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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B
管理番号 1326460
審判番号 不服2016-3983  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2017-04-11 
事件の表示 特願2012- 79636「光電式分離型感知器および光電式分離型感知器の光軸調整方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月10日出願公開、特開2013-210761、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月30日の出願であって、平成26年5月27日に手続補正がされ、平成27年3月26日付けで拒絶理由が通知され、同年5月26日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、同年11月30日付け(発送日:同年12月15日)で拒絶査定(以下、「原査定」という)がされ、これに対し、平成28年3月15日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、同年11月17日に上申書が提出され、その後、当審において同年12月12日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という)が通知され、平成29年2月8日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成29年2月8日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明1」?「本願発明4」という)。
「【請求項1】
光軸調整機構部に配設されている発光素子と、
前記発光素子とは分離して配置され、前記光軸調整機構部により光軸調整された前記発光素子から投光された光線を受光する受光素子と、
前記受光素子による受光量の変化によって煙発生の有無を監視するコントローラと、
前記コントローラによる通常運転時および異常発生時における制御状態を表示可能とするために標準装備されている表示灯群と
を備えた光電式分離型感知器であって、
前記コントローラは、
調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モードにおいて、前記光軸調整機構部の操作に応じて変化する前記受光素子による受光量をサンプリングし、サンプリング結果から、前記受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が基準範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が基準範囲から低下した第3の状態を、それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用いて、前記表示灯群を介した識別表示を実行し、
前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定し、再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する
ことを特徴とする光電式分離型感知器。
【請求項2】
請求項1に記載の光電式分離型感知器において、
前記コントローラは、調整員による前記光軸調整機構部の操作が行われる前に、前記発光素子からの発光量を変化させ、変化させた前記発光量に対応する前記受光素子による受光量の計測結果に基づいて、光軸調整を開始するために適した所定の初期受光量が得られるように前記発光素子からの発光量を初期設定する
ことを特徴とする光電式分離型感知器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光電式分離型感知器において、
光軸調整完了を知らせるための完了ボタンをさらに備え、
前記コントローラは、調整員により前記完了ボタンが押された場合には、前記光軸調整機構部の操作により光軸調整が完了したと判断し、前記発光素子からの発光量を変化させ、変化させた前記発光量に対応する前記受光素子による受光量の計測結果に基づいて、光軸調整後の監視モードに適した所定の監視受光量が得られるように前記発光素子からの発光量を初期設定する
ことを特徴とする光電式分離型感知器。
【請求項4】
光軸調整機構部に配設されている発光素子と、
前記発光素子とは分離して配置され、前記光軸調整機構部により光軸調整された前記発光素子から投光された光線を受光する受光素子と、
前記受光素子による受光量の変化によって煙発生の有無を監視するコントローラと、
前記コントローラによる通常運転時および異常発生時における制御状態を表示可能とするために標準装備されている表示灯群と
を備えた光電式分離型感知器の光軸調整方法であって、
調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モードにおいて、コントローラにより実行されるステップとして、
前記光軸調整機構部の操作に応じて変化する前記受光素子による受光量をサンプリングするサンプリングステップと、
サンプリング結果から、前記受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が基準範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が基準範囲から低下した第3の状態のいずれであるかを識別する識別ステップと、
前記第1の状態、前記第2の状態、および前記第3の状態を区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用いて、前記表示灯群を介した識別表示を実行する第1表示ステップと、
前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定する再設定ステップと、
前記再設定ステップによる再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する第2表示ステップと
を備えることを特徴とする光電式分離型感知器の光軸調整方法。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願の、平成27年5月26日の手続補正により補正された請求項1?4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1.特開平11-304704号公報
刊行物2.特開平8-16951号公報
刊行物3.特開2004-246756号公報

本願の請求項1に係る発明において、通常運転時および異常発生時における制御状態や光軸調整モードにおける調整状態の表示を行う「表示灯群」は、あくまで、「表示灯群」であるから、当該「表示灯群」が単一のLED等からなり、制御状態を表示するものと調整状態を表示するものが同一であるとは、請求項の記載からは読み取れない。
刊行物1記載の発明において、調整状態の表示を行う表示部及びレベル表示部(以下、「表示部等」という。)に加えて、制御状態の表示を行う表示部等を有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、本願の請求項1に係る発明において、制御状態を表示する「表示灯群」と調整状態を表示する「表示灯群」が同一であるとしても、刊行物1記載の発明の表示部等は、受光量を表示するためのものであるから、当該表示部等を調整状態を表示するものとして用いるだけではなく、制御状態を表示するものとして流用することは、当業者が容易に想到し得るものである。

刊行物2(特に、段落【0056】等参照)には、光軸等の調整を終えた後、カバーを閉じることを検出して調整モードを終える技術が示されている。
上記刊行物1、2に記載された発明は、いずれも光電式分離型の煙感知器という同一の技術分野に属するものである。また、システム化されている以上、調整モードを終える契機が必要なのは言うまでもないから、例えば、上記刊行物2に記載された技術のように、調整者による動作を積極的に契機として使用する構成とすることに、格別の困難性はない。
その際、単なる自動化は、格別の困難性を伴うものではない。必要であれば、例えば、刊行物3等参照。当該刊行物3(特に、段落【0018】、図8等参照)には、光電式煙感知器の発光部を自動調整する技術が示されている。当該技術は、光電式分離型ではないが、発光部がパルス状に発光する点で機能が共通しており、発光強度の調整が重要であるという課題も共通している。

2 原査定の理由の判断
(1) 刊行物の記載事項
(1-1) 原査定の拒絶の理由において刊行物1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-304704号公報には、図面とともに次の事項が記載されている(以下「刊行物1に記載された事項」という)。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電式分離型感知器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光電式分離型感知器は、光を放射する送光部と、その放射光を受光する受光部を備え、光路上に火災の煙が侵入することによって受光部での受光量が減少することによって火災を検知するものである。図3乃至図6に光電式分離型感知器の一例を示す。図3において、送光部1は発光部と送光部レンズと送光部カバーとを備える。一方受光部5は図5(当審注:図4の誤記)に示すように受光素子と受光部レンズ6と受光部カバー7とを備える。送光部1と受光部5は図4(当審注:図3の誤記)に示すように所定の距離を隔てて対向するように設置される。また受光部5は火災受信機2に接続してあり、受光部5から電源供給線Lにより送光部1に電源が供給されている。」

イ 「【0018】本実施の形態では図1に示すように、送光部1と受光部5との光軸を調整する構成として、受光部5側に、受光量が適正であることの表示として発光ダイオード32と、不足していることの表示として発光ダイオード31と、過大であることの表示として発光ダイオード33とを有する表示部30を有している。更に、現在の受光量において光軸の微調整時に受光レベルの増減を表示するレベル表示部40として複数の発光ダイオード41,42,43,44,45,46とを有している。尚、発光ダイオード41と発光ダイオード46は、それぞれ不足、過大の表示と対応しており、これら不足、過大の範囲も若干は表示するようにしている。
【0019】前記表示部30及びレベル表示部40は、スイッチ(図示せず)により切り替えて必要な時に、いずれか一方を表示するようにしている。
【0020】あるいは、前記表示部30及びレベル表示部40での表示を、光軸調整時には双方とも表示しているようにしてもよい。
【0021】実際の光軸の調整時には、送光部1と受光部5の光軸を、視準部を利用しながら、調整ねじ4,…を用いて光軸調整をする。そして図示しないが、切り換えスイッチを用いて、「光量」に切り換えて、前記表示部30及びレベル表示部40が表示可能な状態にする。次に光量調整つまみ9を用いて電圧(光量)の補正を行う。その際に、表示部30の発光ダイオード31、発光ダイオード32と、発光ダイオード33のいずれかが点灯する。このとき、不足又は過大の発光ダイオード31,33である場合は、光軸調整をもう一度やり直す。
【0022】適正の発光ダイオード32である場合は、レベル表示部40を確認し、発光ダイオード41,42,43,44のいずれのレベルにあるか確認する。そして送光部1及び受光部5の光軸を上下左右に再度振らせてみる。光軸が若干ずれた状態である図7のb点の場合は、光軸が合う方向に調整すれば、表示部40でのレベルは上がり、また逆に光軸が合わない方向に調整してしまえば、表示部40でのレベルは下がる。また最初から光軸がぴったりあっていれば、どの方向に光軸を調整しても、そのレベルは下がることになる。この方法で厳密に光軸の調整を行うのである。最後に、もう一度、受光量が適正(表示)となるように、光量調整つまみ9で調整する。」

ウ 上記「イ」の「受光量が適正であることの表示として発光ダイオード32と、不足していることの表示として発光ダイオード31と、過大であることの表示として発光ダイオード33とを有する表示部30を有している。更に、現在の受光量において光軸の微調整時に受光レベルの増減を表示するレベル表示部40として複数の発光ダイオード41,42,43,44,45,46とを有している。」(段落【0018】)、及び「前記表示部30及びレベル表示部40は、スイッチ(図示せず)により切り替えて必要な時に、いずれか一方を表示するようにしている。」(段落【0019】)、並びに【図1】を参酌すれば、受光量が適正の状態、受光量が過大の状態、受光量が不足した状態で、それぞれ異なる発光ダイオード41?46を点灯させているといえる。

以上のことから、刊行物1には、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、「光電式分離型感知器」に関して、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「光軸調整をする送光部1に配設されている発光部と、
前記発光部とは分離して配置され、前記送光部1により光軸調整された前記発光部から投光された光線を受光する受光部5の受光素子と、
発光ダイオード41?46と
を備えた光電式分離型感知器であって、
送光部1の調整に基づいて前記発光部から投光される光線の軸調整を行う光軸の調整時において、前記送光部1の調整に応じて変化する前記受光部5の受光素子による受光量から、前記受光量が適正の状態、前記受光量が過大の状態、前記受光量が不足した状態を、それぞれ異なる発光ダイオード41?46を点灯させて、前記発光ダイオード41?46を介した識別表示を実行する、
光電式分離型感知器。」

(1-2) 原査定の拒絶の理由において刊行物2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-16951号公報には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「刊行物2に記載された事項」という)。

「【0056】発光素子53は、発光駆動回路52に駆動され、監視周期が1秒間隔の近赤外光を受光器1の受光素子54に対して発光する。こうして、監視周期が早くなり、光軸などの調整を行ってから、信号の変化が出てくるまでのタイムラグが生じることがなく、高所での調整を簡単に行うことができる。そして、ステップS8でカバー開閉検出スイッチ36がオンのとき、すなわち、カバー開閉検出スイッチ36からの閉検出信号により、ステップS17で監視周期を元に戻す。すなわち、監視周期変更部82は、監視周期を1秒から3秒に変更して、間欠的に信号を発光制御回路48に出力する。」

(1-3) 原査定の拒絶の理由において刊行物3として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-246756号公報には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「刊行物3に記載された事項」という)。

「【0018】
発光パルス幅制御部は、所定感度に対応した受光出力値を目標値とし、この目標値に一致するようにパルス信号のパルス幅を制御し、目標値に一致する受光出力が得られたときのパルス幅を所定感度の調整値として保持する。即ち、発光パルス幅制御部は、所定のパルス幅初期値をもつパルス信号により発光部を発光駆動させて検出した受光出力値と目標値とを比較し、目標値より小さい場合はパルス幅を増加させ、目標値より大きい場合はパルス幅を減少させることにより目標値に一致させ、目標値に一致したときのパルス幅を調整値とする。」

(2) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「光軸調整をする送光部1」は、本願発明1の「光軸調整機構部」に相当する。
以下同様に、「発光部」は、「発光素子」に、
「受光部5の受光素子」は、「受光素子」に、
「発光ダイオード41?46」は、「表示灯群」に、
「受光量が適正の状態」は、「受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態」に、
「受光量が過大の状態」は、「受光量が基準範囲から上昇した第2の状態」に、
「受光量が不足した状態」は、「受光量が基準範囲から低下した第3の状態」に、
「それぞれ異なる発光ダイオード41?46を点灯させ」ることは、「それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用い」ることに、それぞれ相当する。

引用発明において、光軸の調整は、人間、すなわち本願発明1でいうところの「調整員」が行うものものであるから、引用発明の「送光部1の調整に基づいて前記発光部から投光される光線の軸調整を行う光軸の調整時」は、本願発明1の「調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モード」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。
「光軸調整機構部に配設されている発光素子と、
前記発光素子とは分離して配置され、前記光軸調整機構部により光軸調整された前記発光素子から投光された光線を受光する受光素子と、
表示灯群と
を備えた光電式分離型感知器であって、
調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モードにおいて、前記光軸調整機構部の操作に応じて変化する前記受光素子による受光量から、前記受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が基準範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が基準範囲から低下した第3の状態を、それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用いて、前記表示灯群を介した識別表示を実行する、
光電式分離型感知器。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明1では、「前記受光素子による受光量の変化によって煙発生の有無を監視するコントローラ」を備え、
表示灯群が、「前記コントローラによる通常運転時および異常発生時における制御状態を表示可能とするために標準装備されている」もので、
「受光量をサンプリングし、サンプリング結果から」識別表示をし、
コントローラは、「前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定し、再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する」構成(以下、「構成a」という)を備えているのに対して、
引用発明では、かかるコントローラを備えているか否か、表示灯群がかかる標準装備されたものであるか否か、及び受光量をサンプリングしているか否かは明らかではなく、更に、上記構成aを備えていない点。

(3) 判断
上記相違点について検討する。
コントローラで、受光素子による受光量をサンプリングして煙発生の有無を監視し、異常発生時に表示可能とすることは、光電式分離型感知器が通常備えている構成である。
そうすると、上記相違点のうちで、「前記受光素子による受光量の変化によって煙発生の有無を監視するコントローラと、前記コントローラによる通常運転時および異常発生時における制御状態を表示可能とする」こと、及び「受光量をサンプリングし、サンプリング結果から」識別表示する点は、刊行物1に直接的な記載はないものの、引用発明も実質的に備えている構成である。

しかし、上記相違点のうちで、上記構成aについては、刊行物2に記載された事項、及び刊行物3に記載された事項の、いずれにも記載も示唆もされていない。
そうすると、たとえ引用発明に刊行物2に記載された事項、及び刊行物3に記載された事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではない。

(4) 小括
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項、及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願発明2及び本願発明3は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項、及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願発明4は、物の発明である本願発明1を、「光電式分離型感知器の光軸調整方法」という方法の発明としたもので、「前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定する再設定ステップと、前記再設定ステップによる再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する第2表示ステップ」との構成を備えており、この構成は、本願発明1の前記構成aを実質的に含むものである。
そうすると、本願発明4は、本願発明1と同様に、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項、及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
本願は、特許請求の範囲記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1) 請求項1、並びに請求項1を引用する請求項2及び3について
請求項1の「調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モードにおいて、前記光軸調整機構部の操作に応じて変化する前記受光素子による受光量をサンプリングし、サンプリング結果から、前記受光量が所定範囲内に収まっている場合、前記受光量が所定範囲から上昇した場合、前記受光量が所定範囲から低下した場合を、それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンにより前記表示灯群を介して識別表示するとともに」(以下「構成A」という。)との記載と、
請求項1の「前記光軸調整機構部の操作により前記受光量が前記所定範囲から上昇した場合において、前記受光量が最大値に向かって上昇していく状態と、前記最大値から離れる方向に低下していく状態とを、それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンにより前記表示灯群を介して識別表示する」(以下「構成B」という。)との記載の、相互の関係が明確でない。
また、上記構成Bの記載は、明確でなく、且つ発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない事項である。

(2) 請求項4について
「サンプリング結果から、前記受光量が所定範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が所定範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が所定範囲から低下した第3の状態のいずれであるかを識別する識別ステップと、前記第1の状態、前記第2の状態、および前記第3の状態を、区別可能な異なる点灯/点滅パターンにより前記表示灯群を介して識別表示する第1表示ステップ」(以下「構成A’」という。)との記載と、
「前記第2の状態において、前記受光量が最大値に向かって上昇していく状態と、前記最大値から離れる方向に低下していく状態とを、区別可能な異なる点灯/点滅パターンにより前記表示灯群を介して識別表示する第2表示ステップ」(以下「構成B’」という。)との記載の、相互の関係が明確でない。
また、上記構成B’の記載は、明確でなく、且つ発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない事項である。

2 当審拒絶理由の判断
(1) 平成29年2月8日の手続補正によって、請求項1の前記構成A及び構成Bの記載は、
「調整員による光軸調整機構部の操作に基づいて前記発光素子から投光される光線の軸調整を行う光軸調整モードにおいて、前記光軸調整機構部の操作に応じて変化する前記受光素子による受光量をサンプリングし、サンプリング結果から、前記受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が基準範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が基準範囲から低下した第3の状態を、それぞれ区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用いて、前記表示灯群を介した識別表示を実行し、
前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定し、再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する」と補正された。
これにより、補正後の請求項1?請求項3に係る発明(本願発明1?本願発明3)は、発明の詳細な説明に記載されたものとなるとともに、明確となった。
よって、当審拒絶理由の(1)は解消した。

(2) 平成29年2月8日の手続補正によって、請求項4の前記構成A’及び構成B’の記載は、
「サンプリング結果から、前記受光量が基準範囲内に収まっている第1の状態、前記受光量が基準範囲から上昇した第2の状態、前記受光量が基準範囲から低下した第3の状態のいずれであるかを識別する識別ステップと、
前記第1の状態、前記第2の状態、および前記第3の状態を区別可能な異なる点灯/点滅パターンを用いて、前記表示灯群を介した識別表示を実行する第1表示ステップと、
前記第2の状態において、前記受光量が基準範囲を上回るサンプリング結果が得られた場合には、当該サンプリング結果に基づいて基準範囲を再設定する再設定ステップと、
前記再設定ステップによる再設定後の基準範囲を用いて前記識別表示を実行する第2表示ステップ」と補正された。
これにより、補正後の請求項4に係る発明(本願発明4)は、発明の詳細な説明に記載されたものとなるとともに、明確となった。
よって、当審拒絶理由の(2)は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-28 
出願番号 特願2012-79636(P2012-79636)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G08B)
P 1 8・ 537- WY (G08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 二階堂 恭弘中木 努圓道 浩史西巻 正臣  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 中川 隆司
小関 峰夫
発明の名称 光電式分離型感知器および光電式分離型感知器の光軸調整方法  
代理人 梶並 順  
代理人 上田 俊一  
代理人 曾我 道治  
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