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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1327773
審判番号 不服2016-11829  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-05 
確定日 2017-05-01 
事件の表示 特願2012-247167号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月22日出願公開、特開2014- 94131号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月9日に特許出願されたものであって、平成27年10月2日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し平成27年12月11日付けで手続補正がなされたが、平成28年6月3日付け(発送日:平成28年6月14日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年8月5日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の補正であり、補正前の
「【請求項1】
遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記操作部材には歪み検出手段を設置し、当該歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
(2)前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
(3)前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。
【請求項2】
遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1B)前記操作部材には、複数の歪み検出手段を互いに距離をあけて設置し、それぞれの歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
(2)前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
(3)前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。
為判別手段を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
(4)前記操作内容判別手段は、前記複数の歪み検出手段のそれぞれから入力される歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う総合判断手段を備えていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1?3のいずれか記載の遊技機。
(5)前記操作内容判別手段は、前記判別し得る操作内容として、操作の有無に加え、操作の強さ、速度、時間、位置の内の少なくとも一つ以上について区別した判別を行う手段として構成されていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1?4のいずれか記載の遊技機。
(6)前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備え、前記歪み検出手段は、前記被操作部の周囲近くに設置されていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項5記載の遊技機。
(7)前記被操作部が遊技機の上皿付近に設けられる矩形状の板状体で構成され、前記歪み検出手段は、前記板状体の少なくとも長手方向又は対角線の両端近くのそれぞれに設置されていること。
【請求項7】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1?6のいずれか記載の遊技機。
(8)前記歪み検出手段が、操作部材の被操作面の裏側に生じる歪みを検出する歪センサによって構成されていること。」から、

補正後の
「【請求項1】
遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1B)前記操作部材には、複数の歪み検出手段を互いに距離をあけて設置し、それぞれの歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
(2)前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
(3)前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。
(4)前記操作内容判別手段は、前記複数の歪み検出手段のそれぞれから入力される歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う総合判断手段を備えていること。
(5)前記操作内容判別手段は、前記判別し得る操作内容として、操作の有無に加え、操作の強さ、速度、時間、位置の内の少なくとも一つ以上について区別した判別を行う手段として構成されていること。
(6)前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備え、前記複数の歪み検出手段は、それぞれが前記被操作部の周囲近くに設置されていること。
(8)前記歪み検出手段が、操作部材の被操作面の裏側に生じる歪みを検出する歪センサによって構成されていること。」
へ補正された。

2.補正の適否
まず、補正前の請求項2の末尾には、「為判別手段を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。」と記載されているが、この記載自体は意味をなしていない。したがって、当該記載は誤記であることは明らかであるので、当該記載は記載されていないものとして以下、審理を進めることとする。

本件補正は、請求項1、請求項3-7は削除するととともに、請求項2において、請求項3-5、7に特定された事項を付加したものを、請求項1としたものである。
したがって、補正後の請求項1は、補正前の請求項2に上記(4)-(6)、(8)に係る特定事項を付加することで、発明特定事項を限定したものである。
そうすると、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、【0016】、【図5】等に基づいており、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A?Hについては、発明特定事項を分説するため当審で付与した。)。

「A 遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
B 前記操作部材には、複数の歪み検出手段を互いに距離をあけて設置し、それぞれの歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
C 前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
D 前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。
E 前記操作内容判別手段は、前記複数の歪み検出手段のそれぞれから入力される歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う総合判断手段を備えていること。
F 前記操作内容判別手段は、前記判別し得る操作内容として、操作の有無に加え、操作の強さ、速度、時間、位置の内の少なくとも一つ以上について区別した判別を行う手段として構成されていること。
G 前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備え、前記複数の歪み検出手段は、それぞれが前記被操作部の周囲近くに設置されていること。
H 前記歪み検出手段が、操作部材の被操作面の裏側に生じる歪みを検出する歪センサによって構成されていること。」

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-54309号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた抽選条件が満たされた場合に、遊技者に利益を付与するか否かを抽選する利益付与抽選手段と、
該利益付与抽選手段による抽選結果が表示される表示画面を備えた抽選結果表示装置と、
該抽選結果表示装置の表示画面において前記利益付与抽選手段による抽選結果の表示が開始されてから確定するまでの変動時間を規定する変動パターンが複数種類記憶された変動パターン記憶手段と、
予め定められた選択条件が満たされた場合において、前記変動パターン記憶手段によって記憶されている複数種類の前記変動パターンから一つの該変動パターンを選択して決定する変動パターン選択決定手段と、
該変動パターン選択決定手段によって選択決定された前記変動パターンが規定する変動時間内に前記抽選結果表示装置の表示画面に表示される演出画像が複数種類記憶された演出画像記憶手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
該操作手段が操作された場合に、前記演出画像記憶手段によって記憶されている複数種類の前記演出画像から一つの該演出画像を選択して決定する演出画像選択決定手段と、
該演出画像選択決定手段によって選択決定された前記演出画像を前記抽選結果表示装置の表示画面に表示する演出画像表示手段と
を、備えているパチンコ機において、
前記操作手段が操作された際の操作力の大きさを検出する操作力検出手段を設けると共に、前記演出画像選択決定手段が、該操作力検出手段による検出結果と、前記変動パターン選択決定手段によって選択決定された前記変動パターンとに基づいて、前記演出画像記憶手段によって記憶されている複数種類の前記演出画像から一つの該演出画像を選択して決定するようにすることで、遊技者の心理状態を反映した該演出画像が前記演出画像表示手段によって前記抽選結果表示装置の表示画面に表示されるようにする遊技者心理反映演出手段を構成したことを特徴とするパチンコ機。」

(イ)「【0020】
そこにおいて、本実施形態では、上皿20に対して操作手段としての押ボタン21が設けられている。また、押ボタン21の裏側には、操作力検出手段としての操作力検出センサ23(図3参照)が設けられている。この操作力検出センサ23は、押ボタン21が押圧操作された際の操作力を電気量に変換して検出するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属ひずみゲージや半導体ひずみゲージ等のひずみゲージ,ひずみゲージ形力センサや磁気ひずみ形力センサ等の力センサ等の従来から公知のセンサが採用可能である。」

(ウ)「【0111】
表13には、期待度表示パターン選択テーブルが示されている。この期待度表示パターン選択テーブルは、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」と、受信した「変動パターン」から期待度表示パターンを選択するように構成されている。因みに、本実施形態では、「変動パターンB-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「弱」である場合には、期待度表示パターンDが、「変動パターンB-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「中」である場合には、期待度表示パターンDが、「変動パターンB-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「強」である場合には、期待度表示パターンCが、「変動パターンA-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「弱」である場合には、期待度表示パターンCが、「変動パターンA-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「中」である場合には、期待度表示パターンCが、「変動パターンA-2」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「強」である場合には、期待度表示パターンBが、「変動パターンA-1」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「弱」である場合には、期待度表示パターンCが、「変動パターンA-1」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「中」である場合には、期待度表示パターンBが、「変動パターンA-1」を受信しており、且つ、操作力のレベルが「強」である場合には、期待度表示パターンAが、それぞれ、期待度表示パターンとして選択されるようになっている。
【0112】
なお、本実施形態では、各パターン選択テーブルには、演出パターンのデータや期待度表示パターンのデータが含まれている。従って、本実施形態では、各パターン選択テーブル記憶エリア196,198,200,202,207によって、演出パターンのデータの記憶エリアや期待度表示パターンのデータの記憶エリアが構成されている。このことから明らかなように、本実施形態では、期待度表示パターンのデータによって演出画像のデータが構成されているのである。」

(エ)「【0174】
押ボタン演出フラグ171に格納されている数値が「2」でない場合(S181:NO)には、表示制御CPU150は、受付監視処理を終了する。一方、押ボタン演出フラグ171に格納されている数値が「2」である場合(S181:YES)には、表示制御CPU150は、S182において、押ボタン21が押圧操作されたか否かを操作力検出センサ23からの検出信号の有無で判定する。
【0175】
押ボタン21が押圧操作された場合(S182:YES)には、表示制御CPU150は、S183において、期待度表示パターン選択及び記憶処理を実行する。この処理は、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、その選択した期待度表示パターンを表示パターン記憶エリア184に記憶するものである。
【0176】
続いて、表示制御CPU150は、S184において、表示パターン記憶エリア184に記憶されている期待度表示パターンをVDP158に送信して、VDP158にかかる期待度表示パターンに基づく画像を液晶表示器34の表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行する。」
【0177】
次に、表示制御CPU150は、S185において、押ボタン演出フラグ171に格納されている数値を「3」に変更した後、受付監視処理を終了する。
【0178】
また、押ボタンが押圧操作されていない場合(S182:NO)には、表示制御CPU150は、S186において、所定時間になったか否かを判定する。所定時間になっていない場合(S186:NO)には、表示制御CPU150は、S187において、タイマカウンタ169のカウンタ値を1減算した後、受付監視処理を終了する。
【0179】
一方、所定時間になっている場合(S186:YES)には、表示制御CPU150は、S188において、押ボタン演出フラグ171に格納されている数値を「0」にした後、S189において、画面切換処理を実行する。この画面切換処理は、VDP158に通常画面指定コマンドを送信して、通常の変動画面に戻す処理である。
【0180】
そして、このような画面切換処理を実行した表示制御CPU150は、受付監視処理を終了する。」

(オ)「【0223】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0224】
例えば、前記実施形態では、各期待度表示パターンの表示時間が同じとされていたが、各期待度表示パターンの表示時間を異ならせるようにしても良い。
【0225】
また、前記実施形態では、押ボタン21を押圧操作した際の操作力のみを期待度表示パターンを選択する際に参照していたが、例えば、押ボタン21を押圧操作した際の操作力に加えて、図23に示されている画面が表示されてから押ボタン21が押圧操作されるまでの時間を、期待度表示パターンを選択する際に参照しても良い。この場合、押ボタン21を押圧操作するまでの時間が長くなるに従って、選択される期待度表示パターンのランクが下がるようにする態様が好適に採用される。
【0226】
さらに、操作力の大体の大きさと受信した変動パターンの信頼性(大当たりの場合に選択されやすい変動パターンであるか否かということ)とからファジィ制御により選択するようにしても良い。
【0227】
また、操作手段としては、前記実施形態のような押ボタンではなく、例えば、スロットマシンに採用されているようなレバーであっても良い。
【0228】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。」

上記(ア)から(オ)の記載事項から刊行物1には以下の事項について記載されているといえる。

(a)上記(ア)には、「遊技者が操作可能な操作手段と、該操作手段が操作された場合に、前記演出画像記憶手段によって記憶されている複数種類の前記演出画像から一つの該演出画像を選択して決定する演出画像選択決定手段と、該演出画像選択決定手段によって選択決定された前記演出画像を前記抽選結果表示装置の表示画面に表示する演出画像表示手段とを、備えているパチンコ機」と記載されている。
そして、上記(イ)には、「操作手段としての押ボタン21が設けられている。」と記載され、上記(エ)には、「押ボタン21が押圧操作された場合(S182:YES)には、表示制御CPU150は、・・操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、その選択した期待度表示パターンを表示パターン記憶エリア184に記憶するものである。・・表示制御CPU150は、・・期待度表示パターンに基づく画像を液晶表示器34の表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行する。」と記載され、一方、「押ボタンが押圧操作されていない場合」には、期待度表示パターン選択等の実行はされていない。そして、この期待度表示パターンは上記(ア)の演出画像であることは明らかである。
以上より、刊行物1には、少なくとも、遊技者が操作可能な操作手段を備え、該操作手段が操作された場合のみに、受信した変動パターンにおいて期待度表示パターンに基づく画像を表示画面36に表示させる表示制御CPU150を備えたパチンコ機が記載されているといえる。

(b)上記(イ)には、「操作手段としての押ボタン21が設けられている。また、押ボタン21の裏側には、操作力検出手段としての操作力検出センサ23(図3参照)が設けられている。この操作力検出センサ23は、押ボタン21が押圧操作された際の操作力を電気量に変換して検出するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属ひずみゲージや半導体ひずみゲージ等のひずみゲージ,ひずみゲージ形力センサや磁気ひずみ形力センサ等の力センサ等の従来から公知のセンサが採用可能である。」と記載され、また、上記(エ)には、「押ボタン21が押圧操作されたか否かを操作力検出センサ23からの検出信号の有無で判定する。」と記載されている。
そして、上記(ウ)には、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」について記載され、操作力のレベルが「弱」、「中」、「強」である場合が記載されている。これは操作内容として操作力のレベルを3段階に判定していることを意味する記載である。
以上より、操作手段は、ひずみ検出手段により、検出信号の有無を検出するとともに、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として判定可能な操作内容判定手段を備えているといえる。

(c)上記(ウ)には、「この期待度表示パターン選択テーブルは、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」と、受信した「変動パターン」から期待度表示パターンを選択するように構成されている。」、「各パターン選択テーブル記憶エリア196,198,200,202,207によって、演出パターンのデータの記憶エリアや期待度表示パターンのデータの記憶エリアが構成されている。」と記載されているから、
各パターン選択テーブル記憶エリアには、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」に対応した期待度表示パターンが予め記憶されているといえる。

(d)上記(エ)には、「押ボタン21が押圧操作された場合(S182:YES)には、表示制御CPU150は、S183において、期待度表示パターン選択及び記憶処理を実行する。この処理は、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、その選択した期待度表示パターンを表示パターン記憶エリア184に記憶するものである。」、「続いて、表示制御CPU150は、S184において、表示パターン記憶エリア184に記憶されている期待度表示パターンをVDP158に送信して、VDP158にかかる期待度表示パターンに基づく画像を液晶表示器34の表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行する。」と記載されている。
したがって、表示制御CPU150は、操作手段が操作されたとき、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、記憶されている期待度表示パターンを表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行するものであるといえる。

(e)上記(b)より、操作内容判定手段は、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として3段階に判定可能である。

(f)上記(b)のとおり、操作手段は検出信号の有無を判定できるので、上記(e)における操作内容判定手段は、操作の有無の判定と操作力レベルの判定が可能である。
一方、上記(オ)には、「例えば、押ボタン21を押圧操作した際の操作力に加えて、図23に示されている画面が表示されてから押ボタン21が押圧操作されるまでの時間を、期待度表示パターンを選択する際に参照しても良い。」と記載され、操作力(操作力レベル)に加えて、「図23に示されている画面が表示されてから押ボタン21が押圧操作されるまでの時間」を期待度表示パターンを選択する際に用いることも可能であることが記載されている。
したがって、上記(e)でいう操作内容判定手段は、操作手段の有無に加え、操作力レベル、操作手段が操作されるまでの時間について判定を行う手段として構成されているといえる。

(g)上記(イ)には、「上皿20に対して操作手段としての押ボタン21が設けられている。また、押ボタン21の裏側には、操作力検出手段としての操作力検出センサ23(図3参照)が設けられている。」と記載されている。また、上記(b)より、操作手段は、ひずみ検出手段を備えている。
したがって、操作手段は上皿20によって周囲を支持された押しボタン21とひずみ検出手段を備えている。

(h)上記(b)、(g)より、操作手段は、ひずみ検出手段を備え、上記(イ)より、ひずみ検出手段は押ボタン21の裏側に設けられている。
したがって、ひずみ検出手段は操作手段である押しボタン21の裏側に生じるひずみを検出するセンサにより構成されているということができる。

上記記載事項(ア)?(オ)及び(a)?(h)の認定事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?hは発明の構成を分説するため当審で付与した。)。

「a 少なくとも、遊技者が操作可能な操作手段を備え、該操作手段が操作された場合のみに、受信した変動パターンにおいて期待度表示パターンに基づく画像を表示画面36に表示させる表示制御CPU150を備えたパチンコ機において、
b 操作手段は、ひずみ検出手段により、検出信号の有無を検出するとともに、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として判定可能な操作内容判定手段を備え、
c 各パターン選択テーブル記憶エリアには、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」に対応した期待度表示パターンが予め記憶され、
d 表示制御CPU150は、操作手段が操作されたとき、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、記憶されている期待度表示パターンを表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行し、
e 操作内容判定手段は、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを3段階に判定可能であり、
f 操作内容判定手段は、操作手段の有無に加え、操作力レベル、操作手段が操作されるまでの時間について判定を行う手段として構成され、
g 操作手段は上皿20によって周囲を支持された押しボタン21とひずみ検出手段を備え、
h ひずみ検出手段は操作手段である押しボタン21の裏側に生じるひずみを検出するセンサにより構成されたパチンコ機。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(h)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。

(a)引用発明の「パチンコ機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。また、引用発明の「操作手段」は、本願補正発明の「操作部材」に相当する。
引用発明の「操作手段が操作された場合のみに、受信した変動パターンにおいて期待度表示パターンに基づく画像を表示画面36に表示させる」ことは、その「変動パターン」において、操作手段が操作された場合に期待度表示パターンに基づく画像を表示画面36に表示し、操作手段が操作されない場合には期待度表示パターンに基づく画像を表示しないから、操作手段が操作された場合のみに、変動パターンの表示画像を変更する、すなわち、演出内容を変更することになる。
したがって、引用発明の「該操作手段が操作された場合のみに、受信した変動パターンから期待度表示パターンに基づく画像を表示画面36に表示させる表示制御CPU150」は、本願補正発明の「該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段」を備えているということができる。
そして、引用発明の「少なくとも・・・パチンコ機」は、本願補正発明の「以下の構成をも備えていること」を意味している。

(b)引用発明の「操作手段」、「ひずみ検出手段」、「検出信号の有無」は、それぞれ、本願補正発明の「操作部材」、「歪み検出手段」、「操作の有無」に相当する。
そして、引用発明の「ひずみ検出手段により、検出信号の有無を検出するとともに、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として判定」することは、遊技者の操作の有無を判定し、遊技者の操作力がどの程度の(どの様な)操作力によって操作されたか判定することであり、検出信号に応じ、操作力が0(無)から所定のどのレベル(「弱」、「中」、「強」)まで変化するかを判定することに他ならない。ここで、検出信号の有無の判定と操作力の所定のレベルの判定は、複数段階の判定ということができ、また、操作力のレベルの「弱」、「中」、「強」としての判定においても複数段階の判定ということができる。そして、複数の段階で判定を行うためには、信号変化の履歴に基づく判定を行うことは自明である。
そうすると、引用発明の「ひずみ検出手段により、検出信号の有無を検出するとともに、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として判定」することは、本願補正発明の「歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する」ことに相当する。また、引用発明の「操作内容判定手段」は、本願補正発明の「操作内容判別手段」に対応するものである。
したがって、引用発明の「操作手段は、ひずみ検出手段により、検出信号の有無を検出するとともに、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを「弱」、「中」、「強」として判定可能な操作内容判定手段」と、本願補正発明の「前記操作部材には、複数の歪み検出手段を互いに距離をあけて設置し、それぞれの歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段」とは、
「前記操作部材には、歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段」である点で共通している。

(c)引用発明の「各パターン選択テーブル記憶エリア」には「期待度表示パターンが予め記憶され」ており、上記(a)の表示制御CPU150とともに「演出内容変更手段」の一翼を担っていることは明らかである。
そして、引用発明の「操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」に対応した期待度表示パターン」は、本願補正発明の「前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容」に相当する。
したがって、引用発明の「各パターン選択テーブル記憶エリアには、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさに応じて設定された「操作力のレベル」に対応した期待度表示パターンが予め記憶され」てあることは、本願補正発明の「前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてある」ことに相当する。

(d)引用発明の「操作手段が操作されたとき、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、記憶されている期待度表示パターンを表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行」することは、本願補正発明の「前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「表示制御CPU150は、操作手段が操作されたとき、操作力検出センサ23からの検出信号の大きさと、受信した変動パターンの種類と、期待度表示パターン選択テーブルとに基づいて、期待度表示パターンを選択し、記憶されている期待度表示パターンを表示画面36に表示させる期待度画像表示処理を実行」することは、本願補正発明の「前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する」ことに相当するから、引用発明の表示制御CPU150は本願補正発明と同様の実行手段として構成されているといえる。

(e)引用発明の「操作内容判定手段は、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを3段階に判定可能」であることは、まず、検出信号の大きさを検出し、次に閾値との対比を経てレベルを最終的に判断していることは明らかである。一方、本願補正発明の「歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行う」ことも検出結果に基づいて最終的な判断を行うものである。
そうすると、引用発明の「操作内容判定手段は、検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを3段階に判定可能であ」ることと、本願補正発明の「前記操作内容判別手段は、歪み検出手段のそれぞれから入力される歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う総合判断手段を備えていること」とは、
「前記操作内容判別手段は、歪み検出手段の入力される歪み検出結果に基づいて、最終的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う最終的判断手段を備えている」点で共通するといえる。

(f)引用発明の「操作手段の有無」、「操作力レベル」、「操作手段が操作されるまでの時間」は、それぞれ、本願補正発明の「操作の有無」、「操作の強さ」、「(操作されるまでの)時間」に相当する。そして、引用発明の「操作力レベル」、「操作手段が操作されるまでの時間」は、区別して判別されることは明らかである。
したがって、引用発明の「操作内容判定手段は、操作手段の有無に加え、操作力レベル、操作手段が操作されるまでの時間について判定を行う手段として構成され」ていることは、本願補正発明の「前記操作内容判別手段は、前記判別し得る操作内容として、操作の有無に加え、操作の強さ、速度、時間、位置の内の少なくとも一つ以上について区別した判別を行う手段として構成されていること」に相当する。

(g)引用発明の「上皿20によって周囲を支持された押しボタン21」は、本願補正発明の「支持部材によって周囲を支持された被操作部」に相当する。
そうすると、引用発明の「操作手段は上皿20によって周囲を支持された押しボタン21とひずみ検出手段を備え」ることと、本願補正発明の「前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備え、前記複数の歪み検出手段は、それぞれが前記被操作部の周囲近くに設置されていること」とは、「前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備え」た点で共通している。

(h)引用発明の「ひずみ検出手段は操作手段である押しボタン21の裏側に生じるひずみを検出するセンサにより構成され」たことは、本願補正発明の「前記歪み検出手段が、操作部材の被操作面の裏側に生じる歪みを検出する歪センサによって構成されていること」に相当することは明らかである。

以上、(a)?(h)の対比より、両者は

「A 遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
B’ 前記操作部材には、歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果を入力し、前記入力した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
C 前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
D 前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。
E’ 前記操作内容判別手段は、歪み検出手段の入力される歪み検出結果に基づいて、最終的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う最終的判断手段を備えていること。
F 前記操作内容判別手段は、前記判別し得る操作内容として、操作の有無に加え、操作の強さ、速度、時間、位置の内の少なくとも一つ以上について区別した判別を行う手段として構成されていること。
G’ 前記操作部材が、支持部材によって周囲を支持された被操作部を備えていること。
H 前記歪み検出手段が、操作部材の被操作面の裏側に生じる歪みを検出する歪センサによって構成されていること。」

である点で一致しており、次の点で一応相違する。

(相違点)
本願補正発明は、操作部材には、複数の歪み検出手段を互いに距離をあけて設置し、複数の歪み検出手段のそれぞれが前記被操作部の周囲近くに設置され、操作内容判別手段は、複数の歪み検出手段のそれぞれから入力される歪み検出結果に基づいて、総合的な判断を行うことにより、前記操作内容の判別を行う総合判断手段を備えているが、引用発明においてそのような特定がなされていない点。

(4)判断
そこで、前記相違点について検討する。
遊技機において、歪みセンサ(荷重センサ)を用いた操作部材に複数の歪みセンサを互いに距離をあけて設置し、歪み検出手段のそれぞれが前記被操作部の周囲近くに設置させることは、例えば、下記(a)?(c)に示すように周知技術である。
(a)再公表特許2010/032598号公報(【0002】、【図4】参照)
(b)特開2011-156253号公報(【0053】、【0054】、【0062】、【図2】参照)
(c)特開2009-92408号公報(【0072】、【0076】、【図5】参照)
そして、いずれにおいても複数のセンサの検出結果に基づいて判断しているから、複数のセンサによる総合判断手段を備えていることは明らかである。
ところで、一般的に、関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮であって、関連する技術分野に置換可能な技術手段があるときは、当業者がその転用を容易に着想し得るといえる。
また、引用発明はパチンコ機に関するものであるから、操作部材により演出を多様化させることは、自明の課題であるといえる。
そうすると、引用発明において、遊技機の分野における前記周知技術を採用し、前記相違点に係る本願補正発明の構成にすることは当業者が容易になし得ることである。

そして、本願補正発明の効果について、引用発明、周知技術が各々奏する効果からみて格別なものとはいえない。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は請求書第7頁において、以下の主張をしている。
「・・・本願発明は、「浅い/深い」とか「強い/弱い」といった単純な区別ではなく、複数の歪センサが検出する連続的な信号変化に基づいて操作部材に対してなされた種々の複雑な操作の内容を判別して種々の演出変化を実現することにより、「より変化に富んだ演出を楽しませる」という特有かつ顕著な作用・効果を発揮する発明です。」

しかしながら、引用発明は、「検出信号の大きさに応じて操作力のレベルを3段階に判定可能」な他、「操作手段が操作されるまでの時間」を加えて判定を行うことが可能であり、本願と同様に単純な区別をするものではない。また、前記(a)?(c)の遊技機における周知技術は複数の歪みセンサの検出を総合的に判断するものである。
よって、請求人の主張は採用することはできない。

(6)小括
よって、本願補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成27年12月11日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1?7に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次に特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記操作部材には歪み検出手段を設置し、当該歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
(2)前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
(3)前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。」

1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。

2.対比、判断
本願発明と先の引用発明のa?dの構成を上記第2の3.(3)のとおり対比すると、両者は、

「遊技者に操作を行わせる操作部材を備え、該操作部材が操作されたときと操作されなかったときとで演出内容を変更する演出内容変更手段を備えると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記操作部材には歪み検出手段を設置し、当該歪み検出手段が設置位置に生じた歪みを検出した結果における信号変化の履歴に基づく複数段階の判定を行うことにより、操作の有無だけでなく、前記操作部材に対してどの様な操作が遊技者によってなされたのかを判別する操作内容判別手段を備えていること。
(2)前記演出内容変更手段には前記操作内容判別手段が判別し得る操作内容に対応させた演出内容を予め記憶させてあること。
(3)前記演出内容変更手段は、前記操作部材が操作されたとき、前記操作内容判別手段が判別した操作内容を入力し、当該操作内容に対応する演出内容を特定して前記演出内容の変更を実行する手段として構成されていること。」
で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明である。

仮に、相違点があったとしても、本願発明は引用発明から当業者が容易に発明できたものであるといえる。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項について判断するまでもなく本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-10 
結審通知日 2017-02-21 
審決日 2017-03-08 
出願番号 特願2012-247167(P2012-247167)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 剛史  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 長井 真一
本郷 徹
発明の名称 遊技機  
代理人 森 泰比古  

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