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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02J
管理番号 1327288
審判番号 不服2016-47  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-04 
確定日 2017-04-12 
事件の表示 特願2012-544377「無線電力伝送装置及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月23日国際公開、WO2011/074843、平成25年 4月22日国内公表、特表2013-514053〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2010年(平成22年)12月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年12月14日、韓国)を国際出願日とする出願であって、平成26年6月13日付けで拒絶理由が通知され、平成26年9月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成27年1月5日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年4月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成27年8月28日付けで平成27年4月13日にされた手続補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定がされ、この査定に対して平成28年1月4日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成28年1月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年1月4日にされた手続補正(以下、[本件補正]という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容

1-1.本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
ターゲット装置に無線電力を移送する電源共振器を備えるソース部と、
前記電源共振器の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部と、
を備え、
前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有することを特徴とする無線電力伝送装置。
(中略)
【請求項9】
ソース部からターゲット装置に無線電力を移送するステップと、
近接フィールド制御部が電源共振器の電磁場の方向を制御するステップと、
を含み、
前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有することを特徴とする無線電力伝送方法。
(以下略)」

1-2.本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成26年9月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
ターゲット装置に無線電力を移送する電源共振器を備えるソース部と、
前記電源共振器の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部と、
を備え、
前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計されることを特徴とする無線電力伝送装置。
(中略)
【請求項9】
ソース部からターゲット装置に無線電力を移送するステップと、
近接フィールド制御部が前記電源共振器の電磁場の方向を制御するステップと、
を含み、
前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計されることを特徴とする無線電力伝送方法。
(以下略)」

2.補正の適否
本件補正は、特許請求の範囲について、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計される」を「前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有する」とし、かつ請求項9に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計される」を「前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有する」とするものである。
本件補正の結果、請求項1及び9の記載から、前記近接フィールド制御部が高いインピーダンス表面の特性を有するようにするにあたり「共振周波数に基づいて」「設計される」という事項が削除された。本願明細書の記載、特に段落0033の記載及び周知の事項(後記「2-4.」参照)からみて、前記近接フィールド制御部を、前記電源共振器の共振周波数において高いインピーダンス表面の特性を有するように設計すれば、該電源共振器の電磁場は、おのずと、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有することとなると認められる。そうすると、本件補正前の請求項1及び9に記載された「前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計される」ことと、本件補正後の請求項1及び9に記載された「前記近接フィールド制御部は、」「前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有する」こととは、実質的に異なるところはない。
してみれば、特許請求の範囲についてする本件補正は、実質的に、本件補正前の請求項1及び9に記載されていた「近接フィールド制御部」について、「前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御」するという限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1及び9に記載された発明と本件補正後の請求項1及び9に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1.本件補正発明
本件補正後の請求項1ないし12に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、前記「1-1.」に記載したとおりのものである。

2-2.引用例の記載事項
(1)引用例1
(1-1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-253762号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。)。
(ア)「【請求項1】
無線通信ネットワークを介して通信可能に接続されたユーザ端末から、当該ユーザ端末に関するユーザ端末情報を取得するユーザ端末情報取得部と、
前記ユーザ端末に無線で電力を供給する電力供給部と、
前記ユーザ端末情報に基づいて、前記ユーザ端末に電力を供給するか否かを判定する判定部と、
電力を供給するユーザ端末の位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記電力供給部による電力供給の指向性を制御する指向性制御部と、
を備える、無線通信装置。」
(イ)「【0016】
図1は、本発明の一実施形態にかかる無線通信システム500の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、無線通信装置としてのアクセスポイント100と、複数の携帯端末(ユーザ端末(A)200、ユーザ端末(B)202、ユーザ端末(C)204)とから構成されている。・・・(中略)・・・
【0017】
本実施形態の無線通信システム500において、アクセスポイント100は、後述する手法により所定のユーザ端末に対して電力を送信可能に構成されている。図2は、アクセスポイント100の構成を示す模式図である。アクセスポイント100は、各ユーザ端末200,202,204と無線通信を行い、各ユーザ端末200,202,204のサービス契約情報、機器情報、電池残量等のユーザ端末情報を受信する。そして、無線電力を提供すべきユーザ端末が存在する場合、そのユーザ端末の位置検出を行い、送信する無線電力の方向、電力レベルを決定し、無線電力を提供する。このため、図2に示すように、アクセスポイント100は、無線通信送信回路10、無線通信受信回路30、無線電力送信回路50を備えている。」
(ウ)「【0019】
また、アクセスポイント100は、送受信切換部60、MAC(データリンク層)70、アンテナ80,82を備えている。・・・(中略)・・・MAC70は、アクセスポイント100の制御部として機能し、無線通信送信回路10から送信する送信データの生成、無線通信受信回路30で受信した受信データの取得を行う。また、後述するように、MAC70は、ユーザ端末から取得したユーザ端末情報に応じて無線電力送信回路50による無線電力送信を制御する。」
(エ)「【0022】
アクセスポイント100は、MUSICなどに代表される到来方向推定アルゴリズムや、相関器を用いた測距システム、複数のアクセスポイントを用いた3点測位方法などの手法により各ユーザ端末の位置を検出する。
【0023】
図3は、ユーザ端末の位置を検出する位置検出回路の一例を示す模式図であって、相関器を用いた測距システムにより位置を検出する回路の例を示している。図3に示すように、位置検出回路は、相互相関器46を有して構成される。・・・(中略)・・・相互相関器46をアナログ回路で構成した場合は、図1に示すように、RF回路32の後段に相互相関器46が配置され、相互相関器46で検出されたユーザ端末の位置情報は、ユーザ位置推定情報1としてMAC70に送られる。
【0024】
また、図4は、ユーザ端末の位置を検出する位置検出回路の他の例を示す模式図であって、到来方向推定アルゴリズムにより位置を検出する回路の例を示している。図4に示す位置検出回路を用いる場合は、アンテナ80として複数のアンテナ80a?80cが設けられる。また、RF回路32、AD変換回路34、FFT36として、複数のRF回路32a?32c、複数のAD変換回路34a?34c、および複数のFFT36a?36cが設けられる。FFT36a?36cの出力は、到来方向推定アルゴリズム処理部48へ入力される。・・・(中略)・・・到来方向推定アルゴリズム処理部48は、デジタル回路で構成されるため、図1のチャネル補正部38に組み込むことができる。到来方向推定アルゴリズム処理部48で検出されたユーザ端末の位置情報は、ユーザ位置推定情報2としてMAC70に送られる。」
(オ)「【0025】
無線電力送信回路50は、無線通信ネットワークを介して接続された所定のユーザ端末に対して電力を送信する。このため、無線電力送信回路50は、電源回路52に接続され、電源回路52からユーザ端末に送信する電力を受ける。電源回路52は、乾電池のような直流電源、商用電源のような交流電源などを用いて、入力電力から出力電力を生成する回路である。また、無線電力送信回路50は、各ユーザ端末に電力を送信するためのアンテナ82に接続されている。
【0026】
アクセスポイント100は、電力を送信するユーザ端末の位置を取得すると、ユーザ端末の位置に応じてアンテナ82の指向性を可変する。このため、無線電力送信回路50に接続されたアンテナ82は、送信波の指向性を可変できるアンテナから構成されている。アンテナ82は、フェーズドアレーアンテナ、アダプティブアレーアンテナ等の指向性を電子制御可能なアンテナ、またはアンテナの方向を機械的に制御可能なアンテナから構成されている。」
(カ)「【0032】
次に、アクセスポイント100の無線電力送信回路50からユーザ端末200,202の無線電力受信部250へ電力を送る手法について説明する。無線電力送信回路50は、電磁誘導型、電波受信型、磁場共鳴型、電場共鳴型などの動作原理に従って動作する電力交換部51を含む。また、無線電力受信部250は、これらの原理に従って動作する電力交換部251を含む。以下では、図6A?6Dに基づいて、各動作原理に従って動作する電力交換部51、電力交換部251の構成を具体的に説明する。」
(キ)「【0034】
図6Bは、電波受信型で動作する電力交換部251の構成を示した説明図である。図6Bに示したように、電波受信型で動作する電力交換部251は、アンテナ251a、共振回路251b、コンデンサC4、コンデンサC5、ダイオードD2、ダイオードD3、コンデンサC6、およびコンデンサC7を含む。かかる構成において、アンテナ251aにより電波が受信されると、アンテナ251aから共振回路251bに交流電流が供給され、共振回路251bが当該交流電流を共振により増幅する。さらに、増幅された交流電流をダイオードD3およびコンデンサC6などからなる整流回路が整流することにより直流成分が抽出され、電力交換部251において直流電流が得られる。なお、電波受信型の場合、アクセスポイント100の無線電力送信回路50は、無線通信送信回路10と同様に構成することができる。」
(ク)「【0041】
図7は、アクセスポイント100において、各ユーザ端末200,202,204のユーザ端末情報、位置を取得した結果、無線電力の提供を受けることが可能なユーザ端末(A)200にのみ電力を供給している様子を示す模式図である。アクセスポイント100は、推定したユーザ端末(A)200の位置に従い、無線電力提供用のアンテナ82の指向性をユーザ端末(A)200に向けることで、ユーザ端末(A)にのみ無線電力供給を行う。・・・(中略)・・・
【0043】
アクセスポイント100は、各ユーザ端末200,202,204から受信したユーザ端末情報に基づいて、無線電力の供給を受けることが可能なユーザ端末(A)200の存在を確認する。そして、アクセスポイント100は、ユーザ端末(A)200から受信した無線通信の信号から、上述した手法によりユーザ端末(A)200の位置を検出し、ユーザ端末の位置に応じてアンテナ82の指向性を制御するとともに、送信電力レベルを制御する。
【0044】
図8は、アクセスポイント100のMAC70の機能構成を示すブロック図である。ユーザ端末情報に基づく無線電力送信の制御は、主としてMAC70により行われる。図7に示すように、MAC70は、ユーザ端末情報取得部72、ユーザ端末位置取得部74、送信電力方向指令部76、送信電力レベル指令部78、制御部79を備える。ユーザ端末情報取得部72は、各ユーザ端末の契約情報、端末機能情報、電池残量情報等のユーザ端末情報を取得する。ユーザ端末位置取得部74は、図3、図4に示す位置検出回路の出力(ユーザ位置推定情報1,2)に基づいて、ユーザ端末の位置を取得する。送信電力方向指令部76は、電力供給すべきユーザ端末に対してアンテナ82の指向性を向けるため、無線電力送信回路50に対して送信電力方向情報を送る。送信電力レベル指令部78は、電力供給すべきユーザ端末に対して適切なレベルの電力を送るため、無線電力送信回路50に対して送信電力レベル情報を送る。制御部79は、ユーザ端末情報、ユーザ端末位置に応じて無線電力送信回路50へ送信電力方向情報、送信電力レベル情報を送るため、送信電力方向指令部76、送信電力レベル司令部78を制御する。なお、図8に示す機能ブロックは、ハードウェア、又は演算処理部(CPU)とこれを機能させるソフトウエア(プログラム)によって構成することができる。これらの機能ブロックを演算処理部とソフトウエアによって構成した場合、そのプログラムは、アクセスポイント100が備えるメモリ等の記録媒体に格納されることができる。以下に説明する処理は、MACが備える機能ブロックにより実現されることができる。」
そして、特に記載事項(エ)及び図1?4の記載からみて、無線通信受信回路30は、位置検出回路を有し、アンテナ80に接続されていること、及び該位置検出回路は、前記アンテナ80が受信したユーザ端末からの信号に基づいてユーザ端末の位置を検出し、ユーザ位置推定情報としてMAC70に送ること、が理解できる。
さらに、特に記載事項(オ)、(ク)からみて、MAC70は、ユーザ位置推定情報に基づいてユーザ端末位置を取得し、該ユーザ端末位置に応じた送信電力方向情報を無線電力送信回路50に対して送ること、及び該無線電力送信回路50は、前記送信電力方向情報に基づいてアンテナ82の指向性を制御すること、が理解できる。
(1-2)そうすると、これらの記載からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「所定のユーザ端末に対して電力を送信可能に構成されているアクセスポイント100であって、
無線通信受信回路30、無線電力送信回路50、MAC70、アンテナ80,82を備え、
前記無線通信受信回路30は、位置検出回路を有し、アンテナ80に接続され、
前記無線電力送信回路50は、電波受信型の動作原理に従って動作する電力交換部51を含み、前記アンテナ82に接続され、
前記アンテナ82は、各ユーザ端末に電力を送信するためのアンテナであり、送信波の指向性を可変できるアンテナから構成されており、
前記位置検出回路は、前記アンテナ80が受信したユーザ端末からの信号に基づいてユーザ端末の位置を検出し、ユーザ位置推定情報として前記MAC70に送り、
前記MAC70は、前記ユーザ位置推定情報に基づいてユーザ端末位置を取得し、該ユーザ端末位置に応じた送信電力方向情報を前記無線電力送信回路50に対して送り、
前記無線電力送信回路50は、前記送信電力方向情報に基づいて前記アンテナ82の指向性を制御する、
アクセスポイント。」

(2)引用例2
(2-1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-267110号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。)。
(ケ)「【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器と通信を行う携帯通信装置とを備え、
前記電子機器は、
前記携帯通信装置と通信を行う第1の通信手段と、
前記携帯通信装置の存在方向を検出する方向検出手段と、
電源から供給された電力を電磁波に変換するとともに、変換後の電磁波を前記方向検出手段により検出された方向に送信する電磁波送信手段とを含み、
前記携帯通信装置は、
前記電子機器と通信を行う第2の通信手段と、
前記第2の通信手段に電力を供給する二次電池と、
前記電磁波送信手段により送信された電磁波を受信する電磁波受信手段と、
前記電磁波受信手段により受信された電磁波を電力に変換する電力変換手段と、
前記電力変換手段により変換された電力で前記二次電池を充電する充電手段とを含むことを特徴とする通信システム。」
(コ)「【0046】
(1)第1の実施の形態
(1-1)遠隔操作装置およびテレビ受像機の構成
以下、遠隔操作装置およびテレビ受像機の各構成部の機能(動作)について概略的に説明する。」
(サ)「【0047】
図1は、第1の実施の形態に係る遠隔操作装置および遠隔操作装置により遠隔操作されるテレビ受像機の構成を示すブロック図である。
【0048】
図1に示すように、遠隔操作装置(以下、リモコンと呼ぶ)100は、マイクロ波受信部21、電力変換回路22、充電制御回路23、二次電池24、赤外線送信部25、機器制御内容入力部26、および通知信号送信部27を含む。
【0049】
また、テレビ受像機200は、マイクロ波送信部1、方向検索部2、電力制御部3、電源回路4、通知信号受信部5、赤外線受信部6、機器制御部7、および機能部8を含む。なお、電源回路4は商用電源に接続される。
【0050】
テレビ受像機200のマイクロ波送信部1は指向性アンテナおよび送信回路を含む。リモコン100のマイクロ波受信部21は無指向性アンテナおよび受信回路を含む。」
(シ)「【0055】
本実施の形態においては、概略的には、テレビ受像機200は、最初に、リモコン100が存在する方向を検索する。なお、以下の説明では、リモコン100が存在する方向とは、テレビ受像機200を基準としたリモコン100の相対的な方向を示す。
【0056】
そして、リモコン100が存在する方向を検索した後、テレビ受像機200はリモコン100が存在する方向に向かってマイクロ波を送信する。リモコン100は、受信したマイクロ波を電力に変換し、変換された電力を用いて充電を行う。
【0057】
ここで、マイクロ波とは、約1GHz?30GHzの周波数を有し、約1cm?10cmの波長を有する電磁波をいう。」
(ス)「【0059】
電力制御部3は、電源回路4から供給される電力をマイクロ波送信部1に与える。マイクロ波送信部1は、与えられた電力をマイクロ波に変換し、リモコン100にマイクロ波を送信する。なお、マイクロ波を送信することを電力伝送と呼ぶ。」
(セ)「【0075】
上述したように、本実施の形態においては、テレビ受像機200のマイクロ波送信部1は指向性アンテナを有しているので、当該指向性アンテナを用いてマイクロ波の送信方向を絞ることによって、リモコン100に対する電力伝送を効率的に行うことが可能となる。」
(ソ)「【0077】
(1-2)マイクロ波送信部の構成
続いて、マイクロ波送信部1の構成およびマイクロ波の走査方法について説明する。
【0078】
図2は、マイクロ波の走査を機械的に行う場合のマイクロ波送信部1の構成を示す模式図である。また、図3は、マイクロ波の走査を電気的に行う場合のマイクロ波送信部1の構成を示す模式図である。
【0079】
図2(a)に示すように、マイクロ波送信部1は、アンテナ50、パラボラ型反射板51、モータ等からなる駆動機構52a、駆動機構制御部52b、および発振部53を含む。
【0080】
パラボラ型反射板51には、当該パラボラ型反射板51を回転させる駆動機構52aが取り付けられ、駆動機構52aには当該駆動機構52aの動作を制御する駆動機構制御部52bが接続されている。
【0081】
発振部53は、電力制御部3から与えられた電力に基づいてマイクロ波を発生する。発生されたマイクロ波はアンテナ50から放射される。
【0082】
アンテナ50から放射されたマイクロ波は、パラボラ型反射板51により反射され、一方向へ出射される。
【0083】
図2(b)に示すように、駆動機構52aによりパラボラ型反射板51が回転されると、アンテナ50から放射されたマイクロ波の反射角度が変更され、上記方向とは異なる方向へマイクロ波が出射される。
【0084】
このような構成により、マイクロ波送信部1においてマイクロ波の出射方向を2次元的に走査させることが可能となる。」
(2-2)そうすると、これらの記載からみて、引用例2には、次の技術が記載されている。
「リモコン100に対して電力伝送を行うテレビ受像器200において、
前記テレビ受像器200のマイクロ波送信部1は、指向性アンテナを有するものであって、アンテナ50、パラボラ型反射板51、駆動機構52a、駆動機構制御部52b、および発振部53を含み、発振部53により発生され、アンテナ50から放射されたマイクロ波をパラボラ型反射板51により反射して一方向へ出射し、
もって、前記リモコン100が存在する方向に向かって前記マイクロ波を送信し、前記マイクロ波の送信方向を絞ることによって、リモコン100に対する電力伝送を効率的に行うことを可能とする。」

(3)引用例3
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-100445号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(タ)「【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のアンテナ装置は、導電性を有し、且つ特定周波数帯の電磁波の伝搬を阻止するバンドギャップ面を備えた基板と、基板のバンドギャップ面側に、そのバンドギャップ面に沿って配置され、特定周波数帯に属する作動周波数帯の電磁波を送受信する進行波型の線状アンテナとを備えることを特徴とする。
【0008】
つまり、基板は、特定周波数において高いインピーダンス特性を有する、いわゆるHIP(High Impedance ground Plane)である。
このように構成された本発明のアンテナ装置によれば、HIPである基板のバンドギャップ面に、線状アンテナの鏡像が生じることがないため、線状アンテナをバンドギャップ面に最大限に接近させて配置すること、即ち、アンテナを低姿勢化することができる。
【0009】
即ち、単純なグランド面を有する基板に沿って線状アンテナを配置した場合、線状アンテナを流れる電流によって、基板のグランド面には、その電流を打ち消す方向に電流が流れる(いわゆる鏡像が発生する)ことにより、線状アンテナの特性を劣化させてしまう。このため、線状アンテナは、鏡像の影響が十分に小さくなる位置まで基板から離した位置に配置する必要があるが、HIPからなる基板では、このような鏡像の影響を考慮する必要がないためである。
【0010】
また、本発明のアンテナ装置では、進行波型の線状アンテナを、HIP上により近接配置することによって、HIP表面を伝わり裏面へ伝搬する電波を抑制しているため、アンテナ地板が大きいほど裏面放射(アンテナ背面への電波の漏洩)の抑制効果が向上するパッチアンテナと比較して、同サイズの基板(アンテナ地板)を用いるのであれば、パッチアンテナよりも裏面放射を効率よく抑制することができる。」

2-3.対比
(1)本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明はユーザ端末に対して電力を送信するものであるから、引用発明の「ユーザ端末」は、本件補正発明の「ターゲット装置」に相当する。
引用発明は、記載事項(カ)(キ)の共振回路251bを含む電力交換部251を含む無線電力受信部250を備える前記ユーザ端末に対して、電波受信方式により電力を送信するものであって、電力交換部51を含む無線電力送信回路50がアンテナ82に接続され、該アンテナ82は前記ユーザ端末に電力を送信するためのアンテナである。技術常識を考慮すれば、引用発明の「電力交換部51」又は「アンテナ82」は、前記ユーザ端末の前記共振回路251bと共振周波数を同じくする共振回路を含むといえ、当該共振回路は、本件補正発明の「電源共振器」に相当する。さらに、前記アンテナ82は、当然、前記無線電力送信回路50の出力電力を電波として放射する手段を備えているといえる。
そうすると、引用発明の、「無線通信送信回路50」及び「アンテナ82」を備え、「前記無線電力送信回路50は、電波受信型の動作原理に従って動作する電力交換部51を含み、前記アンテナ82に接続され、前記アンテナ82は、各ユーザ端末に電力を送信するためのアンテナであ」ることは、本件補正発明の、「ターゲット装置に無線電力を移送する電源共振器を備えるソース部」を備えることに相当する。
さらに、引用発明は、前記アンテナ82が送信波の指向性を可変できるアンテナから構成されており、MAC70がユーザ端末位置に応じた送信電力方向情報を前記無線電力送信回路50に対して送り、前記無線電力送信回路50が前記送信電力方向情報に基づいて前記アンテナ82の指向性を制御している。そして、前記アンテナ82の指向性を制御することにより、電波を前記ユーザ端末に指向させていることは明らかである。
そうすると、引用発明の、「無線電力送信回路50、MAC70」及び「アンテナ82」を備え、「前記無線電力送信回路50は、」「前記アンテナ82に接続され」、「前記アンテナ82は、各ユーザ端末に電力を送信するためのアンテナであり、送信波の指向性を可変できるアンテナから構成されて」いることは、本件補正発明の、「前記電源共振器の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部」を備えることに相当する。そして、本件補正発明の、「前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有する」ことと、引用発明の、「前記MAC70は、」「ユーザ端末位置に応じた送信電力方向情報を前記無線電力送信回路50に対して送り、前記無線電力送信回路50は、前記送信電力方向情報に基づいて前記アンテナ82の指向性を制御する」こととは、前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように電磁場の方向を制御する点において一致している。
そして、引用発明の「アクセスポイント100」は、所定のユーザ端末に対して電力を送信可能に構成されているから、本件補正発明の「無線電力伝送装置」に相当する。
(2)以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
【一致点】
ターゲット装置に無線電力を移送する電源共振器を備えるソース部と、
前記電源共振器の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部と、
を備え、
前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように電磁場の方向を制御する無線電力伝送装置。
【相違点】
本件補正発明は、近接フィールド制御部が、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御し、また前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有するのに対し、
引用発明は、近接フィールド制御部が送信波の指向性を可変できるアンテナを備えるものの、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように電磁場の方向を制御する態様が不明である点。

2-4.判断
以下、相違点について検討する。
引用例2をみると、引用例2に記載された技術は、テレビ受像器200からリモコン100に対して電磁波であるマイクロ波を送信することにより電力伝送を行うものであるから、同技術の「テレビ受像器200」及び「リモコン100」は、それぞれ、本件補正発明の「無線電力伝送装置」及び「ターゲット装置」に相当する。そして、前記マイクロ波は、発振部53により発生され、アンテナ50から放射されるから、引用例2に記載された技術の、マイクロ波送信部1のうちの「発振部53」は、本件補正発明の「電源共振器」と、電力伝送のための電磁場の発生源である点において一致し、マイクロ波送信部1のうちの「発振部53」及び「アンテナ50」は、本件補正発明の「ソース部」と、電力伝送のための電磁場の発生源を備える部分である点において一致する。
引用例2に記載された技術は、前記アンテナ50から放射されたマイクロ波を、駆動機構制御部52bにより動作を制御される駆動機構52aにより回転されるパラボラ型反射板51により反射して一方向へ出射することにより、前記リモコン100の存在する方向に向かって前記マイクロ波を送信するものである。そうすると、引用例2に記載された技術の「パラボラ型反射板51、駆動機構52a、駆動機構制御部52b」は、本件補正発明の「前記電源共振器の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部」に相当し、引用例2に記載された技術の、「発振部53により発生され、アンテナ50から放射されたマイクロ波をパラボラ型反射板51により反射して一方向へ出射し、もって、前記リモコン100が存在する方向に向かって前記マイクロ波を送信し、前記マイクロ波の送信方向を絞ることによって、リモコン100に対する電力伝送を効率的に行うことを可能とする」ことは、本件補正発明の、「前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御」することに相当する。
してみると、引用例2には、本件補正発明の表現に倣えば、ターゲット装置に無線電力を移送するための電磁場の発生源を備えるソース部と、前記発生源の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部と、を備え、前記近接フィールド制御部は、パラボラ型反射板51、駆動機構52a、駆動機構制御部52bを含み、ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御する、無線電力伝送装置の技術が記載されているといえる。
引用発明と引用例2に記載された技術は、いずれも、ターゲット装置に対して無線電力を移送する無線電力伝送装置であって、前記ターゲット装置に無線電力を移送するための電磁場の発生源を備えるソース部と、前記発生源の電磁場の方向を制御する近接フィールド制御部と、を備え、前記近接フィールド制御部は、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように前記電磁場の方向を制御するものである点において技術分野を同じくするものである。さらに、無線電力伝送装置において、電力伝送の効率を向上することは当然の技術課題であるから、引用発明に引用例2に記載された技術を適用し、引用発明において、前記近接フィールド制御部が、パラボラ型反射板、駆動機構及び駆動機構制御部52bを含み、ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御するようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。
そして、アンテナ装置において、送信する電磁波を反射する反射板を、該電磁波の周波数において高インピーダンス表面の特性を有するようにし、もって前記アンテナ装置の特性を向上させ、裏面放射を抑制することは、例えば引用例3、必要があれば更に本願の出願前に国際公開された国際公開第2009/082003号(特に[0001]、[0012]-[0013]、[0033]及び[0075]-[0079]参照。)及び本願の出願前に頒布された刊行物である特表2002-510886号公報(特に段落0014、0019、0029?0030、0038及び0041参照。)に記載されているように、周知である。そして、反射板を所定の周波数において高インピーダンス表面の特性を有するようにすれば、前記所定の周波数の電磁波は、おのずと、前記反射板に対してインフェーズ特性を有するものとなる(本願明細書の記載、特に段落0033の記載、並びに必要があれば前記国際公開第2009/082003号(特に[0001]、[0012]-[0013]、[0033]及び[0075]-[0079])及び前記特表2002-510886号公報(特に段落0014、0019、0029?0030、0038及び0041)を参照))。
アンテナ装置において、該アンテナ装置の特性を向上させ、周囲環境への悪影響を抑制することは当然の技術課題であるから、引用発明に引用例2に記載された技術を適用するにあたり、前記パラボラ型反射板を、前記電源共振器(電力交換部51)の電磁場の周波数において高インピーダンス表面の特性を有するものとすることは、当業者が通常発揮する創作能力の範囲内のものである。
以上のとおりであるから、引用発明において、前記近接フィールド制御部を、引用例2に記載された技術の、パラボラ型反射板51、駆動機構52a及び駆動機構制御部52bを含み、ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、前記ターゲット装置にフォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御するものとするとともに、該反射板を、周知の、前記電磁場の周波数において高インピーダンス特性を有するものとし、相違点に係る本件補正発明の特定事項を備えるようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。
そして、本件補正発明の奏する効果にも、引用発明、引用例2に記載された技術及び前記周知の技術の奏する作用効果から当業者が予測できたものであって、格別なものともいえない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術及び前記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】の3.2)において、「放射する電磁場がインフェーズ特性を有するという技術的特徴に関しては、引用文献2に限らず、引用文献1および3にも記載も示唆もありません。」と主張している。
しかしながら、先に述べたとおり、アンテナ装置において、送信する電磁波を反射する反射板を、該電磁波の周波数において高インピーダンス表面の特性を有するようすることは、周知であって、反射板をそのようにすれば、前記電磁波は、おのずと、前記反射板に対してインフェーズ特性を有するものとなる。そうすると、近接フィールド制御部を、放射する電磁場が該近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高インピーダンス表面の特性を有するものとすることは、当業者が通常発揮する創作能力の範囲内のものである。
したがって、審判請求人の前記主張は、これを採用することができない。

2-5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
平成28年1月4日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年9月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1-2.」に記載のとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1ないし3及びその記載事項は、前記第2[理由]2-2.に記載のとおりのものである。

3.対比・判断
先に検討したように、本願発明を特定する事項である、「前記近接フィールド制御部は、共振周波数に基づいて高いインピーダンス表面の特性を有するように設計される」ことと、本件補正発明を特定する事項である、「前記近接フィールド制御部は、」(ターゲット装置にフォーカシングされない)「前記電磁場が、前記近接フィールド制御部に対してインフェーズ特性を有するように高いインピーダンス表面の特性を有する」こととの間に実質的に異なるところはない。そうすると、本願発明は、実質的に、前記「第2[理由]2-3.及び2-4.」で検討した本件補正発明から、近接フィールド制御部に関して、ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場が、フォーカシングされるように前記ターゲット装置にフォーカシングされない電磁場の方向を制御する旨の限定を削除したものである(前記「第2[理由]2.」参照。)。
本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2-3.及び2-4.に記載したとおり、引用発明、引用例2に記載された技術及び前記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用例2に記載された技術及び前記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-11 
結審通知日 2016-11-15 
審決日 2016-11-28 
出願番号 特願2012-544377(P2012-544377)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H02J)
P 1 8・ 121- Z (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 晃  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 久保 竜一
永田 和彦
発明の名称 無線電力伝送装置及びその方法  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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