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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1325630
審判番号 不服2015-12758  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-03 
確定日 2017-03-01 
事件の表示 特願2012-530334号「米の精白」拒絶査定不服審判事件〔2011年3月31日国際公開、WO2011/036464、平成25年2月21日国内公表、特表2013-505715号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年9月25日 (GB)英国)を国際出願日とする出願であって、平成26年2月27日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成26年9月4日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、平成27年2月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成27年7月3日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年7月3日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
米を精白するための方法であって:
玄米を、水と、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む添加物とを含む湿潤剤で湿潤させる工程;および
前記湿潤させた玄米を前記湿潤させる工程後に機械的に精白する工程
を含む、方法。」

第3 原査定の拒絶の理由
平成27年2月24日付け拒絶査定には「この出願については、平成26年2月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由1,2によって、拒絶をすべきものです。」と記載され、平成26年2月27日付けで通知した拒絶理由は、本願発明に対して、引用文献8[特開昭58-175456号公報]に記載された発明に基いて、理由1[特許法29条1項3号]及び理由2[特許法29条2項]を根拠とする拒絶理由を含むものである。

第4 当審の判断
当審は、原査定のとおり、上記引用文献8に記載された発明に基づき、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものと判断する。
その理由は、以下のとおりである。

1 引用文献8[特開昭58-175456号公報]について
引用文献8には、以下の事項が記載されている。
(1)「2. 特許請求の範囲
(1) 米に水又は水溶液よりなる搗精液を噴霧散布し、攪拌して表面を均一に濡らし、糠層が高含水率に吸水して搗精の摩擦力で油脂が滲出しがたく、精白米となる澱粉層の表面が、水又は搗精液で湿潤して油脂が付着塗布しがたい状態中に、多量の空気の気流で搗精により発生した糠を発生と同時に除去する加湿搗精工程を複数回繰返して、極度に糠の残存量と表面の油脂の塗布量を少くなるようした精白米を、合成樹脂袋等通気性のない容器に密封することを特徴とする米の貯蔵方法。
(2) 溶質が葡萄糖、デキストリン等の糖類よりなる水溶液の搗精液で米の表面を湿潤して摩擦搗精し、搗精後の精白米の表層部に溶質が浸透し、且、表面を溶質が被覆することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載する米の貯蔵方法。」(1頁左下欄3行?同ページ右下欄5行)

(2)「実施例
一次搗精
玄米に常温で水を重量比1.2%噴霧散布し攪拌して表面を均一に湿潤する。加湿後約1分を経過すると水は米粒内に吸収されて玄米の表面が濡れた状態ではなくなる。
通常の噴風式精米機で、吸入する空気を黴の胞子および菌糸を除去し得るフィルターで濾過した空気の気流中で、分銅圧は低圧で発生糠を発生と同時に除去しながら搗精する。
二次搗精
葡萄糖濃度40%水溶液を一次搗精米に噴霧散布して攪拌し均一に米粒の表面に塗布し、分銅圧を増加し加湿後直ちに搗精する他は一次搗精と同様にして葡萄糖水溶液を逓減し、分銅圧を逓増して5回搗精する。
合計6回の搗精により精白米の搗精度は極限状態となり、澱粉層の表面には凹部等に剥離されないで残存し、又米粒の間隙に遊離した糠は極めて微少となり、澱粉層の表面が常に濡れた状態で摩擦搗精するので表面に油脂の塗布は殆んどなく、葡萄糖の水溶液の1部は澱粉層内に滲透し、1部を表面を被覆した状態で微量の油脂の酸化を防止し黴の胞子、菌糸もない状態の精白米に仕上げる。」(2頁右下欄1行?3頁左上欄5行)

(3)「一次搗精では、米粒は澱粉層の表面が僅かに濡れた水分の大部分が糠層中に吸収された状態で摩擦するので糠層が剥離しやすい状態であり、米粒の澱粉層の表面が濡れているので摩擦系数が大きく、小摩擦力で搗精し得られる。発生糠は含水率が大きく、空気の気流で除去しやすい状態で、遊離した糠の残存量は通常の加湿しない搗精より著しく少い。
二次搗精で加湿する葡萄糖水溶液は、水単体よりも摩擦系数が一層大きくなり、摩擦搗精は効果的になって小圧力で砕粒の発生を防止して著しく搗精度を高め精白米の凹部等に残存する糊粉層の微少片の糠も剥離除去し得られる。」(3頁左上欄12行?同頁右上欄5行)

(4)「実施例では、玄米に水を噴霧散布して一次の初期搗精をするものを示したが、葡萄糖水溶液等摩擦系数を増大させる搗精液を使用すると、一層低圧搗精が可能となる。
二次搗精の搗精液の溶質は葡萄糖に限定されることなく糖類はすべて使用可能であり、濃度は葡萄糖では10%?60%の範囲が適当であるが、溶質により適当な範囲を選択する。」(3頁右上欄11?19行)

上記記載事項(1)?(4)から、引用文献8には、玄米に水を噴霧散布し攪拌して表面を均一に湿潤し、加湿後水が米粒内に吸収されて玄米の表面が濡れた状態ではなくなった後、通常の噴風式精米機で搗精する一次搗精と、葡萄糖濃度40%水溶液を一次搗精米に噴霧散布して攪拌し均一に米粒の表面に塗布し、加湿後直ちに搗精する他は一次搗精と同様に行う二次搗精により、精白米に仕上げる方法が記載され(上記記載事項(2)参照)、あわせて、一次の初期搗精において、葡萄糖水溶液等摩擦系数を増大させる搗精液を使用し得ること(上記記載事項(4)参照)、搗精液の溶質は葡萄糖に限定されることなく糖類はすべて使用可能であること(上記記載事項(4)参照)、糖類よりなる水溶液の搗精液で米の表面を湿潤して搗精すること(上記記載事項(1)参照)が記載されている。

よって、引用文献8には、
「玄米に糖類の水溶液を噴霧散布し攪拌して表面を均一に湿潤させ、加湿後水が米粒内に吸収されて玄米の表面が濡れた状態ではなくなった後、通常の噴風式精米機で搗精する一次搗精と、糖類の水溶液を一次搗精米に噴霧散布して攪拌し均一に米粒の表面に塗布し湿潤させ、加湿後直ちに搗精する他は一次搗精と同様に行う二次搗精により、精白米に仕上げる方法。」(以下「引用発明」という。)が記載されている。

2 本願発明と引用発明との対比、判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「糖類」は、本願発明の「糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む添加物」に相当し、引用発明の「糖類の水溶液」は、本願発明の「水と、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む添加物とを含む湿潤剤」に相当する。
また、引用発明の「一次搗精」において「玄米に糖類の水溶液を噴霧散布し攪拌して表面を均一に湿潤させ」る工程及び「二次搗精」において「糖類の水溶液を一次搗精米に噴霧散布して攪拌し均一に米粒の表面に塗布し湿潤させ」る工程は、本願発明の「湿潤剤で湿潤させる工程」に相当し、引用発明の「湿潤させ、加湿後水が米粒内に吸収されて玄米の表面が濡れた状態ではなくなった後、通常の噴風式精米機で搗精する一次搗精」及び「湿潤させ、加湿後直ちに搗精する他は一次搗精と同様に行う二次搗精」は、本願発明の「前記湿潤させた玄米を前記湿潤させる工程後に機械的に精白する工程」に相当する。
そして、引用発明の「精白米に仕上げる方法」は、本願発明の「米を精白するための方法」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明の発明特定事項をすべて備えているから、本願発明は、引用発明であるといえる。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-29 
結審通知日 2016-10-04 
審決日 2016-10-17 
出願番号 特願2012-530334(P2012-530334)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 亮人上條 肇  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 千壽 哲郎
山崎 勝司
発明の名称 米の精白  
代理人 右田 登志男  
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