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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1325656
審判番号 不服2016-5155  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-07 
確定日 2017-02-28 
事件の表示 特願2013-504021「波長可変レーザ・ベースの赤外線撮像システム及びその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月13日国際公開、WO2011/127474、平成25年 6月17日国内公表、特表2013-524246〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成23年4月11日(パリ条約による優先権主張 2010年4月9日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成26年10月20日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、平成27年2月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月3日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月2日付けで同年8月3日付けの手続補正について却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定がなされたものである。
これに対して、平成28年4月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出された。


第2 平成28年4月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、以下の(2)で記載する本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を、以下のように補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。
「撮像情報を取得するためのシステムであって、
約6μmから10μmまでのスペクトル範囲で波長が可変の、赤外線放射を生成するためのコヒーレント光源レーザと、
前記赤外線放射を受け取りかつ拡大して撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線拡大器と、
前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を受け、かつ、前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を拡大し、合焦させるための拡大及び合焦装置と、
前記拡大及び合焦された赤外線放射を受け、分析のために処理装置に送るための赤外線検知装置であって、複数の検知素子を有するマイクロボロメータ・アレイ検知器を含む赤外線検知装置と、
を含み、
前記コヒーレント光源レーザは、前記マイクロボロメータ・アレイ内の各検知素子による検出のためにサンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成され、
前記赤外線検知装置は、室温で動作するよう構成されていることを特徴とするシステム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成27年2月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「撮像情報を取得するためのシステムであって、
約6μmから10μmまでのスペクトル範囲で波長が可変の、赤外線放射を生成するためのコヒーレント光源レーザと、
前記赤外線を受け取りかつ拡大して撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線拡大器と、ここで、前記前記赤外線は前記試料から反射し又は前記試料を透過し、
前記反射し又は透過した赤外線放射を受け、かつ、前記反射し又は透過した赤外線放射を拡大し、合焦させるための拡大及び合焦装置と、
前記拡大及び合焦された赤外線放射を受け、分析のために処理装置に送るための赤外線検知装置であって、複数の検知素子を有するマイクロボロメータ・アレイ検知器を含む赤外線検知装置と、
を含み、
前記コヒーレント光源レーザは、前記マイクロボロメータ・アレイ内の各検知素子による検出のためにサンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成されていることを特徴とするシステム。」


2 補正の適否
上記補正は、補正前の発明特定事項である「赤外線検知装置」について、「室温で動作するよう構成され」ることをさらに限定したものであって、いわゆる限定的減縮を目的とするものを含み、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものを含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
本願の優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由で引用された、「GUO,B. 他,“Microscopic spectral imaging using mid-infrared semiconductor lasers”, Proceedings of SPIE, Volume 4959, 2003年7月1日, Pages 1-11」(以下、「引用文献1」という。)、特表2010-502957号公報(以下、「引用文献2」という。)、「ARTYUSHENKO,V.G. 他,“Mid IR-fiber spectroscopy in the 2-17μm range”, Proceedings of SPIE, Volume 6739, 2007年10月15日, Article 673908, Pages 1-7」(以下、「引用文献3」という。)、「WILLIAMSON,F. 他,“Advanced microbolometer detectors for a next generation uncooled FPA for space-based thermal remote sensing”, Proceedings of SPIE, Volume 7208, 2009年2月23日, Article 72080J, Pages 1-10」(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項及び発明が記載されている。なお、当審において、参考となる箇所に下線を付した。

ア 引用文献1の記載事項
(ア)「Microscopic spectral imaging using mid-infrared semiconductor lasers」(第1頁第1?2行)
(当審訳)
「中赤外半導体レーザを用いた顕微分光イメージング」

(イ)「ABSTRACT
Infrared micro-spectroscopy is a useful tool for basic research and biomedical applications. Conventional microspectroscopic imaging apparatuses use thermal sources for sample illumination, which have low brightness, low optical spectral intensity, and high noise. This work evaluates the system engineering advantages of using mid-infrared semiconductor lasers that offer orders-of magnitude higher brightness, spectral intensity, and lower noise. A laser-based microscopic spectral imaging system with focal plane array detectors demonstrated a high signal-to-noise ratio (>20 dB) at video frame rate for a large illuminated area. Microscopic spectral imaging with fixed-wavelength and tunable lasers of 4.6, 6, and 9.3-μm wavelength was applied to a number of representative samples that consist of biological tissues (plant and animal) and solid material (a stack of laminated polymers). Transmission spectral images with ~30-dB dynamic range were obtained with clear evidence of spectral features for different samples. The potential of more advanced systems with a wide coverage of spectral bands is discussed.」(第1頁第6行?第16行)
(当審訳)
「要約
赤外顕微分光法は、基礎研究および生物医学的用途のための有用なツールである。従来の顕微分光イメージング装置は、サンプル照射、低輝度、低光学スペクトル強度、および高いノイズを有する熱源を使用する。この研究は、桁の大きさでより高い輝度、スペクトル強度、および低い雑音を提供する中赤外半導体レーザーを使用してのシステム工学的利点を評価する。焦点面アレイ検出器を備えたレーザーベースの顕微鏡分光イメージングシステムは、大きな照明領域をビデオフレーム速度で高い信号対雑音比(>20 dB)を実証した。4.6、6、および9.3μm波長の固定波長と可変波長レーザでの顕微分光イメージングは、多くの生物学的組織(植物および動物)および固体材料(積層ポリマーの積層体)を含む代表的なサンプルに適用された。?30dBのダイナミックレンジを有する伝送スペクトル画像が、異なるサンプルについてスペクトル特徴の明確な証拠として得られた。スペクトルバンドの広い範囲をカバーするより進歩したシステムの可能性が議論される。」

(ウ)「This paper is an evaluation of the system engineering advantage in using novel IR semiconductor lasers to overcome the limitations above for micro-spectroscopic imaging. Lasers offer high optical power spectral density, high brightness, high polarization, low noise, and high modulation bandwidth, which can allow a different operation paradigm for IR micro-spectroscopy. Compared with thermal IR sources, a single laser has the disadvantage of being narrow-band, but a system of many tunable lasers that are wavelength-division multiplexed (WDM) together can cover the entire IR band. In some cases, laser coherence can cause undesirable speckle noises, but coherency also offers the possibility of coherence imaging such as holography.」(第1頁第18行?第2頁第7行)
(当審訳)
「この論文は、マイクロ分光イメージングのための上記制限を克服するために新規な赤外線半導体レーザを使用してのシステム工学的利点の評価である。レーザは、高い光パワースペクトル密度、高輝度、高偏光、低雑音、および高い変調帯域幅を提供し、これは、IRマイクロ分光法のための異なる動作パラダイムを可能にすることができる。熱IR放射源と比較して、単一のレーザは狭帯域であるという欠点を有しているが、波長分割多重化(WDM)を組み合わせた多くの同調可能レーザのシステムは全IRバンドをカバーすることができる。あるいくつかの場合には、レーザのコヒーレンス性は、望ましくないスペックルノイズを引き起こし得るが、コヒーレンシはまた、ホログラフィなどの干渉画像の可能性を提供する。」

(エ)「2. EXPERIMENTAL SYSTEM SETUP
The experimental system consists of five elements: the IR microscope, the FPA detectors, the lasers, the data acquisition system, and the samples for imaging experiments. This section describes each element in details.
2.1 IR microscope setup
Commercial IR microscopes were used in many previous studies cited above. However, they are expensive and generally not designed to accommodate lasers. Since the objective of this work is to evaluate the merit of lasers on spectral imaging rather than microscopy itself, an inexpensive imaging system was used, and is illustrated in Fig.2. The microscope is in the transmission configuration, and has two fixed magnification stages. The low magnification stage employs a single objective lens L2 and has a magnification factor of 20x. In the high magnification stage, the real image of the first stage is magnified with a second objective lens L3 to give a total magnification factor of 90x. A number of removable mirrors are used to steer the beams into different magnification paths.」(第2頁右下欄下から第6行?第3頁第9行)
(当審訳)
「2.実験システム構成
実験システムは、5つの要素:IR顕微鏡、FPA検出器、レーザ、データ収集システム、画像化実験のためのサンプルで構成される。このセクションでは、詳細に各要素を説明している。
2.1 IR顕微鏡構成
市販のIR顕微鏡は、上記引用した多くの従来の研究で使われた。しかしながら、それらは高価であり、一般にレーザを適用するように設計されていない。この研究の目的は、マイクロスコピーそれ自体というより、スペクトルイメージングでのレーザのメリットを評価することであるため、安価な画像形成システムが使用され、それは図2に示される。顕微鏡は透過配置で、2個の固定倍率ステージを有する。低倍率ステージは、1つの対物レンズL2を使用し、20Xの倍率を有する。高倍率ステージにおいて、第一段階の実像は、第2対物レンズL3で90xの合計倍率が得られる。異なる倍率の経路にビームを導入するために、多数の取り外し可能なミラーが使用される。」

(オ)「2.2 Detectors - IR FPA camera
A focal plane array was placed at the image plane of the microscope to capture the image. Two commercial FPAs were used. A cooled 256X256 pixel PtSi FPA (made by Inframetrics, Bellerica, MA, USA, model PM-180) with an estimated noise-equivalent power (NEP) of 2.8 x 10 W was used for 3-5 μm; and an uncooled 320X240 pixel ferroelectric BST/CMOS detector (made by ElectroPhysics Corp., Fairfield, NJ, model PV-320) with an estimated NEP of 2.7 ×10 W was used for 8-12 μm. For both cameras, the NEP figures are estimated from manufacturers specifications of NEΔT (nominally at the video frame rate bandwidth) and the spectral responsivity. Ideally, each FPA should also have a narrow band-pass optical filter that allows the laser radiation band and rejects all others for better signalto-noise performance. Such a filter must be integrated with the array, especially with cooled detectors, and is not feasible in this case. However, it is conceivable that state-of-the-art systems can have integrated tunable filters.」(第3頁第10行?第31行)
「2.2 検出器 - IR FPAカメラ
焦点面アレイが、画像を捕捉するために顕微鏡の画像平面に配置された。2種の市販のFPAが使用された。2.8×10Wの推定される雑音等価電力(NEP)を有する、冷却された256×256画素 PtSi FPA(Inframetrics 製, Bellerica, MA, USA, モデルPM-180)が、3-5μmについて用いられ、2.7×10Wの推定されるNEPを有する、非冷却320×240画素 強誘電体BST/CMOS検出器(ElectroPhysics Corp. 製, Fairfield, NJ, モデル PV-320)が、8-12μmについて使用された。両方のカメラに対して、NEP図は、NEΔT(名目上のビデオフレームレート帯域幅で)及びスペクトル応答度の製造仕様から推定される。理想的には、それぞれのFPAは、良好なSN性能のために、レーザー放射帯域を透過し、他の帯域を排除する狭帯域光フィルタを有するべきである。このようなフィルタは、アレイと一体化され、特に冷却された検出器と一体化されるが、この場合には適していない。しかしながら、最新技術のシステムは、一体化した可変フィルタを有することができると考えられる。」

(カ)「2.3 Lasers
The essential component of this work is the lasers. Commercial and developmental prototypes QC lasers with wavelength of 4.6, 6, and 9.3 μm were used. All lasers were capable of operating at thermoelectric cooling, but the 4.6 μm laser was operated at liquid nitrogen temperature for higher power. The 9.3-μm lasers were further developed into an external cavity wavelength-tunable lasers. The 4.6- and 6-μm lasers are multi-mode with a spectral width up to ?1 cm^(-1). The 9.3-μm lasers are external cavity with nearly single-mode operation with ?0.02-0.05-cm^(-1) linewidth. Other laser properties are summarized in Table I.
The overall wavelength coverage of these lasers is certainly modest. But the objective in the present work is only to evaluate the spectral imaging capability of these lasers from the optical system engineering perspective, rather than spectroscopy. It is clear that a system of many lasers, currently limited by resources but not technology, will eventually allow truly hyperspectral imaging capability.」(第3頁第32行?第45行)
(当審訳)
「2.3レーザ
この研究の不可欠な構成要素は、レーザである。商業的および開発中のプロトタイプである波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザが使用された。すべてのレーザは熱電冷却で動作することが可能であったが、4.6μmのレーザは、より高い電力のために液体窒素温度で作動させた。9.3μmのレーザは、外部共振器型の波長可変レーザとしてさらに開発されたものである。4.6および6μmのレーザは、およそ1cm^(-1)までのスペクトル幅を有するマルチモードである。9.3μmのレーザは、0.02-0.05-cm^(-1)までの線幅を有するほぼ単一モード動作を備えた外部共振器である。他のレーザ特性を表Iにまとめる。
これらのレーザの全体的な波長適用範囲は、確かに控えめである。しかし、本研究の目的は、スペクトロスコピーよりも、むしろこれらのレーザのスペクトルイメージング機能を評価することのみである。現在は技術的には制限されないが資金的に制限されている多くのレーザシステムが、結果的に真のハイパースペクトルイメージング機能を可能とすることは明らかである。」

(キ)図2には、以下の図面が示されている。


(ク)「Figure 2 Schematic of the infrared micro-spectroscopic imaging setup. Collimated laser beams are combined through mirrors and bandpass filters and focused onto the sample (S). The illuminated sample is imaged by the objective lens onto the FPA. Both objective lenses (L2 and L3) are 1"-diameter aspheric ZnSe lenses with an NA of ~0.5, designed for diffraction-limited performance at infinite conjugate ratio. The shaded area shows the second stage for higher magnification.」(第3頁第2図の説明文)
(当審訳)
「図2 赤外線マイクロ分光イメージング構成の概略。コリメートされたレーザービームは、ミラー及びバンドパスフィルタを介して組み合わされ、サンプル(S)上に集束される。照射された試料は、対物レンズによってFPA上に結像される。両方の対物レンズ(L2およびL3)は、NA≒0.5、1"-直径の非球面ZnSeレンズであり、無限共役比での回折制限された性能のために設計されている。斜線領域は、より高倍率の第2ステージを示している。」

(ケ)図8には、以下の図面が示されている。


(コ)「Figure 8 Images of an animal tissue sample. (a) white light image taken with a commercial microscope; (b) broadband image taken with an IR FPA array illuminated by a 700-K broad band IR source illumination; (c) IR image taken with 4.6 μm laser; (d) IR image taken with 9.3 μm laser; The dashed curves marked areas A and B demonstrate the difference of two laser wavelength image. (e)Top: the intensity map along the marked straight line in (c) and (d) demonstrate the absorption difference between two lasers. (e)Bottom, the moving average of the difference between the two intensities shown in (e)top.」(第8頁図8の説明文)
(当審訳)
「図8 動物組織試料の画像。(a)市販の顕微鏡で撮影した白色光画像;(b)700K広帯域IR光源照明により照明されたIR FPAアレイで撮影された広帯域画像;(c)4.6μmレーザで撮影されたIR画像、(d)9.3μmレーザで撮影されたIR画像;領域AおよびBでマークされた破線の曲線は、2レーザ波長画像の相違を示す。(e)上:(c)および(d)にマークされた直線に沿った強度マップは2レーザ間の吸収差を示す。(e)下、(e)の上に示す2つの強度間の差の移動平均。」

(サ)図9には、以下の図面が示されている。


(シ)「Figure 9 FT-IR absorption spectrum of the animal tissue. The marked lines are the laser wavelengths used in the experiment.」(第8頁図9の説明文)
(当審訳)
「図9 動物組織のFT-IR吸収スペクトル。マークされた線は実験に用いたレーザ波長である。」


イ 引用文献1に記載された発明の認定
(ア)引用文献1の記載事項の整理
上記ア(キ)及び(ク)のIR顕微鏡の構成において、「L」及び「L1」で示されたものは、「L2」及び「L3」が「対物レンズ」と記載されていること、及び、上記ア(コ)の図面で視認される「L」及び「L1」の配置箇所及び形状等から、「レンズ」であると理解でき、同図面より、当該レンズは、「レーザからの光をサンプルに送るレンズ」であることも理解できる。

(イ)上記ア(ア)?(シ)の記載事項、及び、上記(ア)で整理した事項を含む引用文献1の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「中赤外半導体レーザを用いた顕微分光イメージングの実験システムであって、
実験システムは、IR顕微鏡、FPA検出器、レーザ、データ収集システム、画像化実験のためのサンプルで構成され、
IR顕微鏡は、透過配置であり、対物レンズL2と第2対物レンズL3を使用し、レーザからの光をサンプルに送るレンズを有し、
FPA検出器は、焦点面アレイが画像を捕捉するために顕微鏡の画像平面に配置されるものであり、2種の市販のFPAが使用され、2.8×10Wの推定される雑音等価電力(NEP)を有する、冷却された256×256画素 PtSi FPAと、2.7×10Wの推定されるNEPを有する、非冷却320×240画素 強誘電体BST/CMOS検出器が使用され、
レーザは、波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザが使用され、9.3μmのレーザは、外部共振器型の波長可変レーザであり、レーザは、高い光パワースペクトル密度、高輝度、高偏光、低雑音、および高い変調帯域幅を提供する、
実験システム。」


ウ 引用文献2の記載事項
(ア)「【0001】
本願に係る発明は、一般的に、分光器に関し、特に、分光器及び分光画像化顕微鏡であって、光学的な口径食効果を補償し、測定品質、及び/又は、測定の空間分解能を調整できる能力を向上させたものに関する。」

(イ)「【0003】
分子分光計(分光器とも称される)は、多くは、固体、液体、又はガス状の標本を、赤外線スペクトル領域の光のような不可視の光で照明する機器である。標本からの光は、捕捉され分析されて、標本の特性に関する情報を明らかにする。例えば、所定の範囲の波長にわたって既知の強度をもった赤外線で標本を照明し、標本を透過した及び/又は反射した光を捕捉して照明光と比較する。捕捉されたスペクトルの観察(すなわち、光強度対波長データ)は、標本によって吸収された照明光の波長を示し、これは、標本中に存在する化学結合に関する情報、従って標本の組成及びその他の特性を与える。既知の組成をもった基準用標本から得られたスペクトルのライブラリが利用可能であり、測定されたスペクトルをこれらの基準スペクトルとマッチングすることで、得られた測定スペクトルから標本の組成を決定することができる。
【0004】
2つの一般的なタイプの分光器は、分散分光器とフーリエ変換(FT)分光器である。分散分光器では、ある範囲の波長の入力光が標本に供給され、標本からの出力光が1又は複数の検出器を有するモノクロメータ(出力光を波長の成分に分割する装置)によって受けられ、1又は複数の検出器がこれらの出力波長における光強度を測定して出力スペクトルを生成する。FT分光器では、干渉計を使用して、標本にインターフェログラム(いくつかの入力光の波長の時間変化の混合)を供給し、1又は複数の検出器が、標本からの(時間変化する)出力光を測定する。次に、出力光の様々な波長は、フーリエ変換などの数学的技術を用いて“元に戻され”、その成分波長での出力光の強度を得て、それにより出力スペクトルを発生させる。
【0005】
次に、分光器顕微鏡は、分光器測定を行う能力が光学顕微鏡に有用に組み入れられている。従って、ユーザは、分光器顕微鏡を使用して、(通常は拡大して)標本における興味がある領域の画像を見て、また、興味がある領域の1又は複数の位置から分光データを得る。分光器の測定値は、興味がある領域における一次元の領域の列(すなわち、興味がある領域の直線に沿って間隔を隔てた領域)に沿った分光器データを捕捉することでしばしば得られ、次に隣接する一次元の列から分光器のデータを繰り返して捕捉する。言い換えれば、分光器的に抽出された領域の線形アレイは、興味がある領域にわたって側方へステップしていき、二次元アレイの領域の分光器データを最終的に捕捉する。その結果、ユーザは、興味がある領域の画像を見ることができ、また、興味がある領域にわたって、標本のスペクトル(及び、従って、組成)を観察することができる。」

(ウ)「【0011】
添付図面は、本発明の特徴が組み込まれた例示的な分光器の模式図を示しており、分光器の全体には参照符号100を付している。分光器は、分析すべき標本を支えるのに適した標本ステージ10と、標本を照明する照明要素(符号200にて示す)と、照明された標本から分光器の測定値を集める集光要素(符号300にて示す)とを有している。装置100の照明側200では、光源202(仮想線にて示す)、例えば変調された赤外線を放出する干渉計が、光を放出する光源出力開口204を有し、この放出される光は好ましくはコリメートされた平行出力光ビームである。1又は複数の中間光源光学要素(すなわち、反射鏡、レンズなど)は、ここでは、集束反射鏡(focusing reflector)206,208,210と、平坦な折り畳み式反射鏡212,214,216とであり、光源202からの光を対物光源光学要素218へと導く。対物光源要素218は、好ましくは、シュワルツシルト型の対物鏡であり、光源202からの光を受ける凸面反射鏡218xと、凸面反射鏡218xから光を受けて、標本ステージ10へ光を進める凹面反射鏡218cとを備えている。この構成においては、中間光源光学要素(より詳しくは、要素206,208,210)は、好ましくは、光源202の光源出力開口204を拡大して、対物光源要素218における限界開口と少なくとも実質的に合致させる(ここでの限界開口は、凸面反射鏡218xの反射動作範囲である)。照明側200における光源出力開口204は、対物光源要素218の限界開口に映されるので、対物光源要素218の凸面反射鏡218xの周辺のまわりで(又は、中間光源光学要素206,208,210,212,214,216のいずれの周辺からも)、光が失われることがなく、光は光源202と標本ステージ10との間にて高い効率(低い損失)で伝達される。対物光源要素218へ進むときに、光源出力開口204の倍率は光ビームのサイズを減少させるけれども、標本ステージ10における全体的な照明領域は、依然として有効に増加する。
【0012】
分光器100の集光側300において、対物集光光学要素302は、標本ステージ10から光を受ける。また、対物集光要素302は、好ましくは、シュワルツシルト型の対物鏡であり、凹面反射鏡302cが光を受けて、この光を凸面反射鏡302xに導く(この反射鏡302xで対物集光要素302の限界開口を規定する)。対物集光要素302からの光は、中間集光光学要素、すなわち平坦な折り畳み式反射鏡304,306、及び集束反射鏡308、及び開口アレイ310(詳しくは後述する)に供給される。カメラ光学要素312は、光を受け、これは再び好ましくはシュワルツシルト型の対物鏡であり、凸面反射鏡312xが光を受けて、(及び、カメラの限界開口を規定し)、光を凹面反射鏡312cに導く。次に、光は、検出器314が整列された画像面に届けられる(検出器314は、好ましくは、多要素の検出器(すなわち、検出器アレイ)である)。照明側200の構成と同様に、中間集光光学要素304,306,308(特に、集束反射鏡308)は、好ましくは、光を受け取ったときにカメラ限界開口(凸面反射鏡312xの動作範囲)と少なくとも実質的に合致する直径を有するように、対物集光要素302からの光を適合させる。従って、光の損失は集光側300でも減少し、照明側200における光源202から対物光源要素218への効率的な光の伝達は、対物集光要素302からカメラ要素312への集光側300でも続く。その結果、標本10への光のスループットは高く、また、標本10から検出器314への光伝達も高く、口径食による光損失の効果を減少させ、検出器314に高い強度の収束をもたらす。
【0013】
加えて、照明側200の光学要素は、好ましくは、光源出力開口204が少なくとも実質的に対物光源要素218に(従って標本ステージ10にある標本に)臨界的に画像化又は映し出されるように選択されており、言い換えれば、光源202の各点からの光線は、凸面反射鏡218x上の対応する点に導かれ、それにより、凸面反射鏡218x上に光源202の画像を保持する。同様に、集光側300の光学要素は、好ましくは、標本10が少なくとも実質的に検出器314に臨界的に映し出されるように選択される(すなわち、対物集光限界開口302xが、少なくとも実質的に、カメラ限界開口312xに臨界的に映し出される)。そうした臨界的な画像化は、光源202の選択された領域を、標本10の対応する領域に直接的に画像化し(例えば、光源202内のグローフィラメント)、また、標本を検出器314に直接的に画像化する。これは、例えば、ユーザが標本10の興味がある特定の領域を調べるのに関心がある場合に役に立ち、ユーザは、この部分を光源202のフィラメントと整列させ(これは、光源202の出力ビームの特に明るい領域である)、興味がある領域から高い輝度の光出力(従って、高いスペクトル信号強度)を発生させる。しかしながら、望むならば、拡散照明を代わりに使用してもよい。」

(エ)「【0037】
広範囲の他の要素、配置距離、及び一般的配置が可能であり、従って、本発明は、図1に示した例示的なものとは異なる広範囲の形態を呈し得ることが強調される。これは、光学要素の省略又は結合の可能性を含み(例えば、配置の便宜上からのみ具備されている、1又は複数の折り畳み式反射鏡212,214,216,304,306を省略し、及び/又は、3つでなく2つの集束反射鏡206,208,210を用いる)、又は、(例えば、追加的な折り畳み式反射鏡など)光学要素を追加してもよい。さらに、異なるタイプの光学要素を、上述した要素に代えて使用してもよい。すなわち、反射鏡に代えてレンズを用い、異なるタイプのレンズ/反射鏡を使用してもよい(例えば、球面要素に代えて環状要素を使用する)。この点で、“シュワルツシルト型の対物鏡”という用語は、本願の全体にわたって、デュアルの凹面及び凸面の反射鏡のセットを称し、従って、厳密に定義されたときシュワルツシルト型の要素ではないという議論のある光学要素の種を包含することに留意されたい(例えば、カセグレン要素など)。」

(オ)図1には、以下の図面が示されている。


エ 引用文献3の記載事項
(ア)「Mid IR-fibre spectroscopy in the 2-17μm range」(第1頁第1行)
(当審訳)
「2-17μm領域の中赤外ファイバー分光」

(イ)「ABSTRACT
The latest development in IR-fibre optics enables us to expand the spectral range of process spectroscopy from 2μm out to 17μm (5000 to 600cm^(-1)) i.e. into the most informative “finger-print” part of the spectrum. Mid-IR wavelength ranges from 2 to 6-10μm may be covered by Chalcogenide IR-glass CIR-fibres while Polycrystalline PIR-fibres made of Silver Halides solid solutions transmit 4-17 μm wavelength radiation.
PIR-fibre immersion ATR probes and Transmission/Reflection probes had been manufactured and successfully tested with different FTIR spectrometers in the field of remote spectroscopy for forensic substances identification, chemical reaction control, and monitoring of exhaust or exhalation gases. Using these techniques no sample preparation is necessary for fibre probes to measure evanescent, reflection and transmission spectra, in situ and in real time. QCL spectrometer may be used as a portable device for multispectral gas analysis at 1ppb level of detectivity for various applications in environmental pollution monitoring.」(第1頁第9行?第19行)
(当審訳)
「要約
IR光ファイバーにおける最近の開発は、我々に、2μm?17μm(5000?6000 cm^(-1))以上、すなわち、スペクトルの最も多くの情報である「フィンガープリント」部分へのプロセス分光法のスペクトル領域に拡張することを可能とした。カルコゲニドIrガラスCIRファイバーによって、2?6-10μmの中赤外波長領域がカバーされ、ハロゲン化銀固溶体からなる多結晶PIRファイバーは、4-17μmの波長の放射を伝達する。
PIRファイバー浸漬ATRプローブ及び透過/反射プローブが製造され、法医学的物質の同定、化学反応制御、排気もしくは呼気ガスの監視のための遠隔分析の分野において、異なるFTIR分光計を用いて首尾よく試験された。これらの技術を使用することで、その場で且つリアルタイムで、エバネッセント、反射および透過スペクトルを測定するための、ファイバープローブのための試料調製は不要になる。QCL分光計は、環境汚染モニタリングの様々な用途のために1ppbレベルの検出度のマルチスペクトルガス分析のための携帯型装置として使用することができる。」

(ウ)「Molecular spectroscopy methods are typically divided into two major groups: dispersive methods, including scannedgrating monochromators or multi-channel analysers typically using a detector array, and non-dispersive methods, including arrays or sequences of fixed filters, or Fourier Transform spectroscopy (FTIR) using an interferometer with a moving mirror together with a fast Fourier transform algorithm. Each of these techniques provides different combinations of resolution, speed, sensitivity and cost. MIR-spectroscopy is traditionally used as an effective tool for molecular analysis of liquid or gas mixtures, solids and powder composition investigation. The proposed coupling of PIR-fibre probes with different FTIR-spectrometers or using Tunable Diode or Quantum Cascade Lasers is intended to operate in the Middle InfraRed (MIR) spectral range from 3 to 18μm. CIR-& PIR-fibres protected by Poly-Ether-Ether- Kethon (PEEK) and stainless steel tubing, terminated by special connectors using different types of fibre end surface treatment are available to develop fibre probes and enhance the signal/noise ratio.」(第2頁第5行?第14行)
(当審訳)
「分子分光法は、典型的には2つの主要なグループに分けられ、分散法は、典型的には、モノクロメータをグレーティングでスキャンするか、または検知器アレイを用いたマルチチャネル分析器を含み、非分散法は、ファイバーのアレイまたは配列か、フーリエ変換アルゴリズムとともに可動ミラーを備えた干渉計を用いるフーリエ変換分光(FTIR)を含む。これらの技術の各々は、解像度、速度、感度およびコストの異なる組み合わせを提供する。MIR分光法は、従来、液体または気体混合物、固体及び粉末組成物研究の分子分析のための有効なツールとして使用されている。異なるFTIR分光計を用いたPIRファイバーの提案された結合、または、同調可能なダイオードや量子カスケードレーザを用いることが、3から18μmの中赤外(MIR)スペクトル領域で動作するために意図されている。異なる種類のファイバ端部の表面処理を使用した特別なコネクタによって終端された、ポリエーテル-エーテル-ケトン(PEEK)およびステンレス鋼製チューブによって保護されたCIR-&PIRファイバーは、ファイバプローブを開発するために利用され、シグナル/ノイズ比を高めた。」

オ 引用文献4の記載事項
(ア)「Advanced Microbolometer detectors for a next generation uncooledFPA for space-based thermal remote sensing」(第1頁第1行?第2行)
(当審訳)
「宇宙ベースの熱的リモートセンシングのための次世代の非冷却FPAのための進歩したマイクロボロメータ検出器」

(イ)「ABSTRACT
INO has established a VOx-based uncooled microbolometer detector technology and an expertise in the development of custom detectors and focal plane arrays. Thanks to their low power consumption and broadband sensitivity, uncooled microbolometer detectors are finding an increased number of applications in the field of space-based thermal remote sensing. A mission requirement study has identified at least seven applications with a need for data in the MWIR (3-8 μm), LWIR (8-15 μm) and or FIR (15-100 μm) wavelength bands. The requirement study points to the need for two main classes of uncooled thermal detectors, the first requiring small and fast detectors for MWIR and LWIR imaging with small ground sampling distance, and the second requiring larger detectors with sensitivity out to the FIR. In this paper, the simulation, design, microfabrication and radiometric testing of detectors for these two classes of requirements will be presented. The performance of the experimental detectors closely approach the mission requirements and show the potential of microbolometer technology to fulfill the requirements of future space based thermal imaging missions.」(第1頁第8行?第18行)
(当審訳)
「要約
INO社は、VOxベースの非冷却型のマイクロボロメータ検出器技術と、カスタム検出器および焦点面アレイ開発の専門知識を確立している。非冷却マイクロボロメータ検出器は、低消費電力化及び広帯域感度のおかげで、宇宙ベースの熱的リモートセンシングの分野でより多くの用途を見出している。あるミッション要件の研究は、MWIR(3-8μm)、LWIR(8-15μm)又はFIR(15-100μm)波長帯域でのデータの必要性について、少なくとも7つの応用を特定している。要件の研究は、主要な2つのクラスの非冷却熱検出器の必要性を示し、第1は、小さな地上サンプリング距離を持つ、MWIRとLWIR撮像のための小型で高速の検出器を必要とし、第2は、FIRに対する感度を有するより大きな検出器を必要とする。この論文では、これらの2種類の要件についての検出器のシミュレーション、設計、微細加工および放射分析試験が提示される。実験の検出器の性能は、密接にミッション要求に接近し、将来の宇宙ベースの熱画像の任務の必要条件を満たすためのマイクロボロメータ技術の可能性を示している。」

(ウ)「1. INTRODUCTION
Future thermal remote sensing space instruments will require an increased number of spectral bands and/or improved thermal resolution while at the same time moving towards larger swath and smaller ground sampling distance. With the continued trend towards smaller satellites it is expected that uncooled detectors, with their reduced mass, volume, and power consumption, will be increasingly selected for future missions. To guide the development of future uncooled detector architectures and focal plane arrays, INO, CSA, and their partners have completed a space-mission requirement study focussed on detectors for the mid to far infrared spectral regions. A number of applications with a need for data in the MWIR (3-8μm), LWIR (8-15μm) and or FIR (15-100μm) wavelength bands have been identified, and their requirements suggest a need for two main classes of uncooled thermal detectors. The first requires VLWIR sensitivity (8-40μm), with an NEP of ≦20pW, a thermal response time of ≦60ms and moderate detector pitch in the order of 52μm. The second requires LWIR sensitivity (8-18μm), with an NEP of ≦ 17pW, a thermal response time of ≦4ms and small detector pitch preferably on the order of 25 μm.」(第1頁第20行?第31行)
(当審訳)
「1. 序論
将来の熱的リモートセンシング宇宙機器は、スペクトル帯域及び/又は改善された熱的解像度の数の増加を要求し、同時に、より大きな帯幅及び小さな地上サンプリング距離に向けて変化している。より小さな衛星に向けての継続した流れと、低減された質量、体積、及び消費電力と、冷却されない検出器は、将来の任務のために選択される機会が多くなると予想される。未来の非冷却検出器アーキテクチャおよび焦点面アレイの開発を導くために、INO社、CSA社、及びそれらのパートナーは、中遠赤外線スペクトル領域のための検出器に焦点を当てたミッション要件の研究を完了した。MWIR(3-8μm)、LWIR(8-15μm)そして又はFIR(15-100μm)波長バンドでのデータの必要性がある数多くの応用が特定されており、それらの要件は、2つの主要クラスの非冷却熱検出器のための必要性を示唆している。第1は、VLWIR感度(8-40μm)を必要とし、20pWのNEP、熱応答時間≦60msおよび52μmのオーダーの中程度の検出器ピッチである。第2は、LWIR感度(8-18μm)を必要とし、≦17pWのNEP、熱応答時間≦4msの、好ましくは25μmのオーダーの小さい検出器ピッチである。」

(エ)「3. DESIGN, FABRICATION AND RESULTS
The VOx-based uncooled microbolometer detector technology developed by INO and its partners is well-suited to the needs of both VLWIR and reduced pitch detectors. Unlike photon detectors microbolometers are highly sensitive over a wide spectrum of wavelengths as the absorption of radiation is not dependent on the photon nature of the incident radiation. Therefore it is possible to optimize the microbolometer detectors performance for operation in the VLWIR. VOx based microbolometer detectors with reduced pitch and high sensitivity are also achievable if good thermal isolation is maintained along with high absorption. The basic technical approaches used to optimize the performance for the two types of detector are summarised in the following sections.」(第5頁第1行?第8行)
(当審訳)
「3.設計、製造及び試験結果
INO社およびそのパートナーによって開発されたVOxベースの非冷却マイクロボロメータ検出器技術は、VLWIR及び低減されたピッチの検出器の両方のニーズによく適している。光子検出器とは異なり、マイクロボロメータは、放射線の吸収が入射する放射線の光の性質に依存せず、広いスペクトル波長にわたって高い感度をもつ。したがって、VLWIRにおける動作のためのマイクロボロメータ検出器の性能を最適化することが可能である。減少したピッチと高い感度を有するVOxベースのマイクロボロメータ検出器もまた、良好な熱的分離が高い吸収とともに維持されれば、達成可能である。検出器の2つのタイプのための性能を最適化するために用いられる基礎的な技術的アプローチは、以下のセクションにおいて要約される。」


(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「顕微分光イメージングの実験システム」は、本件補正発明の「撮像情報を取得するためのシステム」に相当する。

(イ)引用発明の「中赤外半導体レーザ」として使用された「QCレーザ」が、コヒーレンス特性を有していることは、例えば、上記(2)ア(ウ)に「レーザのコヒーレンス性は、望ましくないスペックルノイズを引き起こし得るが、コヒーレンシはまた、ホログラフィなどの干渉画像の可能性を提供する。」と記載されていることからも明らかであるから、引用発明の当該「QCレーザ」は、本件補正発明の「コヒーレント光源レーザ」に相当し、引用発明の「レーザは、波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザが使用され、9.3μmのレーザは、外部共振器型の波長可変レーザ」であることと、本件補正発明の「約6μmから10μmまでのスペクトル範囲で波長が可変の、赤外線放射を生成するためのコヒーレント光源レーザ」とは、「6μmおよび波長可変の9.3μmのスペクトルで赤外線放射を生成するためのコヒーレント光源レーザ」という点で共通する。

(ウ)引用発明の「波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザ」からの「光をサンプルに送るレンズ」は、「顕微分光イメージング」に使用されるものであって、「サンプル」の一部の「顕微」領域を「イメージング」するためのものであるから、引用発明の当該「波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザ」からの「光をサンプルに送るレンズ」と、本件補正発明の「前記赤外線放射を受け取りかつ拡大して撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線拡大器」とは、「前記赤外線放射を受け取り撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線光学要素」という点で共通する。

(エ)引用発明の「IR顕微鏡」は、「透過配置」であって、「対物レンズL2」や「第2対物レンズL3」を「使用」しており、また、「FPA検出器」は、「焦点面アレイが画像を捕捉するために顕微鏡の画像平面に配置されるもの」であるから、引用発明の当該「対物レンズ」及び「第2対物レンズ」は、「顕微鏡の画像平面」に配置された「FPA検出器」に「サンプル」の「顕微」画像を結像するためのものであることが明らかである。
したがって、引用発明の「透過配置」をした「IR顕微鏡」における当該2つの「対物レンズ」と、本件補正発明の「前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を受け、かつ、前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を拡大し、合焦させるための拡大及び合焦装置」とは、「前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を受け、かつ、前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を合焦させるための合焦装置」という点で共通する。

(オ)引用発明の「実験システム」は、「顕微分光イメージング」により「サンプル」の「画像化実験」を行うものであって、本件補正発明の「分析のため」の「処理装置」を具備することは明らかである。
したがって、引用発明の「焦点面アレイ」を有する「FPA検出器」であって、「サンプル」を「透過」し、「対物レンズ」を通過した光を検出する、「実験システム」における「FPA検出器」と、本件補正発明の「前記拡大及び合焦された赤外線放射を受け、分析のために処理装置に送るための赤外線検知装置であって、複数の検知素子を有するマイクロボロメータ・アレイ検知器を含む赤外線検知装置」とは、「前記合焦された赤外線放射を受け、分析のために処理装置に送るための赤外線検知装置であって、複数の検知素子を有するアレイ検知器を含む赤外線検知装置」という点で共通する。

(カ)引用発明の「QCレーザ」は、「高い光パワースペクトル密度」を「提供する」ものであり、「FPA検出器」による赤外光の検出のために「サンプル」を照射するものであるから、引用発明の当該「QCレーザ」と、本件補正発明の「前記コヒーレント光源レーザは、前記マイクロボロメータ・アレイ内の各検知素子による検出のためにサンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成され」ることとは、「前記コヒーレント光源レーザは、前記アレイ内の各検知素子による検出のためにサンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成され」る点で共通する。


イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「撮像情報を取得するためのシステムであって、
6μmおよび波長可変の9.3μmのスペクトルで赤外線放射を生成するためのコヒーレント光源レーザと、
前記赤外線放射を受け取り撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線光学要素と、
前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を受け、かつ、前記試料から反射し又は前記試料を透過した前記赤外線放射を合焦させるための合焦装置と、
前記合焦された赤外線放射を受け、分析のために処理装置に送るための赤外線検知装置であって、複数の検知素子を有するアレイ検知器を含む赤外線検知装置と、
を含み、
前記コヒーレント光源レーザは、前記アレイ内の各検知素子による検出のためにサンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成される、
システム。」

(相違点1)
「コヒーレント光源レーザ」の「スペクトル範囲」について、本件補正発明は、「約6μmから10μmまで」のスペクトル範囲で「波長が可変」であるのに対して、引用発明は、「波長4.6、6、および9.3μm」のスペクトルについて、「波長4.6、6、および9.3μmのQCレーザが使用され」るものであって、このうち「9.3μm」の「QCレーザ」のみが「波長可変」である点。

(相違点2)
「赤外線光学要素」と「合焦装置」について、本件補正発明は、前記赤外線放射を受け取りかつ「拡大」して撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線「拡大器」と、赤外線放射を「拡大」し、合焦させるための「拡大」及び合焦装置とを用いるものであるのに対して、引用発明は、「光をサンプルに送るレンズ」と「対物レンズ」とが、そのような機能を有するものか不明である点。

(相違点3)
「アレイ検知器」及び「赤外線検知装置」について、本件補正発明は、「マイクロボロメータ・アレイ」で赤外線を検知するものであり、「室温で動作するように構成されている」のに対して、引用発明は、「冷却された256×256画素 PtSi FPA」と「非冷却320×240画素 強誘電体BST/CMOS検出器」の「2種の市販のFPA」で赤外線をそれぞれ検知するものである点。

(相違点4)
「サンプルを照射するのに十分なパワー密度を生成するよう構成され」た「コヒーレント光源レーザ」について、本件補正発明は、「前記マイクロボロメータ・アレイ内の各検知素子による検出のため」のパワー密度を生成するのに対して、引用発明は、「マイクロボロメータ・アレイ」を用いていないため、そのような構成を有するものか不明である点。


(4)判断
上記(相違点1)?(相違点4)について検討する。
ア (相違点1)について
「約6μmから10μmまで」のスペクトル範囲で「波長が可変」な「コヒーレント光源レーザ」は、本願の優先日において、例えば引用文献3(上記(2)エ(ア)?(ウ)を参照)に、中赤外分光測定を行うために、3から18μmの中赤外(MIR)スペクトル領域で同調可能となる量子カスケードレーザを用いることが記載されているように、周知技術となっていた。この点、引用文献3以外にも、「Michael PUSHKARSKY 他, “Performance Characteristics of a Compact Widely Tunable External Cavity Quantum Cascade Laser”, The Review of Laser Engineering, Vol.36, No.2, 2008年2月15日, Pages 80-83」(特に第80頁の要約欄を参照)に、中赤外分光測定を行うための、4.5?10.5μmの広帯域波長可変・外部共振型量子カスケードレーザが記載されている。
一方、引用文献1の上記(2)ア(カ)には、「これらのレーザの全体的な波長適用範囲は、確かに控えめである。しかし、本研究の目的は、スペクトロスコピーよりも、むしろこれらのレーザのスペクトルイメージング機能を評価することのみである。現在は技術的には制限されないが資金的に制限されている多くのレーザシステムが、結果的に真のハイパースペクトルイメージング機能を可能とすることは明らかである。」と記載されているから、引用文献1には、「波長4.6、6、および9.3μm」という3つのスペクトルのみならず、「真のハイパースペクトルイメージング機能」を実現するために、より広い波長範囲、及び、より多い波長数で測定を行うことが示唆されているといえる。
そして、引用発明は、上記(2)ア(サ)?(シ)にFT-IRでの測定例として示されているように、約2μmから10μmを含む赤外スペクトル範囲に着目し、当該スペクトル範囲の中で代表として数個のスペクトルにおいて分光イメージング測定を行おうとするものであるから、引用発明において、「真のハイパースペクトルイメージング」を実現するために、約6μm?10μmを含む広いスペクトル範囲で波長が同調可能となる前記周知の量子カスケードレーザを採用すること、すなわち、上記(相違点1)に関する構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ (相違点2)について
(ア)引用発明の「赤外線レンズ」及び「対物レンズ」は、「サンプル」の「顕微」領域の「画像」を取得するものであって、具体的には「赤外線レンズ」は、上記(2)ア(キ)に示されているように、「サンプル」の一部に赤外線を集光することで、「サンプル」の「顕微」領域を拡大した「画像」を得るようにに構成されていることが明らかなものであり、また、「対物レンズ」は、上記(2)ア(エ)に記載されているように、20X及び90Xの倍率を持つものであるから、引用発明の当該「赤外線レンズ」及び「対物レンズ」が、本件補正発明と同様、「赤外線拡大器」及び「拡大及び合焦装置」としての機能を有することは自明である。したがって、当該(相違点2)は、実質的な相違点ではない。

(イ)仮に上記(相違点2)を相違点としても、当該(相違点2)に関する構成は、赤外線分光撮像の技術分野において本願優先日前周知のものである。
例えば、引用文献2(上記(2)ウ(ア)?(オ)を参照)には、赤外線分光撮像顕微鏡において、口径食を抑えるなど、測定品質を高めるために、光源からの光を拡大して標本に照明するシュワルツシルト型の対物鏡を照明側に配置すること、及び、標本からの光をカメラ光学要素に導く2つのシュワルツシルト型の対物鏡を集光側に配置することが記載されており、さらに、引用文献2の上記(2)ウ(エ)には、シュワルツシルト型の対物鏡としてカセグレン要素を用いることも記載されている。ここで、引用文献2に記載された前記周知のシュワルシルト型又はカセグレン要素からなる照明及び集光光学系が、赤外線放射を受け取りかつ拡大して撮像される試料の少なくとも部分に送る赤外線拡大器と、赤外線放射を拡大し、合焦させるための拡大及び合焦装置としての機能を備えることは自明である。
そして、引用発明において、赤外線分光イメージングの測定品質をさらに高めるため、赤外線分光撮像における照明及び集光光学系として、引用文献2に記載された従来周知のシュワルシルト型又はカセグレン要素からなる照明及び集光光学系を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、引用発明において、引用文献2に記載された周知技術を採用すること、すなわち、上記(相違点2)に関する構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

ウ (相違点3)について
中・遠赤外線を検知するためのアレイ検知器であって、高速応答および高感度を有するものとして、例えば引用文献4(上記(2)オ(ア)?(エ)を参照)に記載されているように、「室温で動作するように構成されている」「マイクロボロメータ・アレイ」は、本願優先日前周知である。この点、引用文献4以外にも、特開2003-337066号公報(特に段落【0001】、【0008】、【0030】、【0050】?【0054】、図7を参照)に、非冷却型のボロメータ・アレイであって、ボロメータ検出器が、約2μmから10μmを含むスペクトル範囲で動作することが記載されている。
ここで、「非冷却型」マイクロボロメータが、「室温」で動作するものであることは、技術常識である。例えば、特開2009-8439号公報の段落【0002】には、「一般に被検査体(被測定物)の温度分布を非接触に測定する装置として、赤外線サーモグラフィがある。赤外線サーモグラフィの製造メーカの最新カタログ等によれば、赤外線検出器としてマイクロボロメータ(検出波長域8?14μm)を使用したものは、非冷却型検出器のため室温で動作でき、比較的小型・軽量にできるので、工業用として普及している。検出温度範囲は、最大でも常温?500℃程度であり、赤外線検出器の前にNDフィルタを入れて、入射光を減衰させて、2000℃程度の高温まで測れるようにしたものもある。」と記載されている。
そして、引用発明において、FPA検出器として、4.6μm、6μm、9μmを含む2?10μmにおいて高速応答および高感度を有するものとして従来周知である、「室温で動作するように構成されている」「マイクロボロメータ・アレイ」を採用すること、すなわち、上記(相違点3)に関するの構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

エ (相違点4)について
引用発明は、「QCレーザ」を用いて、「高い光パワースペクトル密度」「を提供」しようとするものであるから、引用発明において、上記ア及びウで検討したとおり、「約6μmから10μmまで」のスペクトル範囲で「波長が可変」である「コヒーレント光源レーザ」、及び、「マイクロボロメータ・アレイ」を採用する場合に、当該コヒーレント光源レーザを用いて、当該スペクトル範囲においてマイクロボロメータ・アレイ内の各検知素子による検出のために十分なパワー密度を生成することは、有用性のあるハイパースペクトルイメージングを実現するために、当業者が容易に為し得たことである。
したがって、引用発明において、上記(相違点4)の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

オ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術、並びに周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

カ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


(6)本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年4月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年2月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。

2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1?4の記載事項、及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)ア?オに記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、実質的に、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「赤外線検知装置」が「室温で動作するよう構成され」るという限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明との相違点は、前記第2の[理由]2(3)イで示した(相違点1)、(相違点2)、(相違点4)、及び(相違点3)のうち「室温で動作するように構成」することを除いた点と同じであって、当該相違点についての判断は、前記第2の[理由]2(4)で検討したとおりである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-27 
結審通知日 2016-10-03 
審決日 2016-10-17 
出願番号 特願2013-504021(P2013-504021)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼場 正光奥田 雄介  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 田中 洋介
藤田 年彦
発明の名称 波長可変レーザ・ベースの赤外線撮像システム及びその使用方法  
代理人 弟子丸 健  
代理人 須田 洋之  
代理人 谷口 信行  
代理人 近藤 直樹  
代理人 上杉 浩  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田中 伸一郎  
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