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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1326267 |
審判番号 | 不服2016-7881 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-30 |
確定日 | 2017-03-16 |
事件の表示 | 特願2014-116025「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月27日出願公開、特開2014-221221〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年8月26日に出願した特願2008-217314号の一部を平成26年6月4日に新たな特許出願(特願2014-116025号)としたものであって、平成27年6月24日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年8月31日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年2月25日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成28年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。 第2 平成28年5月30日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年5月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、 前記決定手段による決定に基づいて、変動表示を実行する変動表示実行手段と、 前記決定手段による決定に基づいて、前記特定状態に制御される可能性があることを報知する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段と、 前記予告演出決定手段により決定された予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、 前記予告演出決定手段は、 予告演出を実行しない予告演出不実行種別、および、予告演出を実行する演出態様に基づいて分類された複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段と、 前記種別決定手段により前記予告演出不実行種別が決定されずに前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに、決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告決定手段とを含む、遊技機。」 から、 「【請求項1】 A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 B 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、 C 前記決定手段による決定に基づいて、変動表示を実行する変動表示実行手段と、 D 前記決定手段による決定に基づいて、前記特定状態に制御されることを示唆する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段と、 E 前記予告演出決定手段により決定された予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、 F 前記予告演出決定手段は、 F1 予告演出を実行しない予告演出不実行種別、および、予告演出を実行する演出態様に基づいて分類された複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段と、 F2 前記種別決定手段により前記予告演出不実行種別が決定されたときに実行する予告演出を決定する処理を行なわず、前記種別決定手段により前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する処理を行なう予告決定手段とを含む、遊技機。」 に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?F2に分説した。)。 2 補正の適否について 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予告演出決定手段」に関して、補正前の「特定状態に制御される可能性があることを報知する」を「特定状態に制御されることを示唆する」と補正するとともに、「予告決定手段」に関して、補正前の「予告演出不実行種別が決定されずに前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに、決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する」を「予告演出不実行種別が決定されたときに実行する予告演出を決定する処理を行なわず、前記種別決定手段により前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する処理を行なう」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2006-246964号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 (1-a)「【発明が解決しようとする課題】【0003】 一方、上述のような遊技機としては、表示装置に表示される表示結果が特定の表示結果となることを予告する予告演出を実行するものも知られている。しかしながら、従来の遊技機における予告表示は、基本的に、特別図柄の変動表示の所定または任意のタイミングで当否を予告する表示がなされるだけのものであり、今一歩面白みに欠けるといわざるを得ず、遊技者の期待感を高めると共に、遊技者に高揚感を与える上ではなお改善の余地があった。 【0004】 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者を引きつける面白みのある予告演出を実行可能であり、娯楽性をより一層高めることができる弾球遊技機を提供することにある。」 (1-b)「【0007】 また、予告演出モードごとの複数種類の予告要素間では、当否判定手段による判定結果と当該判定結果に対する遊技者の期待感との一致度合いを示す信頼度が異なっていてもよい。 【0008】 このように、予告要素間で上記信頼度を異ならせることにより、予告要素による当否判定結果の予告を介して、遊技者に特別遊技状態への移行可能性をある程度判断させることができる。従って、この態様によれば、予告演出に遊技者の注意を効果的に引きつけることが可能となり、遊技者に対して高揚感を与えることができる。」 (1-c)「【0033】 遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄202や演出画像の変動表示が開始される。特別図柄202および演出画像の変動表示は、原則として表示開始に先立って決定される変動時間が経過すると停止される。停止時の特別図柄202および演出画像が「大当たり」を示す場合、大入賞口66の開閉動作が開始され、通常遊技よりも遊技者に有利な状態である特別遊技に移行する。「大当たり」となった場合、演出表示装置60には、例えばスロットマシンにおいて3つの図柄が一致した状態を示す画像が表示される。 ・・・ 【0036】 図3は、ぱちんこ遊技機1の機能ブロック図である。ぱちんこ遊技機1においては、遊技の基本動作や、図柄の変動表示、各種演出の制御が上述のようにメイン基板41とサブ基板49とを含む遊技制御装置100によって行われる。遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、スピーカ18、操作ボタン19、抽選保留ランプ20、作動保留ランプ22、特定表示装置24、遊技効果ランプ90、および一般入賞口72のそれぞれと電気的に接続されており、これら機器との間で各種制御信号の送受信を行う。遊技制御装置100は、ハードウエア的には、データやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等により構成される。」 (1-d)「【0039】 当否判定手段114は、当否抽選値取得手段112により取得された当否抽選値に応じて特別遊技へ移行するか否かを判定する。当否判定手段114は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持している。これらの複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの当否判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否判定手段114は、通常時には通常確率による当否判定用に作成された当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなるように作成された当否テーブルを参照する。当否判定手段114は、複数の当否テーブルのうち何れかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。かかる当否判定手段114による当否判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄として変動表示されることになる。」 (1-e)「【0047】 装飾図柄決定手段122は、装飾図柄選択手段と装飾図柄パターン選択手段とを含む。装飾図柄選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果や、特別図柄決定手段121により決定された特別図柄の停止図柄および変動パターンに対応する装飾図柄の停止図柄を決定する。装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。本実施形態では、装飾図柄の停止図柄には、特別図柄と同じ数字が含まれる。例えば、特別図柄の停止図柄が「3」である場合、装飾図柄の停止図柄は「333」となる。一方、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、装飾図柄の停止図柄として、「213」や「964」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。また、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、装飾図柄パターン選択手段がリーチ付きの外れを示す変動パターンを選択した場合は、装飾図柄の停止図柄は、「119」や「772」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せとなる。 ・・・ 【0052】 予告演出決定手段125は、特別図柄の変動表示中に当否判定手段114による当否判定結果に対する遊技者の期待感を変化させるべく実行される予告演出の内容を決定するものである。ここで、本実施形態のぱちんこ遊技機1では、遊技開始前や遊技開始後の待機中、すなわち、図柄変動が実行されておらず、かつ保留球がない時点で、遊技者が操作ボタン19を操作することにより、予告演出の内容を規定する予告演出モードを設定できるようになっている。このように、待機中にのみ予告演出モードの設定を遊技者に対して許容することにより、遊技の進行を妨げてしまうことを抑制することができる。」 (1-f)「【0055】 このため、予告演出決定手段125は、遊技者の操作入力に応じて、予告演出モードを少なくとも一つ含む予告演出モードの組合せを決定するモード組合せ決定手段126と、モード組合せ決定手段126によって決定された予告演出モードの組合せの中で、当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードを選択する演出モード選択手段127とを含む。モード組合せ決定手段126は、予告演出モードの組合せを決定すると共に、予告演出モードの組合せに応じた予告パターンを選択する。また、演出モード選択手段127は、遊技者によって選択された予告演出モードの組合せの中に複数の予告演出モードが含まれている場合に、当該複数の予告演出モードのうち、何れの予告演出モードのもとで当否判定結果を遊技者に予告するか決定する。 【0056】 更に、予告演出決定手段125は、予告要素選択手段128と、予告タイミング設定手段129とを含む。予告要素選択手段128は、演出モード選択手段127よって決定された予告演出モードについて定められた複数の予告要素の中から、当否判定結果を遊技者に予告する際の予告要素を選択する。本実施形態において、予告要素は、上述のキャラクタの何らかの動作パターンや、その動作パターンに応じた効果音やランプの点灯といった当否判定結果を遊技者に予告する際の演出の内容を規定する。そして、予告タイミング設定手段129は、特別図柄および装飾図柄の変動表示中に、予告要素選択手段128によって選択された予告要素を演出表示装置60に演出画像として表示させるタイミングを設定する。 ・・・ 【0058】 表示制御手段140は、特別図柄決定手段121により決定された変動パターンに従って特別図柄を特別図柄表示装置61に変動表示させ、特別図柄決定手段121により決定された特別図柄の停止図柄を特別図柄表示装置61に表示させる。また、表示制御手段140は、装飾図柄決定手段122により決定された変動パターンに従って装飾図柄を演出表示装置60に変動表示させると共に、装飾図柄決定手段122により決定された装飾図柄の停止図柄を演出表示装置60に表示させる。更に、特別図柄および装飾図柄の変動表示中、表示制御手段140は、変動する装飾図柄に重ね合わせた状態で予告演出決定手段125により決定された演出内容を演出画像として変動表示させる。また、表示制御手段140は、特別遊技の実行中に、特別遊技演出決定手段124により決定された特別遊技演出パターンにより規定される演出内容を演出表示装置60に演出画像として変動表示させる。」 (1-g)「【0068】 図4は、予告演出モードの組合せを例示する図表である。上述のように、ぱちんこ遊技機1では、遊技者が、予告演出の内容を規定する予告演出モードを設定できるようになっている。本実施形態では、図4に示されるように、例えば5つの予告演出モードが用意されており、各予告演出モードは、それぞれ異なる例えば漫画やアニメーション等のキャラクタ等を予告演出に登場させる旨を規定する。ただし、予告演出モードは、演出用のキャラクタを規定するもの限られず、例えば、朝モード、昼モード、夜モードといったように出現する演出モード特有の態様を規定するものとされてもよい。 【0069】 予告演出モードAは、上述のデフォルトの予告演出モードとして設定されているものであり、予告演出にメインキャラクタAを登場させる旨を規定するものである。また、予告演出モードB,C,DおよびEは、予告演出にキャラクタB,C,DまたはEを登場させる旨を規定するものである。キャラクタA,B,C,DおよびEは、それぞれ異なるキャラクタとされ、例えば漫画やアニメーションの主要キャラクタの中から選択されると好ましく、メインキャラクタAは、そのような漫画等の主人公とされるとよい。そして、ぱちんこ遊技機1において、遊技者は、予告演出モードB?Eの中から、上述のようにデフォルトの予告演出モードAと組み合わせる0?2つの予告演出モードを選択することができる。 【0070】 従って、予告演出モードの組合せは、図4に示されるように、合計11通りとなる。例えば、遊技者が操作ボタン19を操作して、デフォルトの予告演出モードAと組み合わせる予告演出モードとして予告演出モードBおよびCを選択した場合、上述のモード組合せ決定手段126は、予告演出モードの組合せが図4における「組合せ6」であると決定し、当該「組合せ6」に対応した予告パターンを演出パターン記憶手段130から抽選により選択する。予告パターンは、予告演出モードの組合せごとに、装飾図柄の変動時間に応じて複数種類用意される。そして、例えば「組合せ6」に対応した予告パターンは、キャラクタA,BおよびCのうちの少なくとも何れかが何らかの動作を行う旨を規定する。同様に、他の予告演出モードの組合せに対応した予告パターンは、当該組合せに含まれる予告演出モードにより規定される全キャラクタが何らかの動作を行う旨を規定する。 ・・・ 【0072】 図5に示されるように、「組合せ6」には、予告演出モードA,BおよびCが含まれるので、この場合、演出モード選択手段127は、当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして予告演出モードA,B,Cおよび予告演出無しモード(外れモード)の中の何れか一つを選択する。そして、本実施形態では、「組合せ6」のように予告演出モードの組合せが複数の予告演出モードを含む場合、これら複数の予告演出モード間で、演出モード選択手段127によって選択される確率が異なっている。また、かかる予告演出モードの選択確率は、予告演出モードの組合せ間で異なるものとされており、予告演出モードの選択確率のパターンは、組合せの数(本実施形態では、11通り)だけ用意される。」 (1-h)「【0075】 本実施形態において、共通演出は、効果音の発生や、予告演出モードによって規定されるもの以外のキャラクタの何らかの動作パターンを規定するものである。また、予告演出無しモードについては、予告要素として、タ:何ら予告がなされない旨を規定するもののみが用意されている。 ・・・ 【0078】 また、本実施形態では、何ら予告がなされない旨を規定する予告要素エ、ケおよびセについて、当否判定手段114の当否判定結果が当りを示す場合に選択される確率は何れも例えば0%とされる。また、予告演出無しモードの予告要素タについては、当否判定手段114の当否判定結果が当りを示す場合に選択される確率が0%とされる一方、当否判定手段114の当否判定結果が外れを示す場合に選択される確率が100%とされる。」 (1-i)「【0082】 なお、予告演出モードの組合せに含まれる予告演出モードや、予告演出モードに対応した予告演出要素の中には、例えば、当否判定手段114による当否判定結果が当たりを示す場合にのみ選択されるものが含まれていてもよい。これにより、遊技者は、そのような予告演出モードや予告要素の出現により、「大当たり」状態になると判断することができるので、当たり時に選択される予告演出モードや予告要素が出現することに対する遊技者の期待感を高めて遊技性を向上させることが可能となる。また、予告演出モードの組合せに含まれる予告演出モードや、予告演出モードに対応した予告演出要素の中には、例えば、ぱちんこ遊技機1において当たりとなった回数や特別図柄の変動回数が所定回数になった場合にのみ選択可能となるものが含まれていてもよい。これにより、遊技の継続や遊技結果に応じて当たり外れ以外の特典を遊技者に付与することが可能となり、遊技の継続による付与される特典によりぱちんこ遊技機1の稼動を促すことも可能となる。更に、上述の予告演出モードや予告要素の選択確率を、ぱちんこ遊技機1が設置される店舗側で任意に設定できるようにしてもよい。 【0083】 また、当否判定手段114による当否判定結果が当りを示す場合に予告演出無しモードが選択されたような場合には、再度、演出モード選択手段127によって予告演出モードと予告要素とが再選択されるようにするとよい。この場合、モード抽選値用のテーブルとして、予告演出無しモードを選択範囲から除外するテーブルと、要素抽選値用のテーブルとして、何ら予告がなされない旨を規定する予告要素エ、ケ、セを選択範囲から除外するテーブルとを用意しておき、これらのテーブルを用いて、予告演出モードと予告要素とを再選択とが再選択されるとよい。これにより、当否判定手段114による当否判定結果が当りを示す場合に何ら予告演出がなされ無くなってしまう確率を低下させることができる。」 (1-j)「【0092】 図10は、図9のS51における予告演出内容の決定処理を説明するためのフローチャートである。予告演出内容の決定に際して、モード組合せ決定手段126は、先に決定した予告演出モードの組合せを示す情報を演出モード選択手段127に与える。更に、予告演出モードの組合せを決定すると、モード組合せ決定手段126は、装飾図柄決定手段122からの装飾図柄の変動パターン(変動時間)に関する情報を取得し、パターン抽選値を取得した上で、当該パターン抽選値に基づいて、演出パターン記憶手段130に記憶されている予告パターンの中から、決定した予告演出モードの組合せと装飾図柄の変動時間とに応じた予告パターンを選択する(S60)。 【0093】 一方、モード組合せ決定手段126から予告演出モードの組合せに関する情報を受け取った演出モード選択手段127は、所定のテーブルからモード抽選値を取得し、そのモード抽選値に基づいて、決定された組合せに含まれる予告演出モードのうち、何れの予告演出モードのもとで当否判定結果を遊技者に予告するか決定する(S62)。例えば、予告演出モードの組合せが図5に示される「組合せ6」に決定された場合、演出モード選択手段127は、予告演出モードA,BおよびCの中から、抽選により何れか一つの予告演出モードを遊技者への予告に用いるモードとして選択する。そして、演出モード選択手段127は、選択した予告演出モードを示す情報を予告要素選択手段128に与える。 【0094】 演出モード選択手段127から選択された予告演出モードに関する情報を受け取った予告要素選択手段128は、要素抽選値を取得した上で、その要素抽選値に基づいて、当否判定手段114による当否判定結果と演出モード選択手段127よって決定された予告演出モードに応じた予告要素を演出パターン記憶手段130から選択する(S64)。例えば、予告演出モードの組合せが図5に示される「組合せ6」に決定され、かつ遊技者への予告に用いられるモードとして予告演出モードAが選択された場合、予告要素選択手段128は、予告要素ア、イおよびウの中から抽選により何れか一つの予告要素を遊技者への予告に用いる予告要素として選択する。」 (1-k)段落【0033】、【0036】の記載から、演出表示装置60において変動表示を行い、遊技者に有利な状態である特別遊技に移行可能なぱちんこ遊技機1であるといえる。 (1-l)段落【0039】の記載から、当否判定手段114は特別遊技へ移行するか否かを判定するといえる。 (1-m)段落【0058】の記載から、表示制御手段140は、装飾図柄決定手段122により決定された変動パターンに従って装飾図柄を演出表示装置60に変動表示させるものであり、段落【0047】の記載から、装飾図柄決定手段122は、当否判定手段114による当否判定結果に対応する装飾図柄の停止図柄を決定するから、表示制御手段140は、当否判定手段114による当否判定結果に基づいて演出表示装置60に変動表示させるといえる。 (1-n)段落【0052】の記載から、予告演出決定手段125は、当否判定手段による判定結果に基づいて予告演出の内容を決定するものであり、段落【0008】の記載から、予告演出の内容は特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができるものといえるから、予告演出決定手段125は、当否判定手段114による当否判定結果に基づいて、特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出の内容を決定するといえる。 (1-o)段落【0058】の記載から、表示制御手段140は、予告演出決定手段125により決定された予告演出の内容を演出画像として変動表示するといえる。 (1-p)段落【0068】?【0070】の記載から、遊技者が予告演出の内容を規定する予告演出モードを設定できるようになっており、図4に示されるように11通りの予告演出モードがある。その中から遊技者が「組合せ6」を選択した場合の例が図5に示されている。 図5には、「演出なし」の予告演出モード(予告演出なしモード)を含むことが示されており、その横に「なし」の予告要素、当り時0%、外れ時100%が示されている。 段落【0072】には、当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、予告演出モードA,B,Cおよび予告演出なしモードの中の何れか一つを選択することが記載されており、段落【0083】には、当りの時にも予告演出なしモードが選択されることが記載されている。 以上のことを踏まえ、段落【0055】の記載を加味すると、演出モード選択手段127は、遊技者が予告演出モードの組合せを選択した場合に、当りの時も外れの時も当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択するといえる。 (1-q)図5には、「演出なし」の予告演出モード(予告演出なしモード)に「なし」の予告要素が対応し、段落【0075】には、予告演出なしモードについては、予告要素として、何ら予告がなされない旨を規定するもののみが用意されていることが記載されている。 また、段落【0056】には「予告要素選択手段128は、演出モード選択手段127よって決定された予告演出モードについて定められた複数の予告要素の中から、当否判定結果を遊技者に予告する際の予告要素を選択する」と記載されているから、予告演出演出なしモードにおいては、外れ時に「なし」の予告要素が選択されるといえる。 さらに、図5には、「演出なし」の予告演出モード(予告演出なしモード)は、1つの「なし」の予告要素のみが選択され、予告演出モードA?Cの場合には、複数の予告要素から選択されることが示されているから、予告演出なしモード以外の予告演出モードについては、定められた複数の予告要素の中から、予告演出の内容を規定する予告要素が選択されるといえる。 以上のことから、予告要素選択手段128は、演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモードについては、「なし」の予告要素が選択され、演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモード以外の予告演出モードについては、定められた複数の予告要素の中から、予告演出の内容を規定する予告要素が選択されるといえる。 上記(1-a)?(1-j)の記載事項及び(1-k)?(1-q)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。 「a 演出表示装置60において変動表示を行い、遊技者に有利な状態である特別遊技に移行可能なぱちんこ遊技機1であって、 b 前記特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定手段114と、 c 前記当否判定手段114による当否判定結果に基づいて演出表示装置60に変動表示させる表示制御手段140と、 d 前記当否判定手段114による当否判定結果に基づいて、特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出の内容を決定する予告演出決定手段125と、 e 予告演出決定手段125により決定された予告演出の内容を演出画像として変動表示する表示制御手段140とを備え、 f 前記予告演出決定手段125は、 f1 遊技者が予告演出モードの組合せを選択した場合に、当りの時も外れの時も当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択する演出モード選択手段127と、 f2’ 演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモードについては、「なし」の予告要素が選択され、演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモード以外の予告演出モードについては、定められた複数の予告要素の中から、予告演出の内容を規定する予告要素が選択される予告要素選択手段128とを含む、ぱちんこ遊技機1。」 (2)刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2001-54644号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (2-a)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の従来の遊技機においては、可変表示装置によりリーチ表示態様が何の前兆もなく表示されるため、リーチ表示態様が可変表示装置で表示される前の段階から遊技者の期待感を盛り上げて遊技者を楽しませることがあまりできないという問題があった。 【0005】本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、リーチ表示態様が可変表示装置で表示される前の段階から遊技者の期待感を盛り上げることにより、興趣を向上させることを可能にする遊技機を提供することである。」 (2-b)「【0022】図3は、パチンコ遊技機における主として可変表示装置の制御動作を示すフローチャートである。 【0023】ステップS(以下単にSという)1により、ランダム1カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム1カウンタは、大当りを発生させるか否かを事前に決定するために用いられるカウンタであり、0から1ずつカウントアップしてその上限である209までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、パチンコ玉が始動入賞口7に入賞して始動入賞玉検出器8からの検出信号が導出された時点におけるランダム1カウンタのカウント値が抽出されてメモリ内に記憶される。このメモリは、始動入賞記憶の上限がたとえば「4」である場合には、それに合わせて4つのカウント値記憶領域を有し、始動入賞の古い順に抽出されたカウント値が抽出順序に従って記憶される。そして、メモリ内の1番古いカウント値がこのS1により読出される。その読出されたカウント値(乱数)が、3のときにはS2以降に示す大当りを発生させるための制御がなされ、3以外のときにはS16以降に示す外れとなる制御が行なわれる。 【0024】S2では、ランダム2カウンタのカウント値における可変表示装置の左図柄を決定する値に合わせて、左図柄=中図柄=右図柄とする処理が行なわれる。ランダム2カウンタは、0からカウントアップしてその上限である15進数のEEEまでカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものであり、可変表示装置4の停止図柄を決定するものである。そしてS2の処理により、ランダム2カウンタの左図柄用のカウント値部分により左図柄を決定し、その決定された左図柄と同じ図柄になるように中図柄と右図柄を揃える処理が行なわれる。その結果、可変表示装置4の可変停止時においては、左図柄と中図柄と右図柄とが同じ図柄となりぞろめの状態となり、大当り状態が発生する。次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。リーチとは、複数の可変表示部が時期を異ならせて停止される場合に、一部の可変表示部が未だ可変表示している段階で既に停止している可変表示部の表示結果が大当りとなる特定の表示態様の条件を満たしている状態である。ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。S4,S5の処理が行なわれた後にS7に進み、ランダム4カウンタのカウント値が読出される。このランダム4カウンタは0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そしてその読出されたカウント値が0のときにはS8に進み、音,ランプ,LEDを制御する処理が行なわれる。このS8の処理を行なうに際し、前記S4により大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。一方、ランダム4カウンタの値が1のときには、S9に進み、可変表示装置4のLCD表示装置5の表示動作制御を行ない、LCD表示装置5により大当り状態やリーチが発生することを事前に予告表示させる。このS9による表示動作の具体的内容は、S4による大当り予告1のフラグがセットされているときには、図4、図5のそれぞれの(B)に示された表示動作であり、S5によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は、図4、図5のそれぞれの(A)に示された表示動作である。一方、ランダム4カウンタの値が2のときには、S10に進み、ラッキーナンバー表示LEDを変動制御させる処理が行なわれる。このS10による処理は、ラッキーナンバー表示LED20をLCD表示装置5の可変開始時から変動させ、大当りが発生して可変入賞球装置9の初回の開放時にその可変表示を停止させることにより、大当り状態が発生することを遊技者に認識させるようにしている。このラッキーナンバー表示LED20は、大当り発生の予告表示を行なわない通常時では、大当りの発生時に変動を開始し、可変入賞球装置9の初回の開放時に停止するように制御されており、S10によるラッキーナンバー表示LED20の表示動作が通常時の表示動作と異なるため、遊技者は、大当りが発生することが認識できる。このラッキーナンバー表示LEDの変動が停止した後に表示される停止ナンバーは、0から7までをカウントするランダム6カウンタのカウント値が大当り発生時に抽出されてその抽出されたカウント値(乱数)により決定される。」 (2-c)「【0026】次に、S1により読出されたランダム1カウンタのカウント値が3以外のときには、S16に進み、ランダム2カウンタのカウント値を読出し、その読出されたランダム2カウンタのカウント値が、左図柄のカウント値と中図柄のカウント値と右図柄のカウント値とがすべて同じ値であった場合には、中図柄のカウント値に対し「1」を加算し、中図柄を強制的にずらしてぞろめとならないように制御される。これは、ランダム1カウンタのカウント値が3以外の場合すなわち外れとすることが事前に決定された場合であるにも関わらず、ランダム2カウンタのカウント値がたまたま左図柄と中図柄と右図柄とが同じ図柄となるぞろめ状態であり、そのままでは大当りが発生する特定の表示態様となってしまうために、S17によりぞろめが生じないように強制的に中図柄をずらしているのである。一方、ランダム2カウンタの値が左図柄と右図柄とが同じで中図柄だけ違う値であった場合には、そのままS18に進み、メモリ内のランダム1カウンタの値をチェックする処理が行なわれる。このメモリ内のランダム1カウンタの値とは、前記S1で説明したメモリに対応して古い順に記憶されているランダム1カウンタの値のことである。そして、記憶されているランダム1カウンタの値の中に「3」があるとき、すなわち、可変表示装置4の今回の可変表示が終了した以降の可変表示により大当りが発生する場合には、S19に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そしてランダム3カウンタのカウント値が0のときにS21に進み、大当り予告2を行なうためのフラグがセットされてS25に進む。一方、ランダム3カウンタの値が1のときにはS22に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされてS25に進む。ランダム3カウンタの値が2のときにはS23に進み、予告なしの状態となり直接S29に進む。 【0027】S25では、ランダム4カウンタの値を読出し、その値が0のときにS26に進み、音,ランプ,LEDを制御する処理が行なわれる。このS26の処理は、大当り予告2を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21を可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、S22によるリーチ予告のフラグがセットされているときは、飾りLED41を可変開始時から点滅させてスピーカ37からリーチ予告音を発生させる。一方ランダム4カウンタの値が1のときには、S27に進み、大当り予告2のフラグがセットされている場合には図4、図5のそれぞれの(C)に基づいて後述する大当り予告2のときのLCD表示装置5の表示動作を行ない、リーチ予告のフラグがセットされている場合には、図4、図5のそれぞれの(A)に基づいて後述するリーチ予告時のLCD表示装置5の表示動作制御を行なう。次に、ランダム4カウンタのカウント値が2のときには、S28に進み、ラッキーナンバー表示LED20をLCD表示装置の可変開始時から変動させ、LCD表示装置5の可変停止時にラッキーナンバー表示LED20の変動開始時と同じ位置に停止させる処理が行なわれる。 ・・・ 【0030】一方、S16により読出されたランダム2カウンタの値の左と右の図柄の値が一致しない場合にはS33に進み、メモリ内のランダム1カウンタのチェックがなされ、メモリ内に3が記憶されていないときにはそのままS41に進むが、メモリ内に3が記憶されている場合にはS34に進み、ランダム3カウンタの値を読出し、その値が0あるいは1のときにS35に進み、大当り予告2を行なうためのフラグがセットされた後S36に進む。一方、ランダム3カウンタの値が2のときにS40に進み、予告なしの状態となり直接S41に進む。 【0031】S36では、ランダム4カウンタの値を読出す処理が行なわれる。そして、そのランダム4カウンタの値が0のときにはS37に進み、音,ランプ,LEDの制御がなされる。このS37の制御は、前記S26と同様の制御である。ランダム4カウンタの値が1のときにS38に進み、LCD表示装置5を制御して図4、図5のそれぞれの(C)に基づいて後述する大当り予告2の表示制御が行なわれる。ランダム4カウンタの値が2のときにS39に進み、前記S28と同様のラッキーナンバー表示LEDの変動制御が行なわれ、S41に進む。」 上記(2-a)?(2-c)の記載事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されている(以下「刊行物2記載の事項」という。)。 「可変表示装置の制御動作として、ランダム1カウンタのカウント値により大当りを発生させる制御がなされると決定された場合には、ランダム3カウンタのカウント値を読み出す処理が行われ(S3)、読み出されたカウント値により「大当り予告1」(S4)、「リーチ予告」(S5)、又は「予告なし」(S6)とするかを決定し、「大当り予告1」(S4)、「リーチ予告」(S5)の場合には、ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S7)により予告内容を決定し、「予告なし」(S6)の場合には上記ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S7)を行わずに次のステップに進み、 ランダム1カウンタのカウント値により外れとなる制御がなされると決定され、ランダム2カウンタのカウント値が左図柄と右図柄が同じで中図柄だけ違うカウント値であった場合には、ランダム3カウンタのカウント値を読み出す処理が行われ(S19)、読み出されたカウント値により「大当り予告2」(S21)、「リーチ予告」(S22)、又は「予告なし」(S23)とするかを決定し、「大当たり予告2」(S21)、「リーチ予告」(S22)の場合には、ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S25)により予告内容を決定し、「予告なし」(S6)の場合には上記ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S25)を行わずに次のステップに進み、 ランダム1カウンタのカウント値により外れとなる制御がなされると決定され、ランダム2カウンタのカウント値の左図柄と右図柄の値が一致しない場合には、ランダム3カウンタのカウント値を読み出す処理が行われ(S34)、読み出されたカウント値により「大当り予告2」(S35)、又は「予告なし」(S40)とするかを決定し、「大当たり予告2」(S35)の場合には、ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S36)により予告内容を決定し、「予告なし」(S40)の場合には上記ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S36)を行わずに次のステップに進 む処理を行うパチンコ遊技機。」 (3)対比 本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(f2’)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。 (a)刊行物1発明の「遊技者に有利な状態である特別遊技」は、本願補正発明の「遊技者にとって有利な特定状態」に相当する。 よって、刊行物1発明の「演出表示装置60において変動表示を行い、遊技者に有利な状態である特別遊技に移行可能なぱちんこ遊技機1」は、本願補正発明の「変動表示を行ない、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機」に相当する。 (b)刊行物1発明の「特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定手段114」は、本願補正発明の「特定状態に制御するか否かを決定する決定手段」に相当する。 (c)刊行物1発明の「当否判定手段114による当否判定結果に基づいて演出表示装置60に変動表示させる表示制御手段140」は、本願補正発明の「決定手段による決定に基づいて、変動表示を実行する変動表示実行手段」に相当する。 (d)刊行物1発明の「特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出」は、本願補正発明の「特定状態に制御されることを示唆する」「予告演出」に相当する。また、刊行物1の段落【0082】には、予告演出に関して、「予告演出モードや予告要素の出現により」、「大当たり」状態になると判断することができる」と記載されていることからも、特定状態に制御されることを示唆していることが裏付けられる。 さらに、刊行物1発明において、「予告演出決定手段125」は「複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択する演出モード選択手段127」を含んでいるから、刊行物1発明の「予告演出決定手段125」は、「複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する」といえる。 よって、刊行物1発明の「当否判定手段114による当否判定結果に基づいて、特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出の内容を決定する予告演出決定手段125」は、本願補正発明の「決定手段による決定に基づいて、特定状態に制御されることを示唆する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段」に相当する。 (e、f)刊行物1発明の「予告演出決定手段125」は、本願補正発明の「予告演出決定手段」に相当するから、刊行物1発明の「予告演出決定手段125により決定された予告演出の内容を演出画像として変動表示する表示制御手段140」は、本願補正発明の「予告演出決定手段により決定された予告演出を実行する予告演出実行手段」に相当する。 (f1)刊行物1発明の「予告演出モード」は、本願補正発明の「実行種別」に相当し、刊行物1発明の「予告演出モード」が予告演出を実行する演出態様に基づいて分類されたものであることは自明な事項である。 よって、刊行物1発明の「遊技者が予告演出モードの組合せを選択した場合に、当りの時も外れの時も当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択する演出モード選択手段127」は、本願補正発明の「予告演出を実行しない予告演出不実行種別、および、予告演出を実行する演出態様に基づいて分類された複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段」に相当する。 (f2’)刊行物1発明の「予告要素」は、本願補正発明の「予告演出」に相当する。 よって、刊行物1発明の「演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモードについては、外れ時に「なし」の予告要素が選択され、演出モード選択手段127によって選択された予告演出なしモード以外の予告演出モードについては、定められた複数の予告要素の中から、予告演出の内容を規定する予告要素が選択される予告要素選択手段128」と、本願補正発明の「種別決定手段により予告演出不実行種別が決定されたときに実行する予告演出を決定する処理を行なわず、種別決定手段により予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに決定された予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する処理を行なう予告決定手段」とは、「種別決定手段により予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに決定された予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する処理を行なう予告決定手段」である点で共通する。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、 「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 B 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、 C 前記決定手段による決定に基づいて、変動表示を実行する変動表示実行手段と、 D 前記決定手段による決定に基づいて、前記特定状態に制御されることを示唆する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段と、 E 前記予告演出決定手段により決定された予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、 F 前記予告演出決定手段は、 F1 予告演出を実行しない予告演出不実行種別、および、予告演出を実行する演出態様に基づいて分類された複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段と、 F2’ 前記種別決定手段により前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する処理を行なう予告決定手段とを含む、遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 予告決定手段に関して、本願補正発明は、「種別決定手段により予告演出不実行種別が決定されたときに実行する予告演出を決定する処理を行なわ」ないのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。 (4)判断 ア 上記相違点について検討する。 刊行物1発明における「演出モード選択手段127」(予告種別決定手段)は、「当りの時も外れの時も当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択する」ものである。 一方、刊行物2記載の事項における「ランダム3カウンタのカウント値を読み出す処理(S3)(S19)」により「「予告なし」(S6)(S23)」が決定された場合は、本願補正発明の「予告演出を決定する種別決定手段により」「予告演出不実行種別が決定されたとき」を意味するものであり、刊行物2記載の事項における「ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S7)(S25)を行わ」ないことは、本願補正発明の「予告演出実行種別に属する予告演出を決定する処理を行わ」ないことを意味するものであり、刊行物2記載の事項における「ランダム3カウンタのカウント値を読み出す処理(S3)(S19)」により、「「大当り予告1」(S4)」が決定された場合は、本願補正発明の「予告演出を決定する種別決定手段により」「予告演出実行種別が決定されたとき」を意味するものであり、刊行物2記載の事項における「ランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S7)により予告内容を決定」することは、本願補正発明の「予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定」することを意味するものである。 そして、刊行物2記載の事項においては、可変表示装置が大当たりを発生させる制御を行う場合も、外れとなる制御を行う場合も同様の処理を行うことが記載されている。 したがって、刊行物2記載の事項の主な内容を、本願補正発明の用語を用いて表現すると、「大当り、外れのいずれの場合も予告演出種別を決定する種別決定手段により予告演出不実行種別が決定されたときには、予告演出実行種別に属する予告演出を決定する処理を行わず、前記種別決定手段により予告演出実行種別が決定されたときには、予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する遊技機。」が記載されているといえる。 刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、大当り、外れのいずれの場合も予告演出を決定する処理を行う遊技機である点で共通するとともに、予告演出を決定する処理の内容として、予告演出の実行、不実行を最初に決定し、その後、予告演出を実行する場合に複数の予告演出の中から実行する予告演出を決定する処理を含む点において共通するものである。 また、刊行物1発明における「予告演出なしモード」では、予告演出を行わないから、予告演出に用いる予告要素は決める必要のないものであり、制御を実行するフローチャート等において、このような予告要素を決める処理を行わないことは当業者が適宜なし得たものであるともいえる。 以上をふまえると、刊行物1発明における演出モード選択手段127によって決定された予告演出なしモードに関して、刊行物2記載の事項の「予告なし」(S6)(S23)の場合にはランダム4カウンタのカウント値を読み出す処理(S7)(S25)を行わずに次のステップに進む点を適用し、予告演出の内容を規定する予告要素を決定する予告要素選択手段128の処理を行わないように構成し、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 本願補正発明が奏する効果について 上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 ウ 請求人の主張について 請求人は、平成28年8月30日付け上申書において、「引用文献2では、大当り予告として、「大当り予告1」と「大当り予告2」という予告演出が開示されていますが、引用文献2の段落0024と段落0027との記載内容を比較検討しますと、大当り予告1が大当り決定時専用の予告演出であり、大当り予告2がはずれ決定時専用の予告演出です。 これらは、表示結果決定状態別の専用の予告演出です。したがいまして、たとえば、大当り決定時には、大当り予告として「大当り予告1」しか選択肢がありません。一方、はずれ決定時には、大当り予告として「大当り予告2」しか選択肢がありません。このように、「大当り予告1」と「大当り予告2」とは、選択可能となる遊技状況が異なります。遊技中に、大当り決定とはずれ決定との両方がされている遊技状況は、現実的に生じませんので、大当り予告を「大当り予告1」と「大当り予告2」との複数種類の大当り予告から選択するような遊技状況は実質的に生じ得ません。 したがいまして、引用文献2では、大当り予告として「大当り予告1」と「大当り予告2」とが記載されていますが、実質的な遊技状態において、選択可能な大当り予告は、大当り決定時でも、はずれ決定時でもともに1種類のみです。」(第4頁第19?32行) と主張する。 確かに、刊行物2(請求人の主張する「引用文献2」に相当する。)においては、大当り決定時には、「大当り予告1」、「リーチ予告」、「予告なし」から選択するものであり、はずれ決定時には「大当り予告2」、「リーチ予告」、「予告なし」から選択するものであり、それぞれの状況において複数種類の大当たり予告から選択することは直接的には記載されていない。 しかしながら、大当り予告を複数種類の大当り予告から選択する点は、上記「第1 3(1)」で検討したとおり、刊行物1に記載されており、刊行物1発明においても「当否判定結果を遊技者に予告する際の予告演出モードとして、複数の予告演出モード、および、予告演出なしモードのうち、何れかを選択する演出モード選択手段127」の構成から導かれるから、上記「第1 3(4)ア」で検討したとおり、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用することにより、本願補正発明は当業者が容易になし得たことであるといえる。 もっとも、大当り決定時における「リーチ予告」は、最終的には大当りとなるものであるから、遊技者にとってみれば「特定状態(大当り)に制御されることを示唆する」予告とみることもできるものであり、その場合には、刊行物2には、本願補正発明における「特定状態に制御されることを示唆する複数の予告演出」と「複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段」が記載されているということもできる。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (5)まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成27年8月31日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 B 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、 C 前記決定手段による決定に基づいて、変動表示を実行する変動表示実行手段と、 D 前記決定手段による決定に基づいて、前記特定状態に制御される可能性があることを報知する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段と、 E 前記予告演出決定手段により決定された予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、 F 前記予告演出決定手段は、 F1 予告演出を実行しない予告演出不実行種別、および、予告演出を実行する演出態様に基づいて分類された複数種類の予告演出実行種別を含む演出種別のうちいずれかを決定する種別決定手段と、 F2 前記種別決定手段により前記予告演出不実行種別が決定されずに前記予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに、決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告決定手段とを含む、遊技機。」 2 刊行物 刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「予告演出決定手段」に関して、「ことを示唆する」を省いて、「可能性があることを報知」とするとともに、「予告決定手段」に関して、「たときに実行する予告演出を決定する処理を行なわず、前記種別決定手段により」「処理を行う」を省いたものである。 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (a)?(c)、(e、f)、(f1)については、上記「第2 3(3)」において検討したとおりである。 (d)刊行物1発明において、予告演出により報知を行うことは自明な事項であるから、刊行物1発明の「特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出」は、本願補正発明の「特定状態に制御される可能性があることを報知する」「予告演出」に相当する。 さらに、刊行物1発明においては、「複数の予告演出モード」「のうち、何れかを決定する」から、刊行物1発明の「予告演出決定手段125」は、「複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する」といえる。 よって、刊行物1発明の「当否判定手段114による当否判定結果に基づいて、特別遊技への移行可能性をある程度判断させることができる予告演出の内容を決定する予告演出決定手段125」は、本願補正発明の「決定手段による決定に基づいて、特定状態に制御される可能性があることを報知する複数の予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告演出決定手段」に相当する。 (f2)刊行物1発明において「予告演出の内容を規定する予告要素を決定する」のは、演出モード選択手段127によって「演出なし」が決定されていないときであることは自明な事項である。 よって、刊行物1発明の「演出モード選択手段127によって決定された「演出なし」の予告演出モードについては、予告要素として、何ら予告が成されない旨を規定するもののみが用意され、前記演出モード選択手段127によって決定された予告演出モードについて定められた複数の予告要素の中から、予告演出の内容を規定する予告要素を決定する予告要素選択手段128」は、本願補正発明の「種別決定手段により予告演出不実行種別が決定されずに予告演出実行種別のいずれかが決定されたときに、決定された前記予告演出実行種別に属する予告演出のうちから実行する予告演出を決定する予告決定手段」に相当する。 よって、本願発明と刊行物1発明とは、全ての点で一致し相違点はない。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-13 |
結審通知日 | 2017-01-17 |
審決日 | 2017-02-01 |
出願番号 | 特願2014-116025(P2014-116025) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 保 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
平城 俊雅 小島 寛史 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |