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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61K
管理番号 1326156
審判番号 訂正2016-390146  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-11-04 
確定日 2017-02-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5977672号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5977672号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第5977672号に係る発明は、平成22年4月27日(パリ条約による優先権主張 2009年4月27日(ES)スペイン、2009年4月27日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特願2012-507789号の請求項1?9に係る発明について、平成28年7月29日に特許権の設定登録がなされたものであるところ、平成28年11月4日に本件訂正審判が請求されたものである。

2.請求の趣旨
特許第5977672号に係る明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正することを認める、との審決を求める。

3.訂正事項
(1)訂正事項1
本件特許明細書の段落【0004】に「水溶液中において少し溶解性を示す物質になることである。」と記載されているのを、「水溶液中において高い溶解性を示す物質になることである。」に訂正する。

(2)訂正事項2
本件特許明細書の段落【0018】に「スクロースナトリウム(sodium sucrose)」と記載されているのを、「サッカリンナトリウム(sodium saccharin)に訂正する。

(3)訂正事項3
本件特許明細書の段落【0021】、【0025】(表2)、【0027】(表3)、【0031】(表5)、【0040】、【0051】にそれぞれ「スクロースナトリウム」と記載されているのを、「サッカリンナトリウム」に訂正する。

4.訂正の適否の判断
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1について
訂正前の本件特許明細書の段落【0004】に記載された「イブプロフェンが素早く完全に水に溶解する時に、イブプロフェンが、水溶液中において少し溶解性を示す物質になることである。」は、前半と後半の内容が相矛盾する記載であり、技術的に意味を成していない。したがって、この記載に誤記が存在することは明らかである。
そして、同段落【0004】の記載全体は「イブプロフェンリシナートは、化学合成のプロセスによってイブプロフェンおよびリジンアミノ酸から得られる塩である。イブプロフェンがリジン塩を形成する際に起こるもっとも重要な物理化学的な変化の1つは、イブプロフェンが素早く完全に水に溶解する時に、イブプロフェンが、水溶液中において少し溶解性を示す物質になることである。このことは、胃腸への吸収が、より急速かつ均質に起こることを意味する。これによって、イブプロフェンの官能味覚特性(organoleptic taste characteristics)は悪化するものの、イブプロフェンの薬物動態特性が変化し、別の好適な治療特性が付加される。」というものであり、この記載に続いて、同段落【0005】には「イブプロフェンリシナートの主要な効果の1つは、経口投与できる可溶性の塩であるので、イブプロフェンリシナートが、広い胃の表面上で均一に分散できる。これによって、一方では、より急速かつ均一な吸収が可能になり、他方では、水に対して不溶性の鎮痛薬、解熱薬、および、抗炎症薬に関連する副作用の発生率を著しく低下させることが可能になる。これらの効果は、イブプロフェンリシナートの動力学的特性および許容特性が、イブプロフェンに比べて良好であることを意味する。」との記載があることから、同段落【0004】には、イブプロフェンがリジン塩を形成すると水に対する溶解性が高くなることが記載されているのであって、同段落【0004】に記載された「水溶液中において少し溶解性を示す物質になることである。」が「水溶液中において高い溶解性を示す物質になることである。」の誤記であることは、明白である。
したがって、訂正事項1は、誤記の訂正に該当し、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。

イ 訂正事項2及び訂正事項3について
訂正前の本件特許明細書の段落【0018】に記載された「スクロースナトリウム(sodium sucrose)」ならびに同段落【0021】、同段落【0025】(表2)、同段落【0027】(表3)、同段落【0031】(表5)、同段落【0040】および同段落【0051】に記載された「スクロースナトリウム」で表される物質は存在しない。したがって、これらの記載が何らかの誤記であることは明らかである。
そして、同段落【0018】には「さらにより具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物の甘味料は、0.10重量%?0.20重量%にて含まれる。さらにより具体的な別の態様では、上記甘味料は、スクロースナトリウム(sodium sucrose)、サイクラミン酸ナトリウム、および、アスパルテームである。」と記載されていることから、スクロースナトリウム(sodium sucrose)が「サイクラミン酸ナトリウム」および「アスパルテーム」とともに、甘味料の例示として記載されるものであることが理解できる。
また、同段落【0007】には「イブプロフェンリシナートは、通常糖を含んでいるので、糖尿病を患う患者には投与できない。」との記載があり、同段落【0009】には「本発明は、小児に対して投与することが可能であり、かつ、糖尿病またはフルクトース/ショ糖不耐症(fructose/sucrose intolerance)を患う患者に適切に投与可能なように、鎮痛活性、解熱活性および抗炎症活性を有し、ショ糖を含まず、」との記載があり、同段落【0011】には「より具体的な態様において、上記薬学的組成物は、イブプロフェンリシナートおよび薬学的に許容可能な賦形剤を、経口投与可能な懸濁液の形態で含んでいるが、ショ糖を含んでいない。」との記載があることから、「スクロースナトリウム(sodium sucrose)」および「スクロースナトリウム」がそれぞれ、「スクロース(sucrose)」および「スクロース」を誤記したものではないことが明白である。
一方、当業界における代表的な甘味料として「サッカリンナトリウム」が認識されており、甘味料の例示として「サイクラミン酸ナトリウム」および「アスパルテーム」とともに挙げられるものとして、理解することができる。
したがって、同段落【0018】に記載された「スクロースナトリウム(sodium sucrose)」が「サッカリンナトリウム(sodium saccharin)」の誤記であり、同段落【0021】、同段落【0025】(表2)、同段落【0027】(表3)、同段落【0031】(表5)、同段落【0040】および同段落【0051】に記載された「スクロースナトリウム」が「サッカリンナトリウム」の誤記であることは、明白である。
したがって、訂正事項2及び訂正事項3は、誤記の訂正に該当し、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。

(2)その他の要件について
訂正事項1?訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第5項及び第6項に規定する要件に適合するものである。
また、訂正事項1?訂正事項3に係る訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明になるものではないから、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。

5.むすび
以上のとおり、本件審判請求による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものであるので、訂正を認める。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
イブプロフェンリシナートの経口投与用の懸濁液
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、経口投与用の懸濁液としての、イブプロフェンリシナート(ibuprofen lysinate)をベースにした薬学的組成物、および、該薬学的組成物を調製する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
発熱および痛みは、複数の幼児期の疾病の症状であり、身体の変化や感染などの原因の結果として発生する。
【0003】
現在、医薬品の市場には、これらの症状を治療するための複数の薬が存在し、そのほとんどが、イブプロフェンをベースにした薬、または、パラセタモールをベースにした薬である。イブプロフェンを用いた治療では、薬物投与から解熱効果および鎮痛効果が現れるまでの間に空白期間があることがよく知られている。この空白期間は、発熱および痛みの治療において、薬物投与から体温および除痛が減少するまでの期間の好ましくない事項である。鎮痛薬、解熱薬および抗炎症薬は、イブプロフェンのように水溶性ではなく、胃粘膜の特定の領域が、高濃度の有効成分の組織破壊作用(histolesive action)に長時間曝される。
【0004】
イブプロフェンリシナートは、化学合成のプロセスによってイブプロフェンおよびリジンアミノ酸から得られる塩である。イブプロフェンがリジン塩を形成する際に起こるもっとも重要な物理化学的な変化の1つは、イブプロフェンが素早く完全に水に溶解する時に、イブプロフェンが、水溶液中において高い溶解性を示す物質になることである。このことは、胃腸への吸収が、より急速かつ均質に起こることを意味する。これによって、イブプロフェンの官能味覚特性(organoleptic taste characteristics)は悪化するものの、イブプロフェンの薬物動態特性が変化し、別の好適な治療特性が付加される。
【0005】
イブプロフェンリシナートの主要な効果の1つは、経口投与できる可溶性の塩であるので、イブプロフェンリシナートが、広い胃の表面上で均一に分散できる。これによって、一方では、より急速かつ均一な吸収が可能になり、他方では、水に対して不溶性の鎮痛薬、解熱薬、および、抗炎症薬に関連する副作用の発生率を著しく低下させることが可能になる。これらの効果は、イブプロフェンリシナートの動力学的特性および許容特性が、イブプロフェンに比べて良好であることを意味する。さらに、発熱および痛みを治療することにとって決定的な特性であるより素早い治癒と、イブプロフェンに比べて差異的かつ好適な差異である、胃粘膜に対する害をより少なくすることを可能にするので、より良好な臨床結果が得られることを意味している。イブプロフェンリシナートとβシクロデキストリンとを組み合わせると、これらの特性を向上させることができ、味の問題も解決できて、容認可能な投与法を実現できる。
【0006】
欧州特許第1129709号明細書は、イブプロフェンリシナートをβシクロデキストリンと組み合わせて活性成分として含有する、イブプロフェンをベースにした粉末状の薬学的組成物について記載している。この欧州特許には、イブプロフェンリシナートの効果が記載されている。しかしながら、小児に対する投与量はその体重に合わせて決定され、また、経口投与では、投与量を変えて投与することを可能にする唯一の医薬品形態は溶液または懸濁液の形態であるので、該欧州特許は、上記薬学的組成物を小児に投与することを否定している。
【0007】
市場には、複数のイブプロフェン懸濁液が存在するが、その何れもイブプロフェンリシナートを活性成分として包含していない。イブプロフェンリシナートは、イブプロフェンと比較すると安全性および効力に関して有意な差を有するので、イブプロフェンとは異なる有効成分である。また、イブプロフェンリシナートは、通常糖を含んでいるので、糖尿病を患う患者には投与できない。
【0008】
したがって、イブプロフェンリシナートを小児に対して経口的に投与する方法を見いだし、この活性成分が水に対して不溶性である鎮痛薬、解熱薬、および、抗炎症薬と比較した場合に有する上述の治療効果の利点を、小児が享受できるようにする必要がある。
【0009】
〔発明の開示〕
本発明は、小児に対して投与することが可能であり、かつ、糖尿病またはフルクトース/ショ糖不耐症(fructose/sucrose intolerance)を患う患者に適切に投与可能なように、鎮痛活性、解熱活性および抗炎症活性を有し、ショ糖を含まず、さらに、投与量を変えることができて患者の体重に合わせて調整可能である、経口投与できる懸濁液の形態のイブプロフェンリシナートをベースにした薬学的組成物に関する。
【0010】
したがって、本発明の第1の態様は、イブプロフェンリシナートおよび薬学的に許容可能な賦形剤を、経口投与可能な懸濁液の形態で含んでいる薬学的組成物である。
【0011】
より具体的な態様において、上記薬学的組成物は、イブプロフェンリシナートおよび薬学的に許容可能な賦形剤を、経口投与可能な懸濁液の形態で含んでいるが、ショ糖を含んでいない。
【0012】
より具体的な態様において、上記イブプロフェンリシナートは、シクロデキストリンと組み合わせられる。さらに具体的な態様では、上記シクロデキストリンは、β-シクロデキストリンであり、別の具体的な態様では、上記シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル β-シクロデキストリンである。
【0013】
より具体的な態様において、上記イブプロフェンリシナートは、β-シクロデキストリンと組み合わせられ、このとき、イブプロフェンリシナート/β-シクロデキストリンの重量比が、1:1?1:5となる。
【0014】
本願において、「β-シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナート」とは、β-シクロデキストリン内にカプセル封入されたイブプロフェンリシナートを意図する。
【0015】
より具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物に含まれる薬学的に許容可能な賦形剤は、コロイド剤(colloidal agent)、保存剤、希釈剤、甘味料、芳香剤、および、人工着色料からなる群より選択される。
【0016】
さらにより具体的な別の態様では、上記コロイド剤は、0.4重量%?3重量%にて含まれる。さらにより具体的な別の態様では、上記コロイド剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムと組み合わせられた微晶質のセルロース(microcrystalline cellulose)である。
【0017】
さらにより具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物の保存剤は、0.02重量%?2重量%にて含まれる。さらにより具体的な別の態様では、上記保存剤は、例えばパラベンやソルビン酸カリウムなどの保存料から選択される。さらにより具体的な別の態様では、上記保存剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、および、ソルビン酸カリウムの組み合わせである。
【0018】
さらにより具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物の甘味料は、0.10重量%?0.20重量%にて含まれる。さらにより具体的な別の態様では、上記甘味料は、サッカリンナトリウム(sodium saccharin)、サイクラミン酸ナトリウム、および、アスパルテームである。
【0019】
さらにより具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物は、芳香剤として木の実を含む。
【0020】
さらにより具体的な別の態様では、本発明の薬学的組成物は、人工着色料としてアルーラレッドAC(allura red AC)を含む。
【0021】
本発明の第2の態様は、本発明の薬学的組成物を調製する方法であって、以下のステップを含む。つまり、
a)イブプロフェンリシナートをシクロデキストリン内にカプセル封入するステップ。より具体的な態様では、上記シクロデキストリンは、β-シクロデキストリンである。さらにより具体的な別の態様では、イブプロフェンリシナートのカプセル封入は、イブプロフェンリシナートおよびβ-シクロデキストリンを1:1?1:5の比で1分間?20分間、篩にかけて超高速混合することによって実施される;
b)保存料を、プロピレングリコール中、または、その替わりの精製水中に可溶化するステップ。より具体的な態様では、上記保存料は、例えばパラベンやソルビン酸カリウムなどの保存料から選択される。より具体的な態様では、上記可溶化は、60℃?100℃の温度で実施される;
c)上記保存料の混合物を、精製水中で25℃?37℃の温度にまで冷却するステップ;
d)ステップc)において、微晶質のセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、高速で15分間?60分間混合して、懸濁液を形成するステップ;
e)ステップd)において、希釈剤、甘味料、イブプロフェンリシナート-β-シクロデキストリン、芳香剤、人工着色料、および、十分な量の精製水を添加するステップ。より具体的な態様では、上記希釈剤は、マルチトールおよびソルビトールである。さらにより具体的な別の態様では、上記甘味料は、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム、または、アスパルテームである。さらにより具体的な別の態様では、上記芳香剤は、木の実である。さらにより具体的な別の態様では、上記人工着色料は、アルーラレッド(Allura red)である;
f)濾過するステップ。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナートの薬学的組成物(表1)。
【0023】
【表1】

【0024】
実施例1:β-シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナートの薬学的組成物(表2)。
【0025】
【表2】

【0026】
実施例2:シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナートの薬学的組成物(表3)。
【0027】
【表3】

【0028】
実施例3:シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナートの薬学的組成物(表4)。
【0029】
【表4】

【0030】
実施例4:β-シクロデキストリンと組み合わせられたイブプロフェンリシナートの薬学的組成物(表5)。
【0031】
【表5】

【0032】
実施例5:イブプロフェンリシナートの薬学的組成物を調製する方法。
【0033】
本発明のイブプロフェンリシナートの薬学的組成物を調製する方法を、以下のステップによって実施した。
【0034】
イブプロフェンリシナートおよびシクロデキストリンを1:1?1:5の比で1分間?20分間、篩にかけて超高速混合することによって、イブプロフェンリシナートをカプセル封入する。次いで、保存料を、精製水中に60℃?100℃の温度で可溶化する。この可溶化は、プロピレングリコール中で実施してもよい。上記混合物(精製水中の保存料)を、25℃?27℃の温度にまで冷却した。その後、コロイド剤を上記混合物に添加し、懸濁液が形成されるまで高速で15分間?60分間混合する。希釈剤、甘味料、イブプロフェンリシナート-シクロデキストリン、芳香剤、人工着色料、および、十分な量の精製水を上記混合物に添加し、すべての成分を混合した。最後に、混合物を濾過した。
【0035】
実施例6:実施例2に記載のイブプロフェンリシナートの薬学的組成物を調製する方法。
【0036】
a)イブプロフェンリシナートおよびβ-シクロデキストリンを1:1?1:5の比で1分間?20分間、篩にかけて超高速混合することによって、イブプロフェンリシナートをカプセル封入する。
【0037】
b)メチルパラベン、エチルパラベンおよびプロピルパラベンを、精製水中に60℃?100℃の温度で可溶化する。
【0038】
c)保存料の混合物を、精製水中で25℃?37℃の温度にまで冷却する。
【0039】
d)ステップc)において、微晶質のセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、高速で15分間?60分間混合して、懸濁液を形成する。
【0040】
e)ステップd)において、マルチトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、木の実の芳香剤、アルーラレッドAC、および、十分な量の精製水を添加する。
f)濾過する。
【0041】
実施例7:実施例3に記載のイブプロフェンリシナートの薬学的組成物を調製する方法。
【0042】
a)イブプロフェンリシナートおよびシクロデキストリンを1:1?1:5の比で1分間?20分間、篩にかけて超高速混合することによって、イブプロフェンリシナートをカプセル封入する。
【0043】
b)プロピルパラベンおよびソルビン酸カリウムをプロピレングリコール中で可溶化する。
【0044】
c)ステップb)において、微晶質のセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、高速で15分間?60分間混合して、懸濁液を形成する。
【0045】
d)ステップc)において、マルチトール、ソルビトール、アスパルテーム、木の実の芳香剤、アルーラレッドAC、および、十分な量の精製水を添加する。
【0046】
f)濾過する。
【0047】
実施例8:実施例4に記載のイブプロフェンリシナートの薬学的組成物を調製する方法。
【0048】
a)イブプロフェンリシナートおよびシクロデキストリンを1:1?1:5の比で1分間?20分間、篩にかけて超高速混合することによって、イブプロフェンリシナートをカプセル封入する。
【0049】
b)メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベンおよびソルビン酸カリウムをプロピレングリコール中で可溶化する。
【0050】
c)ステップb)において、微晶質のセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、高速で15分間?60分間混合して、懸濁液を形成する。
【0051】
d)ステップc)において、マルチトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、木の実の芳香、アルーラレッドAC、および、十分な量の精製水を添加する。
【0052】
f)濾過する。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリンと組み合わせられているイブプロフェンリシナート、コロイド剤、および、薬学的に許容可能な賦形剤を、経口投与可能な懸濁液の形態で含んでおり、
上記イブプロフェンリシナートと上記シクロデキストリンとの重量比が、1:1?1:5であり、
上記薬学的に許容可能な賦形剤が、保存剤としてのパラベンおよびソルビン酸カリウム、希釈剤としてのマルチトールおよびソルビトール、甘味料、芳香剤、ならびに、人工着色料からなる群より選択される薬学的組成物。
【請求項2】
上記コロイド剤が、0.4重量%?3重量%で含まれている、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
上記コロイド剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウムと組み合わされた微晶質のセルロースである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
上記シクロデキストリンが、β-シクロデキストリン、または、ヒドロキシプロピル β-シクロデキストリンであることを特徴とする、請求項1?3の何れか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
上記パラベンが、メチルパラベン、エチルパラベン、および/または、プロピルパラベンであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
上記保存剤が、0.02重量%?2重量%含まれていることを特徴とする、請求項1?5の何れか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
上記希釈剤が、2重量%?20重量%含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
a)イブプロフェンリシナートをシクロデキストリン内にカプセル封入するステップと、
b)上記保存料を、精製水中またはプロピレングリコール中で可溶化するステップと、
c)ステップb)において、上記コロイド剤を添加して高速で混合して、上記懸濁液を形成するステップと、
d)ステップc)において、希釈剤、甘味料、上記イブプロフェンリシナート-シクロデキストリン、芳香剤、人工着色料、および、精製水を添加するステップと、
e)濾過するステップと、を含む、請求項1?7の何れか1項に記載の薬学的組成物を調製するための方法。
【請求項9】
上記ステップa)が、イブプロフェンリシナートおよびβ-シクロデキストリンを1:1?1:5の重量比で篩にかけて超高速混合することによって実施されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-01-27 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-14 
出願番号 特願2012-507789(P2012-507789)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 明子  
特許庁審判長 内藤 伸一
特許庁審判官 松澤 優子
村上 騎見高
登録日 2016-07-29 
登録番号 特許第5977672号(P5977672)
発明の名称 イブプロフェンリシナートの経口投与用の懸濁液  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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