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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1326730
審判番号 不服2016-255  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-07 
確定日 2017-03-28 
事件の表示 特願2013-510499「高電子移動度および不均一な層抵抗を有するガイドチャネルを備えたトランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月23日国際公開、WO2012/022308、平成25年 7月18日国内公表、特表2013-529385〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成23年(2011年)5月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2010年5月18日,独国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 1月24日 審査請求
平成26年11月27日 拒絶理由通知
平成27年 2月27日 意見書・手続補正
平成27年 9月25日 拒絶査定
平成28年 1月 7日 審判請求

2 本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
第1半導体層と,
前記第1半導体層の上に堆積される第2半導体層と,
前記第2半導体層の上に堆積される誘電性のパッシベーション層と,
前記第2半導体層との層境界にて前記第1半導体層の中に形成される,ガイドチャネル内の2次元電子ガスと,
横方向に互いに離間配置された,前記ガイドチャネルに導電的に接続されたソース電極およびドレイン電極と,
前記ソース電極と前記ドレイン電極の間に設けられたゲート電極と,
を有するHEMT構造の半導体デバイスにおいて,
前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ドレイン電極と前記ゲート電極の間の電流方向において不均一になっており,前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ゲート電極と前記ドレイン電極の間に位置する前記ガイドチャネルの部分区間において,前記部分区間の両側に位置するガイドチャネルの隣接領域に比べて高められており,
前記部分区間に亘るパッシベーション層は,前記隣接領域に亘るパッシベーション層とは,組成および/または堆積プロセスのパラメータが異なり,
前記部分区間に亘るパッシベーション層は,前記隣接領域に亘るパッシベーション層に対して付加的な構成要素を含む,
ことを特徴とするデバイス。」
(2)引用文献1の記載と引用発明1
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2006-286740号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法,特に,GaN系半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN系半導体を用いた半導体装置は,高周波かつ高出力で動作するパワー素子として用いられている。特に,マイクロ波,準ミリ波,ミリ波等の高周波帯域において増幅を行うのに適した半導体装置として,例えば,高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)等のFETが知られている。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
GaN系HEMTの2DEG(2次元電子ガス)濃度は電子走行層と電子供給層の分極の差により増減することが知られている。分極はGaN系半導体結晶を形成する原子の電気陰性度の違いに起因する自発分極と,格子定数の違いによる半導体膜中の応力に起因するピエゾ分極がある。
【0017】
図1はGaN系HEMTを例に分極に起因した2DEG濃度の増減を説明するための図である。図1(a)において,基板の(0001)面上にGaN電子走行層12およびAlGaN電子供給層14が形成された場合,GaN電子走行層12中の自発分極はAlGaN電子供給層14中の自発分極より小さい。さらに,AlGaN電子供給層14中の格子定数の違いによる応力に起因したピエゾ分極が自発分極と同じ向きに発生する。このため,GaN電子走行層12のAlGaN電子供給層14界面の2DEG濃度はGaN電子走行層12とAlGaN電子供給層14の分極の差に相当する電荷の2DEG濃度が増加する。
【0018】
AlGaN電子供給層14に凹部28が形成された場合,凹部28でのAlGaN電子供給層14中の自発分極は凹部28以外と同じである。一方,凹部28でのAlGaN電子供給層14中に発生するピエゾ分極は,凹部28では格子定数の違いによる応力は小さくなるため,小さくなる。図1(b)は横軸が図1(a)の横方向の位置を示し,縦軸は2DEGの電子濃度を示している。この図のように,凹部28下の2DEG濃度は凹部28下以外より小さくなる。
【0019】
以下,前述の分極を応用し,相互コンダクタンスおよびドレイン耐圧が高く,高周波数動作および高出力動作が可能なGaN系HEMTの実施例を説明する。」
(ウ)「【実施例1】
【0020】
図2から図5は実施例1に係るGaN系HEMTおよびその製造方法を示す断面図である。図2を参照に,例えば,サファイア基板10の(0001)面上に,GaN系半導体層16として,膜厚2μmの不純物を添加しないGaN電子走行層12,膜厚25nmの不純物を添加しないAlGaN電子供給層14を例えばMOCVD法を用いエピタキシャル成長する(形成する)。所定領域のAlGaN電子供給層14をエッチングにより除去し素子分離を行う。」
(エ)「【実施例2】
【0029】
図7は実施例2に係るHEMTの断面図である。基板10上にGaN系半導体層16としてGaN電子走行層12(図示せず)および電子供給層14(図示せず)が形成され,GaN系半導体層16に第1のリセス部34,第2のリセス部38,ゲート埋込部36が形成されている。ゲート電極18はゲート埋込部36に埋め込まれ形成されている。GaN系半導体層16上にソース電極20およびドレイン電極22が形成されている。上記製造方法は実施例1と同じである。さらに第2のリセス部28とドレイン電極22の間に凹部40が形成されている。
【0030】
図8は,ドレイン電極22に電圧が印加されたときの第2のリセス部38とドレイン電極22間の電界を示した図である。横軸は第2のリセス部38からドレイン電極22に至る位置,縦軸は電界Eを示している。凹部40のない実施例1の電界を実線,凹部40のある実施例2の電界を破線で示している。凹部40を有することにより電界のピーク高さが低くなっている。電界ピーク高さが高い箇所では耐圧破壊が発生しやすい。よって,実施例2では電界ピーク高さが低いため,より高ドレイン耐圧を実現できる。このためより高出力動作が可能となる。」
(オ)「【0037】
GaN系半導体層16また,電子走行層12と基板10の間にバッファ層を形成することも可能であるし,電子供給層14上に保護層を形成することもできる。また,基板10としてサファイア基板を使用したが,SiC基板やGaN基板,その他の基板を用いることができる。さらにGaN系HEMTの例を示したが,MESFETにも適用できる。これらの場合も,実施例1および実施例2と同様の効果を奏することができる。」
(カ)図7には,ドレイン電極22とゲート電極18との間の部分区間に亘り凹部40が形成されること,ソース電極20とドレイン電極22が横方向に離間配置されること,ゲート電極18がソース電極20とドレイン電極22の間に設けられること,が記載されている。
イ 前記アより,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「基板上にGaN電子走行層およびAlGaN電子供給層が形成され,AlGaN電子供給層上に保護層が形成され,ソース電極とドレイン電極が横方向に離間配置され,ゲート電極がソース電極とドレイン電極の間に設けられ,ドレイン電極とゲート電極との間の部分区間に亘り凹部が形成され,GaN電子走行層のAlGaN電子供給層界面の2DEG濃度は凹部下で凹部下以外より小さくなっているHEMT。」
(3)引用文献2の記載及び引用発明2
ア 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2009-267155号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置に関し,特に窒化物系半導体機能層を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガリウムナイトライド(GaN)系化合物半導体を用いた電子デバイスとして,高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor)が知られている。HEMTは,高い電子(キャリア)の移動度を有し,高周波特性に優れている。
【0003】
HEMTは,GaN層とこのGaN層上にヘテロ接合によって積層されたアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)層とを有する窒化物系半導体機能層に構成され,AlGaN層上にはソース電極及びドレイン電極とゲート電極とを有する。GaN層のヘテロ接合近傍には高移動度の電子が走行する2次元電子ガス(2DEG:two-dimensional electron gas)チャネル(2次元電子ガス層)が生成される。このような構造を有するHEMTにおいては,自発分極や格子不整合を用いたピエゾ電界により高いキャリア密度を実現することができる。」
(イ)「【0020】
パッシベーション膜10は,パッシベーション膜10と接触している窒化物系半導体機能層2の部分上の第1の主電極3と第2の主電極4との間,例えば第1の実施の形態において,第2の窒化物系半導体領域22と接触しかつ第1の主電極3とゲート電極5との間に圧縮応力を有するシリコン酸化膜(第2の絶縁体10B)と,第2の窒化物系半導体領域22と接触しかつ第2の主電極4とゲート電極5との間に引張応力を有するシリコン窒化膜(第1の絶縁体10A)とを有する。図1に示すように,第2の窒化物系半導体領域22の表面上の第1の主電極3とゲート電極5との間において第1の主電極3側に配設され圧縮応力を有する第2の絶縁体10Bと,ゲート電極5側に配設され第1の絶縁体10Aと第2の絶縁体10Bとの間の応力を有するシリコンオキシナイトライド膜(第3の絶縁体10C)としてもよい。なお,第3の絶縁体10Cは,第2の窒化物系半導体領域22の表面上の第2の主電極4とゲート電極5との間のゲート電極5側にも設けてもよい。
【0021】
第1の絶縁体10Aは,その直下の第2の窒化物系半導体領域22に第1の絶縁体10A自身が有する引張応力と反対の圧縮性の歪みを与え,第2の窒化物系半導体領域22に自発分極並びにピエゾ分極の電界強度を弱める方向に変調させ,二次元キャリアガスチャネル23において電子(キャリア)を減少させ,抵抗値(ΔRs)を増加させる。
【0022】
第2の絶縁体10Bは,その直下の第2の窒化物系半導体領域22に第2の絶縁体10B自身が有する圧縮応力と反対の伸張性の歪みを与え,自発分極並びにピエゾ分極の電界強度を強める方向に変調させ,二次元キャリアガスチャネル23において電子を増加させ,抵抗値(ΔRs)を減少させる。」
(ウ)「【0027】
[HEMTの製造方法]
次に,前述のHEMT1の製造方法について,図3乃至図6を使用し,簡単に説明する。
【0028】
まず,第1の窒化物系半導体領域21上に,第1の窒化物系半導体領域21よりも格子定数が小さく,バンドギャップが大きく,引張応力が生じる第2の窒化物系半導体領域22をヘテロ接合により積層した窒化物系半導体機能層2が形成される(図3参照。)。図3に示すように,第2の窒化物系半導体領域22の表面上の全域に圧縮応力を持つような条件において第2の絶縁体10Bが形成される。第2の絶縁体10Bには,例えばプラズマ化学気相成長(PE-CVD)法により圧縮応力を膜が有するように成膜されたシリコン酸化膜が使用される。
【0029】
次に,HEMT1の第2の主電極4とゲート電極5との間に相当する領域において,第2の絶縁体10Bの一部がパターンニングにより除去され,第2の窒化物系半導体領域22の表面の一部が露出される(図4参照。)。パターンニングにはフォトリソグラフィ技術により形成されたマスクが使用され,このマスクから露出する第2の絶縁体10Bがエッチングされる。図4に示すように,第2の絶縁体10Bが除去された領域,すなわち第2の主電極4とゲート電極5との間に相当する窒化物系半導体機能層2の表面上に引張応力を持つような条件において第1の絶縁体10Aが形成される。第1の絶縁体10Aには例えばプラズマ化学気相成長法により引張応力を持つような条件において成膜されたシリコン窒化膜が使用され,このシリコン窒化膜は成膜後にパターンニングされる。パターンニングは,前述の第2の絶縁体10Bと同様に,フォトリソグラフィ技術により形成されたマスクを使用したエッチングにより行う。また,パターンニングにケミカルメカニカルエッチング(CMP)法,エッチングバック法等を使用することによって,第2の絶縁体10Bの第2の主電極4とゲート電極5との間に相当する領域に第1の絶縁体10Aを埋設することができ,かつ第1の絶縁体10Aの表面の高さを第2の絶縁体10Bの表面の高さと一致させることができる。」
イ 引用発明2
前記アより,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「GaN系化合物半導体を用いたHEMTにおいて,パッシベーション膜は第1の絶縁体(シリコン窒化膜)と第2の絶縁体(シリコン酸化膜)とを有し,第1の絶縁体は,その直下の第2の窒化物系半導体領域に圧縮性の歪みを与え,自発分極並びにピエゾ分極の電界強度を弱める方向に変調させ,二次元キャリアガスチャネルにおいて電子を減少させ,抵抗値を増加させ,一方,第2の絶縁体は,その直下の第2の窒化物系半導体領域に伸張性の歪みを与え,自発分極並びにピエゾ分極の電界強度を強める方向に変調させ,二次元キャリアガスチャネルにおいて電子を増加させ,抵抗値を減少させる。」
(4)本願発明と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「GaN電子走行層」,「AlGaN電子供給層」及び「保護層」は「基板上に形成」されるから堆積されるものであることは自明であり,それぞれ本願発明の「第1半導体層」,「前記第1半導体層の上に堆積される第2半導体層」及び「前記第2半導体層の上に堆積される誘電性のパッシベーション層」に相当すると認められる。
イ 引用発明1の「GaN電子走行層のAlGaN電子供給層界面の2DEG」は,高移動度の電子が走行するチャネルとして機能するから,本願発明の「前記第2半導体層との層境界にて前記第1半導体層の中に形成される,ガイドチャネル内の2次元電子ガス」に相当すると認められる。
ウ 引用発明1の「ソース電極とドレイン電極」は,「横方向に離間配置され」,またチャネルとして機能する2DEGと導電的に接続されることは自明であるから,本願発明の「横方向に互いに離間配置された,前記ガイドチャネルに導電的に接続されたソース電極およびドレイン電極」に相当すると認められる。
エ 引用発明1の「ゲート電極」は,「ソース電極とドレイン電極の間に設けられ」るから,本願発明の「前記ソース電極と前記ドレイン電極の間に設けられたゲート電極」に相当すると認められる。
オ 引用発明1の「HEMT」は,下記相違点を除いて,本願発明の「HEMT構造の半導体デバイス」に相当すると認められる。
カ 引用発明1においては「ドレイン電極とゲート電極との間の部分区間に亘り凹部が形成され,GaN電子走行層のAlGaN電子供給層界面の2DEG濃度は凹部下で凹部下以外より小さくなっている」もので,「凹部下」の「部分空間」においてチャネルとして機能する「2DEGの濃度」が「小さくなっている」ということは,すなわち抵抗が,「部分空間」において,凹部下以外の部分空間の両側の隣接領域に比べて高くなっているということであるから,本願発明の「前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ドレイン電極と前記ゲート電極の間の電流方向において不均一になっており,前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ゲート電極と前記ドレイン電極の間に位置する前記ガイドチャネルの部分区間において,前記部分区間の両側に位置するガイドチャネルの隣接領域に比べて高められ」を満たすものである。
キ よって,本願発明と引用発明1とは,下記(ア)の点で一致するが,下記(イ)の点で相違すると認められる。
(ア)一致点
「第1半導体層と,
前記第1半導体層の上に堆積される第2半導体層と,
前記第2半導体層の上に堆積される誘電性のパッシベーション層と,
前記第2半導体層との層境界にて前記第1半導体層の中に形成される,ガイドチャネル内の2次元電子ガスと,
横方向に互いに離間配置された,前記ガイドチャネルに導電的に接続されたソース電極およびドレイン電極と,
前記ソース電極と前記ドレイン電極の間に設けられたゲート電極と,
を有するHEMT構造の半導体デバイスにおいて,
前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ドレイン電極と前記ゲート電極の間の電流方向において不均一になっており,前記ガイドチャネルの層抵抗は,前記ゲート電極と前記ドレイン電極の間に位置する前記ガイドチャネルの部分区間において,前記部分区間の両側に位置するガイドチャネルの隣接領域に比べて高められている,
ことを特徴とするデバイス。」
(イ)相違点
本願発明においては「前記部分区間に亘るパッシベーション層は,前記隣接領域に亘るパッシベーション層とは,組成および/または堆積プロセスのパラメータが異なり,前記部分区間に亘るパッシベーション層は,前記隣接領域に亘るパッシベーション層に対して付加的な構成要素を含む」のに対し,引用発明1の保護膜は前記付加的な構成要素を含まない点。
(5)相違点についての検討
引用発明2は「GaN系化合物半導体を用いたHEMTにおいて,パッシベーション膜は第1の絶縁体と第2の絶縁体を有し,第1の絶縁体は,その直下の分極を弱め,電子を減少させ抵抗値を増加させる」ことを開示しており,引用発明1において,部分区間に亘る「凹部」は電子供給層の分極を小さくしてその下の2DEG濃度を小さくするという作用機能を有するもの(前記(2)ア(イ))であるから,GaN系化合物半導体を用いたHEMTの技術分野において「分極を弱め,二次元キャリアガスチャネルにおいて電子を減少させる」という同一の作用機能を有する引用発明2の「第1の絶縁体」をパッシベーション膜として採用して,凹部に代えることは,当業者が容易に想到することである。
その結果,部分区間に亘るパッシベーション膜は第1の絶縁体とし,隣接領域に亘るパッシベーション膜は第2の絶縁体とすることで,組成が異なること,かつ,引用発明2のパッシベーション膜は第2の絶縁体の一部を除去し,その領域に第1の絶縁体が形成される(前記(3)ア(ウ))から,付加的な構成要素となること,は当然に導出される。
よって,相違点に係る構成は当業者が容易に想到できるものである。
(6)本願発明の効果について
本願発明の効果は,引用発明1及び2の構成から当業者が予測できるものであり,格別のものではない。
(7)まとめ
したがって,本願発明は,引用発明1及び2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 結言
したがって,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-25 
結審通知日 2016-10-31 
審決日 2016-11-11 
出願番号 特願2013-510499(P2013-510499)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 朋一  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 小田 浩
深沢 正志
発明の名称 高電子移動度および不均一な層抵抗を有するガイドチャネルを備えたトランジスタ  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 上島 類  
代理人 二宮 浩康  

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