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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1325419
審判番号 不服2015-20194  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-10 
確定日 2017-03-21 
事件の表示 特願2013-118842「情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日出願公開、特開2013-214985、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年6月10日に出願した特願2009-139447号の一部を平成25年6月5日に新たな特許出願としたものであって、手続の経緯の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知(最初)平成26年 4月25日(起案日)
手続補正 平成26年 6月16日
拒絶理由通知(最後)平成27年 1月 6日(起案日)
手続補正 平成27年 2月27日
補正の却下の決定 平成27年 7月29日(起案日)
拒絶査定 平成27年 7月29日(起案日)
審判請求 平成27年11月10日
手続補正 平成27年11月10日
前置報告 平成28年 1月 6日
拒絶理由通知(最後)平成28年10月24日(起案日)
手続補正 平成28年12月13日

第2 原査定の理由及び当審拒絶理由の概要
1.原査定の理由の概要

理由1
この出願の請求項1、2、4?11、14?17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


請求項1、2、4?17に対して、刊行物1
請求項3に対して、刊行物1、2

刊行物1:特開平08-255171号公報
刊行物2:特開2009-017598号公報

2.当審拒絶理由の概要

理由1
本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。


請求項1において、「コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報」とあるが、具体的にどのようなものであるのか不明であり、発明の詳細な説明との対応が不明である。
なお、発明の詳細な説明では、3人以上の例についても、開示されていないし、スライダーバーを用いた構成で、3人以上の場合についてどのように実現するのか不明である。
請求項2?13は、請求項1を直接的もしくは間接的に引用するものであり、請求項14?17については、請求項1と同様の記載があるので、同様の理由が存在する。

理由2
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1、2、4?12、14?17に対して、刊行物A?C
請求項3、13に対して、刊行物A?D

刊行物A.特開平08-255171号公報(原査定の刊行物1)
刊行物B.特開2008-98719号公報
刊行物C.特開2008-164793号公報
刊行物D.特開2009-17598号公報(原査定の刊行物2)

第3 平成28年12月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(1)本件補正は、本件補正前の平成27年11月10日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1ないし17である、

「 【請求項1】
表示部にコンテンツを表示させる表示制御部と、
上記コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせ、
上記属性情報設定部は、
上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理装置。
【請求項2】
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の変化を示すグラフを表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
上記属性情報設定部は、
上記表示部に表示された上記グラフに対するタッチ操作に基づいて、上記コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
上記属性情報は、複数の段階を有するパラメータである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
上記属性情報は、コンテンツの時間間隔毎に設定される連続的な情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
上記属性情報設定部は、
上記コンテンツが記録媒体に記録された後、ユーザ操作に基づいて、当該コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
上記属性情報設定部は、
記録媒体に記録されたコンテンツの再生中に、ユーザ操作に基づいて、当該コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
上記表示制御部は、
コンテンツの時間間隔毎の属性情報に基づいてコンテンツの表示を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
上記表示制御部は、
コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けられた上記属性情報に基づき、ユーザ操作に応じて設定された属性情報に対応する当該コンテンツ部分のみを表示させる
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
上記表示制御部は、
段階的に設定された上記属性情報における、所定の閾値以上の属性情報に対応するコンテンツ部分のみを表示させる
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
上記コンテンツは、動画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
上記表示制御部は、
ユーザ操作により属性情報を設定するための属性情報指定表示を上記表示部に表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
上記属性情報設定部は、
上記表示部に表示された上記属性情報指定表示に対するタッチ操作に基づいて、上記コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
属性情報設定部が、コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行い、
表示制御部が、表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせ、
上記属性情報設定部が、上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
属性情報設定部が、コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う処理と、
表示制御部が、表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせる処理と
を実行させ、
上記属性情報設定部が、上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行うようにする
ための情報処理プログラム。
【請求項16】
表示部に動画像を表示させる表示制御部と、
動画像が記録された後、当該動画像の所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記動画像に含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記動画像とともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示すグラフを表示させ、
上記属性情報設定部は、
上記動画像の所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該動画像の当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理装置。
【請求項17】
属性情報設定部が、動画像が記録媒体に記録された後、当該動画像の所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記動画像に含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行い、
表示制御部が、表示部に対して、上記動画像とともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示すグラフを表示させ、
上記属性情報設定部が、上記動画像の所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該動画像の当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理方法。」

を、平成28年12月13日付け手続補正により、

「 【請求項1】
表示部にコンテンツを表示させる表示制御部と、
上記コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
上記属性情報は、
上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせ、
上記属性情報設定部は、
上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理装置。
【請求項2】
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の変化を示すグラフを表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
上記属性情報設定部は、
上記表示部に表示された上記グラフに対するタッチ操作に基づいて、上記コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
上記属性情報は、複数の段階を有するパラメータである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
上記属性情報は、コンテンツの時間間隔毎に設定される連続的な情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
上記属性情報設定部は、
上記コンテンツが記録媒体に記録された後、ユーザ操作に基づいて、当該コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
上記属性情報設定部は、
記録媒体に記録されたコンテンツの再生中に、ユーザ操作に基づいて、当該コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
上記表示制御部は、
コンテンツの時間間隔毎の属性情報に基づいてコンテンツの表示を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
上記表示制御部は、
コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けられた上記属性情報に基づき、ユーザ操作に応じて設定された属性情報に対応する当該コンテンツ部分のみを表示させる
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
上記表示制御部は、
段階的に設定された上記属性情報における、所定の閾値以上の属性情報に対応するコンテンツ部分のみを表示させる
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
上記コンテンツは、動画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
上記表示制御部は、
ユーザ操作により属性情報を設定するための属性情報指定表示を上記表示部に表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
上記属性情報設定部は、
上記表示部に表示された上記属性情報指定表示に対するタッチ操作に基づいて、上記コンテンツの所定時間間隔毎の属性情報の設定を行う
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
属性情報設定部が、コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行い、
上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
表示制御部が、表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせ、
上記属性情報設定部が、上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
属性情報設定部が、コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う処理と、
表示制御部が、表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせる処理と
を実行させ、
上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
上記属性情報設定部が、上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行うようにする
ための情報処理プログラム。
【請求項16】
表示部に動画像を表示させる表示制御部と、
動画像が記録された後、当該動画像の所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記動画像に含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
上記属性情報は、
上記動画像に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記動画像とともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示すグラフを表示させ、
上記属性情報設定部は、
上記動画像の所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該動画像の当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理装置。
【請求項17】
属性情報設定部が、動画像が記録媒体に記録された後、当該動画像の所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記動画像に含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行い、
上記属性情報は、上記動画像に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
表示制御部が、表示部に対して、上記動画像とともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示すグラフを表示させ、
上記属性情報設定部が、上記動画像の所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該動画像の当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
情報処理方法。」

と補正するものである。
なお、下線は、補正箇所である。

(2)特許請求の範囲の上記補正前後の構成を対比すると、以下のように補正するものである。

補正事項1
補正前の請求項1の属性情報に関して、
「上記属性情報は、
上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」
と補正する。

補正事項2
補正前の請求項14の属性情報に関して、
「上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」
と補正する。

補正事項3
補正前の請求項15の属性情報に関して、
「上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」
と補正する。

補正事項4
補正前の請求項16の属性情報に関して、
「上記属性情報は、
上記動画像に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」
と補正する。

補正事項5
補正前の請求項17の属性情報に関して、
「上記属性情報は、上記動画像に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」
と補正する。

2.補正の適否
(1)新規事項の追加の有無、特別な技術的特徴の変更について
補正事項1?5について、補正前の属性情報に関して、「上記属性情報は、上記コンテンツ(補正事項4、5では、動画像)に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」とする補正は、明細書の段落0133?0150及び図7等の記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、特許法第17条の2第3項に違反しない。

さらに、いずれの補正も、発明の特別な技術的特徴を変更するものではないから、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

(2)補正の目的について
補正事項1?5は、補正前の属性情報に関して、「上記属性情報は、上記コンテンツ(補正事項4、5では、動画像)に含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」と限定するものであり、また、平成28年10月24日付けの最後の拒絶理由における「請求項1において、『コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報』とあるが、具体的にどのようなものであるのか不明であり、発明の詳細な説明との対応が不明である。(中略)請求項14?17については、請求項1と同様の記載があるので、同様の理由が存在する。」についての拒絶理由を解消するための補正であって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第17条の2第5項第4号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(3)限定的減縮について
そこで、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含む本件補正後の請求項1ないし17に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(3-1)補正後発明
補正後の請求項1ないし17に係る発明は、上記1.の補正後のとおりであり、そのうちの、補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明1」という。)は、上記の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A?Fについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」、・・・という。)

「A 表示部にコンテンツを表示させる表示制御部と、
B 上記コンテンツの所定時間間隔毎に対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
C 上記属性情報は、
上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、
D 上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の上記時間間隔毎の段階的な変化を示す表示をさせ、
E 上記属性情報設定部は、
上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う
F 情報処理装置。」

(3-2)引用例の記載事項
(3-2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に刊行物1として引用され、かつ、当審の拒絶理由通知に刊行物Aとして引用された特開平8-255171号公報(以下、「引用例1」という。)には、「情報処理装置」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。

【0069】ユーザが動画像を提示させるときには、提示部にはたとえば図10又は図11のような表示を行う。図10は表示させる動画像を大きく表示させており、一方図11では動画像に付与された重要度レベルを同一画面内で明示している。これらの表示方法は、用途によってユーザが選べるようにしておく。ここで、1000は重要度レベルを利用して動画の表示を行うときに重要度レベルのしきい値を調節するためのレバーで、レバーを上に上げれば動画像の重要度レベルの高い部分のみが提示されるようになり、逆に下に下げれば重要度レベルの低い部分までも提示されるようになる。これは、第1実施例で図6や図7を用いて説明したのと同様である。

【0074】ここまで重要度レベルは動画一つにつき一種類しか付与されていないことを前提に説明してきたが、重要度レベルは複数付与することも可能である。例えば、一つの動画や音声、静止画群に対しても利用者ごとに重要度レベルを用意することもできるし、また、目的別によっていくつかの重要度レベルを付与することも可能である。具体的には、例えば動画がドラマであったときに、アクションシーンを見るといった目的や、泣かせるシーンを見たいといった目的でそれぞれ別の重要度レベルを付与することができる。

【0077】複数の重要度レベルの中から一つの重要度レベルを選択して動画の再生時に利用するほかに、複数の重要度レベルを選択し、選択された重要度レベルに所定の演算を施して新たな重要度レベルを定義し、利用することもできる。例えば、二つの重要度レベルを選択し、どちらかつ重要度レベルがユーザの設定したしきい値を上回る部分を選択して表示させたい場合には、二つの重要度レベルの論理和をとればよい。より具体的には、「スリル」という重要度レベルと「美女」という重要度レベルが用意されているときに、スリルがある、又は美女が登場しているシーンだけを選択して見たいものとする。そして、「スリル」の重要度レベルが図12の(a)、「美女」の重要度レベルが図12の(b)のごとくであったものとする。ユーザは「スリル」と「美女」の重要度レベルを選択し、さらに「どちらかがしきい値を上回る部分の提示」を行う旨を指示し、重要度レベルのしきい値を入力する。これらの重要度情報はユーザが重要度レベルの選択を行ったとき、又は動画、音声、制止画群など源情報を選択したときに、記録媒体107から読み出され、重要度情報一時記憶部110に保存される。そして、二つの重要度情報の演算を行うためにそれぞれの重要度情報は修正演算部104に送られる。

【0090】図16は手入力により動画の重要度レベルの付与、もしくはすでに付与されている動画の重要度レベルの手入力による修正を行う場合の、提示部に提示される画面の例である。
【0091】重要度レベル入力もしくは修正に先立って、入力もしくは修正したい重要度レベルを重要度レベル選択ボタン1005で選択しておく。1200は重要度レベル設定窓で、この中で重要度レベルの入力もしくは修正を行う。1006は重要度レベル設定窓1003に表示されている時間部分を表示したものであり、窓全体が動画像全体、そして斜線部分が窓1002に表示されている時間部分に相当する。1201は現在1002に表示されているフレームがどの部分であるかを表示するための表示フレーム位置マークである。
【0092】重要度レベル設定窓1200は、左右方向に動画の時間が対応しており、重要度レベル設定窓の上部には時間の目盛りが表示されている。重要度レベル設定窓内にマウスカーソル1007が入ると、マウスカーソルの位置に対応した時間のフレームが自動的に1002に表示される。また、重要度レベル設定窓1200内からマウスカーソルが外に出るときには、マウスカーソルが出る瞬間のカーソル位置に対応した時刻の映像を表示したままになる。静止画群に対して付与された重要度レベルの編集を行っているときには、静止画群の再生の際と同じように重要度レベル設定窓1200の横軸は静止画の何枚目という順番を表す。マウスカーソルが重要度レベル設定窓内にあるときには、マウスカーソルの横方向の位置に対応した順番の静止画が常に表示窓1002に表示される。一方、音声に付与された重要度レベルの編集を行うときには、表示窓1002には重要度レベル設定窓1200内のカーソルの横方向の位置に対応した時間を中心とするその前後にわたる区間の波形が表示される。波形ではなく、特定の音のオン・オフを示すバーチャートの表示でもよい。そして、重要度レベル設定窓1200内でマウスカーソルを移動させると、移動させた速度に合わせて対応した時間の音を出力する。マウスカーソルをゆっくり動かせばゆっくりとした音が出力され、すばやく動かせば早い音が出力される。このとき、マウスカーソルを動かした速度によって音の高低が変化してしまうので、これを抑制する処理を行うようにしてもよい。重要度レベルの設定を行うには、図17乃至図19のような操作を行うので、以下で説明する。
【0093】まだ重要度レベルが付与されていないときには、全ての部分で基準レベルの重要度レベルが付与されている。従って、重要度レベル設定窓内の重要度レベル表示は基準レベルだけの平坦なものである。まず、重要度レベルを付与したい部分の最初のフレームを表示させるように重要度レベル設定窓内でマウスカーソルを動かす。最初のフレームが1002の表示窓に表示されたらマウスボタンを押す(図17)。マウスボタンは押したままマウスカーソルを移動させ(ドラッグ)、重要度レベルを付与したい最後のフレームを表示させるようにマウスカーソルを移動させる。このとき、重要度レベル設定窓内でのマウスカーソルの動きは、左右方向は動画の時間に対応し、上下方向は重要度レベルに対応している。従って、重要度レベルを付与する部分の最後のフレームを表示させるように左右にマウスカーソルを移動させつつ、マウスカーソルを上下方向にも移動して希望の重要度レベルに合わせる(図18)。目的のフレームの表示と付与したいい重要度レベルが同時に得られたならば、マウスボタンを離す(図19)。以上の操作により、はじめは平坦であった重要度レベルが図19のように指定した部分だけ変更される。
【0094】一度の操作で複数の重要度レベルを設定された部分には、同じ重要度レベルの値が付与される。また、ここでは、はじめに重要度レベルを付与したい区間のはじめのフレームを指定し、次に最後のフレームをマウスで指定したが、はじめに重要度レベルを付与したい区間の最後のフレームを指定し、次にはじめのフレームと重要度レベルを同時に指定することも可能である。
【0095】図17から図19では、重要度レベルは基準レベルよりも上に設定されたが、基準レベルよりも下側の重要度レベルを指定し、負の重要度レベルを設定することも可能である。動画の中にあまり表示させたくない部分が含まれるような場合には、負の重要度レベルを設定するとよい。重要度レベルが設定されていない部分に重要度レベルを付与するには、以上のような操作を繰り返し行えばよい。
【0096】一度設定された重要度レベルに変更を加える(指定した範囲内の重要度レベルを一定倍率で拡大/縮小する)ときには、まずマウスカーソルを重要度レベル設定窓内の変更したい部分のはじめの部分にマウスカーソルを合わせる。表示窓1002に表示されたフレームが修正開始部分のはじめのフレームであることを確認した後、マウスボタンを押す(図21、図21)。マウスボタンを押したままマウスカーソルを移動させると、左右方向の移動で重要度レベルを変更する範囲を、そして上下方向の移動で変更範囲内の重要度レベルの拡大/縮小レベルを指定する(図22)。このとき、拡大/縮小の倍率は変更範囲内の最大の重要度レベルがマウスカーソルの上下方向の位置に対応するように設定される。即ち、変更区間の重要度レベルの最高値がImax 、マウスカーソルの上下方向の位置に対応する重要度レベルがIc であるとき、変更範囲内の重要度レベルは全てIc /Imax 倍される。変更範囲と変更値が決定したらマウスボタンを離し、変更を確定させる(図23)。このとき、マウスをドラッグしたまま重要度レベルの基準値よりも低い位置にマウスカーソルを合わせて確定すると、変更範囲内の正の重要度レベルを負の重要度レベルに変更することができる。もちろん同様の操作で負の重要度レベルを正に変更することもできる(図24の(a)?(c))。
【0097】また、最後に基準レベルの位置に合わせてマウスボタンをはなせば、変更範囲が全て基準レベルに設定し直されるので、重要度レベルをキャンセルする際に利用することができる。
【0098】以上の説明では、重要度レベルを新たに設定する手続きと、設定されている重要度レベルを修正する手続きとは同じものである。新たな設定と修正のどちらが行われるかは、マウスをドラッグして左右に動かすことによって指定する時間範囲に、既に設定された重要度レベルが存在するか否かによって決定される。指定時間範囲内の重要度レベルが全て基準レベルであれば新たな重要度レベルの設定になり、指定時間範囲内に基準レベル以外の重要度レベルが含まれていれば修正が行われる。

また、図11、12、14、18?29にあるように、重要度レベルは、段階的に付与されているといえる。

上記記載(特に、下線で示した記載。なお、下線は、当審が付したものである。)及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されている。

「a 提示部に動画像を表示させ、
b 上記動画像に、手入力により、動画像における「美女」の重要度レベルを段階的に付与し、
c 提示部に動画像を表示させ、動画像に付与された「美女」の重要度レベルを同一画面内で明示する
d 情報処理装置。」

(3-2-2)引用例2
当審の拒絶理由通知に刊行物Bとして引用され、前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2008-98719号公報(以下、「引用例2」という。)には、ハイライト釦が押された時間よりも所定時間分前の映像データの位置にハイライトシーンのマークを設定する技術が記載されている。(段落0027、0028、0035?0038、図3、4等を参照。)

(3-2-3)引用例3
当審の拒絶理由通知に刊行物Cとして引用され、前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2008-164793号公報(以下、「引用例3」という。)には、順次表示切換処理の終了指示がなされると、この時点で表示されているフレームよりも、所定フレーム数遡ったフレームを目標フレームとして表示する技術が記載されている。(段落0198?0217、図19等を参照。)

(3-2-4)引用例4
原査定の拒絶の理由に刊行物2として引用され、かつ、当審の拒絶理由通知に刊行物Dとして引用された特開2009-17598号公報(以下、「引用例4」という。)には、入力デバイスとして、タッチパネルが含まれている技術が記載されている。(段落0019等を参照。)

(3-2-5)引用例5
前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2000-295574号公報(以下、「引用例5」という。)には、画像の中に写っている人数を算出し、画像データと対応させて記録することにより、画像データを写っている人数により分類、検索する技術が記載されている。(段落0007?0010、0031、0032等を参照。)

(3-2-6)引用例6
前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2007-36538号公報(以下、「引用例6」という。)には、動画を構成する各静止画に含まれる人物像の数を検出する技術が記載されている。(段落0030等を参照。)

(3-2-7)引用例7
前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2007-226606号公報(以下、「引用例7」という。)には、人物を認識して人数を検出し、動画中のコマからユーザが指定する人数が写されているコマを検出する技術が記載されている。(段落0042等を参照。)

(3-2-8)引用例8
前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2001-134586号公報(以下、「引用例8」という。)には、各属性項目について、数値表現することができる属性項目を数値化する技術が記載されている。(段落0011、図1等を参照。)

(3-2-9)引用例9
前置報告にて周知技術を示す文献として引用された特開2005-56361号公報(以下、「引用例9」という。)には、番組に出演する人物が、どのような性別や年齢の人々に人気があるか、どのような視聴タイプか、どのような特徴を有しているか等を数値化したデータとして管理する技術が記載されている。(段落0117?0126、図24?27等を参照。)

(3-3)引用例に記載された周知技術について
引用例2、3は、当審拒絶理由及び前置報告にて周知技術を示す文献として引用され、引用例5?9は、前置報告にて周知技術を示す文献として引用された文献であり、以下のような周知技術としてまとめることができる。

(3-3-1)引用例2、3について
引用例2、3は、いずれも、指示したい部分は、ユーザが操作した時点よりも前の時点の位置とする技術、すなわち、「指示したい部分の設定を、表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う技術」であり、このような技術は、周知の技術といえる。

(3-3-2)引用例5?7について
引用例5?7は、いずれも、「画像内の人数を検出する技術」であり、このような技術は、周知の技術といえる。

(3-3-3)引用例8、9について
引用例8、9は、いずれも、「属性情報を数値として扱う技術」であり、このような技術は、周知の技術といえる。

(3-4)対比
補正後発明1と引用例1発明を対比する。

(3-4-1)補正後発明1の構成Aについて
引用例1発明の構成aの「動画像」は、表示されるコンテンツといえるから、補正後発明1の構成Aの「コンテンツ」に相当する。
また、引用例1の図1のように、情報処理装置は、「記録制御部103」、「読み出し制御部105」のような制御部を有している構成であるから、「提示部に動画像を表示させ」る場合にも、表示するための制御部を有するものといえる。
したがって、引用例1発明の構成aは、補正後発明1の構成Aに相当する。

(3-4-2)補正後発明1の構成Bについて
引用例1発明の構成bの「手入力」は、本願発明1の構成Bの「ユーザ操作」に相当する。
構成bにおける『動画像における「美女」の重要度レベルを段階的に付与』することにおいて、『動画像における「美女」の重要度レベル』は、動画像内の人物に対応して付与されるものであり、当該人物に対応する特徴といえるので、構成Bの「上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報」に相当する。
そして、「段階的に付与」する場合には、付与するための部位を有するものといえる。
したがって、引用例1発明の構成bと、補正後発明1の構成Bは、「上記コンテンツに対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部」を有する点で共通する。
しかし、引用例1発明は、補正後発明1のように、「所定時間間隔毎」に対応付けて設定を行うかについて限定されていない。

(3-4-3)補正後発明1の構成Cについて
上記(3-4-2)で検討したように、引用例1発明の『動画像における「美女」の重要度レベル』は、補正後発明1の「属性情報」に対応するが、引用例1発明は、補正後発明1の構成Cのような構成を有するものではない。

(3-4-4)補正後発明1の構成Dについて
引用例1発明の構成cに関して、「動画像に付与された「美女」の重要度レベル」は、補正後発明1の構成Dの「属性情報」に相当し、「動画像に付与された「美女」の重要度レベル」は、段階的に付与されているものであるから、段階的な変化をしているものといえる。
また、上記(3-4-1)で検討したように、引用例1発明においては、表示するための制御部を有するものであるので、当該制御部にて構成cの制御を行うものといえる。
したがって、引用例1発明の構成cと、補正後発明1の構成Dは、「上記表示制御部は、上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の段階的な変化を示す表示をさせ」る点で共通する。
しかし、引用例1発明は、上記属性情報の段階的な変化が、「上記時間間隔毎」に限定されていない。

(3-4-5)補正後発明1の構成Eについて
引用例1発明は、『手入力により、動画像における「美女」の重要度レベルを段階的に付与』することにおいて、手入力と付与の時間的な関係について限定されておらず、補正後発明1の構成Eのような構成を有するものではない。

(3-4-6)補正後発明1の構成Fについて
引用例1発明の構成dは、補正後発明1の構成Fに相当する。

したがって、補正後発明1と引用例1発明は、以下の点で一致ないし相違する。

[一致点]
「表示部にコンテンツを表示させる表示制御部と、
上記コンテンツに対応付けて、ユーザ操作に応じた、上記コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報の段階的な設定を行う属性情報設定部と
を有し、
上記表示制御部は、
上記表示部に対して、上記コンテンツとともに、上記属性情報の段階的な変化を示す表示をさせる、
情報処理装置。」

[相違点1]
コンテンツに対応付けて属性情報の段階的な設定を行うことに関して、補正後発明1は、「所定時間間隔毎に」対応付けるのに対し、引用例1発明は、そのような限定がない点。

[相違点2]
属性情報に関して、補正後発明1は、「上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあ」るのに対し、引用例1発明は、『動画像における「美女」の重要度レベル』である点。

[相違点3]
属性情報の段階的な変化を示す表示をさせることに関して、補正後発明1は、「所定時間間隔毎に」表示をさせるのに対し、引用例1発明は、そのような限定がない点。

[相違点4]
属性情報設定部に関して、補正後発明1は、「上記コンテンツの所定時間間隔に対する上記属性情報の設定を、当該コンテンツの当該所定時間間隔の部分が上記表示部に表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う」のに対し、引用例1発明は、そのような限定がない点。

(3-5)判断
上記相違点2について検討する。

引用例1発明の属性情報は、『動画像における「美女」の重要度レベル』であり、動画像内の人物の美女の度合い、すなわち、『動画像内の人物の特徴に関する情報』である。
それに対し、補正後発明1の属性情報は、「上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報」、すなわち、コンテンツ内の人物のうち、ユーザにより登録された人物のうちの注目する人物を指定する為の情報である。
そうすると、引用例1発明の属性情報は、人物の特徴に関する情報であるのに対し、補正後発明1の属性情報は、登録された人物のうちの注目する人物に関する情報であり、人物に関する情報の性質が異なるものであるから、属性情報について、引用例1発明の『動画像内の人物の特徴に関する度合いを表す情報』に代えて、補正後発明1のような「上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報」とすることは、論理に飛躍があり、容易に想到できるといえず、さらに、「登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報」とすることも容易に想到できるといえない。

また、他に引用された引用例2?9は、上記(3-3-1)?(3-3-3)のように、「指示したい部分の設定を、表示されている時点よりも後の時点におけるユーザ操作に基づいて行う技術」、「画像内の人数を検出する技術」、「属性情報を数値として扱う技術」が周知の技術であり、上記(3-2-4)のように、入力デバイスとして、タッチパネルが含まれる技術が公知の技術であることを開示するものであって、相違点2に係る補正後発明1の構成に関して、引用例2?9に記載されておらず、引用例1発明に、引用例2?9に記載された技術の適用を勘案しても、上記相違点2に係る補正後発明1の構成を思い至ることは、論理に飛躍があり、容易に想到できるといえない。

よって、上記相違点1、3、4について判断するまでもなく、補正後発明1は、当業者であっても引用例1発明、引用例2?9に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3-6)記載要件について
当審拒絶理由の理由1で、「本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。」と通知し、具体的には、『請求項1において、「コンテンツに含まれる人物に対応する属性情報」とあるが、具体的にどのようなものであるのか不明であり、発明の詳細な説明との対応が不明である。』との拒絶理由を通知した。
しかし、平成28年12月13日付けの手続補正において、「上記属性情報は、上記コンテンツに含まれる複数の人物のうち、ユーザにより登録された人物を注目する人物として指定する為の情報であり、登録された複数の人物のうちの一人を注目する人物として指定する為の属性情報と、登録された複数の人物を注目する人物として指定する為の属性情報とがあり、」と補正されたことにより、属性情報が具体的にどのようなものであるのか明確となり、発明の詳細な説明との対応も明確となった。
さらに、「なお、発明の詳細な説明では、3人以上の例についても、開示されていないし、スライダーバーを用いた構成で、3人以上の場合についてどのように実現するのか不明である。」との通知に対しては、平成28年12月13日付けの意見書における、『3人以上の例について本願明細書には記載されていないが、上述したように、本願発明で言うところの属性情報は、登録された複数の人物のうちの一人を指定する人物属性(例えば「Aちゃん」、「Bくん」、「Cくん」など)と、登録された複数の人物を指定する人物属性(例えば「3人とも」など)とであり、3人以上の場合も、2人の場合と同様にして容易に実現できることは明らかである。また、登録された複数の人物のうちの一人を指定する人物属性と、登録された複数の人物を指定する人物属性とを、スライダーバーに設定するときの順番は、ユーザによりもしくは装置側で任意の順番に指定されればよい。』との主張を踏まえれば、発明の詳細な説明の記載から、3人以上の場合についても、2人の場合と同様に実現できることは明らかである。
また、記載要件に関する他の拒絶理由は無い。

(3-7)小活
したがって、補正後発明1は、当業者が引用例1発明及び引用例2?9に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
補正後の請求項2ないし17に係る発明についても、上記相違点に係る構成を全て有しているものであるので、補正後発明1と同様に、当業者が引用例1発明及び引用例2?9に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、補正後の請求項1ないし17に係る発明について、記載要件に関する拒絶理由は無い。
さらに、独立特許要件違反となるその他の理由も発見しない。

よって、本件補正の補正事項1?5は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第4 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし17に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、請求項1ないし17に係る発明は、第3の2.(3)の検討から、当業者が刊行物1、2に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審拒絶理由についても、請求項1ないし17に係る発明は、第3の2.(3)の検討から、当業者が刊行物A?Dに記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえず、請求項1ないし17に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとなり、明確なものとなったので、当審拒絶理由は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-06 
出願番号 特願2013-118842(P2013-118842)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
P 1 8・ 537- WY (H04N)
P 1 8・ 575- WY (H04N)
P 1 8・ 574- WY (H04N)
P 1 8・ 572- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 畑中 高行  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 渡辺 努
清水 正一
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム  
代理人 田辺 恵基  

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