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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1325655
審判番号 不服2016-3926  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2017-02-27 
事件の表示 特願2012- 18499「ナビゲーション装置、経路生成方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日出願公開、特開2013-156213〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成24年1月31日の出願であって、平成27年5月18日付けで拒絶理由が通知され、平成27年7月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年12月22日付けで拒絶査定がされ、平成28年3月15日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年3月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年3月15日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲に関しては、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年7月6日に提出された手続補正書により補正された下記(1)に示す請求項1ないし11の記載を、下記(2)に示す請求項1ないし9の記載へと補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし11
「【請求項1】
サーバ装置と、ナビゲーション装置とを具備する情報システムにおけるナビゲーション装置であって、
前記サーバ装置は、
ユーザが投稿した情報であり、当該ユーザが投稿した地点の緯経度情報が対応付いている情報である1以上の投稿情報が格納される格納部と、
前記ナビゲーション装置から、地図上の地点を示す1以上の地点情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した1以上の各地点情報に対応する1以上の投稿情報を、前記格納部から取得する取得部と、
前記取得部が取得した1以上の投稿情報を、前記ナビゲーション装置に送信する送信部とを具備し、
前記ナビゲーション装置は、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、前記サーバ装置に送信する地点情報送信部と、
前記サーバ装置から、1以上の投稿情報を受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備する情報システムにおけるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ナビゲーション装置は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている地点情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示をも受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報を出力し、
前記受付部は、
前記出力部が出力した1以上の投稿情報から、1以上の投稿情報の選択である投稿地点選択指示を受け付ける請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、
ユーザの嗜好を示す情報である1以上の嗜好情報が格納される嗜好情報格納部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報から、前記嗜好情報格納部に格納されている嗜好情報に対応する1以上の投稿情報を取得する嗜好投稿情報取得部とをさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記嗜好投稿情報取得部が取得した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項1から請求項3いずれか記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記地点情報は、地図上の地点の名称を示す名称情報を有し、
前記取得部は、
前記受信部が受信した各地点情報が有する名称情報を含む1以上の投稿情報を、前記格納部から取得し、
前記経路情報生成部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報に対応付いている名称情報が示す名称に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項1から請求項4いずれか記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した投稿情報または前記嗜好投稿情報取得部が取得した投稿情報を、当該投稿情報に対応付いている地点情報を用いて、前記経路情報生成部が生成した経路情報に対応付けて出力する請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、サーバ装置に送信する地点情報送信部と、
前記サーバ装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報を受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備するナビゲーション装置。
【請求項8】
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている地点情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示をも受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報を出力し、
前記受付部は、
前記出力部が出力した1以上の投稿情報から、1以上の投稿情報の選択である投稿地点選択指示を受け付ける請求項8記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
記録媒体に、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納されており、
地点情報取得部と、地点情報送信部と、投稿情報受信部と、経路情報生成部と、出力部とを用いて行われる経路生成方法であって、
前記地点情報取得部が、前記記録媒体に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得ステップと、
前記地点情報送信部が、前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、外部の装置に送信する地点情報送信ステップと、
前記投稿情報受信部が、前記外部の装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報を受信する投稿情報受信ステップと、
前記経路情報生成部が、前記投稿情報受信ステップで受信された1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成ステップと、
前記出力部が、前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力ステップとを具備する経路生成方法。
【請求項11】
記録媒体に、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納されており、
コンピュータを、
前記記録媒体に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、外部の装置に送信する地点情報送信部と、
前記外部の装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報を受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部として機能させるためのプログラム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし9
「【請求項1】
サーバ装置と、ナビゲーション装置とを具備する情報システムにおけるナビゲーション装置であって、
前記サーバ装置は、
ユーザが投稿した情報であり、当該ユーザが投稿した地点の緯経度情報が対応付いている情報である1以上の投稿情報が格納される格納部と、
前記ナビゲーション装置から、地図上の地点を示す1以上の地点情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した1以上の各地点情報に対応する1以上の投稿情報を各投稿情報に対応付いている緯経度情報と共に、前記格納部から取得する取得部と、
前記取得部が取得した1以上の投稿情報を各投稿情報に対応付いている緯経度情報と共に、前記ナビゲーション装置に送信する送信部とを具備し、
前記ナビゲーション装置は、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、前記サーバ装置に送信する地点情報送信部と、
前記サーバ装置から、1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する情報システムにおけるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報を出力し、
前記受付部は、
前記出力部が出力した1以上の投稿情報から、1以上の投稿情報の選択である投稿地点選択指示を受け付ける請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、
ユーザの嗜好を示す情報である1以上の嗜好情報が格納される嗜好情報格納部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報から、前記嗜好情報格納部に格納されている嗜好情報に対応する1以上の投稿情報を取得する嗜好投稿情報取得部とをさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記嗜好投稿情報取得部が取得した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地点情報は、地図上の地点の名称を示す名称情報を有し、
前記取得部は、
前記受信部が受信した各地点情報が有する名称情報を含む1以上の投稿情報を、前記格納部から取得し、
前記経路情報生成部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報に対応付いている名称情報が示す名称に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する請求項1から請求項3いずれか記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した投稿情報または前記嗜好投稿情報取得部が取得した投稿情報を、当該投稿情報に対応付いている緯経度情報を用いて、前記経路情報生成部が生成した経路情報に対応付けて出力する請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、サーバ装置に送信する地点情報送信部と、
前記サーバ装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するナビゲーション装置。
【請求項7】
前記出力部は、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の投稿情報を出力し、
前記受付部は、
前記出力部が出力した1以上の投稿情報から、1以上の投稿情報の選択である投稿地点選択指示を受け付ける請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
記録媒体に、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納されており、
地点情報取得部と、地点情報送信部と、投稿情報受信部と、経路情報生成部と、出力部と、受付部とを用いて行われる経路生成方法であって、
前記地点情報取得部が、前記記録媒体に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得ステップと、
前記地点情報送信部が、前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、外部の装置に送信する地点情報送信ステップと、
前記投稿情報受信部が、前記外部の装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信ステップと、
前記経路情報生成部が、前記投稿情報受信ステップで受信された1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成ステップと、
前記出力部が、前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力ステップとを具備し、
前記受付部が、前記投稿情報受信ステップで受信された1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付ステップをさらに具備し、
前記経路情報生成ステップにおいて、
前記受付ステップで受け付けられた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路生成方法。
【請求項9】
記録媒体に、
地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納されており、
コンピュータを、
前記記録媒体に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、外部の装置に送信する地点情報送信部と、
前記外部の装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部として機能させるためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部としてさらに機能させ、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。」(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)。

2 本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項6に関しては、本件補正前の請求項8に係る発明の「前記サーバ装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報を受信する投稿情報受信部」を「前記サーバ装置から、1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信部」とする補正、すなわち、本件補正前の請求項8に係る発明の発明特定事項である「投稿情報受信部」について、受信する情報である「1以上の投稿情報」を「1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報」と限定するとともに、本件補正前の請求項8に係る発明の「前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている地点情報が示す地点」を「前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点」とする補正、すなわち、本件補正前の請求項8に係る発明の発明特定事項である「地点情報」について、「緯経度情報」と限定するものであるから、本件補正前の請求項8に係る発明の発明特定事項である「投稿情報受信部」及び「地点情報」の構成を限定するものといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項6についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項8に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項8に記載された発明と、本件補正後の請求項6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項6に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許をうけることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 独立特許要件の判断
(1)本件補正発明
本件補正発明は、平成28年3月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項6に記載される事項により特定されるものであるところ、上記1の(2)に示したとおりのものである。

(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア) 引用文献1の記載
本件出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-247831号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次のような記載がある。
a 「【0003】
近年の車載装置では、位置情報とブログとを対応付けたアイコンや音声メッセージなどを地図上に表示することも実施されている。例えば、ユーザは、車載装置のタッチパネルを操作して位置情報とともにブログ記事を投稿したり、携帯電話を用いて位置情報付き音声メッセージやブログ記事を投稿したりする。そして、これらの投稿を受信した車載装置は、受信した位置情報によって特定される地図上の位置に、受信されたブログ記事などの投稿情報をアイコンで表示する。
【0004】
また、車載装置は、ユーザによってアイコンが選択されると、投稿されたブログ記事のサイトを表示したり、選択されたアイコンに付随する音声メッセージを出力したりする。また、車載装置は、同一位置に複数の投稿があった場合には、アイコンの形状や色等を変化させて同時に複数の投稿を表示し、いずれかのアイコンが選択されると、選択された位置近辺の投稿一覧を表示してそれぞれの投稿を選択できるようにする。また、車載装置は、特定の項目のみを表示するような表示制限を実施することもできる。
【0005】
最近では、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータなどの情報通信機器を用いて、リアルタイムに情報共有ができるツイッター(登録商標)などのオープンツール(サービス)が普及している。例えば、ユーザは、ツイッターを起動して「ツイート」といわれる所定文字数内の短文を投稿し、その投稿に対する他人の返事を参照したりして、他人とコミュニケーションを図る。また、ツイッター(登録商標)には、位置情報に関するAPI(Application Program Interface)も公開されており、地域単位や位置に関連性のある情報を発信することもできる。」(段落【0003】ないし【0005】)

b 「【0015】
[全体構成]
図1は、実施例1にかかる車載用表示装置を含むシステムの全体構成を示す図である。図1に示すように、このシステムは、ツイッターサーバ1と音声合成サーバ2と地図サーバ3と音声認識サーバ4と、自動車等の車内10に設置される車載用表示装置11とを有する。なお、本実施例では、投稿情報としてツイッター(登録商標)を用いた例で説明するが、これに限定されるものではなく、例えばブログ、簡易メール、SNS(Social Network Service)などの投稿サービスを用いることもできる。
【0016】
ツイッターサーバ1は、ユーザIDによって識別される個々のユーザが携帯電話などを用いて投稿したツイートなどの投稿情報を記憶する投稿情報サーバである。また、ツイッターサーバ1は、投稿された情報に音声データが付加されている場合には、付加されている音声データを音声合成サーバ2に格納する。また、ツイッターサーバ1は、投稿された情報に地図データが付加されている場合には、付加されている地図データを地図サーバ3に格納する。
【0017】
そして、ツイッターサーバ1は、ユーザが投稿情報の取得要求を受信した場合に、記憶する投稿情報をユーザの携帯電話に送信する。例えば、ツイッターサーバ1は、前回の取得要求から今回の取得要求の間に蓄積された投稿情報を送信する。・・・(中略)・・・また、ツイッターサーバ1は、前回の取得要求から今回の取得要求の間に蓄積された投稿情報のうち、現在のユーザ位置から所定範囲内の位置までの間で投稿された投稿情報のみを送信するようにしてもよい。」(段落【0015】ないし【0017】)

c 「【0022】
車載用表示装置11は、車内10に設置される装置であり、通信装置20と車載機50とを有する。なお、車載用表示装置11は、通信装置20と車載機50とが別々の筐体で実現されている例を図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば通信装置20と車載機50とが1つの筐体で実現されていてもよい。
【0023】
通信装置20は、Webやインターネットに接続可能な携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの通信装置であり、無線通信やUSB(Universal Serial Bus)などを用いて車載機50と接続される。この通信装置20は、投稿情報、音声データ、地図データなどの各種データを車載機50に出力し、車載機50のタッチパネル等でユーザが操作した内容にしたがって各種処理を実行する。
【0024】
車載機50は、タッチパネルやディスプレイなどの液晶モニタを有するとともに、表示機能やオーディオ再生機能、携帯端末との通信機能といった基礎的な機能のみを実装し、通信装置20と連携することで多機能化するDA(Display Audio)である。したがって、本実施例で用いる車載機50は、近年、車両に搭載される高精度な車載装置などに比べて安価な装置であり、普及が期待できる装置である。
【0025】
なお、本願が開示する車載機50は、必ずしもDAである必要はなく、ナビゲーション機能などを備えた高精度な車載装置であってもよい。この場合、地図を除くデータ(投稿内容、位置情報)が車載機50に送信され、車載機50が、ローカルに記憶する地図データに投稿内容を表示させる。
【0026】
この車載機50は、通信装置20から受信した投稿情報や地図データを液晶モニタに表示し、通信装置20から受信した音声データをスピーカーから音声出力する。また、車載機50は、表示パネル上でユーザが操作した情報として、操作位置を示す座標などの位置情報を通信装置20に送信する。」(段落【0022】ないし【0026】)

d 「【0027】
[車載用表示装置の構成]
次に、図2を用いて、図1に示した車載用表示装置の構成を説明する。図2は、車載用表示装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、車載用表示装置11は、通信装置20と車載機50とを有するので、ここでは、通信装置20と車載機50とのそれぞれについて説明する。
【0028】
(通信装置の構成)
通信装置20は、入出力インタフェース21と、GPS(Global Positioning System)22と、カメラ23と、マイク24と、カテゴリDB(DataBase)25と、投稿情報DB26と、定型文DB27とを有する。また、通信装置20は、投稿連携起動部28と、投稿情報取得部29と、情報分類部30と、情報表示部31と、操作特定部32と、情報編集部33と、情報入力部34とを有する。」(段落【0027】及び【0028】)

e 「【0037】
投稿情報DB26は、ツイッターサーバ1から取得された投稿情報と当該投稿情報の分類先を記憶する。図4は、投稿情報DBに記憶される情報の例を示す図である。図4に示すように、投稿情報DB26は、「投稿日時、タグ、内容、位置情報、動画像、音声、分類結果」として「2010/4/26 10:00:00、#Tra、渋滞中、兵庫県神戸市○○交差点、111.jpeg、-、交通」などを記憶する。また、投稿情報DB26は、「2010/4/26 10:00:02、#Wet、濃霧で視界不良です、兵庫県神戸市○○1丁目、-、-、-」、「2010/4/26 10:00:05、#Sce、いい景色、六甲山××、夜景.mpeg、あり、シーン」、「2010/4/26 10:00:15、#III、今なら100円/Lです!、兵庫県神戸市○○3丁目、-、-、-」などを記憶する。
【0038】
ここで記憶される「投稿日時」は、投稿情報が投稿された日時を示し、「タグ」は、ツイートなどの投稿情報に含まれるハッシュタグを示す。「内容」は、投稿された内容、言い換えると、つぶやかれた内容を示し、「位置情報」は、投稿情報の表示位置を示す。また、「動画像」は、投稿情報に付加されている動画像データがあるか否かを示し、ある場合にはファイル名が格納され、ない場合には「-」が格納される。「音声」は、投稿情報に付加されている音声データがあるか否かを示し、ある場合にはファイル名が格納され、ない場合には「-」が格納される。「分類結果」は、後述する情報分類部30によって分離された結果が格納され、分類できなかった場合には「-」が格納されて表示対象から除外される。
【0039】
例えば、「2010/4/26 10:00:00、#Tra、渋滞中、兵庫県神戸市○○交差点、111.jpeg、-、交通」の場合、タグが「#Tra」であり、投稿位置を「兵庫県神戸市○○交差点」とする、「111.jpeg」が付加された投稿情報「渋滞中」が「2010/4/26 10:00:00」に投稿され、カテゴリ「交通」に分類されたことを示す。また、「2010/4/26 10:00:02、#Wet、濃霧で視界不良です、兵庫県神戸市○○1丁目、-、-、-」の場合、タグが「#Wet」であり、投稿位置を「兵庫県神戸市○○1丁目」とする、投稿情報「濃霧で視界不良です」が「2010/4/26 10:00:02」に投稿され、いずれのカテゴリにも分類されなかったことを示す。
【0040】
また、「2010/4/26 10:00:05、#Sce、いい景色、六甲山××、夜景.mpeg、あり、シーン」の場合、タグが「#Sce」であり、投稿位置を「六甲山××」とする、「夜景.mpeg」と音声データとが付加された投稿情報「いい景色」が「2010/4/26 10:00:05」に投稿され、カテゴリ「シーン」に分類されたことを示す。また、「2010/4/26 10:00:15、#III、今なら100円/Lです!、兵庫県神戸市○○3丁目、-、-、-」の場合、タグが「#III」であり、投稿位置を「兵庫県神戸市○○3丁目」とする投稿情報「今なら100円/Lです!」が「2010/4/26 10:00:15」に投稿されたが、いずれのカテゴリにも分類されなかったことを示す。」(段落【0037】ないし【0040】)

f 「【0047】
投稿情報取得部29は、ユーザが投稿した投稿情報と当該投稿情報の投稿先を示す位置情報とを取得する。具体的には、投稿情報取得部29は、車載機50で投稿情報の取得要求操作がされたことを操作特定部32から受信した場合、ツイッターサーバ1に接続して投稿情報を取得する。そして、投稿情報取得部29は、取得した投稿情報をメモリ等に格納するとともに、情報分類部30に出力する。また、投稿情報の取得契機としては、例えば所定時間ごとに取得するようにしてもよく、ツイッターサーバ1からPUSH式で送信されるようにしてもよい。
【0048】
一例としては、投稿情報取得部29は、投稿情報として「投稿日時、タグ、内容、位置情報、動画像、音声」として「2010/05/11 12:00:15、#Tra、渋滞中、東京都○○、渋滞.mpeg、音声あり」から構成される投稿情報を取得する。なお、ここで取得される「投稿日時、タグ、内容、位置情報、動画像、音声」は、図4と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0049】
・・・(中略)・・・
【0050】
例えば、投稿情報「2010/4/26 10:00:05、#Sce、いい景色、六甲山××、夜景.mpeg、あり」が投稿情報取得部29によって取得された場合の例を用いて説明する。・・・(中略)・・・
【0051】
また、投稿情報「2010/4/26 10:00:02、#Wet、濃霧で視界不良です、兵庫県神戸市○○1丁目、-、-」が投稿情報取得部29によって取得された場合の例を用いて説明する。・・・(中略)・・・
【0052】
・・・(中略)・・・
【0053】
情報表示部31は、投稿情報取得部29によって投稿情報とともに取得された位置情報によって特定される位置に、情報分類部30によって分類されたカテゴリに応じた表示形式で投稿情報を表示させた地図データを生成する。具体的に例を挙げると、情報表示部31は、(1)車両の現在位置の地図データ取得、(2)現在位置付近の投稿情報特定、(3)表示形式の特定、(4)表示する地図データ生成、(5)車載機へ送信を実行する。
【0054】
例えば、(1)として、情報表示部31は、当該車載用表示装置11の現在位置をGPS22によって取得し、取得した現在位置に対応する地図データを地図サーバ3から取得する。続いて、(2)として、情報表示部31は、GPS22で取得した位置情報付近の位置情報を有する投稿情報を投稿情報DB26から特定する。そして、(3)として、情報表示部31は、特定した投稿情報を投稿情報DB26から読み出し、読み出した投稿情報の「タグ」に対応する表示形式をカテゴリDB25から特定し、特定した「表示形式」の投稿情報を生成する。このとき、情報表示部31は、投稿情報に付加される動画像データの表示や音声データの再生を実施するための「詳細ボタン」等をアイコン等に付加してもよい。続いて、(4)として、情報表示部31は、投稿情報に付加される位置情報に基づいて投稿情報の投稿位置を特定し、現在位置に対応する地図データ上に、生成した投稿情報を付加する。そして、情報表示部31は、投稿情報DB26に格納される投稿情報各々に対してこの処理を繰り返すことで、1つの地図データに投稿情報各々が表示されている新たな地図データをJPEG形式で生成する。その後、(5)として、情報表示部31は、生成した新たなJPEG形式の地図データを車載機50に出力する。」(段落【0047】ないし【0054】)

g 「【0068】
表示パネル52は、後述する表示制御部53から入力された画像データを表示するディスプレイやタッチパネルである。表示制御部53は、入出力インタフェース51を介して、通信装置20から受信した画像データを表示パネル52に表示出力し、通信装置20から受信した音声データを音声制御部54に出力する。
【0069】
音声制御部54は、表示制御部53から音声データを受信して保持し、表示パネル52によって音声出力指示を受け付けた場合には、当該指示された音声を再生してスピーカー55から出力する。コマンド制御部56は、表示パネル上でユーザがタッチ(操作)した位置を特定し、入出力インタフェース51を介して、特定した位置を示す座標を通信装置20に送信する。」(段落【0068】及び【0069】)

h 「【0080】
また、情報編集部33は、車載機50上で、図7の(D)に示される投稿情報が選択されると、図8に示すような投稿情報の詳細情報を車載機50に送信し、車載機50の表示制御部53は、受信した投稿情報の詳細情報を表示パネル52に表示する。図8は、投稿情報の詳細情報を表示した例を示す図である。
【0081】
具体的には、図8に示すように、情報編集部33は、図7上で選択された投稿情報が有する動画像データや音声データ等を投稿情報DB26から取得して車載機50に送信し、車載機50の表示制御部53は、受信した直前の画像データを表示パネル52に表示する。図8に示す画面では、選択された投稿情報のカテゴリ、当該投稿情報に付加される画像データ、当該投稿情報を投稿したユーザに関する情報、現在地からの距離などが詳細情報として表示される。
【0082】
そして、情報編集部33は、車載機50上で、図8に示す「×」が選択されると、表示している詳細画面を閉じて図7の画面に戻る。また、情報編集部33は、車載機50上で、図8に示す「G」が選択されると、表示されている投稿情報付近の他の投稿情報の詳細情報を順に生成して車載機50に送信する。また、通信装置20や車載機50がナビゲーション機能を有している場合、情報編集部33は、図8に示す画面上で「GO」が選択されると、表示している投稿情報までの道案内を開始する。」(段落【0080】ないし【0082】)

i 「【0097】
(投稿情報表示処理の流れ)
図16に示すように、投稿情報取得部29は、投稿情報取得契機に到達すると(ステップS201肯定)、ユーザや他のユーザが投稿した投稿情報と当該投稿情報の投稿先を示す位置情報とをツイッターサーバ1から取得する(ステップS202)。
【0098】
・・・(中略)・・・
【0099】
・・・(中略)・・・そして、情報表示部31は、フィルタリングされた投稿情報に対して、上述した(1)?(5)の処理を実行し、地図データに投稿情報が表示されている新たな地図データを生成して車載機50に送信し、車載機50の表示パネル52に地図データが表示される(ステップS207)。」(段落【0097】ないし【0099】)

j 「【0101】
(投稿情報選択時の処理の流れ)
図17に示すように、情報編集部33は、車載機50で受け付けられたユーザ操作が操作特定部32によって特定されると(ステップS301肯定)、特定された操作が投稿情報の選択であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0102】
続いて、情報編集部33は、特定された操作が投稿情報の選択である場合(ステップS302肯定)、選択された位置に複数の投稿情報が存在するか否かを判定する(ステップS303)。
【0103】
そして、情報編集部33は、選択された位置に複数の投稿情報が存在する場合(ステップS303肯定)、当該複数の投稿情報を並び替えた画像データを生成して車載機50に表示する(ステップS304)。例えば、情報編集部33は、図8に示したように、1つの投稿情報の詳細情報を表示した上でスクロールできるように表示する。また、情報編集部33は、図9に示すように、現在の地図データ上に表示される投稿情報それぞれを図3に示したカテゴリ「交通、天気、シーン、カスタム、お知らせ」ごとに並び替え、カテゴリが選択可能なタグを設けて表示する。
【0104】
一方、情報編集部33は、選択された位置に複数の投稿情報が存在しない場合(ステップS303否定)、選択された投稿情報のみ詳細情報を表示する画像データを生成して車載機50に表示する(ステップS305)。」(段落【0101】ないし【0104】)

k 「【0121】
実施例1では、車載用表示装置が地図データを有していない例について説明したが、これに限定されるものではなく、車載用表示装置が地図データを有していてもよい。そこで、実施例3では、車載用表示装置が地図データを有している場合の例について説明する。
【0122】
・・・(中略)・・・
【0123】
車載用表示装置110は、車内100に設置される装置であり、通信装置200と車載機500とを有する。なお、車載用表示装置110は、通信装置200と車載機500とが別々の筐体で実現されている例を図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば通信装置200と車載機500とが1つの筐体で実現されていてもよい。
【0124】
・・・(中略)・・・
【0125】
この通信装置200が有する投稿情報取得、情報分類、投稿連携、情報編集、操作特定、情報入力などの各機能は、図2で説明した通信装置20と同様なので、詳細な説明は省略する。特に、通信装置200が実施例1の通信装置20と異なる点は、投稿情報を付加する地図データを地図サーバ3からではなく、車載機500から取得する点である。また、通信装置200は、ユーザが操作した操作位置を示す座標を車載機500から取得し、取得した座標によって操作内容を特定することもでき、通信装置200は、ユーザが操作した操作位置を示す緯度と経度とを車載機500から取得し、取得した緯度と経度によって操作内容を特定することもできる。
【0126】
・・・(中略)・・・
【0127】
車載機500は、タッチパネルやディスプレイなどの液晶モニタを有するとともに、表示機能やオーディオ再生機能、携帯端末との通信機能といった基礎的な機能を有する。実施例1と異なる点は、車載機500がナビゲーション部600を有する点である。すなわち、実施例2にかかる車載機500は、地図データおよび経路案内機能を有する。
【0128】
この車載機500が有する表示制御、コマンド制御、音声制御などの各機能は、図2で説明した車載機50と同様なので、詳細な説明は省略する。特に、車載機500が実施例1の車載機50と異なるナビゲーション部600は、DVD(Digital Versatile Disc)やHDD(Hard Disk Drive)など記憶媒体に地図データを有する。そして、ナビゲーション部600は、目的地の入力を受け付けると、現在位置から目的地までの走行ルートを表示パネルに表示できる。
【0129】
また、ナビゲーション部600は、表示パネル上でユーザの操作を受け付けた場合に、当該操作位置を示す座標または緯度と経度とを通信装置200に送信する。さらに、ナビゲーション部600は、通信装置200からの要求に応じて、所望の位置が表示される地図データを通信装置200に送信し、通信装置200から受け付けた画像データを表示パネルに表示できる。また、ナビゲーション部600は、通信装置200から投稿情報と投稿位置とを受信した場合には、投稿位置に投稿情報を付加した地図データを生成することもできる。
【0130】
さらに、ナビゲーション部600は、表示パネルに表示される地図データ上の投稿情報が選択された場合には、当該選択された投稿情報を目的地とした走行ルートを案内することもできる。」(段落【0121】ないし【0130】)

(イ) 引用文献1記載の事項
以下、図2に主要部の構成が示された実施例1の車載用表示装置を基本構成として参照しつつ、実施例3の車載用表示装置に着目して記載する。

m 上記(ア)kの段落【0123】、【0127】及び【0128】の記載によれば、引用文献1には、ナビゲーション部600を有する車載機500及び通信装置200を1つの筐体に備えた車両用表示装置110が記載されていることが分かる。

n 上記(ア)kの段落【0127】及び【0128】並びに上記(ア)gの段落【0068】の記載から、ナビゲーション部600は、DVDやHDDなどの記憶媒体に地図データを有すること、車載機500はタッチパネルからなる表示パネル52を備えること、及び目的地の入力を受け付けると現在位置から目的地までの走行ルートを表示パネル52に表示する機能を有することが分かる。

p 上記(ア)kの段落【0125】並びに上記(ア)fの段落【0053】及び【0054】の記載から、ナビゲーション部600の有する地図データは、位置を示す1以上の情報を有することが分かる。

q 上記(ア)kの段落【0125】及び上記(ア)dの段落【0028】の記載から、通信装置200は、投稿情報取得部29、情報表示部31、操作特定部32及び情報編集部33とを有することが分かる。

r 上記(ア)kの段落【0125】、上記(ア)eの段落【0037】ないし【0040】、上記(ア)fの段落【0048】、【0050】及び【0051】並びに図4の記載から、ツイッターサーバ1から取得する投稿情報は、内容及び投稿位置を示す位置情報を有して構成されることが分かる。

s 上記(ア)kの段落【0125】及び上記(ア)bの段落【0017】記載から、ツイッターサーバ1から取得する投稿情報は、現在のユーザ位置から所定範囲内の位置までの間で投稿された投稿情報で良いことが分かる。

t 上記(ア)kの段落【0125】、上記(ア)aの段落【0003】、上記(ア)fの段落【0054】及び上記(ア)hの段落【0099】の記載から、通信装置200の備える情報表示部31は、現在位置をGPS22によって取得し、取得した現在位置に対応する地図データを、位置を示す情報とともに取得し、投稿情報に付加される位置情報に基づいて投稿情報の投稿位置を特定し、現在位置に対応する地図データ上の、位置情報によって特定される地図上の位置に投稿情報を付加し、地図データに投稿情報各々が表示されている新たな地図データを生成して車載機500に出力することが分かる。

u 上記(ア)kの段落【0125】、上記(ア)fの段落【0047】及び上記(ア)iの段落【0097】の記載から、通信装置200の備える投稿情報取得部29は、車載機500で投稿情報の取得要求操作がされたことを操作特定部32から受信した場合、ツイッターサーバ1に接続して投稿情報を取得し、取得した投稿情報をメモリ等に格納することが分かる。

v 上記(ア)kの段落【0125】及び【0128】、上記(ア)cの段落【0024】ないし【0026】、上記(ア)gの段落【0068】及び【0069】並びに上記(ア)jの段落【0101】ないし【0104】の記載から、ユーザは車載機500のタッチパネルからなる表示パネル52をタッチ操作して投稿情報を選択できることが分かる。

w 上記(ア)kの段落【0125】、【0129】及び【0130】上記(ア)hの段落【0080】ないし【0082】並びに図7及び図8の記載から、ナビゲーション部600は、表示パネル52に表示された地図データ上の投稿情報が選択された場合には、当該選択された投稿情報を目的地とした走行ルートで道案内することが分かる。

(ウ) 引用発明
上記上記(ア)aないしk、(イ)m、n及びpないしw並びに図面の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「地図を示す情報であり、位置を示す情報を有する地図データが格納された記憶媒体と、
記憶媒体に格納されている地図データが有する、GPS22が取得した現在位置に対応する地図データを、位置を示す情報とともに取得する情報表示部31と、
ツイッターサーバ1から、現在のユーザ位置から所定範囲内位置までの間で投稿された1以上の内容と各内容に対応付いている投稿位置の位置情報とを取得する投稿情報取得部29と、
前記投稿情報取得部29が取得した1以上の投稿情報を目的地とした走行ルートを案内する情報編集部33及びナビゲーション部600と、タッチパネルからなり、投稿情報、地図データ及び現在位置から目的地までの走行ルートを表示する表示パネル52とを具備し、
表示パネル52は、さらに投稿情報取得部29が取得した内容及び位置情報を有する投稿情報への、ユーザ選択操作であるタッチ操作を受けるものであり、
ナビゲーション部600は、
表示パネル52が受け付けたユーザのタッチ操作で選択された投稿情報を目的地とした走行ルートで道案内する車両用表示装置110。」(以下、「引用発明」という。)。

イ 引用文献2
(ア) 引用文献2記載技術
本件出願前に頒布された特開2007-278807号公報(以下、「引用文献2」という。)には、段落【0004】及び【0032】の記載からみて、次の技術が記載されている。
「カーナビゲーション装置において、位置情報として緯度及び経度を用いるとともに、投稿情報に緯度及び経度を付加して投稿する技術。」(以下、「引用文献2記載技術」という。)。

(3)対比
本件補正発明における、地点情報取得部が地図情報格納部から取得する「地図情報が有する1以上の地点情報」とは、本件明細書の段落【0055】によれば「現在位置を示す地点情報」であってよく、また「地点情報」とは、本件明細書の段落【0031】によれば「地図上の地点の位置を示す位置情報」であってよいものである。
そうすると、本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「位置を示す情報」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件補正発明における「地図上の地点を示す1以上の地点情報」に相当し、以下同様に、「地図データ」は「地図情報」に、「記憶媒体」は「地図情報格納部」に、「記憶媒体に格納されている地図データが有する、GPS22が取得した現在位置に対応する地図データを、位置を示す情報とともに取得する情報表示部31」は「前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部」に、「ツイッターサーバ1」は「サーバ装置」に、「内容」は「投稿情報」に、「情報編集部33及びナビゲーション部600」は「経路情報生成部」に、「車両用表示装置110」は「ナビゲーション装置」に、相当する。
また、引用発明における「表示パネル52」は、「投稿情報、地図データ及び現在位置から目的地までの走行ルートを表示する」ものであり、さらに「内容及び位置情報を有する投稿情報への、ユーザの選択であるタッチ操作を受ける」ものであるから、本件補正発明における「経路情報を出力する出力部」及び「1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部」に相当する。
また、引用発明における「現在位置に対応する地図データ」に関する「現在位置」は、本件補正発明における「地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報」に相当し、同様に「情報表示部31」は「地点情報取得部」に相当する。
そして、
「サーバ装置から所定の位置情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の位置情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した各投稿情報に対応付いている位置情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するナビゲーション装置。」という限りにおいて、
引用発明における
「ツイッターサーバ1から、現在のユーザ位置から所定範囲内位置までの間で投稿された1以上の内容と各内容に対応付いている投稿位置の位置情報とを取得する投稿情報取得部29と、
前記投稿情報取得部29が取得した1以上の投稿情報を目的地とした走行ルートを案内する情報編集部33及びナビゲーション部600と、
タッチパネルからなり、投稿情報、地図データ及び現在位置から目的地までの走行ルートを表示する表示パネル52とを具備し、
表示パネル52は、さらに投稿情報取得部29が取得した内容及び位置情報を有する投稿情報への、ユーザ選択操作であるタッチ操作を受けるものであり、
ナビゲーション部600は、
表示パネル52が受け付けたユーザのタッチ操作で選択された投稿情報を目的地とした走行ルートで道案内する車両用表示装置装置110。」は、
本件補正発明における
「前記サーバ装置から、緯経度情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の緯経度情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている緯経度情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するナビゲーション装置。」に相当する。

よって、本件補正発明と引用発明とは、「地図を示す情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記地図情報格納部に格納されている地図情報が有する1以上の地点情報を取得する地点情報取得部と、
サーバ装置から所定の位置情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の位置情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した各投稿情報に対応付いている位置情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記経路情報生成部は、
前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するナビゲーション装置。」という点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件補正発明においては、「前記地点情報取得部が取得した1以上の地点情報を、サーバ装置に送信する地点情報送信部」を具備しているのに対し、引用発明においては、地点情報送信部を備えているか否か不明である点。

(相違点2)
「サーバ装置から所定の位置情報に対応付いている1以上の投稿情報と各投稿情報に対応付いている投稿地点の位置情報とを受信する投稿情報受信部と、
前記投稿情報受信部が受信した1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成する経路情報生成部と、
前記経路情報生成部が生成した経路情報を出力する出力部とを具備し、
前記投稿情報受信部が受信した各投稿情報に対応付いている位置情報が示す地点から、1以上の地点を選択する指示である投稿地点選択指示を受け付ける受付部をさらに具備し、前記経路情報生成部は、前記受付部が受け付けた投稿地点選択指示に対応する1以上の各投稿情報に対応付いている位置情報に対応する地点を含む経路を示す経路情報を生成するナビゲーション装置。」の「位置情報」に関し、本件補正発明においては「緯経度情報」であるのに対し、引用発明においては「位置情報」である点。

(4)判断
上記相違点1及び相違点2について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、ツイッターサーバ1から、現在のユーザ位置から所定範囲内の間の位置の投稿情報を取得するものであるところ、現在のユーザ位置から所定範囲内の間の位置の投稿情報を取得するには、ツイッターサーバ1に現在のユーザ位置に関する位置情報を送信することが必要であることは自明であるから、引用発明に、現在のユーザ位置に関する位置情報をツイッターサーバ1に送信する送信部を設けることは当然の事項である。
そうすると、引用発明が、ツイッターサーバ1から受信した投稿情報を、地図データに付加して表示パネル52に表示させることものであることを考慮すれば、引用発明に、現在のユーザ位置に関する位置情報をツイッターサーバ1に送信する送信部を設けるにあたり、現在の位置情報として、記憶媒体から受信した地図データの有する位置情報を送信するように設計することは、当業者が適宜になし得た設計的事項である。
してみると、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

イ 相違点2について
本件補正発明と引用文献2記載技術とはナビゲーション装置という共通の技術分野に属する。そこで、相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項と引用文献2記載技術とを対応させると、引用文献2記載技術における「緯度及び経度」は、本件補正発明でいう「緯経度」に相当する。
そして、引用発明と引用文献2記載技術は、位置情報を付加した内容を投稿するとともに、サーバ装置から位置情報を付加した投稿情報を取得するという共通の機能を有するものである。
そうすると、引用発明に引用文献2記載技術を適用し、位置情報として緯経度を用いるようにして相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

(5)まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術から当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。


第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項8に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成27年7月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本件発明は、上記第2の[理由]の1(1)の【請求項8】に記載されたとおりである。

2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2011-247831号公報)に記載された発明(引用発明)及び引用文献2(特開2007-278807号公報)に記載された技術(引用文献2記載技術)については、上記第2の[理由]の3(2)ア及びイに記載したとおりである。

3 対比・検討
上記[理由]の2で検討したとおり、本件補正発明は本件発明の発明特定事項を限定したものである。そして、本件発明の発明特定事項を限定した本件補正発明が上記第2の[理由]の3のとおり、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明は、実質的に同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が発明をすることができたものである。

4 まとめ
以上のとおり、本件発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3のとおり、本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-22 
結審通知日 2017-01-05 
審決日 2017-01-17 
出願番号 特願2012-18499(P2012-18499)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白石 剛史  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 松下 聡
三島木 英宏
発明の名称 ナビゲーション装置、経路生成方法、およびプログラム  
代理人 谷川 英和  

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