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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1326362
審判番号 不服2016-7634  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-25 
確定日 2017-04-04 
事件の表示 特願2011-175218「レンズシェーディング補正ファクタの算出方法及びそれを用いたレンズシェーディング補正方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月17日出願公開、特開2013- 13043、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成23年8月10日(パリ条約による優先権主張2011年6月29日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成26年 8月 6日:手続補正
平成27年 5月29日:拒絶理由の通知
平成27年 9月 1日:手続補正
平成28年 1月21日:拒絶査定
平成28年 1月26日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 5月25日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 5月25日:手続補正

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:米国特許出願公開第2008/0043117号明細書
引用文献2:特開2009-55442号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2007-36696号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開平9-51410号公報
引用文献5:特開2010-252325号公報
引用文献6:特開2001-235319号公報(周知技術を示す文献)

請求項1、5?10:引用文献1?3
請求項2?4:引用文献1?4
請求項11?20:引用文献5?6

第2 平成28年5月25日付けの手続補正の適否
1 補正の内容
平成28年5月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正であり、詳細は以下のとおりである。

特許請求の範囲
「 【請求項9】
画像を獲得する撮像素子、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部、及び
前記撮像部から受信された画像を色相に応じて複数のチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部を含み、
前記レンズシェーディング補正部は、
前記複数のチャネル画像それぞれに対して、各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、前記複数の円形セクタ毎に補正ファクタを決定して前記決定された補正ファクタを乗じ、前記補正ファクタを乗じることによって前記各チャネル画像を補正する、レンズシェーディング補正装置。」、
「 【請求項20】
画像を獲得する撮像素子、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部、及び
前記撮像部から受信された画像を色相に応じて複数のチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部を含み、
前記レンズシェーディング補正部は、
前記複数のチャネル画像それぞれに対して、各チャネル画像に2次元指数スプライン関数を用いて補正ファクタを算出し、前記算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する、レンズシェーディング補正装置。」
(本件補正により、請求項1?8、10?19は削除されるので、当該請求項は省略した。)

を、特許請求の範囲

「 【請求項1】
画像を獲得する撮像素子と、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含み、
前記レンズシェーディング補正部は、
各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像のうち画素値が最も高い点を探し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出し、
各チャネル画像の中心値座標、各チャネル画像内に含まれた各円形セクタの半径及び各チャネル画像に含まれた各円形セクタの補正ファクタを貯蔵し、
前記各チャネル画像に対して、各チャネル画像に対して分離した前記複数の円形セクタ毎に前記決定された補正ファクタを乗じて前記各チャネル画像を補正する、レンズシェーディング補正装置。
【請求項2】
画像を獲得する撮像素子と、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含み、
前記レンズシェーディング補正部は、
前記各チャネル画像で複数のサンプル画素を決定し、
前記複数のサンプル画素の画素値を用いて2次元指数スプライン関数を前記各チャネル画像にフィッティングし、
前記各チャネル画像の輝度値分布を算出し、
前記2次元指数スプライン関数に基づいて各チャネル画像に適用される補正ファクタを算出し、
前記算出した補正ファクタを適用して前記各チャネル画像に対してレンズシェーディング補正を行い、
前記行われたレンズシェーディング補正に対する適正性を判断し、
前記行われたレンズシェーディング補正が適正でない場合、前記指数スプライン関数の係数及び次数を調整して前記補正ファクタを再算出し、
最終的に算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する、レンズシェーディング補正装置。」(下線は、補正箇所である。)

に補正するものである。

2 補正の適否
(1)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更、補正の目的
請求項1に係る補正は、補正前の請求項9に記載した発明を特定するために必要な事項である「色相に応じて複数のチャネル画像に分離し」を「Rチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し」と限定するものものであり、また、補正前の請求項9に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記レンズシェーディング補正部」について、「前記複数のチャネル画像それぞれに対して、各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、前記複数の円形セクタ毎に補正ファクタを決定して前記決定された補正ファクタを乗じ、前記補正ファクタを乗じることによって前記各チャネル画像を補正する」を「各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像のうち画素値が最も高い点を探し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出し、
各チャネル画像の中心値座標、各チャネル画像内に含まれた各円形セクタの半径及び各チャネル画像に含まれた各円形セクタの補正ファクタを貯蔵し、
前記各チャネル画像に対して、各チャネル画像に対して分離した前記複数の円形セクタ毎に前記決定された補正ファクタを乗じて前記各チャネル画像を補正する」(以下「構成1」という。)と限定するものである。
また、請求項2に係る補正は、補正前の請求項20に記載した発明を特定するために必要な事項である「色相に応じて複数のチャネル画像に分離し」を「Rチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し」と限定するものものであり、また、補正前の請求項20に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記レンズシェーディング補正部」について、「前記複数のチャネル画像それぞれに対して、各チャネル画像に2次元指数スプライン関数を用いて補正ファクタを算出し、前記算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する」を「前記各チャネル画像で複数のサンプル画素を決定し、
前記複数のサンプル画素の画素値を用いて2次元指数スプライン関数を前記各チャネル画像にフィッティングし、
前記各チャネル画像の輝度値分布を算出し、
前記2次元指数スプライン関数に基づいて各チャネル画像に適用される補正ファクタを算出し、
前記算出した補正ファクタを適用して前記各チャネル画像に対してレンズシェーディング補正を行い、
前記行われたレンズシェーディング補正に対する適正性を判断し、
前記行われたレンズシェーディング補正が適正でない場合、前記指数スプライン関数の係数及び次数を調整して前記補正ファクタを再算出し、
最終的に算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する」(以下「構成2」という。)と限定するものである。
補正前の請求項9に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明、及び補正前の請求項20に記載された発明と補正後の請求項2に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、「Rチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離」することは、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0021】に記載されており、上記構成1は、当初明細書の段落【0026】?【0028】、【0035】に記載されており、上記構成2は、当初明細書の段落【0046】、【0047】、【0049】、【0050】、【0053】?【0056】、【0065】、【0074】に記載されているから、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
さらに、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

(2)独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1、2に記載された発明(以下「補正発明1」、「補正発明2」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下検討する。

ア 補正発明1
(ア)補正発明1の分説
補正発明1を分説すると、次のとおりである。

(補正発明1)
「(A)画像を獲得する撮像素子と、
(B)獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
(C)前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含み、
(D)前記レンズシェーディング補正部は、
各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像のうち画素値が最も高い点を探し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出し、
各チャネル画像の中心値座標、各チャネル画像内に含まれた各円形セクタの半径及び各チャネル画像に含まれた各円形セクタの補正ファクタを貯蔵し、
前記各チャネル画像に対して、各チャネル画像に対して分離した前記複数の円形セクタ毎に前記決定された補正ファクタを乗じて前記各チャネル画像を補正する、
(E)レンズシェーディング補正装置。」

((A)?(E)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(イ)引用文献の記載事項および引用文献に記載された発明
(イ-1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1:米国特許出願公開第2008/0043117号明細書(上記引用文献1)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「[0046] FIG. 3 is a schematic illustrating the composition of an imaging device according to the preferred embodiment of the invention.
(訳:[0046]図3は本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示す概略図である。)

[0047] Referring to FIG. 3, the imaging device 100 according to the invention comprises a sensor 110, an image processor 125, and a display 110. Of course, an input key or memory etc. may further be included, but explanation on these components is omitted, as they are irrelevant to the essentials of the invention.
(訳:[0047]図3を参照して、本発明に係る撮像装置100は、センサ110、画像処理部125と、表示部110とを備えている。当然のことながら、入力キーやメモリ等がさらに含まれていてもよいが、これらの構成要素についての説明は省略するが、これらは本発明の本質とは無関係である。)

[0048] The sensor 110 comprises a CFA (color filter array) 115 and an A/D converter 120. Of course, a lens may further be included, as mentioned above.
(訳:[0048]センサ110は、CFA(カラーフィルタアレイ)115とA/D変換器120とを備えている。当然のことながら、レンズを更に備えていてもよい。)

[0049] The CFA 115 converts the optical signal of the subject to an electronic signal for output. Here, the CFA 115 uses a Bayer pattern, which is advantageous in terms of resolution, and an image signal having a color data is outputted for each pixel, i.e. an image signal having R data only is outputted from a pixel associated with a R pattern, an image signal having G data only is outputted from a pixel associated with a G pattern, and an image signal having B data only is outputted from a pixel associated with a B pattern. The value of each pixel obtained through the Bayer patterned CFA 115 is interpolated (for example, by inferring the mixing color data after averaging the values of the two pixels to the left and to the right or the four pixels to the left, to the right, above, and below, etc.) to yield perfect color data. The interpolation is performed by the interpolation processing part 140.
(訳:[0049]CFA115は、被写体の光信号を出力する電子信号に変換する。CFA115は、解像性の観点から有利であるベイヤーパターンを用い、カラー情報を持った画像信号は、画素ごとに出力される、即ち、Rパターンに対応付けられた画素から出力されるRデータのみを有する画像信号、Gパターンに対応付けられた画素から出力されるGデータのみを有する画像信号と、Bパターンに対応付けられた画素から出力されるBデータのみを有する画像信号である。完全な色データを得るために、ベイヤパターンCFA115を介して得られた各画素の値は補間される(例えば、左右の2画素又は左右上下の4画素の平均から混合色データを推論することによって)。補間は、補間処理部140によって行われる。)

[0050] The A/D converter 120 converts the image signals converted by the CFA 115 to digital signals and transfers them to the correction processing part 130.
(訳:[0050]A/D変換器120は、CFA115により変換された画像信号をデジタル信号に変換して補正処理部130へ転送する。)

[0051] The image processor 125 comprises the correction processing part 130, a correction register table 135, the interpolation processing part 140, interpolation memory 145, a color adjustment part 150, a gamma conversion part 155, a gamma table 160, a format conversion part 165, and a format conversion table 170. In addition, the image processor 125 may include a horizontal synchronous signal (Hsync), vertical synchronous signal (Vsync), and a timing generator part (not shown) which generates various timing signals from the pixel clock (PCLK), used in the operation of the CFA 115.
(訳:[0051]画像処理部125は、補正処理部130、補正レジスタテーブル135、補間処理部140、補間メモリ145、色調整部150、γ変換部155と、ガンマテーブル160と、フォーマット変換部165と、フォーマット変換テーブル170を備えている。加えて、画像処理部125は、水平同期信号(Hsync)、垂直同期信号(Vsync)、タイミングジェネレータ(図示せず)を含む。タイミングジェネレータは、CFA115の動作に使用される画素クロック(PCLK)を基に各種のタイミング信号を生成する。)

[0052] The correction processing part 130 analyzes the luminance of each image signal, analyzes the gain and level of RGB, respectively, identifies the center pixel of the shading image, and transfers the original image signal corrected in a predetermined manner to the interpolation processing part 140. Here, the user may manually define the desired gain and level values. The gain is for modifying the RGB intensity within a frame, as there may be a disparity in the RGB intensities because of the disparity in light transmissivity between the center pixels and the outer pixels. The level is related to the brightness of each pixel; for instance, if the level of all pixels within a frame is 10, then it may be said that the brightness of the entire screen is 10. Thus, the correction processing part 130 according to the invention has the effect of preventing the degradation in quality of original images by correcting the image signals of all pixels within a frame to correspond to the gain and level settings established by the user. The composition and function of the correction processing part 130 is described in detail with reference to FIG. 4.
(訳:[0052]補正処理部130は、各画像信号の輝度を解析し、RGBそれぞれのゲインおよびレベルを解析し、シェーディング画像の中心画素を特定し、所定の方法で補正された元画像信号を補間処理部140に供給する。ここで、ユーザは、手動で所望のゲインおよびレベル値を定義してもよい。ゲインは、フレーム内のRGB強度を修正する、中心画素と外側の画素間の光透過率の差異のためRGB強度の差であってもよい。レベルが各画素の明るさに関係する。例えば、フレーム内の全ての画素のレベルが10である場合には、画面全体の輝度が10であるということができる。このように、本発明による補正処理部130は、ユーザにより設定されたゲインおよびレベル設定に対応するフレーム内の全ての画素の画像信号を補正することにより、元の画像の品質の低下を防止する効果を有している。補正処理部130の構成及び作用について図4を参照して詳細に説明する。)

[0054] The interpolation processing part 140 generates RGB pixel signals for each pixel. When the image signals outputted from the CFA 115 have a Bayer pattern, green (G) or blue (B) pixel signals cannot be obtained from pixels associated with red (R). Thus, the interpolation processing part 140 can generate green (G) or blue (B) pixel signals from a red (R) color filter pixel through interpolation operations. For this, the pixel signals of surrounding pixels are temporarily recorded in the interpolation memory 145, and the interpolation processing part 140 performs interpolation operations using the pixel signals of the surrounding pixels temporarily recorded in the interpolation memory 145.
(訳:[0054]補間処理部140は、各ピクセルのRGB画素信号を生成する。CFA115から出力された画像信号は、ベイヤ配列をなしていると、緑(G)又は青(B)の画素信号は、赤(R)に関連した画素から得ることができない。補間処理部140は、補間演算によって赤色(R)カラーフィルタの画素から緑色(G)又は青色(B)の画素信号を生成することができる。周辺画素の画素信号が、補間用メモリ145に一時的に記録され、補間処理部140は、補間メモリ145に一時記録された周辺画素の画素信号を用いて補間演算を行う。)

[0057] FIG. 4 is a schematic illustrating in detail the composition of the correction processing part 130 according to a preferred embodiment of the invention, and FIG. 5 is a diagram illustrating the method of identifying the center pixel according to a preferred embodiment of the invention.
(訳:[0057]図4は、本発明の一実施形態に係る補正処理部130の構成を詳細に示す概略図であり、図5は、本発明の好適な実施の形態における中心画素を識別する方法を示す図である。)

[0058] Referring to FIG. 4, the correction processing part 130 comprises the pixel value analysis part 210, the table generator part 220, the pixel position calculator part 230, the compensation curve generator part 240, and the correction execution part 250.
(訳:[0058]図4を参照して、補正処理部130は、画素値解析部210、テーブル生成部220、画素位置計算部230、補償カーブ生成部240と、補正実行部250とを備えている。)

[0059] The pixel value analysis part 210 uses the digital image signals received per line from the sensor 110 to analyze the luminance data, gain data, and level data corresponding to each pixel, and performs the function of identifying the center pixel of the shading image. The analysis of the digital image signal by the pixel value analysis part 210 may be performed for each line, for the entire frame, or for the center line only. Since the correction processing part 130 according to the invention performs analysis on the image signals before interpolation, the amount of data to be analyzed can be reduced to 1/3. Obviously, other options may be applied in correspondence to the bit data (e.g. 10 bits or 8 bits) of the image signals before interpolation for the pixel value analysis part 210 according to the invention. The method by which the pixel value analysis part 210 analyzes digital image signals may be described briefly as follows. The pixel value analysis part 210 can perform analysis for RGB respectively, since the inputted digital image signals are inputted in a RGB Bayer pattern. First, the center pixel of the shading image is identified from a white image. This is to align to the accurate center when the center of the shading image is not the center of the pixel array. It is also because when the center of the shading image is not aligned, distortion of the image may occur. When the center pixel of the shading image is identified, the position of the center pixel is stored in the correction register table 135, and a shading compensation image is generated about the center pixel. Referring to the diagram of FIG. 5, the method of identifying the center pixel may be described briefly as follows. First, the pixel value analysis part 210 detects the positions of the two pixel values 520, 530 with the highest brightness values on the vertical and horizontal lines passing a pixel 510. Then, using the deviations between the positions of the pixel values 520, 530 and the position of the center value of the pixel array, the center of the pixel array is moved to the center of the shading image, so that the center pixel is identified.
(訳:[0059]画素値解析部210は、各画素に対応する輝度データ、ゲインデータ、レベルデータを分析するために、センサ110からライン毎に受信したデジタル画像信号を使用し、シェーディング画像の中心画素を特定する機能を実行する。画素値解析部210によるデジタル画像信号の解析は、各ライン、フレーム全体、あるいは中心線のみに実行される。本発明による補正処理部130は、補間前の画像信号の解析を行うので、解析すべきデータ量を1/3にすることができる。明らかに、他のオプションは、本発明に係る画素値解析部210の補間前の画像信号のビットデータ(例えば10ビットまたは8ビット)に対応して適用することができる。画素値解析部210は、デジタル画像信号を解析する方法は、以下のように簡単に説明することができる。入力されたデジタル画像信号は、RGBベイヤー配列で入力されているから、画素値解析部210は、RGBそれぞれのための解析を行うことができる。まず、シェーディング画像の中心画素は白画像から特定される。シェーディング画像の中心が画素アレイの中心ではない場合、正確な中心に位置合わせする。シェーディング画像の中心が位置合わせされていない場合には、画像の歪みが発生する可能性があるからである。シェーディング画像の中心画素が識別されると、中心画素の位置が補正レジスタテーブル135に格納され、中心画素の周りにシェーディング補償画像が生成される。図5を参照すると、中心画素を識別する方法は、以下のように簡単に説明することができる。まず、画素値解析部210は、画素510を通る垂直方向軸線及び水平線上で最も高い輝度値を有する2個の画素値520、530の位置を検出する。画素値520、530の位置と画素アレイの中心値の位置との偏差を用いて、画素アレイの中心は、シェーディング画像の中心に移動させることにより、中心画素が識別される。)

[0060] This is done by comparing the pixel value of each unit pixel in the line containing the center pixel value of the pixel array with the center value of the pixel array, and moving the center of the shading image if the pixel value of the unit pixel is greater.
(訳:[0060]これは、画素アレイの中心値と画素アレイの中心画素の値を含むラインの各単位画素の画素値とを比較し、単位の画素値の方が大きい場合には、シェーディング画像の中心を移動させることにより行われる。)

[0061] The table generator part 220 generates and stores the correction register table which contains the analysis results of the pixel value analysis part 210 (e.g. the gain and level values, luminance values etc. of RGB, respectively) and/or compensation values. The compensation values may, for example, be generated to correspond to block units (e.g. the starting and ending positions of a certain block, etc). Settings predefined by the user (e.g. gain and level settings) and the analysis results of the pixel value analysis part 210 may be used to generate compensation values, and these settings may be stored in the correction register table 135 or a separate storage part (not shown). It is obvious that that the table generator part 220 may be included within the pixel value analysis part 210.
(訳:[0061]テーブル生成部220は、画素値解析部210の解析結果(例えばRGBのゲインとレベル値、輝度値等)及び/又は補償値を含む補正レジスタテーブルを生成して記憶する。補償値は、例えば、ブロック単位(例えば特定ブロックの開始位置および終了位置等)に対応するように生成することができる。ユーザによって予め定義された設定(例えばゲインおよびレベル設定)及び画素値解析部210の解析結果は、補償値を生成するために使用され、これらの設定は、補正レジスタテーブル135又は別個の記憶部(図示せず)に記憶されていてもよい。テーブル生成部220は、解析部210に含まれていてもよいことは明らかである。)

[0062] The pixel position calculator part 230 calculates the distance between each pixel and the center pixel identified by the pixel value analysis part 210. The correction processing part 130 counts the image signals coming from the horizontal and vertical directions (this may be performed by the pixel value analysis part 210, for example, or a separate counting means), and the count numbers indicate the position of the corresponding pixel. This may be used by the pixel position calculator part 230 to calculate the distance between each pixel and the center pixel, and the distances between the pixels and the center pixel are grouped as blocks (see FIG. 8 and FIG. 10). Also, the count numbers allow the analysis data stored in the correction register table 135 to be coupled with each pixel.
(訳:[0062]画素位置計算部230は、各画素間と画素値解析部210により特定された中心画素との距離を算出する。補正処理部130は、水平方向および垂直方向(これは、例えば、画素値解析部210によって、又は、別の計数手段によって実行されてもよい)からの画像信号をカウントし、カウント数は、対応する画素の位置を示す。これは、各画素と中心画素との距離を算出する画素位置計算部部230で使用することができ、画素と中心画素との間の距離は、ブロックとしてグループ化されている(図8及び図10参照)。また、カウント数は、補正レジスタテーブル135に記憶された解析データを、各画素に結合させることを可能にする。)

[0063] The compensation curve generator part 240 extracts the compensation values stored in the correction register table 135 that are coupled with the count numbers, and calculates the compensation value for a certain pixel. The entries of the correction register table 135 are configured to correspond to the unit block of the pixel array (e.g. 16 pixel, 32 pixel, 64 pixel), and the compensation values within a unit block may be generated using entries from two tables (e.g. the compensation value of the block starting position and the compensation value of the block ending position). This is explained in detail with reference to FIG. 6 and FIG. 8.
(訳:[0063]補償カーブ生成部240は、カウント数に結合されている補正レジスタテーブル135に記憶された補償値を抽出し、ある画素の補正値を算出する。補正レジスタテーブル135のエントリは、画素アレイの単位ブロック(例えば、16画素、32画素、64画素)に対応するように構成されており、ブロック内の補正値は、2テーブルからエントリ(例えばブロック開始位置の補正値およびブロック終了位置の補正値)を用いて生成することができる。これは、図6および図8を参照して詳細に説明する。)

[0064] The correction execution part 250 aggregates for each pixel the analysis result from the pixel value analysis part 210 and the calculated compensation value from the compensation curve generator part 240 to generate correction pixel data, and transfers the generated correction pixel data to the interpolation processing part 140. Thus, the corrected image with the shading phenomenon removed is transferred to the interpolation processing part 140.
(訳:[0064]補正実行部250は、補正画素データを生成するために、各画素毎に画素値解析部210での解析結果と補償カーブ生成部240から算出された補償値を統合し、補間処理部140に生成された補正画素データを転送する。シェーディング現象を除去した補正画像は、補間処理部140に転送される。)

[0065] FIG. 6 is a flowchart illustrating the method of compensating the lens shading phenomenon according to a preferred embodiment of the invention, FIG. 7 is a diagram illustrating by example a white image and a corrected image according to a preferred embodiment of the invention, and FIG. 8 is a diagram illustrating the method of calculating the compensation value for a block according to a preferred embodiment of the invention. FIG. 9 is a diagram illustrating the method of implementing an image effect according to a preferred embodiment of the invention, FIG. 10 is a diagram illustrating the method of adjusting level and gain according to a preferred embodiment of the invention, FIG. 11 is a diagram illustrating in detail the method of adjusting level and gain according to a preferred embodiment of the invention, and FIG. 12 is a diagram illustrating the method of providing leveled transmissivity according to a preferred embodiment of the invention.
(訳:[0065]図6は、本発明の一実施形態に係るレンズシェーディング現象を補償する方法を示すフローチャートであり、図7は、本発明の好適な実施の形態に係る白色画像と補正後の画像例を示す図であり、図8は、本発明の好適な実施形態に係るブロックの補償値の算出方法を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る画像効果を実現する方法を説明するための図であり、図10は、本発明の実施形態に係るレベル及びゲインを調整する方法を示す図であり、図11は、本発明の実施形態に係るレベル及びゲインを調整する方法の詳細を示す図であり、図12は、本発明の好適な実施形態に係る平坦化された透過性を提供する方法を示す図である。)

[0066] Referring to FIG. 6, in step 310, the correction processing part 130 receives compensation reference value (i.e. gain and level settings) as input from the user and stores them. The user may input compensation reference value by selecting compensation standards from various compensation standard options, or may freely input compensation reference value for individual categories.
(訳:[0066]図6を参照すると、ステップ310では、補正処理部130は、利用者から入力された補償基準値(ゲインおよびレベル設定)を受け取って格納する。ユーザはさまざまな補償標準オプションから補償標準を選択することにより、補償基準値を入力してもよいし、各カテゴリの補償基準値を自由に入力できる。)

[0067] The pixel value analysis part 210 in step 320 receives from the sensor 110 digital image signals corresponding to a white image, which is from photographing a white area. The digital image signals inputted in step 320 corresponding to a white image has shading image properties, where the farther away a point is from the center of the photograph plane, the darker it becomes, due to the geometric characteristics of the lens (see 610 of FIG. 7).
(訳:[0067]ステップ320で画素値解析部210は、白色領域の撮影からの白画像に相当するデジタル画像信号をセンサ110から受信する。白画像に相当する、ステップ320において入力されたデジタル画像信号は、シェーディング画像特性を有する。ここで、シェーディング画像特性は、撮影面の中心から離れているほど、暗くなるものであり、レンズの幾何学的特性(図7の610を参照)によるものである。)

[0068] The pixel value analysis part 210 in step 330 analyzes the center position of the shading image using digital image signals received per line, analyzes the luminance value, gain value, and level value for each pixel, and generates analysis data.
(訳:[0068]ステップ330で画素値解析部210では1ラインごとに受信したデジタル画像信号を用いて、シェーディング画像の中心位置を解析して、各画素の輝度値、ゲイン値及びレベル値を解析し、解析データを生成する。)

[0069] The pixel value analysis part 210 or the table generator part 220 in step 340 uses the analysis data and compensation reference value to generate compensation values for each pixel or for each line. Also, the generated compensation values and/or analysis data are stored in the correction register table 135. As described above, the compensation values are stored to be coupled with the count numbers corresponding to the digital image signals inputted from the horizontal and vertical directions.
(訳:[0069]ステップ340で画素値解析部210又はテーブル生成部220は、各画素あるいはライン毎に補償値を生成するために、解析データと補償基準値を用いる。また、生成された補償値および/または分析データは補正レジスタテーブル135に記憶される。以上説明したように、補償値は、水平方向と垂直方向から入力されたデジタル画像信号に対応したカウント数と結合するように記憶されている。)

[0070] In step 350, the pixel position calculator part 230 uses the count numbers, which indicate the position of each pixel, to calculate the distance between each pixel and the center pixel.
(訳:[0070]ステップ350では、画素位置計算部230は、各画素と中心画素との距離を算出するために、各画素の位置を示すカウント数を用いる。)

[0071] In step 360, the compensation curve generator part 240 extracts a table entry from the correction register table 135 stored to be coupled with a count number (for example, the compensation values of the starting and ending positions of the block in which the pixel is located) and calculates the compensation value corresponding to the pixel. As illustrated in FIG. 8, if the pixel to be corrected is located in block C, the compensation curve generator part 240 extracts the table entry for the starting position of block C (i.e. compensation value a) and the table entry for the ending position of block C (i.e. compensation value b) from the correction register table 135. Then, after generating a linear equation by connecting the two extracted compensation values with a straight line, the value of the linear equation corresponding to the distance of the pixel is determined as the compensation value. In calculating the compensation value, either course may be applied of making the image brighter or darker. That is, since the user may change the table entries to result either a positive or negative slope, an image with a brighter or darker perimeter may be created.
(訳:[0071]ステップ360では、補償カーブ生成部240は、カウント数(例えば、ピクセルが位置しているブロックの開始位置および終了位置の補償値)と結合するように記憶されている補正レジスタテーブル135からテーブルエントリを抽出し、この画素に対応する補償値を算出する。図8に示すように、補正対象画素は、ブロックCに位置する場合、補償カーブ生成部240は、補正レジスタテーブル135からブロックCの開始位置のテーブルエントリ(すなわち補償値a)とブロックCの終了位置のテーブルエントリ(すなわち補償値b)を抽出する。そして、抽出した2補償値を直線で結ぶことで1次方程式を生成した後、画素の距離に対応する1次方程式の値を補償値として決定する。補償値を算出する際に、いずれかの過程は、画像を明るく又は暗くするように適用することができる。すなわち、ユーザは、正または負の傾きを生じるテーブルエントリを変更することができるため、より明るいまたは暗い周囲の画像を作成することができる。)

[0073] Then, in step 370, the correction execution part 250 aggregates the analysis data of step 330 and the calculated compensation values of step 360 to generate correction pixel data, and proceeds to step 380, where it transfers the generated correction pixel data to the interpolation processing part 140.
(訳:[0073]続いてステップ370では、補正画素データを生成するために、補正実行部250が、ステップ330の解析データと、ステップ360の算出した補償値とを統合し、ステップ380に進んで、生成された補正画素データを補間処理部140に出力する。)

[0074] Although it is not shown in FIG. 6, it is obvious that steps 350 to 370 may be repeated for all pixels within the frame.
(訳:[0074]図6には示されていないが、ステップ350から370は、フレーム内の全ての画素に対して繰り返すことができることは明らかである。)」





(イ-2)引用文献1に記載された発明
段落[0047]によると、『撮像装置は、センサ、画像処理部と、表示部とを備えている』。
段落[0048]によると、『センサは、CFA(カラーフィルタアレイ)とA/D変換器とを備えている』。
段落[0049]によると、『CFAは、被写体の光信号を出力する電子信号に変換し、CFAは、ベイヤーパターンを用い、Rパターンに対応付けられた画素から出力されるRデータのみを有する画像信号、Gパターンに対応付けられた画素から出力されるGデータのみを有する画像信号と、Bパターンに対応付けられた画素から出力されるBデータのみを有する画像信号を出力する』。
段落[0050]によると、A/D変換器は、CFAにより変換された画像信号をデジタル信号に変換して補正処理部へ転送する。補正処理部は、画像処理部に備えられている(段落[0051])から、『A/D変換器は、CFAにより変換された画像信号をデジタル信号に変換して画像処理部へ転送する』ものといえる。
段落[0051]によると、『画像処理部は、補正処理部、補正レジスタテーブル、補間処理部を備えている』。
段落[0052]によると、補正処理部は、各画像信号を解析し、所定の方法で補正された元画像信号を補間処理部に供給し、段落[0064]によると、シェージング現象を除去した補正画像は,補間処理部に転送されるから、『補正処理部は、各画像信号を解析し、所定の方法で補正され、シェージング現象を除去した補正画像を補間処理部に供給する』。
段落[0062]によると、画素と中心画素との間の距離は、ブロックとしてグループ化され、段落[0061]によると、補正レジスタテーブルは、ブロックの開始位置および終了位置に対応した補償値を記憶するから、『補正レジスタテーブルは、画素と中心画素との間の距離がグループ化されたブロックの開始位置および終了位置に対応した補償値を記憶するものである』。
段落[0054]によると、『補間処理部は、補間演算を行い、各ピクセルのRGB画素信号を生成する』。
図3をみると、画像処理部125からの信号が表示部180に入力されているから、『表示部は、画像処理部からの信号を表示する』ものと認められる。
段落[0070]、[0071]によると、補正対象画素の位置から対応するブロックを特定し、補正レジスタテーブルから、当該ブロックの開始位置の補償値及び当該ブロックの終了位置の補償値を抽出し、2補償値を直線で結ぶことで1次方程式を生成した後、画素の距離に対応する1次方程式の値を補償値として決定し、段落[0073]によると、画素値と補償値とを統合して、補正画素データとするから、『補正処理部の補正は、補正対象画素の位置から対応するブロックを特定し、補正レジスタテーブルから、当該ブロックの開始位置の補償値及び当該ブロックの終了位置の補償値を抽出し、2補償値を直線で結ぶことで1次方程式を生成した後、画素の距離に対応する1次方程式の値を補償値として決定し、画素値と補償値とを統合して、補正画素データとする』ものである。

以上まとめると、引用文献1には、次の「撮像装置」が記載されていると認められる。

「センサ、画像処理部、表示部を備えている撮像装置であって、
前記センサは、CFA(カラーフィルタアレイ)とA/D変換器とを備え、
前記CFAは、被写体の光信号を出力する電子信号に変換し、前記CFAは、ベイヤーパターンを用い、Rパターンに対応付けられた画素から出力されるRデータのみを有する画像信号、Gパターンに対応付けられた画素から出力されるGデータのみを有する画像信号と、Bパターンに対応付けられた画素から出力されるBデータのみを有する画像信号を出力し、
前記A/D変換器は、CFAにより変換された画像信号をデジタル信号に変換して前記画像処理部へ転送し、
前記画像処理部は、補正処理部、補正レジスタテーブル、補間処理部を備え、
前記補正処理部は、各画像信号を解析し、所定の方法で補正され、シェーディング現象が除去された補正画像を補間処理部に供給し、
前記補正レジスタテーブルは、画素と中心画素との間の距離がグループ化されたブロックの開始位置および終了位置に対応した補償値を記憶するものであり、
前記補間処理部は、補間演算を行い、各ピクセルのRGB画素信号を生成し、
前記表示部は、前記画像処理部からの信号を表示し、
前記補正処理部の補正は、補正対象画素の位置から対応するブロックを特定し、補正レジスタテーブルから、当該ブロックの開始位置の補償値及び当該ブロックの終了位置の補償値を抽出し、2補償値を直線で結ぶことで1次方程式を生成した後、画素の距離に対応する1次方程式の値を補償値として決定し、画素値と補償値とを統合して、補正画素データとする、
撮像装置。」

上記撮像装置のうち、センサと画像処理部は、表示部にシェーディング現象が除去された画像を表示するものであるから、シェーディング補正装置といえる。また、画像処理部からの表示装置に送られる画像は、1つの画像に統合された画像といえ、当該画像を画像処理部が作成しているといえる。
したがって、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を「引用発明1」という。

(引用発明1)
「(a)センサ、画像処理部を備えているシェーディング補正装置であって、
(b)前記センサは、CFA(カラーフィルタアレイ)とA/D変換器とを備え、
(c)前記CFAは、被写体の光信号を出力する電子信号に変換し、前記CFAは、ベイヤーパターンを用い、Rパターンに対応付けられた画素から出力されるRデータのみを有する画像信号、Gパターンに対応付けられた画素から出力されるGデータのみを有する画像信号と、Bパターンに対応付けられた画素から出力されるBデータのみを有する画像信号を出力し、
(d)前記A/D変換器は、CFAにより変換された画像信号をデジタル信号に変換して前記画像処理部へ転送し、
(e)前記画像処理部は、補正処理部、補正レジスタテーブル、補間処理部を備え、
(f)前記補正処理部は、各画像信号を解析し、所定の方法で補正され、シェーディング現象が除去された補正画像を補間処理部に供給し、
(g)前記補正レジスタテーブルは、画素と中心画素との間の距離がグループ化されたブロックの開始位置および終了位置に対応した補償値を記憶するものであり、
(h)前記補間処理部は、補間演算を行い、各ピクセルのRGB画素信号を生成し、
(i)前記補正処理部の補正は、補正対象画素の位置から対応するブロックを特定し、補正レジスタテーブルから、当該ブロックの開始位置の補償値及び当該ブロックの終了位置の補償値を抽出し、2補償値を直線で結ぶことで1次方程式を生成した後、画素の距離に対応する1次方程式の値を補償値として決定し、画素値と補償値とを統合して、補正画素データとし、
(j)前記画像処理部は、表示部で表示できるように、統合された画像を作成する、
(k)シェーディング補正装置。」

なお、(a)?(k)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。

(ウ)対比
補正発明1と引用発明1とを対比する。

(ウ-1)構成要件Aと構成b、cにおける「CFA」とを対比する。
構成b、cにおける「CFA(カラーフィルタアレイ)」は、「被写体の光信号を出力する電子信号に変換」する(構成c)から、構成要件Aの「画像を獲得する撮像素子」に相当する。
したがって、補正発明1と引用発明1とは、「画像を獲得する撮像素子」を含む点で一致する。

(ウ-2)構成要件Bと構成b、c、dとを対比する。
構成b、c、dによると、「センサ」は、被写体の光信号を変換し、デジタル信号を出力するものである。上記(ウ-1)のとおり、引用発明1は「画像を獲得する撮像素子」を含むものであり、撮像素子の出力をノイズ除去、利得制御等の画像処理することは技術常識であることを勘案すると、補正発明1と引用発明1とは、「獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部」を含む点で一致する。

(ウ-3)構成要件Cと構成b?iとを対比する。
構成cの「Rパターンに対応付けられた画素から出力されるRデータのみを有する画像信号」、「Gパターンに対応付けられた画素から出力されるGデータのみを有する画像信号」、「Bパターンに対応付けられた画素から出力されるBデータのみを有する画像信号」は、構成dにより、それぞれデジタル信号に変換され、画像処理部に転送されるから、画像処理部は、「前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Gチャネル画像、及びBチャネル画像に分離」するといえる。しかしながら、「Gチャネル画像」が、補正発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」であるのに対し、引用発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」でない点で相違する。
構成e?jによると、「画像処理部」は、統合された、シェーディング現象が除去された画像を作成するから、「レンズシェーディング補正部」といえる。また、構成e?g、iによると、「前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正値をそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正値を適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正」するといえ、さらに、構成h、jによると、「前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合する」ものといえる。
しかしながら、「補正値」が、補正発明1においては「補正ファクタ」であって、後記(ウ-4)のように、算出されるものであるのに対し、引用発明1においては、当該「補正ファクタ」でない点で相違する。
以上まとめると、補正発明1と引用発明1とは、「前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Gチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正値をそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正値を適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部」を含む点で共通する。
しかしながら、「Gチャネル画像」が、補正発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」であるのに対し、引用発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」でない点で相違する。
さらに、「補正値」が、補正発明1においては「補正ファクタ」であって、後記(ウ-4)のように、算出されるものであるのに対し、引用発明1においては、当該「補正ファクタ」でない点で相違する。

(ウ-4)構成要件Dと構成iとを対比する。
引用発明1は、
「各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像のうち画素値が最も高い点を探し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出」するものではなく、補正発明1と相違し、
それに伴い、引用発明1は、当該「補正ファクタ」を貯蔵し、当該「ファクタ」を乗じて各チャネル画像を補正するものではない点で、補正発明1と相違する。

(ウ-5)構成要件Eと構成kとを対比する。
引用発明1の「シェーディング補正装置」は、補正発明1の「レンズシェーディング補正装置」に相当する。
したがって、補正発明1と引用発明1とは、「レンズシェーディング補正装置」として一致する。

(ウ-6)以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像を獲得する撮像素子と、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Gチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された複数のチャネル画像に対して互いに異なる補正値をそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正値を適用して前記複数のチャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された複数のチャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含む、
レンズシェーディング補正装置。

(相違点1)
Gチャンネル画像が、補正発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」であるのに対し、引用発明1においては、「Grチャネル画像、Gbチャネル画像」ではない点

(相違点2)
レンズシェーディング補正部における「補正値」が、補正発明1においては「補正ファクタ」であって、「補正ファクタ」は、
「各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出」するものであり、
当該補正ファクタを貯蔵し、当該補正ファクタを乗じて各チャネル画像を補正するのに対し、
引用発明1においては、「補正値」が当該「補正ファクタ」でなく、それに伴い、当該補正ファクタを貯蔵し、当該補正ファクタを乗じて各チャネル画像を補正するものではない点

(エ)相違点の判断
相違点2について検討する。
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-55442号公報(上記引用文献2)、特開2007-36696号公報(上記引用文献3)、並びに上記引用文献4?6をみても、
「各チャネル画像を複数の円形セクタに分離し、
前記各チャネル画像のうち画素値が最も高い点を探し、
前記各チャネル画像の円形セクタ別平均画素値を探し、
補正ファクタ=(各チャネル画像の最も高い画素の画素値)/(セクタの平均画素値)により各セクタ別補正ファクタを算出」することは、開示されておらず、この構成が周知技術であるとも、自明なこととも認められない。
そうすると、引用発明1から出発して、補正発明1に到達することは、当業者が容易になし得たこととは認められない。

(オ)まとめ
以上のとおりであるから、補正発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
よって、本件補正の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

イ 補正発明2
(ア)補正発明2の分説
補正発明2を分説すると、次のとおりである。

「(A)画像を獲得する撮像素子と、
(B)獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
(C)前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含み、
(D2)前記レンズシェーディング補正部は、
前記各チャネル画像で複数のサンプル画素を決定し、
前記複数のサンプル画素の画素値を用いて2次元指数スプライン関数を前記各チャネル画像にフィッティングし、
前記各チャネル画像の輝度値分布を算出し、
前記2次元指数スプライン関数に基づいて各チャネル画像に適用される補正ファクタを算出し、
前記算出した補正ファクタを適用して前記各チャネル画像に対してレンズシェーディング補正を行い、
前記行われたレンズシェーディング補正に対する適正性を判断し、
前記行われたレンズシェーディング補正が適正でない場合、前記指数スプライン関数の係数及び次数を調整して前記補正ファクタを再算出し、
最終的に算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する、
(E)レンズシェーディング補正装置。」

((A)?(E)は、当審で付与した。補正発明1と同じ構成要件には同じ記号を付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(イ)引用文献の記載事項および引用文献に記載された発明
(イ-1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5:特開2010-252325号公報(上記引用文献5)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0035】
[049]図4及び図6を参照する。フローチャート400及び600は、本発明の種々の実施形態により使用される例示の機能を示している。フローチャート400及び600には、特定の機能ブロック(「ブロック」)が示されているが、このようなステップは、例である。即ち、実施形態は、種々な他のブロック又はフローチャート400及び600に示されたブロックの種々な変形を行うことにも、十分に適合し得るものである。フローチャート400及び600におけるブロックは、提示したもの以外の異なる順序において行うことができ、また、フローチャート400及び600におけるブロックの全てを行わなくてもよいことは、理解されよう。
【0036】
[050]図4は、例えば、レンズシェーディング効果を補正するために使用されるカラー特定ベジエパッチを生成するように、画像信号プロセッサを校正するための例示のコンピュータ制御プロセスのフローチャートを示している。フローチャート400のプロセスは、各カラーチャネル及び種々の照明状態、例えば、色温度について画像補正を校正するために使用し得る。校正は、カラーチャネルごとに行われることは、理解されよう。何故ならば、光の各カラーに対するレンズ(例えば、レンズ200)による影響(例えば、曲がり)は、種々異なるからである。フローチャート400のプロセスは、複数の制御点のセットを求め得る。制御点のセットは、校正表面を画成し、画像データを補正する際に画像信号プロセッサによって使用されるよう使用可能である。例えば、ベイヤーフィルタ構成の場合には、赤、緑1、緑2及び青チャネルの各々に対して、対応の校正表面が求められる。前述の4個の校正表面の各々は、又、所定の色温度に対して特定のものであり得る。これら校正又は補正表面は、各々、ベジエ表面の複数のパッチである。これらデータは、レンズシェーディング効果を補正するための逆数値を表している。
【0037】
[051]ブロック402において、所定の色温度の光が、均一な輝度フィールドからレンズへ加えられる。一実施形態では、所定の色温度の特定の光源(例えば、蛍光、タングステン及び昼光)が選択されて、均一なフィールドが照明される。
【0038】
[052]ブロック404において、光は、所定のセンサチャネル用のデジタル光センサでサンプリングされる。デジタル光センサは、任意の設計のものであってもよく、例えば、相捕型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ又は電荷結合素子(CCD)であってもよい。受け取られた光は、レンズ(例えば、レンズ200)及び/又はカラーフィルタアレイ(例えば、カラーフィルタアレイ300)を通過した後に影響(曲がり)を受けていることがあることが理解されよう。従って、センサにわたった輝度の分布は、例えば、レンズシェーディング効果のため、均一ではない。
【0039】
[053]ブロック406において、センサの値及びその逆数値が均一なフィールド、例えば、1を生ずるように、各センサ位置についての複数の逆数値が求められる。換言すると、それら複数の逆数値は、当該逆数値が各位置(例えば、ピクセル)に加えられる(例えば、乗算される)と、その結果が、特定のカラー、例えば、チャネルのカラーセンサのみについて各パスでフラットフィールドとなるように、均一なフィールドの画像値に基づいて求められる。
【0040】
[054]ブロック408において、現在のチャネルについて、複数の制御点が求められる。一実施形態では、それら制御点は、複数の逆数値に基づいてスプライン表面を画成する。表面又は「逆表面」は、センサからの値で乗算されるときに、センサの値が平坦化されて、元のフラットフィールドが得られるようにするように生成される。逆表面は、画像を補正するために使用されるように使用可能である。例えば、逆表面は、光がレンズ(例えば、レンズ200)、不完全形状のレンズ(例えば、レンズ222)又はカラーフィルタアレイ(例えば、カラーフィルタアレイ300)に入るときの、当該光の曲がりを補償することができる。複数の制御点は、チャネルごと(例えば、カラーチャネルごと)に決定することができる。複数の制御点は、更に、光源(例えば、蛍光、昼光又は白熱光)の色温度に基づいて照明タイプごとに決定することができる。複数の制御点は、あるより高次の表面の圧縮形を表していることが、理解されよう。
【0041】
[055]一実施形態では、逆表面は、多くのパッチで構成されるベジエ表面である。一実施形態では、複数の制御点は、バイキュービックベジエ表面用の制御点である。ベジエ表面の決定は、一連の線形解釈によって決定することができる。ベジエ表面の使用は、多くの望ましい特性を有することが理解されよう。例えば、制御点がスケーリングされるか又はアフィン変換が適用される場合には、その効果は、変換を表面に適用するのと同じとなり、直観的でありで且つ計算上も安定な態様で、表面に対する変化が生ずる。高次多項式の場合と比べると、このような変換を適用すると、不自然で非直観的知覚変化となってしまうであろう。さらに、ベジエ表面は、分離できる表面であり、このことは、2次元計算を2つの1次元計算として解くことができ、ハードウエアの再使用が可能となることを意味している。
【0042】
[056]さらに、ベジエ表面及び他のスプライン表面は、凸包特性を示し、このことは、その表面が有界であることを意味している。従って、本発明の実施形態は、固定精度回路を使用してハードウエア実装するのにも十分に適合し得るものである。スプライン(例えば、ベジエ表面)の使用により、高次多項式に伴う問題(例えば、数的不安定性及び計算費用の掛かること)を解消することができることが、理解されよう。
【0043】
[057]一実施形態では、ベジエ表面は、複数のベジエパッチを含むことができる。より詳細には、ベジエ表面は、複数のパッチに分割することができる。例えば、赤、緑1、緑2及び青の各チャネル当たり9個のパッチのベジエ表面が、各照明タイプに対して求められ得る。パッチの数は、変更されてもよく、設定可能なオプションである。各パッチは、複数の制御点により画成される。例えば、キュービックベジエ表面の場合には、パッチ当たり16個の制御点が存在し得る。
【0044】
[058]一実施形態では、制御点は、内部境界パッチを共有する。即ち、制御点の一部は、1つのベジエパッチの境界内に存在する。境界上の制御点の位置は、パッチを継ぎ目無しに接合できるようする。境界に制御点を有することにより、制御点の全数を減ずることができることが、理解されよう。各カラーチャネル及び各照明タイプに対して、ベジエ表面及びパッチのセットを決定することができる。例えば、制御境界に制御点を共有することにより、各パッチが16個の制御点を有しており、各カラーチャネルに対して9個のパッチをもつセットの場合には、100個の制御点がもたらされ得る。本発明の実施形態によれば、任意の次数のベジエパッチを求めて、使用することができることが、理解されよう。
【0045】
[059]パッチの境界は、センサ表面に亘って間隔を変えて配置することができることは、理解されよう。例えば、境界は、表面が実質的に一様でない区域がその表面の形状をより良好に反映するようにより多くの制御点を有するよう、その表面に従って移動することができる。別の例として、境界は、特に一様でないレンズの特定の区域に対応するように選択することができる。
【0046】
[060]図4のブロック409において、完成されたベジエ表面が、後に使用するため記憶される。
【0047】
[061]ブロック410で、別のカラーチャネルが選択される。次いで、ブロック406が行われ、選択されたチャネルに対する複数の逆数値が計算される等する。
【0048】
[062]ブロック412で、異なる色温度ソースが選択され、プロセスがブロック404に戻って続けられる。例えば、昼光、タングステン、蛍光等の3つの色温度が使用されており、また、例えば、赤、緑1、緑2及び青の4つのカラーが使用されている場合には、プロセス400は、(1つの実施例では)各々が100個の制御点を有し且つパッチ当たり16個の制御点を有する9個のパッチを有する12個の異なるベジエ表面を定める。」

「【0049】
[063]図5は、本発明の種々な実施形態によって使用される例示の構成要素を示している。システム500においては、特定の構成要素が示されているが、このような構成要素は、例であることを理解されたい。即ち、本発明の実施形態は、種々の他の構成要素又はシステム500において示した構成要素の変形であっても、十分に適合しうるものである。システム500における構成要素は、提示した以外の他の構成要素であっても動作できるものであり、また、システム500の構成要素の全てを必要とせずとも、システム500の目的を達成することができることも、理解されよう。
【0050】
[064]図5は、本発明の一実施形態による例示のシステムのブロック図を示している。システム500は、センサ502、処理ユニット504、チャネルセレクタ506及びメモリ508を含んでいる。システム500は、センサ502を介して受けとられる画像情報を補正することができる。システム500は、補正された画像512を生成する。
【0051】
[065]メモリ508は、チャネル補正情報510を含み得る。チャネル補正情報510は、複数の光源の各々に対して複数のカラーチャネルの各々についての補正情報を含み得る。チャネル及び照明補正情報は、これに限定されないが、ベジエスプライン、エルミートスプライン、キュービックエルミートスプライン、コカネック(kochanek)-バーテルズスプライン、多高調波スプライン、パーフェクトスプライン、平滑化スプライン及びシンプレートスプラインを含む種々なスプラインに基づき得ることが、理解されよう。
【0052】
[066]光センサ502は、光情報をキャプチャするように動作可能なアレイである。この光センサ502は、相捕型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ又は電荷結合素子(CCD)であってよい。光センサ502は、画像信号データとしてキャプチャされた画像情報を処理ユニット504へ送る。チャネルセレクタ506は、処理ユニット504が受け取る画像信号のカラーチャネルを選択する。例えば、チャネルセレクタ506は、処理ユニット504により受け取られるよう画像データの赤カラーチャネルを選択することができる。
【0053】
[067]一実施形態では、処理ユニット504は、画像信号プロセッサ(例えば、ISP104)であってもよい。別の実施形態では、処理ユニット504は、プログラム可能なデバイスであってもよい。処理ユニット504は、順序付けされたフォーマット(例えば、走査線順)に画像信号データを受け取るよう動作可能であり、更に、逆表面を反映する複数の値に基づいて画像を補正するために画像信号データを処理するよう動作可能である。処理ユニット504は、光が光センサ502へ進むときの当該光に対する種々の歪み効果(例えば、光がレンズを通過するときの曲がり)を適用時に補正する逆表面に基づいて、画像データを補正し得る。本明細書で説明するように、逆表面は、ベジエ表面であってもよい。ベジエ表面は、複数のベジエパッチを含むことができ、それら複数のベジエパッチは、それらの境界に1つ以上の制御点を有し得る。一実施形態では、処理ユニット504は、カラーチャネル及び光源ごとに、画像データを補正する。
【0054】
[068]一実施態様では、処理ユニット504は、画像データが順序付けされたフォーマットにて受け取られることを利用する。より詳細には、処理ユニット504は、前の点からの距離及びその逆表面がどのくらい変化しているかを求めることにより、各位置(例えば、ピクセル)で逆表面を再評価することを避けることにより、順序付けされたフォーマットを利用することができる。従って、本発明の実施形態は、到来するデータのコヒーレンシーを利用する。」

「【0055】
[069]図6は、本発明の一実施形態による画像信号処理のための例示のコンピュータ制御プロセスのフローチャートを示している。このフローチャート600のプロセスは、ISP(例えば、ISP104又はシステム500の処理ユニット504)によって行うことができる。フローチャート600のプロセスは、ハードウエア又はソフトウエアにて実施することができる。一実施形態では、フローチャート600のブロックは、ISPパイプラインにおいて早期に行うことができ、フラットフィールド画像データを後の処理ステップへ与えることができる。
【0056】
[070]ブロック602において、画像データがセンサアレイから受け取られる。一実施形態では、画像データは、光画像センサから受け取られ、当該画像データは、1つ以上のカラーチャネル(例えば、赤、緑、青)に対するデータを含む。本明細書で説明するように、光センサは、相捕型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ又は電荷結合素子(CCD)センサであってもよい。本発明の実施形態は、使用されるセンサタイプとは無関係に画像データを補正することができることが、理解されよう。
【0057】
[071]ブロック604において、光源の色温度が検出される。本明細書で説明するように、色温度は、蛍光、タングステン及び昼光を含み得る。
【0058】
[072]ブロック606において、所定のカラーチャネルのデータが選択される。ここに説明するように、カラーチャネルは、赤、緑1、緑2、又は青カラーチャネルであることができる。
【0059】
[073]ブロック608において、所定のカラー及び検出された色温度に対するベジエパッチアレイにアクセスする。一実施形態では、ベジエパッチアレイは、レンズシェーディング及びその他の影響を補償するのに使用可能な表面の複数の制御点を含む。例えば、これら制御点は、不完全形状のレンズ(例えば、レンズ222)を通して受け取られる画像データを補正するための逆表面に対応し得る。一実施形態では、ベジエパッチアレイは、1つ以上のバイキュービックベジエパッチを含み得る。本明細書で説明するように、ベジエパッチアレイは、100個の制御点を含み得る。さらに、それら制御点の一部は、ベジエパッチの境界に位置し得る。より詳細には、ベジエパッチアレイは、各カラーチャネル用のベジエ表面及び各照明タイプ(例えば、タングステン、蛍光又は昼光)用のベジエ表面を含み得る。
【0060】
[074]ブロック606において、ベジエパッチアレイを所定のカラーの画像データに適用して、補正された画像データを生成する。ベジエパッチアレイは、レンズ(例えば、レンズ200又はカラーフィルタアレイ300)によって曲げられた画像フィールドを平坦化するために使用される。本明細書で説明するように、ベジエパッチは、カラーチャネル及び照明ごとに画像データを補正するために使用できる。例えば、X及びY座標を有するピクセルの赤チャネルに対する画像データは、ベジエパッチアレイで補正することができる。ベジエパッチの逆数値が、赤チャネルにおける対応する点に対するフラットフィールド値を得るため、赤チャネル値と乗算される。次いで、他のチャネルに対する画像データが、その対応するチャネルに対するベジエ表面で、実質的に同様の方法で処理される。
【0061】
[075]ブロック612において、処理すべきカラーチャネルが更にあるか否かのチェックが行われる。処理すべきカラーチャネルが更にある場合には、ブロック614が行われる。ブロック614において、次のカラーチャネルが、処理用に選択される

【0062】
[076]処理すべき更なるカラーチャネルがない場合には、ブロック616が行われる。ブロック616において、(例えば、付加的な処理のためにISPパイプラインへ)補正された画像データが与えられる。」

(イ-2)引用文献5に記載された発明
引用文献5に記載された「システム」は、「センサ」、「処理ユニット」、「メモリ」を含み、補正された画像を生成する(段落【0050】)。
段落【0053】、【0058】、【0046】によると、「処理ユニット」は、センサからの画像信号データを受け取り、メモリに記憶された、赤、緑1、緑2、青のカラーチャネルごとの、歪み効果を補正する、複数のベジエパッチを含むベジエ表面に基づいて、画像データを補正する。
段落【0036】?【0048】によると、メモリは、赤、緑1、緑2、青チャネルの各々に対して、均一な輝度フィールドからの光を受けたセンサの値が、均一のフィールドになるように、複数のベジエパッチを含むベジエ表面を記憶する。

以上より、引用文献5には、次の発明が記載されていると認められる。以下、この発明を「引用発明2」という。

(引用発明2)
「(a2)センサ、処理ユニット、メモリを含み、補正された画像を生成するシステムであって、
(b2)前記処理ユニットは、センサからの画像信号データを受け取り、メモリに記憶された、赤、緑1、緑2、青のカラーチャネルごとの、歪み効果を補正する、複数のベジエパッチを含むベジエ表面に基づいて、画像データを補正し、
(c2)前記メモリは、赤、緑1、緑2、青チャネルの各々に対して、均一な輝度フィールドからの光を受けたセンサの値が、均一のフィールドになるように、複数のベジエパッチを含むベジエ表面を記憶する、
(d2)システム。」

なお、(a2)?(d2)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a2」等という。

(ウ)対比
補正発明2と引用発明2とを対比する。

(ウ-1)構成要件A、Bと構成a2、b2における「センサ」とを対比する。
引用発明2の「センサ」は、画像信号データを処理ユニットに出力するもの(構成b2)であって、「画像を獲得する撮像素子」を含むことは明らかである。そして、撮像素子の出力をノイズ除去、利得制御等の画像処理することは技術常識であることを勘案すると、補正発明2と引用発明2とは、「画像を獲得する撮像素子」、「獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部」を含む点で一致する。

(ウ-2)構成要件Cと構成c2とを対比する。
構成c2は、「前記処理ユニットは、センサからの画像信号データを受け取り、メモリに記憶された、赤、緑1、緑2、青のカラーチャネルごとの、歪み効果を補正する、複数のベジエパッチを含むベジエ表面に基づいて、画像データを補正」するものであるから、「前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正」する点で、構成要件Cと共通する。
そして、引用発明2は、「補正された画像を生成する」から、「前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合する」といえる。
したがって、補正発明2と引用発明2とは、「前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合する」手段を含む点で共通する。
そして、当該手段は、レンズシェーディングを補正するから、「レンズシェーディング補正部」といえる。
よって、補正発明2と引用発明2とは、「前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部」を含む点で一致する。

(ウ-3)構成要件D2について
引用発明2における「レンズシェーディング補正部」に相当する構成は、構成要件D2の構成を有しておらず、補正発明2と相違する。

(ウ-4)構成要件Eと構成d2とを対比する。
引用発明2は、上記(ウ-2)のとおり、「シェーディング補正部」を含んでいるから、「レンズシェーディング補正装置」といえる。
したがって、補正発明2と引用発明2とは、「レンズシェーディング補正装置」として一致する。

(ウ-5)以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像を獲得する撮像素子と、
獲得された画像に所定の画像処理を行って伝達する撮像部と、
前記撮像部から受信された画像をRチャネル画像、Grチャネル画像、Gbチャネル画像及びBチャネル画像に分離し、前記分離された各チャネル画像に対して互いに異なる補正ファクタをそれぞれ決定し、前記それぞれ決定された補正ファクタを適用して前記各チャネル画像をそれぞれ補正し、前記それぞれ補正された各チャネル画像を一つの画像に統合するレンズシェーディング補正部と、を含む、
レンズシェーディング補正装置。

(相違点)
「レンズシェーディング補正部」が、補正発明2においては、
「前記各チャネル画像で複数のサンプル画素を決定し、
前記複数のサンプル画素の画素値を用いて2次元指数スプライン関数を前記各チャネル画像にフィッティングし、
前記各チャネル画像の輝度値分布を算出し、
前記2次元指数スプライン関数に基づいて各チャネル画像に適用される補正ファクタを算出し、
前記算出した補正ファクタを適用して前記各チャネル画像に対してレンズシェーディング補正を行い、
前記行われたレンズシェーディング補正に対する適正性を判断し、
前記行われたレンズシェーディング補正が適正でない場合、前記指数スプライン関数の係数及び次数を調整して前記補正ファクタを再算出し、
最終的に算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する」のに対し、引用発明2は、当該構成を有していない点

(エ)相違点の判断
原査定の拒絶の理由に引用された他の引用文献や、前置報告書において引用された国際公開2007/129444号、特開2004-178189号公報、特表2008-536567号公報をみても、
「前記各チャネル画像で複数のサンプル画素を決定し、
前記複数のサンプル画素の画素値を用いて2次元指数スプライン関数を前記各チャネル画像にフィッティングし、
前記各チャネル画像の輝度値分布を算出し、
前記2次元指数スプライン関数に基づいて各チャネル画像に適用される補正ファクタを算出し、
前記算出した補正ファクタを適用して前記各チャネル画像に対してレンズシェーディング補正を行い、
前記行われたレンズシェーディング補正に対する適正性を判断し、
前記行われたレンズシェーディング補正が適正でない場合、前記指数スプライン関数の係数及び次数を調整して前記補正ファクタを再算出し、
最終的に算出された補正ファクタを各チャネル画像に乗じて前記各チャネル画像を補正する」ことは、開示されておらず、この構成が周知技術であるとも、自明なこととも認められない。
そうすると、引用発明2から出発して、補正発明2に到達することは、当業者が容易になし得たこととは認められない。

(オ)まとめ
以上のとおりであるから、補正発明2は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
よって、本件補正の請求項2に係る補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

(3)むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?2に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものである。以下、本願の請求項1?2に係る発明を請求項の項番を用いて「本願発明1」等という。
そして、上記第2の2のとおり、本願発明1は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明できたものではなく、本願発明2は、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-23 
出願番号 特願2011-175218(P2011-175218)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村山 絢子▲徳▼田 賢二  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
冨田 高史
発明の名称 レンズシェーディング補正ファクタの算出方法及びそれを用いたレンズシェーディング補正方法及び装置  
代理人 南山 知広  
代理人 鶴田 準一  
代理人 中村 健一  
代理人 河合 章  
代理人 青木 篤  

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