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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1327401
審判番号 不服2016-3953  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2017-04-14 
事件の表示 特願2014- 55432「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日出願公開、特開2015-177825〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月18日の出願であって、平成27年12月11日付けで拒絶査定され、これに対し、平成28年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされ、当審において、同年12月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成29年1月30日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成29年1月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に係る発明であるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明という。」)は次の事項により特定されるものと認める(A?Hは、本願発明を分説するために当審で付した。)。

「【請求項1】
A 始動条件の成立によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、

B 前記取得情報を記憶する記憶手段と、

C 所定の画像表示手段において所定の演出を行う演出制御手段と、を備え、

D 前記演出制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記取得情報に対応する保留画像を前記画像表示手段に表示させることが可能であるとともに、当該保留画像を所定の第1オブジェクトに変化させることが可能であり、

E 前記第1オブジェクトに関連した所定の第2オブジェクトを前記画像表示手段に表示させるとともに、当該第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに向かって移動表示させることを可能にし、

F 前記第2オブジェクトと前記第1オブジェクトとが所定の位置関係になった後、当該第2オブジェクトから前記特別遊技が行われることに対する期待度が高いことを示唆する、前記第2オブジェクトに関連した第3オブジェクトを出現させるときがあり、

G 前記第2オブジェクトから前記第3オブジェクトを出現させたとき、当該第3オブジェクトを前記保留画像として表示可能である、

H 遊技機。」

第3 当審における拒絶理由
当審における平成28年12月7日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
(1)本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)本件出願の下記の請求項1及び2に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:「ぱちんこ冬のソナタFinal」,パチンコ必勝本CLIMAX4月号,株式会社綜合図書,2013年4月1日発行,第22巻,第4号,p.12,14

第4 刊行物
刊行物1に記載された発明
当審において平成28年12月7日付けの拒絶理由において刊行物1として引用した「ぱちんこ冬のソナタFinal」,パチンコ必勝本CLIMAX4月号,株式会社綜合図書,2013年4月1日発行,第22巻,第4号,p.12,14(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア) 第12頁中央左には、「ぱちんこ冬のソナタ Final」と記載されている。第12頁下には、「ヘソ入賞時」の「大当り割合」が図示されている。

(イ) 第14頁右上には、「予告演出」と記載され、「予告演出」の記載の左側には演出に関連する画像表示が図示されている。

(ウ) 第14頁左上には、
「保留変化予告
保留周囲には多彩なキャラやアイコンが出現。期待度を告げる
様々なキャラが保留を変える!? 」
と記載され、雪だるま及び雪だるまの周囲の「ユジン」、「ヒジン」、「キム次長」といった「キャラ」が表示された画像が図示されている。
また、「ユジン」、「ヒジン」、「キム次長」の画像の下部には、
「バス停止保留なら登場キャラに注目
保留の停留場にバスが止まるとキャラが登場。アイコンの内容に注目だ。」
と記載され、バスの前に保留として停留場(バス停)がある画像と、バスの前に停留場(バス停)の代わりにキャラが登場している画像が図示されている。

(エ) 上記(ア)の「ぱちんこ」、「ヘソ入賞時」、及び「大当り割合」の記載から、「ぱちんこ」において ヘソ入賞時に所定の割合で大当りとなることが記載されているといえる。そして、ぱちんこ機において、入賞時に取得された情報に基づいて大当りか否かの判断をすることは、技術常識である。
よって、上記(ア)の記載事項及び図示内容により、刊行物1に記載されたぱちんこ機が、ヘソ入賞の入賞時に取得された情報に基づいて大当りか否かの判断を行う手段を有することは明らかである。

(オ) 上記(ウ)の「保留変化予告」が、入賞時に取得された記憶情報に基づいて行われることは、ぱちんこ機の技術分野において技術常識であるから、刊行物1に記載されたぱちんこ機が入賞時に取得された情報を記憶する記憶手段を有することは明らかである。

(カ) 上記(イ)の「予告演出」との記載や、上記(イ)に演出の画像表示が図示されていることより、刊行物1に記載されたぱちんこ機は画像表示により所定の予告演出を行う手段を有しているといえる。

(キ) 上記(ウ)の「保留周囲には・・・キャラ・・・が出現」という記載は、上記(ウ)の、雪だるま及びその周囲の「キャラ」を表示した画像の図示内容を説明していることは明らかであるから、上記(ウ)から、表示された雪だるまは、通常の保留画像であるといえる。また、ぱちんこ機において、保留画像が入賞時に取得された情報に対応することは技術常識であり、上記(オ)の認定事項により、入賞時に取得された情報は記憶手段に記憶されるものである。
したがって、刊行物1に記載されたぱちんこ機は、記憶手段に記憶され、入賞時に取得された情報に対応する保留画像(雪だるま)を表示させるものである。
そして、上記(ウ)に記載の保留の停留場(バス停)は、通常の保留画像(雪だるま)と形状が異なるから、入賞時に取得された情報に対応する通常の保留画像(雪だるま)を保留の停留場(バス停)に変化可能であるといえる。
以上の、上記(イ)、(ウ)の記載事項及び上記(オ)の認定事項により、刊行物1に記載されたぱちんこ機において、予告演出を行う手段は、記憶手段に記憶され、入賞時に取得された記憶情報に対応する保留画像(雪だるま)を表示させ、保留画像(雪だるま)を保留の停留場(バス停)に変化可能であるといえる。

(ク) 上記(ウ)に記載の「保留の停留場に」「バスが止まる」動作の前には、バスは保留の停留場(バス停)に向かって移動する動作をすることは明らかである。
そして、上記(イ)の「予告演出」の記載は、上記(ウ)の記載事項が予告演出に関することを意味しており、また、上記(カ)の認定事項により、予告演出を行う手段は予告演出を画像表示により行うといえる。よって、上記(ウ)の記載事項から認定される、バスが保留の停留場(バス停)に向かって移動する動作は、予告演出で表示されるといえる。
したがって、上記(イ)、(ウ)の記載事項及び上記(カ)の認定事項により、刊行物1に記載されたぱちんこ機が、予告演出では、バスを保留の停留場(バス停)に向かって移動させる表示をさせるものであるといえる。

(ケ) 上記(ウ)の、バスの前に保留としての停留場(バス停)がある画像と、バスの前に停留場(バス停)の代わりにキャラが登場している画像のうち、バスの前に停留場(バス停)の代わりにキャラが登場している画像においては、バスの停留場(バス停)は消えているから、保留の停留場(バス停)がキャラに置き代わっているといえる。この図示内容と、上記(ウ)の「キャラ・・・が出現。期待度を告げる・・・キャラが保留を変える」との記載事項、「保留の停留場にバスが止まるとキャラが登場。」との記載事項により、刊行物1に記載されたぱちんこ機における予告演出では、保留の停留場(バス停)にバスが止まると、バスから期待度を告げるキャラが登場し、バスの前に表示され、保留の停留場(バス停)に代えて表示され、保留画像を変えるといえる。
そして、ぱちんこ機の演出においては、通常の保留画像を期待度を示す他の画像に変化させたときは、変化させないときよりも大当りの期待度が高いことは技術常識であるから、予告演出では、バスから登場して期待度を告げるキャラは、大当りの期待度が高いことを示唆するものであるといえる。
したがって、(イ)、(ウ)の記載事項により、刊行物1に記載されたぱちんこ機は、予告演出では、保留の停留場(バス停)にバスが止まるとバスから大当りの期待度が高いことを示唆するキャラを登場させ、バスからキャラを登場させたとき、キャラを保留の停留場(バス停)に代えて表示して、保留画像を変えることについて記載されているといえる。

上記(ア)?(ウ)における記載内容及び図示内容と、上記(エ)?(ケ)の認定事項とを総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?hは引用発明を分説するため当審で付与した。)。

「a ヘソ入賞の入賞時に取得された情報に基づいて大当りか否かの判断を行う手段と(上記認定事項(エ))、

b 入賞時に取得された情報を記憶する記憶手段と(上記認定事項(オ))、

c 画像表示により予告演出を行う手段と、を有し(上記認定事項(カ))、

d 予告演出を行う手段は、前記記憶手段に記憶された入賞時に取得された情報に対応する保留画像(雪だるま)を表示させ、保留画像(雪だるま)を保留の停留場(バス停)に変化可能であり(上記認定事項(キ))、

e バスを保留の停留場(バス停)に向かって移動させる表示をさせ(上記認定事項(ク))、

f 保留の停留場(バス停)にバスが止まるとバスから大当りの期待度が高いことを示唆するキャラを登場させ(上記認定事項(ケ))、

g バスからキャラを登場させたとき、キャラを保留の停留場(バス停)に代えて表示して、保留画像を変える(上記認定事項(ケ))、

h ぱちんこ機(上記記載事項(ア))」

第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

(a) 引用発明の「ヘソ入賞」、「入賞時に取得された情報」は、各々本願発明の「始動条件の成立」及び「取得情報」に相当する。そして、パチンコの技術分野において大当りとなった場合に大当り遊技としての特別遊技を行うことは、技術常識であるから、引用発明の「大当りか否かの判断を行う手段」は、本願発明の「特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の「ヘソ入賞の入賞時に取得された情報に基づいて大当りか否かの判断を行う手段」は、本願発明の「始動条件の成立によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段」に相当する。

(b) 上記(a)に記載のとおり、引用発明の「入賞時に取得された情報」は本願発明の「取得情報」に相当する。
よって、引用発明の「入賞時に取得された情報を記憶する記憶手段」は、本願発明の「前記取得情報を記憶する記憶手段」に相当する。

(c) 引用発明の「予告演出」は、本願発明の「所定の演出」に相当する。そして、「予告演出」で行われる「画像表示」は、所定の画像表示手段において行われることは明らかである。
よって、引用発明の「画像表示により予告演出を行う手段」は、本願発明の「所定の画像表示手段において所定の演出を行う演出制御手段」に相当する。

(d) 上記(c)で検討したとおり、引用発明の「予告演出を行う手段」は、本願発明の「演出制御手段」に相当し、上記(b)で検討したとおり、引用発明の「入賞時に取得された情報」は本願発明の「取得情報」に相当する。また、引用発明の「保留画像(雪だるま)」は、本願発明の「保留画像」に相当する。よって、引用発明の「記憶手段に記憶された入賞時に取得された情報に対応する保留画像(雪だるま)」は、本願発明の「前記記憶手段に記憶された前記取得情報に対応する保留画像」に相当する。
そして、上記認定事項(c)により、引用発明の「画像表示により予告演出を行う手段」は、所定の画像表示手段に画像を表示するものであるといえるから、引用発明の「予告演出を行う手段」は、所定の画像表示手段に「保留画像(雪だるま)を表示させ」ることは明らかである。
そうすると、引用発明の「予告演出を行う手段は、前記記憶手段に記憶された入賞時に取得された情報に対応する保留画像(雪だるま)を表示させ」ることは、本願発明の「演出制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記取得情報に対応する保留画像を前記画像表示手段に表示させることが可能である」ことに相当する。

また、引用発明の「保留の停留場(バス停)」は本願発明の「第1オブジェクト」に相当する。
よって、引用発明の「保留画像(雪だるま)を保留の停留場(バス停)に変化可能であ」ること は、本願発明の「当該保留画像を所定の第1オブジェクトに変化させることが可能であ」ることに相当する。

以上のことから、引用発明の 「予告演出を行う手段は、前記記憶手段に記憶された入賞時に取得された情報に対応する保留画像(雪だるま)を表示させ、保留画像(雪だるま)を保留の停留場(バス停)に変化可能であ」ることは、本願発明の「演出制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記取得情報に対応する保留画像を前記画像表示手段に表示させることが可能であるとともに、当該保留画像を所定の第1オブジェクトに変化させることが可能であ」ることに相当する。

(e) 上記(d)で検討したように、引用発明の「保留の停留場(バス停)」は本願発明の「第1オブジェクト」に相当する。また、引用文献の「バス」は、「保留の停留場(バス停)」と関連しているといえるから、引用発明の「バス」は、本願発明の「前記第1オブジェクトに関連した所定の第2オブジェクト」に相当する。
よって、引用発明において「バスを保留の停留場(バス停)に向かって移動させる表示をさせ」ることは、本願発明の「当該第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに向かって移動表示させることを可能に」とすることに相当する。
そして、上記(c)により、引用発明の「画像表示により予告演出を行う手段」は、所定の画像表示手段に画像を表示するものであるといえる。よって、引用発明において「バスを保留の停留場(バス停)に向かって移動させる表示をさせ」るとき、「バス」を、本願発明のように「画像表示手段」に表示させていることは明らかである。
したがって、引用発明の「バスを保留の停留場(バス停)に向かって移動させる表示をさせ」ることは、本願発明の「前記第1オブジェクトに関連した所定の第2オブジェクトを前記画像表示手段に表示させるとともに、当該第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに向かって移動表示させることを可能に」することに相当する。

(f) 上記(d)で検討したように、引用発明の「保留の停留場(バス停)」は本願発明の「第1オブジェクト」に相当し、上記(e)で検討したように、引用文献の「バス」は、本願発明の「第2オブジェクト」に相当する。よって、引用発明の「保留の停留場(バス停)にバスが止まる」は本願発明の「前記第2オブジェクトと前記第1オブジェクトとが所定の位置関係にな」ることに相当する。
そして、パチンコの技術分野において「大当り」となると、「大当り」遊技、すなわち特別遊技が実行されることは技術常識であるから、引用発明において「大当りの期待度が高い」ことは、本願発明の「特別遊技が行われることに対する期待度が高い」ことに相当する。また、引用発明の「キャラ」は、引用発明において「バス」から降りてくるから、引用発明の「バス」に関連するものだといえる。
したがって、引用発明の「キャラ」は、本願発明の「前記特別遊技が行われることに対する期待度が高いことを示唆する、前記第2オブジェクトに関連した第3オブジェクト」に相当する。
そして、引用発明の「登場させる」ことは本願発明の「出現させる」ことに他ならない。
以上により、引用発明において「保留の停留場(バス停)にバスが止まるとバスから大当りの期待度が高いことを示唆するキャラを登場させ」ることは、本願発明の「前記第2オブジェクトと前記第1オブジェクトとが所定の位置関係になった後、当該第2オブジェクトから前記特別遊技が行われることに対する期待度が高いことを示唆する、前記第2オブジェクトに関連した第3オブジェクトを出現させるときがある」ことに相当する。

(g) 上記(e)で検討したように引用文献の「バス」は、本願発明の「前記第1オブジェクトに関連した所定の第2オブジェクト」に相当し、上記(f)で検討したように引用発明の「キャラ」は、本願発明の「第3オブジェクト」に相当する。
また、引用発明における「保留の停留場(バス停)」は、引用発明の構成dから明らかなように、「保留画像(雪だるま)」を変化させたものであるから、保留画像として表示されていたものである。よって、引用発明の、「キャラを」保留画像として表示されていた「保留の停留場(バス停)」「に代えて表示して、保留画像を変える」ことは、「キャラ」を保留画像として表示することに相当する。
したがって、引用発明の「バスからキャラを登場させたとき、キャラを保留の停留場(バス停)に代えて表示して、保留画像を変える」ことは、本願発明の「前記第2オブジェクトから前記第3オブジェクトを出現させたとき、当該第3オブジェクトを前記保留画像として表示可能である」ことに相当する。

(h) 引用発明の「ぱちんこ機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(h)の対比により、本願発明と引用発明とは、

[一致点]
「A 始動条件の成立によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、

B 前記取得情報を記憶する記憶手段と、

C 所定の画像表示手段において所定の演出を行う演出制御手段と、
を備え、

D 前記演出制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記取得情報に対応する保留画像を前記画像表示手段に表示させることが可能であるとともに、当該保留画像を所定の第1オブジェクトに変化させることが可能であり、

E 前記第1オブジェクトに関連した所定の第2オブジェクトを前記画像表示手段に表示させるとともに、当該第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに向かって移動表示させることを可能にし、

F 前記第2オブジェクトと前記第1オブジェクトとが所定の位置関係になった後、当該第2オブジェクトから前記特別遊技が行われることに対する期待度が高いことを示唆する、前記第2オブジェクトに関連した第3オブジェクトを出現させるときがあり、

G 前記第2オブジェクトから前記第3オブジェクトを出現させたとき、当該第3オブジェクトを前記保留画像として表示可能である、

H 遊技機。」

で一致し、両者の間に差異はない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明である。

なお、仮に、刊行物1の上記(ウ)における図示内容では、「バス」(第2オブジェクト)からキャラ(第3オブジェクト)を出現させたとき、上記(ケ)の認定のようにキャラ(当該第3オブジェクト)自体が停留場(バス停)の代わりに保留画像として表示されることが不明であるとして、本願発明の構成Gを有しているといえない場合についても一応検討する。

刊行物1と同一の機種に関連する、本願出願前に公知の「CRぱちんこ冬のソナタFinal」,パチンコ必勝ガイド5.18号,株式会社ガイドワークス,2013年5月18日発行,第2巻,第10号,p.62?65(以下、「刊行物2」という。)には、第62頁右上に、「CRぱちんこ冬のソナタFinal」と記載され、第63頁左上に「法則その2・・・バス停保留のままだとトータル信頼度は1パーセントにも満たないが・・・通常パターンではバスからユジンやミニョンが降りればチャンスだ」と記載され、同頁中央左には、「基本その3 保留変化・高信頼度のパターンを要チェック・・・バス停保留は、通過するバスの色が赤以上なら保留変化濃厚となる。」と記載され、同頁中央右には、「通常時・保留変化予告パターン別信頼度抜粋」と記載され、「保留変化」の項目に「ミニョン・・・ウエディング衣装ユジン」と記載され、「特殊変化パターン」の項目に「ユジン保留消化時」と記載されている。
これらの記載により、ぱちんこ機である「ぱちんこ冬のソナタFinal」において、「バス停保留」は「バス」から「ユジン」や「ミニョン」が降りることがあり、「バス停保留」が「ミニョン」、「ユジン」等のキャラに変化し得ることは明らかである。
また、刊行物1と同一の機種に関連する、本願出願前に公知の「CRぱちんこ冬のソナタFinal」,パチンコ必勝ガイド4.21号,株式会社ガイドワークス,2013年4月21日発行,第2巻,第8号,p.4?11(以下、「刊行物3」という。)には、第4頁右に「CRぱちんこ冬のソナタFinal」と記載され、同頁左下には、「バス停→キャラ降り・・・バス停保留はその例外パターンとなり、バスの色が赤なら保留変化濃厚。ゼブラ柄なら期待大の保留に変化」と記載され、「通常時・保留変化予告パターン別信頼度」の項目に「ミニョン」、「ユジン」と記載されている。これらの記載により、ぱちんこ機である「ぱちんこ冬のソナタFinal」において、「バス停保留」は「キャラ」がバスから降りることがあり、「バス停保留」が「ミニョン」、「ユジン」等の「キャラ」に変化し得ることは明らかである。

そして、上記刊行物2-3に記載された周知技術は、引用発明と同一機種のぱちんこ機(「冬のソナタFinal」)に関するものである以上、引用発明においては、仮に、「保留の停留場」に「バス」が止まり「バス」から「キャラ」を登場させた場合に「キャラ」自体が保留画像として表示されるか定かでないとしても、引用発明と同一機種のぱちんこ機について記載された周知技術は、当業者にとって引用発明のぱちんこ機が実質的に有する構成と把握される。

したがって、仮に本願発明が引用発明と同一でないとしても、本願発明は、引用発明及び引用発明と同一機種のぱちんこ機に関する刊行物2-3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、又は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-17 
結審通知日 2017-02-20 
審決日 2017-03-03 
出願番号 特願2014-55432(P2014-55432)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 正樹進藤 利哉秋山 斉昭澤田 真治  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 金田 理香
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 寺本 亮  
代理人 小沢 昌弘  

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