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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1324287
審判番号 不服2016-5258  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-08 
確定日 2017-02-14 
事件の表示 特願2011-104363「試験測定機器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日出願公開、特開2012-233851、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年5月9日の出願であって、平成27年1月13日付けの拒絶理由の通知に対し同年7月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月1日付けで拒絶査定(同年同月8日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、平成28年4月8日に拒絶査定不服審判が請求され同時に手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本件補正の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲及び明細書を、それぞれ以下のとおり補正するものである。
(1)特許請求の範囲の補正
ア 本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成27年7月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段と、
トリガ・イベント検出器がトリガ・イベントを検出しトリガ信号を発生するために上記実時間トリガ機能指数が超えなければならないレベルを指示する第2マーカ手段と、
上記トリガ・イベント検出器の状態を示す第3マーカ手段と
を具えた実時間トリガ機能指数指示装置。
【請求項2】
被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段と、
トリガ・イベント検出器がトリガ・イベントを検出しトリガ信号を発生するために上記実時間トリガ機能指数が超えなければならないレベルを指示する第2マーカ手段と、
上記トリガ・イベント検出器の状態を示す第3マーカ手段と
を有する実時間トリガ機能指数指示装置を具えた試験測定機器。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。以下同じ。)。
「 【請求項1】
周波数マスクを用いてトリガ信号を発生させる試験測定機器であって、
被試験信号を表すデジタル・サンプルを変換して求めた周波数スペクトラムに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段と、
トリガ・イベント検出器がトリガ・イベントを検出し、上記トリガ信号を発生するために上記実時間トリガ機能指数が超えなければならないレベルを指示する第2マーカ手段と、
上記トリガ・イベント検出器の状態を示す第3マーカ手段と
を有する実時間トリガ機能指数指示装置を具え、
上記実時間トリガ機能指数は、上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの値であり、上記第2マーカ手段が指示する上記レベルは、上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの上記値に対応する上記周波数マスクの値であることを特徴とする試験測定機器。」

(2)明細書の補正
明細書の補正は、【発明の名称】について、本件補正前に「実時間トリガ機能指数指示装置及び試験測定機器」とあるのを、「試験測定機器」と補正するものである。

2 補正の目的等
本件補正による補正前後の特許請求の範囲の記載を対比して検討すると、補正前の請求項1が削除され、補正後の請求項1は補正前の請求項2に対応するものといえるから、補正前の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
そして、補正後の請求項1(補正前の請求項2)についての補正は、補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項について、「トリガ信号」の「発生」が、「周波数マスクを用いて」なされる点、「被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づ」く「実時間トリガ機能指数」の「計算」が、「被試験信号を表すデジタル・サンプルを変換して求めた周波数スペクトラムに基づいて」なされる点、及び、「前記実時間トリガ機能指数」が、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの値であり、上記第2マーカ手段が指示する上記レベルは、上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの上記値に対応する上記周波数マスクの値である」点を、それぞれ限定するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところもない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正による補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)イに記載したとおりのものである。

(2)引用例
ア 引用例1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭58-154517号(実開昭60-61663号)のマイクロフィルム(昭和60年4月30日公開。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(なお、下線は当審で付与した。以下同じ。)。
a 「本考案は、アナログの入力波形をディジタル信号に変換して記憶するとともに、記憶した波形を任意の時間スケールで読み出し、記録計などに記録するディジタル波形記録装置の改良に関するものである。更に詳しくは、入力波形をアナログ・ディジタル変換(以下、A/D変換という)して記憶する際に、入力レンジやトリガレベルを容易に設定することのできるディジタル波形記録装置に関するものである。
従来、この種の装置としては、メモリーレコーダやウエーブメモライザなどが知られている。このような装置は、波形の観測を主な目的としたもので、観測に適した大きさやタイミングで入力波形を取り込む必要がある。このため、入力波形の取り込みに際しては、A/D変換部における入力レンジや、入力波形を取り込むタイミングを決定するトリガレベルが予め最適な値に設定されていなければならない。しかしながら、このような従来の装置においては、入力波形の取り込みの前に入力レンジやトリガレベルをモニタする手段がなく、入力レンジやトリガレベルの設定は経験的な設定方法に頼らざるを得なかつた。すなわち、最初に適当な入力レンジおよびトリガレベルで入力波形を取り込み、この結果を参考にして、設定を最適な入力レンジやトリガレベルに変更する方法であり、設定作業が面倒であるとともに、効率的な波形観測を行なうことができなかった。
本考案は、上記のような従来装置の欠点をなくし、入力レンジやトリガレベルの設定を容易に行なうことのできるディジタル波形記録装置を簡単な構成により実現することを目的としたものである。
本考案のディジタル波形記録装置は、一列に配置された複数の発光素子よりなる表示手段を設け、この表示手段をA/D変換部の出力、およびトリガレベルに応じた信号で駆動することにより、A/D変換された入力信号の大きさやトリガレベルを実時間で表示し、入力レンジやトリガレベルの設定を容易にしたものである。
以下、図面を用いて本考案のディジタル波形記録装置を説明する。
第1図は本考案のディジタル波形記録装置の一実施例を示す構成図である。図において、PAは入力信号Siを任意の大きさに増幅するプリアンプ、ADはプリアンプPAを介して印加される入力信号SiをA/D変換するA/D変換部、MMはA/D変換部ADによりディジタル信号に変換された入力信号Siを記憶するメモリ、RECはメモリMMに記憶された入力信号Siを任意の時間スケールで記録する記録部、TRはA/D変換部ADのサンプリング周期やメモリMMに入力信号Siを取り込むタイミングなどを指令するトリガ回路、LSTはプリアンプPAにおける増幅度などを変え、入力レンジを設定する入力レンジ設定部、TSTはトリガ回路TRにおけるトリガレベルを設定するトリガレベル設定部である。また、DISは一列に配置された複数の発光素子よりなる表示器、CNTはA/D変換部ADの出力やトリガレベル設定部TSTにより設定されたトリガレベルに応じて表示器DISを駆動する表示コントロール部である。
このように構成されたディジタル波形記録装置は、入力信号Siを逐次ディジタル信号に変換するとともに、この入力信号Siをトリガ回路TRにより定められたタイミングでメモリMMに取り込み、任意の時間スケールで記録部RECに記録するものである。ここで、トリガ回路TRは入力信号Siの大きさがトリガレベルに達したことを検出し、その時刻を基準にして、メモリMMに入力信号Siの取り込みを指令するもので、トリガレベルを変化させることにより、入力信号Siにおける任意の波形部分を観測することが可能となる。また、図中に破線で囲んだ部分は、本考案により新たに付加された部分である。
第2図は前記第1図における表示器DISおよび表示コントロール部CNTの具体的構成の一例を示す構成図である。図において、D1?Dnは一列に配置され、表示器DISを構成する発光ダイオードである。第3図はその外観を示すもので、n個の発光ダイオードD1?Dnが入力レンジの±100%の幅を表わすように配置されている。DEは入力信号Siを受け、その大きさに応じた位置にある発光ダイオードD1?Dnを選択的に発光させるための駆動信号をSdを発生するデコーダ、M1?Mnは駆動信号Sdに応じて選択された発光ダイオードD1?Dnに残光時間を持たせるために、駆動信号Sdに一定のパルス幅を持ためるモノマルチバイブレータ、G1?Gnは駆動信号Sdと輝度変調信号Snとの論理積をとるアンドゲート、H1?HnはアンドゲートG1?Gnの出力とトリガレベル設定信号Stとの論理和をとり、抵抗R1?Rnを介して発光ダイオードD1?Dnを駆動するノアゲートである。
輝度変調信号Smは、例えば50%のデューティ比を有するパルス幅信号であり、駆動信号Sdにより選択された発光ダイオードD1?Dnがある程度暗い状態で発光するようにデューティ比が選ばれている。また、トリガレベル設定信号Stは設定されたトリガレベルをその時の入力レンジに対するパーセントで表示するもので、そのレベルに応じた発光ダイオードD1?Dnを選択的に駆動するものである。
このように構成された表示部においては、入力信号Siの大きさに対応して選択された発光ダイオードは暗く発光し、トリガレベルに対応して選択された発光ダイオードは明るく発光することになる。このため、入力信号Siの表示とトリガレベルの表示とを明確に識別することができる。また、入力信号Siの表示において、入力信号Siが直流の場合には、1つの発光ダイオードのみが発光し、交流の場合には、変化が遅ければその変化に追従して、変化が早ければその振幅に応じた幅をもつて発光することになり、入力信号Siの大きさおよびトリガレベルを実時間で表示することができる。」(明細書第2ページ第6行ないし第7ページ第17行)

(イ)よって、上記(ア)aの記載並びに図面の第1図及び第3図から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「波形の観測を主な目的とした、ディジタル波形記録装置であって、
プリアンプを介して印加される入力信号をA/D変換するA/D変換部と、トリガ回路と、トリガ回路におけるトリガレベルを設定するトリガレベル設定部と、一列に配置された複数の発光ダイオードよりなる表示器と、A/D変換部の出力やトリガレベル設定部により設定されたトリガレベルに応じて表示器を駆動する表示コントロール部と、を具備し、
トリガ回路は、入力信号の大きさがトリガレベルに達したことを検出し、その時刻を基準にして、メモリに入力信号の取り込みを指令し、
表示部においては、入力信号の大きさに対応して選択された発光ダイオードは暗く発光し、トリガレベルに対応して選択された発光ダイオードは明るく発光することになり、入力信号の大きさおよびトリガレベルを実時間で表示することができる、
ディジタル波形記録装置。」

イ 引用例2
原査定において周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平3-202782号公報(平成3年9月4日公開。以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「この発明は、波形測定器におけるトリガ状態の教示方法に係り、さらに詳しくは、メモリレコーダやストレージ形オシロスコープなどの波形測定器におけるストレージ動作中の具体的な動作状態を識別することができる波形測定器におけるトリガ状態の教示方法に関する。」(第1ページ右下欄第2ないし第7行)

b 「第1図は、この発明方法の実施に供される一例としての装置の概略構成を示すものである。
同図によれば、その全体は、波形測定の結果得られる入力信号をA/Dコンバータを介して波形データとして装置の側に取り込むための入力部12と、トリガ条件を設定するための操作部17と、この操作部17を介して設定されるトリガ条件をトリガ部13へと送出するなど、必要な演算制御を行なうCPU11と、前記入力部12を介して取り込まれた波形データとトリガ条件とを比較し、トリガ条件が成立した場合のCPU11へのトリガ信号の送出とトリガランプ14の点灯とを制御するトリガ部13と、トリガランプ14の点灯時に波形データを格納することができるストレージRAM15と、ストレージ波形を出力表示するためのプリンタやCRTなどからなる表示手段16と、トリガランブ14の点灯時のトリガ状態としての具体的な動作状態を表示することができるトリガ状態表示ランプ18などを備えて構成されている。」(第2ページ右下欄第5行ないし第3ページ左上欄第3行)

ウ 引用例3
原査定において周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-15707号公報(平成4年1月21日公開。以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「以下、この発明のロジックアナライズ機能を有するプログラマブルコントローラの一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
第1図はこの発明のプログラマブルコントローラの主要部を示すブロック線図、第2図乃至第7図はこの発明のロジックアナライズ機能を説明する説明図であり、第2図および第3図はプール代数による論理式でトリガ条件を設定する方式の説明図、第4図は信号をとりこんだCRT表示画面回、第5図および第6図はラダー図型式でトリガ条件を設定する方式の説明図、第7図はロジックアナライズ機能のフローチャートである。
この発明のプログラマブルコントローラはマルチプロセンサ方式であり、第1図において、1はシステムの管理や、表示の制御を行うメインプロセッサ(CPU)、2はシステムバス、3はラダーの制御や、機能命令の処理を行う制御用プロセッサ(CPU)、4はシステム制御プログラムを記憶するROMであるシステム制御プログラムメモリ、5は設定条件等を入力するための入力手段であるキーボード(K-B)、6はシーケンス・プログラムのラダー図等を表示する表示手段であるCRT、7はNC装置との入出力インタフェースである。
10はモニタ信号名の設定、トリガ条件の設定、モニタ信号の変化状態の格納等、ロジックアナライズシステムを制御するためのプログラムがメモリされているロジックアナライズシステム制御プログラムメモリ、11ばモニタすることを所望する信号名がメモリされるモニタ信号設定メモリ、12は前記モニタ信号にトリガをかけるためのトリガ条件がメモリされるトリガ条件設定メモリ、13はモニタ信号の2値化の状態が格納されるリング状レジスタ方式のモニタ信号状態格納メモリである。」(第3ページ右下欄第2行ないし第4ページ左上欄第16行)

b 「次に、この発明のCRT画面の表示例を用いてトリガ条件の設定方法を更に詳しく説明する。
第2図はCRT6のCRT画面であり、このCRT画面の下方にはソフトキーFaが配列されている。
CRT画面の21はトリガ条件式入力欄であり、22はトリガパーツ条件式入力欄である。このトリガパーツ条件式入力欄22にはトリガをかける接点の演算式をプール代数を用いた論理式により最大8点(第2図のトリガパーツA?H)まで入力できる。また、トリガ条件式入力欄21にはトリガパーツA?Hのプール代数を用いた論理式によりトリガ条件の演算式を入力する。
23はモニタ信号番号表示欄である。このモニタ信号番号表示欄23にはモニタすることを所望する信号の番号を最大8点まで表示できる。モニタできる信号の種類は、実入出力信号、ダミー信号、タイマー信号、M機能、カウンタ値などである。
24はステータスエリアであり、このステータスエリア24には各種サンプルステータスやサンプル時間を表示する。」(第4ページ左下欄第12行ないし右下欄第13行)

c 「次に、サンプルステータスについて、説明する。
ステータスエリアにはサンプリング中に3種類のデータが表示される。その第1はストアポインタであり、サンプリング中のストアポインタを表す。
その第2はトリガディレイであり、トリガ点以降のサンプル量を設定したディレイ設定値とその設定値よりの残数とを示す。なお、残数は設定値からゼロに向かって減少し、これがゼロになるとサンプリングが完了したことになる。
その第3はトリガ状態の表示であり、「データなし」、「トリガ待ち」、「トリガNo」、「サンプル完」の表示を行う。」(第5ページ左下欄第4ないし16行)

エ 引用例4
(ア)前置報告書に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-68550号公報(平成9年3月11日公開。以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「【0002】
【従来の技術】信号原の立ち上がり特性や、PLL(位相ロックループ)の引き込み特性を観測する場合、従来のスペクトラム・アナライザでは、観測時間が長すぎて変化を捕らえきれないので、FFT(高速フーリエ変換)方式のスペクトラム・アナライザが用いられる。しかし、観測対象の信号が観測者により制御できない場合、観測のタイミングを適正に設定するのは、困難である。観測したい周波数範囲内に他の信号が雑音成分が存在する場合、オシロスコープ等で使用される通常のレベル・トリガ機能では対応できない。そこで、リアルタイム・スペクトラム・アナライザと称する測定器の中には、周波数成分毎にトリガ・レベルと比較する動作をリアルタイムに行い、特定の周波数成分の変化に応じてトリガ信号を発生させる機能を持つものもある。
【0003】図4は、従来のリアルタイム・スペクトラム・アナライザの表示例を示す図である。入力信号をFFT演算して得た周波数領域成分信号を周波数軸(横軸)と電力軸(縦軸)とで構成された表示領域に表示している。トリガ・レベル・パターン10は、領域A及び領域Bの間の境界として表示領域をこれら2つの領域に分割している。このように電力レベルを表示領域に亘って任意に設定したトリガ・レベル・パターン10により、表示領域を領域Aと領域Bに分割し、信号成分データが全て領域Bに存在する場合に、信号成分データのうち1点のデータでも領域Aに入るものがあった時に正方向トリガを発生させる。また、信号成分データが全て領域Aに存在する場合に、信号成分データのうち1点のデータでも領域Bに入るものがあった時に負方向トリガを発生させる。このように、トリガの発生条件を定義すれば、トリガ・レベル・パターンを観測者が表示信号成分の形状を観察しながれ適宜設定することにより表示信号の特定の周波数成分における変化を捕らえることができる。」

b 「【0010】
【発明の実施の形態】図2は、本発明に係る表示例を示す図である。従来の場合と同様にトリガ・レベル・パターン10により表示領域を領域Aと領域Bの2つに分割している。今、信号成分波形12が領域Aと領域Bの両方にまたがって表示されている。この場合、信号成分波形12のメインローブの部分が小さくなって、領域Aに存在するデータ点がなくなった時に負方向トリガを発生するように設定する。このようにトリガ発生条件を定義しておけば、信号成分波形12が不安定であったり、雑音成分を含んでいても間違ってトリガが発生する確率を低減することができる。図2のトリガ・レベル・パターン10の形状は、例示であり、信号成分波形12の形状に応じてどのように変更しても良い。重要な点は、従来のように、2つの分割した領域において、一方の領域から1つのデータ点でも他方の領域に入った場合にトリガを発生するというのでなく、図2のように2つの領域にまたがって存在する信号成分波形が、一方の領域Aから完全に消失した時点でトリガを発生する点である。このようにすることにより、信号の不安定さ及び雑音成分等に影響されずに所望の現象を確実に捕らえることが可能になる。
【0011】図3は、本発明の実施の形態の一例を示すブロック図である。デジタル比較器30は、信号成分データと、トリガ・パターン・メモリ32からのトリガ・レベル・データとを比較する。このデジタル比較器30は、信号成分データ値がトリガ・レベル・データ値を超えると論理1を出力し、超えなければ論理0を出力する。デジタル比較器30の出力データは、ラッチ手段34にラッチされる。CPU36は、フレーム同期信号に応じてラッチ34の内容を読み出し、その後クリア信号をラッチ34に供給してラッチ34の内容をクリアする。このデータの読み出し及びクリア動作は、フレームの終了から次のフレームの開始までの期間中に実行される。正方向トリガ・モードに設定されている場合には、ラッチ34の内容が論理1であれば、表示領域に表示された信号成分波形が領域A(図2参照)に存在することを意味するので、正方向トリガを発生する。他方、負方向トリガ・モードに設定されている場合には、ラッチ34の出力が論理0のままであれば、領域Aに信号成分波形データが1つも存在しないので、負方向トリガを発生する。このように、ラッチ34の内容を検出することにより、正方向トリガ及び負方向トリガの何れをも発生させることができる。このシステムでは、検出用のラッチ34をデジタル比較器30とCPU36との間に介在させるという極めて簡単な構成で正負両極性のトリガを発生するという機能を達成している。」

(イ)よって、上記(ア)a及びbの記載並びに図面の図2及び図4から、引用例4には、次の技術が記載されていると認められる。
「周波数成分毎にトリガ・レベルと比較する動作をリアルタイムに行い特定の周波数成分の変化に応じてトリガ信号を発生させる機能を有する、リアルタイム・スペクトラム・アナライザであって、入力信号をFFT演算して得た周波数領域成分信号を周波数軸(横軸)と電力軸(縦軸)とで構成された表示領域に表示するとともに電力レベルを表示領域に亘って任意に設定したトリガ・レベル・パターンにより表示領域を領域Aと領域Bに分割し、一方の領域に全て存在していた信号成分データのうち1点のデータでも他方の領域に入るものがあった時にトリガを発生させるか、又は、2つの領域にまたがって存在する信号成分波形が一方の領域から完全に消失した時点でトリガを発生させる」技術。

オ 引用例5
(ア)前置報告書に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-38866号公報(平成18年2月9日公開。以下、「引用例5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「【背景技術】
【0002】
時間経過に沿ったスペクトル情報の表示は、しばしば、「スペクトログラム」と呼ばれる。このスペクトログラムにおいて、一方の軸が周波数を表し、他方の軸が時間を表す。スペクトルの大きさは、しばしば、カラー(色)で表されるか、又は、明度の変化(グレー・スケール)で表される。現在市販のスペクトラム・アナライザのいくつかは、スペクトログラム表示機能を具えているが、これらスペクトラム・アナライザには、テクトロニクス社製WCA200、WCA300、RSA2200及びRSA3300型実時間スペクトラム・アナライザがある。このスペクトログラムは、例えば、米国特許第4870348号公報(特開平2-36364号公報に対応)の図2に示されている。上述の実時間スペクトラム・アナライザは、データのシームレスなブロックを捕捉し、後で処理を行う。また、実時間スペクトラム・アナライザは、従来の掃引型スペクトラム・アナライザと異なり、ブロック内のデータが逃したり失ったりすることがない。このデータに対して行うことができる機能の1つは、周波数マスク・トリガと呼ばれる機能である。WCA200型実時間スペクトラム・アナライザの場合、このトリガを専用高速フーリエ変換(FFT)プロセッサにより実現している。このFFTプロセッサは、受信システムが供給する実時間データに対して作用する。ユーザが定義した周波数マスクを違反した場合、データの予め定めたブロックを蓄積するが、この蓄積されるブロックは、周波数マスクを違反した特定事象の付近に生じた情報を含んでいる。これらブロックは、プリトリガ・データと呼ばれる特定事象前のデータと、ポストトリガ・データと呼ばれる特定事象後のデータである。FFTプロセッサが計算した各スペクトルと所定マスクとを比較することにより、周波数マスク・トリガが機能する。この方法において、スペクトラム・アナライザは、特定の単一事象が生じるのを待つ。」

b 「【実施例】
【0009】
本発明の理解を助けるため、従来技術を更に説明する。図1は、入力信号のスペクトルに適用された周波数マスクの一例である。図示のように、周波数マスクが周波数領域での範囲を定めるが、この範囲の大きさ及び周波数の境界が、有効信号範囲又は無効信号範囲のいずれかを定める。この例において、斜線で示す周波数マスクは、2個の矩形の形式であり、これら矩形の間の空間により周波数領域における無効信号範囲(周波数マスク・トリガが発生しない範囲)を定める。信号のキャリア周波数が一方の方向か他方の方向に大幅にドリフトするか、又は、キャリア周波数の付近でスプリアス側波帯か又は相互変調信号が発生すると、その結果のスペクトルが周波数マスク範囲を横切る周波数成分を有することとなり、周波数マスク・トリガ信号が発生する。
【0010】
本発明の理解を更に助けるため、従来技術による実時間スペクトラム・アナライザの基本的なブロック図である図2を参照する。関心のある信号が取込みシステム12に入力する。この取込みシステム12は、好ましくは、広い帯域幅をカバーする。取込みシステム12は、デジタル・データのストリームの形式で時間領域信号を発生する。高速フーリエ変換(FFT)モジュール14は、デジタル・データを処理し、特定の時間間隔の間にてスペクトル形式の周波数領域信号を発生する。多数の時間間隔にわたるこの信号のスペクトルを表示プロセッサ16が処理して、適切な表示器18にスペクトログラムの形式で表示を行う。このスペクトログラムの形式は、例えば、上述の米国特許第4870348号に記載されている。各スペクトルは、トリガ発生器20に入力し、周波数マスクFMと比較される。この比較結果に応じて、周波数マスク・トリガが発生し、取込みシステム12は、デジタル・データ・ストリームからトリガ事象の周囲のデジタル・データのブロックをランダム・アクセス・メモリ(RAM)の如き適切な蓄積装置22に蓄積する。デジタル信号プロセッサ(DSP)24が蓄積データを処理して、その結果が表示プロセッサ16に供給されて、表示器18に表示される。
【0011】
図3は、本発明を説明するための図であり、繰り返しの周波数マスクを示す。この図3では、本発明により、ある期間にわたって周波数マスクを繰り返して、より複雑な周波数事象を検出できるようにしている。この場合、必要条件は、関心のある信号のキャリアが、数個の時間インターバル中に、特定の周波数範囲の境界内に残ることである。この期間内で、周波数マスクにより定められた上述の境界からキャリア信号が任意の変動により外れたときに、又は、その期間内で、任意の他のスプリアス周波数信号が周波数マスクに違反したときに、トリガ信号を発生する。この代わりに、その信号が周波数変化しない場合、かかる繰り返しの周波数マスクを用いて、特定期間にわたって信号が指定周波数範囲に生じたことを識別して、トリガ信号を発生してもよい。」

(イ)よって、上記(ア)a及びbの記載並びに図面の図1から、引用例5には、次の技術が記載されていると認められる。
「時間経過に沿ったスペクトル情報の表示を行うスペクトログラム表示機能を具えた実時間スペクトラム・アナライザにおいて、周波数マスク・トリガの機能を有し、FFTプロセッサが計算した各スペクトルと所定マスクとを比較し、スペクトルが周波数領域でのマスク範囲を横切る周波数成分を有することとなった場合に周波数マスク・トリガ信号が発生する」技術。

(3)対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「トリガ回路は、入力信号の大きさがトリガレベルに達したことを検出し、その時刻を基準にして、メモリに入力信号の取り込みを指令」するものであるところ、引用発明1の「波形の観測を主な目的とした、ディジタル波形記録装置」が「具備」する「トリガ回路」において、「入力信号の大きさがトリガレベルに達したことを検出し」たことにより「メモリに入力信号の取り込みを指令」するための信号、すなわちトリガ信号が発生していることは、明らかである。
したがって、引用発明1の「波形の観測を主な目的とした、ディジタル波形記録装置」と、本件補正発明の「周波数マスクを用いてトリガ信号を発生させる試験測定機器」とは、「トリガ信号を発生させる試験測定機器」である点で共通する。

(イ)引用発明1の「入力信号」は、本件補正発明の「被試験信号」に相当するから、引用発明1の「プリアンプを介して印加される入力信号をA/D変換するA/D変換部」「の出力」は、本件補正発明の「被試験信号を表すデジタル・サンプル」に相当する。
そして、引用発明1において、「表示コントロール部」が、「プリアンプを介して印加される入力信号をA/D変換するA/D変換部」「の出力」「に応じて」「一列に配置された複数の発光ダイオードよりなる表示器」「を駆動する」ことにより、「表示部においては、入力信号の大きさに対応して選択された発光ダイオードは暗く発光し」て「入力信号の大きさ」「を実時間で表示することができる」のであるから、引用発明1の「表示器」における、「入力信号の大きさに対応して選択され」て「暗く発光」する「発光ダイオード」は、「プリアンプを介して印加される入力信号をA/D変換するA/D変換部」「の出力」「に応じて」計算された指数を、「実時間で表示する」ものといえる。ここで、引用発明1において、「トリガ回路は、入力信号の大きさがトリガレベルに達したことを検出」するから、「入力信号の大きさに対応して選択され」て「暗く発光」する「発光ダイオード」によって「実時間で表示」される当該指数が、「トリガ」の機能に関連した指数であることも、明らかである。
したがって、引用発明1の「表示器」における、「入力信号の大きさに対応して選択され」て「暗く発光」する「発光ダイオード」と、本件補正発明の「実時間トリガ機能指数指示装置」における、「被試験信号を表すデジタル・サンプルを変換して求めた周波数スペクトラムに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段」とは、「実時間トリガ機能指数指示装置」における、「被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段」である点で共通する。

(ウ)引用発明1の「トリガ回路」及び「入力信号の大きさがトリガレベルに達したこと」は、本件補正発明の「トリガ・イベント検出器」及び「トリガ・イベント」にそれぞれ相当する。
また、引用発明1の「トリガ回路」においては、「入力信号の大きさがトリガレベルに達したことを検出し」たことにより「メモリに入力信号の取り込みを指令」するためのトリガ信号が発生するのである(上記(ア))から、引用発明1における、「トリガレベル設定部」により「設定」される「トリガ回路におけるトリガレベル」は、トリガ信号が発生するために「入力信号の大きさが」超えなければならないレベルということができる。
そして、引用発明1において、「表示コントロール部」が、「トリガレベル設定部により設定されたトリガレベルに応じて」「一列に配置された複数の発光ダイオードよりなる表示器」「を駆動する」ことにより、「表示部においては、」「トリガレベルに対応して選択された発光ダイオードは明るく発光」して「トリガレベルを実時間で表示することができる」のであるから、上記(イ)を踏まえれば、引用発明1の「表示器」における、「トリガレベルに対応して選択され」て「明るく発光する」「発光ダイオード」は、「プリアンプを介して印加される入力信号をA/D変換するA/D変換部」「の出力」「に応じて」計算された指数(「入力信号の大きさに対応して選択され」て「暗く発光」する「発光ダイオード」によって「実時間で表示」される指数)が、超えなければならないレベルを「表示する」ものといえる。
したがって、引用発明1の「表示器」における、「トリガレベルに対応して選択され」て「明るく発光する」「発光ダイオード」は、本件補正発明の「実時間トリガ機能指数指示装置」における、「トリガ・イベント検出器がトリガ・イベントを検出し、上記トリガ信号を発生するために上記実時間トリガ機能指数が超えなければならないレベルを指示する第2マーカ手段」に相当する。

イ 上記ア(ア)ないし(ウ)から、本件補正発明と引用発明1とは、
「トリガ信号を発生させる試験測定機器であって、
被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づいて計算した実時間トリガ機能指数を指示する第1マーカ手段と、
トリガ・イベント検出器がトリガ・イベントを検出し、上記トリガ信号を発生するために上記実時間トリガ機能指数が超えなければならないレベルを指示する第2マーカ手段と、
を有する実時間トリガ機能指数指示装置を具える試験測定機器。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
トリガ信号の発生が、本件補正発明では、「周波数マスクを用いて」なされるのに対し、
引用発明1では、「周波数マスク」について特定がない点。

(相違点2)
第1マーカ手段により指示される、被試験信号を表すデジタル・サンプルに基づいて計算した実時間トリガ機能指数が、本件補正発明では、「被試験信号を表すデジタル・サンプルを変換して求めた周波数スペクトラムに基づいて計算」されるものであって、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの値であ」るの対し、
引用発明1では、そのような点について特定がない点。

(相違点3)
第2マーカ手段が指示するレベルが、本件補正発明では、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの上記値に対応する上記周波数マスクの値である」のに対し、
引用発明1では、そのような点について特定がない点。

(相違点4)
本件補正発明の「実時間トリガ機能指数指示装置」では、「上記トリガ・イベント検出器の状態を示す第3マーカ手段」「を有する」のに対し、
引用発明1の「表示器」では、「トリガ回路」の状態を示す手段について特定がない点。

相違点の判断
上記相違点1ないし3については、技術的なつながりを考慮し、まとめて検討する。
一般に、試験測定機器において、被試験信号の周波数スペクトラムを実時間で求めるとともに、周波数マスクを用いてトリガ信号を発生させることは、例えば、引用例4(上記(2)エ(イ))、引用例5(上記(2)オ(イ))に示されているように、周知の技術である。しかしながら、そのように周波数スペクトラムを求め周波数マスクを用いてトリガ信号を発生させる場合にあって、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの値であ」る実時間トリガ機能指数と、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの上記値に対応する上記周波数マスクの値である」レベルの双方を指示する点については、引用例2ないし5のいずれにも記載されておらず、周知技術であったともいえないから、引用発明1において、たとえ引用例2ないし5に記載された技術的事項及び周知技術を考慮したとしても、本件補正発明の上記相違点1ないし3に係る構成とすることは、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。

エ したがって、上記相違点4については検討するまでもなく、本件補正発明は、引用発明1、引用例2ないし5に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

オ なお、引用例4又は5に記載された発明を主たる引用発明として本件補正発明と対比し検討しても、両者は上記相違点2及び3と同様の相違点を有することになるところ、周波数スペクトラムを求め周波数マスクを用いてトリガ信号を発生させる場合にあって、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの値であ」る実時間トリガ機能指数と、「上記周波数マスクに最も近い上記周波数スペクトラムの上記値に対応する上記周波数マスクの値である」レベルの双方を指示する点が、他の引用例のいずれにも記載されておらず、周知技術であったともいえない以上は、本件補正発明の当該相違点に係る構成について当業者が容易になしえたことであるとはいえない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。
また、本件補正発明について、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

4 まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記「第2」のとおり特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものである。
そして、上記「第2」3で検討したとおり、本願の請求項1に係る発明(本件補正発明)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-01-30 
出願番号 特願2011-104363(P2011-104363)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 續山 浩二  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
大和田 有軌
発明の名称 試験測定機器  
代理人 特許業務法人山口国際特許事務所  

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