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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1326780 |
審判番号 | 不服2016-1215 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-01-28 |
確定日 | 2017-04-05 |
事件の表示 | 特願2011- 89658「データ保存向けのエネルギー及び空間効率のよい検出」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月10日出願公開、特開2011-227985〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年4月14日(パリ条約による優先権主張 2010年4月21日 米国(US))に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成26年 4月 9日 拒絶理由通知 :平成26年 9月19日(起案日) 意見書 :平成26年12月 4日 手続補正 :平成26年12月 4日 拒絶理由通知(最後) :平成27年 3月12日(起案日) 意見書 :平成27年 5月14日 手続補正 :平成27年 5月14日 補正却下の決定 :平成27年10月19日(起案日) 拒絶査定 :平成27年10月19日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成28年 1月28日 手続補正 :平成28年 1月28日 第2 平成28年1月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年1月28日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成28年1月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、請求項1については、本件補正前に、 「 【請求項1】 光学媒体(12)のマイクロホログラムに向かって送られた読取りビーム(16)からの反射を検出するように構成された光学素子(14)と、 前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて第1のデータストリーム(76)を生成するように構成された光学読取り回路(28)と、 第1のデータストリーム(76)に対してチェックサムテスト(82、84)を適用するように構成されたチェックサム回路(58)と、 第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定する(84)ように構成されたプロセッサ(28、58)と、 プロセッサ(28、58)により第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定されたときに非起動となり、デコード処理が行われないように構成され、かつプロセッサ(28、58)により第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定されたときに起動され、デコード処理を行うように構成されたデコーダ(60)と、 を備える光学読取り機システム(10)。」 とあったところを、 本件補正後、 「 【請求項1】 光学媒体(12)のマイクロホログラムに向かって送られた読取りビーム(16)からの反射を検出するように構成された光学素子(14)と、 前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を生成するように構成された光学読取り回路(28)と、 エンコードされた第1のデータストリーム(76)に対してチェックサムテスト(82、84)を適用するように構成されたチェックサム回路(58)と、 第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定し(84)、適合と判定された、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を出力させる(86)ように構成されたプロセッサ(28、58)と、 プロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定されたときに非起動となり、デコード処理が行われないように構成され、かつプロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定されたときに起動され、エンコードされた第1のデータストリーム(76)をエンコードされる前の第1のデータストリーム(76)とするデコード処理を行うように構成されたデコーダ(60)と、 を備える光学読取り機システム(10)。」 とするものである。 上記本件補正の内容は、請求項1について、発明特定事項である「前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて、光学読取り回路(28)により生成される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」と限定し、「チェックサム回路(58)によりチェックサムテスト(82、84)を適用される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」と限定し、「第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定する(84)ように構成されたプロセッサ(28、58)」について「適合と判定された、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を出力させる(86)」と限定し、「プロセッサ(28、58)によりチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定される第1のデータストリーム(76)」及び「プロセッサ(28、58)によりチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」と限定し、「デコーダ(60)により行われるデコード処理」について「エンコードされた第1のデータストリーム(76)をエンコードされる前の第1のデータストリーム(76)とする」と限定したものである。 本件補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-139026号公報(平成9年5月27日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、光ディスク等のディジタルデータ再生装置に関する。」 (2)「【0012】この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、データの誤り検出や訂正を効率良く行うことができるディジタルデータ再生装置を得ることを第1の目的とする。また、第2の目的は、上記誤り訂正ブロックの境界、または先頭を容易に検出できるディジタルデータ再生装置を得ることである。さらに、第3の目的は、復調処理が終わった段階でシステムマイコン17が検索できるようにしてデータのアクセス性を向上させたディジタルデータ再生装置を得ることである。」 (3)「【0003】以下、動作について説明する。システムマイコン17の動作指令を受け、サーボ回路4によって、光ピックアップ2やディスクモータ3が駆動されると、光ディスク1が回転して光ピックアップ2より再生信号が読みとられる。再生信号はアンプおよび波形等化器5で増幅され、ディジタル信号に変換されると、復調回路6で16ビットの再生データが8ビットの再生データに変換される処理が行われ、誤り訂正回路7で前記再生データ内の誤り訂正符号による誤り訂正が行われる。その際、データは一旦メモリ8にストアされ、誤り訂正回路7で演算されたアドレスのデータが読み出されて訂正される。」 (4)「【0023】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1であるディジタルデータ再生装置を示すブロック図である。図において、1は光ディスク、2はデータ読みとり用光ピックアップ(P.U)、3は光ディスク1を回転させるディスクモータ、4は光ピックアップ2やディスクモータ3を制御するサーボ回路、5はアンプおよび波形等化器、6は復調回路、7は誤り訂正回路、8は誤り訂正用のメモリ、9はデスクランブルおよびEDC回路によるチェック回路、10はバッファメモリ、11はバッファメモリ10の制御回路、12はシステムデコーダ、13はビデオ用デコーダ、14はオーディオ用デコーダ、15はビデオ出力端子、16はオーディオ出力端子、17は上記システム全体を制御するシステムマイコン、18は誤り検出を行うPRE-EDCおよびデスクランブル回路、19はPOST-EDCおよびデスクランブル回路である。さらに、40は誤り訂正回路7の動作を制御する誤り制御回路である。」 (5)「【0026】次に、実施の形態1の動作を、前記従来例と同様の動作が行われる部分の動作説明は省略し、異なる部分の動作を詳しく説明する。まず、復調回路6で16ビットの再生データが8ビットの再生データに変換され、一旦メモリ8にストアされると、PRE-EDCおよびデスクランブル回路18は、メモリ8から1セクタ分を1単位として再生データを読み出してデスクランブル処理を行った後、1セクタ毎に再生データに付加されているEDCを用いて当該セクタ内のデータの誤り検出を行う。この誤り検出結果は、誤り検出フラグとしてメモリ8の所定領域に記憶される。」 (6)「【0027】次に、誤り制御回路40によってメモリ8から1ブロック分の誤り検出フラグが読み出され、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合には、誤り制御回路40によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が中止されて、そのままPOST-EDCおよびデスクランブル回路19に転送され、当該ブロックのデータがデスクランブル処理されると、バッファメモリ10に転送されて蓄えられる。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)引用例には、「光ディスクのディジタルデータ再生装置」が記載されている(摘示事項(1))。 (b)「光ディスクのディジタルデータ再生装置」は、光ディスク1、データ読みとり用光ピックアップ(P.U)2、アンプおよび波形等化器5、復調回路6、誤り訂正回路7、誤り訂正用のメモリ8、バッファメモリ10、誤り検出を行うPRE-EDCおよびデスクランブル回路18、POST-EDCおよびデスクランブル回路19、誤り訂正回路7の動作を制御する誤り制御回路40を備える(摘示事項(4))。 (c)光ピックアップ2より再生信号が読みとられる。再生信号はアンプおよび波形等化器5で増幅され、ディジタル信号に変換される(摘示事項(3))。 (d)復調回路6で16ビットの再生データが8ビットの再生データに変換され、一旦メモリ8にストアされると、PRE-EDCおよびデスクランブル回路18は、メモリ8から1セクタ分を1単位として再生データを読み出してデスクランブル処理を行った後、1セクタ毎に再生データに付加されているEDCを用いて当該セクタ内のデータの誤り検出を行う。この誤り検出結果は、誤り検出フラグとしてメモリ8の所定領域に記憶される(摘示事項(5))。 (e)誤り制御回路40によってメモリ8から1ブロック分の誤り検出フラグが読み出され、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合には、誤り制御回路40によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が中止されて、そのままPOST-EDCおよびデスクランブル回路19に転送され、当該ブロックのデータがデスクランブル処理されると、バッファメモリ10に転送されて蓄えられる(摘示事項(6))。 以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「光ディスクのディジタルデータ再生装置であって、 光ディスク1、データ読みとり用光ピックアップ(P.U)2、アンプおよび波形等化器5、復調回路6、誤り訂正回路7、誤り訂正用のメモリ8、バッファメモリ10、誤り検出を行うPRE-EDCおよびデスクランブル回路18、POST-EDCおよびデスクランブル回路19、誤り訂正回路7の動作を制御する誤り制御回路40を備え、 光ピックアップ2より再生信号が読みとられ、再生信号はアンプおよび波形等化器5で増幅され、ディジタル信号に変換され、 復調回路6で16ビットの再生データが8ビットの再生データに変換され、一旦メモリ8にストアされると、PRE-EDCおよびデスクランブル回路18は、メモリ8から1セクタ分を1単位として再生データを読み出してデスクランブル処理を行った後、1セクタ毎に再生データに付加されているEDCを用いて当該セクタ内のデータの誤り検出を行い、この誤り検出結果は、誤り検出フラグとしてメモリ8の所定領域に記憶され、 誤り制御回路40によってメモリ8から1ブロック分の誤り検出フラグが読み出され、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合には、誤り制御回路40によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が中止されて、そのままPOST-EDCおよびデスクランブル回路19に転送され、当該ブロックのデータがデスクランブル処理されると、バッファメモリ10に転送されて蓄えられる光ディスクのディジタルデータ再生装置。」 3.対比 そこで、本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)光学読取り機システム 引用発明の「光ディスクのディジタルデータ再生装置」は「光学読取り機システム」といえる。 (2)光学素子 引用発明の「光ディスク1」は「光学媒体」といえる。また、「データ読みとり用光ピックアップ(P.U)2」は「光学素子」といえ、再生信号を読みとる。そして、「データ読みとり用光ピックアップ(P.U)2」が「光ディスク1」に向かって送られた読取りビームからの反射を検出するように構成されたものであることは、技術常識である。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、「光学媒体(12)に向かって送られた読取りビーム(16)からの反射を検出するように構成された光学素子(14)」を備える点で一致する。 もっとも、「読取りビーム(16)を反射するもの」について、本件補正発明は、「マイクロホログラム」であるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。 (3)光学読取り回路 引用発明において、光ピックアップ2より読みとられた再生信号は、「アンプおよび波形等化器5」で増幅され、ディジタル信号に変換され、「復調回路6」で16ビットの再生データが8ビットの再生データに変換されるから、「アンプおよび波形等化器5」と「復調回路6」とは「光学読取り回路」といえる。そして、「再生データ」は、誤り訂正回路7での誤り訂正動作の対象となるものであるから、「エンコードされた第1のデータストリーム」といえる。 したがって、本件補正は発明と引用発明とは、「前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を生成するように構成された光学読取り回路(28)」を備える点で一致する。 (4)チェックサム回路 引用発明の「PRE-EDCおよびデスクランブル回路18」は、メモリ8から1セクタ分を1単位として再生データを読み出してデスクランブル処理を行った後、1セクタ毎に再生データに付加されているEDCを用いて当該セクタ内のデータの誤り検出を行うから、「チェックサム回路」といえる。そして、本件補正発明と引用発明とは、「エンコードされた第1のデータストリーム(76)に対してチェックサムテスト(82、84)を適用するように構成されたチェックサム回路(58)」を備える点で一致する。 (5)プロセッサ 引用発明において、「誤り制御回路40」によってメモリ8から1ブロック分の誤り検出フラグが読み出され、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合には、「誤り制御回路40」によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が中止されて、そのままPOST-EDCおよびデスクランブル回路19に転送され、当該ブロックのデータがデスクランブル処理されると、バッファメモリ10に転送されて蓄えられるから、「誤り制御回路40」は「プロセッサ」といえる。そして、本件補正発明と引用発明とは、「第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定し(84)、適合と判定された、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を出力させる(86)ように構成されたプロセッサ(28、58)」を備える点で一致する。 (6)デコーダ 引用発明の「誤り訂正回路7」と「誤り訂正用のメモリ8」とは「デコーダ」といえる。誤り制御回路40によってメモリ8から1ブロック分の誤り検出フラグが読み出され、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合には、誤り制御回路40によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が中止される。そして、1ブロックを構成するすべてのセクタに誤りがない場合に該当しない場合には、誤り制御回路40によって当該ブロックの誤り訂正回路7での誤り訂正動作が行われると認められる。また、誤り訂正動作を行うということは、誤り訂正符号化されたデータを誤り訂正符号化される前のデータに復号化することである。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、「プロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定されたときに非起動となり、デコード処理が行われないように構成され、かつプロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定されたときに起動され、エンコードされた第1のデータストリーム(76)をエンコードされる前の第1のデータストリーム(76)とするデコード処理を行うように構成されたデコーダ(60)」を備える点で一致する。 そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「光学媒体(12)のマイクロホログラムに向かって送られた読取りビーム(16)からの反射を検出するように構成された光学素子(14)と、 前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を生成するように構成された光学読取り回路(28)と、 エンコードされた第1のデータストリーム(76)に対してチェックサムテスト(82、84)を適用するように構成されたチェックサム回路(58)と、 第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定し(84)、適合と判定された、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を出力させる(86)ように構成されたプロセッサ(28、58)と、 プロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定されたときに非起動となり、デコード処理が行われないように構成され、かつプロセッサ(28、58)によりエンコードされた第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定されたときに起動され、エンコードされた第1のデータストリーム(76)をエンコードされる前の第1のデータストリーム(76)とするデコード処理を行うように構成されたデコーダ(60)と、 を備える光学読取り機システム(10)。」の点。 そして、次の点で相違する。 <相違点> 「読取りビーム(16)を反射するもの」について、本件補正発明は、「マイクロホログラム」であるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。 4.判断 そこで、上記相違点について検討する。 光ディスク装置において、光スポットサイズの小さなホログラムでなる記録マークへ光ビームを照射し、記録マークから発生する再生光ビームの光量を検出することは周知である(例えば、特開2008-251134号公報の【0007】ないし【0017】参照。)から、引用発明において、「読取りビーム(16)を反射するもの」として「マイクロホログラム」を採用することは、当業者が容易に想到し得る。 また、効果についてみても、上記構成の変化に伴って当業者であれば予測し得る程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 したがって、本件補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成28年1月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年12月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]3.及び4.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である「前記光学媒体(12)からの前記読取りビーム(16)の反射に基づいて、光学読取り回路(28)により生成される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」との構成を削除し、「チェックサム回路(58)によりチェックサムテスト(82、84)を適用される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」との構成を削除し、「第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定する(84)ように構成されたプロセッサ(28、58)」について「適合と判定された、エンコードされた第1のデータストリーム(76)を出力させる(86)」との構成を削除し、「プロセッサ(28、58)によりチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定される第1のデータストリーム(76)」及び「プロセッサ(28、58)によりチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定される第1のデータストリーム(76)」について「エンコードされた」との構成を削除し、「デコーダ(60)により行われるデコード処理」について「エンコードされた第1のデータストリーム(76)をエンコードされる前の第1のデータストリーム(76)とする」との構成を削除したものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-11-01 |
結審通知日 | 2016-11-08 |
審決日 | 2016-11-21 |
出願番号 | 特願2011-89658(P2011-89658) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 洋介 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 國分 直樹 |
発明の名称 | データ保存向けのエネルギー及び空間効率のよい検出 |
代理人 | 小倉 博 |
代理人 | 黒川 俊久 |
代理人 | 荒川 聡志 |
代理人 | 田中 拓人 |