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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1324549
審判番号 不服2016-7700  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-26 
確定日 2017-02-21 
事件の表示 特願2012-119213「立体画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月9日出願公開、特開2013-246267、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月25日の出願であって、平成27年12月4日付けの拒絶理由の通知に対し平成28年2月1日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月30日付けで拒絶査定(同年4月5日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年5月26日に拒絶査定不服審判が請求され同時に手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出され、同年7月26日に上申書が提出されたものである。

第2 本件補正の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲及び明細書を、それぞれ以下のとおり補正するものである。
(1)特許請求の範囲の補正
ア 本件補正前の特許請求の範囲の記載
(ア)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の、平成28年2月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
立体画像信号に基づいて液晶パネル画面の上部から下部へと順次水平走査されることで、前記立体画像信号の階調に応じて光の透過率を変化させる液晶パネル部と、
前記液晶パネル部の背面側に設けられ、光源部からの光を受けて拡散し均一な面光源とする導光部と、
前記導光部の発する光の光強度を検出する光検出部と、
前記光検出部の光検出値と予め設定された基準光検出値とが等しくなるように前記光源部の発光強度値を制御する光源制御部と、を備え、
前記光源部は、前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応して設けられた複数のバックライトを含み、
前記複数のバックライトは、
前記発光強度値に基づいて発光強度が制御され、発光駆動信号により点灯および消灯が制御され、
前記発光駆動信号は、前記立体画像信号に同期して前記複数のバックライトを順次点灯させ、かつ、所定のタイミングで前記複数のバックライトを前記液晶パネル画面の全面で一斉に点灯させるように構成されると共に、前記立体画像信号の画像情報に基づいて前記複数のバックライトの発光期間を個々に制御するように構成され、
前記光検出部は、
光検出ゲート信号に基づいて、前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで検出動作を行うように制御されることを特徴とする立体画像表示装置。」

(イ)本件補正前の請求項2ないし11の記載
本件補正前の、出願当初の特許請求の範囲の請求項2ないし11の記載は、次のとおりである(請求項2ないし11については、平成28年2月1日付け手続補正書により補正がなされていない。)。
「【請求項2】
前記立体画像信号の画像情報は、輝度情報から取得される画像輝度情報を含み、
前記画像輝度情報は、
前記輝度情報から求められる、前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応する平均輝度と、前記液晶パネル画面に表示される画像全体の平均輝度との差分値で規定される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記立体画像信号に基づいて前記液晶パネル画面に表示される画像を視認する際に使用され、左眼および右眼のシャッターを交互に透過、非透過に切り換えることで、前記画像が擬似的に立体画像として見えるシャッターメガネ部を備え、
前記シャッターメガネ部は、
シャッター切換信号によって前記左眼および右眼のシャッターが透過、非透過に切り換えられ、
前記シャッター切換信号は、
前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで前記左眼および右眼のシャッターを共に非透過とするように構成される、請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記発光駆動信号は、
前記立体画像信号に同期した画像同期信号または画像有効信号を基準としてタイミングが設定される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記光検出部は、
前記導光部と前記液晶パネル部との間の任意の位置に配設される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記立体画像信号は、
2視点で捉えられた左眼画像と右眼画像が時分割で与えられ、両者がペアとなるように並べられた画像信号を2倍のフレーム周波数に変換し、前記左眼画像と前記右眼画像との間に黒画像を挿入して構成される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記立体画像信号は、
2視点で捉えられた左眼画像と右眼画像が時分割で与えられ、両者がペアとなるように並べられた画像信号を2倍のフレーム周波数に変換し、同じ画像が連続して2度表示されるように構成される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記複数のバックライトを一斉に点灯させる前記発光駆動信号、前記光検出ゲート信号および前記シャッター切換信号と、前記光源制御部における前記光検出部での前記光検出値と前記基準光検出値とが等しくなるように前記発光強度値を制御する動作は、毎フレームごと、または所定間隔を置いて与えられ、実行される、請求項3記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
前記光源制御部は、
時間の経過と共に、前記基準光検出値を徐々に下げる制御を行う、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項10】
前記光源制御部は、
前記光源部に与える初期値としての基準発光強度値を、バックライト温度および経過時間の条件ごとに記録保持する、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項11】
前記光源制御部は、前記光源部を消灯した時点での最終発光強度値を記録保持し、前記光源部に与える初期値とする、請求項1記載の立体画像表示装置。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。以下同じ。)。
「 【請求項1】
立体画像信号に基づいて液晶パネル画面の上部から下部へと順次水平走査されることで、前記立体画像信号の階調に応じて光の透過率を変化させる液晶パネル部と、
前記液晶パネル部の背面側に設けられ、光源部からの光を受けて拡散し均一な面光源とする導光部と、
前記導光部の発する光の光強度を検出する光検出部と、
前記光検出部の光検出値と予め設定された基準光検出値とが等しくなるように前記光源部の発光強度値を制御する光源制御部と、を備え、
前記光源部は、前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応して設けられた複数のバックライトを含み、
前記複数のバックライトは、
前記発光強度値に基づいて発光強度が制御され、発光駆動信号により点灯および消灯が制御され、
前記発光駆動信号は、前記立体画像信号に同期して前記複数のバックライトを順次点灯させ、かつ、所定のタイミングで前記複数のバックライトを前記液晶パネル画面の全面で一斉に点灯させるように構成されると共に、前記立体画像信号の画像情報に基づいて前記複数のバックライトの発光期間を個々に制御するように構成され、
前記光検出部は、
前記導光部と前記液晶パネル部との間の任意の位置に配設され、
光検出ゲート信号に基づいて、前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで検出動作を行うように制御されることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記立体画像信号の画像情報は、輝度情報から取得される画像輝度情報を含み、
前記画像輝度情報は、
前記輝度情報から求められる、前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応する平均輝度と、前記液晶パネル画面に表示される画像全体の平均輝度との差分値で規定される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記立体画像信号に基づいて前記液晶パネル画面に表示される画像を視認する際に使用され、左眼および右眼のシャッターを交互に透過、非透過に切り換えることで、前記画像が擬似的に立体画像として見えるシャッターメガネ部を備え、
前記シャッターメガネ部は、
シャッター切換信号によって前記左眼および右眼のシャッターが透過、非透過に切り換えられ、
前記シャッター切換信号は、
前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで前記左眼および右眼のシャッターを共に非透過とするように構成される、請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記発光駆動信号は、
前記立体画像信号に同期した画像同期信号または画像有効信号を基準としてタイミングが設定される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記立体画像信号は、
2視点で捉えられた左眼画像と右眼画像が時分割で与えられ、両者がペアとなるように並べられた画像信号を2倍のフレーム周波数に変換し、前記左眼画像と前記右眼画像との間に黒画像を挿入して構成される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記立体画像信号は、
2視点で捉えられた左眼画像と右眼画像が時分割で与えられ、両者がペアとなるように並べられた画像信号を2倍のフレーム周波数に変換し、同じ画像が連続して2度表示されるように構成される、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記複数のバックライトを一斉に点灯させる前記発光駆動信号、前記光検出ゲート信号および前記シャッター切換信号と、前記光源制御部における前記光検出部での前記光検出値と前記基準光検出値とが等しくなるように前記発光強度値を制御する動作は、毎フレームごと、または所定間隔を置いて与えられ、実行される、請求項3記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記光源制御部は、
時間の経過と共に、前記基準光検出値を徐々に下げる制御を行う、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
前記光源制御部は、
前記光源部に与える初期値としての基準発光強度値を、バックライト温度および経過時間の条件ごとに記録保持する、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項10】
前記光源制御部は、
前記光源部を消灯した時点での最終発光強度値を記録保持し、前記光源部に与える初期値とする、請求項1記載の立体画像表示装置。」

(2)明細書の補正
明細書の補正は、【0011】について、本件補正前に「・・・前記光検出部は、光検出ゲート信号に基づいて、前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで検出動作を行うように制御される。」とあるのを、「・・・前記光検出部は、前記導光部と前記液晶パネル部との間の任意の位置に配設され、光検出ゲート信号に基づいて、前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで検出動作を行うように制御される。」と補正するものである。

2 補正の適否
本件補正による補正前後の特許請求の範囲の記載を対比して検討すると、補正前の請求項1が削除され、補正後の請求項1は補正前の請求項5を独立形式に書き下したものといえるから、これらの請求項についての補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
一方で、補正後の請求項2ないし10は、それぞれ、補正前の請求項2ないし4及び6ないし11に対応するところ、これらの請求項についての補正は、それぞれの請求項が直接又は間接的に引用している請求項1の記載が補正されたことにより結果的に、補正前の各請求項に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記光検出部」について「前記導光部と前記液晶パネル部との間の任意の位置に配設され」た点を限定するものであって、補正前の各請求項に記載された発明と補正後の各請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正による補正後の請求項2ないし10に記載されている事項により特定される発明については、後述(下記「第3」)のとおり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえず、他にも特許出願の際独立して特許を受けることができないというべき理由は発見しないから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところもない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記「第2」のとおり特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するので、本願の請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」等という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されたとおりの、上記「第2」1(1)イに記載したとおりのものである。

2 原査定の理由の概要
(1)原査定の拒絶理由は、概略、本願の請求項1ないし11に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであり、引用された文献は次のとおりである。
1.特開2011-215345号公報
(以下、「引用文献1」という。)
2.特開2007-141813号公報
(以下、「引用文献2」という。)
3.国際公開第2011/142141号
(以下、「引用文献3」という。)
4.特開2011-139336号公報
(以下、「引用文献4」という。)
5.特開2007-156157号公報
(以下、「引用文献5」という。)
なお、引用文献1、4及び5は、いずれも周知技術を示す文献として引用されたものである。

(2)請求項1ないし6及び8に係る発明についての具体的な拒絶理由は、次のとおりである。
液晶パネル部、導光部、複数のバックライトを有し、画像の走査と立体画像信号の映像情報とに基づいて該複数のバックライトの発光期間を個々に制御する立体映像表示装置は周知のものであり、たとえば引用文献1(特に、段落0012-0090について参照)に記載されている。
光検出部、および光源制御部を有し、光検出値と基準値とが等しくなるように光源の発光強度値を制御すること、所定のタイミングで複数のバックライトを一斉に点灯し、該一斉点灯期間に検出動作を行うことは、引用文献2(特に、段落0015-0036について参照)に記載されている。
映像の表示に寄与しない、バックライトの一斉点灯期間にシャッターメガネを非透過とすることは、引用文献3(特に、段落0030-0032,0081-0090について参照)に記載されている。
そして、これら公知の検出・制御手段、メガネ制御手段を引用文献1に記載の発明に適用して請求項1ないし6及び8に係る発明のように構成することは、当業者が容易に想到しうることであると認められる。

3 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば表示パネル等にバックライトからの照明光を照射して映像の表示を行なう映像表示装置及び映像表示方法の改良に関する。」

(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するデジタルテレビジョン放送受信装置11の信号処理系を概略的に示している。すなわち、アンテナ12で受信したデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子13を介してチューナ部14に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0013】
そして、このチューナ部14で選局された放送信号は、復調復号部15に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号等に復元された後、信号処理部16に出力される。この信号処理部16は、復調復号部15から供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対してそれぞれ所定のデジタル信号処理を施している。そして、この信号処理部16は、デジタルの映像信号をグラフィック処理部17に出力し、デジタルの音声信号を音声処理部18に出力している。
【0014】
このうち、グラフィック処理部17は、信号処理部16から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号生成部19で生成されるOSD信号を重畳して出力している。そして、グラフィック処理部17から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部20に供給される。
【0015】
この映像処理部20は、入力されたデジタルの映像信号を、後段の、例えば液晶表示パネル等を有する平面型の映像表示部21で表示可能なフォーマットのアナログ映像信号に変換している。そして、この映像処理部20から出力されたアナログ映像信号が、映像表示部21に供給されて映像表示に供される。」

(ウ)「【0029】
図2は、上記映像表示部21の一例を示している。この映像表示部21は、詳細は後述するが、上記映像処理部20から出力された映像信号を、液晶表示パネル制御部38を介して液晶表示パネル39への書き込みに供するとともに、点灯値算出部40,点灯値変換処理部41及び点灯制御部42を介してバックライト43の点灯制御に供している。
【0030】
このうち、液晶表示パネル39は、図3に示すように、それぞれが液晶セルでなる複数の画素44を、水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配列することにより構成されている。この場合、液晶表示パネル39のパネル面は、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のエリア45に分割されている。この各エリア45は、それぞれが、水平方向にn個、垂直方向にm個でなる複数(n×m個)の画素44を含んでいる。
【0031】
そして、上記液晶表示パネル制御部38は、入力端子37に供給された映像信号を、上記液晶表示パネル39を構成している各画素44に、1水平ライン単位で順次書き込ませることによって、液晶表示パネル39の各画素44に1画面(1フレーム)分の表示映像を形成するように制御している。
【0032】
また、上記バックライト43は、図4に示すように、上記液晶表示パネル39の各エリア45に対応させた、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のブロック46をマトリクス状に配列する構成となされている。これらのブロック46には、それぞれ、例えばLED(light emitting diode)等でなる複数の光源47aで構成された光源ユニット47が備えられている。
【0033】
より具体的に言えば、バックライト43は、図5に示すように、白色LEDアレイ等でなる複数の光源47aで構成された光源ユニット47を、各ブロック46にそれぞれ設置し、それぞれの光源ユニット47を反射板48で覆い、各反射板48の光の照射面に拡散板49を配置することにより、ブロック46単位で均一な光照射が行なえるようにしている。
【0034】
そして、このバックライト43は、上記液晶表示パネル39の背面側に置かれ、液晶表示パネル39にその背面側から光を照射して映像表示を行なわせている。この場合、このバックライト43は、光源ユニット47毎にその点灯時間をそれぞれ独立に制御することが可能となっている。」

(エ)「【0051】
そこで、この実施の形態では、上記した点灯値算出部40,点灯値変換処理部41及び点灯制御部42を用いることにより、液晶表示パネル39の入力映像に対する輝度応答特性がより好適となるタイミングで、バックライト43を構成する各光源47の点灯制御を行ない、残像の低減された良好な表示映像を得ることができるようにしている。
【0052】
すなわち、図8(a)?(d)は、それぞれ縦軸が画面の垂直方向を示し、横軸が時間の経過を示している。図8(a)?(d)における上下方向は、液晶表示パネル39の上下方向に対応している。
【0053】
図8(a)は、液晶表示パネル39上で所定の画素44の出力する映像を示している。図8(a)において、垂直方向に配列された複数(図示の場合は8つ)の単位は、液晶表示パネル39上で垂直方向に配列された複数(m×k個)の画素44を、同じ所定の個数ずつに分割した画素44を示し、水平方向に配列された単位は、時間経過に沿った時刻毎の画素44を示している。
【0054】
つまり、垂直方向に配列された単位は、垂直方向に同じ所定の個数ずつに分割された画素44が同時刻に出力する映像を示しており、水平方向に配列された単位は、同じ画素44が異なる時刻に出力する映像(時間経過による出力映像変化)を示している。
【0055】
上記液晶表示パネル39においては、各画素44への映像信号の書き込みに応じて、画面の上方から下方に向けて1水平ライン単位で各画素44の映像が順次更新されるため、垂直方向に配列された画素44の映像が変化する時間は、上方より下方に向けて少しずつ遅くなっていく。最下方の画素の映像が変化したとき、映像の1フレームが上から下まで全て表示されたこととなる。
【0056】
図8(b)は、所定の光源ユニット47の点滅状態を示している。図8(b)において、垂直方向に配列された複数(図示の場合は8つ)の単位は、図8(a)に示す垂直方向に配列されたそれぞれの単位毎の画素44に光を照射する光源ユニット47を示し、水平方向に配列された単位は、時間経過に沿った時刻毎の光源ユニット47を示している。
【0057】
つまり、垂直方向に配列された単位は、図8(a)に示す垂直方向に配列されたそれぞれの単位毎の画素44に光を照射する光源ユニット47の同時刻における点滅状態を示しており、水平方向に配列された単位は、同じ光源ユニット47の異なる時刻における点滅状態(時間経過による点滅状態の変化)を示している。
【0058】
バックライト43の各光源ユニット47は、図8(b)に示すように、液晶表示パネル39上における映像の出力タイミングに同期して順次点灯される。すなわち、画面上で垂直方向に配列された一列の各ブロック46の光源ユニット47についてみると、画面の上方から下方に向けて点灯開始タイミングが一定時間ずつずれることになる。
【0059】
このため、この実施の形態における残像低減のための点灯時刻制御を行なわないときのバックライトの点灯制御動作では、図8(b)に示すように、液晶表示パネル39上における映像の出力タイミングに同期して、バックライト43の各光源ユニット47が点灯されるので、映像表示部21からは、残像の多い映像が表示されてしまうことになる。
【0060】
これに対し、この実施の形態では、まず、上記点灯値算出部40が、映像処理部20から供給された映像信号に基づいて、上記バックライト43の分割された各ブロック46別の点灯値を算出している。図8(b)の例では、水平方向の長さと光源ユニット47の点灯時間とが対応しており、画面の上方から下方に向けて点灯値は、2,2,2,1,2,3,1,4となっている。
【0061】
そして、この点灯値算出部40で算出された各ブロック46別の点灯値は、点灯値変換処理部41に供給される。この点灯値変換処理部41は、入力された点灯値に基づいて、各ブロック46別の点灯時間を算出し、点灯制御部42に出力している。この点灯制御部42は、入力された点灯時間に基づいて、1フレームの表示期間中で一番長く点灯しているブロック46を判別し、そのブロック46の消灯されるタイミングが、同じ1フレームの映像の表示が終了されるタイミングと一致するように、当該ブロック46の点灯開始時点を遅らせている。また、このブロック46の点灯開始時点の遅延と同量だけ、他の全てのブロック46についても、それらの点灯開始時点を遅延させている。
【0062】
すなわち、図8(b)の例では、画面の最下段のブロック46が点灯値4であり、点灯時間が最も長い、つまり、1フレームの表示期間中で一番長く点灯しているため、その最下段のブロック46の消灯されるタイミングを、同じ1フレーム出力期間の終了されるタイミングと一致させるべく、図8(c)に示すように、全ブロック46の点灯開始時点を時間t2だけ遅らせている。これにより、上記映像表示部21からは、図8(d)に示すように、光源ユニット47の点灯しているブロック46に対応する液晶表示パネル39の映像が表示されるようになる。
【0063】
ここで、図9は、所定の画素44の輝度変化と、この画素44に光を照射する光源ユニット47の点滅状態との関係を示している。すなわち、図9(a)は、所定の画素44に光を照射する光源ユニット47の画素44毎の点灯及び消灯状態の変化を示している。
【0064】
すなわち、各フレーム出力期間において一番長く点灯している光源ユニット47について、その消灯時点をフレーム出力期間の終了されるタイミングと一致させるように、点灯開始時点を遅らせている。
【0065】
なお、各光源ユニット47の点灯時間は、入力映像信号の輝度レベルに応じて決定される。すなわち、液晶表示パネル39上における表示映像の暗いエリア45に対応する光源ユニット47の点灯時間は短く設定され、液晶表示パネル39上における表示映像の明るいエリア45に対応する光源ユニット47の点灯時間は長く設定される。」

(オ)「【0075】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図12は、立体視映像表示部50の信号処理系を示している。図12において、図2と同一機能を有する部分には同一符号を付して示している。すなわち、この立体視映像表示部50は、相互に人間の両目の間隔に対応した視差を有する2種類の映像信号が供給されている。
【0076】
すなわち、図13(a)に示すように、フレーム周期が1/60秒の右目用映像を形成するための右目用映像信号と、図13(b)に示すように、フレーム周期が1/60秒の左目用映像を形成するための左目用映像信号とが入力されている。
【0077】
この右目用及び左目用映像信号は、例えば、放送事業者が立体視用の映像信号として放送したものを受信することにより取得することができる。また、コンテンツ提供者からネットワーク34等を介して取得することや、光ディスク28等の記録媒体から再生して取得すること等もできる。
【0078】
入力された右目用及び左目用映像信号は、シリアル化処理部53に供給される。このシリアル化処理部53は、入力された右目用及び左目用映像信号を、図13(c)に示すように、フレーム周期が1/120秒となるように1フレーム単位で交互に配列して出力している。そして、このシリアル化処理部53から出力された映像信号は、液晶表示パネル制御部38及び点灯値算出部40にそれぞれ供給される。
【0079】
このうち、液晶表示パネル制御部38は、シリアル化処理部53から出力された1フレーム分に対応する映像信号を、後段の液晶表示パネル39を構成している複数の画素44にそれぞれ書き込ませることにより、液晶表示パネル39に1フレーム分の表示映像を形成させている。
【0080】
また、上記点灯値算出部40は、シリアル化処理部53から出力された1フレーム分に対応する映像信号に基づいて、後段のバックライト43の各ブロック46別の点灯値を算出し、点灯値変換処理部41に出力している。この点灯値変換処理部41は、点灯値算出部40で算出された点灯値に基づいて各ブロック46別の点灯時間を算出し、点灯制御部42に出力している。
【0081】
そして、点灯制御部42は、点灯値変換処理部41で算出された点灯時間に基づいて、1フレームの表示期間中で一番長く点灯しているブロック46を判別し、そのブロック46について、その消灯されるタイミングが、同じフレームの映像表示が終了されるタイミングと一致するように点灯開始時点を遅らせる。なお、この点灯開始時間を遅延させた時間だけ、他のブロック46の光源ユニット47に対する点灯開始時点も遅延させている。その後、点灯制御部42は、遅延させた各ブロック46の点灯時間をバックライト43の各光源47に通知して、各光源47を点灯させる。
【0082】
また、上記シリアル化処理部53は、右目用及び左目用映像信号を1フレーム単位で交互に出力するタイミングを示す信号を眼鏡制御部54に出力している。この眼鏡制御部54は、シリアル化処理部53から供給されたタイミング信号に基づいて、右目用シャッタ制御信号と左目用シャッタ制御信号とをそれぞれ生成し、出力端子55,56を介してユーザの掛けている立体視用眼鏡57に出力している。
【0083】
すなわち、この眼鏡制御部54は、右目用映像が表示されているとき立体視用眼鏡57の左目のシャッタを閉じ、左目用映像が表示されているとき立体視用眼鏡57の右目のシャッタを閉じるように制御しており、これにより、ユーザに立体視映像を認識させるようにしている。
【0084】
図14(a)は、バックライト43を構成する光源47の、フレーム毎の点灯及び消灯時間を示している。この場合も、各フレームにおいて一番長く点灯している光源47は、その消灯時点が、同じ1フレームの映像表示が終了されるタイミングと一致するように、点灯開始時点が遅延されている。
【0085】
なお、各光源47の点灯時間は、入力映像信号の輝度レベルに応じて決定される。すなわち、液晶表示パネル39上における表示映像の暗いエリア45に対応する光源47の点灯時間は短く設定され、液晶表示パネル39上における表示映像の明るいエリア45に対応する光源47の点灯時間は長く設定される。
【0086】
また、図14(b)は、上記液晶表示パネル39におけるフレーム毎の映像出力(輝度応答特性)を示している。この場合、入力映像信号に対する液晶表示パネル39の理想的な映像出力(輝度応答特性)が、図14(b)に一点鎖線で示すものであるとすると、実際の映像出力(輝度応答特性)は、図14(b)に実線で示すように、理想波形に対してなだらかな波形となっている。
【0087】
このため、映像表示部21からは、図14(c)に太線で示すように、光源47の点灯期間だけ液晶表示パネル39からの映像が出力されることになる。この場合、各フレームにおいては、そのフレームの終端部分で光源47が点灯されていることから、映像表示部21の映像も、各フレームの終端部分が出力されるようになる。つまり、液晶表示パネル39の理想的な出力映像に最も近い映像部分が映像表示部21から出力されるようになり、残像の低減された映像を表示することができるようになる。
【0088】
特に、立体視映像表示の場合には、1フレームの周期が1/120秒と短いことから、映像表示部21の出力映像が、液晶表示パネル39の理想的な出力映像に最も近い部分となって残像が低減されるということは、右目用映像の表示期間に左目用映像が残像として重なって表示される現象、または、その逆に左目用映像の表示期間に右目用映像が残像として重なって表示される現象、いわゆる、立体視クロストークが低減されて良好な立体視映像を表示することを可能にしている。
【0089】
ここで、上記した各実施の形態では、液晶表示パネル39を用いて映像を表示させることについて説明したが、映像表示パネルとしては液晶だけに限らず、バックライト43からの照射光を照明として映像を表示するパネルであれば、広くこの発明を適用することができる。
【0090】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。」

イ したがって、上記ア(ア)ないし(オ)の記載並びに図面の図3ないし図5及び図12ないし図14から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は、特に関連する記載箇所を示す。)。
「立体視映像表示部であって、(【0075】)
入力された右目用及び左目用映像信号を、フレーム周期が1/120秒となるように1フレーム単位で交互に配列して出力する、シリアル化処理部と、(【0078】)
シリアル化処理部から出力された1フレーム分に対応する映像信号を、後段の液晶表示パネルを構成している複数の画素にそれぞれ、1水平ライン単位で順次書き込ませることにより、液晶表示パネルに1フレーム分の表示映像を形成させる、液晶表示パネル制御部と、(【0031】、【0079】)
それぞれが液晶セルでなる複数の画素を、水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配列することにより構成されるとともに、パネル面が、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のエリアに分割された、液晶表示パネルと、(【0030】)
液晶表示パネルの各エリアに対応させた、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のブロックをマトリクス状に配列する構成となされ、これらのブロックにそれぞれ複数の光源で構成された光源ユニットが備えられるとともに、それぞれの光源ユニットを反射板で覆い、各反射板の光の照射面に拡散板を配置することにより、ブロック単位で均一な光照射が行えるようにされて、液晶表示パネルにその背面側から光を照射して映像表示を行わせる、バックライトと、(【0032】、【0033】、【0034】)
各ブロックの点灯時間をバックライトの各光源に通知して、各光源を点灯させる、点灯制御部と、(【0081】)
を備え、
液晶表示パネルにおいては、各画素への映像信号の書き込みに応じて、画面の上方から下方に向けて1水平ライン単位で各画素の映像が順次更新され、(【0055】)
バックライトの各光源ユニットは、液晶表示パネル上における映像の出力タイミングに同期して順次点灯され、(【0058】)
バックライトは、光源ユニット毎にその点灯時間をそれぞれ独立に制御することが可能となっており、各光源の点灯時間は、入力映像信号の輝度レベルに応じて決定される、(【0034】、【0065】、【0085】)
立体視映像表示部。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置に適用して好適なバックライト、及びそのバックライトを備えた表示装置、並びにバックライトの点灯を制御する光源制御方法に関する。」

(イ)「【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、バックライトとして、表示部の表示面積に対応して、複数配置された光源と、複数の光源からの光を表示部側に伝える散乱部材と、複数の光源からの光を1つの光センサに導く導光部材と、導光部材によって導かれて光センサで検出した輝度又は色度から、複数の光源を構成する個々の光源の輝度又は色度を算出する演算処理部とを備えた構成としたものである。
【0012】
このようにしたことで、限られた数の光センサを用いて、複数の光源が発する光の輝度又は色度を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、限られた数の光センサを用いて、複数の光源が発する光の輝度又は色度を検出することができ、簡単な構成で、用意された各光源の輝度などを検出でき、各光源の発光状態を均一に制御することが簡単な構成で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1?図4を参照して説明する。
【0015】
本実施の形態例においては、液晶表示装置に適用したものである。まず、液晶表示装置全体の構成例を、図1を参照して説明する。なお、図1では説明を判り易くするために、表示装置の平面と縦断面を並べて示してある。本例の表示装置に入力した映像信号(画像信号)は、液晶ディスプレイ表示制御回路11に供給されて、その映像信号に基づいて、液晶表示パネル12での表示駆動を行う信号が生成される。生成された表示駆動信号は、液晶表示パネル12に供給されて、パネル上の各画素に表示信号が書き込まれる。表示信号の書込みについては、例えば供給される映像信号のフレーム周期に同期して、1フレーム周期で行われる。
【0016】
そして、液晶表示パネル12の背面には、バックライトが配置してある。本例においては、バックライトを構成する光源として、それぞれ水平方向に配置された冷陰極蛍光ランプ21,22,23,24,25,26を、垂直方向に並べた構成としてある。
【0017】
各冷陰極蛍光ランプ21?26が配置されるバックライトの構成としては、バックライト20を構成するライトボックス29内に、冷陰極蛍光ランプ21?26を、垂直方向に複数本配置してある。蛍光ランプ21?26の背面には、反射シート28が配置してある。各冷陰極蛍光ランプ21?26が配置されたライトボックス29の前面には、散乱板14が配置してある。散乱板14は、表示パネル12の表示面積とほぼ同じサイズであり、例えば所定の厚さのアクリル板で構成して、光を散乱させるようにしてある。さらに、その散乱板14の前面に、散乱シート13が配置してある。また、本例のライトボックス29内の各蛍光ランプ21?26の間には、仕切り板31?35が配置してあり、各蛍光ランプ21?26からの光が、隣接した他のランプの光と混ざらないで、散乱板14側に入射するようにしてある。
【0018】
各冷陰極蛍光ランプ21?26の点灯は、発光制御回路15から個別に供給される発光制御信号により制御される。発光制御回路15には、液晶ディスプレイ表示制御回路11から、映像信号の垂直同期信号VS及び水平同期信号HSが供給され、垂直周期に同期して、複数用意された蛍光ランプ21?26を順に、一時的に消灯させる処理が行われる。この冷陰極蛍光ランプ21?26が消灯する位置と、その消灯位置の前に配置された液晶表示パネル12の画素への書込みが行われる水平ラインの位置とは、一致するようにしてあり、背景技術の欄で説明したブリンキング処理が行われる。
【0019】
そして本例においては、ライトボックス29の右端に、2つの導光部材41,42が配置してあり、各蛍光ランプ21?26配置位置から導光部材41,42に入射した光を、それぞれの導光部材41,42に取り付けられた光センサ43,46に入射させる構成としてある。各導光部材41,42は、例えばアクリル樹脂などの透明素材で構成される。
【0020】
導光部材41,42についてより詳しく説明すると、上から順に、第1の行の蛍光ランプ21と、第2の行の蛍光ランプ22と、第3の行の蛍光ランプ23の設置位置については、右端で第1の導光部材41に光を入射させて、その入射光を、バックライト20の上端に取付けられた基板44上の光センサ43に導かせる。導光部材41の形状としては、1つの光センサ43に、各ランプ21,22,23からの光を入射させるために、それぞれの光を異なる角度で反射させる構成としてある(図1中に光路を矢印で図示してあり)。
【0021】
また、第4の行の蛍光ランプ24と、第5の行の蛍光ランプ25と、第6の行の蛍光ランプ26の設置位置については、右端で第2の導光部材42に光を入射させて、その入射光を、バックライト20の下端に取付けられた基板47上の光センサ46に導かせる。導光部材42の形状についても、1つの光センサ46に、各ランプ24,25,26からの光を入射させるために、それぞれの光を異なる角度で反射させる構成としてある(図1中に光路を矢印で図示してあり)。
【0022】
各光センサ43,46は、入射した光のレベルに対応した電圧信号を出力する構成としてあり、それぞれ3つの蛍光ランプから届いた光の輝度に合計の対応したレベルの電圧信号を出力する。出力された電圧信号は、それぞれの基板44,47に取付けられたアナログ/デジタル変換器45,48で、デジタルデータに変換されて、発光制御回路15に送られる。発光制御回路15からは、各アナログ/デジタル変換器45,48にデジタル変換トリガパルスが送られ、そのトリガパルスで示されたタイミングでサンプリングされたデータが発光制御回路15に送られる。サンプリングするタイミングの例については後述する。
【0023】
発光制御回路15には、演算回路16が接続してあり、発光制御回路15に供給された各光センサ43,46の検出レベルデータを供給して、6つの蛍光ランプ21?26の発光輝度を算出する演算処理が、予め設定された演算式を使用した演算で行われる。演算式については後述する。
【0024】
次に、本例の表示装置で液晶表示パネルに配置された画素への画像の書き込み状態と、バックライトの点灯状態との対応の例を、図2を参照して説明する。本例の場合、液晶表示パネルへの画像の書き込みは、水平ライン単位で行われるようにしてあり、図2(a),(b),(c),(d),(e),(f)は、それぞれ画像の書き込み位置が順に変化した状態を示してある。各図は、右半分で液晶表示パネルへの画像書き込み状態を示してあり、左半分でバックライトの点灯位置及び消灯位置を示してある。ここでの旧画像とは、1フレーム前の画像であり、新画像とは、現フレーム の画像である。これらの図に示されるように、そのフレームでの画像信号が書き込まれる位置(旧画像と新画像の境界の水平ラインの位置)の近傍の2本の蛍光ランプが消灯し、残りの4本の蛍光ランプを点灯させるようにしてある。
【0025】
各図を細かく見ると、図2(a)では、画像信号が書き込まれる位置が、画面の下側に位置し、6本の蛍光ランプの内の下2本の蛍光ランプ25,26が消灯し、残りの4本が点灯している。この状態からさらに書き込み位置が下側に移動すると、図2(b)に示すように、最も下側の蛍光ランプ26と最も上の蛍光ランプ21が消灯した状態に変化する。そして、書き込み位置が画面の上側に移動すると、図2(c)に示すように、上側2本の蛍光ランプ21,22が消灯した状態に変化する。さらに、その状態から書き込み位置が下側に移動すると、図2(d),図2(e),図2(f)に示すように、2本の蛍光ランプの消灯位置が下側に順に変化する。この図2(a)から図2(f)に示す変化が、1フレームごとに繰り返される。
【0026】
次に、1フレーム内での各点灯状態(消灯状態)と、2つの光センサ43,46での検出タイミングとの関係を、図3及び図4を参照して説明する。図3(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示すように、2本の蛍光ランプが消灯する組み合わせが異なる第1発光状態から第6発光状態を定義した場合に、それぞれでの発光状態で、センサ43又はセンサ46で1回ずつ検出が行われる。即ち、図3に示すように発光状態を設定した場合に、第1発光状態から第6発光状態の間で、2つの光センサ出力を連続して検出したとすると、図4(a)に示す状態となる。上光センサがセンサ43の出力であり、下光センサがセンサ46の出力である。図4(b)は表示画像の垂直同期パルスを示し、第1発光状態の直前にパルスが立っている。
【0027】
図4(a)に示すように、蛍光ランプが消灯する位置の変化で、2つのセンサ43,46の出力は変化を繰り返す。図4(c)は、上光センサ43の出力をサンプリングするトリガパルスを示し、図4(d)は、下光センサ46の出力をサンプリングするトリガパルスを示す。これらの図に示すように、上光センサ43の出力は、第1発光状態から第3発光状態で取り込まれ、下光センサ46の出力は、第4発光状態から第6発光状態で取り込まれる。ここでは、第1発光状態?第6発光状態で取り込またセンサ出力を、それぞれ信号S1?S6としてある。
【0028】
このように第1発光状態の上光センサ43の検出データS1と、第2発光状態の上光センサ43の検出データS2と、第3発光状態の上光センサ43の検出データS3と、第4発光状態の下光センサ46の検出データS4と、第5発光状態の下光センサ46の検出データS5と、第6発光状態の下光センサ46の検出データS6を定義した上で、6本の蛍光ランプ21,22,23,24,25,26の発光光量を、順にL1,L2,L3,L4,L5,L6と定義した場合に、各光センサ出力と、各蛍光ランプの光量との関係方程式は、次のように示される。
【0029】
【数1】

【0030】
この関係方程式を使用して、次の行列式を解くことで、6本の蛍光ランプ21,22,23,24,25,26の発光光量L1,L2,L3,L4,L5,L6が求まる。
【0031】
【数2】

【0032】
この演算処理は、図1に示した演算回路16で行われる。演算回路16で得られた6つの蛍光ランプ21?26の個別の発光輝度のデータは、発光制御回路15に送られる。発光制御回路15では、その発光輝度のデータに基づいて、各蛍光ランプ21?26の発光輝度を補正する処理が行われる。発光輝度の補正処理としては、例えば各蛍光ランプに印加する電圧の制御などで行う。このようにして、2つの光センサ43,46で検出したデータに基づいて発光輝度補正を行うことで、6つの蛍光ランプ21?26の発光輝度を常時均一に補正することができる。例えば使用環境の変化やランプの経時変化があっても、常に均一な発光状態とすることができ、バックライト により照明されて表示される画像の明るさにムラが生じることがなくなる。
【0033】
この場合、本例においては2つ導光部材41,42と2つの光センサ43,46だけを設ける構成としたので、6つの光源ごとに光センサを設ける場合に比べて簡単な構成とすることができ、バックライトの製造に要するコストを低減させることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態を、図5を参照して説明する。この第2の実施の形態においては、1つの光センサを設けて、その1つの光センサで、全ての光源の輝度を検出して、その1つの光センサの各タイミングでの検出出力から、各光源の輝度を求めるようにしたものである。
【0035】
即ち、図5に示すように、6本の蛍光ランプ21?26が配置されたバックライト20の右端に、各蛍光ランプ21からの光を1つの光センサ53に導く導光部材51を配置し、光センサ53で全てのランプ21?26の出力の合計を検出させる。導光部材51としては、例えばアクリル樹脂を使用する。また、導光部材51で中央に向かった光を、さらに反射させて光センサ53に入力させる反射ミラー52を配置してある。光センサ53は、基板54に取り付けてあり、その基板54に取り付けられたアナログ/デジタル変換器55でデジタルデータとして取り込み、発光制御回路15に送る。
【0036】
送られた発光量のデータは、演算回路16’に送られて、その演算回路16’での演算で、各蛍光ランプ21?26の発光量が算出される。但し、この図5の例の場合には、光センサが1つであり、各ランプの発光パターンと演算式を、図1?図4の例とは変える必要がある。図5のその他の部分は、図1の例と同様に構成する。この図5に示した構成とすることで、光センサを1個とすることができ、より簡単な構成とすることができる。」

イ したがって、上記ア(ア)及び(イ)の記載及び図面の図1ないし図4から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「液晶表示装置に適用して好適なバックライトにおいて、
表示部の表示面積に対応して、複数配置された光源と、複数の光源からの光を表示部側に伝える散乱部材と、複数の光源からの光を1つの光センサに導く導光部材と、導光部材によって導かれて光センサで検出した輝度又は色度から、複数の光源を構成する個々の光源の輝度又は色度を算出する演算処理部とを備えた構成とし、
バックライトは、液晶表示パネルの背面に配置され、バックライトを構成する光源は、それぞれ水平方向に配置された冷陰極蛍光ランプを垂直方向に並べた構成とされ、
液晶表示パネルへの画像の書き込みは水平ライン単位で行われ、映像信号の垂直周期に同期して複数用意された蛍光ランプを順に一時的に消灯させる処理が行われ、この冷陰極蛍光ランプが消灯する位置と、その消灯位置の前に配置された液晶表示パネルの画素への書込みが行われる水平ラインの位置とは、一致するようにしてあり、
蛍光ランプが消灯する組み合わせが異なるそれぞれでの発光状態で、センサで1回ずつ検出が行われ、各光センサ出力と各蛍光ランプの光量との関係方程式を使用した演算処理により、蛍光ランプの個別の発光輝度のデータが得られ、その発光輝度のデータに基づいて、各蛍光ランプの発光輝度を補正する処理が行われることによって、
各光源の発光状態を均一に制御する」技術。

(3)引用文献3
ア 引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「技術分野
[0001] 本発明は、映像を立体的に知覚させるための映像を表示する表示装置及び該表示装置が表示する映像を視聴するための映像視聴システムに関する。
背景技術
[0002] 映像を立体的に知覚させるための映像を表示する表示装置は、左眼で視聴されるための左眼用映像と、右眼で視聴されるための右眼用映像とを所定周期(例えば、フィールド周期)で交互に表示する。表示される左眼用映像及び右眼用映像は、視差の分だけ異なる内容を含む。視聴者は、左眼用映像及び右眼用映像の表示周期に同期して駆動される液晶シャッタを備える眼鏡装置を通じて、左眼用映像及び右眼用映像を視聴する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この結果、視聴者は、左眼用映像及び右眼用映像によって表現されたオブジェクトを立体的に知覚する。」

(イ)「[0079] <第4実施形態>
図4に関連して説明された映像視聴システム100Aの構成は、第4実施形態に援用される。第4実施形態において、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、第1制御部250Aは、バックライト232の照射領域ごとに第1発光期間E1のタイミングを制御する。
[0080] 図10は、映像視聴システム100Aの制御を概略的に表す制御タイミングチャートである。図10のセクション(A)は、液晶パネル231の映像の走査タイミングを概略的に示す。図10のセクション(B)は、バックライト232の点灯を示す。図10のセクション(C)は、眼鏡装置300の左眼フィルタ311によって調整される左眼光量の変動並びに右眼フィルタ312によって調整される右眼光量の変動を概略的に表す。図4及び図10を参照しつつ、バックライト232の制御に関する第1実施形態との相違点が説明される。
[0081] 図10のセクション(A)に示される液晶駆動部220による左眼用映像信号及び右眼用映像信号の液晶パネル231への書き込みは、第1実施形態と同様である。尚、液晶パネル231の表示領域は、説明の便宜上、領域D1(最も上方に位置する表示領域)乃至領域D8(最も下方に位置する表示領域)に概念的に分割して示されている。
[0082] 図10のセクション(B)に示されるバックライト232は、液晶駆動部220による映像(左眼用映像及び右眼用映像)の副走査方向に分割された8つの照射領域L1乃至L8を含む。照射領域L1乃至L8それぞれは、液晶パネル231の領域D1乃至D8に光を照射する。第1制御部250Aは、各照射領域L1乃至L8におけるバックライト232の点灯タイミング及び点灯期間の長さ(第1発光期間E1(第1発光期間E1及び第2発光期間E2)を調整する。第1制御部250Aは、各照射領域L1乃至L8において、バックライト232が映像の視聴に直接的な影響を与えるメイン発光を行う第1発光期間E1と、バックライト232が映像の視聴に直接的な影響を与えないサブ発光を行う第2発光期間E2とを設ける。また、各照射領域L1乃至L8において、第1発光期間E1と第2発光期間E2との間にバックライト232が消灯される消灯期間LOが設けられる。
[0083] 第1発光期間E1におけるバックライト232のメイン発光が説明される。図10のセクション(A)の矢印Aで示される如く、映像信号(左眼用映像信号及び右眼用映像信号)は、液晶パネル231の上部に存する領域D1から書き込まれ、液晶パネル231の下部に存する領域D8において映像信号の書き込みが終了する。したがって、液晶パネル231の液晶層の応答は、領域D1から開始され、領域D8において完了する。かくして、液晶パネル231の上部で表示される映像ほど、左眼用映像から右眼用映像への切り替わり或いはその逆が早期に行われることとなる。
[0084] 図10のセクション(C)に示される如く、第2制御部240は、領域D1における液晶パネル231の液晶層の応答完了時刻から領域D8における液晶層の応答完了時刻までの間、左眼フィルタ311又は右眼フィルタ312を透過する光量を増大させるように眼鏡装置300の光学フィルタ部310を制御する。したがって、光量増大期間Iは、L区間とR区間との間の切り替わり時刻を跨ぐ。光量増大期間Iの開始時刻は、L区間とR区間との間の切り替わり時刻前であり、光量増大期間Iの終了時刻は、L区間とR区間との間の切り替わり時刻後である。
[0085] 液晶パネル231の領域D1において、映像信号の書き込みに応じた液晶の応答が完了すると、第1制御部250Aはバックライト232を制御し、照射領域L1を点灯させる。その後、液晶パネル231の領域D1において次の映像信号の書き込みが開始される前に、第1制御部250Aはバックライト232を制御し、照射領域L1を消灯させる。領域D1における液晶パネル231への映像信号の書き込み(或いは、液晶パネル231の液晶の応答の完了)に同期するように、バックライト232の対応する照射領域L1を発光/消灯させる結果、液晶パネル231の領域D1に表示された映像(左眼用映像又は右眼用映像)は、左眼又は右眼に到達する。上述の液晶パネル231の領域D1並びにバックライト232の照射領域L1に関連する説明は、領域D1及び照射領域L1の下方に位置する領域D2乃至D8並びに対応する照射領域L2乃至L8に対して、同様に適用される。したがって、バックライト232は、上部から下部に向けて順次点灯並びに消灯する。
[0086] 上述の如く、各領域において、液晶パネル231の書き込み並びに当該書き込みに対応する液晶の応答が完了した後にバックライト232の各照射領域L1乃至L8が点灯することによって、視聴者は、左眼用映像と右眼用映像との間のクロストークが十分に低減された立体映像の視聴を享受することができる。このように各照射領域L1乃至L8の点灯・消灯タイミングが独立して制御されることにより、第1乃至第3実施形態(バックライト232全体が一斉に発光する)と較べて全体として長い第1発光期間E1が設定されることとなる。この結果、視聴者は比較的明るい立体映像の視聴を享受することができる。図10に関連して説明されたバックライト232の点灯方式(各照射領域L1乃至L8が順次点灯及び消灯する方式)は、バックライトスキャン(或いは、バックライトスクロール)と称される。左眼用映像信号の書き込みに対応するバックライト232のバックライトスキャン制御及び右眼用映像信号の書き込みに対応するバックライト232のバックライトスキャン制御は互いに略等しい様式で実行されてもよい。このようにして、左眼用映像及び右眼用映像が、バックライトスキャンの下、液晶パネル231上に映し出されることによって、視聴者は、比較的明るく、且つ、比較的クロストークの少ない高品位の立体映像を視聴することができる。
[0087] 尚、図10のセクション(C)において、光量増大期間Iは、バックライトスキャンの開始時点(即ち、照射領域L1における第1発光期間E1の開始時刻)からバックライトスキャンの終了時点(即ち、照射領域L8における第1発光期間E1の終了時刻)までの期間を網羅するように設定されている。
[0088] 第2発光期間E2におけるバックライト232のサブ発光が説明される。図10に示される如く、第2発光期間E2は、光量増大期間I以外の期間(即ち、左眼フィルタ311及び右眼フィルタ312が、液晶パネル231に表示される映像からの光の透過光量を低減させている期間)に設けられる。第1乃至第3実施形態と同様に、第2発光期間E2が設けられることにより、液晶パネル231の温度低下が好適に抑制される。この結果、左眼用映像と右眼用映像との間のクロストークが好適に抑制される。
[0089] 本実施形態において、第2発光期間E2は、光量増大期間I以外の期間を略網羅するようにバックライト232は点灯される。代替的に、第2発光期間E2の長さ(即ち、サブ発光のデューティ)は、表示装置200Aの周囲温度に拘わらず、十分な液晶の応答特性が得られるような固定値として決定されてもよい。同様に、第2発光期間E2におけるバックライト232の発光輝度も、表示装置200Aの周囲温度に拘わらず、十分な液晶の応答特性が得られるような固定値として決定されてもよい。このように、第2発光期間E2の長さ及び/又は第2発光期間E2におけるバックライト232の発光輝度の大きさが固定値として決定されるならば、温度検出部233は省略されてもよい。
[0090] 代替的に、温度検出部233が検出した液晶パネル231の温度或いは表示装置200Aの周囲の温度に応じて、第2発光期間E2の長さ及び/又は第2発光期間E2におけるバックライト232の発光輝度が調整されてもよい。このように液晶パネル231の温度或いは表示装置200Aの周囲の温度に応じて、第2発光期間E2の長さ及び/又は第2発光期間E2におけるバックライト232の発光輝度が調整されることにより、比較的少ない消費電力を用いて、左眼用映像と右眼用映像との間のクロストークが抑制されることとなる。」

(ウ)図10(B)から、第2発光期間E2のサブ発光では、バックライトの照射領域L1乃至L8の全てが一斉に点灯する点が、見て取れる。

イ したがって、上記ア(ア)ないし(ウ)の記載並びに図面の図4及び図10から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。
「映像を立体的に知覚させるための映像を表示する表示装置において、
バックライトは、液晶駆動部による映像(左眼用映像及び右眼用映像)の副走査方向に分割された8つの照射領域L1乃至L8を含み、照射領域L1乃至L8それぞれは、液晶パネルの表示領域である領域D1(最も上方に位置する表示領域)乃至D8(最も下方に位置する表示領域)に光を照射し、
各照射領域L1乃至L8において、バックライトが映像の視聴に直接的な影響を与えるメイン発光を行う第1発光期間と、バックライトが映像の視聴に直接的な影響を与えないサブ発光を行う第2発光期間とを設け、
第1発光期間におけるバックライトのメイン発光では、領域D1乃至D8における液晶パネルへの映像信号の書き込み(或いは、液晶パネルの液晶の応答の完了)に同期するように、バックライトの対応する照射領域L1乃至L8を発光/消灯させて、バックライトは、上部から下部に向けて順次点灯並びに消灯し、
第2発光期間におけるバックライトのサブ発光では、バックライトの照射領域L1乃至L8の全てが一斉に点灯し、第2発光期間が設けられることにより、液晶パネルの温度低下が好適に抑制される」技術。

(4)引用文献4
引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、映像の画質を調整する画質調整装置および画質調整方法に関する。」

(イ)「【0035】
図3は、本実施形態における、フレームレート変換前のフレーム画像に基づき、このフレーム画像に対応したフレームレート変換後の特定のフレーム画像に対して画質調整処理を実行する各ブロックによるシステム構成図である。
【0036】
画質調整部203は、LRフレーム分離部301、調整値計算部302、フィルタ303、フレームレート変換部304、更新タイミング制御部305、調整部306などを備えている。
【0037】
LRフレーム分離部301は、前段のブロックから入力された1フレーム分のフレーム画像に、L/Rフレームが混在している場合、L/Rフレームそれぞれを分離して時分割して交互に配列するLRフレーム分離処理を実行する。そしてLRフレーム分離処理後のL/Rフレームは、フレームレート変換部304へ出力される。L/Rフレームそれぞれの分離は、例えばSide-by-Side方式でL/Rフレームが混在されている場合、水平方向の伸張処理を、またLine-by-Line方式でL/Rフレームが混在されている場合、垂直方向の伸張処理を実行することによって実現可能である。また、このとき入力されたフレーム画像のフレームレートに対して、L/Rフレームのフレームレートは倍になって出力される。例えば、60[fps]のフレームレートの画像フレームは、120[fps]のフレームレートで出力される。これは出力されるL/Rフレームが、時分割して配列されているからである。またLRフレーム分離部301は、フレームパッキング方式などのように、1フレームにL/Rフレームが交互に順次配列された画像フレームが前段のブロックから入力された場合、交互に配列されたL/Rフレームそれぞれを独立した画像フレームとして分離し、2フレームの画像フレームとして出力する。すなわちこのときでも、入力されたフレーム画像のフレームレートに対して、出力されるフレーム画像のフレームレートは倍になって出力される。
【0038】
調整値計算部302は、LRフレーム分離部301から入力されたL/Rフレームそれぞれの特徴として、特定画素の輝度又は明るさに関する明度情報を検出し、この検出した明度情報に基づいて調整値を算出してフィルタ303へ出力する。また調整値計算部302は、L/Rフレームそれぞれを複数に分割した特定の領域ごとに明度情報を検出し調整値を算出する。この調整値には、特定の領域内の全ての画素の明度情報の平均値又は最大値、特定の領域内の任意の画素の明度情報の平均値又は最大値などを適用することが可能である。また調整値計算部302は、特定画素の明度情報でなく色に関する色情報を検出してもよい。さらに調整値計算部302は、LRフレーム分離部301から入力されたL/Rフレームそれぞれに基づいて、調整値を算出する実施形態ではなく、L/Rフレームの何れかに基づいて調整値を算出する実施形態であってもよい。この調整値計算部302は、L/Rフレームそれぞれに対応すべく、2系統設けられていることが好ましい。
【0039】
フィルタ303は、調整値計算部302から入力された調整値を、所定の伝達特性で変換した実効的な調整値である実効調整値を調整部306へ出力する。例えば伝達特性は、一次または二次のLPFや、単に1サンプル前の値を出力する遅延であってもよい。このフィルタ303は、調整値をデジタル値で受けてデジタル値の実効調整値を出力するデジタルフィルタとして構成される。またフィルタ303は、調整値計算部302から入力されたL/Rフレームそれぞれに対する調整値に基づいて、それぞれに対する実効調整値を出力する。すなわちフィルタ303は、L/Rフレームそれぞれに対応すべく、2系統設けられていることが好ましい。
【0040】
フレームレート変換部304は、LRフレーム分離部301から入力されたL/Rフレームそれぞれのフレームレートを高く変換したL/Rフレーム(レート変換後L/Rフレーム)を調整部306へ出力する。フレームレート変換部304は、入力されたL/Rフレームに対して、それぞれを新たなフレーム画像としてコピーして追加することでフレームレートを高く変換する。さらにフレームレート変換部304は、入力されたL/Rフレームに対して、L/R個別に、前後のL/Rフレームに基づいて補完した新たなL/Rフレームを追加することでフレームレートを高くしてもよい。すなわち、入力されたフレーム画像のフレームレートを高く変換する方法は特に限定されず様々な方法で実現することが可能である。このとき、フレームレート変換部304は、LRLRといったように交互に配列する態様や、LLRRといったように同一フレーム画像を連続して配列する態様などで出力する。例えば、フレームレート変換部304が、入力された120[fps]のフレームレートのL/Rフレームを、LLRRと同一フレーム画像が2つ連続するように配列した場合でも、240[fps]のフレームレートのL/Rフレームが出力される。
【0041】
更新タイミング制御部305は、フレームレート変換部304へ入力されたL/Rフレームに基づいてフレームレート変換されたL/Rフレームが、どの程度遅延して(どの程度の更新タイミングで)出力されるかを示す出力遅延情報を調整部306へ出力する。すなわち出力遅延情報は、フレームレート変換部304への入力フレーム画像とフレームレート変換部304からの入力フレーム画像とを同期させるための情報であるといえる。
【0042】
調整部306は、更新タイミング制御部305から入力された出力遅延情報に基づいて、フィルタ303から入力された実効調整値に基づく調整結果を、フレームレート変換部304から入力された特定のタイミングのL/Rフレームに対して適用させる。調整結果は、表示パネル101に表示する映像の信号レベルに対する輝度又は明るさを調整するための信号情報(パラメータ)と、バックライト102の光量に対する輝度又は明るさ(照明の照度)を調整するための光量情報との何れかを適用することが可能である。具体的には、調整部306は、入力された実効調整値に基づいて、バックライト102に対する光量情報を決定してバックライト102の光量を調整するための光量情報を、入力されたL/Rフレームと同期させてドライバ204へ出力する。また調整部306は、決定した光量情報に基づいて、さらに表示パネル101に表示する映像の信号レベルに対する信号情報を決定し、この信号情報単独によって入力されたL/Rフレームを調整するか、又は信号情報による調整と光量情報の同期出力とを適宜配分して実行する。ここで、調整対象のL/Rフレームが、同一フレーム画像が連続して配列される態様で、且つ、バックライト102の照明の照度で調整する場合、同一フレーム画像の連続数に応じて、それぞれのフレーム画像への照明の照度を異ならせること実施形態を適用することも可能である。具体的には、照度100を同一フレーム画像2つへ照明して調整する場合、前のフレーム画像には照度70、後のフレーム画像には照度30として合計の照度100となるように適宜配分して照明してもよい。
【0043】
なお、画質調整部203に備えられた各ブロックは、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアとの協働で構成される実施形態である。
このような各ブロックによる動作により、画質調整部203は、フレームレート変換前のフレーム画像に基づき、これらのフレーム画像に対応したフレームレート変換後の特定のフレーム画像に対して画質を調整することができるので、適切な画像フレームを参照した画質改善のための処理が実行される。」

(5)引用文献5
引用文献5には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、画質調整装置、表示機器、及び画質調整方法、より詳細には、テレビジョン受像機等の表示機器において、工場出荷時の初期調整状態からの経時変化に起因する輝度低下や色調変化などを補正して画質を調整する画質調整装置、表示機器、及び画質調整方法に関する。」

(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る画質調整装置は、テレビジョン受像機などの表示機器に内蔵され、光源点灯時間の経過による輝度低下や色調変化などを、光源の積算点灯時間に応じた輝度調整値及び/又は色温度調整値に基づいて補正し、表示機器における輝度や色温度を常に適正な範囲に保持可能とし、さらに、表示パネル近傍の使用温度や、光源のデューティ比をパラメータとして加味することで、より正確な劣化状況(積算点灯時間)を算出して、精度の高い補正を行えるようにしたものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る画質調整装置を備えた表示機器の一例を示すブロック図で、図中、10は表示機器で、該表示機器10は、入力映像信号に評価用の基準信号を付加する基準信号発生部11と、入力映像信号の色温度及び/又は輝度を調整する色温度/輝度調整回路12と、入力映像信号にオンスクリーン信号を重畳するオンスクリーンディスプレイ(OSD)部13と、入力映像信号を表示する表示パネルである液晶パネル14と、各部を制御するCPUを備えた制御部15と、制御プログラムやデータ等を記憶するEEPROMなどの記憶手段であるメモリ16と、光源の点灯開始からの点灯時間を積算する積算手段であるカウンタ17と、冷陰極管や発光ダイオード(LED)などの光源であるバックライト18と、液晶パネル14近傍の使用温度を測定する使用温度測定手段である温度センサ19とを備えて構成されている。
【0030】
制御部15は、バックライト18のデューティ比を取得するデューティ比取得手段と、温度センサ19により測定された使用温度及び/又はバックライト18のデューティ比に基づいて、カウンタ17で積算された積算点灯時間を換算する換算手段を構成する。ここで、使用温度環境やバックライト18のデューティ比は、表示機器10における特性変化の速さに影響するため、バックライト18の積算点灯時間に加えて、これら使用温度環境、バックライト18のデューティ比をパラメータとして加味できるようにして、より精度の高い劣化状況(積算点灯時間)を演算できるようにしている。
【0031】
以下、図1に示す各部についてより具体的に説明する。基準信号発生部11は、入力された映像信号に基準信号を付加し、この入力映像信号を色温度/輝度調整回路12に出力する。色温度/輝度調整回路12は、制御部15からの制御信号に従って、基準信号発生部11からの入力映像信号の色温度及び/又は輝度を調整し、液晶パネル14の駆動に適した信号に変換する。色温度/輝度調整回路12から出力された信号は、OSD部13を介して液晶パネル14に供給され、液晶パネル14を適切な色温度及び輝度で駆動させる。
【0032】
カウンタ17は、バックライト18の点灯開始(すなわち、工場出荷後最初に点灯した時点)からの総点灯時間を積算し、その積算結果をメモリ16に記憶させる。また、バックライト18の光源は、冷陰極管、LED、冷陰極管及びLEDの組み合わせ(ハイブリッド)のいずれかとし、その配置は任意とする。
【0033】
メモリ16は、カウンタ17で積算されたバックライト18の積算点灯時間を記憶すると共に、バックライト18の積算点灯時間に対応する画質調整値を予め記憶している。この画質調整値は、表示機器10における輝度調整値及び/又は色温度調整値であって、例えば、前述の図7に示したように、長期エージングや加速試験などの所定の条件下で測定された輝度及び/又は色度の経時変化データから求めることができる。色温度/輝度調整回路12は、制御部15からの制御信号に従って、カウンタ17による積算点灯時間に応じた画質調整値に基づいて表示機器10の画質を調整する。
【0034】
表示機器10の画質を調整する具体的な方法としては、輝度の場合、バックライト18のデューティ比を変更する、電流を変化させるなどの方法が考えられる。また、色温度の場合、バックライト18の色温度を変更してRGBのバランスや強度を調整するなどの方法がある。これらの画質を調整する画質パラメータは、上述した輝度調整値及び/又は色温度調整値と関連付けられており、色温度/輝度調整回路12によって適宜変更される。」

4 当審の判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明において、「シリアル化処理部」は、「入力された右目用及び左目用映像信号を、フレーム周期が1/120秒となるように1フレーム単位で交互に配列して出力する」ものであるから、引用発明の「シリアル化処理部から出力され」る「映像信号」は、本願発明1の「立体画像信号」に相当する。そして、引用発明においては、「液晶表示パネル制御部」が、「シリアル化処理部から出力された1フレーム分に対応する映像信号を、後段の液晶表示パネルを構成している複数の画素にそれぞれ、1水平ライン単位で順次書き込ませることにより、液晶表示パネルに1フレーム分の表示映像を形成させ」、その結果、「それぞれが液晶セルでなる複数の画素を、水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配列することにより構成され」た「液晶表示パネルにおいては、各画素への映像信号の書き込みに応じて、画面の上方から下方に向けて1水平ライン単位で各画素の映像が順次更新され」るところ、「液晶表示パネル」の「各画素」を構成する「液晶セル」の光の透過率が、「書き込」まれる「映像信号」の階調に応じて変化することは、自明のことといえるから、引用発明の「液晶表示パネル」は、本願発明1の「立体画像信号に基づいて液晶パネル画面の上部から下部へと順次水平走査されることで、前記立体画像信号の階調に応じて光の透過率を変化させる液晶パネル部」に相当する。

(イ)引用発明において、「バックライト」は、「それぞれの光源ユニットを反射板で覆い、各反射板の光の照射面に拡散板を配置することにより、ブロック単位で均一な光照射が行えるようにされて、液晶表示パネルにその背面側から光を照射して映像表示を行わせる」ものであるから、引用発明の「バックライト」における「拡散板」は、本願発明1の「前記液晶パネル部の背面側に設けられ、光源部からの光を受けて拡散し均一な面光源とする導光部」に相当する。

(ウ)引用発明において、「液晶表示パネル」は、「パネル面が、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のエリアに分割され」、「バックライト」は、「液晶表示パネルの各エリアに対応させた、水平方向にj個、垂直方向にk個でなる複数(j×k個)のブロックをマトリクス状に配列する構成となされ、これらのブロックにそれぞれ複数の光源で構成された光源ユニットが備えられ」たものであるから、引用発明の「バックライト」において各「ブロック」に「備えられ」た複数の「光源ユニット」は、本願発明1の「前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応して設けられた複数のバックライト」に相当する。

(エ)引用発明においては、「点灯制御部」が、「各ブロックの点灯時間をバックライトの各光源に通知して、各光源を点灯させる」ところ、「点灯制御部」から「バックライトの各光源」に対し、点灯及び消灯を制御するための信号が送られていることは、自明のことといえる。したがって、引用発明において、「点灯制御部」が、「各ブロックの点灯時間をバックライトの各光源に通知して、各光源を点灯させ」、「バックライトの各光源ユニットは、液晶表示パネル上における映像の出力タイミングに同期して順次点灯され、バックライトは、光源ユニット毎にその点灯時間をそれぞれ独立に制御することが可能となっており、各光源の点灯時間は、入力映像信号の輝度レベルに応じて決定される」ことと、本願発明1において、「前記複数のバックライトは、」「発光駆動信号により点灯および消灯が制御され、前記発光駆動信号は、前記立体画像信号に同期して前記複数のバックライトを順次点灯させ、かつ、所定のタイミングで前記複数のバックライトを前記液晶パネル画面の全面で一斉に点灯させるように構成されると共に、前記立体画像信号の画像情報に基づいて前記複数のバックライトの発光期間を個々に制御するように構成され」ることとは、「前記複数のバックライトは、」「発光駆動信号により点灯および消灯が制御され、前記発光駆動信号は、前記立体画像信号に同期して前記複数のバックライトを順次点灯させるように構成されると共に、前記立体画像信号の画像情報に基づいて前記複数のバックライトの発光期間を個々に制御するように構成され」る点で共通する。

(オ)引用発明の「立体視映像表示部」は、次の相違点は除いて、本願発明1の「立体画像表示装置」に相当する。

イ 上記ア(ア)ないし(オ)から、本願発明1と引用発明とは、
「立体画像信号に基づいて液晶パネル画面の上部から下部へと順次水平走査されることで、前記立体画像信号の階調に応じて光の透過率を変化させる液晶パネル部と、
前記液晶パネル部の背面側に設けられ、光源部からの光を受けて拡散し均一な面光源とする導光部と、を備え、
前記光源部は、前記液晶パネル画面を仮想的に複数に分割したそれぞれの領域に対応して設けられた複数のバックライトを含み、
前記複数のバックライトは、
発光駆動信号により点灯および消灯が制御され、
前記発光駆動信号は、前記立体画像信号に同期して前記複数のバックライトを順次点灯させるように構成されると共に、前記立体画像信号の画像情報に基づいて前記複数のバックライトの発光期間を個々に制御するように構成される立体画像表示装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「前記導光部の発する光の光強度を検出する光検出部と、前記光検出部の光検出値と予め設定された基準光検出値とが等しくなるように前記光源部の発光強度値を制御する光源制御部と」「を備え」、「前記複数のバックライトは、前記発光強度値に基づいて発光強度が制御され」るのに対し、引用発明では、そのような光強度の検出及び発光強度の制御について特定がない点。

(相違点2)
本願発明1では、「前記発光駆動信号は、」「所定のタイミングで前記複数のバックライトを前記液晶パネル画面の全面で一斉に点灯させるように構成される」のに対し、引用発明では、そのような全面での一斉点灯について特定がない点。

(相違点3)
本願発明1では、「前記光検出部は、前記導光部と前記液晶パネル部との間の任意の位置に配設され、光検出ゲート信号に基づいて、前記複数のバックライトを一斉に点灯させるタイミングで検出動作を行うように制御される」のに対し、引用発明では、そのような点について特定がない点。

相違点の判断
上記相違点1ないし3については、技術的なつながりを考慮し、まとめて検討する。
引用文献2及び3に記載された技術は、それぞれ、上記3(2)イ及び上記3(3)イに記載したとおりのものであるところ、引用文献2に記載された技術においては、光センサの出力に基づきバックライトを構成する複数の光源の発光状態が均一に制御されるものの、各光源の個別の発光輝度を求めるために、複数の光源のうち消灯の組み合わせが異なるそれぞれの発光状態で光検出を行うことが前提とされているのであるから、液晶表示パネル全面で複数の光源を一斉に点灯させた発光状態で光検出を行うことは予定されていないものといえる。一方で、引用文献3に記載された技術においては、バックライトが映像の視聴に直接的な影響を与えるメイン発光を行う第1発光期間のほかに、バックライトが映像の視聴に直接的な影響を与えないサブ発光を行う第2発光期間が設けられ、第2発光期間のサブ発光ではバックライトの照射領域の全てが一斉に点灯されるものの、第2発光期間にバックライトの照射領域の全てが一斉に点灯されるのは、液晶パネルの温度低下を抑制するためであって、光検出を行うためではない。
してみると、引用発明において、たとえ引用文献2及び3に記載された技術を考慮したとしても、液晶パネル全面で複数の光源を一斉に点灯させたタイミングで光検出を行う構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、液晶パネル全面で複数の光源を一斉に点灯させたタイミングで光検出を行う点については、引用文献4及び5にも記載されておらず、周知技術であったともいえないから、引用発明において、本願発明1の上記相違点1ないし3に係る構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。

エ したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2及び3に記載された技術並びに引用文献4及び5に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10は、いずれも、本願発明1を更に限定したものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明、引用文献2及び3に記載された技術並びに引用文献4及び5に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 小括
以上のとおりであるから、本願の請求項1ないし10に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえず、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-06 
出願番号 特願2012-119213(P2012-119213)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 大和田 有軌
須原 宏光
発明の名称 立体画像表示装置  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 有田 貴弘  

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