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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1324620
審判番号 不服2016-759  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-18 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 特願2013-214721「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 77173〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年10月15日の出願であって,平成27年2月26日付けで拒絶理由が通知され,これに対し同年4月30日付けで手続補正がなされたが,同年10月16日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成28年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1?2の記載を含む補正であり,平成27年4月30日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ,以下のとおりである(下線部は補正を示す。)。

(補正前:平成27年4月30日付けの手続補正)
「【請求項1】
始動条件が成立すると,判定情報を取得する取得手段と,
前記取得手段により取得された判定情報に基づいて,特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と,
所定の図柄表示手段において,所定の図柄を変動表示させてから停止表示させることにより,前記特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と,
前記図柄の変動中に前記判定情報が取得されると,当該判定情報を前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利を示す権利画像を画像表示手段の所定の表示領域に表示させる画像表示制御手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記権利に対応する判定情報に対して特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と,を備え,
前記画像表示制御手段は,
前記権利画像を,当該権利画像によって示される前記権利に対応する判定情報に対して前記特別遊技判定が行われた後も,変動中画像として継続して表示させることが可能であり,
所定の判定情報に対して行われた前記事前判定の結果に基づいて,最終的な前記変動中画像の表示態様を複数の表示態様のうちの何れかに決定するとともに,決定した表示態様に,前記変動中画像として表示させる前に変化させるときと,前記変動中画像として表示させてから変化させるときと,がある,遊技機。」

(補正後:本件補正:平成28年1月18日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件が成立すると,判定情報を取得する取得手段と,
前記取得手段により取得された判定情報に基づいて,特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と,
所定の図柄表示手段において,所定の図柄を変動表示させてから停止表示させることにより,前記特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と,
前記図柄の変動中に前記判定情報が取得されると,当該判定情報を前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利を示す権利画像を画像表示手段の所定の表示領域に表示させる演出制御手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記権利に対応する判定情報に対して特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と,を備え,
前記演出制御手段は,
前記権利画像を,当該権利画像によって示される前記権利に対応する判定情報に対して前記特別遊技判定が行われた後も,変動中画像として継続して表示させることが可能であり,
所定の判定情報に対して行われた前記事前判定の結果に基づいて,最終的な前記変動中画像の表示態様を複数の表示態様のうちの何れかに決定するとともに,決定した表示態様に,前記変動中画像として表示させる前に変化させるときと,前記変動中画像として表示させてから変化させるときと,があり,
前記図柄表示制御手段によって前記図柄が変動表示されてから停止表示されるまでの間に,擬似変動演出を複数回行なうことが可能であり,
前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合,第N(Nは正の整数)回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像を前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,その後,第N+1回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像をさらに前記可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,さらにその後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行うことが可能である,遊技機。」

2.補正の適否
補正後の請求項1は,補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「画像表示制御手段」を「演出制御手段」に補正し,当該「演出制御手段」について,「前記図柄表示制御手段によって前記図柄が変動表示されてから停止表示されるまでの間に,擬似変動演出を複数回行なうことが可能であり,前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合,第N(Nは正の整数)回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像を前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,その後,第N+1回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像をさらに前記可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,さらにその後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行うことが可能である」ことに限定するものである。
そして,補正後の請求項1に記載された発明は,補正前の請求項1に記載された発明と,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また,本件補正は,新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か,について以下に検討する。

(1)刊行物に記載された事項
(1-1)刊行物1
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された特許5305055号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0015】
そこで,連続性の高い予告の実行により効果的に遊技者の興趣を向上させることができる遊技台について,まずは説明する。
[第1の例示形態]
以下,図面を用いて,本説明の第1の例示形態に係る遊技台(例えば,パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。まず,図1を用いて,本例示形態によるパチンコ機100の全体構成について説明する。なお,同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は,外部的構造として,外枠102と,本体104と,前面枠扉106と,発射装置110と,遊技盤200と,をその前面に備える。」

(イ)「【0046】
まず,パチンコ機100の主制御部300について説明する。主制御部300は,主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えている。基本回路302には,CPU304と,制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と,一時的にデータを記憶するためのRAM308と,各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と,時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と,プログラム処理の異常を監視するWDT314と,を搭載している。なお,ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく,この点は後述する第1副制御部400や第2副制御部500についても同様である。この基本回路302のCPU304は,水晶発振器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
【0047】
また,基本回路302には,水晶発振器316aが出力するクロック信号を受信する度に0?65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数値生成回路(カウンタ回路)318(この回路には2つのカウンタを内蔵しているものとする)と,所定の球検出センサ,例えば各始動口,入賞口,可変入賞口を通過する遊技球を検出するセンサや,前面枠扉開放センサや内枠開放センサや下皿満タンセンサを含む各種センサ320が出力する信号を受信し,増幅結果や基準電圧との比較結果を乱数値生成回路318および基本回路302に出力するためのセンサ回路322と,所定の図柄表示装置,例えば特図1表示装置212や特図2表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324と,所定の図柄表示装置,例えば普図表示装置210の表示制御を行うための駆動回路326と,各種状態表示部328(例えば,普図保留ランプ216,特図1保留ランプ218,特図2保留ランプ220,高確中ランプ222等)の表示制御を行うための駆動回路330と,所定の可動部材,例えば特図2始動口232の羽根部材232aや可変入賞口234,235の扉部材等を開閉駆動する各種ソレノイド332を制御するための駆動回路334と,を接続している。本例では水晶発振器316aと乱数値生成回路318とが別に設けられているが,水晶発振器316aは乱数値生成回路318に含まれていてもよい。」

(ウ)「【0060】
次に,図5(a)?(d)を用いて,パチンコ機100の特図1表示装置212,特図2表示装置214,装飾図柄表示装置208,普図表示装置210が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図5(a)は特図1の停止図柄態様の一例を示したものであり,図5(b)は特図2の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され,特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると,特図1表示装置212は,7個のセグメントの全点灯と,中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また,特図2変動遊技が開始されると,特図2表示装置214は,7個のセグメントの全点灯と,中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本例示形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。そして,特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると,特図1表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し,特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると,特図2表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって,「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで,あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本例示形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し,以下,この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回,連続して行われることがある。」

(エ)「【0077】
次に,図7を用いて,主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお,同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。主制御部300は,所定の周期(本例では約2msに1回)でタイマ割込信号を発生するカウンタタイマ312を備えており,このタイマ割込信号を契機として主制御部タイマ割込処理を所定の周期で開始する。」

(オ)「【0089】
特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合,乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに,RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は,特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納される。特図1乱数値記憶領域内では,特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが消去されるとともに,残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また,特図1保留数が1つ増えるごとに,保留順位が最下位(最後)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが書き込まれる。
【0090】
特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図2保留数記憶領域が満タンでない場合,乱数値生成回路318の特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図2当選乱数値を取得するとともに,RAM308に設けた特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図2乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図2乱数値記憶領域内の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組は,特図2保留数記憶領域に記憶された特図2保留数と同数分だけ格納される。特図2乱数値記憶領域内では,特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが消去されるとともに,残余の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また,特図2保留数が1つ増えるごとに,保留順位が最下位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが書き込まれる。」

(カ)「【0118】
ステップS229の特図2関連抽選処理の場合には,主制御部300は,特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し,取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて,ROM306に記憶された当否判定用テーブル(後述する図10(a)?(d)参照)を用いて大当りとするか,小当り(本例では小当りは特図1でのみ選択され得る)とするか,あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う。次いで,主制御部300は,取得した特図2始動情報内の特図2乱数値および決定した当否判定結果などに基づいて,ROM306に記憶された特図決定用テーブル(後述する図11(a),(b)参照)を用いて特図2の変動表示後に停止表示する図柄(停止図柄)の決定を行う。次いで,主制御部300は,例えば,決定した当否判定結果,停止図柄,当該当否判定時の特図2保留数,取得した特図変動時間決定用乱数値等に基づいて,ROM306に記憶された各種テーブル(後述する図12および図13参照)を用いて特図2の変動表示時間(タイマ番号)の決定を行う。
・・・
【0120】
以上のような特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に,特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。」

(キ)「【0132】
図8は,主制御部タイマ割込処理の特図先読み処理(ステップS224)の流れの一例を示すフローチャートである。特図先読み処理では,主制御部300は,特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報を先読みして,当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定し,事前判定結果(特図先読み結果)をRAM308内の先読み結果記憶部(図9(a)?(c)参照)に記憶する。
・・・
【0136】
ステップS303では,増加した特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を,特図2関連抽選処理(ステップS229)での当否判定処理よりも前に,特図2乱数値記憶領域から先読みする。そして,先読みした特図2始動情報と,例えば当否判定時に用いる当否判定用テーブルおよび特図決定用テーブルを用いて,当該始動情報に係る特図2変動遊技の停止図柄を,特図2関連抽選処理(ステップS229)での当否判定処理よりも前に事前判定する。なお,この事前判定処理は,当否判定時に用いるテーブルではなく事前判定用の特別のテーブルを用いて行ってもよい。
【0137】
ステップS303の次のステップS305では,事前判定で得られた特図2先読み結果としての停止図柄情報をRAM308内の特図2用先読み結果記憶部の最先の空き領域に記憶する。その後,ステップS307に移行する。
・・・
【0140】
ステップS311では,増加した特図1始動情報(特図1当選乱数値および特図1乱数値の組)を,特図1関連抽選処理(ステップS231)での当否判定処理よりも前に,特図1乱数値記憶領域から先読みする。そして,先読みした特図1始動情報と,例えば当否判定時に用いる当否判定用テーブルおよび特図決定用テーブルを用いて,当該始動情報に係る特図1変動遊技の停止図柄を,特図1関連抽選処理(ステップS231)での当否判定処理よりも前に事前判定する。なお,この事前判定処理は,当否判定時に用いるテーブルではなく事前判定用の特別のテーブルを用いて行ってもよい。
【0141】
ステップS311の次のステップS313では,事前判定で得られた特図1先読み結果としての停止図柄情報をRAM308内の特図1用先読み結果記憶部の最先の空き領域に記憶する。その後,特図先読み処理を終了して主制御部タイマ割込処理に復帰する。」

(ク)「【0148】
以上の説明では,停止図柄のみを事前判定し,停止図柄情報のみを先読み結果記憶部に記憶する例を挙げたがが,当否判定結果や変動タイマ番号(変動時間),後述するタイマグループ等を事前判定し,それらの情報を先読み結果記憶部に記憶するとともに,先読み結果情報として第1副制御部400に送信するようにしてもよい。」

(ケ)「【0196】
また本例では,保留が消化されて特図変動遊技が開始された後に,当該特図変動遊技に対応する1つの変動アイコンが表示される場合がある。変動アイコンは,例えば保留アイコンの表示態様と関連した表示態様からなり,保留アイコンと同様にテクスチャ画像のアニメーションとして表示される。変動アイコンは,その表示態様によって当該変動の当否についての予告(当該変動予告)が可能であり,基本的には当該変動の当否結果が報知されたタイミングで消去される。・・・」

(コ)「【0206】
次に,図19?図27を用いて,第2副制御部500の処理について説明する。図19(a)は,第2副制御部500のCPU504が実行するメイン処理のフローチャートである。まず,図19(a)のステップS801では,各種の初期設定を行う。電源投入が行われると,まずステップS801で初期化処理が実行される。この初期化処理では,入出力ポートの初期設定や,RAM508内の記憶領域の初期化処理等を行う。」

(サ)「【0214】
図20は,第2副制御部メイン処理のステップS809における演出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。演出制御処理のステップS1101では保留アイコン表示制御処理を行い,その次のステップS1103では変動アイコン表示制御処理を行う。保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理の詳細については後述する。なお,保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理は,特図1および特図2で独立して実行されるようにしてもよいし,特図1および特図2で共通して実行されるようにしてもよい。ステップS1103の次のステップS1105では,その他の演出制御処理を行う。
【0215】
図21は,保留アイコン表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず,保留アイコン表示制御処理のステップS1201では,第1副制御部400から送信される先読み結果情報コマンド等の各種コマンドに基づき,特図変動遊技の保留数が増加したか否かを判定する。保留数が増加したと判定した場合にはステップS1203に進み,保留数が増加していないと判定した場合にはステップS1209に進む。
【0216】
ステップS1203では,保留アイコン変更シナリオ抽選処理を行う。保留アイコン変更シナリオ抽選処理では,後述する保留アイコン表示態様抽選用テーブル(図23?図26)を参照して,特図変動遊技の保留数,増加した保留に対応するタイマグループ,および保留アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき,増加した保留についての保留アイコン変更シナリオを抽選で決定する。保留アイコン変更シナリオは,当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様の変化を表す情報であり,例えば「入賞時:白,1変動後:白,2変動後:青」と表される。本例の保留アイコンの表示態様には,「白」,「青」,「赤」,「箱」,「千両箱」がある。なお,増加した保留に対応するタイマグループの情報を取得できない場合(例えば,先読みが実行されていない場合)には,当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様をデフォルトの「白」に設定する。
・・・
【0218】
ステップS1205の次のステップS1207では,増加した保留に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示する処理(例えば,保留アイコンの増加アニメーションを設定する処理を含む)を行う。その後,ステップS1209の処理に移行する。
・・・
【0222】
ステップS1215では,保留アイコン表示位置変更処理を行う。保留アイコン表示位置変更処理では,保留数の減少に応じて,各保留アイコンの表示位置を変更する処理(例えば,保留アイコンの移動アニメーションや消去アニメーション,保留・変動アイコン間の移動アニメーション等を設定する処理を含む)を行う。その後,保留アイコン表示制御処理を終了して演出制御処理に復帰する。」

(シ)「【0224】
ステップS1303では,変動アイコン抽選処理を行う。変動アイコン抽選処理では,例えば,後述する変動アイコン表示態様抽選用テーブル(図27)を参照して,開始された特図変動遊技に対応する保留アイコンの変動開始直前(保留消化直前)の表示グループ(保留アイコンの変動開始直前の表示態様が白,青,赤のいずれかであれば「球系」,箱または千両箱であれば「箱系」),開始された特図変動遊技に対応する変動タイマ,および変動アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき,開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定する。本例の変動アイコンの表示態様には,「白」,「青」,「赤」,「金」,「煙」,「酒」,「刀」,「家紋」がある。なお,変動アイコンの表示態様は,保留アイコンの表示態様と一緒に保留アイコン表示制御処理(ステップS1203)で決定されるようにしてもよい。その場合,ステップS1303の変動アイコン抽選処理を省略することができる。またその場合,変動アイコンの表示態様の情報は,保留アイコン変更シナリオに含まれていてもよい。
【0225】
ステップS1303の次のステップS1305では,決定した表示態様の変動アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示する処理(例えば,保留・変動アイコン間の移動アニメーションや変化アニメーションを設定する処理を含む)を行う。その後,ステップS1307の処理に移行する。」

(ス)「【0238】
図23?図26に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは,増加した保留の変動タイマが属するタイマグループと,保留アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて,当該保留についての保留アイコン変更シナリオが決定される。増加した保留の変動タイマが属するタイマグループは,第1副制御部400からの先読み結果情報コマンド等に基づいて判定され,保留アイコン表示態様抽選用乱数値は,RAM508に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の保留アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0?99(数値範囲の幅は100)である。
・・・
【0242】
図27は,変動アイコン表示制御処理の変動アイコン抽選処理(ステップS1303)で用いられる変動アイコン表示態様抽選用テーブルの一例を示している。図27に示す変動アイコン表示態様抽選用テーブルでは,開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様(保留アイコン表示グループ)と,当該特図変動遊技の変動タイマと,変動アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて,当該変動アイコンの表示態様が決定される。変動アイコン表示態様抽選用乱数値は,RAM508に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の変動アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0?99(数値範囲の幅は100)である。
・・・
【0245】
球系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は,信頼度の高い方から「金」,「赤」,「青」,「白」となっている。箱系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は,信頼度の高い方から「家紋」,「刀」,「酒」,「煙」となっている。なお,変動アイコンの表示態様「刀」および「酒」は,変動中に実行される演出(例えばスーパーリーチ演出)の具体的な内容(例えば,「刀」であれば,剣豪キャラクタと剣で対決する剣豪リーチ演出,「酒」であれば,爺キャラクタと飲み比べで対決する飲み比べリーチ演出)を示唆している。図27に示す各表示態様の大当り信頼度は,非電サポ状態かつ非確変状態の特図1変動遊技における信頼度である。変動アイコンの各表示態様の信頼度は,遊技状態毎に異なっていてもよいし,全ての遊技状態で同じであってもよい。また,各表示態様の信頼度は,特図1と特図2で異なっていてもよいし,特図1と特図2で同じ
であってもよい。」

(セ)「【0260】
保留アイコンの変化アニメーションでは,まず,例えば爆発を表すエフェクト動画像が,保留アイコン902よりも上のレイヤー(手前)で保留アイコン902と重複して表示される(図28(f))。保留アイコン902は,当該エフェクト動画像によって一時的に隠される。エフェクト動画像の表示サイズが徐々に縮小されると,表示態様が「箱」から「千両箱」に変化した保留アイコン902が出現する。本例では,保留アイコン902の変化アニメーションと移動アニメーションとが同時期に実行されるため,保留アイコン902は,移動しながら表示態様が変化するように視認される。
【0261】
図28(h)は,当該特図1変動遊技が終了した状態を示している。図28(h)に示すように,特図1表示装置212には特図E(はずれ)が停止表示されており,図柄表示領域208a?208cには,当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾3-装飾3-装飾1」が停止表示されている。変動アイコン表示領域800では,図28(b)?(d)に示した変動アイコン801の消去アニメーションと同様に,変動アイコン802の消去アニメーションが実行される。
【0262】
図29(a)?(d)は,次の特図1変動遊技が開始された後の状態を示している。図29(a)?(d)に示すように,特図1表示装置212では特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は,左端のLEDを消灯することにより,特図1の保留が1から0に減少したことを表示する。ここで,変動アイコン抽選処理(図22のステップS1303)において,開始された特図1変動遊技に対応する変動アイコン803の表示態様は「家紋」に決定されたものとする。
【0263】
図柄表示領域208a?208cでは,装飾図柄の変動表示が開始される。また,変動アイコン表示領域800および保留アイコン表示領域900では,所定のアニメーション(本例では,保留・変動アイコン間の移動アニメーション,保留・変動アイコン間の変化アニメーション)が実行される。
【0264】
保留・変動アイコン間の移動アニメーションでは,保留アイコン表示領域900の第1領域に表示されていた保留アイコン902が,変動アイコン803となって,表示サイズが徐々に拡大されながら変動アイコン表示領域800に移動する。本例では,移動途中の変動アイコン803は,図柄表示領域208aで変動表示されている装飾図柄の一部と重複する(図29(a))。また本例では,変動アイコン803が装飾図柄よりも上のレイヤーに表示されているため,変動アイコン803によって装飾図柄の一部が遮蔽される。これにより,保留数に変化があったことを強調することができる。なお,変動アイコン803は,装飾図柄の全体と重複してもよいし,装飾図柄よりも下のレイヤーに表示されていてもよい。また,その逆に移動途中の変動アイコンと装飾図柄またはその他の画像の一部または全部が重複しても良い。これにより少なくとも所定の期間において変動アイコンが視認できなくなるため,より遊技者の注目を集めることができる場合がある。
【0265】
保留・変動アイコン間の変化アニメーションは,本例では保留・変動アイコン間の移動アニメーションが終了した後(変動アイコン803が変動アイコン表示領域800に移動した後)に実行される。保留・変動アイコン間の変化アニメーションでは,変動アイコン表示領域800において,変動アイコン803の元の表示態様(保留アイコン902としての最終的な表示態様)である千両箱がガタガタと振動し(図29(b)),千両箱の中から家紋が出現し(図29(c)),最終的には家紋のみが変動アイコン803として表示される(図29(d))。つまり,該変化アニメーションの完了まで移動アニメーションが完了していないとも言える。」

(ソ)図23?26には,保留アイコン表示態様抽選用テーブルが示されており,保留アイコンの変更シナリオとして,少なくとも「白」から「青」,「白」から「青」さらに「赤」,「青」から「赤」,「箱」から「千両箱」に変化する場合があることが示されている。
また,図27には,変動アイコン表示態様抽選用テーブルが示されており,保留アイコン表示グループから変動アイコン表示態様の組として,少なくとも「球系(白,青,赤)」から「白(青,赤)」,「球系(白,青,赤)」から「金」,「箱系(箱,千両箱)」から「煙(,酒,刀,家紋)」に変化する場合があることが示されている。

(タ)上記(エ)の段落【0077】には,主制御部300のCPU304が主制御部タイマ割込処理を実行すること,主制御部タイマ割込処理の一部として,上記(オ)の段落【0089】には,特図1始動口230へ入賞があった場合に特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得すること,段落【0090】には,特図2始動口232へ入賞があった場合に特図2当選乱数値及び特図2乱数値を取得すること,とが記載されていることから,特図1始動口230へ入賞があった場合に特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得する,または,特図2始動口232へ入賞があった場合に特図2当選乱数値及び特図2乱数値を取得するCPU304を有することは,明らかである。

(チ)上記(エ)の段落【0077】には,主制御部300のCPU304が主制御部タイマ割込処理を実行すること,主制御部タイマ割込処理の一部として,上記(カ)の段落【0118】には,主制御部300は,特図2関連抽選処理の場合には,特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し,取得した特図2当選乱数値に基づいて,大当りとするかの当否判定を行うこと,段落【0120】には,特図2関連抽選処理の後に,特図1関連抽選処理が同様にして行われること,とが記載されていることから,取得した特図1当選乱数値または特図2当選乱数値に基づいて,大当りとするかの当否判定を行うCPU304を有することは,明らかである。

(ツ)上記(イ)の段落【0046】には,主制御部300は,主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えていること,段落【0047】には,基本回路302には,特図1表示装置212や特図2表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324を接続していること,上記(ウ)の段落【0060】には,特図1の変動遊技が開始されると,特図1表示装置212は,特図1の変動表示を行い,特図1の変動時間が経過すると特図1の停止図柄態様を停止表示し,また,特図2表示装置214は,特図2の変動表示い,特図2の変動時間が経過すると特図2の停止図柄態様を停止表示すること,上記(カ)の段落【0118】には,主制御部300は,特図2関連抽選処理の場合には,決定した当否判定結果に基づいて,特図2の変動表示後に停止表示する停止図柄の決定を行うこと,段落【0120】には,特図2関連抽選処理の後に,特図1関連抽選処理が同様にして行われること,とが記載されていることから,特図1表示装置212または特図2表示装置214において,特図1変動遊技または特図2変動遊技が開始されると,特図1または特図2変動表示を行い,変動時間が経過すると,当否判定結果に基づいて決定された停止図柄を停止表示する駆動回路324を有しているといえる。

(テ)上記(エ)の段落【0077】には,主制御部300のCPU304が主制御部タイマ割込処理を実行すること,主制御部タイマ割込処理の一部として,上記(オ)の段落【0089】には,特図1始動口230へ入賞があった場合かつ特図1保留数記憶領域が満タンでない場合,特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に格納すること,段落【0090】には,特図2始動口232へ入賞があった場合かつ特図2保留数記憶領域が満タンでない場合,特図2当選乱数値及び特図2乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に格納すること,とが記載されていることから,特図1始動口230へ入賞があった場合かつ特図1保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図1当選乱数値及び特図1乱数値を特図1乱数値記憶領域に格納し,または,特図2始動口232へ入賞があった場合かつ特図2保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図2当選乱数値及び特図2乱数値を特図2乱数値記憶領域に格納するCPU304を有することは,明らかである。

(ト)上記(オ)の段落【0089】には,特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は,特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納され,特図1乱数値記憶領域内では,特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが消去されるとともに,残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理されること,段落【0090】には,特図2乱数値記憶領域内の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組は,特図2保留数記憶領域に記憶された特図2保留数と同数分だけ格納され,特図2乱数値記憶領域内では,特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが消去されるとともに,残余の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理されること,上記(コ)の段落【0206】には,第2副制御部500のCPU504がメイン処理を実行すること,メイン処理の一部として,上記(サ)の段落【0218】には,保留に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示すること,とが記載されていることから,特図1保留数記憶領域に保留されている特図1当選乱数値及び特図1乱数値の組,または,特図2乱数値記憶領域に保留されている特図2当選乱数値及び特図2乱数値の組に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示するCPU504を有しているといえる。

(ナ)上記(エ)の段落【0077】には,主制御部300のCPU304が主制御部タイマ割込処理を実行すること,主制御部タイマ割込処理の一部として,上記(キ)の段落【0136】には,特図2当選乱数値および特図2乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図2乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定すること,段落【0140】には,特図1当選乱数値および特図1乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図1乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定すること,とが記載されていることから,特図1当選乱数値および特図1乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図1乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定し,特図2当選乱数値および特図2乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図2乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定するCPU30を有することは,明らかである。

(ニ)上記(ケ)の段落【0196】には,保留が消化されて特図変動遊技が開始された後に,当該特図変動遊技に対応する1つの変動アイコンが表示される場合があること,上記(コ)の段落【0206】には,第2副制御部500のCPU504がメイン処理を実行すること,上記(サ)の段落【0214】には,第2副制御部メイン処理における演出制御処理では保留アイコン表示制御処理を行うこと,保留アイコン表示制御処理の一部として,段落【0222】には,保留・変動アイコン間の移動アニメーションを行うこと,上記(セ)の段落【0264】には,保留・変動アイコン間の移動アニメーションでは,保留アイコン表示領域900の第1領域に表示されていた保留アイコン902が,変動アイコン803となって,表示サイズが徐々に拡大されながら変動アイコン表示領域800に移動すること,とが記載されており,CPU504は,保留アイコンを,保留に対応する特図変動遊技が開始された後に,変動アイコンとして表示サイズが徐々に拡大されながら表示させることが可能である,といえる。

(ヌ)上記(ク)の段落【0148】には,変動タイマ番号,タイマグループを事前判定し,先読み結果記憶部に記憶すること,上記(サ)の段落【0216】には,保留に対応するタイマグループに基づき,保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様の変化を表す情報である保留アイコン変更シナリオを抽選で決定すること,上記(シ)の段落【0224】には,開始された特図変動遊技に対応する変動タイマに基づき,開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定すること,変動アイコンの表示態様は,保留アイコンの表示態様と一緒に決定されるようにしてもよく,その場合,変動アイコンの表示態様の情報は,保留アイコン変更シナリオに含まれていてもよいこと,とが記載されている。
また,上記(ス)の段落【0238】には,図23?26の保留アイコン表示態様抽選テーブルでは,保留の変動タイマが属するタイマグループに基づいて,当該保留についての保留アイコン変更シナリオが決定されること,段落【0242】には,図27の変動アイコン表示態様抽選用テーブルを用いて,開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様と,当該特図変動遊技の変動タイマに基づいて,当該変動アイコンの表示態様が決定されること,とが記載されている。
そして,上記(セ)の段落【0265】には,変動アイコン表示領域800において,保留アイコン902としての最終的な表示態様である千両箱の中から家紋が出現し,家紋のみが変動アイコン803として表示されることが記載されており,変動アイコンとして上記(ソ)の図27における保留アイコン表示グループのいずれかが表示されてから,変動アイコン表示態様に変化する場合があるといえる。
以上のことから,事前判定の結果に基づき,変動アイコンの表示態様を決定するとともに,決定された変動アイコンの表示態様に,保留アイコンのときに変化する場合と,変動アイコンとして表示されてから変化する場合とがある,といえる。

(ネ)上記(ス)の段落【0245】には,変動アイコンの表示態様「刀」および「酒」は,スーパーリーチ演出の具体的な内容を示唆していることが記載されていることから,変動アイコンの表示態様「刀」または「酒」に表示態様が変化した後に,スーパーリーチ演出を行うことが可能であるといえる。
上記(ソ)の図27には,変動アイコンの表示態様「刀」及び「酒」は,保留アイコン表示グループの表示態様に存在しないことから,変動アイコンとして表示されてから決定された変動アイコンの表示態様に変化する場合にのみ選択される表示態様であるといえる。
したがって,変動アイコンとして表示されてから決定された変動アイコンの表示態様に変化する場合に,当該変動アイコンを決定された変動アイコンの表示態様に変化させ,その後,スーパーリーチ演出を行うことが可能である,といえる。

上記の記載事項(ア)?(セ),及び上記の認定事項(ソ)?(ネ)から,刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。

「特図1始動口230へ入賞があった場合に特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得する,または,特図2始動口232へ入賞があった場合に特図2当選乱数値及び特図2乱数値を取得するCPU304と,
取得した特図1当選乱数値または特図2当選乱数値に基づいて,大当りとするかの当否判定を行うCPU304と,
特図1表示装置212または特図2表示装置214において,特図1変動遊技または特図2変動遊技が開始されると,特図1または特図2変動表示を行い,変動時間が経過すると,当否判定結果に基づいて決定された停止図柄を停止表示する駆動回路324と,
特図1始動口230へ入賞があった場合かつ特図1保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図1当選乱数値及び特図1乱数値を特図1乱数値記憶領域に格納し,または,特図2始動口232へ入賞があった場合かつ特図2保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図2当選乱数値及び特図2乱数値を特図2乱数値記憶領域に格納するCPU304と,
特図1保留数記憶領域に保留されている特図1当選乱数値及び特図1乱数値の組,または,特図2乱数値記憶領域に保留されている特図2当選乱数値及び特図2乱数値の組に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示するCPU504と,
特図1当選乱数値および特図1乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図1乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定し,特図2当選乱数値および特図2乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図2乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定するCPU304と,
を備え,
CPU504は,
保留アイコンを,保留に対応する特図変動遊技が開始された後に,変動アイコンとして表示サイズが徐々に拡大されながら表示させることが可能であり,
事前判定の結果に基づき,変動アイコンの表示態様を決定するとともに,決定された変動アイコンの表示態様に,保留アイコンのときに変化する場合と,変動アイコンとして表示されてから変化する場合とがあり,
変動アイコンとして表示されてから決定された変動アイコンの表示態様に変化する場合に,当該変動アイコンを決定された変動アイコンの表示態様に変化させ,その後,スーパーリーチ演出を行うことが可能である,パチンコ機100。」

(1-2)刊行物2
本願の出願日前に頒布された特開2011-175号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0038】
図3は,遊技機100の制御系の一部を示すブロック図である。
図3に示すように,遊技機100は,その制御系として遊技の進行を制御するメイン制御装置としての遊技制御装置30,この遊技制御装置30の制御下で各種の演出に関する制御を行うサブ制御装置としての演出制御装置40とを備えている。」

(イ)「【0057】
また,先読み予告表示では,例えば保留玉の表示色や表示模様により,その始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターン(例えば,リーチの発生やリーチ種類など)や大当たりとなる期待度を示唆する。遊技機100は,疑似連予告演出を実行可能に構成されており,先読み予告表示により疑似連数も報知できるようになっている。
疑似連予告演出とは,1回の変動表示ゲームにおいて,例えば特定の図柄の並びで一時的に停止した後,再び図柄変動と停止を行い,擬似的に複数回変動表示ゲームが行われているように見せる予告演出である。以下において,図柄変動の停止→再変動がn回行われる疑似連予告を疑似(n+1)連と称し,このときの疑似連数を(n+1)で表すこととする。例えば,図柄変動が1回停止して再変動した場合は疑似2連となり,このときの疑似連数は2となる。
・・・
【0059】
図13(a)は,確変状態(確変状態)において参照される変動パターン決定用テーブルである。すなわち,確変状態では,変動パターン決定用乱数が“0?74”のときに変動時間の短い変動パターン(短変動,例えば変動時間3秒)となり,“87?99”のときにはノーマルリーチやノーマルリーチに比較して変動時間が長く演出が派手なSPリーチを発生させる変動パターンとなる。
変動パターン決定用乱数が“75?77”のときには変動開始時に1回の特殊演出(疑似連予告,例えば,後述する流れ星演出)を伴うSPリーチを発生させる変動パターンとなる。この変動パターンを便宜上疑似1連と呼ぶ。また,変動パターン決定用乱数が“78?80”のときには2回の疑似連予告を伴ってSPリーチを発生させる変動パターン(疑似2連)となり,“81?83”のときには3回の疑似連予告を伴ってSPリーチを発生させる変動パターン(疑似3連)となり,“84?86”のときには4回の疑似連予告を伴ってSPリーチを発生させる変動パターン(疑似4連)となる。」

(ウ)「【0076】
上述したように,遊技制御装置30は,特図ゲーム処理(図5のステップS19)において,始動入賞に基づいて変動表示ゲームの特図当たり判定用乱数及び変動パターン決定用乱数を抽出し,始動記憶に対応付けて記憶する。
そして,特図変動表示ゲームの開始時に,特図当たり判定用乱数値とROM31cに記憶されている大当たり判定値又は小当たり判定値を比較し,大当たり又は小当たりの当否を判定する(特図当たり抽選,特図普段処理)。また,当該始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターンを決定し,この変動パターンに従って特図1表示器22A又は特図2表示器22Bにおいて実行する。特図当たり抽選結果が大当たりの場合は,特図1表示器22A又は特図2表示器22Bに特別結果態様を表示させるとともに特別遊技状態を発生させる。特図当たり抽選結果が小当たりの場合は,特図1表示器22A又は特図2表示器22Bに小当たり結果態様を表示させるとともに小当たり状態を発生させる。一方,特図変動表示ゲームの結果がハズレの場合は,特図1表示器22A又は特図2表示器22Bにハズレの結果態様を表示させる。」

(エ)「【0112】
図14は,液晶表示装置50における表示内容の一例を示す説明図である。
図14に示すように,表示画面の略中央部には3つの識別図柄による飾り特図変動表示ゲームが表示され,下部には飾り特図始動記憶表示51?53が表示される。飾り特図始動記憶表示51は,特図1始動入賞に伴い発生する特図1始動記憶の有無を示す表示であり,斜線ありの飾り特図始動記憶表示51aで特図1始動記憶がある状態を示し,斜線なしの飾り特図始動記憶表示51bで特図1始動記憶がない状態を示している。また,飾り特図始動記憶表示52は,特図2始動入賞に伴い発生する特図2始動記憶の有無を示す表示であり,斜線ありの飾り特図始動記憶表示52aで特図2始動記憶がある状態を示し,斜線なしの飾り特図始動記憶表示52bで特図2始動記憶がない状態を示している。つまり,図14に示す状態は,特図1始動記憶が3個,特図2始動記憶が1個ある状態となる。
【0113】
本実施形態では,飾り特図始動記憶表示51,52の表示態様により,その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームの内容などを報知する。例えば,飾り特図始動記憶表示51,52の表示色を変化させたり,飾り特図始動記憶表示51,52内に特定の文字・数字,図形,又は記号(これらの組合せを含む)を表示させたりすることで,その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームで当たりとなる期待度(特図変動表示ゲームの信頼度)や,当該特図変動表示ゲームの変動パターン(例えば,リーチの発生,リーチ種類,疑似連予告演出の実行(疑似連数を含む)など)を報知する。
飾り特図始動記憶表示51,52の表示色は,例えば,通常は青色とされ,対応する特図変動表示ゲームの信頼度が高くなるに従って,青→黄→赤と変化する。そして,飾り特図始動記憶表示51,52の表示色が黄色又は赤色となったときは,当該特図始動記憶が発生したタイミング(特図始動入賞のタイミング)に応じて,当該特図変動表示ゲーム又は次の特図変動表示ゲームから本連予告演出が実行される。
【0114】
飾り特図始動記憶表示53は,当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である。特図変動表示ゲームの終了後,次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51,52が飾り特図始動記憶表示53の表示領域にシフトされ,拡大表示される。遊技者は,飾り特図始動記憶表示53の表示態様により,当該変動表示ゲームが特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームのいずれなのか,当該変動表示ゲームにおいてリーチが発生するか否か,疑似連予告演出が実行されるか否か,また,疑似連が何変動継続するか,などを知得することができる。
図14では,飾り特図始動記憶表示53が特図1始動記憶であることを示す表示態様(斜線入りの○)となっているので,特図1変動表示ゲームで大当たりが発生したこととなる。」

(オ)「【0139】
第1実施形態では,当該変動に係る飾り特図始動記憶表示53の中に,その特図始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターンを示唆する情報を表示するようにしている。図22?24には,変動パターンを示唆する飾り特図始動記憶表示の一例について示している。
図22では,飾り特図始動記憶表示53の中に,「ちょい熱」マーク,「カス」マーク,「?」マークが配置されており,疑似3連の疑似連予告演出が発生することと,その疑似連予告演出の1変動サイクルごとの内容が報知されている。例えば,「カス」<「?」<「ちょい熱」の順で期待度が高くなるように設定されている。なお,飾り特図始動記憶表示53の中に配置されるマークは上述したものに制限されず,リーチ種類を示唆するものや大当たりを示唆するものなど,一般的に大当たりとなる期待度を示唆できるものであればよい。
【0140】
図22(a)に示す状態において「カス」マークに対応する疑似1連目の変動サイクルが実行されると,飾り特図始動記憶表示53の態様は図22(b)に示す状態に移行する。このときの変動サイクルでは,例えば比較的短い変動時間でリーチも発生することなくハズレの結果態様が導出される。
図22(b)に示す状態で「?」マークに対応する疑似2連目の変動サイクルが実行されると,図22(c)に示す状態に移行する。このときの変動サイクルでは,例えばノーマルリーチを経てハズレの結果態様が導出される。
図22(c)に示す状態で「ちょい熱」マークに対応する疑似3連目の変動サイクルが実行されると,期待度の低いSPリーチが発生し,特図当たり抽選結果に基づく結果態様(例えば,ハズレの結果態様)が導出される。
【0141】
ここで,疑似連予告演出の1変動サイクルごとの内容を示す表示は,飾り特図始動記憶表示51?53において報知される変動パターンや大当たりを予告するときの表示と同じとされている。つまり,飾り特図始動記憶表示51,52が図22(c)に示す表示態様となっていれば,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲームにおいて期待度の低いSPリーチが発生し,特図当たり抽選結果に基づく結果態様(例えば,ハズレの結果態様)が導出されることとなる。
これにより,疑似連予告演出自体の発生頻度は少なくても,通常の変動表示ゲームにおける飾り特図始動記憶表示51?53から,疑似連予告演出を構成する1変動サイクルごとの内容を容易に把握することができる。
【0142】
図23では,飾り特図始動記憶表示53の中に扇形の斜線領域531が設けられ,その中に「カス」マークが配置され,斜線領域531の外に「ちょい熱」マークと「?」マークが配置されている。この例では,斜線領域531に配置されたマークにより,疑似連予告演出において実行される次の変動サイクルの内容を示している。つまり,図23(a)に示す状態であれば,「カス」マークに対応する疑似1連目の変動サイクルが実行され,例えば比較的短い変動時間でリーチも発生することなくハズレの結果態様が導出される。
これにより,疑似連予告演出を構成する変動サイクルの内容だけでなく,消化される順番によって,疑似連予告演出を伴う特図変動表示ゲームに対する遊技者の期待感を様々に変化させることができる。例えば,期待度の低い内容から順番に変動サイクルが消化されることで,最終的に期待度の高い変動サイクルが実行されることとなるので,この場合が遊技者の期待感は最も高くなる。」

(カ)上記(エ)の段落【0112】には,飾り特図始動記憶表示51は,特図1始動入賞に伴い発生する特図1始動記憶の有無を示す表示であり,飾り特図始動記憶表示52は,特図2始動入賞に伴い発生する特図2始動記憶の有無を示す表示であること,段落【0114】には,飾り特図始動記憶表示51,52は,次に実行される特図変動表示ゲームに対応する表示であること,飾り特図始動記憶表示53は,当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示であること,とが記載されている。そして,飾り特図始動記憶表示51,52は,次に実行される特図変動表示ゲームに対応する表示であるから,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム前に表示されるものことは,明らかである。
また,上記(オ)の段落【0140】には,疑似2連目の変動サイクルが実行されると,図22(c)の「ちょい熱」マークのみの表示態様に移行し,「ちょい熱」マークに対応する疑似3連目の変動サイクルが実行されると,SPリーチが発生すること,段落【0141】には,飾り特図始動記憶表示51,52が図22(c)の「ちょい熱」マークのみの表示態様となって,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲームにおいてSPリーチが発生する場合があること,とが記載されている。
これらのことから,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム前に飾り特図始動記憶表示51,52において最終的な表示態様(図23(c)の「ちょい熱」マークのみの表示態様)となる場合と,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム中に飾り特図始動記憶表示53において(疑似2連目の変動サイクルが実行されると,疑似3連目の変動サイクルの実行前に),最終的な表示態様となる場合(図23(c)の「ちょい熱」マークのみの表示態様)とがある,といえる。

(キ)上記(ア)の段落【0038】には,遊技機100は,遊技制御装置30を備えていること,上記(イ)の段落【0057】には,遊技機100は,疑似連予告演出を実行可能であること,段落【0059】には,変動パターンとして疑似連予告を伴う変動パターンがあること,上記(ウ)の段落【0076】には,遊技制御装置30は,当該始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターンを決定し,この変動パターンに従って特図1表示器22A又は特図2表示器22Bにおいて実行すること,とが記載されていることから,遊技機100は遊技制御装置30を備え,遊技制御装置30は,特図1表示器22A又は特図2表示器22Bにおいて疑似連予告を伴う変動パターンの変動表示ゲームを実行可能である,ことは明らかである。

(ク)上記(オ)の段落【0139】には,図22,23に変動パターンを示唆する飾り特図始動記憶表示が示されていること,図22では,飾り特図始動記憶表示53の中に,「ちょい熱」マーク,「カス」マーク,「?」マークが配置されており,疑似3連の疑似連予告演出が発生することが報知されていること,「カス」<「?」<「ちょい熱」の順で期待度が高くなるように設定されていること,段落【0140】には,飾り特図始動記憶表示53の態様が,図22(a)に示す状態において「カス」マークに対応する疑似1連目の変動サイクルが実行されると,図22(b)に示す状態に移行し,図22(b)に示す状態で「?」マークに対応する疑似2連目の変動サイクルが実行されると,図22(c)に示す状態に移行し,図22(c)に示す状態で「ちょい熱」マークに対応する疑似3連目の変動サイクルが実行されると,SPリーチが発生すること,段落【0142】には,図23では,飾り特図始動記憶表示53の中に扇形の斜線領域531が設けられ,その中に「カス」マークが配置され,斜線領域531の外に「ちょい熱」マークと「?」マークが配置され,斜線領域531に配置されたマークにより,疑似連予告演出において実行される次の変動サイクルの内容を示していること,期待度の低い内容から順番に変動サイクルが消化されることで,最終的に期待度の高い変動サイクルが実行されること,とが記載されている。
このことから,飾り特図変動記憶表示53において,疑似1連目の変動サイクルの前に所定の期待度の表示(図23(a)の扇形の斜線領域に「カス」マークが配置された表示)がなされ,疑似2連目の変動サイクル前に所定の期待度よりも高い期待度の表示(図23(b)の扇形の斜線領域の中に「?」マークが配置される表示)がなされ,疑似3連目の変動サイクルの前にさらに高い期待度の表示(図23(c)の「ちょい熱」マークのみの表示)がなされ,その後,SPリーチが発生することが記載されているといえ,上記(イ)の段落【0057】の図柄変動の停止→再変動がn回行われる疑似連予告を疑似(n+1)連と称し,このときの疑似連数を(n+1)で表すこと,との記載を参酌すると,飾り特図変動記憶表示53において,疑似連予告における疑似n連目の変動サイクル前に所定の期待度の表示に移行させ,疑似n+1連目の変動サイクル前に所定の期待度よりも高い期待度の表示に移行させ,その後,SPリーチが発生することが可能である,といえる。
そして,上記(カ)で検討したとおり,「SPリーチが発生する」のは,図23(c)の「ちょい熱」マークのみの表示がなされる場合,言い換えれば,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム中に飾り特図始動記憶表示53において最終的な表示態様となる場合である。
したがって,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム中に飾り特図始動記憶表示53において最終的な表示態様となる場合,飾り特図変動記憶表示53において,疑似連予告における疑似n連目の変動サイクル前に所定の期待度の表示に移行させ,疑似n+1連目の変動サイクル前に所定の期待度よりも高い期待度の表示に移行させ,その後,SPリーチが発生することが可能である,といえる。

上記の記載事項(ア)?(オ),及び上記の認定事項(カ)?(ク)から,刊行物2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。

「当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム前に飾り特図始動記憶表示51,52において最終的な表示態様となる場合と,当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム中に飾り特図始動記憶表示53において最終的な表示態様となる場合とがあり,
遊技制御装置30は,特図1表示器22A又は特図2表示器22Bにおいて疑似連予告を伴う変動パターンの変動表示ゲームを実行可能であり,
当該特図始動記憶に係る変動表示ゲーム中に飾り特図始動記憶表示53において最終的な表示態様となる場合,飾り特図変動記憶表示53において,疑似連予告における疑似n連目の変動サイクル前に所定の期待度の表示に移行させ,疑似n+1連目の変動サイクル前に所定の期待度よりも高い期待度の表示に移行させ,その後,SPリーチが発生することが可能である,遊技機100。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。

(a)引用発明1の「特図1始動口230へ入賞があった場合」または「特図2始動口232へ入賞があった場合」は,本願補正発明の「始動条件が成立する」場合に,相当する。
また,引用発明1の「特図1当選乱数値及び特図1乱数値」または「特図2当選乱数値及び特図2乱数値」は,本願補正発明の「判定情報」に相当する。
これらのことから,引用発明1の「特図1始動口230へ入賞があった場合に特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得する,または,特図2始動口232へ入賞があった場合に特図2当選乱数値及び特図2乱数値を取得するCPU304」は,本願補正発明の「始動条件が成立すると,判定情報を取得する取得手段」を含んでいる。

(b)引用発明1の「大当りとするかの当否判定」は,本願補正発明の「特別遊技を行うか否かの特別遊技判定」に相当する。
このことから,引用発明1の「取得した特図1当選乱数値または特図2当選乱数値に基づいて,大当りとするかの当否判定を行うCPU304」は,本願補正発明の「前記取得手段により取得された判定情報に基づいて,特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段」に相当する。

(c)引用発明1の「特図1表示装置212または特図2表示装置214」は,本願補正発明の「所定の図柄表示手段」に相当する。
また,引用発明1の「当否判定結果」は,本願補正発明の「特別遊技判定の結果」に相当する。
これらのことから,引用発明1の「特図1表示装置212または特図2表示装置214において,特図1変動遊技または特図2変動遊技が開始されると,特図1または特図2変動表示を行い,変動時間が経過すると,当否判定結果に基づいて決定された停止図柄を停止表示する駆動回路324」は,本願補正発明の「所定の図柄表示手段において,所定の図柄を変動表示させてから停止表示させることにより,前記特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段」に相当する。

(d)引用発明1の「特図1始動口230へ入賞があった場合かつ特図1保留数記憶領域が満タンでない場合」は,少なくとも図柄の変動中および停止中の場合を含むことから,本願補正発明の「図柄の変動中」を包含するものである。
そして,引用発明1の「取得した特図1当選乱数値及び特図1乱数値を特図1乱数値記憶領域に格納」すること,または,「得した特図2当選乱数値及び特図2乱数値を特図2乱数値記憶領域に格納する」ことは,本願補正発明の「当該判定情報を前記特別遊技判定の権利として保留する」ことに他ならない。
したがって,引用発明1の「特図1始動口230へ入賞があった場合かつ特図1保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図1当選乱数値及び特図1乱数値を特図1乱数値記憶領域に格納し,または,特図2始動口232へ入賞があった場合かつ特図2保留数記憶領域が満タンでない場合に取得した特図2当選乱数値及び特図2乱数値を特図2乱数値記憶領域に格納するCPU304」は,本願補正発明の「前記図柄の変動中に前記判定情報が取得されると,当該判定情報を前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段」に相当する。

(e)引用発明1の「保留アイコン」及び「装飾図柄表示装置208」は,それぞれ本願補正発明の「権利画像」及び「画像表示手段」に相当する。
このことから,引用発明1の「特図1保留数記憶領域に保留されている特図1当選乱数値及び特図1乱数値の組,または,特図2乱数値記憶領域に保留されている特図2当選乱数値及び特図2乱数値の組に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示するCPU50」は,本願補正発明の「前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利を示す権利画像を画像表示手段の所定の表示領域に表示させる演出制御手段」に相当する。

(f)引用発明1の「停止図柄を事前判定」することは,本願補正発明の「特別遊技を行うか否かの事前判定」することと,技術的に同じである。
このことから,引用発明1の「特図1当選乱数値および特図1乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図1乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定し,特図2当選乱数値および特図2乱数値の組を,当否判定処理よりも前に,特図2乱数値記憶領域から先読みして停止図柄を事前判定するCPU304」は,本願補正発明の「前記保留記憶手段に保留された前記権利に対応する判定情報に対して特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段」を含んでいる。

(g)上記(e)で検討したとおり,引用発明1の「保留アイコン」は本願補正発明の「権利画像」に相当し,また,引用発明1の「変動アイコン」は本願補正発明の「変動中画像」に相当する。
また,引用発明1の「特図変動遊技が開始された後」とは,当否判定(特別遊技判定)が行われた後であることは自明である。
これらのことから,引用発明1の「保留アイコンを,保留に対応する特図変動遊技が開始された後に,変動アイコンとして」「表示させることが可能」であることは,本願補正発明と,「前記権利画像を,当該権利画像によって示される前記権利に対応する判定情報に対して前記特別遊技判定が行われた後も,変動中画像として」「表示させることが可能」である点で共通している。

(h)引用発明1の事前判定の結果に基づき決定された「変動アイコンの表示態様」は,それ以上,表示態様が変化することはないから,本願補正発明の「最終的な前記変動中画像の表示態様」に相当する。
また,引用発明1の「決定された変動アイコンの表示態様に,保留アイコンのときに変化する場合」は,本願補正発明の「決定した表示態様に,前記変動中画像として表示させる前に変化させる」場合に相当し,また,引用発明1の「決定された変動アイコンの表示態様に」「変動アイコンとして表示されてから変化する場合」は,本願補正発明の「決定した表示態様に」「前記変動中画像として表示させてから変化させる」場合に相当するといえる。
以上のことから,引用発明1の「事前判定の結果に基づき,変動アイコンの表示態様を決定するとともに,決定された変動アイコンの表示態様に,保留アイコンのときに変化する場合と,変動アイコンとして表示されてから変化する場合とがある」ことは,本願補正発明の「所定の判定情報に対して行われた前記事前判定の結果に基づいて,最終的な前記変動中画像の表示態様を複数の表示態様のうちの何れかに決定するとともに,決定した表示態様に,前記変動中画像として表示させる前に変化させるときと,前記変動中画像として表示させてから変化させるときと,があ」ることと,技術的に同じといえる。

(i)上記(h)で検討したように,引用発明1の「変動アイコンとして表示されてから決定された変動アイコンの表示態様に変化する場合」は,本願補正発明の「前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合」に相当する。
また,引用発明1の「スーパーリーチ演出」は,本願補正発明の「前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出」に相当することは明らかである。
これらのことから,引用発明1の「変動アイコンとして表示されてから決定された変動アイコンの表示態様に変化する場合に」「その後,スーパーリーチ演出を行うことが可能である」ことは,本願補正発明と,「前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合,」「その後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行うことが可能である」点で,共通する。

(j)引用発明1の「パチンコ機100」は,本願補正発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(j)により,本願補正発明と引用発明1とは,
「始動条件が成立すると,判定情報を取得する取得手段と,
前記取得手段により取得された判定情報に基づいて,特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と,
所定の図柄表示手段において,所定の図柄を変動表示させてから停止表示させることにより,前記特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と,
前記図柄の変動中に前記判定情報が取得されると,当該判定情報を前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利を示す権利画像を画像表示手段の所定の表示領域に表示させる演出制御手段と,
前記保留記憶手段に保留された前記権利に対応する判定情報に対して特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と,を備え,
前記演出制御手段は,
前記権利画像を,当該権利画像によって示される前記権利に対応する判定情報に対して前記特別遊技判定が行われた後も,変動中画像として表示させることが可能であり,
所定の判定情報に対して行われた前記事前判定の結果に基づいて,最終的な前記変動中画像の表示態様を複数の表示態様のうちの何れかに決定するとともに,決定した表示態様に,前記変動中画像として表示させる前に変化させるときと,前記変動中画像として表示させてから変化させるときと,があり,
前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合,その後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行うことが可能である,遊技機。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
権利画像を,当該権利画像によって示される前記権利に対応する判定情報に対して前記特別遊技判定が行われた後も,変動中画像として表示させる場合に,本願補正発明は,「継続して」表示させるのに対し,引用発明1では,「表示サイズが徐々に拡大されながら」表示させる点。

[相違点2]
本願補正発明は,「前記図柄表示制御手段によって前記図柄が変動表示されてから停止表示されるまでの間に,擬似変動演出を複数回行なうことが可能であ」るのに対し,引用発明1はそのような特定がない点。

[相違点3]
「前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合」に,「その後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行う」前に,本願補正発明は,「第N(Nは正の整数)回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像を前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,その後,第N+1回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像をさらに前記可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ」るのに対し,引用発明1は「当該変動アイコンを決定された変動アイコンの表示態様に変化させ」るのみである点。

(3)判断
上記相違点について検討する。

[相違点1について]
本願補正発明において,権利画像を変動中画像として継続して表示するとは,権利画像と変動中画像とが全く同一の画像として継続して表示されるとも解釈できる。
そして,遊技機において,権利画像や変動中画像の表示態様は,当業者が適宜設定するものであるから,引用発明1の,権利画像(保留アイコン)に対し,変動中画像(変動アイコン)の表示サイズが徐々に拡大されながら表示される態様に替えて,全くの同一の画像として継続して表示される態様を用いた構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たものである。

[相違点2について]
引用発明2の「遊技制御装置30」は,図柄の表示制御を行う手段である。また,引用発明2の「疑似連予告」は,図柄が変動表示されてから停止表示されるまでの間に,擬似変動演出を複数回行なうものであることは,明らかである。

そして,引用発明1も引用発明2も共に,遊技機において図柄表示制御手段により図柄を変動表示させるものであるから,引用発明1の図柄表示制御手段(駆動回路324)について,引用発明2に基づき,疑似連予告を伴う変動パターンの変動表示を実行可能とすること,すなわち上記相違点2に係る本願補正発明の構成にすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点3について]
引用発明2の「飾り特図始動記憶表示53」は,変動中の保留画像(変動中画像)である。
また,引用発明2の「疑似連予告」における「疑似n連目の変動サイクル」及び「疑似n+1連目の変動サイクル」は,言い換えれば,それぞれ,第N(Nは正の整数)回目の擬似変動演出及び第N+1回目の擬似変動演出であるといえる。
さらに,引用発明2の「所定の期待度の表示」と「所定の期待度よりも高い期待度の表示」との関係は,特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する表示態様とさらに前記可能性が高いことを示唆する表示態様との関係と同じ意味を持つ。

そして,引用発明1も引用発明2も共に,権利画像(引用発明1の「保留アイコン」,引用発明2の「飾り特図始動記憶表示51,52」)において最終的な表示態様となる場合と,変動中画像(引用発明1の「変動アイコン」,引用発明2の「飾り特図始動記憶表示53」)として表示されてから,最終的な表示態様となる場合とがあり,変動中画像として表示されてから最終的な表示態様となる場合には,最終的な表示態様に変化させた後にスーパーリーチ演出を行うことが可能である点で共通しているから,特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行う前に,引用発明1では,当該変動アイコンを決定された変動アイコンの表示態様に変化させる構成であるところ,引用発明2に基づき,変動中画像において,疑似連予告における疑似n連目の変動サイクル前に所定の期待度の表示に移行させ,疑似n+1連目の変動サイクル前に所定の期待度よりも高い期待度の表示に移行させること,すなわち上記相違点3に係る本願補正発明の構成にすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

また,本願補正発明の作用効果は,引用発明1?2からみて,当業者の予測し得ない格別なものではない。

よって,本願補正発明は引用発明1?2に基づいて当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1?2に係る発明は,平成27年4月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,「第2[理由]1.本件補正の概要」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

1.刊行物1
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明1の認定については,「第2[理由]3.(1)(1-1)刊行物1」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は,上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から,構成要件である「演出制御手段」について,名称を「画像表示制御手段」に変更するとともに,「前記図柄表示制御手段によって前記図柄が変動表示されてから停止表示されるまでの間に,擬似変動演出を複数回行なうことが可能であり,前記変動中画像として表示させてから当該変動中画像を前記決定した表示態様に変化させる場合,第N(Nは正の整数)回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像を前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,その後,第N+1回目の前記擬似変動演出が行われる前に,前記変動中画像をさらに前記可能性が高いことを示唆する表示態様に変化させ,さらにその後,前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆するリーチ演出を行うことが可能である」との限定を省いたものである。
してみると,本願発明は,本願補正発明について検討した「第2[理由]3.(2)対比」における[相違点2]および[相違点3]に対応する構成が存在しないことを除いて,本願補正発明と同じ構成であるから,本願発明と引用発明1とは,同[相違点1]と同等の相違点において相違するほかは,すべて一致している。
そして,上記相違点における本願発明の構成は,「第2[理由]3.(3)判断」に[相違点1について]に係る判断として記載したのと同じ理由により,引用発明1に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。
さらに,本願発明の作用効果も,引用発明1から当業者が予測できる範囲のものであり,格別顕著なものとはいえない。
したがって,本願発明は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-06 
結審通知日 2016-12-07 
審決日 2016-12-20 
出願番号 特願2013-214721(P2013-214721)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 加舎 理紅子
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 寺本 亮  
代理人 小沢 昌弘  

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