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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1327264
審判番号 不服2016-11921  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-08 
確定日 2017-05-02 
事件の表示 特願2011-134049「テラヘルツ検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月 7日出願公開、特開2013- 4717、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成23年6月16日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 6月 3日 審査請求
平成27年 3月16日 拒絶理由通知
平成27年 5月19日 意見書・手続補正
平成27年 9月14日 拒絶理由通知(最後)
平成27年11月27日 意見書・手続補正
平成28年 4月26日 補正却下決定・拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成28年 8月 8日 審判請求・手続補正

第2 審判請求時の補正の適否
1 補正の内容
平成28年8月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は,特許請求の範囲及び明細書を補正するものであって,下記補正事項1及び2を含むものである。(下線部は補正個所を示し,当審で付加した。)
(1)補正事項1
特許請求の範囲の請求項1を次のように補正する。
ア 補正前
「【請求項1】
基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
前記基板上に前記アンテナ部に対応して設けられた超伝導トンネル接合素子と,
を備え,
前記アンテナ部は,複数のアンテナで構成され,
前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。」
イ 補正後
「【請求項1】
基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子と,
を備え,
前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成され,
前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。」
(2)補正事項2
明細書の段落0007を次のように補正する。
「【0007】
本発明の一側面によるテラヘルツ検出器は,基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子と,を備え,前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成され,前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とする。」
2 補正の適否
補正事項1及び2は,当初明細書の段落0005,0013ないし0015,0021,0032並びに図1及び図6より,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,補正事項1及び2は,特許法17条の2第3項の規定に適合する。
また,補正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするから,特許法17条の2第4項の規定に適合し,同条5項2号に掲げるものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項)につき,更に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は,本件補正後の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。(再掲)
「基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子と,
を備え,
前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成され,
前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。」
(2)引用文献1の記載
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2011-112602号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は,光伝導アンテナを用いた電磁波形状検出方法及び装置に関する。」
(イ)「【背景技術】
【0002】
近年,遠赤外線やサブミリ波の領域において新しい発生及び検出方式の研究が急速に進展しつつあり,テラヘルツ波が注目されている。この領域は,赤外とミリ波の間,換言すれば光波と電波の境界に位置する。光と電波のそれぞれの領域が重要な応用技術と共に発展してきたのとは対照的に,技術面でも応用面でも未だ開拓途上にある領域である。
・・・
【0008】
テラヘルツ波を検出する従来の方式には,次のようなものがある。すなわち,光伝導アンテナやEO結晶,MO結晶,自己相関分光法を用いた時間領域検出器,不純物半導体光伝導型検出器や量子井戸検出器を用いた半導体量子型検出器,冷却半導体ボロメータやアンテナ結合マイクロボロメータを用いた熱的検出器,SISミキサーやHEBミキサー,STJ検出器,TES検出器を用いた超伝導検出器が挙げられる。」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで,本発明は,簡便な手段によって有効に,テラヘルツ波帯を中心とする検出帯域を拡張すると共に,高感度で検出できる電磁波形状検出方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために,本発明の電磁波形状検出装置は,次の構成を備える。
すなわち,光伝導アンテナを用いた電磁波形状検出装置であって,基板と,その表面に形成された金属膜から成る光伝導アンテナ電極と,その各電極に接続された配線と,その配線に接続され電極間にかかる電流を測定する電流測定手段と,電極間の間隙にサンプリング光を照射するサンプリング光照射手段と,検出対象の電磁波を電極間の間隙に照射する被検出波照射手段とを備えた構成において,光伝導アンテナ電極が,複数組設けられ,それら複数組の光伝導アンテナ電極が,電極間の間隙を共有する位置に配置され,被検出波照射手段による検出対象の電磁波の偏波方位が,各電極組が向き合う方位とずらして設定され,サンプリング光照射手段によるサンプリング光の照射タイミングが,光学遅延によって徐々に変えられ,各光伝導アンテナ電極間に発生する電流が,電流測定手段により計測され,電流値として電磁波形状が検出されることを特徴とする。
【0016】
ここで,光伝導アンテナ電極を,2組設け,その各電極組が向き合う方位のなす角を90°にし,被検出波照射手段による検出対象の電磁波の偏波方位を,各電極組が向き合う方位に対して45°をなすように配向してもよい。」
(エ)「【0029】
図1は,本発明装置の一実施例を示す要部説明図である。
低温成長GaAsなどで構成される基板(11)の表面に,パターニング形成された金属膜から成る光伝導アンテナ(12)(13)を有する。図示の例では,ダイポール型(12)とボウタイ型(13)の2つのアンテナパターンが用いられている。各端子電極(12a)(12b)(13a)(13b)には,それぞれ配線(14)(15)を介して,電極間にかかる電流を測定する電流測定手段(16)(17)が接続されている。
【0030】
ここで,ダイポール型光伝導アンテナ(12)とボウタイ型光伝導アンテナ(13)とは,それぞれの電極間の間隙(18)を共有する位置に配置する。
また,各電極組が向き合う方位のなす角を90°に設定する。すなわち,ダイポール型光伝導アンテナ(12)の2つの端子電極(12a)(12b)を結ぶ線と,ボウタイ型光伝導アンテナ(13)の2つの端子電極(13a)(13b)を結ぶ線とを直交させる。
【0031】
被検出波照射手段による検出対象の電磁波(21)の偏波方位は,各端子電極組(12a)(12b)(13a)(13b)が向き合う方位とずらして設定する。図示の例では,45°をなすように配向されている。すなわち,検出対象の電磁波の偏波面と,ダイポール型光伝導アンテナ(12)の2つの端子電極(12a)(12b)を結ぶ線とのなす角も,ボウタイ型光伝導アンテナ(13)の2つの端子電極(13a)(13b)を結ぶ線とのなす角も,等しく45°である。
【0032】
テラヘルツ波検出装置としては,約0.01?100×10^(12)Hzの帯域のパルス光を試料に照射して,試料からの透過光または反射光を検出することにより,試料の電気的特性や成分濃度などを測定する装置として利用できる。
試料を透過または反射したテラヘルツ波(21)は,半球状等のレンズやミラーを介して入射し,電極間の間隙(18)に照射される。一方,サンプリング光照射手段によって,サンプリング光としてのパルス光(22)も,同じく照射される。なお,パルス光(22)の光源としては,例えばフェムト秒パルスレーザーが利用できる。集光レンズを介挿してパルス光(22)の光束を絞ってもよい。
【0033】
サンプリング光としてのパルス光(22)が照射されると,光キャリアが生じて各アンテナ(12)(13)は導通し,光キャリアはテラヘルツ波(21)の電場によって加速されるので,その電流を電流測定手段(16)(17)で計測することで,テラヘルツ波(21)に依存する電場強度を求めることができる。
サンプリング光としてのパルス光(22)が各アンテナ(12)(13)に到達するタイミングを光学遅延によって細かく変えながら電流測定を行うと,それぞれ向き合う2つの端子電極組(12a)(12b)(13a)(13b)の方向と平行な偏波方向のテラヘルツ波の電場波形が得られる。
得られた電磁波の電場波形をPC等によりフーリエ変換することで,テラヘルツ波(21)のスペクトルを得られ,その振幅と位相の情報を同時かつ独立に求められる。
【0034】
ここで,ダイポール型光伝導アンテナ(12)とボウタイ型光伝導アンテナ(13)との双方によって検出されるので,各アンテナに応じた検出帯域を得られることによって,広帯域化と高感度化が行える。
【0035】
上記実施例は,ダイポール型とボウタイ型の光伝導アンテナを1つずつ用いた例であるが,アンテナパターンとしては,ダイポール型,ボウタイ型,ストリップライン型,スパイラル型,フレア型の中から異なる2つを組み合わせても同様に利用可能である。
また,上記実施例では,ダイポール型とボウタイ型の光伝導アンテナの配向を,両者を直交配置させたが,平行以外の配向にしても同様に利用可能である。
また,上記実施例では,2つの光伝導アンテナを用いたが,3以上の光伝導アンテナを用いても同様に利用可能である。
【0036】
更に,上記実施例では,異なるアンテナパターンの光伝導アンテナを組み合わせたが,同じアンテナパターンの光伝導アンテナを用い,それら光伝導アンテナの形状など異らせて特性を変えても同様に利用可能である。」
イ 引用発明1
前記アより,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光伝導アンテナを用いた電磁波形状検出装置であって,基板と,その表面に形成された金属膜から成る光伝導アンテナ電極と,テラヘルツ波を電極間の間隙に照射する被検出波照射手段とを備えた構成において,光伝導アンテナ電極が,複数組設けられ,それら複数組の光伝導アンテナ電極が,電極間の間隙を共有する位置に配置され,被検出波照射手段による検出対象のテラヘルツ波の偏波方位が,各電極組が向き合う方位とずらして設定される。」
なお,引用文献1には「テラヘルツ波を検出する従来の方式」として「STJ検出器を用いた超伝導検出器」が記載されている(前記ア(イ)【0008】)が,「従来の方式」として他に「光伝導アンテナを用いた時間領域検出器」が並列的に記載されて(同所)おり,検出原理が異なる「時間領域検出器」に用いられる「光伝導アンテナ」と「STJ検出器」を組み合わせたものが記載されているあるいは記載されているに等しいと認めることはできない。
(3)引用文献2の記載
ア 引用文献2
本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2010-261935号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナベースのボロメータ検出器の分野に関し,詳細には赤外(特には3?5μmおよび8?14μm帯域)からテラヘルツ周波数帯域の電磁放射を検出するように設計された2個の交差ボウタイアンテナを有する検出器の分野に関する。」
(イ)「【0012】
テラヘルツ領域において波長は1mm程度にまでなるので,おおよそ同じサイズの膜が必要とされる。しかしながらこのような寸法の場合,熱量,機械的強度,そして膜の放射損失は大きな問題であり,最終的には検出器の効率に悪影響をもたらす。
【0013】
このために,かかる周波数帯域に関し放射受信機能はその他の機能から分離されるのである。受信機能はこのように平面アンテナによって満たされ,電磁力を熱量に変換する機能はアンテナの抵抗負荷によって満たされる。負荷の寸法は,最適な変換を得るために,アンテナの形状とアンテナを支える層の性質に依存した,インピーダンス整合の必要条件に見合ったものとなる。抵抗負荷は,生成される熱量の測定に用いられる熱測定素子と熱的に接触する。このアセンブリは,このようにしてアンテナを有するボロメータを構成する。
【0014】
かかる構成において熱測定素子はアンテナとそのサイズから独立しており,もはや入射波長には依存せず,検出器の本来的な動作を決定する(感度やS/N比のような)要素に依存し,例えばアクティブイメージングに使用するのかパッシブイメージングに使用するのかによって異なる必要事項に依存することになる。
【0015】
さらに,ほとんどの場合,入射電磁放射は偏波しないので,アンテナを1つだけ使っただけでは入手可能な電磁力の全てを収集することは不可能である。非偏波電磁放射は,直交して重ね合わされるとともに直線的に偏波された2つの成分であって,各成分が波のエネルギーの半分を伝播するものだとみなすことができる。よく知られているように,入射した電磁放射を収集するための効率的方法の1つに2個の交差ボウタイアンテナの使用が挙げられる。ボウタイアンテナについては,例えば,以下のサイトから入手可能なR.PEREZの博士論文によって説明される。
【0016】
http://www.unilim.fr/theses/2005/sciences/20051imo0053/perez_r.pdf.
米国特許文献第6,329,655号には,ミリメートル周波数帯で動作し2個の交差ボウタイアンテナ32,34を有するアンテナベースボロメータ30が記載されている。このボロメータの概略上面図を図2に,概略断面図を図3に示す。
【0017】
ボロメータ30の原理は,基板サポート36上に位置するアンテナ32,34と,被支持膜40に位置し上には熱測定素子42が設けられる抵抗負荷38との間の容量性結合に基づく(図3)。
【0018】
アンテナ32,34の中央上に位置し四角い層の形をした抵抗負荷38は,実際はアンテナに向く表面を有しており,それ故に,アンテナと共にキャパシタンスを形成する。このように,アンテナ32,34によって収集される放射は容量性結合によって負荷38に伝達される。」
(ウ)図2には,同一形状の2個の交差ボウタイアンテナ32及び34が記載されていると認められる。
イ 引用発明2
前記アより,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「テラヘルツ領域で動作し同一形状の2個の交差ボウタイアンテナを有するアンテナベースボロメータ。」
(4)引用文献3の記載
ア 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2003-069097号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0021】図3は本発明にかかる固有ジョセフソン接合装置をアンテナやrfチョーク回路と共に集積化されたミリ波・サブミリ波受信機の構成図であり,図3(a)はその平面図,図3(b)はその斜視図,図3(c)はその等価回路図である。
【0022】この図において,21は本発明にかかる両面加工した多数の接合を有するIjj装置(高さhは概ね25.5mm),30は基板,31はボータイアンテナ,32はrfチョーク回路,33は照射されるサブミリ波,34は電圧端子,35は電流端子である。
【0023】図1及び図2に示された本発明にかかるIJJ装置21を,図3に示すように,アンテナ31やrfチョーク回路32が形成された基板(集積回路基板)30に集積化する。
【0024】そこで,このIJJ装置21の接合にサブミリ波33を基板30側から照射すると,図4に示すように,明確なシャピロステップを観測できる。
【0025】図4において,照射周波数f_(FIR) =1.6THzに対応するジョセフソン電圧v=φ_(0) f_(FIR) N=3.4×N(mV)が発生している。ここでNは接合数であり,X軸は10mV/目盛(div),Y軸は2μA/目盛(div),温度は6Kである。
【0026】図4から明らかなように,明確なゼロクロス電圧が見られる。これはIJJ装置21とTHz波の結合が極めて良好であることを示しており,THz波検出器として実現できることを示している。」
(イ)図3(b)には,基板30の裏面からサブミリ波33を照射することが記載されていると認められる。
イ 引用発明3
前記アより,引用文献3には次の発明(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「ミリ波・サブミリ波受信機において,基板の裏面からサブミリ波を照射すること。」
(5)引用文献4の記載
ア 引用文献4
原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に外国において頒布された刊行物である,米国特許出願公開第2011/0127431号明細書(以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(訳は,対応する日本出願の公開公報である特開2011-119642号公報による。)
「[0059] A GaAs thin film which was grown on a sapphire substrate showed almost the same result, and all showed a value higher than the single crystalline GaAs thin film. This represents that low-priced equipment can be used instead of the high-priced MBE system, and the low-priced sapphire substrate can be used instead of the high-priced GaAs substrate. Since sapphire is transparent to the THz wave, there is no need to worry about a phenomenon that the efficiency is reduced at the time of optical detection and generation.」
(訳:【0059】また,サファイア基板の上に成長したGaAs薄膜もほぼ同様の結果を示し,いずれも単結晶GaAs薄膜に比べて高い値を示した。これは,成長工程で高価の分子線エピタキシの代わりに低価の装備を使用することができ,高いGaAs基板の代わりに,相対的に低価のサファイア基板を使用することができることを示している。サファイアは,テラヘルツ波に対して透明なので,光学的な検出や発生時に効率が低下するおそれがない。)
イ 引用発明4
前記アより,引用文献4には次の発明(以下,「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「サファイヤ基板は,テラヘルツ波に対して透明であること。」
(6)本願補正発明と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「基板と,その表面に形成された金属膜から成る光伝導アンテナ電極」は,「テラヘルツ波」を照射されるから,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有することは明らかであり,これは,「基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部」に相当すると認められる。
イ 引用発明1においては,基板の表面に形成された光伝導アンテナ電極間の間隙に,テラヘルツ波を照射する被検出波照射手段を有するから,下記相違点2を除いて,「基板にテラヘルツ光が入射されることを特徴とする」点で,本願補正発明の「前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とする」点と共通すると認められる。
ウ 引用発明1の「電磁波形状検出装置」は,テラヘルツ波を照射してその電磁波の形状を検出するから,下記相違点1及び2を除いて,本願補正発明の「テラヘルツ検出器」を満たすものである。
エ すると,本願補正発明と引用発明1とは,下記オの点で一致し,下記カの点で相違すると認められる。
オ 一致点
「基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
を備え,
前記基板にテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。」
カ 相違点
(ア)相違点1
本願補正発明においては,「前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子」を備え,「前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成され」るのに対し,引用発明1においては,そうなっていない点。
(イ)相違点2
本願補正発明においてはテラヘルツ光が入射されるのが「前記基板の裏面から」であるのに対し,引用発明1においては基板の表面に形成された光伝導アンテナ電極間の間隙に,テラヘルツ波を照射するもので,すなわちテラヘルツ光が入射されるのが「基板の表面から」である点。
(7)相違点についての検討
相違点1について検討する。
まず,「超伝導トンネル接合素子」については,「STJ検出器」として引用文献1に記載されているが,テラヘルツ波を検出する従来の方式として「光伝導アンテナを用いた時間領域検出器」と並列的に記載されており(前記(2)ア(イ)),テラヘルツ波を検出するものとして,「光伝導アンテナ」に代えて「超伝導トンネル接合素子」を用いることは示唆されうるが,両者を組み合わせることは示唆されない。
機能的に見ても,「超伝導トンネル接合素子」はそれ自体が電磁波すなわちテラヘルツ波を吸収してトンネル電流を発生するもの(本願明細書段落【0004】)であり,一方,引用発明1における光伝導アンテナはその電極の間隙に生じた光キャリアをテラヘルツ波の電場によって加速することにより電流を発生するもので(前記(2)ア(エ))あって,「超伝導トンネル接合素子」は外部電流を検出する機能はないから,引用発明1において「光伝導アンテナ」を残したままさらに「超伝導トンネル接合素子」を採用する動機付けがない。あえて,引用発明1に「超伝導トンネル接合素子」を採用しても,せいぜい引用文献3に記載されている(前記(4)ア(ア))ようなジョセフソン電流が生じることが当業者に予測できるだけで,これは「超伝導トンネル接合素子」にとっては雑音にしかならないから,「超伝導トンネル接合素子」を採用することには,阻害要因があるといえる。
してみると,「リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成」するようにすることも,動機付けに欠けるというべきである。
なお,引用発明2は「テラヘルツ領域で動作し同一形状の2個の交差ボウタイアンテナ」を開示するが,これは「非偏波電磁放射」が「直交して重ね合わされるとともに直線的に偏波された2つの成分である」ことから,各成分に対して2個の交差ボウタイアンテナが有効なのであって(前記(3)ア(イ)【0015】),テラヘルツ波が偏波していることを前提にしている引用発明1に適用できるものではない。
また,引用発明3及び4についても,相違点1に係る構成を開示ないし示唆するものではない。
そして,本願補正発明は相違点1に係る構成を備えることにより,「STJ素子の雑音の原因となるリーク電流の増大させずにSTJ素子内で生成される準粒子の数を増加でき,テラヘルツ検出器(テラヘルツ検出素子)によるテラヘルツ波の検出効率を高めることができる」(本願明細書段落【0032】)という,格別の有利な効果を奏するものである。
(8)まとめ
したがって,本願補正発明は,引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
3 むすび
よって,補正事項1は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合し,本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
請求項:1
引用文献等:A,1,3
備考
引用文献3の特に段落0024,図3(b)には,サブミリ波(THz波)を基板の裏面側から照射して良好な検出特性を得る手法が記載され,この手法を引用文献Aに適用することにも格別の困難はない。

請求項:2-3
引用文献等:A,1,3-5
備考
テラヘルツ信号を基板側から照射する場合に基板の材質が該信号の波長を透過するものである必要があること,そして,テラヘルツ波に対してサファイア基板が透明であることは,それぞれ引用文献4(段落0059),引用文献5(段落0047)に記載のように当業者によく知られている。
<引用文献等一覧>
A.特開2002-246664号公報
1.特開2011-112602号公報
3.特開2003-069097号公報
4.米国特許出願公開第2011/0127431号明細書
5.特開2003-303978号公報

第4 本願発明
本願の請求項1-3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は,平成28年8月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりである。
「【請求項1】
基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子と,
を備え,
前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成され,
前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。
【請求項2】
前記基板は,サファイア基板又は酸化マグネシウム(MgO)基板である請求項1に記載のテラヘルツ検出器。
【請求項3】
前記アンテナ部は,複数のボウタイアンテナで構成され,
前記複数のボウタイアンテナの中心に前記超伝導トンネル接合素子が配置されている請求項1又は2に記載のテラヘルツ検出器。」

第5 原査定について
(1)引用文献Aの記載
ア 引用文献A
引用文献Aには,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,アンテナを結合したBi_(2) Sr_(2) CaCu_(2) O_(8) 単結晶固有ジョセフソン接合テラヘルツ検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に高温超伝導固有ジョセフソン接合装置は,高いギャップ電圧により,テラヘルツ帯で動作可能であると目されており,有望なものである。」
(イ)「【0008】図1は本発明の実施例を示すアンテナとrfチョークフィルタとともに集積された固有ジョセフソン接合装置の概略図である。
【0009】この図において,1はシリコン基板,2はそのシリコン基板1上に形成されるrf(radio frequency)チョークフィルタ,3はそのシリコン基板1上に形成される平面ボータイアンテナ,4はそのシリコン基板1上に形成されるBSCCO単結晶(固有ジョセフソン接合装置)であり,このBSCCO単結晶(ジョセフソン接合装置)4は30nmの高さを有し,複数層4Aからなり,上部電極4Bと下部電極4Cを有する。」
(ウ)「【0015】シリコン基板1は固有ジョセフソン接合を保持するために使われ,それ故,テラヘルツ信号を自由空間側とシリコン基板1側から照射することができる。」
(エ)「【0024】図3は本発明に係る4μm×4μmのa-b面の寸法をもつ試料(BSCCO単結晶)の電流-電圧特性を示す図である。
【0025】この図に示すように,約20本の分岐構造が見られ,これらは,わずか300Åの厚さの固有ジョセフソン接合スタックに依ることを意味する。
【0026】以下,本発明のテラヘルツ検出と実現可能な応用について説明する。
【0027】テラヘルツ検出システムでは,平面ボータイアンテナ3,シリコン基板1,延長半球シリコンレンズが準光学系を形成する。放射はCO_(2) レーザーにより光学的にポンピングされた遠赤外レーザーである。テラヘルツ応答は周波数f_(FIR) が1.6266THzと2.5253THzのレーザーを照射して測定された。どちらの場合にもNhf_(FIR) /2eの電圧で非常に明瞭なシャピロステップが観察された。ここでNは分岐の次数であり,2e/h=484MHz/μVである。
【0028】図4は本発明に係る1.6THzの照射下での電流-電圧特性を示す図である。
【0029】この図において,Nが13までの電流-電圧特性を示している。動作温度は,4.2Kから液体窒素温度までの範囲を網羅する。また,100GHzと200GHzの電磁波を試料に照射したところ,両方の周波数で応答が非常に高感度であった。」
(オ)図1には,平面ボータイアンテナ3の中心に固有ジョセフソン接合装置4が形成されること,固有ジョセフソン接合装置4の上部電極4Bと下部電極4Cで平面ボータイアンテナ3が構成されること,記載されていると認められる。
イ 引用発明A
前記アより,引用文献Aには次の発明(以下,「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
「シリコン基板上に形成される平面ボータイアンテナ,シリコン基板上に平面ボータイアンテナの中心に形成される固有ジョセフソン接合装置からなるテラヘルツ検出システムであって,テラヘルツ信号をシリコン基板側から照射することができる。」
(2)引用文献1,3及び4の記載
前記第2の2(2),(4)及び(5)のとおり,引用文献1,3及び4には,それぞれ引用発明1,3及び4が記載されていると認められる。
(3)引用文献5の記載
ア 引用文献5
引用文献5には,図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0047】(基板)本発明において,必要に応じて電極が形成される基板としては,特に制限はないが,変換対象となる高速光パルス信号を基板側から照射する場合には,当該高速光パルス信号の波長の光を透過する材質であることが要求される。また,少なくとも前記カーボンナノチューブが配される側の表面が,絶縁性であることが要求される。これら要件を満たす範囲内で,従来公知の電子基板をいずれも用いることができる。
・・・
【0050】図1および図2の構成の光電変換素子を例に挙げて,好ましい基板の構成を説明する。図1および図2に示されるように,基板12は,少なくともカーボンナノチューブ2が配される部位に,分散除去層8が形成されてなる。
【0051】ここで,「カーボンナノチューブ2が配される部位」とは,図1のようにカーボンナノチューブ2が電極6a,6bに橋渡しされている場合には,基板12の表面において,電極6a,6bではなくカーボンナノチューブ2が,接触の有無は問わず上方(地球の重力に関係なく,基板12の表面を基準として相対的に上方。以下同様。)に位置している部位をいう。図2のように電極を有しない場合にも,基板12の表面において,カーボンナノチューブ2が,接触の有無は問わず上方に位置している部位をいう。以上の解釈においては,半導体微粒子4の存在は考慮しない。
【0052】支持板10は,本例ではSドープInP基板を用いているが,これに限定されるものではない。支持板の厚みとしては,形状保持性が十分となるように,用いる材料により適宜調整すればよく,通常は,一般の電気配線基板と同様の範囲から適宜選択される。」
(イ)図1には,基板12が支持板10と分散除去層8からなることが記載されていると認められる。
イ 引用発明5
前記アより,引用文献5には,次の発明(以下,「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「電極が形成される基板は,高速光パルス信号を基板側から照射する場合には,当該高速光パルス信号の波長の光を透過する材質であることが要求される。」
(4)本願発明1と引用発明Aとの対比
ア 引用発明Aの「シリコン基板上に形成される平面ボータイアンテナ」は,「テラヘルツ検出」のためのものであるから,本願発明1の「基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部」に相当すると認められる。
イ 引用発明Aの「シリコン基板上に平面ボータイアンテナの中心に形成される固有ジョセフソン接合装置」は,本願発明1の「前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された超伝導トンネル接合素子」と,「前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された素子」である点で共通する。
ウ 引用発明Aの「テラヘルツ信号をシリコン基板側から照射することができる」は,本願発明1の「前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されること」に相当すると認められる。
エ 引用発明Aの「テラヘルツ検出システム」は,下記相違点を除いて,本願発明1の「テラヘルツ検出器」に相当すると認められる。
オ すると,本願発明1と引用発明Aとは,下記カの点で一致し,下記キの点で相違すると認められる。
カ 一致点
「基板上に形成され,テラヘルツ帯における周波数を共振周波数として有するアンテナ部と,
前記基板上の前記アンテナ部の中心に配置された素子と,
を備え,
前記基板の裏面からテラヘルツ光が入射されることを特徴とするテラヘルツ検出器。」
キ 相違点
本願発明1においては,「素子」が「超伝導トンネル接合素子」であり,「前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成」されるのに対し,引用発明Aにおいては,「素子」が「固有ジョセフソン接合装置」であり,「前記アンテナ部は,リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成」されてはいない点。
(5)相違点についての判断
引用文献Aには「超伝導トンネル接合素子」を用いることの記載ないし示唆はない。引用文献1にはテラヘルツ波を検出する従来の方式として「超伝導トンネル接合素子(STJ検出器)」が記載されているが(前記第2の2(2)ア(イ)),他の方式と並列的に列挙されているだけで,しかも「固有ジョセフソン接合素子」は記載されておらず,「固有ジョセフソン接合素子」に代えて「超伝導トンネル接合素子」を採用することは示唆されない。
機能的に見ても,「超伝導トンネル接合素子」はそれ自体が電磁波すなわちテラヘルツ波を吸収してトンネル電流を発生するもの(本願明細書段落【0004】)であり,一方,引用発明Aにおける「固有ジョセフソン接合装置」はその上部電極と下部電極が平面ボータイアンテナを構成するもの(前記(1)ア(オ))であるから,平面ボータイアンテナがテラヘルツ信号を受信することにより発生する電流が固有ジョセフソン接合装置に流れるものである。しかし,「超伝導トンネル接合素子」は外部電流を検出する機能はないから,引用発明Aの「固有ジョセフソン接合素子」に代えて「超伝導トンネル接合素子」を採用する動機付けがない。あえて,引用発明Aに「超伝導トンネル接合素子」を採用しても,せいぜい引用文献Aに記載されている(前記(1)ア(エ))ようなジョセフソン電流が生じることが当業者に予測できるだけで,これは「超伝導トンネル接合素子」にとっては雑音にしかならないから,「超伝導トンネル接合素子」を採用することには,阻害要因があるといえる。
してみると,「リーク電流の増大を防止しつつ前記超伝導トンネル接合素子の電磁波吸収量を増大させるように,それぞれが同一の共振周波数を有した同形状の複数のアンテナで構成」するようにすることも,動機付けに欠けるというべきである。
また,引用発明3ないし5についても,相違点に係る構成を開示ないし示唆するものではない。
そして,本願発明1は相違点に係る構成を備えることにより,「STJ素子の雑音の原因となるリーク電流の増大させずにSTJ素子内で生成される準粒子の数を増加でき,テラヘルツ検出器(テラヘルツ検出素子)によるテラヘルツ波の検出効率を高めることができる」(本願明細書段落【0032】)という,格別の有利な効果を奏するものである。
(6)まとめ
したがって,本願発明1は,引用文献A,1,3ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(7)本願発明2及び3について
本願の請求項2及び3に係る発明は,本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに他の発明特定事項を付加したものに相当するから,前記(6)のとおり,本願発明1が引用文献A,1,3ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない以上,請求項2及び3に係る発明についても引用文献A,1,3ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 結言
以上のとおりであるから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-17 
出願番号 特願2011-134049(P2011-134049)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 575- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 儀同 孝信  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 深沢 正志
小田 浩
発明の名称 テラヘルツ検出器  
代理人 西山 春之  
代理人 奥山 尚一  
代理人 奥山 尚一  
代理人 小川 護晃  
代理人 小川 護晃  
代理人 西山 春之  

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