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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1326529
審判番号 不服2016-11659  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-03 
確定日 2017-04-11 
事件の表示 特願2013-157500「装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月12日出願公開、特開2015- 28687、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月30日の出願であって、平成28年2月15日付けで拒絶理由が通知され、同年3月16日付けで手続補正がされ、同年6月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定(平成28年6月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献1-8に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献一覧
1.特開2011-175611号公報
2.特開2013-25787号公報
3.特開平7-49674号公報
4.特開2010-122928号公報
5.特開2005-275707号公報
6.特開2011-228844号公報
7.国際公開第2009/057585号公報
8.特開2009-205348号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1?13に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願の請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成28年8月3日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
コンピュータ上でユーザが動作させた処理の履歴を収集する収集部と、
収集された履歴に基づいて、前記処理が起動される時間帯を推測する推測部と、
前記コンピュータの画面上において、前記処理を起動させるためのアイコンの表示形態を、推測された時間帯に応じて変更し、前記ユーザが前記処理を起動させたことに応じて、当該処理を起動させるために変更した前記アイコンの表示形態を元の表示形態に戻す表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する
装置。」

なお、本願発明2-13の概要は、以下のとおりである。

本願発明2-12は、それぞれ本願発明1をさらに限定した発明である。

本願発明13は、本願発明1をプログラムとして記載した発明である。

第5 引用文献
1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0012】
図1に示すように、上記携帯端末装置は、主な構成要素として、制御部100と、無線通信部10と、表示部20と、通話部30と、操作部40と、記憶部50と、放送受信部60と、GPS受信部70と、デジタルカメラ80と、赤外線通信部90とを備える。・・・中略・・・
【0013】
無線通信部10は、制御部100の指示にしたがって、移動通信網MNに収容された基地局装置BSと無線通信を行うものであって、これにより音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示部20は、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。例えば、図2に示すように、アイコン表示エリア200には、アプリケーションソフトウェアや、それらによって作成された電子ファイル、WebのURL(Uniform Resource Locator)などに対応したアイコンを多数並べて表示し、機能キー表示エリア210には、機能が割り当てられたソフトウェアキーを表示する。」

「【0016】
なお、制御部100は、操作部40から通知された座標に基づき、この座標に対応する表示部20上の表示領域に表示しているアイコンや機能キーを検出し、これに対する操作として認識する。操作は、シングルクリック、ダブルクリック、ドラッグ、その他、多点接触によるアクションなどを検出して、ユーザが意図する命令(選択、実行、移動、表示の拡大や縮小、画面スライド(ページ送り)など)を制御部100が認識し、実行する。」

「【0019】
通常表示順序データ50aは、レコメンド表示制御を行わない場合に、アプリケーションソフトウェアや、それらによって作成された電子ファイル、WebページのURLなどに対応したアイコンの識別情報(以下、アイコンインデックスあるいは単にインデックスと称する。図中では、indexと略記する。)を、アイコン表示エリア200に表示する配列を示す情報である。なお、アイコンインデックスと、アイコンと、アプリケーションソフトウェア、電子ファイルあるいはWebページのURLとを対応づけたアイコンテーブルは、図示しないが記憶部50が記憶する。
・・・中略・・・
【0021】
使用履歴データ50cは、図3乃至図5に例示するように、各アイコンの利用(実行)履歴を記録するものであって、図3に示すように、アイコンインデックスに対応づけて利用時間帯を管理する利用時間帯管理テーブル、アイコンインデックスに対応づけて利用した曜日を管理する利用曜日管理テーブル、アイコンインデックスに対応づけて利用場所(緯度と経度)を管理する利用場所管理テーブルなどがある。そして、各アイコンインデックスには、表示順序の優先度算出の基礎となる評価値が対応づけられている。
【0022】
なお、図3の例では、1時間単位で利用時間帯を分割し、それぞれ評価値を管理する場合を示しているが、これに限定されるものではなく、1時間よりも短い単位や、1時間よりも長い単位で管理するようにしてもよい。また図4の例では、曜日で評価値を管理するようにしているが、これに限定されるものではなく、日にちや週、月単位で管理するようにしてもよい。また位置情報については、完全に一致することは少ないことが想定されるので、所定の大きさの領域で分割したエリア単位でグループ化して管理するようにしてもよい。
【0023】
総合評価値データ50dは、使用履歴データ50cとして記憶される各テーブルを総合的に利用し、アイコンインデックス毎に評価値を集計したものである。その一例を図6に示す。なお、評価値の集計は、制御部100によって行われるが、各テーブル毎に評価値に重み付けを行った後に、加算して総合評価値が求められる。
【0024】
レコメンド表示順序データ50eは、制御部100が総合評価値データ50dに基づいて決定した、アイコンを表示する順序を示すデータである。なお、通常表示順序データ50aと、レコメンド表示順序データ50eは、独立して管理されており、両者に含まれるアイコンは必ずしも一致する必要はない。」

「【0053】
ステップ8lにおいてレコメンド表示制御手段100aは、操作部40に対する操作を監視して、ステップ8jで表示した切替キー212に対して、ユーザによって操作が行われたか否か、すなわち、レコメンド表示への切り替え要求を行ったか否かを判定する。ここで、レコメンド表示への切り替え要求を検出した場合には、ステップ8oに移行し、一方、上記要求を検出しない場合には、ステップ8mに移行する。」

「【0062】
ステップ9aにおいてレコメンド表示制御手段100aは、現在状況の情報を取得し、ステップ9bに移行する。すなわち、制御部100から現在時刻を示す時刻情報を取得し、またGPS受信部70から現在位置を示す位置情報を取得する。
【0063】
ステップ9bにおいてレコメンド表示制御手段100aは、使用履歴データ50cに含まれる各テーブルを参照して、ステップ9aで取得した現在状況(時刻情報および位置情報)に対応するすべてのインデックスとそれに対応づけられた評価値をセットにして検出し、ステップ9cに移行する。
【0064】
ステップ9cにおいてレコメンド表示制御手段100aは、ステップ9bで検出した評価値に対して、テーブル毎に異なる重み付けを行い、インデックス毎に加算して集計する。そしてこのインデックス毎の評価値の集計結果と、除外アイコンリストデータ50bに記録された総合評価値を、インデックス毎の総合評価値として、総合評価値データ50dに上書き記録して、ステップ9dに移行する。なお、重み付けは、ユーザが予め任意に設定できるようにしてもよく、また、異なるテーブルの評価値を同等に扱いたい場合には、同じ値を設定すればよい。
【0065】
ステップ9dにおいてレコメンド表示制御手段100aは、総合評価値データ50dに記録された情報を参照し、総合評価値の高い順に、各総合評価値およびそれに対応するインデックスの順序を並べ替えるソート処理を実施し、ステップ9eに移行する。
【0066】
ステップ9eにおいてレコメンド表示制御手段100aは、ステップ9dによって総合評価値の高い順にソートされた情報(各総合評価値およびそれに対応するインデックス)を、レコメンド表示順序データ50eに上書き記録して、当該処理を終了し、ステップ8oに移行する。
【0067】
次に、図10を参照して、ステップ8nのレコメンド表示処理について説明する。
まず、ステップ10aにおいてレコメンド表示制御手段100aは、レコメンド表示順序データ50eを読み出し、ステップ10bに移行する。
【0068】
ステップ10bにおいてレコメンド表示制御手段100aは、ステップ10aで読み出したレコメンド表示順序データ50eに基づいて、対応づけられた総合評価値が高いインデックスを、優先的にアイコン表示エリア200に表示し、当該処理を終了する。これにより、例えば図2に示すような順序で表示されていたアイコンが、図11に示すように、アイコン表示エリア200の左上から右に、そして下の列に順を追って表示される。」

したがって、上記下線部の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「アイコン表示エリア200には、アプリケーションソフトウェアや、それらによって作成された電子ファイル、WebのURLなどに対応したアイコンを多数並べて表示し、
制御部100は、操作部40から通知された座標に基づき、この座標に対応する表示部20上の表示領域に表示しているアイコンや機能キーを検出し、これに対する操作として認識して実行し、
使用履歴データ50cは、各アイコンの利用(実行)履歴を記録するものであって、アイコンインデックスに対応づけて利用時間帯を管理する利用時間帯管理テーブル、アイコンインデックスに対応づけて利用した曜日を管理する利用曜日管理テーブル、アイコンインデックスに対応づけて利用場所(緯度と経度)を管理する利用場所管理テーブルなどがあり、各アイコンインデックスには、表示順序の優先度算出の基礎となる評価値が対応づけられており、
レコメンド表示制御手段100aは、制御部100から現在時刻を示す時刻情報を取得し、またGPS受信部70から現在位置を示す位置情報を取得し、
使用履歴データ50cに含まれる各テーブルを参照して、取得した時刻情報および位置情報に対応するすべてのインデックスとそれに対応づけられた評価値をセットにして検出し、テーブル毎に異なる重み付けを行い、インデックス毎に加算して集計し、インデックス毎の総合評価値として、総合評価値データ50dに上書き記録し、
レコメンド表示制御手段100aは、総合評価値データ50dに記録された情報を参照し、総合評価値の高い順に、各総合評価値およびそれに対応するインデックスの順序を並べ替えるソート処理を実施し、総合評価値の高い順にソートされた情報(各総合評価値およびそれに対応するインデックス)を、レコメンド表示順序データ50eに上書き記録し、読み出したレコメンド表示順序データ50eに基づいて、対応づけられた総合評価値が高いインデックスを、優先的にアイコン表示エリア200に表示することによってアイコン表示エリア200の左上から右に、そして下の列に順を追って表示する携帯端末装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
図2は、本発明の一実施形態による携帯端末でアイコンが配置された画面を示す。ユーザインタフェースオブジェクトは実行対象を指定するもので、代表的な例として、公知のアイコンがある。前記アイコンが押されると該当プログラムが実行される。これに限定されず、端末が放送受信端末の場合、前記ユーザインタフェースオブジェクトは各放送チャンネルを指定するものでもあり得る。
【0016】
図2に示すように、本発明の一実施形態による端末は各プログラムの使用履歴を考慮してアイコンを再配置する。後述するが、相対的に長い時間実行(使用)されるか、又は実行開始以来の使用者の操作回数が多かったプログラムのアイコンであるほど高い順位が与えられて、この順位によってアイコンが画面21に再配置される。一例として、操作回数が多いプログラムのアイコンであるほど画面の右側に配置される。また、使用時間量が多いプログラムのアイコンであるほど画面の上側に配置される。前記操作回数とは、該当プログラムが実行されてから使用者が実行されたプログラムを扱うためにボタンを押したりすることによって入力信号が発生された数をいう。さらに、順位が高いアイコン22であるほど相対的に目立つように表出されることもできる。
【0017】
前記端末は、各アイコンが指定するプログラムの使用履歴(例えば、使用時間量、操作回数)を少なくとも一つ以上の基準に基づいて保存及び更新する。保存及び更新の期間は一週間、一ヶ月、一年などに設定できる。一例として、一週間が保存及び更新の期間に決定されると、今週には先週の使用履歴に基づいてアイコンが再配置される。これとは異なり、現在から一週間前までの使用履歴に基づいてアイコンが再配置される。
【0018】
前記各アイコンが指定するプログラムの使用履歴を保存及び更新する基準は、時間に関する基準と場所に関する基準であり得る。まず、時間に関する基準は総期間、時間帯(例えば、06時?12時、平日、公休日など)、曜日のうちいずれかの一つであり得る。次に、場所に関する基準は家、事務室などであり得る。場所に関する基準を設定するために、前記端末は常に位置を把握しておき、把握された位置を基点とする所定半径の範囲を家、事務室などの場所として定義する。
【0019】
前記端末は前記時間に関する基準又は前記場所に関する基準が選択される(又は、満たされる)と、前記選択された基準に相応するようにアイコンを自動的に再配置する。一例として、時間帯が変わると、端末は変わった時間帯に対する使用履歴を用いてアイコンを自動的に再配置するようになる。また、事務室にあった端末が家に移されると、家に対する使用履歴を用いてアイコンを自動的に再配置するようになる。上述のように、使用者の生活習慣、特性によって頻繁に使うプログラムのアイコンが自動的に配置されるので、これにより使用者に便宜を与えることができる。」

したがって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「各プログラムの使用履歴を考慮してプログラムのアイコンを画面21上に再配置する端末であって、相対的に長い時間実行(使用)されるか、又は実行開始以来の使用者の操作回数が多かったプログラムのアイコンであるほど高い順位が与えられ、一例として、操作回数が多いプログラムのアイコンであるほど画面の右側に配置され、使用時間量が多いプログラムのアイコンであるほど画面の上側に配置され、さらに、順位が高いアイコンであるほど相対的に目立つように表出されることもでき、
各アイコンが指定するプログラムの使用履歴を保存及び更新する基準は、時間に関する基準であり、時間に関する基準は総期間、時間帯(例えば、06時?12時、平日、公休日など)、曜日のうちいずれかの一つであり、端末は前記時間に関する基準が選択される(又は、満たされる)と、前記選択された基準に相応するようにアイコンを自動的に再配置し、一例として、時間帯が変わると、端末は変わった時間帯に対する使用履歴を用いてアイコンを自動的に再配置するようになる端末。」

3.引用文献4について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項1】
表示手段と、
複数の機能を実行させる実行手段と、
前記実行手段により前記機能が実行されると、前記機能が実行された時刻に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記時刻に関する情報に基づき、所定単位で区切られた時間帯毎に前記機能が実行された回数に関する情報を、前記機能単位で、累積的に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記情報を前記機能単位で参照し、前記時間帯毎における前記機能が実行された回数が、前記機能が実行された全回数に対して所定の割合以上の回数であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記時間帯毎における前記機能が実行された回数が、前記機能が実行された全回数に対して所定の割合以上の回数であると判定された場合、前記機能が実行された回数が所定の割合以上の回数である前記時間帯が到来した場合、前記機能を実行させるためのユーザインタフェースを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記ユーザイタンフェースを前記表示手段の所定画面に表示させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ユーザインタフェースを表示させた後、前記機能が実行された回数が所定の割合以上の回数である前記時間帯外となった場合、前記ユーザインタフェースの表示を終了させる請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記生成手段は、前記時間帯が到来した場合であっても、さらに前記機能が既に実行されているか否かの判定を行い、前記機能が既に実行されていると判定した場合には、前記ユーザインタフェースの生成を行わない請求項1に記載の携帯端末。」

したがって、引用文献4には、「時間帯毎における機能が実行された回数が、機能が実行された全回数に対して所定の割合以上の回数であると判定された場合、前記機能が実行された回数が所定の割合以上の回数である前記時間帯が到来した場合、前記機能を実行させるためのユーザインタフェースを生成し、生成された前記ユーザイタンフェースを表示手段の所定画面に表示させる携帯端末において、前記時間帯が到来した場合であっても、前記機能が既に実行されているか否かの判定を行い、前記機能が既に実行されていると判定した場合には、前記ユーザインタフェースの生成を行わない」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献8について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
以下に、本発明の実施形態による自動対話処理システムを、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる自動対話処理システムの実施形態を示すブロック図である。この自動対話処理システムは、ユーザ端末Aと情報処理システムBとから構成されている。
ユーザ端末Aは、ユーザからの入力データを受け付ける入力装置(入力手段)1と、ユーザへのデータの出力表示を行う表示装置(出力手段)2とを有する。
・・・中略・・・
【0018】
一方、情報処理システムBは、メニューテーブル8、時間帯テーブル9、地点テーブル10、処理履歴テーブル11、対話シナリオ12、学習テーブル13および制御手段14を有する。
これらのうち、制御手段14は、所定の制御プログラムに従って情報処理システムB全体を制御するように機能し、入力装置1からのデータの取得、前記サジェストプログラムから入力補完プログラムまでのサブプログラムの呼び出し、サブプログラムからの処理結果データの取得、表示装置へのデータの出力を制御するように機能する。」

「【0024】
(2)ユーザの行動履歴を蓄積し、分析することにより、ユーザの行動様式に応じた最適のメニューを予測して提案(レコメンド)する場合。
この場合には、前述のデータベースに処理履歴テーブル11、時間帯テーブル9および地点テーブル10を用意して、ユーザの行動履歴を管理する。
【0025】
これらのうち、処理履歴テーブル11は、図5に示すように、メニューID、時間帯、地点および回数の4項目からなる以下のレコードを管理する。
メニューID:前述のメニューIDを保持する。
時間帯:1日を一定数(例えば、24区画)に区切った場合の各時間帯コードを値として保持する。時間帯と時間帯コードの対応(13:30?14:29=14については、後述の時間帯テーブル9で管理する。
地点名:ユーザの主な活動地点を意味する名称(自宅、学校、職場など)を値として保持。地点名と地点座標の対応(例えば、自宅=北緯W度X分、東経Y度Z分)については、後述の地点テーブル10で管理する。
回数:メニューが、同じ時間帯、地点において利用された回数を保持する。
【0026】
次に、時間帯テーブル9は、図6に示すように、時間帯コード、開始時間および終了時間の3項目からなる以下のレコードを管理する。
時間帯コード:1日を一定数(例えば、24区画)に区切った場合の各時間帯を意味するコード。
開始時間:その時間帯コードの開始時間(例えば、13:30)。
終了時間:その時間帯コードの終了時間(例えば、14:29)。
・・・中略・・・
【0028】
制御手段14は、ユーザ要求等によって起動されたレコメンドプログラムに従って、時刻(ユーザ端末の時計から取得)および緯度、経度(ユーザ端末のGPS機能から取得)を入力データとし、それを用いて以下の処理を行う。
まず、取得した時刻をキー情報として時間帯テーブル9を検索し、該当の時間帯コードを取得する。
【0029】
次に、取得した前記緯度、経度をキー情報として地点テーブル10を検索し、該当の地点名を取得する。ここでGPS機能が利用できない場合には、ユーザが手動によって地点を選択することで代替する。続いて、取得した時間帯コードと地点名をキー情報として、処理履歴テーブルを検索し、該当のメニューIDを取得する。検索結果が複数存在する場合は、回数の多い順にソートする。
【0030】
検索結果として得られたメニューIDをもとに、メニューテーブル8から各メニュー名を取得し、このメニュー名を一覧にして、ユーザ端末Aの表示装置2に出力する。これにより、ユーザはこの一覧の中から目的のメニューを選択することができる。
【0031】
次に、例を挙げて説明する。ユーザが自宅で07時00分にこのレコメンドプログラムの起動要求をすると、GPSで取得した緯度、経度を用いて、地点テーブル10を検索し、地点名「自宅」を取得する。また、時刻を用いて、時間テーブル9を検索して、時間帯コード「7」を取得する。地点名と時間帯コードを用いて処理履歴テーブル11を検索し、該当レコード(図5中に※印で示す。)を抽出する。
【0032】
また、抽出結果を回数の多い順(降順)にソートし、メニューIDを用いて、メニューテーブルからそれぞれのメニュー名を取得する。そして、このメニュー名と回数の対を候補一覧にして、図8に示すように候補表示する。
【0033】
同様にして、自宅で07時56分にこのレコメンドプログラムの起動要求をすると、地点名「自宅」と時間帯コード「08」を取得し、それを用いて該当のレコード(図5中に■印で示す。)を抽出する。そして、メニュー名と回数の対を一覧にして、図9に示すように候補表示する。」

したがって、引用文献8には、「ユーザの行動履歴を蓄積し、分析することにより、ユーザの行動様式に応じた最適のメニューを予測して提案(レコメンド)する場合、利用された回数の多い順(降順)にソートし、メニューIDを用いて、メニューテーブルからそれぞれのメニュー名を取得し、メニュー名と回数の対を候補一覧にして候補表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比すると次のことがいえる。
ア 引用発明1の「使用履歴データ50c」は、「各アイコンの利用(実行)履歴を記録するもの」であるから、本願発明1の「コンピュータ上でユーザが動作させた処理の履歴」に相当し、引用発明1の当該履歴を収集する構成は、本願発明1の「コンピュータ上でユーザが動作させた処理の履歴を収集する収集部」に相当する。

イ 引用発明1の「アイコンインデックスに対応づけて利用時間帯を管理する利用時間帯管理テーブル」及び「制御部100から現在時刻を示す時刻情報を取得し」、「使用履歴データ50cに含まれる各テーブルを参照して、取得した時刻情報」「に対応するすべてのインデックスとそれに対応づけられた評価値をセットにして検出し、テーブル毎に異なる重み付けを行い、インデックス毎に加算して集計し、インデックス毎の総合評価値として、総合評価値データ50dに上書き記録」する「レコメンド表示制御手段100a」は、本願発明1の「前記処理が起動する時間帯を推測する推測部」に相当するといえる。

ウ 引用発明1の「レコメンド表示制御手段100a」は、「総合評価値データ50dに記録された情報を参照し、総合評価値の高い順に、各総合評価値およびそれに対応するインデックスの順序を並べ替えるソート処理を実施し、総合評価値の高い順にソートされた情報(各総合評価値およびそれに対応するインデックス)を、レコメンド表示順序データ50eに上書き記録し、読み出したレコメンド表示順序データ50eに基づいて、対応づけられた総合評価値が高いインデックスを、優先的にアイコン表示エリア200に表示する」から、本願発明1の「前記コンピュータの画面上において、前記処理を起動させるためのアイコンの表示形態を、推測された時間帯に応じて変更し、前記ユーザが前記処理を起動させたことに応じて、当該処理を起動させるために変更した前記アイコンの表示形態を元の表示形態に戻す表示制御部」と「前記コンピュータの画面上において、前記処理を起動させるためのアイコンの表示形態を、推測された時間帯に応じて変更する表示制御部」である点は共通するといえる。

エ 引用発明1の「携帯端末装置」は、本願発明1と同様の「装置」といえる。

したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「コンピュータ上でユーザが動作させた処理の履歴を収集する収集部と、
収集された履歴に基づいて、前記処理が起動される時間帯を推測する推測部と、
前記コンピュータの画面上において、前記処理を起動させるためのアイコンの表示形態を、推測された時間帯に応じて変更する表示制御部と、
を備える、装置。」

(相違点1)「表示制御部」は、本願発明1では、「ユーザが前記処理を起動させたことに応じて、当該処理を起動させるために変更した前記アイコンの表示形態を元の表示形態に戻す」のに対し、引用発明1では、そのような特定はない点。
(相違点2)「アイコンの表示形態を変更する」内容が、本願発明1は、「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」のに対し、引用発明1は、総合評価値の高い順にアイコンをソートして表示する点。

(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、引用文献1に、「従来の形態端末装置では、種々の機能を起動するためのアイコンを多数配列して表示することができるが、ユーザの使用頻度に応じて配列を変化させることはできずに、ユーザにとって利便性が低いという問題があった。」(【発明が解決しようとする課題】【0007】参照。)と記載されているように、引用発明1は、ユーザの使用頻度に応じてアイコンの配列を変化させることを課題とするものであり、引用発明1自体は、「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」ことを示唆するものではない。
引用文献2には、「第5 引用文献」、「2.引用文献2について」に記載のとおり引用発明2が記載されているが、上記相違点2に係る本願発明1の「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。
引用文献4、8には、「第5 引用文献」、「3.引用文献4について」、「4.引用文献8について」に、それぞれ記載のとおり引用文献4に記載の技術的事項、引用文献8記載の技術的事項が記載されているが、上記相違点2に係る本願発明1の「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。
そして、原査定に引用されたその他の文献にも、上記相違点2に係る本願発明1の「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。
したがって、上記相違点1を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。

2.本願請求項2?12に係る発明も、本願発明1の「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

3.本願請求項13に係る発明は、本願発明1をプログラムとして記載したものであり、本願発明1の「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」に対応する構成を備えるものであるから、本願請求項1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-13は「アイコンに含まれる処理の名前を変更し、かつ、前記アイコンを強調表示することによって、前記アイコンの配置を変えずに前記アイコンの表示形態を変更する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?8に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-28 
出願番号 特願2013-157500(P2013-157500)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 萩島 豪上嶋 裕樹浜岸 広明  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 稲葉 和生
和田 志郎
発明の名称 装置及びプログラム  
代理人 上野 剛史  
復代理人 明石 英也  
代理人 太佐 種一  

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