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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1325365 |
審判番号 | 不服2016-11325 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-07-28 |
確定日 | 2017-03-14 |
事件の表示 | 特願2014-154191「端末装置、配信装置、表示方法及び表示プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 7日出願公開、特開2016- 31667、請求項の数(23)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年7月29日の出願であって、平成28年1月14日付けで拒絶理由が通知され、同年3月16日付けで手続補正がされ、同年5月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年5月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 ・請求項 1-3,6,8,21-23 ・引用文献等 1-3,8 先に通知した引用文献1([0033],[0034],[0045]-[0048]参照)には、Webページ内の所定領域にバナーを表示し、マウスポインタがバナーに重ね合わされるように位置している間、バナーのサイズを拡大して表示することが記載されている。同じく先に通知した引用文献2([0005],[0008]参照)、引用文献3(第112ページ「エクスパンド広告」、図5参照)にも同様の発明が記載されている。 本願請求項1-3,6,8,21-23に係る発明と引用文献1-3に記載された発明とを対比すると、本願請求項1-3,6,8,21-23に係る発明では、端末装置がタッチパネル機能を有し、第2コンテンツが表示された領域をユーザが指定する操作が、端末装置の画面における当該領域にユーザが接触する操作であるのに対し、引用文献1-3には、端末装置のタッチパネル機能及び領域にユーザが接触する操作に関する記載がない点で両者は相違するものの、その他に差異はない。 上記相違点について検討すると、例えば、先に通知した引用文献8(第6ページ第23-35行の端末としての「スマートフォン」の記載、第8ページ第21-26行の画面上での「タップ」の記載、第8ページ第29-33行の入力部としての「タッチパネル」の記載等参照)に記載されているように、タッチパネル機能を有する端末装置で広告表示を行うこと及び当該端末装置の画面をタップする操作を行わせることは周知である。さらに、そのような端末装置において、タッチパネルがタップされると、そのタップ位置にマウスポインタが移動し、引用文献1-3に記載された発明と同様の動作が行われることも明らかである。 よって、本願請求項1-3,6,8,21-23に係る発明は、引用文献1-3に記載された発明及び引用文献8に記載された周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、依然として、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2007-164710号公報 2.特開2003-44395号公報 3.太駄健司,第2章 インターネット広告のさまざまな手法,Web Site expert,日本,(株)技術評論社,2006年 4月25日,第6号,第109-115ページ 4.特開2013-33476号公報 5.特表2012-524348号公報 6.特開2003-76878号公報 7.特開2002-215510号公報 8.国際公開第2011/142486号 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正の、特許請求の範囲に関する補正事項は、補正前の請求項1,21-23に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定され続けている操作である指定操作」を「ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作」に限定するものであり、かつ、補正の前後において、請求項1,21-23の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そして、「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1-23に係る発明は、独立特許要件を満たす(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する)ものである。 第4 本願発明 本願請求項1-23に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明23」という。)は、平成28年7月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-23に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 タッチパネル機能を有する端末装置であって、 第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示部と、 前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更部と、 を備えたことを特徴とする端末装置。 【請求項2】 前記表示部は、 前記第1コンテンツの表示領域の一部に、前記第2コンテンツを重ねて表示する、 ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。 【請求項3】 前記変更部は、 前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を所定の状態へ変化させた後、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様の変化を停止させる、 ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端末装置。 【請求項4】 前記変更部は、 前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を所定の状態へ変化させた後、所定の時間を超えて前記指定操作が行われた場合、前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツのリンク先にアクセスする、 ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項5】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている場合、前記指定操作の開始から所定時間が経過した後、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を変化させ始める、 ことを特徴とする請求項1?4のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項6】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている場合、前記表示態様の変化として、前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツの表示面積を増加させる、 ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項7】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている場合、前記表示態様の変化として、前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツを表示する色を変化させる、 ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項8】 前記変更部は、 前記指定操作が行われなくなった場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を前記第2コンテンツが指定される前の表示態様に変化させる、 ことを特徴とする請求項1?7のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項9】 前記変更部は、 前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツの表示態様が所定の条件を満たした場合、新たなコンテンツを出力する、 ことを特徴とする請求項1?8のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項10】 前記変更部は、 前記新たなコンテンツとして、ユーザからの選択を受け付けるための情報であって、前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツのリンク先にアクセスするための情報である選択情報を表示する、 ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。 【請求項11】 前記変更部は、 前記新たなコンテンツとして動画を表示し、前記指定操作が行われている場合、前記動画を再生する、 ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の端末装置。 【請求項12】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている場合、前記新たなコンテンツとして、音声情報を出力させる、 をさらに備えたことを特徴とする請求項9?11のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項13】 前記変更部は、 操作するユーザの情報に応じて、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様の変化を変動させる、 ことを特徴とする請求項1?12のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項14】 前記変更部は、 前記第1コンテンツにおいて前記ユーザの関心のある情報が含まれる関心領域を、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様の変化に関わらず表示させ続ける、 ことを特徴とする請求項13に記載の端末装置。 【請求項15】 前記変更部は、 前記ユーザの情報に応じて、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を変化させる速度を変更する、 ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の端末装置。 【請求項16】 前記変更部は、 前記ユーザの過去の操作履歴に応じて、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を変化させる速度を変更する、 ことを特徴とする請求項15に記載の端末装置。 【請求項17】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている第2コンテンツの位置に応じて、前記第2コンテンツの表示態様又は前記関連コンテンツの表示態様を変化させる態様を変更する、 ことを特徴とする請求項1?16のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項18】 前記変更部は、 前記指定操作の操作態様、又は、前記第2コンテンツ若しくは前記関連コンテンツの表示態様の変化に応じて、前記第2コンテンツ又は前記関連コンテンツの提供主に請求する料金を算定する算定装置に対して、前記操作態様又は前記表示態様の変化に関する情報を送信する、 ことを特徴とする請求項1?17のいずれか一つに記載の端末装置。 【請求項19】 前記変更部は、 前記指定操作が行われている時間に応じて前記提供主に請求する料金を算定する算定装置に、前記指定操作が行われている時間に関する情報を送信する、 ことを特徴とする請求項18に記載の端末装置。 【請求項20】 前記変更部は、 前記指定操作の操作態様、又は、前記第2コンテンツ若しくは前記関連コンテンツの表示態様が所定の条件を満たした場合、前記提供主に請求する料金を算定する算定装置に対して、前記操作態様又は前記表示態様の変化に関する情報を送信する、 ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の端末装置。 【請求項21】 タッチパネル機能を有する端末装置に表示されるコンテンツを制御する制御情報を前記端末装置に配信する配信部を備え、 前記制御情報は、前記端末装置に、 第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示手順と、 前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更手順と、 を実行させることを特徴とする配信装置。 【請求項22】 タッチパネル機能を有する端末装置が実行する表示方法であって、 第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示工程と、 前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更工程と、 を含むことを特徴とする表示方法。 【請求項23】 タッチパネル機能を有する端末装置により実行される表示プログラムであって、 第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示手順と、 前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更手順と、 を端末装置に実行させることを特徴とする表示プログラム。」(下線部は、補正箇所。) 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献について 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2007-164710号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【0027】 (ユーザー端末の構成) ユーザー端末装置1は、CPUを備えた通信可能な演算処理装置であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機なども含まれる。図2に、ユーザー端末装置1の内部構成を示す。 【0028】 同図に示すように、ユーザー端末装置1は、ストリーミングの受信・再生に関するモジュールとして、通信インターフェース110と、キャッシュ部106と、コンテンツ再生部102と、出力データ生成部104と、出力インターフェース105と、表示部101とを備えている。 【0029】 通信インターフェース110は、インターネット2を通じて、データをパケットとして送受信するモジュールであり、この通信インターフェース110を介して、WebページデータD2やバナーデータD61,D62、リンク用データD4が受信され、検索要求D1や、各データの要求D3,D5、出力形態通知D7等が、各サーバに対して送信される。 【0030】 キャッシュ部106は、インターネット2から受信され、コンテンツ再生部102で表示・再生されるWebページやマルチメディアコンテンツ(バナーデータD61及びD62)を一時的に記憶保持するバッファ装置である。 【0031】 アプリケーション実行部103は、一般のOSやブラウザソフト101aなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現される。また、アプリケーション実行部103は、マウス109a等の操作デバイスによって入力される操作信号に従って表示部101上を移動するマウスポインタ101bを表示するポインタ制御部としての機能も果たしている。この操作信号は、操作デバイスインターフェース109を介して取得される。 【0032】 コンテンツ再生部102は、動画データや音声データ等のマルチメディアを再生し、表示部101上のブラウザソフト101aや、スピーカー105a等から出力させるモジュールであり、本実施形態では、アプリケーション実行部103において実行されるブラウザソフトに組み込まれるプラグインなどで実現される。 【0033】 また、コンテンツ再生部102は、本実施形態では、ブラウザソフト101aに表示されWebページデータD2内の所定領域101c?101eのそれぞれにバナーデータD61,62を挿入して表示するバナー挿入部102aを有している。バナー挿入部102aは、図3(a)及び(b)に示すように、WebページデータD2の所定領域を定義するタグを解析し、所定の領域101c?101eに、バナーデータD61,62を挿入する。詳述すると、アプリケーション実行部103は、Webページ上のマウスポインタの位置を監視し、マウスが所定領域101c?101e上に重ね合わされるように位置すると、それをイベント発生として検出し、その所定領域に埋め込まれているバナーの出力形態を変化させる。本実施形態では、例えばバナーが動画であるとき、イベント発生前は、図3(a)に示すように、縮小サイズの静止画D61を表示しておき、イベントが発生した際、同図(b)に示すように、バナーのサイズを拡大して動画D62と切り替えて再生するとともに、音声の出力(音量の増大)を行う。 【0034】 このバナー挿入部102aで検出された出力形態変化は、出力形態取得部108により取得され、出力形態通知D7として課金集計サーバ34に送信される。具体的にこの出力形態通知D7には、表示されているWebページのURL、マウスオーバーが発生した領域を特定するエリアID、ユーザーを特定するためのユーザーID(或いはユーザー端末装置1の端末ID)、バナーデータを特定するバナーID、イベントが発生した時刻等が含まれている。課金集計サーバ34は、これらの情報によって、広告主に対する課金処理を行う。 【0035】 出力データ生成部104は、アプリケーション実行部103で読み出されたマルチメディアコンテンツデータを映像信号及び音声信号に変換し、表示部101やスピーカー105aで出力可能な信号を生成するモジュールである。出力インターフェース105は、映像及び音声の出力信号を、表示部101及びスピーカー105aからそれぞれ出力させるモジュールである。表示部101は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、動画表示ウィンドウやテキスト入力ウィンドウなどの複数の画面を合成して表示する。 【0036】 さらに、ユーザー端末装置1は、データ要求に関するモジュールとして、データ要求部107を備えている。データ要求部107は、アプリケーション実行部103において実行されるブラウザソフトに従って各データ要求を送信するモジュールであり、具体的には、Webページ(HTML)を表示するための表示要求をWebサーバ31に送信し、バナーを表示するためのリンク用データ要求やバナー要求をバナー管理サーバ32やバナー配信サーバ33に送信する。 【0037】 また、ユーザー端末装置1は、ユーザーインターフェースに関するモジュールとして、操作デバイスインターフェース109を備えている。操作デバイスインターフェース109は、マウスやキーボード等の操作デバイスが接続され、その操作信号が入出力されるモジュールである。アプリケーション実行部103と、マウス109aとによって、ユーザーは、マウスポインタ101bを操作したり、Webページを表示させるためのキーワードを入力したりすることができる。」(【0027】?【0037】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。) b)図2を参照すれば、ユーザー端末装置1は、アプリケーション実行部103を備えるものと認められる。 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用例には、ユーザー端末装置1として、以下の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。 「ユーザー端末装置1は、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機なども含まれるものであり、 ユーザー端末装置1は、コンテンツ再生部102と、アプリケーション実行部103と、出力データ生成部104と、出力インターフェース105と、表示部101とを備え、 アプリケーション実行部103は、一般のOSやブラウザソフト101aなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、マウス109a等の操作デバイスによって入力される操作信号に従って表示部101上を移動するマウスポインタ101bを表示するポインタ制御部としての機能も果たし、 コンテンツ再生部102は、ブラウザソフト101aに表示されWebページデータD2内の所定領域101c?101eのそれぞれにバナーデータD61,62を挿入して表示するバナー挿入部102aを有し、 バナー挿入部102aは、WebページデータD2の所定領域を定義するタグを解析し、所定の領域101c?101eに、バナーデータD61,62を挿入し、 アプリケーション実行部103は、Webページ上のマウスポインタの位置を監視し、マウスが所定領域101c?101e上に重ね合わされるように位置すると、それをイベント発生として検出し、その所定領域に埋め込まれているバナーの出力形態を変化させ、 例えばバナーが動画であるとき、イベント発生前は、縮小サイズの静止画D61を表示しておき、イベントが発生した際、バナーのサイズを拡大して動画D62と切り替えて再生するとともに、音声の出力(音量の増大)を行うものであり、 出力データ生成部104は、アプリケーション実行部103で読み出されたマルチメディアコンテンツデータを映像信号及び音声信号に変換し、表示部101やスピーカー105aで出力可能な信号を生成し、 出力インターフェース105は、映像及び音声の出力信号を、表示部101及びスピーカー105aからそれぞれ出力させ、 表示部101は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、動画表示ウィンドウやテキスト入力ウィンドウなどの複数の画面を合成して表示するものであり、 ユーザー端末装置1は、操作デバイスインターフェース109を備え、 操作デバイスインターフェース109は、マウスやキーボード等の操作デバイスが接続され、その操作信号が入出力され、アプリケーション実行部103と、マウス109aとによって、ユーザーは、マウスポインタ101bを操作したり、Webページを表示させるためのキーワードを入力したりするものである ユーザー端末装置1。」 第6 当審の判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用例記載の発明とを対比する。 ア.引用例記載の発明の「ユーザー端末装置1」は、本願発明1の「タッチパネル機能を有する端末装置」と、「端末装置」である点で共通するといえる。 イ.引用例記載の発明の「表示部101」は、「動画表示ウィンドウやテキスト入力ウィンドウなどの複数の画面を合成して表示するもの」であり、「ブラウザソフト101aに表示されWebページデータD2内の所定領域101c?101eのそれぞれにバナーデータD61,62を挿入して表示する」ものである「WebページデータD2」、「バナーデータD61,62」も「表示部101」により表示されるのは明らかである。 そして、「WebページデータD2」は第1コンテンツ、「バナーデータD61,62」は、第2コンテンツともいい得るものであることを考慮すれば、引用例記載の発明の「表示部101」は、本願発明1の「第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示部」に相当する。 ウ.引用例記載の発明の「アプリケーション実行部103」は、「Webページ上のマウスポインタの位置を監視し、マウスが所定領域101c?101e上に重ね合わされるように位置すると、それをイベント発生として検出し、その所定領域に埋め込まれているバナーの出力形態を変化させ、」「例えばバナーが動画であるとき、イベント発生前は、縮小サイズの静止画D61を表示しておき、イベントが発生した際、バナーのサイズを拡大して動画D62と切り替えて再生する」ものであるから、「所定領域101c?101eのそれぞれにバナーデータD61,62を挿入して表示」すること及び「バナーデータD61,62」は、第2コンテンツともいい得るものであることを考慮すれば、本願発明1の「前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更部」と、「前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域が選択されたことを検知している場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更部」である点で共通するといえる。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「端末装置であって、 第1コンテンツと第2コンテンツとを表示する表示部と、 前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域が選択されたことを検知している場合、前記第2コンテンツの表示態様又は前記第2コンテンツに関連する関連コンテンツの表示態様を変化させ続ける変更部と、 を備えたことを特徴とする端末装置。」 〈相違点〉 〈相違点1〉 「端末装置」が、本願発明1は、「タッチパネル機能を有する端末装置」であるのに対し、引用例記載の発明は、「モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機なども含まれるもの」であるものの、「マウス109a等の操作デバイスによって入力される操作信号に従って表示部101上を移動するマウスポインタ101bを表示する」「ユーザー端末装置1」である点。 〈相違点2〉 「前記第2コンテンツの表示態様」を変化させ続けるのは、本願発明1は、「前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合」であるのに対し、引用例記載の発明は、「Webページ上のマウスポインタの位置を監視し、マウスが所定領域101c?101e(第2コンテンツが表示された領域)上に重ね合わされるように位置する」場合である点。 (2)判断 〈相違点2〉についての判断 上記相違点2について検討する。 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2003-44395号公報(以下、「引用例2」という。)には、「すなわち、本発明によれば、簡便なバナー表示の内側に潜在的情報を内在させ、ユーザのマウスクリック又はマウスオーバー等の指示操作に応じて、該潜在的情報を再生して閲覧又は聴取できるようにし、かつそのことをサーバ側でモニタできるシステム及び方法を提供することができる。」(第3頁第3欄第46行?同頁第4欄第1行)と、原査定の拒絶の理由に引用された、太駄健司,第2章 インターネット広告のさまざまな手法,Web Site expert,日本,(株)技術評論社,2006年 4月25日,第6号,第109-115ページ(以下、「引用例3」という。)には、「エクスパンド広告(エクスパンダブル広告)とは,マウスのポインタの動きに反応して拡大する広告のことです(図5).ポインタを重ねたときに拡大するバナーはロールオーバーエクスパンドバナーと呼ばれます.これは,ポインターがバナーから外れると拡大した領域も消えます.一方,クリックすると拡大するバナーはクリックエクスパンドバナーと呼ばれます.」(第112ページ左欄下から7行目?同頁右欄1行目)と記載されるように、引用例2,引用例3にはいずれにも、マウスオーバーに替えてマウスのクリックによりバナーを選択し広告を変化させる技術が記載されている。 また、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/142486号(以下、「引用例8」という。)には、「具体的には、画面上でのクリックやタップ、ディスプレイ外に設けられたキーやボタン等の操作で予め設定されたサイトにジャンプする。あるいは、例えば、クリックするごとに同一広告主の別の広告に変化させてもよいし、他の広告主の広告に変化させてもよい。」(第8頁第21?25行)、「コンピュータ等の入力部(キーボード、マウス、タッチパネル等)」(第8頁第30?31行)なる記載より、引用例8には、タッチパネルへのクリックやタップにより広告を変化させる技術が記載されているといえる。 しかしながら、マウスのクリック、タッチパネルへのクリックやタップにより広告を変化させる技術はいずれも、クリックやタップ操作を契機としてその後に広告が変化するものであるから、「ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合」に広告を変化させるものとはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用例記載の発明、引用例2,3,8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.請求項2?20について 請求項2?20は直接又は間接的に請求項1を引用する請求項であり、本願発明2?20も、本願発明1の「前記端末装置の画面における前記第2コンテンツが表示された領域にユーザが接触する操作であって、ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作が行われている場合」第2コンテンツの表示形態を変化させ続ける構成と同一の構成を備えるものである。 そして、原査定の拒絶の理由に引用された、特開2013-33476号公報、特表2012-524348号公報、特開2003-76878号公報、特開2002-215510号公報にも、当該構成は記載されていない。 したがって、引用例記載の発明、引用例2?8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 3.請求項21?23について 本願発明21は本願発明1を端末装置に実行させる「配信装置」として、本願発明22は本願発明1を「表示方法」として、本願発明23は本願発明1を「表示プログラム」として記載したものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用例記載の発明、引用例2,3,8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、補正後の本願発明1?23は「ユーザにより前記第2コンテンツが表示された領域が指定されたことを検知してから解除されるまでの間に前記第2コンテンツが指定され続けている操作である指定操作」という事項を有するものとなっているが、引用例1?8のいずれにも当該操作は記載されておらず、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用例1?8に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-02-27 |
出願番号 | 特願2014-154191(P2014-154191) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上嶋 裕樹、間野 裕一 |
特許庁審判長 |
高瀬 勤 |
特許庁審判官 |
山田 正文 土谷 慎吾 |
発明の名称 | 端末装置、配信装置、表示方法及び表示プログラム |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |