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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01M
審判 全部申し立て 5項3号及び6項 請求の範囲の記載形式不備  H01M
管理番号 1327006
異議申立番号 異議2016-700543  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-14 
確定日 2017-04-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第5832450号発明「充放電検査システム、充放電検査装置のための校正システム及び校正装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5832450号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5832450号(請求項の数[7]、以下、「本件特許」という。)は、2012年1月4日(優先権主張2011年1月7日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1?7に係る発明について、平成27年11月6日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年12月14日付けで取消理由を通知し、平成29年2月17日付けで意見書が提出されたものである。

2.本件発明
特許第5832450号の請求項1?7に係る発明の特許は、下記の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものである。(以下、本件請求項1?7に係る発明を、それぞれ「本件発明1」?「本件発明7」という。)(「A:」?「S:」の文字は、本件発明を分説した構成要件として当審で付与。)
「【請求項1】
A:検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置であって、電源と、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットと、個々の電池検査ユニットに設けられており前記電源から各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備える充放電検査装置と、
B:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置と、
C:前記校正装置を任意の電池検査ユニットへと、前記少なくとも1つの接続端子を前記複数の接触子の少なくとも1つに接続可能とする搬送位置に位置決めするための搬送装置と、を備え、
D:前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行することを特徴とする充放電検査システム。
【請求項2】
E:前記電池検査ユニットは、前記複数の二次電池と前記複数の接触子とが相対的に進退可能とされ、接触子に対する二次電池の相対前進によって各接触子が対応する二次電池に接続されるよう構成されており、
F:前記少なくとも1つの接続端子は前記搬送位置において、前記搬送装置の搬送方向に関して二次電池の位置決めされるべき位置に位置決めされ、
G:前記複数の接触子の少なくとも1つと前記少なくとも1つの接続端子とは、前記電池検査ユニットでの二次電池の相対前進と同方向の相対移動によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の充放電検査システム。
【請求項3】
H:前記搬送装置は、前記電池検査ユニットの外側に配置される支持部と、該支持部から進退可能に構成されており前記校正装置を前記支持部から前記搬送位置へと直線的に移動させて位置決めするためのアーム部と、を備え、
I:前記校正装置は、前記アーム部により位置決めされる際に前記充放電検査装置との干渉を避けるよう外形が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の充放電検査システム。
【請求項4】
J:前記校正装置は、前記接続端子を含み前記電池検査ユニットに収容可能な寸法に形成されている第1部分と、該第1部分と電気的に連結された第2部分と、を備え、
K:前記搬送装置は、前記第1部分を前記搬送位置に位置決めし、前記第2部分を前記電池検査ユニットの外側に保持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の充放電検査システム。
【請求項5】
L:前記校正装置が前記校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の充放電検査システム。
【請求項6】
M:前記校正装置が前記校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置は待機し、
前記充放電検査システムは、前記複数の二次電池を任意の電池検査ユニットへと搬送するための、前記搬送装置とは別の搬送装置を備え、
N:前記別の搬送装置が前記他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の充放電検査システム。
【請求項7】
O:二次電池の充放電検査装置のための校正システムであって、
P:前記充放電検査装置は、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットと、個々の電池検査ユニットに設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備えており、
Q:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置と、
R:任意の電池検査ユニットにおいて前記校正装置を、前記複数の接触子の少なくとも1つを前記少なくとも1つの接続端子に接続可能とする搬送位置に位置決めするための搬送装置と、を備え、
S:前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されることを特徴とする校正システム。」

3.取消理由の概要
当審において、請求項1?7に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
「A.本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

請求項1-7
甲第1号証:特開2002-148323号公報
甲第2号証:米国特許第5914609号明細書
甲第3号証:特開平7-97004号公報
甲第4号証:特開2000-30762号公報

B.本件特許は、明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1によると「他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」には、搬送停止状態でなければならないが、請求項1を引用する請求項5では「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用され」ているから、搬送が行われており、両者は矛盾し、構成が不明である。
(2)請求項6に「校正装置が前記校正プロセスを実行しているとき、・・・別の搬送装置が前記他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」と記載されているが、請求項1の「前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」ことと相反する動作であるので、当該記載で特定される事項が不明確である。
すなわち、請求項1の「他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」は、搬送停止状態でなされるはずのものであるが、請求項6では「他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」(すなわち、搬送が行われている)とされていて相反する。」

4.各甲号証の記載事項
(1)甲第1号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、「測定装置の検査装置および検査方法」に関して、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付与。)
(ア)「【0015】本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、・・(中略)・・電圧・電流の設定・測定精度、抵抗・インピーダンスの測定精度の調整を自動化することによって手間を省き、精度管理を自動的に行なうことができるようにした測定装置の検査装置および検査方法を提供することを目的とする。」
(イ)「【0018】・・(中略)・・被測定物を測定装置に装着する被測定物装着治具とほぼ同一の形状の検査治具を用い、前記検査治具に前記被測定物の数と同一のチャンネルを設定し、総てのチャンネルの電気的物理量を測定することを特徴とする測定装置の検査方法に関するものである。」
(ウ)「【0026】(6)配線検査方法に係り、(1)項に記載の切換装置または(3)項に記載の精度確認システムを使用し、フィクスチャの持つ複数のチャンネルの内の1つのチャンネルのみに測定装置側から、あるいは切替装置側から電源を接続し、その位置の電気的物理量を測定装置側あるいは切替装置側の内の電源を供給しなかった側に内蔵する測定手段で測定し、設定した電気的物理量に近い値が測定されるかどうかを確認する方法である。」
(エ)「【0027】(7)一体型マスター装置に関するものであって、(3)項に記載の精度検査システムの内、測定装置を除いた手段と、制御手段に接続した無線通信手段とを備え、これらを(1)項に記載の切替装置に内蔵するものである。このような構成によって、被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能になる。」
(オ)「【0034】・・(中略)・・これによって小型で自動搬送装置の利用が可能になる。」
(カ)「【0036】
【発明の実施の形態】本実施の形態は、二次電池の生産工程に使用する充放電測定装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置に関する。以下に測定装置および検査装置について次の目次の順に説明する。」
(キ)「【0043】二次電池の生産工程に使用する別の測定装置は、図4に示すような二次電池の充放電特性の測定を行なう装置である。」
(ク)「【0044】・・(中略)・・このような充放電特性の測定を兼ねた充放電測定装置が図4に示される。充放電装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって、図1に示す測定装置に代替して用いられる。」
(ケ)「【0046】この測定装置の中心をなす充放電ユニット161はとくに図5に示すように、制御部171、電源部19、充放電部18、選択部68、開閉部69から構成される。なおこの構成は図2に示す測定ユニットの構成を含んでいる。」
(コ)「【0048】電源部19は変圧器、整流器、安定化回路から構成され、交流200V等の外部電力源を充放電部18や制御部171に適した直流電圧に変換して供給する。充放電部18は差動アンプ、シャント抵抗、FET等から構成され、制御部171からの充電・放電の切替え設定、電圧・電流設定に従って二次電池の充放電を行なう。」
(サ)「【0049】・・(中略)・・電池トレイ1は図7?図9に示される。トレイ1には電池を収納する複数の保持孔5が所定の配列で形成されており、これらの保持孔5にそれぞれ二次電池が正極を上側にして負極を下側にした状態で挿入される。」
(シ)「【0052】(3)フィクスチャ
次に上記のトレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するフィクスチャ14について説明する。フィクスチャ14は図10および図11に示すようなほぼ正方形の板から成るピンボード6を備えている。図10はこのようなピンボード6を上から見た状態を示し、図11はピンボード6の図10におけるA?A断面図を示している。ピンボード6には格子状に並んだ100本のピン7が取付けられている。」
(ス)「【0053】図12に示すようにピン7は金属製であってその先端部が電池4と接触するようになっている。」
(セ)「【0054】図13に示すようにそれぞれ100本ずつのピン7を装着した上下一対のピンボード6a、6bによってフィクスチャ14が構成される。上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なうようになっている。シリンダ等の移動機構によって上側のピンボード6aは下方に向って、下側のピンボード6bは上方に向って平行移動できるようになっている。」
(ソ)「【0055】図14に示すように・・(中略)・・そして二次電池4の正極に上側のピンボード6aのピン7が接触し、二次電池の負極に下側のピンボード6bのピン7が接触する。なおガイドピン13はトレイ1の1カ所に設けられたガイドピン用穴2と嵌合し、トレイ1の設置方向の間違いを防ぐようにしている。」
(タ)「【0056】この状態で二次電池4の充放電が行なわれる。」
(チ)「【0064】(1)システム構成
図17および図18はこの測定精度検査装置53のシステム構成を示している。制御手段50は市販のパソコン50a、LANインターフェース50b、およびI/O装置50cから構成される。パソコン50aは表示装置を含んでいる。LANインターフェース50bは制御手段50と他の制御装置との通信のためのもので、LANケーブルによって充放電装置541に接続される。
【0065】I/O装置50cは16ビットのデジタル出力ができるボードであって、切替装置29およびボード切替手段41に接続される。パソコン50aとDMM(デジタルマルチメータ、電流・電圧測定器)39の通信はシリアル方式RS-232Cによって行なわれる。モード41の切替えは制御手段50からの充電放電・電圧・電流のモードによってI/O装置50cの出力で行なうように構成される。また制御手段50と充放電装置541との通信はTCP/IPで行なわれる。
【0066】パソコン50aにはプログラムによって精度検査の条件設定、結果表示、データ保存、充放電ユニット161との通信、切替装置29の制御、モード切替手段41の制御、デジタルマルチメータ39の制御の機能を持たせる。デジタルマルチメータ(DMM)39、直流電源40、測定装置54、フィクスチャ14については上述の測定装置の項で説明したのでその説明を省略する。
【0067】モード切替手段41は充電・放電、電圧・電流のモードにおいてDMM39やDC電源40が切替装置29に対して適切な接続になるように切替える回路であって、図21に示す測定切替部と同じ構成である。この回路のスイッチを表1に示すように切替えればそれぞれの測定に適した接続が達成される。
【0068】
【表1】
ここで精度測定装置の制御手段50にノート型パーソナルコンピュータ50a(ソニー株式会社製PCG-888)にマイクロソフト製OSのWindows98をインストールしたものを、またLANインターフェース50bとしてエレコム社製LANEED LD-CDFを、I/O装置50cとしてコンテック社製PIO-24W(PM)から構成した。パソコン50aにインストールするプログラムは、マイクロソフト社製Visual C++によって作成した。
【0069】DMM(デジタルマルチメータ)39は、日本ヒューレット・パッカード社製34401A、直流電源40は菊水電子工業株式会社製PAK20-18を使用し、モード切替手段41としてMOSFET(日本電気株式会社製μPA1751)によって構成した。切替装置29、充放電装置541、およびフィクスチャ14については既に説明したので省略する。このような装置によって測定装置の精度設定および測定精度を約10分間で検査することができ、迅速かつ正確に検査できることが確認された。」
(ツ)「【0079】(2)チャンネル切替装置測定精度検査装置における切替装置29は、測定装置54のフィクスチャ14に設置することができるようにするために、外形寸法や電極の位置を、測定装置54のフィクスチャ14に装填される被測定物の容器であるトレイ1の外形寸法や、同トレイ1に入れた被測定物である二次電池4の電極の配置と同じようにしている。」
(テ)「【0082】図22にこの切替装置29の外観を示す。切替装置29の外形寸法は、電池製造ラインで使用される電池トレイ1と同一形状でかつ同じ寸法であって、フィクスチャ14とトレイ1に位置決め用の凹凸等の構造があれば切替装置29もその形状を同じくして測定装置54のフィクスチャ14に電池トレイ1と同様にセットすることができるようにする。」
(ト)「【0087】図25は樹脂製の補強板30bを示している。・・(中略)・・ボードアッシ30は金属製の電極30cを備え、プリント基板30aのランド30dに接続されている。そしてこの電極30cがフィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する。」
(ナ)「【0107】(4)アナログ値とデジタル値の変換
本実施の形態の測定装置の測定精度検査装置53は、この検査装置によって得らた電気的物理量を測定データを利用して測定装置54による測定を正確にするものである。以下にその一例として、充放電装置541の電圧・電流測定値を校正する場合の基本的に原理を説明する。」
(ニ)「【0124】3.抵抗・インピーダンス精度測定・検査装置
(1)システム構成
本実施の形態の測定精度検査装置53は、インピーダンス測定検査システムを含んでいる。図32に示すようにこの測定精度検査装置53は、標準抵抗装置42と、制御手段50と、抵抗・インピーダンス測定手段55と、標準抵抗装置42と抵抗・インピーダンス測定手段55との接続手段56とを含む検査装置53と、制御装置およびフィクスチャ14を含む測定装置54とから構成される。なおこの構成の具体的なブロックは、図33に示される。」
(ヌ)「【0137】・・(中略)・・外枠47には測定装置54のフィクスチャ14に備えられた位置決めピンに合うような穴があけられている。」
(ネ)「【0165】4.一体型測定精度検査装置
(1)切替え式測定精度検査装置
上記測定精度検査装置53は切替装置29の外側に接続されていたが、各機器を小型化して切替装置29の筐体内に内蔵することによって、一体型マスター装置とすることが可能になる。この装置を図39?図41によって説明する。・・(中略)・・
【0166】図41に示すようにボードアッシ30、枠31、ケーブル32、33、カバー35、36は図23に示す切替装置と同様になっているので、その説明を省略する。」
(ノ)「【0167】・・(中略)・・被測定物と同様に自動搬送ができる一体型検査装置が得られる。」
(ハ)「【0169】・・(中略)・・電池トレイと同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置が得られた。」
(ヒ)「【0173】・・(中略)・・電池トレイと同様に自動搬送できるトレイ型精度測定マスター装置が得られた。」
(フ)「【0177】従ってこのような測定装置の検査方法によれば、検査治具に設定される被測定物の数と同一のチャンネルの総てについて電気的物理量が自動的に測定されるようになり、測定装置の検査の自動化が達成されるようになる。」

(ヘ)記載事項(カ)の「二次電池の生産工程に使用する充放電測定装置」は、記載事項(キ)の「二次電池の充放電特性の測定を行なう装置」であって、そのフィクスチャ14が記載事項(シ)の「格子状に並んだ100本のピン7が取付けられ」たものであって、図14に示されたように、複数の二次電池がピン7に接続され、記載事項(タ)の「二次電池4の充放電が行なわれる」ものであるので、複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置といえる。
(ホ)記載事項(ネ)の「一体型測定精度検査装置」は、測定精度検査装置53の「各機器を小型化して切替装置29の筐体内に内蔵」したものであって、記載事項(カ)の「充放電測定装置の検査装置」の一態様となるものであり、かつ、記載事項(ナ)の「この検査装置によって得らた電気的物理量を測定データを利用して測定装置54による測定を正確にするものである」測定精度検査装置53を切替装置29の筐体内に内蔵したものであって、測定精度検査装置53と同様の機能を備えるものであるので、充放電測定装置の検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して測定装置54による測定を正確にするものといえる。
(マ)図14には「電池トレイを装填したフィクスチャの断面図」が記載されており、複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するフィクスチャ14が示されている。
(ミ)記載事項(ネ)の「一体型測定精度検査装置」は、測定精度検査装置53の「各機器を小型化して切替装置29の筐体内に内蔵」したものであって、記載事項(カ)の「充放電測定装置の検査装置」の一態様となるものであり、「図41に示すようにボードアッシ30、枠31、ケーブル32、33、カバー35、36は図23に示す切替装置と同様」になっている。
そうすると、図23の切換装置29のボードアッシ30は、記載事項(ト)の「ボードアッシ30は金属製の電極30cを備え、プリント基板30aのランド30dに接続されている。そしてこの電極30cがフィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する。」ものであるので、一体型測定精度検査装置も、フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備えるといえる。
そして、記載事項(ネ)の「一体型測定精度検査装置」は、記載事項(ハ)の「電池トレイと同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置」であるので、フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え、トレイ1と同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置といえる。

上記記載事項及び図面の記載から、甲第1号証には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置であって、
a:充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって、
充放電ユニット161は、制御部171、電源部19、充放電部18、選択部68、開閉部69から構成されており、
フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え、上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なうようになっており、複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するものであり、
トレイガイド12のガイドピン13はトレイ1の1カ所に設けられたガイドピン用穴2と嵌合し、トレイ1の設置方向の間違いを防ぐようにしており、
トレイ1には電池を収納する複数の保持孔5が所定の配列で形成されており、これらの保持孔5にそれぞれ二次電池が正極を上側にして負極を下側にした状態で挿入され、
b:充放電測定装置の検査装置は、前記検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にするものであって、
フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え、トレイ1と同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置であり、
c:被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能である
装置。」

(2)甲第2号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、「半自動較正を使用した電池充電と電池検査の方法及びシステム」に関して、次の事項が記載されている。(括弧内は甲第2号証の2を仮訳としたもの。)
(ア)「This invention relates to rechargeable batteries and small cell formation, and in particular to a method and system for charging and testing batteries that includes a semi-automatic calibration system operably connected thereto.」(1欄15?18行)
(「本発明は、充電式電池及び小型セル形成に係り、特に半自動較正システムが動作可能に接続された電池の充電及び検査の方法及び装置に係る。」)
(イ)「BRIEF SUMMARY OF THE INVENTION
Accordingly, one object of the present invention is to provide a new and improved method and system for battery charging and testing that provides for semi-automatic calibration of associated testing and charging equipment.」(3欄3?7行)
(「発明の簡単な要旨
これに応じて、本発明の一つの目的は、検査/充電装置の半自動較正を行う、新しく、改善された電池充電・電池検査の方法及びシステムを提供することである。」)
(ウ)「Another object of this invention is to provide an improved method and system for battery charging and testing with semi-automatic calibration that can process a large number of battery cells simultaneously, and maintain accurate control of formation, data acquisition and testing processes for each cell at all times.
Yet another object of this invention is to provide an improved method and system for battery charging and testing with semi-automatic calibration that requires minimal operator intervention during charging, testing and calibration processes to load, connect, process, disconnect and unload cell trays and calibration trays to and from the charging and testing equipment.」(3欄19?31行)
(「本発明のもう一つの目的は、同時に多数の電池セルを処理でき、各セルに対し、フォーメーション・データ取得・及び検査プロセスの正確な制御が常に維持できる、半自動較正を使用した電池充電及び電池検査の改善された方法及びシステムを提供することである。
本発明の更にもう一つの目的は、充電、検査、及び較正の間にセルトレイや較正トレイを充電/検査装置へ装着、接続、処理し、充電/検査装置から取り外すための操作者の介入の必要性が最小限に抑えられた、半自動較正を使用した電池充電及び電池検査の改善された方法及びシステムを提供することである。」)
(エ)「Referring now to FIG. 1, there is shown one illustrative embodiment of a battery charging and testing system of the present invention, indicated generally at 30, including a plurality of charger modules 37 associated with battery charging and testing equipment 32, and a plurality of cell rack modules 34 contained in a cell rack cabinet 36. Each cell rack module 34 is operably connected to one charger module 37 by a plurality of connecting cables 38.」(5欄50?57行)
(「図1を参照すると、概して符号30で表される、本発明の電池充電/検査システムの一実施例が示されており、このシステムは、電池充電/検査装置32に関連する複数の充電モジュール37と、セルラックキャビネット36内に収められた複数のセルラックモジュール34とを有する。各セルラックモジュール34は、複数の接続ケーブル38によって一つの充電モジュール37に動作可能に接続されている。」)
(オ)「Each cell rack module 34 is adapted to receive therein either a calibration tray 40 (FIG. 13) for calibrating the charging and testing equipment 32, or a cell tray 42 (FIG. 14) containing a plurality of battery cells 44 therein that are formed or evaluated by the charging and testing equipment 32.」(5欄61?66行)
(「各セルラックモジュール34は、充電/検査装置32を較正するための較正トレイ40(図13)又は、充電/検査装置32によって形成又は評価される複数の電池セル44を収めるセルトレイ42 (図14)のいずれかの受け手となる。当業者であれば分かる通り、本発明はl以上の電気化学セルを有する電池組立体と共に使用することができる。」)
(カ)「As shown in FIG. 13, each calibration tray 40 includes two contact plates 52, namely a first or upper (top) contact plate 52a that acts as a positive terminal, and a second or lower (bottom) contact plate 52b that acts as a negative terminal.」(6欄22?26行)
(「図13に示す通り、各較正トレイ40は二枚の接触板52、具体的には正極として働く第1又は上方(頂部)接触板52a、及び負極として働く第2又は下方(底部)接触板52bを有する。」)
(キ)「As shown in FIG. 2, each charger module 37 of the battery testing and charging equipment 32 includes charging and testing circuitry 53.」(6欄45?47行)
(「図2に示すように、電池検査/充電装置32の各充電モジュール37は、充電/検査電気回路53を有する。」)
(ク)「In the preferred embodiment, an internal transformer T1, rectifiers CR1-CR6, choke L1, resistor RA, capacitors C1-C3, and four DC power supplies PS1, PS2, PS3, and PS4 (indicated generally at block 60) shown in FIG. 2 provide various DC voltages and currents necessary for the charging and test equipment 32 to perform its intended functions.」(8欄10?15行)
(「好ましい実施例では、図2に示す内部変圧器T1、整流器CR1?CR6、チョークL1、抵抗器RA、コンデンサC1?C3、4つの直流電源PS1、PS2、PS3、PS4(概してブロック60に示す)が、充電/検査装置32が目的の機能を果たすために必要な様々な直流電圧及び電流を供給する。」)
(ケ)「Depending upon the configuration of the battery cell 44 to be tested, the pin assemblies 48 are mounted in the cell rack module 34 either on a single movable platen 50, or on two movable platens 50」(10欄1?4行)
(「被検査電池セル44の構造に応じて、ピン組立体48は、一つの可動プラテン50上にあるセルラックモジュール34、又は二つの可動プラテン50上にあるセルラックモジュール34のいずれかに取り付けられる。」)

(3)甲第3号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、「倉庫」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「【0011】本発明を適用した自動倉庫は、図1に示すように、複数のバッテリ1を収納するトレイ10と、複数のバッテリ1が収納された上記トレイ10を保管する複数の棚20と、該棚20に上記トレイ10を格納する自動クレーン30と、上記各棚20に設けられ、上記トレイ10に収納されて棚20に保管されているバッテリ1を検査する測定ユニット40とを備える。
【0012】そして、この自動倉庫では、バッテリ1をトレイ10に収納し、そのトレイ10を、例えばマトリックス状に設けられた棚20に保管した状態において、例えば放電電圧、充電電圧及びインピーダンスを測定ユニット40によって測定するようになっている。また、トレイ10の棚20からの出し入れを自動クレーン30により自動的に行うようになっている。」
(イ)「【0030】昇降フレーム32には、上述の図6に示すように、スライドフォーク36が取り付けられており、このスライドフォーク36は駆動装置34に駆動され、トレイ10を棚20に対して前後方向に運搬する。そして、トレイ10が目的の棚20の位置まで運搬されると、駆動装置34は、例えば図7に示すように、スライドフォーク36を前進させ、トレイ10を棚20に挿入する。
【0031】ところで、昇降フレーム32の位置決めは、この昇降フレーム32と測定ユニット40に取り付けられた光センサによって行われる。」
(ウ)「【0036】トレイ10の挿入が完了すると、制御盤35は、昇降フレーム32を所定の距離だけ下降させる制御を行い、例えば図11に示すように、トレイ10を測定ユニット40に設置する。具体的には、トレイ10には、例えば上述の図7に示すように、位置決めのための切欠11a、11b、11c、11dが設けられると共に、測定ユニット40には位置決めピン45a、45b、45c、45dが設けられており、切欠11a?11dと位置決めピン45a?45dが係合することにより、トレイ10が正しい位置に設置される。すなわち、上述の下側の4つの受光素子38a2 、38b2 、39a2 、39b2 は、トレイ10を電極部41a、42a間に挿入する際に、位置決めピン45a?45dにトレイ10の下部が干渉しないような位置に配設されている。」
(エ)「【0038】測定ユニット40は、電源供給装置、負荷装置、電圧測定器、電流測定器等(図示せず)を備え、電源供給装置によりバッテリ1を充電し、また負荷装置によりバッテリ1を放電させ、バッテリ1の充放電時の電圧やインピーダンスを、トレイ10に収納されている全部のバッテリ1に対して同時に測定する。」
(オ)図1の自動倉庫の具体的な構成を示す斜視図には、符号40が付された測定ユニット40と同じ形状のものが、その上方に記載されており、記載事項(ア)の「各棚20に設けられ、上記トレイ10に収納されて棚20に保管されているバッテリ1を検査する測定ユニット40」との記載を参酌すると、バッテリ1を保管・測定する自動倉庫は、複数の測定ユニット40を有するものといえる。
また、図1の自動倉庫の自動クレーン30は、1台で複数の棚20にトレイ10を格納する自動クレーン30であって、バッテリ1を収納するトレイ10を任意の測定ユニット40に位置決めするものといえる。

(4)甲第4号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、「蓄電池用検査装置並びに電池の導電接触装置」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「【0012】図4は、本発明の検査装置1を具備し検査すべき電池との接離を機械的に行うようにした電池の導電接触装置17を示す。該装置17は、機筐12の上部に水平に設けた支持杆13に本発明の検査装置1の複数個を一定間隔を存し固設し、その下方に前記の支持杆13に対し平行する昇降自在の載置台14上に、上記の各本発明の検査装置1の直下に対向して検査すべきホルダ14aに収納された電池Bを夫々載置した。該載置台14は、その中央部下面に連結した昇降駆動装置15とその両端部の下面と連結した昇降自在の支承装置16,16を具備する。かくして、該載置台14を上昇させ、その各電池Bの正,負極端子b1,b2をその対応する本発明の検査装置1の夫々の充放電用の正,負極端子2,6及び電圧検査用の正,負極端子4,7に当接させるときは、夫々の電池B,B,Bに充放電処理及び電圧値の測定を行うことができる。図示の実施例に代え、支持杆13を昇降自在とし、載置台14を固設してもよく、また、その両者を昇降自在としてもよいことは勿論である。」

5.対比・判断
(1)特許法第29条第2項に関して
ア.本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明との対比
(a)引用発明の「充放電測定装置」は、「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置であって、
充放電測定装置は・・(以下略)・・」とされている様に、「二次電池の充放電特性の測定を行なう装置」と同じものである。
そうすると、引用発明の「充放電測定装置」は、「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置」であるので、本件発明1の「検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置」に相当する。
(b)引用発明の「電源部19」は、本件発明1の「電源」に相当する。
また、引用発明の「電源部19」は、「充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって、
充放電ユニット161は、制御部171、電源部19、充放電部18、選択部68、開閉部69からから構成されており」とされたものであるので、充放電測定装置(本件発明1の「充放電検査装置」に相当)に備えられたものである。
(c)引用発明の「フィクスチャ14」は、引用発明の「充放電測定装置」の構成要素であり、「複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するもの」であるので引用発明の「フィクスチャ14」と、本件発明1の「各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニット」とは、「複数の二次電池を収容する電池検査装置」である点で共通する。
また、引用発明の「フィクスチャ14」は、「充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって」とされたものであるので、充放電測定装置(本件発明1の「充放電検査装置」に相当)に備えられたものである。
(d)引用発明の「トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7」と、本件発明1の「個々の電池検査ユニットに設けられており前記電源から各二次電池に給電するための複数の接触子」とは、前者のピン7が、充放電測定装置のフィクスチャ14のピンボード6に取り付けられたものであって、充放電特性の測定をする以上、充電のために、二次電池に給電する機能を備えることが自明であるので、両者は「電池検査装置に設けられており電源から各二次電池に給電するための複数の接触子」の点で共通する。
また、引用発明の「ピン7」は、「充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって・・(中略)・・フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え」とされたものであるので、充放電測定装置(本件発明1の「充放電検査装置」に相当)に備えられたものである。
(a)?(d)をまとめると、引用発明の「a:充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって、
充放電ユニット161は、制御部171、電源部19、充放電部18、選択部68、開閉部69からから構成されており、
フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え、上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なうようになっており、複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するものであり、
トレイガイド12のガイドピン13はトレイ1の1カ所に設けられたガイドピン用穴2と嵌合し、トレイ1の設置方向の間違いを防ぐようにしており、
トレイ1には電池を収納する複数の保持孔5が所定の配列で形成されており、これらの保持孔5にそれぞれ二次電池が正極を上側にして負極を下側にした状態で挿入され」とされた「充放電測定装置」と、本件発明1の「A:検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置であって、電源と、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットと、個々の電池検査ユニットに設けられており前記電源から各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備える充放電検査装置」とは、「検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置であって、電源と、複数の二次電池を収容する電池検査装置と、電池検査装置に設けられており電源から各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備える充放電検査装置」である点で共通する。

(e)引用発明の「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にする」ことは、本件発明1の「充放電検査装置の校正をする」ことに相当する。
そうすると、該「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にするもの」である、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」は、本件発明1の「充放電検査装置の校正をするための校正装置」に相当する。
(f)引用発明は「フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え」たものであるので、引用発明の「二次電池4」は、ピン7に接続する電極を備えたものといえる。
前記引用発明の「二次電池4」に対して、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」も、二次電池4と同様の「フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え」たものであって、かつ「トレイ1と同様に自動搬送できる」ものであるので、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」は、二次電池4の電極に代わってコンタクトピン7に接続するといえるものである。
そうすると、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「コンタクトピン7に接触する電極」は、本件発明1の「二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子」に相当する。
(e)?(f)をまとめると、引用発明の「b:充放電測定装置の検査装置は、前記検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にするものであって、
フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え、トレイ1と同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置であり」とされた「充放電測定装置の検査装置」は、本件発明1の「B:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置」に相当する。

(g)引用発明の装置は、充放電測定装置の検査装置を「被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能である」ものであるので、自動搬送装置を備えるものであることが自明である。
そして、引用発明の充放電測定装置の検査装置が「被測定物と同様に自動搬送装置で取扱」われることは、検査装置(本件発明1の「校正装置」に相当するもの)をフィクスチャ14(本件発明1の「電池検査ユニット」と「電池検査装置」である点で共通するもの)へと搬送するといえる。
そうすると、引用発明の充放電測定装置の検査装置を「c:被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能」とされている「自動搬送装置」と、本件発明1の「C:前記校正装置を任意の電池検査ユニットへと、前記少なくとも1つの接続端子を前記複数の接触子の少なくとも1つに接続可能とする搬送位置に位置決めするための搬送装置」とは、「校正装置を電池検査装置へと搬送するための搬送装置」である点で共通する。

(h)引用発明の「充放電測定装置」、「充放電測定装置の検査装置」、及び「自動搬送装置」は、それぞれ、上記(a)?(g)記載の如く、本件発明1の「充放電検査装置」、「校正装置」、及び「搬送装置」に対応する装置であるので、引用発明の「充放電測定装置」、「充放電測定装置の検査装置」、及び「自動搬送装置」は全体で、本件発明1の「充放電検査装置と」、「校正装置と」、「搬送装置と」を備える「充放電検査システム」に相当する。

一致点:
そうすると、両者は、
「検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置であって、電源と、複数の二次電池を収容する電池検査装置と、電池検査装置に設けられており前記電源から各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備える充放電検査装置と、
前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置と、
前記校正装置を電池検査装置へと搬送するための搬送装置と、を備える充放電検査システム。」
で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本件発明1は、電池検査装置が、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットであり、接触子が、個々の電池検査ユニットに設けられており、搬送装置が、校正装置を任意の電池検査ユニットへ位置決めするものであるのに対し、引用発明は、(A)電池検査装置が複数のユニットでなく、(B)接触子が、個々の電池検査ユニットに設けられたものでない点。

相違点2:本件発明1は、搬送装置が、校正装置を任意の電池検査ユニットへと、前記少なくとも1つの接続端子を前記複数の接触子の少なくとも1つに接続可能とする搬送位置に位置決めするものであるのに対し、引用発明は、任意の電池検査ユニットへ搬送するものでなく、少なくとも1つの接続端子を複数の接触子の少なくとも1つに接続可能とする搬送位置に位置決めするものか否か不明な点。

相違点3:本件発明1は、校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行するものであるのに対して、引用発明はそのような特定がない点。

(イ)相違点についての判断
(イ-1)相違点1について
甲第2号証には、複数のセルラックモジュール34とを有する電池充電/検査システムが記載されており、その「複数のセルラックモジュール34」及び「電池充電/検査システム」は、本件発明1の「複数の電池検査ユニット」及び「充放電検査システム」に相当する。
また、甲第3号証には、複数の測定ユニット40を有する、バッテリ1を保管・測定する自動倉庫が記載されており、その「複数の測定ユニット40」は、本件発明1の「複数の電池検査ユニット」に相当する。
そして、生産工程において、多くの処理が行えることは一般に望ましいことであるので、引用発明の充放電検査システムにおいて、より多くの電池検査を処理するために、甲第2号証、甲第3号証記載のように、引用発明のフィクスチャ14(本件発明1の「電池検査ユニット」と「電池検査装置」である点で共通するもの)を複数のユニットとすることは当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、引用発明のフィクスチャ14が、「各々が」複数の二次電池を収容するものとなり、コンタクトピン7(本件発明1の「接触子」に相当する)が「個々の」フィクスチャ14に設けられるものとなることは自明である。
そうすると、引用発明、及び、甲第2号証?甲第3号証記載の事項に基づいて、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(イ-2)相違点2について
(a)甲第3号証には、1台でバッテリ1を収納するトレイ10を任意の測定ユニット40に位置決めする自動クレーン30が記載されており、その「自動クレーン30」は、本件発明1の(複数とされていない1台の)「搬送装置」に相当する。
そして、上記(イ-1)の引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、引用発明の搬送装置を、甲第3号証記載のような任意の電池検査ユニットに搬送するものとして具現化することは当業者が容易になし得たことである。
(b)引用発明は「フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え、上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なう」ものであるので、引用発明の「トレイ1上の二次電池4」は、電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
そして、「トレイ1と同様に自動搬送できる」とされた、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」も、「フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え」たものであって、かつ「トレイ1と同様に自動搬送できる」ものであるので、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」も、「トレイ1上の二次電池4」と同様に電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
(c)引用発明の「充放電測定装置の検査装置」は、上記「(ア)(e)?(f)」に記載したように、本件発明1の「B:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置」に相当するものである。
それに加えて、上記「(b)」に記載したように、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」は、「トレイ1上の二次電池4」と同様に電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
そうすると、自動搬送装置(本件発明1の「搬送装置」に相当するもの)による、検査装置(本件発明1の「校正装置」に相当するもの)のフィクスチャ14(本件発明1の「電池検査ユニット」と「電池検査装置」である点で共通するもの)への搬送を、検査装置が位置決めされるべき位置である、電極をピン7と接続する位置に位置決めするための搬送とすることは当業者が容易になし得たことである。

そうすると、引用発明、及び、甲第2号証?甲第3号証記載の事項に基づいて、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(イ-3)相違点3について
甲第2、3号証記載のもののように、同じ機能の装置を並列に複数設けるのは、同時平行して処理を行うためになされることであって、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともなって、引用発明のフィクスチャ14で行われる充放電検査、校正、準備作業、休止等の作業の何れかが、複数のユニットで同時平行して行われるものとなることは自明であるが、同時平行して行われる作業内容の組合せは特定できない。
本件発明1の複数の電池検査ユニットは、「ある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」と特定され、請求人も平成29年2月17日付けで意見書で「『前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行する』ことを1つの特徴とし、これにより、段落0067に記載のように『1つの検査ユニット12が校正中であっても他の検査ユニット12により電池検査を実施または継続することのできる充放電検査システムまたは校正システム』を提供することができます。」と主張している(なお、本件発明1は段落0067の「校正プロセスを実行しているときに、他の検査ユニット12では電池検査を実行することができる」を根拠として補正されたものであって、本件特許明細書段落0048?0049に「パレット搬送装置60によって検査ユニット12に搬入される。・・電極41とプローブ44との電気的接続が確立される(図4)。こうして検査の準備段階は完了する。【0049】コントローラ15の制御のもとで電池40の検査が実行される。・・検査が完了すると、搬入とは逆の流れで検査ユニット12からパレット52及び電池40が搬出される。」と記載されているので、搬入・搬出は、電池検査の実行に含まれるものではない。そうすると、前記主張の「電池検査を実施または継続する」のうち、「電池検査を実行」以外の動作は、本件発明1の「電池検査を実行する」に含まれるものではない。)。
そうすると、本件発明1は「ある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」において、ある電池検査ユニット以外の、他の電池検査ユニット全部(100台のうちの1台が校正プロセスを実行しているときの、残りの99台)が「電池検査を実行する」(搬入・搬出は含まない)ことを必須としたものであって、100台のうちの校正プロセスを実行している電池検査ユニット以外の98台が電池検査を行っていても本件発明1とはならない。
しかも、本件発明1の「複数の二次電池」、「複数の電池検査ユニット」、「複数の接触子」、「少なくとも1つの接続端子」に対して、「充放電検査装置」、「電源」、「校正装置」、「搬送装置」は、「複数」とも、「少なくとも1つ」とも記載されていないので、単数を意味するものと解されるので、本件発明1の同時平行して行われる作業内容のうちの校正プロセスは、1台の校正装置で実行されるものである。
そうすると、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、複数のユニットが、充放電検査、校正、準備作業、休止等の作業の何れかを同時平行して行なうことが自明であったとしても、あえてその中の特定の対応である「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」に、「他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」ものに特定することまで、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」とする構成は、甲第1号証?甲第4号証の何れにも記載されていない。
そうすると、引用発明、及び、甲第1号証?甲第4号証記載の事項に基づいて、相違点3に係る本件発明1の構成とすることを当業者が容易に想到し得たということはできない。

(ウ)小括
そうすると、本件発明1は、引用発明、甲第1号証?甲第4号証記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

イ.本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1にさらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記「(1)」と同様の理由により、引用発明、甲第1号証?甲第4号証記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

ウ.本件発明7について
(ア)本件発明7と引用発明との対比
(a)引用発明の「充放電測定装置」は、「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置であって、
充放電測定装置は・・(以下略)・・」とされている様に、「二次電池の充放電特性の測定を行なう装置」と同じものである。
そうすると、引用発明の「充放電測定装置」は、「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置」であるので、本件発明7の「二次電池の充放電検査装置」に相当する。
また、引用発明の「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にする」ことは、本件発明7の「充放電検査装置の校正をする」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置」は、本件発明7の「O:二次電池の充放電検査装置のための校正システム」に相当する。

(b)引用発明の「フィクスチャ14」は、引用発明の「充放電測定装置」の構成要素であり、「複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するもの」であるので引用発明の「フィクスチャ14」と、本件発明7の「各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニット」とは、「複数の二次電池を収容する電池検査装置」である点で共通する。
また、引用発明の「フィクスチャ14」は、「充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって」とされたものであるので、充放電測定装置(本件発明7の「充放電検査装置」に相当)に備えられたものである。
(c)引用発明の「トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7」と、本件発明7の「個々の電池検査ユニットに設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子」とは、前者のピン7が、充放電測定装置のフィクスチャ14のピンボード6に取り付けられたものであって、充放電特性の測定をする以上、充電のために、二次電池に給電する機能を備えることが自明であるので、両者は「電池検査装置に設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子」の点で共通する。
また、引用発明の「ピン7」は、「充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって・・(中略)・・フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え」とされたものであるので、充放電測定装置(本件発明7の「充放電検査装置」に相当)に備えられたものである。
(b)?(c)をまとめると、引用発明の「a:充放電測定装置はフィクスチャ14、充放電ユニット161、通信端末15から成る測定装置であって、
充放電ユニット161は、制御部171、電源部19、充放電部18、選択部68、開閉部69から構成されており、
フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え、上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なうようになっており、複数の二次電池を収容したトレイ1をフィクスチャ14内の空間に収容するものであり、
トレイガイド12のガイドピン13はトレイ1の1カ所に設けられたガイドピン用穴2と嵌合し、トレイ1の設置方向の間違いを防ぐようにしており、
トレイ1には電池を収納する複数の保持孔5が所定の配列で形成されており、これらの保持孔5にそれぞれ二次電池が正極を上側にして負極を下側にした状態で挿入され」ていることと、本件発明7の「P:前記充放電検査装置は、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットと、個々の電池検査ユニットに設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備えて」いることとは、「充放電検査装置は、複数の二次電池を収容する電池検査装置と、電池検査装置に設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備えて」いる点で共通する。

(d)引用発明の「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にする」ことは、本件発明7の「充放電検査装置の校正をする」ことに相当する。
そうすると、該「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にするもの」である、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」は、本件発明7の「充放電検査装置の校正をするための校正装置」に相当する。
(e)引用発明は「フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え」たものであるので、引用発明の「二次電池4」は、ピン7に接続する電極を備えたものといえる。
前記引用発明の「二次電池4」に対して、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」も、二次電池4と同様の「フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え」たものであって、かつ「トレイ1と同様に自動搬送できる」ものであるので、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」は、二次電池4の電極に代わってコンタクトピン7に接続するといえるものである。
そうすると、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「コンタクトピン7に接触する電極」は、本件発明7の「二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子」に相当する。
(d)?(e)をまとめると、引用発明の「検査装置によって得られた電気的物理量を測定データを利用して前記測定装置による測定を正確にするものであって、
フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え、トレイ1と同様に自動搬送できる一体型精度検査マスター装置」である「充放電測定装置の検査装置」は、本件発明7の「Q:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置」に相当する。

(f)引用発明の装置は、充放電測定装置の検査装置を「被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能である」ものであるので、自動搬送装置を備えるものであることが自明である。
そして、引用発明の充放電測定装置の検査装置が「被測定物と同様に自動搬送装置で取扱」われることは、フィクスチャ14(本件発明7の「電池検査ユニット」と「電池検査装置」である点で共通するもの)に検査装置(本件発明7の「校正装置」に相当するもの)を搬送するといえる。
そうすると、引用発明の充放電測定装置の検査装置を「被測定物と同様に自動搬送装置で取扱うことが可能」な「自動搬送装置」と、本件発明7の「R:任意の電池検査ユニットにおいて前記校正装置を、前記複数の接触子の少なくとも1つを前記少なくとも1つの接続端子に接続可能とする搬送位置に位置決めするための搬送装置」とは、「電池検査装置に校正装置を、搬送するための搬送装置」である点で共通する。

(g)引用発明の「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置」、「充放電測定装置の検査装置」、及び「自動搬送装置」は、それぞれ、上記(a)?(f)記載の如く、本件発明7の「二次電池の充放電検査装置のための校正システム」、「校正装置」、及び「搬送装置」に対応する装置であるので、引用発明の「複数の二次電池の充放電を行なって、二次電池の充放電特性の測定を行なう装置、およびこのような充放電測定装置の検査装置」及び「自動搬送装置」は全体で、本件発明7の「校正装置と」、「搬送装置と」を備える「校正システム」に相当する。

一致点:
そうすると、両者は、
「二次電池の充放電検査装置のための校正システムであって、
前記充放電検査装置は、複数の二次電池を収容する電池検査装置と、電池検査装置に設けられており各二次電池に給電するための複数の接触子と、を備えており、
前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置と、
電池検査装置に前記校正装置を、搬送するための搬送装置と、を備える校正システム。」
で一致し、次の点で相違する。

相違点A:本件発明7は、電池検査装置が、各々が複数の二次電池を収容する複数の電池検査ユニットであり、接触子が、個々の電池検査ユニットに設けられており、搬送装置が、任意の電池検査ユニットにおいて前記校正装置を位置決めするものであるのに対し、引用発明は、(A)電池検査装置が複数のユニットでなく、(B)接触子が、個々の電池検査ユニットに設けられたものでない点。

相違点B:本件発明7は、搬送装置が、任意の電池検査ユニットにおいて前記校正装置を、前記複数の接触子の少なくとも1つを前記少なくとも1つの接続端子に接続可能とする搬送位置に位置決めするものであるのに対し、引用発明は、任意の電池検査ユニットに搬送するものでなく、複数の接触子の少なくとも1つを前記少なくとも1つの接続端子に接続可能とする搬送位置に位置決めするものか否か不明な点。

相違点C:本件発明7は、校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されるものであるのに対して、引用発明はそのような特定がない点。

(イ)相違点についての判断
(イ-1)相違点Aについて
甲第2号証には、複数のセルラックモジュール34とを有する電池充電/検査システムが記載されており、その「複数のセルラックモジュール34」及び「電池充電/検査システム」は、本件発明7の「複数の電池検査ユニット」及び「充放電検査装置」に相当する。
また、甲第3号証には、複数の測定ユニット40を有する、バッテリ1を保管・測定する自動倉庫が記載されており、その「複数の測定ユニット40」は、本件発明7の「複数の電池検査ユニット」に相当する。
そして、生産工程において、多くの処理が行えることは一般に望ましいことであるので、引用発明の校正システムにおいて、より多くの電池検査を処理するために、甲第2号証、甲第3号証記載のように、引用発明のフィクスチャ14(本件発明7の「電池検査ユニット」と「電池検査装置」である点で共通するもの)を複数のユニットとすることは当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、引用発明のフィクスチャ14が、「各々が」複数の二次電池を収容するものとなり、コンタクトピン7(本件発明7の「接触子」に相当する)が「個々の」フィクスチャ14に設けられるものとなることは自明である。
そうすると、引用発明、及び、甲第2号証?甲第3号証記載の事項に基づいて、相違点Aに係る本件発明7の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(イ-2)相違点Bについて
(a)甲第3号証には、1台でバッテリ1を収納するトレイ10を任意の測定ユニット40に位置決めする自動クレーン30が記載されており、その「自動クレーン30」は、本件発明7の(複数とされていない1台の)「搬送装置」に相当する。
そして、上記(イ-1)の引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、引用発明の搬送装置を、甲第3号証記載のような任意の電池検査ユニットに搬送するものとして具現化することは当業者が容易になし得たことである。
(b)引用発明は「フィクスチャ14は、トレイ1上の二次電池4を測定ユニット16と接続するもので、格子状に並んだ100本のピン7が取付けられているピンボード6を備え、上下のピンボード6a、6b間にはトレイガイド12が配され、ピンボード6a、6bに対してトレイ1の位置決めを行なう」ものであるので、引用発明の「トレイ1上の二次電池4」は、電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
そして、「トレイ1と同様に自動搬送できる」とされた、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」も、「フィクスチャ14のコンタクトピン7に接触する電極を備え」たものであって、かつ「トレイ1と同様に自動搬送できる」ものであるので、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」も、「トレイ1上の二次電池4」と同様に電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
(c)引用発明の「充放電測定装置の検査装置」は、上記「(ア)(d)?(e)」に記載したように、本件発明7の「Q:前記充放電検査装置の校正をするための校正装置であって、二次電池に代えて前記複数の接触子の少なくとも1つに接続するための少なくとも1つの接続端子を備える校正装置」に相当するものである。
それに加えて、上記「(b)」に記載したように、引用発明の「充放電測定装置の検査装置」の「電極」は、「トレイ1上の二次電池4」と同様に電極をピン7と接続する位置に位置決めされるものである。
そうすると、フィクスチャ14(本件発明7の「電池検査ユニット」に相当するもの)に、検査装置(本件発明7の「校正装置」に相当するもの)を、搬送するのを、検査装置が位置決めされるべき位置である、ピン7(本件発明7の「接触子」に相当するもの)を電極(本件発明7の「接続端子」に相当するもの)に接続する位置に位置決めするための搬送とすることは当業者が容易になし得たことである。

そうすると、引用発明、及び、甲第2号証?甲第3号証記載の事項に基づいて、相違点Bに係る本件発明7の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(イ-3)相違点Cについて
甲第2、3号証記載のもののように、同じ機能の装置を並列に複数設けるのは、同時平行して処理を行うためになされることであって、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともなって、引用発明のフィクスチャ14で行われる充放電検査、校正、準備作業、休止等の作業の何れかが、複数のユニットで同時平行して行われるものとなることは自明であるが、同時平行して行われる作業内容の組合せは特定できない。
本件発明7は、請求項の記載において「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」と特定され、請求人も平成29年2月17日付けで意見書で「『校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される』こと、換言すれば、複数の電池検査ユニットで同時並行的に校正と電池検査を行うことに、1つの特徴があります」と主張している。
そうすると、本件発明7は「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」において、「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されること」こと(すなわち、仮に100台の電池検査ユニットのうちの1台が校正プロセスを実行しているときに、複数とされていない1台の搬送装置が、残りの99台の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用されること。)を必須の構成としたものである。
そうすると、引用発明のフィクスチャ14を複数のユニットとすることにともない、複数のユニットが、充放電検査、校正、準備作業、休止等の作業の何れかを同時平行して行なうことが自明であったとしても、あえてその中の特定の対応である「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」に、「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」ものに特定することまで、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」とする構成は、甲第1号証?甲第4号証の何れにも記載されていない。
そうすると、甲第1号証?甲第4号証記載の事項に基づいて、相違点Cに係る本件発明7の構成とすることを当業者が容易に想到し得たということはできない。

(ウ)小括
そうすると、本件発明7は、引用発明、甲第1号証?甲第4号証記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。


(2)特許法第36条第6項第2号に関して
(ア)本件明細書【0067】に「搬送装置104は校正装置102を検査ユニット12に受け渡すことによりフリーな状態となり(即ち、電池40等の他の物品を搬送可能な状態となり)、搬送装置104を使用して他の検査ユニット12では電池検査を続行することができる。」と記載されているように、例えば、2台の電池検査ユニットがあって、1台の電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、搬送装置を使用して、もう1台の電池検査ユニットは電池検査を実行することができるものであるので、請求項1の「他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」ことと、請求項5の「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」ことは、特段矛盾するものではない。
(イ)さらに、本件明細書【0067】に「他の検査ユニット12では搬送装置104とは別の搬送装置(例えばパレット搬送装置60)を使用して電池検査を実行してもよい。」と記載されているように、例えば、2台の電池検査ユニットがあって、1台の電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、別の搬送装置を使用して、もう1台の電池検査ユニットは電池検査を実行することができるものであるので、請求項1の「他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」ことと、請求項6の「別の搬送装置が前記他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」ことは、特段矛盾するものではない。

6.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立人は、証拠として特開2002-148323号公報(以下「甲第1号証」という。)、米国特許第5914609号公報(以下「甲第2号証」という。)、米国特許第5914609号公報(甲第2号証)の日本語訳(以下「甲第2の2号証」という。)、特開平7-97004号公報(以下「甲第3号証」という。)、特開2000-30762号公報(以下「甲第4号証」という。)、特開2000-28692号公報(以下「甲第5号証」という。)、米国公開2003/0020488号公報(以下「甲第6号証」という。)、米国公開2003/0020488号公報(甲第6号証)の日本語訳(以下「甲第6の2号証」という。)、米国公開2007/0138466号公報(以下「甲第7号証」という。)、米国公開2007/0138466号公報(甲第7号証)の日本語訳(以下「甲第7の2号証」という。)、甲第8号証:特開平6-117881号公報(以下「甲第8号証」という。)を提出し、

申立の根拠
請求項1-7
条文 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
証拠 甲第1号証ないし甲第4号証
尚、参考として、甲第5号証ないし甲第8号証も提出する。
旨主張している。

(2)特許異議申立人の提出した各甲号証の記載事項
ア.特許異議申立人の提出した、甲第1号証ないし甲第4号証は、当審において通知した取消理由の取消理由の甲第1号証ないし甲第4号証と同じものであり、その記載事項は、上記「4.」に記載したとおりである。

イ.甲第5号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、「プローブ及びこれを用いた二次電池の検査装置」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「【0003】上記、リチウムイオン二次電池の生産ラインでは、図6の例に示すように、生産されたリチウムイオン二次電池1はトレイ2に載置され、搬送装置3によって検査棚4の位置まで送出される。」
(イ)「【0007】トレイ2は搬送装置3によって検査棚4の前に運ばれ、移動装置5によって検査棚4の各電極ユニット9の下方に収容される。」

ウ.甲第6号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、「電子部品、試験装置、及び試験装置の較正方法」に関して、次の事項が記載されている。(括弧内は甲第6号証の2を仮訳としたもの。)
(ア)「[0012]The inventive electronic calibration component is incorporated into the existing test cycle, as a result of which the tester device is calibrated fully-automatically. To this end, the electronic calibration component is inserted, by way of example, into a batch of components that are to be tested, so that calibration is performed as soon as the tester device is connected to the inventive calibration component via one of the tester channels. In this way, the tester device can be calibrated at any desired times and as often as can be selected by the number of calibration components used, during testing of components which are to be tested. It is even possible to insert a plurality of calibration components into a batch. This is a particularly simple matter particularly if the type of configuration of the inventive calibration component corresponds to the type of configuration of the components that are to be tested, which results in that the calibration component can be disposed at any position, provided for a component to be tested, on a component carrier.」([0012])
(「本発明のこの電子較正用部品は、既存のテストサイクルに組み込まれており、その結果、試験装置は完全に自動で較正される。・・・これにより、試験装置はいつでも、また使用する較正用部品の数によって選択可能な限りの頻度で何度でも、被試験部品の試験中に較正が可能となる。・・・これは、特に発明の較正用部品の構造が被試験部品の構造の種類に対応している場合には、特に簡単であり、較正用部品は被試験部品用の部品キャリアのどの位置に配置してもよい。」)

エ.甲第7号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には、「半導体モジュール検査装置」に関して、次の事項が記載されている。(括弧内は甲第7号証の2を仮訳としたもの。)
(ア)「[0042]The apparatus 100 for testing the semiconductor module may include a transfer robot 130 to supply the semiconductor modules to the test modules 120 arranged in the first direction.
[0043]Although the test cell 102 may have a relatively small dimension, the semiconductor module may be combined with the test module 120 in the test cell 102 by the transfer robot 130 . In addition, the semiconductor module may be separated from the test module 120 in the test cell 102 by the transfer robot 130.
[0044]FIG.3 is a cross-sectional view of a transfer robot that may be included in the apparatus for testing the semiconductor module in FIG.1.」([0042]?[0044])
(「【0042】半導体モジュール検査装置100は搬送ロボット130を有し、これによって、半導体モジュールを第1の方向に配置されたテストモジュール120へ与える。
【0043】被検セル102の寸法は比較的小さいが、搬送ロボット130によって、半導体モジュールは被検セル102内でテストモジュール120と結合することができる。さらに、搬送ロボット130によって、半導体モジュールは被検セル102内でテストモジュール120から離されることが可能となる。
【0044】図3は、図1の半導体モジュール検査装置に含まれる搬送ロボットの断面図である。
【0045】図1と図3を参照して、搬送ロボット130は基体132、第1のロボットアーム134、及び第2のロボットアーム136を有する。」)

オ.甲第8号証の記載事項
本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、「試験器のキャリブレーション方式」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】複数の測定用ヘッドを有し、一の測定用ヘッドがデバイステストを実行している間に、他の測定用ヘッドに次の試験対象デバイスを準備しておくことにより、デバイス試験を連続して行なうことができるよう構成された試験器において、
ある測定用ヘッドで特定種類の試験を行なう前に必要なキャリブレーションと、他の測定用ヘッドで実行するデバイステストとを時分割で行なうための制御手段を設けることを特徴とする試験器のキャリブレーション方式。」
(イ)「【0005】つまり、何れかの測定用ヘッドがキャリブレーションを開始すると、その測定用ヘッドによるキャリブレーションの継続的な実行により、試験器は長時間占有されてしまうのである。」
(ウ)「【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであり、キャリブレーションを時分割に行なったり、補正データを格納するレジスタを設け、ここに校正データを格納したりすることにより、キャリブレーションのために試験器が長時間占有されるという問題を取り除き、試験器を効率的に利用することができるキャリブレーション方式を提供することを目的とする。」

(3)当審の判断
ア.相違点3に関して
特許異議申立人は、上記「5.(1)ア.」の「相違点3」に関して、特許異議申立書第21?22頁の「(1-4)要件Dについて」において、「甲第2号証においては、電池検査や校正等の各プロセスを、複数対となる充電モジュール37とセルラックモジュール34で並行して行うことが出来る。
従って、甲第2号証に記載の発明の課題及び効果が、半自動較正による電池 検査の方法及びシステムの改善であることも鑑みれば、『前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行』することは、当業者であれば創意を要することなく行うことである。」旨主張しているが、例え、電池検査や校正等の各プロセスを、並行して行うことが「出来る」ものであったとしても、上記「5.(1)(イ-3)」で述べたように、複数の電池検査ユニットで行うことが出来る、処理の組合せの中から、(代表的なものでもない)特定の一態様に限定した本件発明1を、特定の態様に限定することが容易という論理なくして、当業者であれば創意を要することなく行うことであるとはいえない。
また、「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき、他の電池検査ユニットは電池検査を実行する」とする構成は、甲第1号証?甲第8号証の何れにも記載されていない。
そうすると、甲第1号証?甲第8号証記載の事項に基づいて、相違点3に係る本件発明1の構成とすることを当業者が容易に想到し得たということはできない。

イ.相違点Cに関して
特許異議申立人は、上記「5.(1)ウ.」の「相違点C」に関して、特許異議申立書第29?30頁の「(7-4)要件Sについて」において、「甲第2号証・・(中略)・・異なる電池検査ユニット(セルラックモジュール34)に、電池トレイ42と較正トレイ40とを同時に差し込むことができる。・・(中略)・・二次電池を複数(例えば、100個程度)収容する1つの電池検査ユニットにおける校正プロセスの実行には、通常、数時間(例えば、5時間程度)を要するため、当業者であれば、『前記校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき』に、搬送装置を待機させるという発想に到るものではなく、『前記搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される』に、想到し得るものと思料する。従って、当業者であれば、『要件S』に容易に想到し得るものと思料する。」旨主張しているが、仮に、校正プロセスの実行に5時間要するとして、その5時間にわたって「搬送装置が・・電池検査を実行するために使用される」(すなわち、搬送装置が5時間にわたって使用される)と甲第1号証?甲第8号証記載の事項に基づいて解することはできず、引用発明の自動搬送装置を「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」に、「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」ものとすることを、当業者であれば創意を要することなく行うことであるとはいえない。
また、「校正装置がある電池検査ユニットにおいて校正プロセスを実行しているとき」に、「搬送装置が他の電池検査ユニットにおいて電池検査を実行するために使用される」ものとする構成は、甲第1号証?甲第8号証の何れにも記載されていない。
そうすると、甲第1号証?甲第8号証記載の事項に基づいて、相違点Cに係る本件発明7の構成とすることを当業者が容易に想到し得たということはできない。

7.むすび
平成28年12月14日付け取消理由、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-03-31 
出願番号 特願2012-551853(P2012-551853)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01M)
P 1 651・ 535- Y (H01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉村 伊佐雄  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 中川 真一
矢島 伸一
登録日 2015-11-06 
登録番号 特許第5832450号(P5832450)
権利者 住友重機械工業株式会社
発明の名称 充放電検査システム、充放電検査装置のための校正システム及び校正装置  
代理人 村田 雄祐  
代理人 富所 輝観夫  
代理人 三木 友由  
代理人 中前 富士男  
代理人 森下 賢樹  

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