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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B26D
管理番号 1325891
異議申立番号 異議2016-700856  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-12 
確定日 2017-03-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第5923207号発明「プラスチックフィルム打ち抜き装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5923207号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5923207号の請求項1に係る特許についての出願は、平成27年8月5日に特許出願され、平成28年4月22日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人、株式会社塚谷刃物製作所(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件発明
特許第5923207号の請求項1の特許に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3.申立理由の概要
特許異議申立人は、証拠として次の甲第1号証ないし甲第6号証の2を提出し、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:特開2002-346986号公報
甲第2号証:実願平4-45875号(実開平6-5898号)のCD-
ROM
甲第3号証:古閑伸裕、青木勇、「プレス打抜き加工」、社団法人日本金
属プレス工業協会編、株式会社日刊工業新聞社、2002年
3月21日、p.79-85
甲第4号証:吉田弘美、「現実的なかす上がり対策例」、青木勇、笹田昌
弘「かす上がり発生の要因について」、小渡邦昭「かす上が りを防ぐ基本対策」、プレス技術、株式会社日刊工業新聞社
、2010年10月、第48巻、第10号、p.18-31
甲第5号証の1:株式会社塚谷刃物製作所発行のカタログの写し
甲第5号証の2:甲第5号証の1のカタログ納品書の写し
甲第5号証の3:社団法人日本包装技術協会主催の「2012東京国際包
装展」出展の事実を示す書面及び写真の写し
甲第5号証の4:甲第5号証の3の「2012東京国際包装展」において
甲第5号証の1のカタログを受領した証明書の写し
甲第6号証の1:株式会社塚谷刃物製作所の図番P-2465Aの設計図
面の写し
甲第6号証の2:株式会社塚谷刃物製作所の図番D-2464Aの設計図
面の写し

4.刊行物の記載
(1)甲第1号証には、「気流によって打ち抜きかすが排除される打ち抜き装置」の発明が記載されている。
(2)甲第2号証には、プラスチックフィルムを打ち抜くという技術的事項が記載されている。
(3)甲第3号証及び甲第5号証の1には、二股の刃先を有する打ち抜き装置の技術的事項が記載されている。
(4)甲第4号証には、パンチ下面とスクラップの接触面を少なくすることと打ち抜きかすをエアで吹き飛ばす技術的事項が記載されている。
(5)甲第6号証の1には、二股の刃先を有するピンの設計図が記載されている。
(6)甲第6号証の2には、キリ穴を有するダイの設計図が記載されている。

5.判断
請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、「気流の方向がオス刃の厚さ方向に選定され、二股の刃先間において、エアがオス刃と打ち抜きかす間を流れ」る構成が甲第1号証には記載されていない。この点は、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証の1にも記載されていない。
また、甲第6号証の1及び甲第6号証の2は、書証であり、その内容は設計図であることは推認できるものの、公知となった事実は確認できず、甲第6号証の1及び甲第6号証の2に記載された内容から認識できる事項を、特許法第29条第1項の規定による「刊行物に記載された発明」として認めることはできない。よって、特許法第29条第2項の規定の判断においては、甲第6号証の1及び甲第6号証の2は対象としない。
したがって、請求項1に係る発明は、上記甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証の1に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。

特許異議申立人は、「二股の刃先形状を備えたオス刃を使用し、『前記オス刃の幅方向において、前記二股の刃先が間隔を置いて形成され、前記気流の方向が前記オス刃の厚さ方向に選定され、前記二股の刃先間において、エアが前記オス刃と打ち抜きかす間を流れ、前記打ち抜きかすが前記オス刃からはがれやすいように』することは、当業者であれば容易に想到し得る設計事項に過ぎない。」とし、
さらに、「例えば、仮に、甲第5号証の1に記載された製袋用パンチ部品を使用してプラスチックフィルムを打抜くにあたり、オス刃の幅方向において、二股の刃先が間隔を置いて形成され、気流の方向をオス刃の幅方向に選定したとすれば、気流は二股の刃の側面部分にあたるのみで、打ち抜きかすがはがれにくいことは明白である。」と主張している。
しかしながら、気流の方向をオス刃の幅方向に選定することは甲第5号証の1には記載されておらず、「気流の方向をオス刃の幅方向に選定したとすれば」という仮定の前提について、このように選定することの動機付けがないため、上記主張を採用することはできない。また、甲第1号証のように二股に限定されない刃でも、気流によって打ち抜きかすが排除されるのであるから、股の刃の側面部分にあたるからといってはがれにくいことが明白とまではいうことはできない。
そして、「このことは、甲第6号証の1および第6号証の2の記載によっても裏付けられる。」とも主張している。
しかしながら、甲第6号証の1および甲第6号証の2が、公知であったと認められる根拠もなく、甲第6号証の1および甲第6号証の2を、2004年当時の当業者にとって一般的な技術水準であるという裏付けの根拠として採用することはできない。

6.むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-02-28 
出願番号 特願2015-155249(P2015-155249)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B26D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福島 和幸  
特許庁審判長 西村 泰英
特許庁審判官 平岩 正一
長清 吉範
登録日 2016-04-22 
登録番号 特許第5923207号(P5923207)
権利者 トタニ技研工業株式会社
発明の名称 プラスチックフィルム打ち抜き装置  
代理人 特許業務法人あーく特許事務所  
代理人 特許業務法人みのり特許事務所  

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