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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1326516
審判番号 不服2016-8242  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-03 
確定日 2017-04-11 
事件の表示 特願2012- 54223「支持枠付サスペンション用基板」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月19日出願公開、特開2013-186934、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月12日の出願であって、平成27年8月7日付けで拒絶理由が通知され、平成27年10月16日付けで手続補正がなされ、平成28年3月1日付けで拒絶査定(謄本送達日平成28年3月8日)がなされ、これに対して平成28年6月3日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成27年10月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
サスペンション用基板と、支持枠とを有し、前記支持枠の内部開口領域で前記サスペンション用基板および前記支持枠が一体化している支持枠付サスペンション用基板であって、
前記サスペンション用基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層とを有し、
前記配線層は端子部を有し、
複数の前記端子部の長手方向はそれぞれ前記サスペンション用基板の短手方向と一致し、かつ、前記複数の端子部は前記サスペンション用基板の長手方向に沿って並列配置され、
前記支持枠は、前記金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された前記絶縁層と、前記絶縁層上に形成された導体層とを有し、
前記内部開口領域に向って、前記支持枠から共通めっき線含有構造体が形成され、
前記共通めっき線含有構造体は、前記導体層から連続的に形成された共通めっき線部を有し、
前記共通めっき線部と前記複数の端子部とを接続するための接続用配線部が形成され、
前記接続用配線部に断線部が形成され、前記サスペンション用基板および前記共通めっき線含有構造体が分離していることを特徴とする支持枠付サスペンション用基板。」

第3 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は以下のとおりである。

この出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2011-170948号公報
2.米国特許第6348661号明細書(周知技術を例示する文献)
3.特開2006-49751号公報(周知技術を例示する文献)

また、請求項1に係る発明に対し、拒絶理由の備考として、「(「短手」は一般に用いられる表現ではないが,図面の開示等から、「サスペンション用基板の長手方向」に直交する方向をいうもの、すなわち一般に幅方向というべき方向を示すものと解釈する。)

文献1には図8や図10にみられるような連続した複数の基板を一の枠体に形成するものが示されている。
文献1の基板の積層構造は図4(b)などを参照すると、本願と一致する。
文献1の図8や図10にみられる配線14は本願の「接続用配線部」に相当し、外枠部21の導体層は本願の「共通めっき線部」に相当する。
そして、文献1の図10の開口16は、図9にあるように「Cut Line」により切断されるとあるところ、当該開口によって、配線14は切断されており、かかる箇所は本願の「断線部」に相当する。

よって、本願と文献1は、本願は端子部の長手方向がサスペンション基板の幅方向と一致し、複数の端子がサスペンション基板の長手方向に並列しているというのに対し、文献1の端子は幅方向に並列しているものである点で相違し、その余の点で一致する。

しかしながら、端子部の長手方向がサスペンション基板の幅方向と一致し、複数の端子がサスペンション基板の長手方向に並列しているような配置は、本願の前提技術を示す文献に示されているほか、例えば文献2(図2A等)、文献3(図5等)に例示される,周知の配置であり、文献1のものにも適宜採用することができる程度のものにすぎない。」としている。

そして、「前記内部開口領域に向って、前記支持枠から共通めっき線含有構造体が形成され、」との発明特定事項に関して、原査定の理由として、「通称めっきリードを一本化して枠に導出することは文献1の図6に示される程度の事項(同時にめっきを施す箇所の通称めっきリードを少なくまとめることは例を示すまでもない周知技術に属する事項でもある。)であって、これを記載されていないというにすぎないのであるから、拒絶の理由を解消するものとして採用しかねるものである。」としている。

第4 当審の判断
1 引用例の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由で引用された特開2011-170948号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審において付したものである。)。

(ア)「【0055】
第一実施態様においては、二以上のテスト用端子が共有用配線部によって共有され、共有用配線部が、短絡防止用開口部で断線していることが好ましい。共有用配線部を設けることにより、めっき線の数を減らすことができ、その結果、開口部を小さくすることができるからである。また、めっき線の数を減らすことで、デザイン設計が容易になるという利点もある。具体的には、図6に示すように、二以上のテスト用端子15(15a?15d)が、共有用配線部31により共有され、共有用配線部31が、短絡防止用開口部32で断線しているものを挙げることができる。この場合、接続端子(図示せず)およびテスト用端子15にめっき部を設ける際には、短絡防止用開口部32および開口部16は形成されていないため、めっき線14は一つで足りる。また、第一実施態様においては、サスペンション用基板を製造する時に、短絡防止用開口部32および開口部16を同時に形成することが好ましい。
【0056】
上述したように、第一実施態様においては、二以上のテスト用端子が共有用配線部によって共有されていることが好ましいが、テスト用端子と同様に、二以上の接続端子(外部回路基板との接続を行う接続端子)が共有用配線部によって共有されていても良い。この場合も、共有用配線部は、短絡防止用開口部で断線していることが必要である。」

(イ)「【0066】
B.外枠付サスペンション用基板
次に、本発明の外枠付サスペンション用基板について説明する。本発明の外枠付サスペンション用基板は、サスペンション用基板と、上記サスペンション用基板のテール部側で一体化した外枠部とを有する外枠付サスペンション用基板であって、上記サスペンション用基板は、ヘッド部側に形成され、素子を実装する素子実装領域と、上記テール部側に形成され、外部回路基板との接続を行う接続端子を有する外部回路基板接続領域と、上記素子実装領域および上記外部回路基板接続領域の間を電気的に接続する配線と、上記外枠部および上記接続端子を電気的に接続するためのめっき線とを有し、さらに、上記サスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された、上記配線、上記接続端子を構成する接続端子用配線部、および上記めっき線と、上記めっき線を覆うカバー層と有し、上記めっき線は、開口部で断線しており、上記開口部における上記カバー層の端部、および上記開口部における上記絶縁層の端部が、上記断線しためっき線の端部よりも突出していることを特徴とするものである。」

(ウ)「【0070】
なお、本発明におけるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明における外枠部は、特に限定されるものではないが、例えば、金属支持基板と、絶縁層と、導体層とがこの順に積層されたものを挙げることができる。」

(エ)「【0073】
次に、第一実施態様のサスペンション用基板の製造方法について、図11?図15を用いて説明する。ここで、図11は、第一実施態様により得られるサスペンション用基板のテール部の一例を示す概略平面図である。なお、図11における配線13は、接続端子12の手前で折れ曲り部を有しているが、これは、配線13の形成時の様子を分かりやすく説明するためのものであり、実際の配線13が折れ曲がり部を有する必要はない。また、図11に示されるサスペンション用基板は、テール部Tの周辺において、配線13、接続端子12、めっき線14および開口部16を有するものである。また、図12?図15に示される概略断面図は、いずれも図11のA-A断面に対応するものである。
【0074】
図12においては、まず、金属支持基板1、絶縁層2および導体層3Aを有する積層部材を準備する(図12(a))。次に、積層部材の両表面に所定のレジストパターンを作製し、ウェットエッチングにより、導体層3Aから、配線13、接続端子用配線部3およびめっき線14を形成し、開口部16および接続端子12を形成する位置にある金属支持基板1を除去する(図12(b))。次に、開口部16を形成する位置にあるめっき線14、および接続端子用配線部3を覆わないようにして、めっき線14および配線13上に、カバー層4を形成する(図12(c))。次に、カバー層4を形成した積層部材の両表面に所定のレジストパターンを作製し、ウェットエッチングにより、開口部16および接続端子12を形成する位置にある絶縁層2を除去する(図12(d))。
【0075】
その後、積層部材の両面に、保護層41としてDFR(ドライフィルムレジスト)を配置する(図13(a))。次に、DFRを露光現像することにより、開口部16を形成する位置にあるめっき線14をめっきから保護し、かつ、接続端子12を形成する位置にある接続端子用配線部3を露出する保護層41を形成する(図13(b))。次に、めっき線14を用いて、接続端子用配線部3の表面上に、金めっきからなるめっき部17を形成し(図13(c))、保護層41を剥離する(図13(d))。
【0076】
その後、積層部材の両面に、レジスト層42としてDFRを配置する(図14(a))。次に、DFRを露光現像することにより、開口部16を形成する位置にあるめっき線14を露出するレジスト層42を形成する(図14(b))。次に、レジスト層42から露出するめっき線14を、ウェットエッチングにより除去する(図14(c))。最後に、レジスト層42を剥離し、サスペンション用基板20を得る。」

ここで、図4、図6及び図10は、下記のとおりである。
図4


図6


図10


したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「サスペンション用基板と、上記サスペンション用基板のテール部側で一体化した外枠部とを有する外枠付サスペンション用基板であって、
上記サスペンション用基板は、ヘッド部側に形成され、素子を実装する素子実装領域と、上記テール部側に形成され、外部回路基板との接続を行う接続端子を有する外部回路基板接続領域と、上記素子実装領域および上記外部回路基板接続領域の間を電気的に接続する配線と、上記外枠部および上記接続端子を電気的に接続するためのめっき線とを有し、
さらに、上記サスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された、上記配線、上記接続端子を構成する接続端子用配線部、および上記めっき線と、上記めっき線を覆うカバー層と有し、
外枠部は、金属支持基板と、絶縁層と、導体層とがこの順に積層され、
二以上の接続端子(外部回路基板との接続を行う接続端子)が共有用配線部によって共有され、
上記めっき線を用いて、接続端子用配線部3の表面上に、金めっきからなるめっき部17を形成し、
接続端子およびテスト用端子15にめっき部を設ける際には、短絡防止用開口部32および開口部16は形成されていないため、めっき線14は一つで足り、
その後、開口部16を形成する位置にあるめっき線14を、ウェットエッチングにより除去することにより上記めっき線を、開口部で断線し、
共有用配線部は、短絡防止用開口部で断線し、
短絡防止用開口部32および開口部16を同時に形成した、
外枠付サスペンション用基板」

(2)原査定の拒絶の理由で引用された米国特許第6348661号明細書(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「FIG.1 shows a panel 10 comprising multiple individually separable wireless flexures 12.」(第5欄第14行?第15行)
(当審訳:「図1は、複数の個々に切り離し可能なワイヤレスフレクシャ12からなるパネル10を示す。」)

(イ)「As shown in FIGS.2A, 2B and 4A, extending across and beyond these perimeters 24 are continued extents 26(pigtails) of the individual conductive traces 18, typically from contact pads 28 corresponding to each conductor.」(第5欄第21行?第25行)
(当審訳:「図2A、2B及び4Aに示すように、一般的に、各導体に対応して接続パッド28から、個々の導電線18の延長部26(ピグテール)がこれらの周囲24を越えて延びている。)」)

ここで、図1、図2A及び図2Bは、下記のとおりである。

図1


図2A及び図2B


図1、図2A及び図2Bによれば、ワイヤレスフレクシャ12の複数の接続パッド28が前記ワイヤレスフレクシャ12の長手方向に沿って並列配置されていること、個々の導電線18の延長部26がパネル10の外枠に接続されていること、が認められるから、引用例2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「複数の個々に切り離し可能なワイヤレスフレクシャ12からなるパネルであって、前記ワイヤレスフレクシャ12の複数の接続パッド28が前記ワイヤレスフレクシャ12の長手方向に沿って並列配置され、個々の導電線18の延長部26がパネル10の外枠に接続されたパネル」

2 本願発明と引用発明1との対比
(1)引用発明1の「外枠付サスペンション用基板」は、「金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された、上記配線、上記接続端子を構成する接続端子用配線部、および上記めっき線と」を有する「サスペンション用基板」と、「金属支持基板と、絶縁層と、導体層とがこの順に積層され」た「外枠部」を有する。
また、図10によれば、外枠部の内側の開口領域において、「上記サスペンション用基板のテール部側で一体化」していることが認められるから、引用発明1の「外枠付サスペンション用基板」は、本願発明にいう「サスペンション用基板と、支持枠とを有し、前記支持枠の内部開口領域で前記サスペンション用基板および前記支持枠が一体化している支持枠付サスペンション用基板」といえ、本願発明と同様、「前記サスペンション用基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層とを有し」、「前記配線層は端子部を有し」、「前記支持枠は、前記金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された前記絶縁層と、前記絶縁層上に形成された導体層とを有」するものといえる。

(2)引用例1の図4によれば、引用発明1では、複数の「接続端子」の長手方向はそれぞれサスペンション用基板の長手方向と一致し、かつ、前記複数の「接続端子」は前記サスペンション用基板の短手方向に沿って並列配置されることが認められる。
また、複数の「接続端子」は、共有用配線部によって共有され、一つのめっき線14を通じて外枠部と電気的に接続される。
そして、めっき線を用いて、接続端子用配線部3の表面上にめっき部17を形成した後、短絡防止用開口部および開口部が同時に形成され、共有用配線部は短絡防止用開口部で断線され、上記めっき線は開口部で断線される。
そうすると、引用発明1の一つの「めっき線」及び各接続端から一つのめっき線に至る「共有用配線部」は、それぞれ本願発明にいう「共通めっき線部」及び「接続用配線部」に対応するといえる。
そして、引用発明1が本願発明のように「共通めっき線含有構造体」を有し、かつ、「前記接続用配線部に断線部が形成され、前記サスペンション用基板および前記共通めっき線含有構造体が分離している」かは別として、本願発明と引用発明1とは、「導体層から連続的に形成された共通めっき線部を有し」、「前記共通めっき線部と前記複数の端子部とを接続するための接続用配線部が形成され」、「前記接続用配線部に断線部が形成され」る点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明1の一致点・相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「サスペンション用基板と、支持枠とを有し、前記支持枠の内部開口領域で前記サスペンション用基板および前記支持枠が一体化している支持枠付サスペンション用基板であって、
前記サスペンション用基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層とを有し、
前記配線層は端子部を有し、
前記支持枠は、前記金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された前記絶縁層と、前記絶縁層上に形成された導体層とを有し、
前記導体層から連続的に形成された共通めっき線部を有し、
前記共通めっき線部と前記複数の端子部とを接続するための接続用配線部が形成され、
前記接続用配線部に断線部が形成されることを特徴とする支持枠付サスペンション用基板。」

[相違点]
本願発明では、
ア 「複数の前記端子部の長手方向はそれぞれ前記サスペンション用基
板の短手方向と一致し、かつ、前記複数の端子部は前記サスペンショ
ン用基板の長手方向に沿って並列配置され」、
イ 「前記内部開口領域に向って、前記支持枠から共通めっき線含有構
造体が形成され」、「前記共通めっき線含有構造体」が、共通めっき
線部を有し、
ウ 前記接続用配線部に断線部が形成されることで、「前記サスペンシ
ョン用基板および前記共通めっき線含有構造体が分離している」、
のに対し、引用発明1では、
エ 複数の前記端子部の長手方向はそれぞれ前記サスペンション用基板
の長手方向と一致し、かつ、前記複数の端子部は前記サスペンション
用基板の短手方向に沿って並列配置され、
オ 内部開口領域に向って、「導体層から連続的に形成された共通めっ
き線部」を有し、
カ 「接続用配線部」及び「共通めっき線部」にそれぞれ断線部(短絡
防止用開口部及び開口部)が形成される点。

3 判断
サスペンション用基板において、複数の端子部の長手方向をそれぞれ前記サスペンション用基板の短手方向と一致させ、かつ、前記複数の端子部を前記サスペンション用基板の長手方向に沿って並列配置(上記相違点の「ア」の配置に相当。)する点は、周知技術(例えば、特開2012-38380号公報参照。)といえる。

ここで、引用例1の段落55(上記1(1)ア)の記載によれば、引用発明1は、「共有用配線部を設けることにより、めっき線の数を減らすことができ、その結果、開口部を小さくすることができる」ものである。

そうすると、仮に、引用発明1において、引用発明2及び上記周知技術を適用できたとしても、本願の図5に記載された支持枠付サスペンション用基板において、各接続用配線部3cに断線部(短絡防止用開口部)を形成するとともに、共通めっき線部の支持枠付近に断線部(開口部)を形成したような構成になるだけであって、上記相違点に係る「イ」及び「ウ」の構成に至るとはいえない。

そして、本願発明は、「図4における複数のめっき線部3fを、図5のような共通めっき線部3dに変更」したとしても、「支持枠110からサスペンション用基板100を分離するための従来のカット(CL1でのカット)に加えて、複数の端子部3bを独立化するためのカット(CL2でのカット)が必要になるという問題」に対し、上記相違点に係る構成を有することで、「支持枠からサスペンション用基板を分離するためのカット(CLでのカット)だけで、サスペンション用基板を得ることができ、サスペンション用基板の製造効率が向上する」という効果を奏するものである(本願明細書段落19参照)。

したがって、本願発明は、当業者が引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

本願の請求項2に係る発明は、請求項1をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1及び2に係る発明は、いずれも、当業者が引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-27 
出願番号 特願2012-54223(P2012-54223)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 近藤 聡
北岡 浩
発明の名称 支持枠付サスペンション用基板  
代理人 山下 昭彦  

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