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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47J
管理番号 1323983
審判番号 不服2015-11951  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-24 
確定日 2017-01-19 
事件の表示 特願2012-153024「圧力調理器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 14466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月6日の出願であって、平成27年3月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年6月24日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年6月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、該蓋体を容器本体に固定するための蓋体の半径方向に移動可能な一対の係止部材をもつ操作機構とを備えてなり、上記操作機構として、上記蓋体にカバー部材を取付け、該カバー部材にハンドルを固着し、該ハンドルに操作部材を押下自在に設け、該蓋体の上面に底板及び左右の立上板からなる断面コ状のガイド部材を設け、該ガイド部材に底板及び左右の立上板からなる断面コ状の一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け、該一対の移動部材のそれぞれの内方端部に一対のガイドロールを植設し、該カバー部材に移動板を上記一対の移動部材の移動方向と直交する方向に移動自在に設け、該移動板に、上記一対のガイドロールにそれぞれ摺動嵌合可能な相互にハ状をなす一対の斜めガイド穴を形成し、該一対のガイドロール間に該一対の移動部材を相互に内方移動させる係止用バネを架設し、該ハンドルに収納穴部を形成し、該収納穴部に操作部材を押下自在に設け、該ハンドルに操作部材の抜止凸部を形成し、該操作部材の押下動作により該移動板を移動部材の移動方向と直交する方向に移動させる斜面機構を設け、該斜面機構として、移動板の中央部に被動部を設け、被動部に押下斜面部を形成すると共に操作部材の底面に該押下斜面部に係合する被動斜面部を形成してなり、上記操作部材への指の押下により斜面機構の作用で移動板は係止用バネに抗して移動部材の移動方向と直交する方向に移動されると共に上記操作部材からの指の釈放により移動板は係止用バネにより移動方向と直交する方向に後退移動され、該一対の移動部材の外方端部に上記一対の係止部材を固定してなり、かつ、上記蓋体に設けられ、上記容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材及び上記移動部材に設けられ、該安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部からなる安全機構を設け、さらに、上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する調節おもりをもつ蒸気抜き弁を設け、上記安全部材内に閉蓋状態における容器本体内の過大な圧力上昇時に開口して蒸気を逃がす開閉弁を設けてなることを特徴とする圧力調理器。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ハンドル」及び「操作部材」について、「該ハンドルに収納穴部を形成し、該収納穴部に操作部材を押下自在に設け、該ハンドルに操作部材の抜止凸部を形成し」との限定を付加し、同じく「斜面機構」について、「該斜面機構として、移動板の中央部に被動部を設け、被動部に押下斜面部を形成すると共に操作部材の底面に該押下斜面部に係合する被動斜面部を形成してなり、上記操作部材への指の押下により斜面機構の作用で移動板は係止用バネに抗して移動部材の移動方向と直交する方向に移動されると共に上記操作部材からの指の釈放により移動板は係止用バネにより移動方向と直交する方向に後退移動され」るものであることの限定を付加し、「固定し」を「固定してなり、かつ」と補正して記載を整えるものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

1.引用文献
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-177514号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0021】
本発明の調理器具は、家庭状況では圧力下で食品を料理するために設計されている。
【0022】
前記器具は、図1?7を参照して述べられている。
【0023】
本発明の調理器具は、好ましくは対称軸Z-Zを有する円筒状の容器1と、シールガスケット、例えばリップシールJ、を介して容器1に対し実質的に気密の方法で取り付けられるように設計された蓋体2と、を有している。」

「【0028】
本発明のロック/アンロック装置3は、直径方向で対向する好ましくは2つの挟持部4を有し、これら挟持部4は、容器1に対し蓋体2をロックし、蓋体2が容器1に固定されるロック位置と、蓋体が容器から分離されるアンロック位置との間を、駆動アーム5により蓋体2上で半径方向に移動するように載置されている。」

「【0032】
また、本発明のロック/アンロック装置3は、駆動アーム5に連結された複数の挟持部4を半径方向に動かし、ロック位置又はアンロック位置のいずれかに動かすための制御手段7を有している。
【0033】
制御手段7は、特に、押し込むことによって挟持部4を変位させるような作動に適している作動部材8、例えば押しボタン、を有することが好ましい。
【0034】
また、制御手段7は、制御ピース9を有し、この制御ピース9は、ユーザが作動部材8を、例えば押すかまたは引くことによって作動する平板の形が好ましい。
【0035】
本発明によれば、制御ピース9は、蓋体2上で動作を変換するために載置されており、制御ピース9は、この制御ピース9の運動に対し好ましくは垂直な軸線に沿って直線的に半径方向に駆動アーム5を変換移動させるように、駆動アーム5と直接的に共働している。複数の駆動アーム5は、それらが厳格に直線的に半径方向に動くようにガイドすることが好ましい。
【0036】
押しボタンによって構成された作動部材8は、制御ピース9に固着されることが好ましい。このようにすると、ユーザが押しボタンを押すと、制御ピース9が直接変換動作し、挟持部4を動かし、駆動アーム5が、制御ピース9によって器具の周囲の方向へ押される。」

「【0038】
本発明によれば、蓋体2は、好ましくはクリップにより差込み30を取り付け可能とした少なくとも1つのボア10Aが設けられ、この差込みは、好ましくは弾性材で作られ、通路30Aに設けられている。この通路30Aには、器具内に十分な圧力が充満しているとき、漏洩のある低位置(図5参照)と、漏洩のない高位置(図6参照)との間で、自由に軸方向に滑動するようにロックバルブ部材10が取り付けられる。ロックバルブ部材10は、当業者間では周知の、器具内に圧力が充満しているという視覚情報を提供する機能をもった安全指または「引張り鉤」(pintle)によって構成することもできる。」

「【0041】
また、当業者には周知のように、本発明の家庭用料理器具は、「作動圧力」と称され実質的に一定の所定圧力で、容器内の圧力を保つように設計された制御バルブ部材13を有している。
【0042】
本発明によれば、制御ピース9は、開口部14が設けられているが、この開口部14は、挟持部4がロック位置にあるとき、ロックバルブ部材10が開口部14内で高位置を取ることを自由にするために、ロックバルブ部材10に関連して配置されており、これにより制御ピース9を正しい位置(図4)にロックする。」

「【0044】
容器内の圧力が所定の値、例えば、約0.5キロパスカル(kPa)を超える限り、ロックバルブ部材10は、高位置のままであり、制御ピース9を停止位置に保持し、これによって、駆動アーム5と共働する挟持部4をロック位置に保つ。」

「【0057】
この作動手段は、制御ピース9が、駆動アーム5を半径方向に動かす軸線に対して実質的に垂直な軸線に沿って動作するように配置されていることが好ましい。
【0058】
この作動手段は、2つのスロット20によって形成されていることが好ましいが、これらスロット20は、制御ピース9を構成するプレートの全板厚を挿通して設けられ、かつ軸Z-Z’のまわりで相互に直径方向反対側に設けられている。
【0059】
前記連結手段は、駆動アーム5に設けられ、かつその内端、すなわちZ-Z’軸近くの端部に位置する2つの突起21によって形成されることが好ましい。
【0060】
当然、器具が単一の挟持部4を有するとき、作動手段は、単一の駆動アーム5に設けられた単一の突起21と共働する単一のスロット20によって形成される。
【0061】
特に、ユーザの手がアクセスできる押しボタンである作動部材8が、引かれるかまたは押されるように作動されるとき、突起21は、作動変換している制御ピース9の影響下で、スロット20内でスライドし、これにより駆動アーム5を半径方向に動かす。このように突起21の動作は、スロット20の範囲内で自由でなく、制御ピース9の動作に従属する。」

「【0065】
各スロット20は、端部に停滞ゾーン23、24を設けることが好ましく、ロック位置およびアンロック位置のそれぞれにおいて突起21を受け入れるのに役立つ。」

「【0066】
複数の駆動アームは、弾性戻り手段でロック位置の方の連続的に圧接されるが、この弾性戻り手段は、駆動アームのそれぞれに固着又は一体に設けられた2つの柱の間に配置された、例えば、ばね(図示せず)により構成されることが好ましい。」

「【0068】
制御ピース9と共働する作動部材8は、複数の駆動アーム5を半径方向外方に能動的に動かす、すなわち、挟持部4のアンロック端部位置に達するまで挟持部4を次第に離す方向に動かすか、または、能動的に半径方向内方、すなわち、挟持部4がロック位置の方向に動かす、これは単に作動部材8を押すかまたは引くのみで達成できる。
【0069】
特許出願WO-96/01069に記載されているように、2つの異なる制御部材を使用し、蓋体をロックおよびアンロックすることも可能である。
【0070】
この場合、作動部材8は、例えば、複数の駆動アーム5を半径方向外方へ動かし、一方、蓋体2に固着されたノブ51に、軸方向に弾性的に動くように設けられた制御ボタン52は、これを軸方向に押すことによって複数の駆動アーム15を半径方向内方に動かすことができる。」

「【0073】
以下、圧力下で食品を料理する本発明の家庭用器具の作用と使用について説明する。
【0074】
容器1上に蓋体2を配置するには、挟持部4を開くため、作動部材8(押しボタン)を半径方向に押すことが必要であり、これにより、矢印F2で示す方向に、制御ピースをスライドさせ、対応するスロット20に設けられた各突起21を半径方向外方駆動することができる。
【0075】
このように作動部材8が前進すると、複数の駆動アーム5と関連する挟持部4は、次第にかつ同時に離れる。この作動は、各突起21が停滞ゾーン24(図4)に位置すると、一旦終了する。挟持部4が離間した限界位置は、スロット20の端部に当接する突起21により決定される。この方法で到達した端部位置では、蓋体2は、容器1の中心に位置される(図1)。
【0076】
挟持部がロック位置に到達することによる器具の閉鎖は、作動部材8に引くか、または、器具が制御ボタン52を備えているならば、このボタンを手で、圧力をかけるか、のどちらかで得ることができる。
【0077】
使用された制御部材とは関係なく、制御ピース9を矢印Ftで示す方向に作動変換するために動かすと、この作動変換は、第1に、求心的な半径方向移動を伴って、停滞ゾーン24から出る突起21によって達成され、これにより挟持部4を相互にロック位置(図4)に達するまで移動する。
【0078】
また、ロック位置への戻りは、2つの駆動アーム5間に配置された戻りばねにより、少なくとも部分的に達成することもできる。」

図1?4によれば、2つのスロット20が相互にハ状をなし、2つの突起21が嵌合可能であること、及び、制御バルブ部材13が蓋体2に設けられていることが見て取れる。
また、図1?図4を参照しつつ、上記【0061】、【0068】、【0074】?【0078】に記載された、作動部材8の作動によって制御ピース9と駆動アーム5を移動させる機構をまとめると、「作動部材8が押されるように作動されるとき、制御ピース9を駆動アーム5の移動方向と直交する方向に移動させ、制御ピース9は戻りばねに抗して駆動アーム5の移動方向と直交する方向に移動され、作動部材8が引かれるように作動されるとき、制御ピース9は戻りばねにより移動方向と直交する方向に後退移動される」ものといえる。

そうすると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「容器1と、蓋体2と、2つの挟持部4を有するロック/アンロック装置3を備え、
これら挟持部4は、容器1に対し蓋体2をロックし、蓋体2が容器1に固定されるロック位置と、蓋体が容器から分離されるアンロック位置との間を、駆動アーム5により蓋体2上で半径方向に移動するものであり、
駆動アーム5に複数の挟持部4が連結され、
駆動アーム5の内端に2つの突起21を設け、
平板の形の制御ピース9が、駆動アーム5を半径方向に動かす軸線に対して実質的に垂直な軸線に沿って動作するように配置され、
制御ピース9に作動部材8が固着され、
相互にハ状をなす2つのスロット20が、制御ピース9を構成するプレートの全板厚を挿通して設けられ、2つの突起21が嵌合可能であり、
複数の駆動アームをロック位置の方へ圧接する戻りばねを、駆動アームのそれぞれに固着又は一体に設けられた2つの柱の間に配置し、
作動部材8が押されるように作動されるとき、制御ピース9を駆動アーム5の移動方向と直交する方向に移動させ、制御ピース9は戻りばねに抗して駆動アーム5の移動方向と直交する方向に移動され、作動部材8が引かれるように作動されるとき、制御ピース9は戻りばねにより移動方向と直交する方向に後退移動され、
蓋体2に、低位置と、高位置との間で、自由に軸方向に滑動するロックバルブ部材10が取り付けられ、
制御ピース9に開口部14が設けられ、挟持部4がロック位置にあるとき、ロックバルブ部材10が開口部14内で高位置を取ることを自由にするために、ロックバルブ部材10に関連して配置されており、これにより制御ピース9を正しい位置にロックし、
容器内の圧力が所定の値を超える限り、ロックバルブ部材10は、高位置のままであり、制御ピース9を停止位置に保持し、これによって、駆動アーム5と共働する挟持部4をロック位置に保つようにされ、
蓋体2に、一定の所定圧力で、容器内の圧力を保つ制御バルブ部材13を有する、
圧力下で食品を料理するための調理器具。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された特表平10-511561号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「本発明は、一般的には、蓋を釜本体上にロック/ロック解除して調理容器、好ましくは圧力調理容器を形成する装置の技術分野に属するものである。」(6頁5?6行)

「制御手段50は、蓋1と一体になったグリップ51と、グリップ51内に復帰スプリング52aによって軸方向に弾性的に移動可能に装着された制御ボタン52とで構成されている。復帰スプリング52aは制御ボタン52aを図4および図6に示す上方位置に保持している。制御ボタン52はその下部に作用フィンガ53を備え、作用フィンガ53は制御ボタン52を押し込んだとき、制御デバイス56に設けた補助かみ合い面55とかみ合うようにした傾斜かみ合い面54を備えている。制御デバイス56は一定の行程に沿って蓋1上に取り付けられ、その行程の境界となる2つのストッパ間を移動するとき、駆動アーム20a,20bとかみ合うように導かれて、その半径方向の移動を制御している。」(12頁下から4行?13頁5行)

図1より、グリップ51に、制御ボタン52の下方に係合して抜け止めとなる凸部が形成されていることが見て取れ、図6より、補助かみ合い面55は、傾斜部であることが見て取れる。

これらの記載によれば、引用文献2には、圧力調理容器に関し、駆動アーム20a,20bの半径方向の移動を制御する制御デバイス56を作動させるための、次の構成が記載されていると認められる。

[構成A]グリップ51内に制御ボタン52を復帰スプリング52aによって軸方向に弾性的に移動可能に装着し、復帰スプリング52aは制御ボタン52aを上方位置に保持し、グリップ51に、制御ボタン52の抜け止めとなる凸部を形成し、制御デバイス56に傾斜部である補助かみ合い面55を設け、制御ボタン52下部の作用フィンガ53は、制御ボタン52を押し込んだとき、補助かみ合い面55とかみ合う傾斜かみ合い面54を備えた構成。

(3)引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-115487号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、該蓋体を容器本体に固定するための蓋体の半径方向に移動可能な一対の係止部材をもつ操作機構とを備えてなり、上記操作機構として、上記蓋体にカバー部材を取付けると共に該蓋体の中央部に回転盤を回転自在に配設し、該カバー部材にハンドルを固着し、該ハンドルに操作部材を往復揺動自在に設け、該操作部材の往復揺動動作により該回転盤を正逆回転させる運動変換機構を設け、該回転盤の盤面に回転盤の回転中心を境にしてそれぞれ半径方向に内方から外方へと次第に径大に延びる対向一対の略三日月溝状のスライド溝部を設け、該蓋体の上面に底板及び左右の立上板からなる断面コ状のガイド部材を設け、ガイド部材に底板及び左右の立上板からなる断面コ状の一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け、該一対の移動部材のそれぞれに上記対向一対の略三日月溝状のそれぞれのスライド溝部にスライド嵌合可能なガイドピンを設け、該一対の移動部材の外方端部に上記一対の係止部材を固定し、かつ、上記蓋体に設けられ、上記容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材及び上記移動部材に設けられ、該安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部からなる安全機構を設け、さらに、上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する調節おもりをもつ蒸気抜き弁を設けてなることを特徴とする圧力調理器。
・・・
【請求項3】
上記安全部材内に閉蓋状態における容器本体内の過大な圧力上昇時に開口して蒸気を逃がす開閉弁を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力調理器。」

「【0013】
4は操作機構であって、この場合、図2、図3、図4、図5の如く、上記蓋体2の中央部に回転盤5をボルト5a及びナット板5bにより回転自在に植設すると共に蓋体2に合成樹脂製のカバー部材7をボルト7a・7aにより取付け、カバー部材7にハンドル6をボルト6aにより固着し、 ・・・・・・ かつ、蓋体2に合成樹脂製のカバー部材7をボルト7a・7aにより取付け、かつ、蓋体2の上面に底板8a及び左右の立上板8b・8bからなる断面コ状のガイド部材8を固定し、ガイド部材8に底板9a及び左右の立上板9b・9bからなる断面コ状の一対の移動部材9・9を蓋体2の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け、一対の移動部材9・9に逃げ穴9d・9dを形成し、この一対の移動部材9・9のそれぞれに上記対向一対の略三日月溝状のそれぞれのスライド溝部5c・5cにスライド嵌合可能なガイドピン10・10を植設し、一対の移動部材9・9の外方端部に上記一対の係止部材3・3を溶接固定して構成している。」

これらの記載によれば、引用文献3には、圧力調理器に関し、次の構成が記載されていると認められる。

[構成B]蓋体にカバー部材を取付けると共に該蓋体の中央部に回転盤を配設し、該カバー部材にハンドルを固着し、該蓋体の上面に底板及び左右の立上板からなる断面コ状のガイド部材を設け、該ガイド部材に底板及び左右の立上板からなる断面コ状の一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設けた構成。

[構成C]蓋体に設けられ、容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材及び移動部材に設けられ、該安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部からなる安全機構を設け、さらに、上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する調節おもりをもつ蒸気抜き弁を設け、上記安全部材内に閉蓋状態における容器本体内の過大な圧力上昇時に開口して蒸気を逃がす開閉弁を設けた構成。

2.対比
引用発明の「容器1」、「蓋体2」は、それぞれ、本願補正発明の「容器本体」、「該容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体」に相当する。
引用発明の「容器1に対し蓋体2をロックし」「蓋体2上で半径方向に移動する」「2つの挟持部4」は、本願補正発明の「該蓋体を容器本体に固定するための蓋体の半径方向に移動可能な一対の係止部材」に相当する。
引用発明の「ロック/アンロック装置3」は、本願補正発明の「操作機構」に相当する。
引用発明の「駆動アーム5」は、本願補正発明の「移動部材」に相当し、引用発明の「ロック/アンロック装置3」の「2つの挟持部4」が、ロック位置とアンロック位置との間を「駆動アーム5により蓋体2上で半径方向に移動する」構成は、本願補正発明の「操作機構として」「一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け」た構成に相当する。
引用発明の「駆動アーム5の内端に2つの突起21を設け」は、本願補正発明の「該一対の移動部材のそれぞれの内方端部に一対のガイドロールを植設し」に相当する。
引用発明の「平板の形の制御ピース9」は、本願補正発明の「移動板」に相当し、引用発明の「平板の形の制御ピース9が、駆動アーム5を半径方向に動かす軸線に対して実質的に垂直な軸線に沿って動作するように配置され」は、本願補正発明の「移動板を上記一対の移動部材の移動方向と直交する方向に移動自在に設け」に相当する。
引用発明の「相互にハ状をなす2つのスロット20」は、本願補正発明の「相互にハ状をなす一対の斜めガイド穴」に相当し、引用発明の「相互にハ状をなす2つのスロット20が、制御ピース9を構成するプレートの全板厚を挿通して設けられ、2つの突起21が嵌合可能であり」との構成は、「作動部材8が、引かれるかまたは押されるように作動されるとき、突起21は、作動変換している制御ピース9の影響下で、スロット20内でスライドし、これにより駆動アーム5を半径方向に動か」す動作を踏まえると、本願補正発明の「該移動板に、上記一対のガイドロールにそれぞれ摺動嵌合可能な相互にハ状をなす一対の斜めガイド穴を形成し」た構成に相当する。
引用発明の「複数の駆動アームをロック位置の方へ圧接する戻りばね」は、本願補正発明の「一対の移動部材を相互に内方移動させる係止用バネ」に相当する。
引用発明の「作動部材8」は、指で操作する部材との限りで、本願補正発明の「操作部材」に相当する。
引用発明の「駆動アーム5に複数の挟持部4が連結され」は、本願補正発明の「一対の移動部材の外方端部に上記一対の係止部材を固定してなり」に相当する。
引用発明の、蓋体2に取り付けられた「低位置と、高位置との間で、自由に軸方向に滑動するロックバルブ部材10」は、「容器内の圧力が所定の値を超える限り、ロックバルブ部材10は、高位置のまま」であることも踏まえると、本願補正発明の、「蓋体に設けられ、上記容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材」に相当する。
引用発明の、制御ピース9に設けられた「開口部14」は、「挟持部4がロック位置にあるとき、ロックバルブ部材10が開口部14内で高位置を取ることを自由に」し、「容器内の圧力が所定の値を超える限り、ロックバルブ部材10は、高位置のままであり、制御ピース9を停止位置に保持し、これによって、駆動アーム5と共働する挟持部4をロック位置に保つ」機能を有することから、本願補正発明の「安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部」に相当する。
そして、上記引用発明の「ロックバルブ部材10」と「開口部14」より成る機構は、本願補正発明の「安全機構」に相当する。
引用発明の「蓋体2に、一定の所定圧力で、容器内の圧力を保つ制御バルブ部材13を有し」は、本願補正発明の「上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する」「蒸気抜き弁を設け」に相当する。
引用発明の「圧力下で食品を料理するための調理器具」は、本願補正発明の「圧力調理器」に相当する。
また、操作部材(作動部材8)の作動によって移動板(制御ピース9)と移動部材(駆動アーム5)を移動させる機構に関して、引用発明と本願補正発明とは、「操作部材の押動作により移動板を移動部材の移動方向と直交する方向に移動させ、上記操作部材への指の押動作により移動板は係止用バネに抗して移動部材の移動方向と直交する方向に移動されると共に上記操作部材への操作に応じて移動板は係止用バネにより移動方向と直交する方向に後退移動され」るとの限りで共通する。
よって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、該蓋体を容器本体に固定するための蓋体の半径方向に移動可能な一対の係止部材をもつ操作機構とを備えてなり、上記操作機構として、一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け、該一対の移動部材のそれぞれの内方端部に一対のガイドロールを植設し、移動板を上記一対の移動部材の移動方向と直交する方向に移動自在に設け、該移動板に、上記一対のガイドロールにそれぞれ摺動嵌合可能な相互にハ状をなす一対の斜めガイド穴を形成し、該一対の移動部材を相互に内方移動させる係止用バネを架設し、操作部材の押動作により移動板を移動部材の移動方向と直交する方向に移動させ、上記操作部材への指の押動作により移動板は係止用バネに抗して移動部材の移動方向と直交する方向に移動されると共に上記操作部材への操作に応じて移動板は係止用バネにより移動方向と直交する方向に後退移動され、該一対の移動部材の外方端部に上記一対の係止部材を固定してなり、かつ、上記蓋体に設けられ、上記容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材及び、該安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部からなる安全機構を設け、さらに、上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する蒸気抜き弁を設けてなる圧力調理器。」

[相違点1]
本願補正発明は、「上記蓋体にカバー部材を取付け、該カバー部材にハンドルを固着し」、「該カバー部材に」移動板を設け、「該蓋体の上面に底板及び左右の立上板からなる断面コ状のガイド部材を設け」、移動部材が「底板及び左右の立上板からなる断面コ状」であるのに対し、引用発明は、カバー部材、ハンドル、ガイド部材を備えることや、駆動アームの断面形状が明確にされていない点。

[相違点2]
係止用バネが、本願補正発明は、「一対のガイドロール間に」架設されるのに対し、引用発明は、「駆動アームのそれぞれに固着又は一体に設けられた2つの柱の間に」配置される点。

[相違点3]
操作部材(作動部材8)の作動によって移動板(制御ピース9)と移動部材(駆動アーム5)を移動させる機構に関し、本願補正発明は、「ハンドルに操作部材を押下自在に設け」「該ハンドルに収納穴部を形成し、該収納穴部に操作部材を押下自在に設け、該ハンドルに操作部材の抜止凸部を形成し」、移動板の係止用バネに抗しての移動が、操作部材の「押下」動作により「移動板の中央部に被動部を設け、被動部に押下斜面部を形成すると共に操作部材の底面に該押下斜面部に係合する被動斜面部を形成」してなる「斜面機構」の作用でなされ、移動板の係止用バネによる後退移動が、「操作部材からの指の釈放」によりなされるのに対し、引用発明は、作動部材8が押されると、制御ピース9は戻りばねに抗して移動され、作動部材8が引かれると、制御ピース9は戻りばねにより後退移動される点。

[相違点4]
本願補正発明は、係止部が「移動部材に設けられ」ているのに対し、引用発明は、開口部14が「制御ピース9に」設けられている点。

[相違点5]
本願補正発明は、蒸気抜き弁が「調節おもりをもつ」のに対し、引用発明は、制御バルブ部材13が調節おもりをもつかは明らかでない点。

[相違点6]
本願補正発明は、「安全部材内に閉蓋状態における容器本体内の過大な圧力上昇時に開口して蒸気を逃がす開閉弁を設けてなる」のに対し、引用発明は、このような開閉弁を設けていない点。

3.判断
(1)相違点1について
引用文献3に示された構成B(前記1.(3))は、相違点1に係る本願補正発明の構成に相当するものである。
そして、引用文献1には、複数の駆動アーム5が直線的に半径方向に動くようにガイドすることが好ましい旨記載されていること(【0035】)、引用文献1の図面に、カバー部材及びハンドルに相当すると思われる部材が見て取れること、引用発明も移動部材(駆動アーム5)を備えるところ、該移動部材の移動を円滑に行うための具体的構成を決定する必要があることを考慮すれば、引用発明に、引用文献3に示された上記構成Bを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び引用文献3の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
引用発明の係止用バネは、駆動アームのそれぞれに固着又は一体に設けられた2つの柱の間に配置されるものである。
ところで、引用発明の「2つの突起21」は、駆動アームのそれぞれに固着又は一体に設けられた2つの柱ということができるから、引用発明の係止用バネを、上記「2つの突起21」の間に配置することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(3)相違点3について
引用文献2の、構成A(前記1.(2))は、操作部材(制御ボタン52)の作動によって移動板(制御デバイス56)を移動させる機構に相当するものであって、構成Aの「グリップ51内に制御ボタン52を復帰スプリング52aによって軸方向に弾性的に移動可能に装着し」は、相違点3に係る本願補正発明の「ハンドルに操作部材を押下自在に設け」及び「該ハンドルに収納穴部を形成し、該収納穴部に操作部材を押下自在に設け」に相当し、以下同様に、「グリップ51に、制御ボタン52の抜け止めとなる凸部を形成し」は「該ハンドルに操作部材の抜止凸部を形成し」に相当し、「制御デバイス56に傾斜部である補助かみ合い面55を設け」は「移動板の中央部に被動部を設け、被動部に押下斜面部を形成する」に相当し、「制御ボタン52下部の作用フィンガ53は」「補助かみ合い面55とかみ合う傾斜かみ合い面54を備えた」は、「操作部材の底面に該押下斜面部に係合する被動斜面部を形成してなり」に相当し、「制御ボタン52を押し込んだとき」に補助かみ合い面55と傾斜かみ合い面54がかみ合って制御デバイス56が移動させられることは明らかであって、このことは、移動板の移動が、操作部材の「押下」動作により「斜面機構」の作用でなされることに相当する。
ここで、引用発明は、作動部材8が押されることで、制御ピース9が戻りばねに抗して移動され、蓋体2がアンロックされるものであるが、一般に、部材の移動を適宜の動作変換機構を介して行うことは慣用手段であるし、引用文献1には、蓋体のロックおよびアンロックに関して「WO96/01069」(審決注:対応する日本の公表特許公報が引用文献2である。)を参照できることや、制御ボタン52を軸方向に押すことによって複数の駆動アーム15を半径方向内方に動かす旨が記載されている(【0069】、【0070】)ことから、引用文献1には、制御ピース9と駆動アーム5を移動させる機構に関し、引用文献2の技術事項を採用することの示唆があるといえる。
さらに、引用発明は、作動部材8が引かれることで、制御ピース9が後退移動される(蓋体2がロックされる)ものであるが、引用文献1の【0065】、【0075】?【0078】の記載を参照すれば、各スロット20端部に停滞ゾーン23、24を設けなければ、作動部材8から「指を釈放」しただけで、制御ピース9は戻りばねにより後退移動することが理解でき、引用文献1に「停滞ゾーン23、24を設けることが好ましく」(【0065】)と記載されていることから、停滞ゾーンを設けることは必須でないことも理解される。
以上によれば、引用発明において、引用文献2の構成Aを採用し、かつ、停滞ゾーンを設けないことが動機付けられるといえ、停滞ゾーンを設けなければ、作動部材8から「指を釈放」しただけで制御ピース9は戻りばねにより後退移動する(蓋体2がロックされる)ことから、構成Aを、制御ピース9を戻りばねに抗して移動する(蓋体2をアンロックする)ための機構として採用することは、当業者が容易に想到し得たといえる。
なお、引用文献2には、制御ボタン52を押したときに蓋をロックすることが記載されているが、制御ボタン52を押したときに蓋をロックするかアンロックするかは、使い勝手を考慮して当業者が適宜に選択し得ることであるから、構成Aをアンロックのための機構として採用することが妨げられるものではない。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(4)相違点4?6について
引用文献3に示された構成C(前記1.(3))は、相違点4?6に係る本願補正発明の構成に相当するものである。
そして、引用発明は、ロックバルブ部材10(安全部材)と開口部14(係止部)より成る安全機構、及び、制御バルブ部材13(蒸気抜き弁)を備えるものであるから、その具体的な構成として、上記構成Cを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、相違点4?6に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び引用文献3の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

(5)まとめ
本願補正発明が、引用発明及び引用文献2、3の技術事項から予測できない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2、3の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年10月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、該蓋体を容器本体に固定するための蓋体の半径方向に移動可能な一対の係止部材をもつ操作機構とを備えてなり、上記操作機構として、上記蓋体にカバー部材を取付け、該カバー部材にハンドルを固着し、該ハンドルに操作部材を押下自在に設け、該蓋体の上面に底板及び左右の立上板からなる断面コ状のガイド部材を設け、該ガイド部材に底板及び左右の立上板からなる断面コ状の一対の移動部材を該蓋体の半径方向に相互に異方向に移動可能に設け、該一対の移動部材のそれぞれの内方端部に一対のガイドロールを植設し、該カバー部材に移動板を上記一対の移動部材の移動方向と直交する方向に移動自在に設け、該移動板に、上記一対のガイドロールにそれぞれ摺動嵌合可能な相互にハ状をなす一対の斜めガイド穴を形成し、該一対のガイドロール間に該一対の移動部材を相互に内方移動させる係止用バネを架設し、該操作部材の押下動作により該移動板を移動部材の移動方向と直交する方向に移動させる斜面機構を設け、該一対の移動部材の外方端部に上記一対の係止部材を固定し、上記蓋体に設けられ、上記容器本体の内圧の変化により上下動可能な安全部材及び上記移動部材に設けられ、該安全部材の上昇位置で移動部材の外方移動を阻止可能な係止部からなる安全機構を設け、さらに、上記蓋体に該容器本体内の圧力を調節する調節おもりをもつ蒸気抜き弁を設け、上記安全部材内に閉蓋状態における容器本体内の過大な圧力上昇時に開口して蒸気を逃がす開閉弁を設けてなることを特徴とする圧力調理器。」

第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2[理由]1.引用文献」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から「該ハンドルに収納穴部を形成し、該収納穴部に操作部材を押下自在に設け、該ハンドルに操作部材の抜止凸部を形成し」、及び、「該斜面機構として、移動板の中央部に被動部を設け、被動部に押下斜面部を形成すると共に操作部材の底面に該押下斜面部に係合する被動斜面部を形成してなり、上記操作部材への指の押下により斜面機構の作用で移動板は係止用バネに抗して移動部材の移動方向と直交する方向に移動されると共に上記操作部材からの指の釈放により移動板は係止用バネにより移動方向と直交する方向に後退移動され」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3.」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2、3の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2、3の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2、3の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-16 
結審通知日 2016-11-22 
審決日 2016-12-05 
出願番号 特願2012-153024(P2012-153024)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 佐々木 正章
紀本 孝
発明の名称 圧力調理器  
代理人 黒田 勇治  

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