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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L |
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管理番号 | 1324843 |
異議申立番号 | 異議2015-700244 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-11-30 |
確定日 | 2017-01-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5729914号発明「軋み音を低減した自動車内装部品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5729914号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし6]について訂正することを認める。 特許第5729914号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 特許第5729914号の請求項1ないし6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成22年4月7日に特許出願され、平成27年4月17日に設定登録され、同年6月3日に特許公報が発行され、その後、特許異議申立人千阪実木(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年2月3日付けで請求項1ないし6に係る特許について取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月4日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正の請求に対して異議申立人から同年6月3日付けで意見書が提出され、さらに同年6月23日付けで請求項1ないし6に係る特許について取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月26日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、その訂正の請求に対して異議申立人から同年10月21日付けで意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、次の「訂正事項1」のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「ASTM D445-46T又はJIS 8803によるウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度が10?100,000cStであるシリコーンオイル〔B〕」 とあるのを、 「ASTM D445-46T又はJIS 8803によるウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度が200?15,000cStであるシリコーンオイル〔B〕」 と訂正し、 「前記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45であり、」 を追加し、 「該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?85:90?15であり、」 とあるのを、 「該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?66:90?34であり、」 と訂正し、 「前記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品。」 とあるのを、 「前記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂組成物からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品。」 と訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1は、「動粘度が10?100,000cSt」を「動粘度が200?15,000cSt」と減縮するものであり、「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕」について「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45」との要件を付加するものであり、「該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?85:90?15」を「該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?66:90?34」と減縮するものであり、「熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品」を「熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂組成物からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品」と減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)訂正事項1に係る訂正前の請求項1ないし6は、請求項1の記載を、請求項2ないし6が直接・間接に引用しているものであるから、訂正前の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。 したがって、訂正事項1に係る訂正後の請求項1ないし6は、一群の請求項を構成する。 (3)訂正事項1の「動粘度が200?15,000cSt」、「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45」、「該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?66:90?34」及び「熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂組成物からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品」は、それぞれ願書に添付した明細書の段落【0057】、段落【0021】、【表1】及び段落【0067】と段落【0068】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (4)訂正事項1は、上記2(1)のように、発明特定事項を減縮するものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし6について訂正を認める。 第3 本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕100質量部に、ASTM D445-46T又はJIS 8803によるウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度が200?15,000cStであるシリコーンオイル〔B〕0.1?8質量部を配合してなり、 該ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、ジエン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕と、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の存在下にビニル系単量体〔b2〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A2〕を含有し、 前記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45であり、 前記ジエン系ゴム質重合体〔a1〕及び前記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の合計量が、前記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕全体を100質量%として5?30質量%であり、 該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?66:90?34であり、 前記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む 熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品。 【請求項2】 ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕が、更に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体〔b3〕の(共)重合体〔C〕を含有してなる請求項1に記載の自動車内装部品。 【請求項3】 エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のエチレン:α-オレフィンの質量比が5?95:95?5である請求項1又は2に記載の自動車内装部品。 【請求項4】 エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕が、エチレン・プロピレン共重合体である請求項1乃至3の何れか1項に記載の自動車内装部品。 【請求項5】 自動車用ベンチレータに使用される請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動車内装部品。 【請求項6】 自動車用エアコンに使用される請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動車内装部品。」 第4 取消理由の概要 本件特許発明は、その優先日前に日本国内において頒布された下記の刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)及び刊行物2に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるものである。 記 刊行物1 特開2000-119477号公報(特許異議申立書に添付された甲第1号証) 刊行物2 特開2002-20574号公報(特許異議申立書に添付された甲第2号証) 第5 対比・判断 1 本件特許発明2について (1) 引用発明 刊行物1の特に請求項1及び実施例5の記載から、刊行物1には、以下の引用発明が記載されているといえる。 「エチレン/プロピレン=80/20重量%からなる融点(Tm)が40℃のゴム質重合体(a-1)20部の存在下に、スチレン55部、アクリロニトリル25部をグラフト重合して得られ、かつ、グラフト率が50%であり、固有粘度〔η〕が0.50dl/gであるゴム変性熱可塑性樹脂(A-1)20重量%、 ポリブタジエンを乳化重合して得られたガラス転移温度(Tg)が-80?-100℃、平均粒子径0.25μmであるゴム質重合体(b)40部の存在下に、スチレン43部、アクリロニトリル17部をグラフト重合して得られ、グラフト率が55%であり、固有粘度〔η〕が0.55dl/gであるゴム変性スチレン系樹脂(B)25重量%、 スチレン72部、アクリロニトリル28部を溶液重合して得られる固有粘度〔η〕が0.55dl/gである共重合体(B’)55質量%、 上記(A-1)、(B)及び(B’)の合計量100重量部に対し、23℃での溶融粘度が100CPであるシリコーンオイル(C-2)(商品名SH200-100CS)0.5重量部を配合してなるゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂組成物から成形してなる試験片。」 (2) 対比 本件特許発明2と引用発明とを対比すると、後者の「ゴム変性スチレン系樹脂(B)」及び「ゴム変性熱可塑性樹脂(A-1)」は前者の「ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕」に相当し、以下同様に、「シリコーンオイル(C-2)(商品名SH200-100CS)」は「シリコーンオイル〔B〕」に、「ポリブタジエンを乳化重合して得られたガラス転移温度(Tg)が-80?-100℃、平均粒子径0.25μmであるゴム質重合体(b)40部の存在下に、スチレン43部、アクリロニトリル17部をグラフト重合して得られ、グラフト率が55%であり、固有粘度〔η〕が0.55dl/gであるゴム変性スチレン系樹脂(B)」は「ジエン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕」に、「エチレン/プロピレン=80/20重量%からなる融点(Tm)が40℃のゴム質重合体(a-1)20部の存在下に、スチレン55部、アクリロニトリル25部をグラフト重合して得られ、かつ、グラフト率が50%であり、固有粘度〔η〕が0.50dl/gであるゴム変性熱可塑性樹脂(A-1)」は「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の存在下にビニル系単量体〔b2〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A2〕」に、「スチレン72部、アクリロニトリル28部を溶液重合して得られる固有粘度〔η〕が0.55dl/gである共重合体(B’)」は「芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体〔b3〕の(共)重合体〔C〕」に、「スチレン」及び「アクリロニトリル」は「芳香族ビニル化合物」及び「シアン化ビニル化合物」に、それぞれ相当する。 また、後者の「ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂組成物から成形してなる試験片」と前者の「熱可塑性樹脂組成物からなる自動車内装部品」は、「熱可塑性樹脂組成物から成形してなる成形品」の限りで共通する。 そして、後者の「(A-1)、(B)及び(B’)の合計量100重量部に対」する「(C-2)」の「0.5重量部」は、前者の「〔A2〕、〔A1〕及び〔C〕」に対する「〔B〕」の「0.1?8質量部」と重複する。 さらに、後者の「エチレン/プロピレン」及び「ポリブタジエン」の合計量が、全体を100質量%として14質量%であり前者の「〔a2〕」及び「〔a1〕」の合計量が「〔A〕全体を全体を100質量%として5?30質量%」であることと重複する。 以上の点からみて、本件特許発明2と引用発明とは、 [一致点] 「ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕100質量部に、シリコーンオイル〔B〕0.5質量部を配合してなり、 ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、ジエン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕と、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の存在下にビニル系単量体〔b2〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A2〕と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体〔b3〕の(共)重合体〔C〕を含有し、 ジエン系ゴム質重合体〔a1〕及びエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の合計量が、ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕全体を100質量%として14質量%であり、 ジエン系ゴム質重合体〔a1〕とエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比が特定されており、 ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む 熱可塑性樹脂組成物から成形してなる成形品。」 である点で一致し、 次の点で相違する。 [相違点] 相違点1 シリコーンオイルに関して、本件特許発明2では、「ASTM D445-46T又はJIS 8803によるウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度が200?15、000cStである」のに対して、引用発明では、「23℃での溶融粘度が100CPである」点。 相違点2 本件特許発明2では、「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45」であるのに対して、引用発明では、かかる特定がない点。 相違点3 ジエン系ゴム質重合体とエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体の質量比(前者:後者)に関して、本件特許発明2では、「10?66:90?34」であるのに対して、引用発明では、「71:29」である点。(特許異議申立書の第8頁第17行?第29行参照。) 相違点4 熱可塑性樹脂組成物からなる物に関して、本件特許発明2では、「該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品」であるのに対して、引用発明では、かかる特定がない点。 (3) 判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 確かに、引用発明の「23℃での溶融粘度が100CPである」ことは、23℃での動粘度に換算すると100?143cStであるといえ(特許異議申立書の第12頁第22行?第13頁第13行参照。)、100?143cStを200?15、000cStとすることは、一見すると当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎないとも思える。 しかし、明細書の段落【0057】には「特に好ましくは200?15,000cStである」と記載され、「200?15,000cSt」は、最も本件特許発明2の効果を奏する範囲であるといえるし、同【表1】、段落【0072】及び段落【0005】の記載に照らせば、同【表1】の「軋み音の評価」は、「動粘度が200?15,000cStである」「B-1」の「10,000cSt」の場合、「B-2」の「100cSt」及び「B-3」の「50,000cSt」に比較して、顕著な効果を奏していると認めることができ、この効果は当業者であっても予測し得ないものである。 したがって、上記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎないとはいえない。 イ 相違点2について 「エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4) 、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45」との技術事項は、刊行物1に記載も示唆もないし、ゴム変性熱可塑性樹脂に用いられるゴム質重合体(a-1)のムーニー粘度をかかる範囲とすることが、技術常識であるともいえないから、相違点2に係る発明特定事項とすることが実質的な相違点でないとはいえない。 また、刊行物2にも当該粘度をかかる範囲とすることについて記載も示唆もないし、他にかかる範囲とすることの動機付けがあるともいえないから、上記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に成し得たことであるとはいえない。 ウ 小括 以上から、上記相違点3及び4を検討するまでもなく、本件特許発明2は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2 本件特許発明1及び本件特許発明3ないし6について 本件特許発明1及び本件特許発明3ないし6は、少なくとも上記相違点1ないし4で引用発明と相違する。 そうすると、上記本件特許発明2について検討した理由が妥当する。 したがって、本件特許発明1及び本件特許発明3ないし6は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 3 まとめ よって、本件特許発明1ないし6は、特許法第29条の規定に違反しておらず、同法第113条第2号に該当しない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕100質量部に、ASTM D445-46T又はJIS 8803によるウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度が200?15,000cStであるシリコーンオイル〔B〕0.1?8質量部を配合してなり、 該ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、ジエン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕と、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の存在下にビニル系単量体〔b2〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A2〕を含有し、 前記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のムーニー粘度(ML_(1+4)、100℃;JIS K6300に準拠)は15?45であり、 前記ジエン系ゴム質重合体〔a1〕及び前記エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の合計量が、前記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕全体を100質量%として5?30質量%であり、 該ジエン系ゴム質重合体〔a1〕と該エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕の質量比〔a1〕:〔a2〕が10?66:90?34であり、 前記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む 熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする該熱可塑性樹脂組成物又は他の熱可塑性樹脂からなる部品と接触する箇所に使用される、軋み音を低減した自動車内装部品。 【請求項2】 ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕が、更に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体〔b3〕の(共)重合体〔C〕を含有してなる請求項1に記載の自動車内装部品。 【請求項3】 エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕のエチレン:α-オレフィンの質量比が5?95:95?5である請求項1又は2に記載の自動車内装部品。 【請求項4】 エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体〔a2〕が、エチレン・プロピレン共重合体である請求項1乃至3の何れか1項に記載の自動車内装部品。 【請求項5】 自動車用ベンチレータに使用される請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動車内装部品。 【請求項6】 自動車用エアコンに使用される請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動車内装部品。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-12-13 |
出願番号 | 特願2010-88620(P2010-88620) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C08L)
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最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
小野寺 務 |
特許庁審判官 |
小柳 健悟 前田 寛之 |
登録日 | 2015-04-17 |
登録番号 | 特許第5729914号(P5729914) |
権利者 | テクノポリマー株式会社 |
発明の名称 | 軋み音を低減した自動車内装部品 |
代理人 | 伊丹 健次 |
代理人 | 伊丹 健次 |