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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1327592
審判番号 不服2016-6025  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-22 
確定日 2017-05-18 
事件の表示 特願2011-284749「情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 8日出願公開、特開2013-135354、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月27日の出願であって、平成27年8月13日付けで拒絶理由が通知され、平成27年10月2日付けで手続補正がされ、平成28年1月19日付けで拒絶査定がされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として、平成28年4月22日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1-4、8-12に対して、引用文献1、4、5
請求項5、6に対して、引用文献1、2、4、5
請求項7に対して、引用文献1-5

引用文献等一覧
1.特開2005-136503号公報
2.特開2004-310889号公報
3.特開2008-065964号公報
4.特開平10-283759号公報
5.特開平11-205673号公報

第3 審判請求時の補正について
補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明において、
「編集の対象となる画像の再生が開始される前に、編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させる表示制御部」を備えることに限定し、
当該「編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させる表示制御部」を備えることに限定したことに伴い、
「複数種類の時間の中から予め選択された」を「前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された」、
「複数の前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報」を「前記選択画面を用いて選択された複数の前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報」に限定し、
「編集情報を生成する」を「編集情報を、前記指示がある毎に生成する」
に限定したものである。

補正後の請求項10、11は、請求項1とカテゴリーが異なるものであり、同様の限定がされている。

そして、当該補正に係る事項は、当初明細書の段落0044-0055、、図4、図5、段落0119-0121、図15に記載された事項であり、新規事項を追加するものでなく、発明の特別な技術的特徴を変更するものでなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第4 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成28年4月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
なお、本願発明1のAからDについては、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成A」、「構成B」などという。

「 【請求項1】
A 編集の対象となる画像の再生が開始される前に、編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させる表示制御部と、
B 前記画像の再生を制御する制御部と、
C 前記画像の再生区間のうち、前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から、前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された所定の時間だけ後の位置までの区間を編集区間とし、前記編集区間の前記画像に組み合わせて適用する、前記選択画面を用いて選択された複数の前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する生成部と
D を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記編集情報が生成された前記画像を再生する場合、前記編集情報に基づいて、複数の前記編集効果を組み合わせて前記編集区間の前記画像に適用する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記編集区間の前記画像に適用する前記編集効果として1つの前記編集効果が選択された場合、1つの前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む前記編集情報を生成する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記編集効果が適用される区間を表すアイコンを前記編集区間の開始位置に配置したタイムラインを表示させる
請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、複数の前記編集効果が適用される区間を表すアイコンと、1つの前記編集効果が適用される区間を表すアイコンとしてそれぞれ異なるアイコンを表示させる
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、複数の前記編集効果が適用される前記編集区間に対応する前記タイムラインの区間と、1つの前記編集効果が適用される前記編集区間に対応する前記タイムラインの区間を異なる色で表示させる
請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記編集情報を前記画像とは別に記録させて管理する管理部をさらに備える
請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記管理部は、ユーザにより選択された前記編集効果の情報を前記編集情報から削除する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記管理部は、ユーザにより選択された前記編集効果の内容を変更し、変更後の内容を表す前記編集効果の情報を前記編集情報に記録する
請求項7または8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
編集の対象となる画像の再生が開始される前に、編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させ、
前記画像を再生し、
前記画像の再生区間のうち、前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から、前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された所定の時間だけ後の位置までの区間を編集区間とし、前記編集区間の前記画像に組み合わせて適用する、前記選択画面を用いて選択された複数の前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項11】
編集の対象となる画像の再生が開始される前に、編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させ、
前記画像を再生し、
前記画像の再生区間のうち、前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から、前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された所定の時間だけ後の位置までの区間を編集区間とし、前記編集区間の前記画像に組み合わせて適用する、前記選択画面を用いて選択された複数の前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2005-136503号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】
また、本発明に係るファイル記録再生装置において、上記制御手段は、例えば、ビデオデータの記録又は再生中に、エフェクトをかけたい任意の区間を指定する指示入力に応じて、上記エフェクトトラック内に所望のエフェクト種別・パラメータのエフェクト区間を自動的に作成することを特徴とする。」
「【0022】
また、本発明に係るファイル記録再生装置において、上記制御手段は、例えば、エフェクト区間を作成する場合に、すでにその区間の一部または全部に別のエフェクト区間が存在する場合、その区間のエフェクトは、新たなエフェクトトラックを追加して、そこにエフェクト区間を作成して多重エフェクトとする。」
「【0099】
次に、QTにおける多重エフェクトについて説明する。
【0100】
多重エフェクトは、QTにおいてスタックエフェクト(Stack Effect)と称される。オリジナルのビデオトラックをソーストラックとしたエフェクトトラックを別のエフェクトトラックのソーストラックとすることができる。実現されるエフェクト例としては、セピア色変換したものにぼかしを施すなどが挙げられる。」
「【0119】
このビデオディスク装置30を搭載したビデオディスクカメラ100は、例えば図13の外観斜視図に示すように、ユーザーインターフェースとして、記録開始ボタン41、再生開始ボタン42、停止ボタン43、エフェクトボタン44、エフェクト種別・パラメータ変更ボタン45、マークボタン46等の各種操作ボタンを備える。」
「【0121】
エフェクト区間テーブルは、図14に示すように、再生あるいは録画されるエフェクトトラックを持つムービーにおいて、どのような種別・パラメータのエフェクトがどの区間施されるかを記述しているもので、メモリ8上に置かれる。また、ムービーアトム(Movie Atom)内のエフェクトトラック1つにつきエフェクト区間テーブルが1つ存在する。エフェクトトラックを多数もつムービーアトム(Movie Atom)の場合はそれと同数のエフェクト区間テーブルが存在する。エフェクトの施されてない区間(Nullエフェクト区間)はこのテーブルに記述しない。エフェクトを削除する場合は、「エフェクト解除」をエフェクト区間として登録することにより行う。エフェクト区間テーブルへエフェクト区間を追加する場合には追加するエフェクト区間は最後のエントリとして追加する。」
「【0138】
ここで、エフェクトの種別及びパラメータはプリセットで開発者が用意したものを選択できるような方法をとる。ユーザは、エフェクト種別・パラメータ変更ボタンによってプリセットのなかから選ぶ。そのなかには、ぼかし・弱、モザイク・小などの他に、任意のエフェクト区間を削除する場合に用いるエフェクト解除も含まれる。
【0139】
エフェクトスイッチは、ON(エフェクトが施されている)/OFF(エフェクトが施されていない)を表す変数であり、このビデオディスクカメラ100にユーザーインターフェースとして備えられているエフェクトボタン44が押されるごとにON/OFFの状態がトグルする。」
「【0142】
すなわち、先ず、ステップS1では、過去の録画開始要求、再生要求、停止要求ユーザ要求、マーク要求をクリアする。
【0143】
次のステップS2では、ユーザインターフェースのボタン状態を取得する。
【0144】
そして、次のステップS3では、記録開始ボタン41が押されたか否かを判定する。
【0145】
このステップS3における判定結果がYESすなわち記録開始ボタン41が押された場合は、ステップS4に進んで録画開始要求を発行して、ステップS5に進む。
【0146】
また、このステップS3における判定結果がNOすなわち記録開始ボタン41が押されていない場合は、ステップS5に進む。
【0147】
ステップS5では、再生開始ボタン42が押されたか否かを判定する。
【0148】
このステップS5における判定結果がYESすなわち再生開始ボタン42が押された場合は、ステップS6に進んで再生開始要求を発行して、ステップS7に進む。
【0149】
また、このステップS5における判定結果がNOすなわち再生開始ボタン42が押されていない場合は、ステップS7に進む。
【0150】
ステップS7では、停止ボタン43が押されたか否かを判定する。
【0151】
このステップS7における判定結果がYESすなわち停止ボタン43が押された場合は、ステップS8に進んで停止始要求を発行して、ステップS9に進む。
【0152】
また、このステップS7における判定結果がNOすなわち停止ボタン43が押されていない場合は、ステップS9に進む。
【0153】
ステップS9では、エフェクトボタン44が押されたか否かを判定する。
【0154】
このステップS9における判定結果がYESすなわちエフェクトボタン44が押された場合は、ステップS10に進んでエフェクトスイッチがON状態にあるか否かを判定する。
【0155】
このステップS10における判定結果がYESすなわちエフェクトスイッチがON状態にある場合にはステップS11に進んでエフェクトスイッチをOFFにして、ステップS13に進む。
【0156】
また、このステップS10における判定結果がNOすなわちエフェクトスイッチがOFF状態にある場合にはステップS12に進んでエフェクトスイッチをONにして、ステップS13に進む。
【0157】
さらに、上記ステップS9における判定結果がNOすなわちエフェクトボタン44が押されていない場合は、ステップS13に進む。
【0158】
ステップS13では、エフェクト種別・パラメータ変更ボタン45が押されたか否かを判定する。
【0159】
このステップS13における判定結果がYESすなわちエフェクト種別・パラメータ変更ボタン45が押された場合は、ステップS14に進んでエフェクト種別・パラメータを変更して、ステップS15に進む。
【0160】
また、このステップS13における判定結果がNOすなわちエフェクト種別・パラメータ変更ボタン45が押されていない場合は、ステップS15に進む。
【0161】
ステップS15では、マークボタン46が押されたか否かを判定する。
【0162】
このステップS15における判定結果がYESすなわちマークボタン46が押された場合は、ステップS16に進んでマーク要求を発行して、ユーザ入力処理を終了する。
【0163】
また、このステップS15における判定結果がNOすなわちマークボタン46が押されていない場合は、直ちにユーザ入力処理を終了する。」
「【0217】
次に、再生時にユーザからの指示によりエフェクトが任意の時間に任意のエフェクト区間が作成される再生時エフェクト編集の処理の例を図30に示す。この処理を行うメイン部は、図30のフローチャートに示す手順に従って再生処理を実行する。
【0218】
すなわち、ステップS61では、上記ユーザ入力部によるユーザ入力を行う。
【0219】
次のステップS62では、再生開始要求があったか否かを判定する。
【0220】
このステップS62における判定結果がNOすなわち再生開始要求がない場合には上記ステップS61に戻り、上記ステップS61とステップS62の処理を繰り返すことにより、ユーザから再生開始要求があるまで待機している。
【0221】
そして、このステップS62における判定結果がYESすなわち再生開始要求があると、次のステップS63に進む。
【0222】
ステップS63では、エフェクトトラックを持つムービーアトム(Movie Atom)が存在するか否かを判定する。
【0223】
このステップS63における判定結果がYESすなわちエフェクトトラックを持つムービーアトム(Movie Atom)が存在する場合は、ステップS64に進んで、光ディスク20から任意のムービーアトム(Movie Atom)を読み出してメモリ8に書き込み、また、エフェクトトラックの情報をもとにエフェクト区間テーブルを構築して、ステップS66に進む。
【0224】
また、このステップS63における判定結果がNOすなわちエフェクトトラックを持つムービーアトム(Movie Atom)が存在しない場合は、ステップS65に進んで、光ディスク20からオリジナルのビデオトラックのみのムービーアトム(Movie Atom)を読み出してメモリ8に書き込んで、ステップS66に進む。
【0225】
ステップS66では、エフェクトスイッチがON状態にあるか否かを判定する。
【0226】
このステップS66判定結果がNOすなわちエフェクトスイッチがOFF状態のときは、そのままステップS68に進む。
【0227】
また、このステップS66判定結果がYESすなわちエフェクトスイッチがON状態のときはステップS67に進んで、上述のエフェクト区間登録処理Aを行って、すなわち、その時点でのエフェクト種別・パラメータと開始時刻をエフェクト区間テーブルへ記録して、ステップS68に進む。
【0228】
ステップS68では、ストレージである光ディスク20から映像音声データすなわちムービーデータアトム(Movie Data Atom)をメモリ8に読み込み、デコードしてデバイスへ映像や音声を出力する。
【0229】
次のステップS69では、上記ユーザ入力部によるユーザ入力を行う。
【0230】
次のステップS70では、上記ステップS47におけるユーザ入力としてエフェクトボタン44が押されてエフェクトスイッチの状態が変化したか否かを判定する。
【0231】
このステップS70の判定結果がNOすなわちエフェクトスイッチの状態が変化していないときは、そのままステップS74に進む。
【0232】
また、このステップS70における判定結果がYESすなわちエフェクトスイッチの状態が変化した場合には、ステップS71に進んで、エフェクトスイッチがON状態にあるか否かを判定する。
【0233】
そして、このステップS71判定結果がYESすなわちエフェクトスイッチがONのときは、ステップS72に進んで、上述のエフェクト区間登録処理Aを行って、すなわち、その時点でのエフェクト種別・パラメータと開始時刻をエフェクト区間テーブルへ記録して、ステップS74に進む。
【0234】
また、このステップS71における判定結果がNOすなわちエフェクトスイッチがOFFのときは、ステップS73に進んで、上述のエフェクト区間登録処理Bを行って、すなわち、その時点でエフェクトの開始時刻と終了時刻より継続時間を求めエフェクト区間テーブルに既に記録されているエフェクト種別・パラメータとともに継続時間を記録しエフェクト区間を追加して、ステップS74に進む。
【0235】
ステップS74では、光ディスク20から再生する映像音声データがなくなったか否か、また、停止要求があったか否かを判定する。
【0236】
このステップS74における判定結果がNOすなわち光ディスク20から再生する映像音声データあり停止要求なければ、上記ステップS68に戻り、上記ステップS68からステップS74の処理を繰り返し行う。
【0237】
そして、このステップS74における判定結果がYESすなわち光ディスク20から再生する映像音声データがなくなるか停止要求があれば、次のステップS75に進んでエフェクトスイッチがON状態にあるか否かを判定する。
【0238】
このステップS75判定結果がNOすなわちエフェクトスイッチのON状態にない場合は、そのままステップS77に進む。
【0239】
また、このステップS75における判定結果がYESすなわちエフェクトスイッチがON状態の場合には、ステップS76に進んで、上述のエフェクト区間登録処理Bを行って、すなわち、エフェクトの開示時刻と終了時刻からエフェクト区間を求め、エフェクト種別、エフェクト区間をメモリ8に記録して、ステップS77に進む。
【0240】
ステップS77では、ムービー全体がNullエフェクトであるか否かを判定する。
【0241】
このステップS77における判定結果がNOすなわちメモリ8に記録されたエフェクトがムービー全体においてエフェクト区間テーブルにエントリが1つ以上あれば、エフェクトトラックを持つムービーアトム(Movie Atom)をメモリ8から読み出して光ディスク20へ書き込んで、再生処理を終了する。
【0242】
また、このステップS77における判定結果がYESすなわちムービー全体がNullエフェクトである場合は、そのまま再生処理を終了する。
【0243】
以上のような操作によってエフェクトトラックをもつムービーアトム(Movie Atom)が新たに作成され、元あったエフェクトトラックをもつムービーアトム(Movie Atom)もそのまま残すことができる。
【0244】
ここで、上記ステップS78でエフェクトトラックをもつムービーアトム(Movie Atom)を光ディスク20へ書き出す際に、エフェクト区間テーブルにおいて、エフェクト区間エントリが時間的にオーバーラップしている場合がある。このとき、一つのエフェクトトラックのみを使用してエフェクト区間を上書きしていく方法、又は、新たにエフェクトトラックを追加しそこにエフェクト区間を作成し多重エフェクトとする方法により対処ことができる。
【0245】
ここで、図30のフローチャートに示した再生処理の具体例を図31、図32図33及び図34に示す。
【0246】
図31(A)のように上述の図29に示したムービーを再生開始し、2分後にエフェクトボタンを押し、3分後にエフェクトボタンを押し、5分後に再生を停止した場合における多重エフェクトの具体例では、再生開始直後に図31(B)に示すようなエフェクト区間テーブルが光ディスク20から読み出されてメモリ8上に書き込まれ、再生中に図31(C)のようなエフェクト区間が追加される。テーブルが整理され、図31(D)のようにエフェクト区間テーブルが新たに作成されそこへエフェクト区間が新たに追加される。新たに追加されたエフェクト区間のエフェクト種別・パラメータがメディアデータとしてディスク上へ記録される。
【0247】
再生停止後、図32(A)に示すような多重エフェクトの構造を持つムービーアトム(Movie Atom)が光ディスク20上に作成される。ムービーアトム(Movie Atom)内のビデオトラックあるいはエフェクトトラックは図32(B)のようなメディアデータ(Media Data)を外部参照する。」

以上の記載によれば、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
なお、aからeについては、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成a」、「構成b」などという。

「a エフェクト種別・パラメータ変更ボタンが押された場合は、エフェクトの種別及びパラメータをプリセットで開発者が用意したものから選択でき、
b 再生開始ボタンが押された場合は、再生開始要求を発行し、
c 再生開始要求が発行された後、エフェクトボタンが押され、エフェクトスイッチをONにすると、その時点でのエフェクト種別・パラメータと開始時刻を、どのような種別・パラメータのエフェクトがどの区間施されるかを記述しているエフェクト区間テーブルへ記録し、エフェクトボタンが押され、エフェクトスイッチをOFFにすると、その時点でエフェクトの開始時刻と終了時刻より継続時間を求めエフェクト区間テーブルに既に記録されているエフェクト種別・パラメータとともに継続時間を記録しエフェクト区間を追加し、
再生する映像音声データがなくなるまで、上記動作を繰り返し、
d エフェクト区間を作成する場合に、すでにその区間の一部または全部に別のエフェクト区間が存在する場合、エフェクト区間テーブルが新たに作成されそこへエフェクト区間が新たに追加され、セピア色変換したものにぼかしを施すなどのような多重エフェクトを実現する
e ビデオディスクカメラ。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2004-310889号公報)の段落0058-0063及び図11の記載からみて、当該引用文献2には、
「ズームイン、ズームアウト、フェードイン、フェードアウト処理を表すエフェクトアイコンをタイムライン表示領域に表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開2008-65964号公報)の段落0085及び図11の記載からみて、当該引用文献3には、
「走行バー上の消去対象として選択されていないチャプタと選択されているチャプタを異なる表示色とする」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開平10-283759号公報)の段落0180-0183及び図27の記載からみて、当該引用文献4には、
「エフェクト設定用のダイアログをビデオ編集用画面上に画面表示させ、所望のエフェクト・パターンを選択し、所望の時間をクリックすることによりトランジション時間を選択して設定する」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献5について
原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開平11-205673号公報)の段落0386-0389及び図35、36の記載からみて、当該引用文献5には、
「エフェクトを付加させる場合の設定処理において、エフェクト設定ダイアログを表示し、エフェクトパターンを選択し、フレーム数を選択することによりエフェクトの作用する時間をフレーム数で設定する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。

(1-1)本願発明1の構成Aについて
引用発明の構成aの「エフェクトの種別及びパラメータ」は、本願発明1の構成Aの「編集効果の種類」に相当する。
構成aにおいては、「エフェクト種別・パラメータ変更ボタンが押された場合は、エフェクトの種別及びパラメータをプリセットで開発者が用意したものから選択でき」るものである。そして、構成Aは、「選択画面を表示させる表示制御部」を備えるものであり、選択画面を表示させることにより『選択する』ものであるから、構成aと構成Aは、「編集効果の種類を選択する」点で共通する。

しかしながら、選択することに関して、引用発明は、本願発明1のように、「選択画面を表示させる表示制御部」を備えるか否かは不明であり、「編集の対象となる画像の再生が開始される前」であるか否か不明であり、また、「編集効果が適用される時間」の選択画面を表示させるものではない点で相違する。

(1-2)本願発明1の構成Bについて
引用発明の構成bにおいては、「再生開始ボタンが押された場合は、再生開始要求を発行」するものであるから、画像の再生に関する制御を行っているものといえ、本願発明1の構成Bに相当する構成を有している。

(1-3)本願発明1の構成Cについて
引用発明の構成cは、「再生開始要求」があってから、「再生する映像音声データがなくなるまで」の間に行われるものであるから、映像が再生される間に行われているものといえる。
構成cは、「エフェクトボタンが押され、エフェクトスイッチをONにすると、その時点でのエフェクト種別・パラメータと開始時刻を、」「エフェクト区間テーブルへ記録し、エフェクトボタンが押され、エフェクトスイッチをOFFにすると、」「継続時間を求めエフェクト区間テーブルに既に記録されているエフェクト種別・パラメータとともに継続時間を記録しエフェクト区間を追加」するものであるから、映像の再生中に、エフェクトボタンを押した位置から次に押した位置までを、エフェクト区間としているものであるといえる。
構成cの「エフェクト」は、構成dより、「エフェクト区間」の映像に「セピア色変換」や「ぼかしを施す」ことであり、エフェクト区間の映像に組み合わせるものといえる。
構成cの「エフェクト区間テーブル」は、その時点でのエフェクト種別・パラメータと、開始時刻及び継続時間というエフェクト区間を含む情報を記述しているものである。
構成cは、「再生する映像音声データがなくなるまで、上記動作を繰り返」すものであるから、映像の再生中に、エフェクトスイッチをONにしてOFFにした後、再度ONにしてOFFにすると、新たなエフェクト種別・パラメータと、開始時刻及び継続時間というエフェクト区間を含む情報がエフェクト区間テーブルに書き込まれるので、エフェクトスイッチのON、OFF毎にエフェクト区間テーブルに書き込むものといえる。

そうすると、引用発明の構成cは、『映像が再生される間において、映像の再生中に、エフェクトボタンを押した位置から次に押した位置までをエフェクト区間とし、エフェクト区間の映像に組み合わせる、エフェクト種別・パラメータと、開始時刻及び継続時間というエフェクト区間を含む情報を、エフェクトスイッチのON、OFF毎に、エフェクト区間テーブルに書き込む』ものといえる。

そして、上記『映像が再生される間』、『映像の再生中に、エフェクトボタンを押した位置から』、『エフェクト区間』、『エフェクト種別・パラメータ』、『開始時刻及び継続時間というエフェクト区間』は、構成Cの「前記画像の再生区間」、「前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から」、「編集区間」、「編集効果を表す情報」、「編集区間を表す情報」に相当する。
また、上記『次に押した位置まで』は、「所定の時間だけ後の位置」という点で、構成Cと共通する。
さらに、『情報』は、『エフェクト種別・パラメータと、開始時刻及び継続時間というエフェクト区間を含む』ことから、構成Cの「編集情報」に対応し、『エフェクトスイッチのON、OFF毎に、エフェクト区間テーブルに書き込む』ことは、エフェクトスイッチによる指示がある毎に、『エフェクト種別・パラメータと、開始時刻及び継続時間というエフェクト区間を含む情報』を書き込むものであり、書き込むためには、そのような情報を生成する生成部を備えるものといえる。

したがって、構成cと構成Cは、「前記画像の再生区間のうち、前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から、所定の時間だけ後の位置までの区間を編集区間とし、前記編集区間の前記画像に組み合わせて適用する、前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する生成部」を備える点で共通する。

しかし、「所定の時間だけ後の位置」に関して、引用発明は、「次に押した位置」であるのに対し、本願発明1は、「前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された」位置である点で相違する。
また、「前記編集効果を表す情報」に関して、引用発明は、本願発明1のように、「前記選択画面を用いて」複数選択されるものであり、かつ、「前記指示がある毎に」複数の前記編集効果を表す情報を生成するものでない点で相違する。
さらに、上記(1-1)で検討したように、選択することに関して、引用発明は、本願発明1のように、「編集効果が適用される時間」の選択画面を表示させるものではない点で相違することに起因して、「前記編集区間を表す情報」に関して、引用発明は、本願発明1のように、「前記選択画面を用いて選択された」ものではない点で相違する。

(1-4)本願発明1の構成Dについて
引用発明の構成eの「ビデオディスクカメラ」は、再生している映像にエフェクト処理を行う装置であるから、情報を処理する装置であるといえ、本願発明1の構成Dに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
編集効果の種類を選択し、
画像の再生を制御する制御部と、
前記画像の再生区間のうち、前記画像の再生中に指示があったときの再生位置から、所定の時間だけ後の位置までの区間を編集区間とし、前記編集区間の前記画像に組み合わせて適用する、前記編集効果を表す情報と前記編集区間を表す情報を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する生成部と
を備える情報処理装置。

(相違点)
(相違点1)
選択することに関して、本願発明1は、「編集の対象となる画像の再生が開始される前に、編集効果が適用される時間と前記編集効果の種類の選択画面を表示させる表示制御部」を備えるのに対し、引用発明は、「エフェクト種別・パラメータ変更ボタンが押された場合は、エフェクトの種別及びパラメータをプリセットで開発者が用意したものから選択」するものであり、「選択画面を表示させる表示制御部」を備えるか否かが不明であり、「編集の対象となる画像の再生が開始される前」であるか否か不明であり、また、「編集効果が適用される時間」を表示させるものではない点。

(相違点2)
「所定の時間だけ後の位置」に関して、本願発明1は、「前記選択画面を用いて複数種類の時間の中から予め選択された」位置であるのに対し、引用発明は、「次に押した位置」である点。

(相違点3)
「前記編集効果を表す情報」に関して、本願発明1は、「前記選択画面を用いて」複数選択されるものであり、かつ、「前記指示がある毎に」複数の前記編集効果を表す情報を生成するものであるのに対し、引用発明は、そのような構成ではない点。

(相違点4)
相違点1の「編集効果が適用される時間」の選択画面を表示させるものではない点に起因して、「前記編集区間を表す情報」に関して、本願発明1は、「前記選択画面を用いて選択された」ものであるのに対し、引用発明は、「前記選択画面を用いて選択された」ものでない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点3について検討する。
上記相違点3に係る本願発明1の構成は、選択画面を用いて、複数の編集効果を選択し、かつ、画像の再生中に指示された箇所にて、1度の指示で選択された複数の編集効果を設定するものであるといえる。

一方、引用発明1では、「エフェクト区間を作成する場合に、すでにその区間の一部または全部に別のエフェクト区間が存在する場合、エフェクト区間テーブルが新たに作成されそこへエフェクト区間が新たに追加され、セピア色変換したものにぼかしを施すなどのような多重エフェクトを実現する」(構成d)ものであり、選択画面を用いて、複数の編集効果を選択するものでない。また、引用発明1は、一度、編集効果が設定された画像に、更に追加で編集効果を設定することにより、複数の編集効果を設定するものである。
すなわち、引用発明1では、画像に対して、1度に1つの編集効果しか設定できず、複数の編集効果を設定するためには、複数回の指示を必要としている。

そして、引用発明のような、画像に対して、1度に1つの編集効果しか設定できない構成から、本願発明1のように、選択画面を用いて、複数の編集効果を選択し、かつ、1度の指示で選択された複数の編集効果を設定することは、容易に想到し得るものではない。

また、引用文献2-5についても、相違点3に係る本願発明の構成を備えるものではない。

よって、相違点3に係る構成は、上記引用文献1-5から、容易に想到し得るものでなく、本願出願前において周知技術であるともいえない。

そしてそのような構成を採用することにより、本願発明1は、
「【0006】
複数の編集効果を組み合わせて用いる場合、編集効果の種類の選択と、編集効果を付ける区間の指定を繰り返す必要があり、操作に手間がかかる。
【0007】
また、複数の編集効果を組み合わせて用いることで相乗効果を発揮させ、より効果的な演出が可能になるとしても、特に編集の初心者にとってはそのようなことに気付くことすら難しい。その結果、編集効果の種類が充実していても、十分に利用されていないことが多い。」
という課題を解決し、
「【0020】
本技術によれば、複数の編集効果をより簡単に設定することができる。」
という効果を有する発明となる。

したがって、本願発明1は、上記相違点1、2、4を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-9について
本願発明2-9は、本願発明1を直接若しくは間接に引用する発明であるから、上記相違点に係る構成を全て有しているものであるので、本願発明1と同様に、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明10、11について
本願発明10、11は、本願発明1に対応する方法の発明、プログラムの発明であり、上記相違点に係る構成を全て有しているものであるので、本願発明1と同様に、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-11は、「前記選択画面を用いて選択された複数の前記編集効果を表す情報」「を含む編集情報を、前記指示がある毎に生成する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明


できたものとはいえず、当該技術分野における技術常識、あるいは周知の技術であるともいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-08 
出願番号 特願2011-284749(P2011-284749)
審決分類 P 1 8・ 572- WY (H04N)
P 1 8・ 575- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 堀 洋介  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 渡辺 努
清水 正一
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  
代理人 西川 孝  
代理人 稲本 義雄  
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