コマンドがセットされていなければ、ステップS904の送信処理は行われない。次に大当たり終了コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、大当たり時の大入賞口開放遊技の演出動作を終了させる(ステップS905)。尚、大当たり終了コマンドがセットされていなければ、ステップS905の送信処理は行われない。次に小当たり開始コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、小当たり時の大入賞口開放遊技における演出動作の開始を指示する(ステップS906)。尚、小当たり開始コマンドがセットされていなければ、ステップS906の送信処理は行われない。次に小当たり終了コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130に送信し、小当たり時の大入賞口開放遊技の演出動作を終了させる(ステップS907)。尚、小当たり終了コマンドがセットされていなければ、ステップS907の送信処理は行われない。そして最後にその他各種コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板130や払出制御基板120に送信することで、各部を制御する(ステップS908)。遊技球が各種入賞口に入球したことに伴う賞球コマンドはこのとき払出制御基板120に対して送信される。以上で出力処理が終了する。
【0107】
以上のように、メイン制御基板100は、遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球すると、その入球したタイミングで大当たり乱数RN1などの各種乱数を取得し、その取得した乱数を遊技データとして演出制御基板130に送信するように構成されている。
【0108】
次に図25は、演出制御基板130における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。演出制御基板130のCPU131は、所定のプログラムを実行することにより、遊技機1における演出動作の全般を制御するために種々の処理部として機能するが、その一部について例を挙げると、図25に示すようにデータ受信部201、保留管理部202、事前判定部203、連続演出設定部204、連続演出設定変更部205および演出制御部206として機能する。演出制御基板130においてこれら各部が機能することにより、特別図柄の変動表示に関する保留数を管理すると共に、メイン制御基板100から取得する遊技データの事前判定を行い、その事前判定結果に基づいて保留数分に対応した複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に行うステップアップ連続演出を設定し、またその設定したステップアップ連続演出の設定変更を行うように構成されている。また演出制御基板130のRAM133は、保留記憶領域133aと乱数格納領域133bとを備えている。
【0109】
データ受信部201は、メイン制御基板100から送信される遊技データやコマンドなどを受信する処理部である。データ受信部201は、メイン制御基板100から遊技データを受信すると、その遊技データをRAM133の保留記憶領域133aに格納する。保留記憶領域133aは、第1変動表示保留記憶部211と第2変動表示保留記憶部212とを備えている。データ受信部201は、遊技データを保留記憶領域133aに格納する際、その遊技データが第1始動口19に入球して取得されたデータである場合は、第1変動表示保留記憶部211に格納する。また第2始動口21に入球して取得されたデータである場合は、第2変動表示保留記憶部212に格納する。上述したようにメイン制御基板100から送信される送信用遊技データには、入球始動口に関する情報が含まれているので(図14参照)、データ受信部201は、受信した遊技データに含まれる入球始動口に関する情報に基づいて第1始動口19と第2始動口21とのいずれに入球して取得されたデータであるかを特定することができる。
【0110】
図26は、演出制御基板130における保留記憶領域133aの一構成例を示す図である。図26に示すように、演出制御基板130における保留記憶領域133aは、メイン制御基板100における保留記憶領域103b(図9参照)とほぼ同様の構成となっている。すなわち、第1変動表示保留記憶部211は、図26(a)に示すように、第1記憶領域211a、第2記憶領域211b、第3記憶領域211cおよび第4記憶領域211dを備えている。それぞれの記憶領域211a?211dには、第1始動口19に遊技球が入球して取得された遊技データが格納される。つまり、第1始動口19に遊技球が入球して遊技データが取得された順に、第1記憶領域211aから第4記憶領域211dまで順次遊技データが格納されていく。また第2変動表示保留記憶部212は、図26(b)に示すように、第1記憶領域212a、第2記憶領域212b、第3記憶領域212cおよび第4記憶領域212dを備えている。それぞれの記憶領域212a?212dには、第2始動口21に遊技球が入球して取得された遊技データが格納される。つまり、第2始動口21に遊技球が入球して遊技データが取得された順に、第1記憶領域212aから第4記憶領域212dまで順次遊技データが格納されていく。第1変動表示保留記憶部211および第2変動表示保留記憶部212の各記憶領域は、図26(c)に示すように、メイン制御基板100から受信する大当たり乱数RN1を記憶するための大当たり乱数記憶領域と、図柄乱数RN2を記憶するための図柄乱数記憶領域と、リーチ乱数RN3を記憶するためのリーチ乱数記憶領域と、事前判定部203による事前判定結果を記憶するための事前判定結果記憶領域とを備えており、メイン制御基板100から受信する各種乱数は大当たり乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域およびリーチ乱数記憶領域に格納される。
【0111】
保留管理部202は、保留記憶領域133aに格納される遊技データに基づいて特別図柄の変動表示の保留を管理する処理部である。この保留管理部202は、メイン制御基板100と同様に、第2変動表示保留記憶部212に記憶されている保留を、第1変動表示保留記憶部211に記憶されている保留よりも優先的に消化させていくように管理する。例えばメイン制御基板100から変動開始コマンドを受信したとき、第1変動表示保留記憶部211と第2変動表示保留記憶部212の双方に保留が記憶されていれば、第2変動表示保留記憶部212の保留を優先的に消化させていく。また第1変動表示保留記憶部211と第2変動表示保留記憶部212のいずれか一方にしか保留がない場合には、各始動口への入球順序に従って保留を消化させていく。そして保留管理部202は、メイン制御基板100からの変動開始コマンドに基づいて保留を消化させたときには、第1変動表示保留記憶部211と第2変動表示保留記憶部212のうちの保留を消化させた記憶部に記憶されている他の保留の記憶領域をシフトさせる。
【0112】
事前判定部203は、メイン制御基板100から遊技データを受信したタイミングで、その受信した遊技データの事前判定を行う処理部である。つまり、事前判定部203は、第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球した場合、当該入球に基づく特別図柄の変動表示が開始される前に、当該入球を契機として、メイン制御基板100で取得された遊技データの事前判定を行う。この事前判定部203は複数の条件に基づいて事前判定を行う。それら複数の条件に適合している場合、事前判定部203は、乱数格納領域133bに格納されている事前判定乱数RN5を読み出し、その乱数値が所定の値であるか否かによって事前判定の当否を決定する。そして事前判定の結果は保留記憶領域133aに格納された当該保留の事前判定結果記憶領域に格納される。尚、乱数格納領域133bに格納されている事前判定乱数RN5は、CPU131の他の処理部により、逐次更新されている。
【0113】
連続演出設定部204は、事前判定部203における事前判定結果に基づいてステップアップ連続演出を設定する処理部である。すなわち、メイン制御基板100から遊技データを受信したタイミングで行われる事前判定に当選した場合、その受信した遊技データに基づく特別図柄の変動表示が実行されるまでに消化される保留数N(ただし、Nはその受信した遊技データに基づく保留を含む)に基づいて、N回の特別図柄の変動表示にわたって段階的にステップアップしていくステップアップ連続演出を設定する。例えば、第1変動表示保留記憶部211に3つの保留が記憶されており、第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていない状態で、更に第1始動口19に入球したことに伴う遊技データを受信して事前判定に当選した場合、保留数は「4」となるので、連続演出設定部204は、4回の特別図柄の変動表示にわたって4段階でステップアップしていくステップアップ連続演出を設定する。つまり、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時には、最終ステップに対応する演出が行われるようにステップアップ連続演出を設定する。これにより、複数回の連続した特別図柄の変動表示にわたって段階的にステップアップしていく演出が行われるようになるので、遊技者は、特別図柄の変動表示が行われる都度、大当たりへの期待感を徐々に高揚させていくようになる。そしてステップアップ連続演出の最終ステップに対応する演出が行われるときには、遊技者の大当たりへの期待感が最高潮に達するようになり、効果的な連続演出が可能になる。
【0114】
連続演出設定変更部205は、連続演出設定部204によりステップアップ連続演出が設定されている状態で、その後さらに第2始動口21に入球したことに伴う遊技データを受信した場合、ステップアップ連続演出の実行状況に応じて、既に設定されているステップアップ連続演出の実行を禁止したり、またステップアップ連続演出の設定内容を変更したりするための処理部である。例えば、第1変動表示保留記憶部211に4つの保留が記憶されており、第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていない状態で、第1変動表示保留記憶部211の4つ目の保留によってステップアップ連続演出が設定された場合、その後、第2始動口21に遊技球が入球すると、その第2始動口21への入球に基づく特別図柄の変動表示が優先的に行われる。この場合、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が4回目に行われるはずであったにもかかわらず、第2始動口21への入球に基づく変動表示が優先的に行われるので、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が5回目に行われることとなる。そのため、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時には、連続演出設定部204によって設定されたステップアップ連続演出が既に終了してしまっていることとなる。つまり、ステップアップ連続演出が設定された後、優先的に保留が消化される第2始動口21に遊技球が入球すると、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示と、ステップアップ連続演出の最終ステップとの間にズレが生じることになる。この場合、ステップアップ連続演出による効果的な演出を行うことができなくなるという事態が発生する。このような事態を防止するため、連続演出設定変更部205は、連続演出設定部204によってステップアップ連続演出が設定されている状態で、その後さらに第2始動口21に入球したことに伴う遊技データを受信した場合、ステップアップ連続演出の設定変更を行うようにしている。
【0115】
連続演出設定変更部205によるステップアップ連続演出の設定変更の内容は、第2始動口21に遊技球が入球した時点での遊技機1の状態に応じて異なる内容となる。以下、本実施形態における設定変更の内容について説明する。
【0116】
まず第1に、優先的に保留消化が行われる第2変動表示保留記憶部212に遊技球の入球が記憶されていない状態で連続演出設定部204によりステップアップ連続演出が設定され、そのステップアップ連続演出が開始される前に、第2始動口21に遊技球が入球した場合、連続演出設定変更部205は、当該入球に基づいて優先的に行われる特別図柄の変動表示においてステップアップ連続演出の実行を禁止する。これにより、ステップアップ連続演出が設定され、且つ、そのステップアップ連続演出が開始される前であれば、第2始動口21に入球して優先的に行われる変動表示時にはステップアップ連続演出が開始されないので、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示と、ステップアップ連続演出の最終ステップとの間にズレが生じず、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時に最終ステップに対応する演出を行うことができるようになる。
【0117】
また第2に、連続演出設定部204によって設定されたステップアップ連続演出が開始している際に、第2始動口21に遊技球が入球した場合、連続演出設定変更部205は、当該入球に基づいて優先的に行われる特別図柄の変動表示における演出として、当該入球時の変動表示中に行われたステップアップ連続演出の演出と同じ段階の演出を追加的に設定する。これにより、ステップアップ連続演出が開始された後に、第2始動口21に遊技球が入球した場合であっても、優先的に行われる特別図柄の変動表示時には同じ段階の演出を繰り返し行うことができるようになる。その結果、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示と、ステップアップ連続演出の最終ステップとの間に生じるズレを解消することができ、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時に最終ステップに対応する演出を行うことができるようになる。またこれにより、ステップアップ連続演出の途中で、連続性や関連性のない演出が割り込んで行われることによる遊技者の興趣低下を防止することができる。
【0118】
また第3に、連続演出設定変更部205は、連続演出設定部204によって設定されたステップアップ連続演出が既に開始しており、且つ、特別図柄の変動表示中に第2始動口21に複数の遊技球が連続入球した場合には、それぞれの入球に基づく特別図柄の変動表示における演出として、当該連続入球時の変動表示中に行われた演出と同じ段階の演出を、第2始動口21への入球順序に従って追加設定する。これにより、ステップアップ連続演出が開始された後に、第2始動口21に遊技球が連続入球した場合であっても、優先的に行われる複数回の特別図柄の変動表示時には同じ段階の演出が繰り返し行われるようになる。その結果、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示と、ステップアップ連続演出の最終ステップとの間に生じるズレを解消することができ、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時に最終ステップに対応する演出を行うことができるようになる。
【0119】
また第4に、優先的に保留消化が行われる第2変動表示保留記憶部212に遊技球の入球が記憶されている状態で連続演出設定部204によりステップアップ連続演出が設定されており、そのステップアップ連続演出が開始される前に、第2始動口21に遊技球が入球した場合、連続演出設定変更部205は、連続演出設定部205により設定されたステップアップ連続演出を再設定する。つまり、第2変動表示保留記憶部212に遊技球の入球が記憶されている状態でステップアップ連続演出が設定されていれば、その第2変動表示保留記憶部212の保留に対して独立したある段階のステップが割り当てられているので、その状態で第2始動口21に遊技球が入球すれば、当該入球に基づく特別図柄の変動表示における演出として、第2変動表示保留記憶部212のそれ以前の保留に対して設定された段階の次の段階となる演出を設定し、当該入球に基づく特別図柄の変動表示後に順次消化されることとなる第1変動表示保留記憶部211における保留数分の特別図柄の変動表示に対して設定されていたステップアップ連続演出をそれぞれ1段階ずつステップアップさせて再設定する。
【0120】
例えば、第2変動表示保留記憶部212に1つの保留があり、第1変動表示保留記憶部211に3つの保留がある状態で、第1変動表示保留記憶部211の3つ目の保留でステップアップ連続演出が設定されたとすると、第2変動表示保留記憶部212の1つ目の保留が第1段階の演出となり、第1変動表示保留記憶部211の1つ目の保留が第2段階の演出、2つ目の保留が第3段階の演出、3つ目の保留が第4段階(この場合は、最終ステップ)の演出として設定される。そしてこのステップアップ連続演出が開始される前に、さらに第2始動口21に遊技球が入球したとすると、連続演出設定変更部205は、第2変動表示保留記憶部212の当該保留(すなわち、2つ目の保留)を第2段階の演出とし、その後に消化される第1変動表示保留記憶部211の1つ目の保留を第3段階の演出、2つ目の保留を第4段階の演出、3つ目の保留を第5段階(最終ステップ)の演出として再設定するのである。これにより、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示と、ステップアップ連続演出の最終ステップとの間に生じるズレを解消でき、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示時にステップアップ連続演出の最終ステップに対応する演出を行うことができるようになる。
【0121】
次に、演出制御部206は、メイン制御基板100から受信する各種の演出コマンドに基づいて画像制御基板140およびランプ制御基板150を制御することにより、遊技機1における各種演出を行う処理部である。特にメイン制御基板100から変動開始コマンドを受信した場合、演出制御部206は、画像表示器9における装飾図柄の変動表示を開始させる。このとき、上述したステップアップ連続演出が設定されている場合、演出制御部206は、今回の装飾図柄の変動表示開始と共に行うステップアップ連続演出の段階を特定し、例えば画像表示器8に対して現段階に対応したキャラクタなどの画像を表示させることでステップアップ連続演出の現段階の演出を実行する。またそれ以前に同じ段階の演出が複数回行われており、今回の演出時にはステップアップ連続演出が次の段階に移行するときには、現段階の演出を行う前に、ステップアップ連続演出が次の段階に移行することを示す演出を行う。これにより、遊技者はステップアップ連続演出が次の段階に移行することを明確に把握することができるようになる。そしてこの移行演出により、遊技者は前の段階の演出時よりも一層大当たりへの期待感を高揚させることになる。
【0122】
次に演出制御基板130における詳細な動作について説明する。図27は、演出制御基板130のCPU131による主要動作を示すフローチャートである。この処理が開始されると、CPU131は、メイン制御基板100から遊技データを受信したか否かを判断する(ステップS1001)。メイン制御基板100から遊技データを受信していれば(ステップS1001でYES)、CPU131は、遊技データ受信処理(ステップS1002)、事前判定処理(ステップS1003)、連続演出設定処理(ステップS1004)および連続演出設定変更処理(ステップS1005)を順次実行し、ステップS1006に進む。尚、遊技データ受信処理(ステップS1002)、事前判定処理(ステップS1003)、連続演出設定処理(ステップS1004)および連続演出設定変更処理(ステップS1005)の詳細については後述する。一方、メイン制御基板100から遊技データを受信していなければ(ステップS1001でNO)、これらの処理をスキップしてステップS1006に進む。
【0123】
次にCPU131は、メイン制御基板100から演出コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS1006)。この演出コマンドには、変動開始コマンド、変動停止コマンド、大当たり開始コマンド、大当たり終了コマンド、小当たり開始コマンド、小当たり終了コマンドやその他の各種演出用のコマンドが含まれる。そしてメイン制御基板100から演出コマンドを受信していれば(ステップS1006でYES)、CPU131は、演出コマンド受信処理(ステップS1007)実行し、ステップS1008に進む。尚、演出コマンド受信処理(ステップS1007)の詳細については後述する。一方、メイン制御基板100から演出コマンドを受信していなければ(ステップS1006でNO)、演出コマンド受信処理をスキップしてステップS1008に進む。
【0124】
そしてCPU131は、演出制御処理を行う(ステップS1008)。尚、この演出制御処理(ステップS1008)の詳細については後述する。そしてステップS1001に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0125】
図28は、遊技データ受信処理(図27のステップS1002)の詳細を示すフローチャートである。CPU131は、メイン制御基板100から遊技データを受信すると、その受信した遊技データに含まれる入球始動口に関する情報を参照することにより、第1始動口19に入球したことによる遊技データであるか否かを判断する(ステップS1101)。受信した遊技データが第1始動口19への入球によるものである場合(ステップS1101でYES)、CPU131は、受信した遊技データを、保留記憶領域133aの第1変動表示保留記憶部211に格納する(ステップS1102)。また受信した遊技データが第1始動口19への入球によるものでなかった場合(ステップS1101でNO)、CPU131は、受信した遊技データを、保留記憶領域133aの第2変動表示保留記憶部212に格納する(ステップS1103)。ステップS1102又はS1103の処理を行うことにより、演出制御基板130において特別図柄の変動表示に関する保留を管理できるようになる。以上で遊技データ受信処理を終了する。
【0126】
次に図29は、事前判定処理(図27のステップS1003)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、CPU131において上述した事前判定部203が機能する。この処理が開始すると、事前判定部203は、メイン制御基板100から受信した遊技データが第1始動口19に入球したものであるか否かを判断する(ステップS1201)。この判断は、受信した遊技データに含まれる入球始動口に関する情報に基づいて行われる。そして第1始動口19に入球した遊技データでない場合(ステップS1201でNO)には、処理を終了する。
【0127】
第1始動口19に入球した遊技データである場合(ステップS1201でYES)、事前判定部203は、当該保留(すなわち、その受信した遊技データ)がリーチ又は大当たりのいずれかに当選しているか否かを判断する(ステップS1202)。この判断では、遊技データに含まれる大当たり乱数RN1とリーチ乱数RN3とに基づいてメイン制御基板100における判断と同様にして行われる。そして当該保留が、大当たりでなく、且つ、リーチでもない場合(ステップS1202でNO)は、処理を終了する。これに対し、当該保留が、大当たりに当選しているか、或いは、リーチ演出ありであれば、次のステップに進む。
【0128】
そして事前判定部203は、当該保留(すなわち、その受信した遊技データに基づく保留)を含む保留数であって、当該保留が消化されるまでの保留数が3以上であるか否かを判断する(ステップS1203)。保留数が3未満である場合(ステップS1203でNO)、ステップアップ連続演出を設定するには保留数が少なく、演出効果の高いステップアップ連続演出を行うことができないので、そのまま処理を終了する。これに対し、保留数が3以上であれば(ステップS1203でYES)、次のステップに進む。
【0129】
そして事前判定部203は、既にステップアップ連続演出が設定されているか否かを判断する(ステップS1204)。そして既にステップアップ連続演出が設定されていれば(ステップS1204でYES)、処理を終了する。これに対し、未だステップアップ連続演出が設定されていなければ(ステップS1204でNO)、次のステップに進む。
【0130】
そして事前判定部203は、第1変動表示保留記憶部211および第2変動表示保留記憶部212のいずれかの事前判定結果記憶領域に対し、既に事前判定の当選結果が格納されているか否かを判断する(ステップS1205)。そして他の保留の事前判定結果記憶領域において事前判定に当選したことが既に格納されている場合(ステップS1205でYES)、この処理を終了する。これに対し、これに対し、他の保留の事前判定結果記憶領域に事前判定に当選したことが格納されていない場合(ステップS1205でNO)は、次のステップに進む。
【0131】
そして事前判定部203は、当該保留が消化される前に消化される保留に大当たりに当選しているものがあるか否かを判断する(ステップS1206)。この判断は、当該保留以前の保留として保留記憶領域133aに格納された大当たり乱数RN1が大当たりを示す値であるか否かを判断することによって行われる。そして当該保留以前の保留であって、当該保留よりも先に消化される保留に大当たりに当選しているものがあれば(ステップS1206でYES)、この処理を終了する。つまり、この場合は、ステップアップ連続演出の途中で大当たりが発生することを回避するために処理を終了する。これに対し、当該保留以前の保留であって、当該保留よりも先に消化される保留に大当たりに当選しているものがなければ(ステップS1206でNO)、次のステップに進む。
【0132】
そして事前判定部203は、当該保留が消化される前に消化される保留にリーチ演出が行われるものがあるか否かを判断する(ステップS1207)。この判断は、当該保留以前の保留として保留記憶領域133aに格納されたリーチ乱数RN3がリーチ有りを示す値であるか否かを判断することによって行われる。そして当該保留以前の保留であって、当該保留よりも先に消化される保留にリーチ演出が行われるものがあれば(ステップS1207でYES)、この処理を終了する。つまり、この場合は、ステップアップ連続演出の途中でリーチ演出が行われることを回避するために処理を終了する。これに対し、当該保留以前の保留であって、当該保留よりも先に消化される保留にリーチ演出が行われるものがなければ(ステップS1207でNO)、事前判定乱数RN5を判定するための全ての条件を満たしたことになり、次のステップに進む。
【0133】
そして事前判定部203は、乱数格納領域133bから事前判定乱数RN5を読み出し(ステップS1208)、その乱数値に基づいて当選か否かの判定を行う(ステップS1209)。その結果、当選しなかったならば(ステップS1209でNO)、事前判定処理は終了する。これに対し、取得した事前判定乱数RN5の値が当選値であれば(ステップS1209でYES)、当該保留の事前判定記憶領域に対して事前判定当選を格納し(ステップS1210)、処理を終了する。
【0134】
このように事前判定処理(ステップS1003)では、種々の条件に基づいて事前判定が行われ、事前判定に当選すれば、その結果が保留記憶領域133aにおける当該保留の事前判定結果記憶領域に格納されるようになっている。尚、図例の場合、メイン制御基板100から受信した遊技データが第2始動口21に入球したものであれば、事前判定乱数RN5の取得は行われないようになっているが、これに限定するものではない。例えばステップS1201の判断を無くし、受信した遊技データが第2始動口21に入球したものであっても、他の条件を満たせば事前判定乱数RN5を取得し、その乱数値の判定を行うようにしても構わない。また、ステップ1202では当該保留(すなわち、受信した遊技データ)がリーチ又は大当たりのいずれかに当選しているか否かを判断する場合を例示しているが、この他にも、例えば当該保留が小当たりに当選しているか否かを判断しても良い。
【0135】
次に図30は、連続演出設定処理(図27のステップS1004)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、メイン制御基板100から遊技データを受信して保留記憶領域133aに格納した当該保留が、事前判定に当選したか否かを判断する(ステップS1301)。この判断は、当該保留が格納された記憶領域の事前判定結果記憶領域を確認することにより行われる。そして事前判定に当選していない場合(ステップS1301でNO)、連続演出設定処理は終了する。これに対し、事前判定に当選している場合(ステップS1301でYES)、CPU131は、保留記憶領域133aに格納されている他の保留を確認し、当該保留よりも先に消化される保留と当該保留との合計値である保留数Nを取得する(ステップS1302)。この保留数Nは、当該保留が消化されるまでに行われる特別図柄の変動表示の回数を表している。尚、上述した事前判定処理では、保留数が3以上であることを条件に事前判定乱数RN5の判定を行っているので、この保留数Nは3以上の値となる。そしてCPU131は、当該保留と当該保留よりも先に消化される各保留に対し、N段階のステップアップ連続演出を設定する(ステップS1303)。例えば保留数Nが3であった場合、ここでは3段階のステップアップ連続演出が設定されることになる。そしてCPU131は、ステップアップ連続演出を設定した保留について保留表示の連続演出表示コマンドをセットする(ステップS1304)。上述したように本実施形態では、画像表示器8に対して、第1変動保留記憶部211に記憶されている保留表示と、第2変動保留記憶部212に記憶されている保留表示とを行うように構成されており、保留表示の連続演出表示コマンドは、ステップアップ連続演出が設定されたことを遊技者に報知するため、画像表示器8における保留表示の表示態様を通常の表示態様とは異なった態様に切り替えるためのコマンドである。尚、ここでセットされるコマンドは一時的にRAM133にセットされ、その後に行われる演出制御処理(図27のステップS1008)で画像制御基板140に出力される。
【0136】
次に図31は、連続演出設定変更処理(図27のステップS1005)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、メイン制御基板100から受信した遊技データが第2始動口21に入球したものであるか否かを判断する(ステップS1401)。この判断は、受信した遊技データに含まれる入球始動口に関する情報に基づいて行われる。そして第2始動口21に入球した遊技データでない場合(ステップS1401でNO)、既にステップアップ連続演出が設定されていても設定変更を行う必要はないので、この処理を終了する。これに対し、第2始動口21に入球した遊技データである場合(ステップS1401でYES)、CPU131は次に、既にステップアップ連続演出が設定されているか否かを判断する(ステップS1402)。ここでステップアップ連続演出が設定されていなければ(ステップS1402でNO)、設定変更を行う必要はないので、この処理を終了する。一方、既にステップアップ連続演出が設定されている場合(ステップS1402でYES)、CPU131はその設定されているステップアップ連続演出が既に開始済みか否かを判断する(ステップS1403)。ここでは、ステップアップ連続演出の第1段階目の演出が既に開始された後であればYESとなり、未だ第1段階目の演出が開始されていなければNOとなる。そしてステップアップ連続演出が既に開始されている場合(ステップS1403でYES)、CPU131はステップアップ連続演出の現在の段階を取得する(ステップS1404)。そして当該保留に基づく特別図柄の変動表示に行う演出として、現在の段階と同じ段階の演出を設定する(ステップS1405)。例えば、特別図柄の変動表示中に、ステップアップ連続演出の第2段階目の演出が行われ、且つ、その変動表示が停止するまでの間に第2始動口21に遊技球が入球した場合、当該保留に基づく変動表示が優先的に行われるので、当該保留に基づく特別図柄の変動表示に行う演出として、再び同じ段階の演出が行われるように第2段階目の演出を設定する。このような同じ段階の演出は連続演出設定変更部205によって設定される。そしてこのとき連続演出設定変更部205は、連続演出追加設定手段として機能する。その後、CPU131は、当該保留の保留表示の態様を切り替えるべく、連続演出表示コマンドをセットする(ステップS1406)。
【0137】
一方、設定されているステップアップ連続演出が未だ開始されていない場合(ステップS1403でNO)、CPU131は連続演出開始前処理を実行する(ステップS1407)。
【0138】
図32は、連続演出開始前処理(図31のステップS1407)の詳細を示すフローチャートである。この処理が行われると、CPU131はまず、優先的に保留消化が行われる第2変動表示保留記憶部212の保留数が2以上であるか否かを判断する(ステップS1411)。そして保留数が2以上である場合(ステップS1411でYES)、第2変動表示保留記憶部212に記憶されているそれ以前の保留にステップアップ連続演出が設定されているか否かを判断する(ステップS1412)。第2変動表示保留記憶部212のそれ以前の保留にステップアップ連続演出が設定されている場合(ステップS1412でYES)、それ以前の保留には独立したある段階の演出が割り当てられているので、CPU131は、ステップアップ連続演出の再設定を行う(ステップS1413)。つまり、第2始動口21への当該入球に基づく特別図柄の変動表示における演出として、第2変動表示保留記憶部212のそれ以前の保留に対して設定された段階の次の段階となる演出を設定し、当該入球に基づく特別図柄の変動表示後に順次消化されることとなる第1変動表示保留記憶部211における保留に設定されていたステップアップ連続演出をそれぞれ1段階ずつステップアップさせて再設定する。そして当該保留表示の連続演出表示コマンドをセットする(ステップS1414)。
【0139】
一方、第2変動表示保留記憶部212の保留数が2以上でなかった場合(ステップS1411でNO)、或いは、第2変動表示保留記憶部212のそれ以前の保留にステップアップ連続演出が設定されていない場合(ステップS1412でNO)、CPU131は、ステップアップ連続演出の実行禁止フラグをオンにする(ステップS1415)。つまり、この場合、第2変動表示保留記憶部212の保留は、ステップアップ連続演出が設定された後、そのステップアップ連続演出が開始される前に記憶されたものであるため、ステップアップ連続演出の実行を禁止して先に第2変動表示保留記憶部212の保留を消化させるべく、実行禁止フラグをオンにする。以上でこの処理が終了する。
【0140】
次に図33は、演出コマンド受信処理(図27のステップS1007)の詳細を示すフローチャートである。メイン制御基板100から演出コマンドを受信すると、CPU131はまず、その受信した演出コマンドが変動開始コマンドであるか否かを判断する(ステップS1501)。受信した演出コマンドが変動開始コマンドでない場合(ステップS1501でNO)、ステップS1510までジャンプし、その他の受信した演出コマンドに基づいて演出確定コマンドをセットする。
【0141】
一方、受信した演出コマンドが変動開始コマンドである場合(ステップS1501でYES)、CPU131は、ROM132に格納されている複数の演出テーブルの中から、変動開始コマンドに基づいてひとつの演出テーブルを選択する(ステップS1502)。ROM132には、長当たり演出テーブル、短当たり及び小当たり演出テーブル、ハズレリーチ有り演出テーブル、ハズレリーチ無し演出テーブルが予め格納されている。これら各テーブルには、メイン制御基板100で決定される変動時間に対応するテーブルが複数設けられている。CPU131は、これら複数のテーブルの中から、変動開始コマンドに含まれる情報に基づいてひとつの演出テーブルを選択する。
【0142】
そしてCPU131は、その選択した演出テーブルに基づいて装飾図柄の変動演出パターンを決定する(ステップS1503)。例えばCPU131は、逐次更新されている演出用の乱数を取得する。選択した演出テーブルには、乱数と演出パターンとが対応付けられており、その取得した乱数値を選択した演出テーブルに基づいて判定することにより、多数の演出パターンの中からひとつの演出パターンを決定する。このとき、装飾図柄の変動辺出パターンだけでなく、演出用役物32による演出パターンや、各種ランプ97による演出パターン、スピーカ5から出力する音声パターンなども決定される。
【0143】
そしてCPU131は、保留記憶領域133aのシフト処理を行う(ステップS1504)。例えば、第1変動保留記憶部211の保留を消化する場合、第4記憶領域211dの遊技データを第3記憶領域211cにシフトして記憶し、第3記憶領域211cの遊技データを第2記憶領域211bにシフトして記憶し、第2記憶領域211bの遊技データを第1記憶領域211aにシフトして記憶する。尚、第1記憶領域211aの遊技データは保留消化に伴い消去する。また第2変動保留記憶部212の保留を消化する場合、第4記憶領域212dの遊技データを第3記憶領域212cにシフトして記憶し、第3記憶領域212cの遊技データを第2記憶領域212bにシフトして記憶し、第2記憶領域212bの遊技データを第1記憶領域212aにシフトして記憶する。尚、第1記憶領域212aの遊技データは保留消化に伴い消去する。
【0144】
そしてCPU131は、ステップアップ連続演出が設定されているか否かを判断する(ステップS1505)。ステップアップ連続演出が設定されていない場合(ステップS1505でNO)、ステップS1510にジャンプし、上記ステップ1503で決定された演出パターンに基づき、演出確定コマンドをセットする。
【0145】
またステップアップ連続演出が設定されている場合(ステップS1505でYES)、実行禁止フラグがオンになっているか否かを判断する(ステップS1506)。実行禁止フラグがオフであれば(ステップS1506でNO)、CPU131は連続演出決定処理を実行する(ステップS1507)。この連続演出決定処理では、ステップアップ連続演出を実行させるためのコマンドがセットされる。尚、この連続演出決定処理の詳細は後述する。そして連続演出決定処理を実行した後、上記ステップ1503で決定された演出パターンに基づいて演出確定コマンドをセットし、処理を終了する(ステップS1510)。
【0146】
一方、実行禁止フラグがオンであった場合(ステップS1506でYES)、CPU131は、第2変動表示保留記憶部212の保留数が0であるか否かを判断する(ステップS1508)。つまり、ここではステップアップ連続演出を開始する前に優先的に消化すべき保留を全て消化したか否かを判断する。そしてステップS1504で行われたシフト処理により、第2変動表示保留記憶部212の保留数が0となっていればYESとなり、ステップアップ連続演出の実行禁止フラグをオフに切り替える(ステップS1509)。そしてステップS1510に進み、上記ステップ1503で決定された演出パターンに基づいて演出確定コマンドをセットし、処理を終了する。また第2変動表示保留記憶部212の保留数が0でない場合は(ステップS1508でNO)、ステップアップ連続演出を開始する前に消化すべき保留が残存していることになるので、そのままステップS1510に進み、上記ステップ1503で決定された演出パターンに基づいて演出確定コマンドをセットし、処理を終了する。
【0147】
次に図34は、連続演出決定処理(図33のステップS1507)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、CPU131は、今回の特別図柄の変動表示中に実行するステップアップ連続演出の段階を決定する(ステップS1521)。今回実行するステップアップ連続演出の段階が決定できると、次にCPU131は、その直前のステップアップ連続演出として同じ段階の演出が複数回実行されたか否かを判断する(ステップS1522)。そして同じ段階の演出が複数回実行されていた場合(ステップS1522でYES)、次にCPU131は、今回のステップアップ連続演出の段階が、次の段階に移行するか否かを判断する(ステップS1523)。ここで次の段階に移行すると判断した場合(ステップS1523でYES)、CPU131は、ステップアップ連続演出が次の段階に移行する演出を行わせるために次の段階への移行演出コマンドをセットする(ステップS1524)。そしてCPU131は、今回の特別図柄の変動表示中に実行するステップアップ連続演出の段階を指定してステップアップ連続演出の実行コマンドをセットする(ステップS1525)。
【0148】
一方、その直前に同じ段階の演出が複数回実行されていない場合(ステップS1522でNO)、或いは、その直前に同じ段階の演出が複数回実行されている場合であっても今回は更に引き続いて同じ段階の演出が繰り返し行われる場合(ステップS1523でNO)、移行演出コマンドはセットする必要がないので、ステップS1525にジャンプし、今回の特別図柄の変動表示中に実行するステップアップ連続演出の段階を指定してステップアップ連続演出の実行コマンドをセットする(ステップS1525)。以上でこの処理が終了する。
【0149】
次に図35は、演出制御処理(図27のステップS1008)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、演出制御基板130から画像制御基板140及びランプ制御イバン150に対して各種演出を実行させるためのコマンドなどが出力される。CPU131は、連続演出表示コマンドがセットされている場合、それを画像制御基板140に送信し、ステップアップ連続演出が設定された場合の保留表示の表示態様を変化させる(ステップS1601)。尚、連続演出表示コマンドがセットされていなければ、ステップS1601の送信処理は行われない。次に移行演出コマンドがセットされていれば、それを画像制御基板140及びランプ制御基板150に送信し、ステップアップ連続演出における今回の段階の演出を開始する前に、ステップアップ連続演出が次の段階に移行する演出を行わせる(ステップS1602)。尚、移行演出コマンドがセットされていなければ、ステップS1602の送信処理は行われない。次にステップアップ連続演出の実行コマンドがセットされていれば、それを画像制御基板140及びランプ制御基板150に送信し、特別図柄の変動表示中にステップアップ連続演出における指定した段階の演出を行わせる(ステップS1603)。尚、実行コマンドがセットされていなければ、ステップS1603の送信処理は行われない。次に演出確定コマンドがセットされていれば、それを画像制御基板140及びランプ制御基板150に送信し、各種の演出動作を行わせる(ステップS1604)。この演出確定コマンドが、装飾図柄の変動表示を行う演出パターンを指定したコマンドであれば、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が開始されると共に、各種ランプ97や演出用役物32による演出が行われる。尚、演出確定コマンドがセットされていなければ、ステップS1604の送信処理は行われない。以上でこの処理が終了する。
【0150】
以上のような演出制御基板130の動作により、遊技機1において種々の演出が行われる。特に、特別図柄の変動表示中、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が行われると共に、ステップアップ連続演出が設定された場合には複数回の連続した変動表示にわたって段階的にステップアップしていく予告演出が行われる。そしてステップアップ連続演出の最終ステップの演出が行われると、その装飾図柄の変動表示は必ずリーチとなるので、遊技者に大当たりを期待させることができる。
【0151】
図36は、画像表示器8における表示画面の一構成例を示す図であり、(a)はステップアップ連続演出が設定されていない場合の例を示しており、(b)はステップアップ連続演出が設定された場合の一例を示している。まず図36(a)に示すように、画像表示器8の中央部には、例えば1?9までの数字が付与された3つの装飾図柄81,82,83が表示されている。装飾図柄81は画面中央の左側に表示される図柄であり、装飾図柄82は画面中央の中心に表示される図柄であり、装飾図柄83は画面中央の右側に表示される図柄である。これら装飾図柄81,82,83は、特別図柄の変動表示が行われると、それに対応して例えば上下方向に変動する変動表示が行われ、それぞれ大当たり抽選の結果に応じた図柄で停止する。またリーチ演出が行われる場合は、例えば左装飾図柄81と右装飾図柄83とが同じ図柄で停止した後、ノーマルリーチ演出やスーパーリーチ演出などの各種リーチ演出が行われた後、大当たり抽選の当否結果に応じた図柄で停止する。
【0152】
このような画像表示器8において、装飾図柄81,82,83が表示される装飾図柄表示領域の下方に、第1変動表示保留記憶部211の保留を表示する第1保留表示部84が設けられている。第1保留表示部84は、4つの保留表示部84a,84b,84c,84dを有しており、第1変動表示保留記憶部211に1個の保留がある場合は保留表示部84aのみが点灯し、2個の保留がある場合は保留表示部84aと84bとが点灯し、3個の保留がある場合は保留表示部84aと84bと84cとが点灯し、4個の保留がある場合は全ての保留表示部84a,84b,84c,84dが点灯する。尚、第1変動表示保留記憶部211に保留が記憶されていない場合、保留表示部84a,84b,84c,84dは点灯しない。図36(a)の場合は、第1変動表示保留記憶部211に3個の保留がある場合を示している。
【0153】
また画像表示器8において、装飾図柄81,82,83が表示される装飾図柄表示領域の左方に、第2変動表示保留記憶部212の保留を表示する第2保留表示部85が設けられている。第2保留表示部85は、4つの保留表示部85a,85b,85c,85dを有しており、第2変動表示保留記憶部212に1個の保留がある場合は保留表示部85aのみが点灯し、2個の保留がある場合は保留表示部85aと85bとが点灯し、3個の保留がある場合は保留表示部85aと85bと85cとが点灯し、4個の保留がある場合は全ての保留表示部85a,85b,85c,85dが点灯する。尚、第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていない場合、保留表示部85a,85b,85c,85dは点灯しない。図36(a)の場合は、第2変動表示保留記憶部212に1個の保留がある場合を示している。
【0154】
そして図36(a)に示すように、ステップアップ連続演出が設定されていない場合、第1保留表示部84および第2保留表示部85の保留表示の態様は、通常の表示態様であるランプ状の表示態様となっている。
【0155】
一方、例えば第1変動表示保留記憶部211に4つ目の保留が記憶されたタイミングで事前判定に当選し、ステップアップ連続演出が設定された場合、演出制御基板130より保留表示に関する連続演出表示コマンドが出力されるので、画像表示器8における保留表示は図36(b)に示すように切り替わる。尚、図36(b)の例では第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていない状態を示している。
【0156】
図36(b)に示すように、ステップアップ連続演出が設定されると、ステップアップ連続演出が実行される保留表示が段階的にステップアップしていく表示態様に変化する。図例の場合、第1変動表示保留記憶部211の第1保留に対応する保留表示部84aには「たまご」の画像が表示され、第2保留に対応する保留表示部84bには「ひよこ」の画像が表示される。また第3保留に対応する保留表示部84cには「にわとり小」の画像が表示され、第4保留に対応する保留表示部84dには「にわとり大」の画像が表示される。つまり、特別図柄の変動表示待ちの保留が4つある場合にステップアップ連続演出が設定されると、それら4つの保留に対して4段階のステップアップ連続演出を予告するための保留表示が行われる。したがって、画像表示器8の保留表示が通常の表示態様から段階的な表示態様に変化すると、遊技者はステップアップ連続演出が行われることを把握することができる。
【0157】
図37は本実施形態におけるステップアップ連続演出の段階を示す図である。本実施形態では図37に示すように合計6段階のステップアップ連続演出を設定可能となっており、第1段階に対応する演出用画像として、図37(a)に示すように「たまご」の画像が設定されている。また第2段階に対応する演出用画像として、図37(b)に示すように「ひよこ」の画像が設定されている。また第3段階に対応する演出用画像として、図37(c)に示すように「にわとり小」の画像が設定されており、第4段階に対応する演出用画像として、図37(d)に示すように「にわとり大」の画像が設定されている。さらに第5段階に対応する演出用画像として、図37(e)に示すように「にわとり尾黒」の画像が設定されており、第6段階に対応する演出用画像として、図37(f)に示すように「にわとり首黒」の画像が設定されている。但し、ステップアップ連続演出として設定可能な段階数は、6段階に限られるものではない。
【0158】
次に遊技機1においてステップアップ連続演出が行われる場合の画像表示器8における演出の一例を、図38?図44を参照しつつ順を追って説明する。尚、図38?図44には画像表示器8における一連の演出態様を示している。遊技機1における特別図柄の変動表示中は、図38(a)に示すように画像表示器8において装飾図柄81,82,83の変動表示が行われる。このとき例えば第1始動口19に遊技球が入球すると、画像表示器8にはそれに伴う保留を表示するため、保留表示部84aが点灯する。このときの特別図柄の変動表示が終了するまでに、第1始動口19に対してさらに遊技球が2個連続して入球すると、第1始動口19に入球した保留数が3個となるので、図38(b)に示すように画像表示器8において保留表示部84a,84b,84cが点灯する。そしてこのときの特別図柄の変動表示が終了するまでに、第1始動口19に対してさらに遊技球が1個し、それに伴う事前判定に当選してステップアップ連続演出が設定された場合、上述したように保留表示は、ステップアップ連続演出を予告するための段階的な保留表示に切り替わる。つまり、図38(c)に示すように第1保留表示部84における保留表示が「たまご」、「ひよこ」、「にわとり小」、「にわとり大」の4段階の表示に切り替わる。
【0159】
図38(c)に示す状態で第1変動表示保留記憶部211の保留を消化してステップアップ連続演出を開始するまでに、第2始動口21に遊技球が1個入球すると、その保留は第2保留表示部85で表示される。このとき、ステップアップ連続演出は開始前であるので、実行禁止フラグがオンになり、図39(a)に示すように第2保留表示部85における保留表示部85aの表示態様は通常の表示態様となる。そして先の特別図柄の変動表示が停止することに伴い、図39(b)に示すように画像表示器8における装飾図柄81,82,83の変動表示も停止する。尚、図39(b)では装飾図柄81,82,83は揃った図柄で停止していないので、遊技者に対し、大当たり抽選のハズレを報知する停止図柄となっている。
【0160】
そして次の特別図柄の変動表示においては、第2始動口21に入球して第2変動表示保留記憶部212に記憶されている保留が優先的に消化される。この場合、図39(c)に示すように第2保留表示部85における保留表示部85aが消灯し、装飾図柄81,82,83の変動表示が開始する。またこのとき、ステップアップ連続演出の実行禁止フラグがオンであるので、ステップアップ連続演出は開始されない。そして図49(a)に示すように第2変動表示保留記憶部212の保留に基づく変動表示が停止する。尚、図40(a)においても装飾図柄81,82,83は揃った図柄で停止していないので、遊技者に対し、大当たり抽選のハズレを報知する停止図柄となっている。
【0161】
そして次の特別図柄の変動表示においては、第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていないので、第1変動表示保留記憶部211の保留が消化される。この場合、図40(b)に示すように第1保留表示部84における保留表示がシフトし、第1段階を示す「たまご」の画像が消える。そして装飾図柄81,82,83の変動表示が開始する。このとき、ステップアップ連続演出の実行禁止フラグはオフになっている。そのため、画像表示器8にはステップアップ連続演出の第1段階の演出が行われる。この第1段階の演出では、例えば図40(c)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第1段階を示す「たまご」の演出用画像86が出現し、図41(a)に示すようにその「たまご」の演出用画像86が画面右側から左側に転がっていく。このようなステップアップ連続演出の各段階の演出は、例えば装飾図柄81,82,83の変動表示を開始する前、或いは、装飾図柄81,82,83の変動表示を開始してから少なくとも1つの装飾図柄が停止するまでの適宜のタイミングで行われる。したがって、遊技者は演出用画像86の出現により、複数回の連続した特別図柄の変動表示にわたって行われるステップアップ連続演出が開始されたことを把握する。そしてステップアップ連続演出の最終ステップが演出されるときに、大当たりとなることを期待する。
【0162】
そしてステップアップ連続演出の第1段階が行われると、装飾図柄81,82,83は図41(b)に示すように、リーチとなることなく、ハズレ図柄で停止する。この間、第2始動口21に対して遊技球が入球しなかったとすると、次の特別図柄の変動表示においては、再び第1変動表示保留記憶部211の保留が消化される。この場合、図41(c)に示すように第1保留表示部84における保留表示がシフトし、第2段階を示す「ひよこ」の画像が消える。そして画像表示器8において装飾図柄81,82,83の変動表示が開始すると共に、ステップアップ連続演出の第2段階の演出が行われる。この第2段階の演出では、例えば図41(c)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第2段階を示す「ひよこ」の演出用画像86が出現し、その「ひよこ」の演出用画像86が画面右側から左側に横切っていく。このときの演出用画像86である「ひよこ」は前回の演出用画像である「たまご」よりも1段階ステップアップしているので、遊技者の期待感を一層高揚させることができる。
【0163】
ここで、第2段階の演出が行われたときの特別図柄の変動表示中に、第2始動口21に対して遊技球が2個入球した場合を考える。この場合、特別図柄の変動表示中であるので、第2始動口21への2個の入球は、第2変動表示保留記憶部212に記憶されて保留となる。このとき、ステップアップ連続演出は既に開始されているため、第2変動表示保留記憶部212に記憶された保留に対するステップアップ連続演出として、現在の段階と同じ段階の演出が設定される。そして第2変動表示保留記憶部212に基づく保留表示は、図42(a)に示すように、通常の表示態様ではなく、現在の段階と同じ段階を示す保留表示の態様で行われる。図例の場合、第2段階を示す「ひよこ」の画像が保留表示部85a,85bに表示される。
【0164】
そして装飾図柄81,82,83の変動表示は、図42(b)に示すように、ハズレ図柄で停止する。そして次の特別図柄の変動表示においては、第2始動口21に入球して第2変動表示保留記憶部212に記憶されている保留が優先的に消化される。この場合、図42(c)に示すように第2保留表示部85における保留表示がシフトし、装飾図柄81,82,83の変動表示が開始する。またこのとき、ステップアップ連続演出の第2段階の演出が再び行われる。ただし、このときの第2段階の演出では、例えば図42(c)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第2段階を示す「ひよこ」が二羽連なった演出用画像86が出現し、第2段階の演出が二回目であることを遊技者に報知する。
【0165】
また次の特別図柄の変動表示においても、第2始動口21に入球して第2変動表示保留記憶部212に記憶されている保留が優先的に消化されるので、図43(a)に示すように、第2保留表示部85における保留表示を消灯して装飾図柄81,82,83の変動表示を開始する。そしてこのときもまた、ステップアップ連続演出の第2段階の演出が再び行われる。ただし、このときの第2段階の演出では、例えば図43(a)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第2段階を示す「ひよこ」が三羽連なった演出用画像86が出現し、第2段階の演出が三回目であることを遊技者に報知する。
【0166】
このようにステップアップ連続演出を開始した後、第2始動口21に遊技球が入球し、それに伴う保留を優先的に消化して特別図柄の変動表示を行うときには、ステップアップ連続演出として同じ段階の演出が繰り返し実行される。そのため、ステップアップ連続演出の最終ステップに対応する演出が事前判定に当選した保留に基づく変動表示時に行われるという設定状態を保持したまま、第2始動口21に入球したことによる保留を優先的に消化しつつ、ステップアップ連続演出を継続することができる。そして同じ段階の演出を繰り返し実行するときには、上述したようにその同じ段階の演出内容を多少変更し、同じ段階の演出の中でも徐々にステップアップしていくような演出内容することで、何回目の演出であるかを遊技者に対して明示するような演出態様とすることが好ましい。
【0167】
そして装飾図柄81,82,83の変動表示は、図43(b)に示すように、ハズレ図柄で停止する。そして次の特別図柄の変動表示においては、第2変動表示保留記憶部212に保留が記憶されていないので、第1変動表示保留記憶部211の保留が消化される。この場合、ステップアップ連続演出が次の段階に移行するので、第1変動表示保留部211に保留された保留を消化して特別図柄の変動表示を行う際、画像表示器8には、移行演出コマンドに基づいてステップアップ連続演出が次の段階に移行することを示す演出が行われる。例えば図43(c)に示すように次の段階の演出を開始する前に、ステップアップ連続演出が次の段階に移行することを示す移行演出画像87が表示される。尚、次の段階への移行演出は例えばスピーカ5から発する音声によって行うようにしても良い。
【0168】
そして移行演出が終了すると、図44(a)に示すように、第1保留表示部84における保留表示がシフトし、第3段階を示す「にわとり小」の画像が消える。そして装飾図柄81,82,83の変動表示が開始する。このとき、画像表示器8にはステップアップ連続演出の第3段階の演出が行われる。この第3段階の演出では、例えば図44(a)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第3段階を示す「にわとり小」の演出用画像86が出現し、その演出用画像86が画面右側から左側に横切っていく。このとき遊技者の大当たりへの期待感は更に高揚する。
【0169】
そして第1保留表示部84において第4段階の「にわとり大」の保留表示が消化され、画像表示器8において装飾図柄81,82,83の変動表示が行われる際、ステップアップ連続演出の最終段階である第4段階の演出が行われる。この第4段階の演出では、例えば図44(b)に示すように装飾図柄81,82,83の変動表示の前面側に、ステップアップ連続演出の第4段階を示す「にわとり大」の演出用画像86が出現し、その演出用画像86が画面右側から左側に横切っていく。このとき消化される保留は、事前判定に当選した保留であるので、大当たりとなるか、或いは大当たりにならない場合であっても必ずリーチ演出が行われる。そのため、遊技者の大当たりへの期待感は最高潮となり、リーチ演出後に大当たりになることを期待する。そして当該保留が大当たりに当選していれば、図44(c)に示すように装飾図柄81,82,83が大当たりに対応した図柄で停止する。
【0170】
以上のように本実施形態の遊技機1は、第1変動表示保留部113又は第2変動表示保留部114によって遊技球の入球が記憶されたとき、当該入球に基づく特別図柄の変動表示が開始する前に、当該入球を契機として、遊技データの事前判定を行い、その事前判定の結果に基づいて、第1変動表示保留部113と第2変動表示保留部114との保留数分に対応した複数回の連続した特別図柄の変動表示にわたって段階的にステップアップしていくステップアップ連続演出を設定する。このとき設定するステップアップ連続演出は、事前判定に当選した保留が大当たりに当選しているかも知れないという期待感を遊技者に抱かせるためのものである。そしてステップアップ連続演出が設定された場合に、複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に行われる演出は、同じ内容の演出ではなく、段階的にステップアップしていく演出となるので、特別図柄の変動表示が行われる都度、遊技者の大当たりへの期待感を徐々に高揚させていくことができ、遊技機として従来よりも興趣性の高い演出が可能になる。
【0171】
また本実施形態の遊技機1は、第2変動表示保留部114の保留を優先的に消化する構成であり、第2変動表示保留部114に保留が記憶されていない状態でステップアップ連続演出が設定されており、且つ、該ステップアップ連続演出が開始される前に、第2始動口に遊技球が入球した場合には、当該入球に基づいて優先的に行われる特別図柄の変動表示においてステップアップ連続演出の実行を禁止する。そのため、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が行われるときには、ステップアップ連続演出の最終ステップの演出を行うことができるようになり、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が行われる前に、ステップアップ連続演出が終了してしまうという不都合を防止することができる。それ故、遊技者の注目を、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示中に行われる演出に集中させることができるようになる。
【0172】
また本実施形態の遊技機1は、設定されたステップアップ連続演出が開始している際に、第2始動口21に遊技球が入球した場合、当該入球に基づく特別図柄の変動表示における演出として、当該入球時の変動表示中に行われた演出と同じ段階の演出を設定する。そのため、複数回の特別図柄の変動表示中に行われるステップアップ連続演出が既に開始している場合でも、第2始動口21への入球によって優先的に行われる特別図柄の変動表示中は同じ段階の演出が繰り返し行われるようになり、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が行われる前に、ステップアップ連続演出が終了してしまうという不都合を防止することができる。それ故、遊技者の注目を、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示中に行われる演出に集中させることができるようになる。
【0173】
またステップアップ連続演出が既に開始しており、且つ、特別図柄の変動表示中に第2始動口21に複数の遊技球が連続入球した場合には、それぞれの入球に基づく特別図柄の変動表示における演出として、当該連続入球時の変動表示中に行われた演出と同じ段階の演出を、第2始動口21への入球順序に従って設定する。そのため、第2始動口21に複数の遊技球が連続入球した場合であっても、同じ段階の演出が3回以上繰り返し行われるようになり、事前判定に当選した保留に基づく特別図柄の変動表示が行われる前に、ステップアップ連続演出が終了してしまうという不都合を防止することができる。尚、この場合において同じ段階の演出を繰り返し行うときは、第2始動口21への入球順序に従って多少異なる演出態様とすることにより、遊技者に対して何回目の演出であるかを報知するような演出とすることが好ましい。
【0174】
また本実施形態の遊技機1は、ステップアップ連続演出を開始した後に第2始動口21に対して遊技球が入球したことにより、ステップアップ連続演出に対して同じ段階の演出が追加設定された場合、その同じ段階の演出が終了し、次に第1変動表示保留部113に保留された保留を消化して特別図柄の変動表示を行う際には、ステップアップ連続演出が次の段階に移行することを示す演出を行う。そのため、遊技者は、ステップアップ連続演出において複数回行われた同じ段階の演出が終了したことを把握することができると共に、ステップアップ連続演出が次の段階に移行することを容易に把握できるので、遊技者の大当たりへの期待感を高揚させることができる。
【0175】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0176】
例えば、上記実施形態では、第1始動口19に遊技球が入球した場合にのみ、事前判定に当選してステップアップ連続演出が設定される場合を例示した。しかし、これに限定するものではなく、第2始動口21に遊技球が入球した場合にも事前判定処理を行うようにし、その事前判定に当選した場合にはステップアップ連続演出の設定を行うようにしても良い。但し、この場合はステップアップ連続演出として効果的な演出を行うためには、それ以前に消化される変動表示として所定球数以上(例えば3個以上)の保留が第2変動表示保留部114に記憶されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0177】
1 遊技機
8 画像表示器
10 遊技盤
19 第1始動口
21 第2始動口
22 大入賞口
23 役物
60 表示器
63 第1特別図柄表示器
65 第2特別図柄表示器
100 メイン制御基板
111 遊技データ取得部(遊技データ取得手段)
112 変動表示保留部
113 第1変動表示保留部(第1変動表示保留手段)
114 第2変動表示保留部(第2変動表示保留手段)
130 演出制御基板
203 事前判定部(事前判定手段)
204 連続演出設定部(連続演出設定手段)
205 連続演出設定変更部(連続演出追加設定手段)
206 演出制御部(演出制御手段)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1始動口と第2始動口とを有し、前記第1始動口又は前記第2始動口に遊技球が入球したことを条件として大当たりの抽選を行い、特別図柄の変動表示を開始して所定時間経過後に該変動表示を前記抽選の結果に応じた特別図柄で停止させると共に、特別図柄の変動表示中に各種演出を行う遊技機であって、
前記第1始動口又は第2始動口に遊技球が入球したことを条件として遊技データを取得した後に大当たりの抽選を行う遊技データ取得手段と、
特別図柄の変動表示中に前記第1始動口に遊技球が入球した個数を記憶して、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留する第1変動表示保留手段と、
特別図柄の変動表示中に前記第2始動口に遊技球が入球した個数を記憶して、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留し、前記第1変動表示保留手段よりも優先的に保留を消化する第2変動表示保留手段と、
前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に遊技球の入球が記憶されたとき、当該入球より先に入球したことに基づく保留の中に、リーチ演出を行う保留又は大当たりの抽選において当選する保留が含まれていないことを条件として、当該入球に基づく特別図柄の変動表示の開始前に、当該入球を契機として、前記遊技データ取得手段により取得された遊技データに基づいて、当該入球に基づく保留が消化されるまでの間の複数回の特別図柄の変動表示にわたって連続的に行われる連続演出を行うか否かを判定する事前判定手段と、
前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に記憶されている保留数に応じた保留表示を行う保留表示手段と、
を備え、
前記保留表示手段は、前記第1変動表示保留手段又は前記第2変動表示保留手段に遊技球の入球が記憶されることに伴って行われる前記事前判定手段の判定結果が前記連続演出を行うものである場合、当該入球によって新たに表示する保留表示の表示態様を通常の表示態様とは異なる表示態様に変化させて表示し、
前記連続演出が設定された後で且つ前記連続演出の開始前に前記第2始動口に遊技球が入球したことにより保留が記憶された場合に、当該保留に基づき優先的に行われる特別図柄の変動表示中に前記連続演出の実行を禁止する演出設定変更手段をさらに備える遊技機。
【請求項2】
前記保留表示手段は、新たに表示する保留表示の表示態様を通常の表示態様とは異なる表示態様に変化させて表示するとき、通常の表示態様とは異なる複数種類の表示態様のうちから一の表示態様を選択して表示することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-12-08 
結審通知日 2016-12-12 
審決日 2016-12-26 
出願番号 特願2013-83557(P2013-83557)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 加舎 理紅子
藤田 年彦
登録日 2015-06-05 
登録番号 特許第5756824号(P5756824)
発明の名称 遊技機  
代理人 高垣 泰志  
代理人 高垣 泰志  

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