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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65H
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1324832
異議申立番号 異議2016-700247  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-24 
確定日 2016-12-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5787836号発明「ウェブ折り畳み装置、印刷機、折帖の製作方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5787836号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし12〕、13について訂正することを認める。 特許第5787836号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5787836号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、平成24年7月18日に特許出願され、平成27年8月7日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人笹倉康助により特許異議の申立てがされ、平成28年5月25日付けで取消理由が通知され、同年7月29日付けで意見書の提出及び訂正の請求があり、同年9月2日付けで同年7月29日付けの訂正請求書を補正する手続補正書が提出され、その訂正の請求に対して特許異議申立人笹倉康助から同年10月28日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成28年7月29日付けで提出され、同年9月2日付けの手続補正書により補正された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし13について訂正するものであり、その内容は以下のとおりである。(下線は訂正の内容を明らかにするために当審にて付した。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1及び請求項13を以下のとおりに訂正し、その結果として請求項1を直接的あるいは間接的に引用する請求項2ないし12も訂正する。
ア 訂正事項1-1
「前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレード」
とあるのを
「折軸により前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレード」
に訂正する。

イ 訂正事項1-2
「前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部」
とあるのを
「前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部」
に訂正する。

ウ 訂正事項1-3
「前記折ブレードにおける前記ウェブの他端部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部」
とあるのを
「前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部」
に訂正する。

エ 訂正事項1-4
「を備えること」
とあるのを
「を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である、
こと」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に
「前記折ブレードは、回転方向の後方側に前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧部が設けられ、前記第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの突出量が、前記後方押圧部における前記折ブレードの平面部からの突出量より大きく設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブ折り畳み装置。」
とあるのを
「前記折ブレードは、回転方向の後方側に前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧部が設けられ、前記第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの前記第1突出量が、前記後方押圧部における前記折ブレードの平面部からの後方突出量より大きく設定され、
前記後方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され、前記第1突出量と前記後方突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記後方押圧面における前記折軸の径方向における同位置である突出量であることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブ折り畳み装置。」
と訂正し、その結果として請求項3を直接的あるいは間接的に引用する請求項4ないし12も訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に
「前記第1前方押圧部は、前記折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、先端部側が内側に凹む円弧形状をなすことを特徴とする請求項8に記載のウェブ折り畳み装置。」
とあるのを
「前記第1前方押圧部は、前記折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、先端部側が内側に凹む円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。」
に訂正することにより、請求項8の「前記第1前方押圧部は、外側に突出する円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。」の発明特定事項を引用しないものとし、その結果として請求項9を直接的あるいは間接的に引用する請求項11、12も訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に
「前記第3切欠部は、前記折込ローラにおける軸方向の端部に底付の円筒形状をなすカラーが装着されて構成されることを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。」
とあるのを
「前記折込ローラは、軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーの外周部に第3切欠部が設けられることを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。」
に訂正し、その結果として請求項10を直接的あるいは間接的に引用する請求項11、12も訂正する。

2 本件訂正の適否についての判断
(1)訂正の目的の適否
ア 訂正事項1
訂正事項1-1は、折ブレードを、「折軸により」回転可能となるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1-2は、第1前方押圧部を、ウェブの「袋状の一側部」を折込ローラ側に押圧するものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1-3は、「ウェブの他端部側」という記載により特定される「第2前方押圧部」の位置が明確でないために、「ウェブの他端部側」を「第1前方押圧部以外の位置」と訂正することにより、その記載を明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項1-4は、第1前方押圧部と第2前方押圧部を、「ウェブを折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され」ているものに限定するものである。また、「第1突出量と第2突出量」を、「それぞれ第1押圧面と第2押圧面における折軸の径方向における同位置での突出量である」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
以上より、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 訂正事項2
訂正事項2は、後方押圧部を、「ウェブを折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され」ているものに限定し、また、第1前方押圧部における突出量を「第1突出量」とし、後方押圧部における突出量を「後方突出量」と限定した上で、「第1突出量と後方突出量」を、「ぞれぞれ第1押圧面と後方押圧面における折軸の径方向における同位置である突出量である」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

ウ 訂正事項3
訂正事項3は、請求項8を引用することによって、「第1前方押圧部」が、「外側に突出する円弧形状をなす」ものであるのか、あるいは「折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、先端部側が内側に凹む円弧形状をなす」ものであるのか、いずれの形状であるのか明確でなかったために、請求項9において請求項8の引用を解消して、「第1前方押圧部」が、「折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、先端部側が内側に凹む円弧形状をなす」ものであることを明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

エ 訂正事項4
訂正事項4は、「前記第3切欠部は、前記折込ローラにおける軸方向の端部に底付の円筒形状をなすカラーが装着されて構成されること」という記載の意味が明確に理解できないところ、「前記折込ローラは、軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーの外周部に第3切欠部が設けられること」に訂正することにより、その記載の意味を明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

以上のとおり、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
ア 訂正事項1
(ア)訂正事項1-1
本件特許の明細書の段落【0059】には、「折ブレード36は、折軸37により折胴23と同期して逆方向に回転可能であり、」との記載があるから、訂正事項1-1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(イ)訂正事項1-2
本件特許の明細書の段落【0066】には「印刷済のウェブWを縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす第1縦折り状ウェブWを形成する工程」との記載があり(下線は当審にて付した。以下同じ。)、段落【0078】には、「即ち、本実施例のセクション折りによる折帖の製作方法は、折ブレード36が縦折り状シート束を折胴23の周面から引き剥がすときに、第2前方押圧部62がペラ状の他端部を折込ローラ39a側に押圧する量より第1前方押圧部61が袋状の一側部を折込ローラ39a側に押圧する量を大きくする工程を有している。」との記載があるから、「ウェブの袋状の一側部を折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部」という事項は明細書に記載されているといえる。
したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)訂正事項1-3
本件特許の明細書の段落【0011】、及び【0035】には「このとき、折胴及び折ブレードの回転に伴って、折ブレードの第1前方押圧部がウェブの袋側の内面を押圧しながら支持し、第2前方押圧部がウェブの袋側以外の内面を押圧しながら支持するため、ウェブが折ブレードと折込ローラとの間の空間部にずれることはなく、ウェブにおけるしわの発生を防止することができる。」との記載があり、「ウェブの袋側以外」に対応する位置は、「第1押圧部以外の位置」であるから、第2前方押圧部が「折ブレードにおける第1前方押圧部以外の位置」にあることが記載されているといえる。
また、段落【0069】には、「第1前方押圧部61は、折ブレード36における幅方向(折軸37の軸心方向)の一方側、つまり、ウェブWの袋側の一側部側の1つの本体部52で、且つ、折ブレード36における回転方向の前方側の平面部52aに設けられている。第2前方押圧部62は、折ブレード36における幅方向(折軸37の軸心方向)の一方側、つまり、ウェブWの袋側の一側部側の1つの本体部52以外の複数の本体部52で、且つ、折ブレード36における回転方向の前方側の平面部52aに設けられている。」との記載があり、「ウェブWの袋側の一側部側の1つの本体部52以外の複数の本体部52」は、「第1前方押圧部以外の位置」であるから、第2前方押圧部は「折ブレードにおける第1前方押圧部以外の位置」にあることが記載されているといえる。
さらに、段落【0084】には、「折ブレード36は、ウェブWの袋側に対応する回転方向の前方側にウェブWを折込ローラ39a側に押圧する第1前方押圧部61と、ウェブWの袋側に対応しない回転方向の前方側にウェブWを折込ローラ39a側に押圧する第2前方押圧部62を有し」との記載があり、段落【0096】には、「折ブレード36のウェブWの袋側に対応する回転方向の前方側にウェブWを折込ローラ39a側に押圧する第1前方押圧部61と、ウェブWの袋側に対応しない回転方向の前方側にウェブWを折込ローラ39a側に押圧する第2前方押圧部62を設け」との記載があり、「折ブレード」の「ウェブWの袋側に対応しない」位置は、「折ブレードにおける第1前方押圧部以外の位置」であるから、第2前方押圧部は「折ブレードにおける第1前方押圧部以外の位置」にあることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(エ)訂正事項1-4
訂正事項1-4については、(a)「前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され」という事項と、(b)「前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である」という事項とを分けて検討する。

(a) 「前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され」という事項を付加する訂正については、段落【0071】に、「各押圧部61,62,63は、折ブレード36により折胴23の周面から引き剥がされたウェブWを折込ローラ39a,39b側に押圧する押圧面61b,62b,63bが形成されている。」との記載があるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(b) 訂正事項1-4の「前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である」点について検討する。
明細書の段落【0069】には、「第1前方押圧部61は、折ブレード36における幅方向(折軸37の軸心方向)の一方側、つまり、ウェブWの袋側の一側部側の1つの本体部52で、且つ、折ブレード36における回転方向の前方側の平面部52aに設けられている。第2前方押圧部62は、折ブレード36における幅方向(折軸37の軸心方向)の一方側、つまり、ウェブWの袋側の一側部側の1つの本体部52以外の複数の本体部52で、且つ、折ブレード36における回転方向の前方側の平面部52aに設けられている。」との記載があり、段落【0072】には、「そして、この第1前方押圧部61の押圧面61bにおける折ブレード36の平面部52aからの突出量T1が、各第2前方押圧部62の押圧面62bにおける折ブレード36の平面部52aからの突出量T2より大きく設定されている。」との記載がある。
上記段落【0069】及び【0072】の記載を総合すると、本件特許明細書等には、
「第1前方押圧部61は、折ブレード36における折軸37の軸心方向のウェブWの袋側に設けられ、第2前方押圧部62は、折ブレード36における折軸37の軸心方向のウェブWの袋側以外に設けられており、
第1前方押圧部61の押圧面61bにおける折ブレード36の平面部52aからの突出量T1が、各第2前方押圧部62の押圧面62bにおける折ブレード36の平面部52aからの突出量T2より大きく設定されている。」
との事項が示されているといえる。
そして、第1前方押圧部61及び第2前方押圧部62は、折軸の軸心方向に並んで設けられていることを踏まえれば、第1前方押圧部61の押圧面(第1押圧面)及び第2前方押圧部の押圧面(第2押圧面)も、折軸の軸心方向に並んで形成され、それぞれの押圧面における突出量T1(第1突出量)及び突出量T2(第2突出量)に対応する折ブレードの平面部についても、折軸の軸心方向に並んで形成されものであるといえる。そして、折軸の軸心方向に並んで形成されることは、すなわち折軸の径方向における同位置にあることに相当する。
以上より、「前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である」ことを付加する訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

したがって、(a)及び(b)のとおり、訂正事項1-4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(オ)訂正事項2
段落【0072】には、「第1前方押圧部61の押圧面61bにおける折ブレード36の平面部52aからの突出量T1が、各後方押圧部63の押圧面63bにおける折ブレード36の平面部52bからの突出量T3より大きく設定されている。」との記載がある。また、段落【0087】には、「実施例1のウェブ折り畳み装置では、折ブレード36における回転方向の後方側に折胴23の周面から引き剥がされたウェブWを折込ローラ39b側に押圧する後方押圧部63を設けている。」との記載がある。
したがって、明細書には、「第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの第1突出量が、後方押圧部における折ブレードの平面部からの後方突出量より大きく設定され、
前記後方押圧部は、ウェブを折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され」る点が記載されている。
また、【図3】には、「T1」と「T3」が「折ブレード36」の平面部において、「折軸の径方向における同位置」に記載されているから、「第1突出量と後方突出量は、それぞれ第1押圧面と後方押圧面における折軸の径方向における同位置である突出量である」ことが記載されているといえる。
以上より、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(カ)訂正事項3
請求項9において、請求項8の「前記第1前方押圧部は、外側に突出する円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。」の発明特定事項を引用しないものとした結果、新たな事項が追加されるものではないから、当該訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(キ)訂正事項4
段落【0077】には、「なお、一対の折込ローラ39a,39bは、軸方向における一端部と他端部がカラー形状となっている。即ち、一対の折込ローラ39a,39bは、軸方向における一端部と他端部に対して底付の円筒形状をなすカラー76a,76b,77a,77bが周方向に回転可能で、且つ、軸方向に移動不能に設けられている。このカラー76a,76bは、外周部に第1切欠部72a,72bと第1湾曲部74a,74bが形成され、カラー77a,77bは、外周部に第2切欠部73a,73bと第2湾曲部75a,75bが形成されている。また、カラー76aに第3切欠部71が形成されている。従って、折込ローラ39a,39bは、カラー76a,76b,77a,77bを回動することで、第1切欠部72a,72b及び第1湾曲部74a,74bの位置、第2切欠部73a,73b及び第2湾曲部75a,75bの位置、第3切欠部71の位置を調整可能となっている。」との記載があるから、「折込ローラは、軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーに第3切欠部が設けられること」が記載されている。また、【図6】ないし【図8】、【図12】ないし【図15】より、「第3切欠部」が「外周部」に設けられていることが記載されている。
以上より、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

よって、本件訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(3)一群の請求項
請求項〔1ないし12〕は一群の請求項であり、また、請求項13と一群の請求項となる関係を有する請求項はないから、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求がされている。

(4)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、発明のカテゴリーや対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとはいえない。

3 訂正の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び同項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし12〕、13について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし13、及び請求項14に係る発明(以下、請求項1ないし14に係る発明をそれぞれ「本件発明1ないし14」という。)は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなすウェブ
を保持して回転可能な折胴と、
前記折胴に協働して前記ウェブを所定の長さに裁断する鋸胴と、
折軸により前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレードと、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを挟持して折帖を形成する一対の折込ローラと、
前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部と、
前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部と、
を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である、
ことを特徴とするウェブ折り畳み装置。

【請求項2】
前記第1前方押圧部における前記折ブレードの先端側への突出量が、前記第2前方押圧部における前記折ブレードの先端側への突出量より大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項3】
前記折ブレードは、回転方向の後方側に前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧部が設けられ、前記第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの前記第1突出量が、前記後方押圧部における前記折ブレードの平面部からの後方突出量より大きく設定され、
前記後方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され、前記第1突出量と前記後方突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記後方押圧面における前記折軸の径方向における同位置である突出量であることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項4】
前記折込ローラは、外周面に前記折ブレードの前記第1前方押圧部に対向して第3切欠部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項5】
前記第1前方押圧部は、回転軌跡の一部が前記第3切欠部内に位置することを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項6】
前記折ブレードは、前記折胴の軸心方向に沿う取付部と、該取付部の先端部に前記折胴の軸心方向に沿って所定間隔で設けられる複数の本体部とからなる櫛刃形状をなし、前記第1前方押圧部及び前記第2前方押圧部の幅が、前記本体部の幅より小さく設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項7】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側の端面に一致して設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項8】
前記第1前方押圧部は、外側に突出する円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項9】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、
先端部側が内側に凹む円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項10】
前記折込ローラは、軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーの外周部に第3切欠部が設けられることを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項11】
前記一対の折込ローラにおける軸方向の一端部側の外周面に第1切欠部が設けられ、他端部側の外周面に第2切欠部が設けられ、前記第1切欠部及び第2切欠部は、第1湾曲部及び第2湾曲部を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項12】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードに対して着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。

【請求項13】
巻取紙からウェブを供給する複数の給紙ユニットを有する給紙装置と、
前記各給紙ユニットから供給された前記ウェブにそれぞれ印刷を行う複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、
印刷済の複数の前記ウェブを重ねてから縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす前記ウェブを保持して回転可能な折胴と、
前記折胴に協働して前記ウェブを所定の長さに裁断する鋸胴と、
折軸により前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレードと、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを挟持して折帖を形成する一対の折込ローラと、
前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部と、
前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部と、
を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である、
ことを特徴とする印刷機。

【請求項14】
印刷済のウェブを縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす第1縦折り状ウェブを形成する工程と、
印刷済のウェブを縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす第2縦折り状ウェブを形成する工程と、
回転可能な折胴の周面に前記第1縦折り状ウェブと前記第2縦折り状ウェブを重ねて縦折り状ウェブ束を形成する工程と、
前記縦折り状ウェブ束を所定の長さに裁断して縦折り状シート束を形成する工程と、
折ブレードが前記折胴の外周面から突出することで前記縦折り状シート束を前記折胴の周面から引き剥がす工程と、
前記折ブレードが前記縦折り状シート束を前記折胴の周面から引き剥がすときに前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出する前方押圧部が前記ペラ状の他端部より前記袋状の一側部をより折込ローラ側に押圧する工程と、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記縦折り状シート束を一対の前記折込ローラにより挟持して横折りすることで折帖を形成する工程と、
を有することを特徴とする折帖の製作方法。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし13に係る特許に対して、平成28年5月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(取消理由の要旨)
請求項1ないし13に係る特許は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)特許法第36条第6項第1号について
ア 請求項1及び13の「ウェブの一側部側」、「ウェブの他側部側」との記載の意味が不明確であるため、「第1前方押圧部」及び「第2前方押圧部」の位置が特定できないから、請求項1及び13は、発明の詳細な説明に記載されている課題を解決できない構成を含むものである。
イ 請求項1及び13において「第1前方押圧部」、「第2前方押圧部」が設けられる位置及び範囲が不明確であるため、発明の詳細な説明に記載されている「ウェブの袋状部位に対応する位置に第1前方押圧部が設けられ、それ以外の部分に第2前方押圧部が設けられている」という構成以外の、発明の詳細な説明に記載されていない構成を含むものである。

(2)特許法第36条第6項第2号について
ア 請求項1及び13の「ウェブの一側部側」、「ウェブの他側部側」との記載の意味が不明確であるため、「第1前方押圧部」、「第2前方押圧部」が設けられる位置及び範囲が特定できない。
イ 請求項1及び13の「第1突出量」及び「第2突出量」について、突出量を計測する部位を明確に特定していないため、「第1前方押圧部」及び「第2前方押圧部」のどの部分の突出量を意味するのか不明である。
ウ 請求項3の「突出量」の記載についても、請求項1及び13の「第1突出量」及び「第2突出量」の記載と同様に、「第1前方押圧部」及び「後方押圧部」のどの部分の突出量を意味するのか不明である。
エ 請求項8を引用する請求項9について、請求項8の記載により特定される「第1前方押圧部」の形状と、請求項9の記載により特定される「第1前方押圧部」の形状が異なっているため、請求項9において特定される「第1前方押圧部」の形状が不明確である。
オ 請求項10の「前記第3切欠部は、前記折込ローラにおける軸方向の端部に底付の円筒形状をなすカラーが装着されて構成されること」という記載の意味を明確に理解できない。

3 取消理由についての判断
ア 上記2(1)ア、イ及び上記2(2)アについて
訂正請求項1及び13において、「第1前方押圧部」が「ブレード」における「ウェブの袋状の一側部」に対応する位置にあり、「第2前方押圧部」が「ブレードにおける第2前方押圧部以外の位置」にあることが特定されたため、「第1前方押圧部」及び「第2前方押圧部」の設けられる位置及び範囲が明確になり、また、発明の詳細な説明に記載されているものとなった。したがって、上記2(1)ア、イ及び上記2(2)アについて、取消理由は解消した。

イ 上記2(2)イについて
訂正請求項1及び13において、「第1突出量と第2突出量」は、「それぞれ第1押圧面と第2押圧面における折軸の径方向における同位置での突出量である」ことが特定されたため、突出量を計測する位置が「それぞれ第1押圧面と第2押圧面における折軸の径方向における同位置」であることが明確となった。したがって、上記2(2)イについて、取消理由は解消した。

ウ 上記2(2)ウについて
訂正請求項3において、「第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの突出量」が「第1突出量」であることが特定された。また、「後方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され、前記第1突出量と前記後方突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記後方押圧面における前記折軸の径方向における同位置である突出量であること」が特定されたため、突出量を計測する位置が「それぞれ第1押圧面と前記後方押圧面における前記折軸の径方向における同位置」であることが明確となった。したがって、上記2(2)ウについて、取消理由は解消した。

エ 上記2(2)エについて
訂正請求項9は請求項8を引用しないため、上記2(2)エは解消した。

オ 上記2(2)オについて
訂正請求項10において、「折込ローラ」が「軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーの外周部に第3切欠部が設けられる」ものであることが明確となったため、上記2(2)オは解消した。

したがって、アないしオより、平成28年5月25日付けで特許権者に通知した取消理由により、請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。

4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人笹倉康助は、訂正前の請求項1ないし14に係る発明について、以下の刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1ないし14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたことを主張する。

(刊行物)
甲第1号証:実開平2-79364号公報
甲第2号証:特開2008-74584号公報
甲第3号証:特許第4174521号公報
甲第4号証:特開2010-189143号公報
甲第5号証:特開2008-19090号公報
甲第6号証:特許第4943620号公報
甲第7号証:実公昭39-32629号公報
甲第8号証:特開2004-75231号公報

しかしながら、甲第1号証ないし甲第8号証のいずれにも、本件発明1ないし13が備える
「前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部と、
前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部と、
を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である」
の発明特定事項は、開示されていない。
また、甲第1号証ないし甲第8号証のいずれにも、本件発明14が備える
「前記折ブレードが前記縦折り状シート束を前記折胴の周面から引き剥がすときに前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出する前方押圧部が前記ペラ状の他端部より前記袋状の一側部をより折込ローラ側に押圧する工程」
の発明特定事項は、開示されていない。
そして、上記の本件発明1ないし13が備える発明特定事項、本件発明14が備える発明特定事項について、甲第1号証ないし甲第8号証に記載の発明に基づいて、当業者が適宜行うことができる設計的事項であるとする根拠もない。
さらに、上記の本件発明1ないし13が備える発明特定事項、又は上記の本件発明14が備える発明特定事項により、本件発明1ないし14は、「ウェブの袋側におけるしわの発生を適正に防止することができる。」(発明の詳細な説明の段落【0013】等)という格別の効果を奏するものである。
したがって、本件発明1ないし14は、甲第1号証ないし甲第8号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、特許異議申立人の主張は理由がない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなすウェブを保持して回転可能な折胴と、
前記折胴に協働して前記ウェブを所定の長さに裁断する鋸胴と、
折軸により前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレードと、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを挟持して折帖を形成する一対の折込ローラと、
前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部と、
前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部と、
を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である、
ことを特徴とするウェブ折り畳み装置。
【請求項2】
前記第1前方押圧部における前記折ブレードの先端側への突出量が、前記第2前方押圧部における前記折ブレードの先端側への突出量より大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項3】
前記折ブレードは、回転方向の後方側に前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧部が設けられ、前記第1前方押圧部における前記折ブレードの平面部からの前記第1突出量が、前記後方押圧部における前記折ブレードの平面部からの後方突出量より大きく設定され、
前記後方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する後方押圧面が形成され、前記第1突出量と前記後方突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記後方押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量であることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項4】
前記折込ローラは、外周面に前記折ブレードの前記1前方押圧部に対向して第3切欠部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれ一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項5】
前記第1前方押圧部は、回転軌跡の一部が前記第3切欠部内に位置することを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項6】
前記折ブレードは、前記折胴の軸心方向に沿う取付部と、該取付部の先端部に前記折胴の軸心方向に沿って所定間隔で設けられる複数の本体部とからなる櫛刃形状をなし、前記前方押圧部の幅が、前記本体部の幅より小さく設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項7】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側の端面に一致して設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項8】
前記第1前方押圧部は、外側に突出する円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項9】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードの取付部側が外側に突出する円弧形状をなし、先端部側が内側に凹む円弧形状をなすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項10】
前記折込ローラは、軸方向の端部が底付の円筒形状をなすカラーを有し、前記カラーの外周部に第3切欠部が設けられることを特徴とする請求項4に記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項11】
前記一対の折込ローラにおける軸方向の一端部側の外周面に第1切欠部が設けられ、他端部側の外周面に第2切欠部が設けられ、前記第1切欠部及び第2切欠部は、第1湾曲部及び第2湾曲部を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項12】
前記第1前方押圧部は、前記折ブレードに対して着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のウェブ折り畳み装置。
【請求項13】
巻取紙からウェブを供給する複数の給紙ユニットを有する給紙装置と、
前記各給紙ユニットから供給された前記ウェブにそれぞれ印刷を行う複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、
印刷済の複数の前記ウェブを重ねてから縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす前記ウェブを保持して回転可能な折胴と、
前記折胴に協働して前記ウェブを所定の長さに裁断する鋸胴と、
折軸により前記折胴と反対方向に回転可能となるように前記折胴の外周部に設けられて前記折胴の外周面から突出することで前記鋸胴により裁断された前記ウェブを前記折胴の周面から引き剥がす折ブレードと、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを挟持して横折りすることで折帖を形成する一対の折込ローラと、
前記折ブレードにおける前記ウェブの一側部側で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように第1突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブの袋状の前記一側部を前記折込ローラ側に押圧する第1前方押圧部と、
前記折ブレードにおける前記第1前方押圧部以外の位置で且つ前記折ブレードの回転方向の前方側の平面部から突出するように前記第1突出量より小さい第2突出量が設定されて前記折胴の周面から引き剥がされた前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第2前方押圧部と、
を備え、
前記第1前方押圧部と前記第2前方押圧部は、前記ウェブを前記折込ローラ側に押圧する第1押圧面と第2押圧面が対応して形成され、前記第1突出量と前記第2突出量は、それぞれ前記第1押圧面と前記第2押圧面における前記折軸の径方向における同位置での突出量である、
ことを特徴とする印刷機。
【請求項14】
印刷済のウェブを縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす第1縦折り状ウェブを形成する工程と、
印刷済のウェブを縦折りすることで移送方向における一側部が袋状をなして他側部がペラ状をなす第2縦折り状ウェブを形成する工程と、
回転可能な折胴の周面に前記第1縦折り状ウェブと前記第2縦折り状ウェブを重ねて縦折り状ウェブ束を形成する工程と、
前記縦折り状ウェブ束を所定の長さに裁断して縦折り状シート束を形成する工程と、
折ブレードが前記折胴の外周面から突出することで前記縦折り状シート束を前記折胴の周面から引き剥がす工程と、
前記折ブレードが前記縦折り状シート束を前記折胴の周面から引き剥がすときに前方押圧部が前記ペラ状の他端部より前記袋状の一側部をより前記折込ローラ側に押圧する工程と、
前記折ブレードにより前記折胴の周面から引き剥がされた前記縦折り状シート束を一対の折込ローラにより挟持して横折りすることで折帖を形成する工程と、
を有することを特徴とする折帖の製作方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-12-12 
出願番号 特願2012-159933(P2012-159933)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B65H)
P 1 651・ 121- YAA (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 植田 高盛
吉村 尚
登録日 2015-08-07 
登録番号 特許第5787836号(P5787836)
権利者 三菱重工印刷紙工機械株式会社
発明の名称 ウェブ折り畳み装置、印刷機、折帖の製作方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 山田 哲也  
代理人 樺澤 聡  
代理人 高村 順  
代理人 樺澤 襄  
代理人 酒井 宏明  
代理人 高村 順  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 酒井 宏明  

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