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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04L
管理番号 1328113
審判番号 訂正2017-390011  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-02-06 
確定日 2017-05-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6055009号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 特許第6055009号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項11,12,18及び19について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6055009号は,平成25年5月17日(パリ条約に基づく優先権主張 2012年5月21日 中国(CN))に出願された特願2013-105078号の一部について平成27年3月12日に新たに特願2015-48938号として特許出願され,平成28年12月9日にその特許権の設定登録がなされたものであり,その後,平成29年2月6日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第6055009号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項11,12,18及び19について訂正することを認める,との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
1.訂正事項A
特許請求の範囲の請求項11の第4行にある「フローテーブルにおける」を,「前記ネットワーク装置のフローテーブルにおける」と訂正する。(以下,「訂正事項A1」という。)
特許請求の範囲の請求項11の第6行にある「に従って,前記ネットワーク装置のフローテーブルに」を,「に従って,前記フローテーブルに」と訂正する。(以下,「訂正事項A2」という。)
請求項11の記載を引用する請求項12,請求項18及び請求項19も同様に訂正する。

2.訂正事項B
特許請求の範囲の請求項11の第10行にある「前記コントローラにより,前記第一フローテーブルエントリーを生成し,」を,「前記第一フローテーブルエントリーは前記コントローラにより生成され,」と訂正する。
請求項11の記載を引用する請求項12,請求項18及び請求項19も同様に訂正する。

第4 当審の判断
1.一群の請求項について
訂正事項A及び訂正事項Bは,訂正前の請求項11の記載を訂正しようとするものであるところ,訂正前の請求項12,18及び19は,直接又は間接的に請求項11を引用したものであるから,請求項11,12,18及び19は,特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成するものである。
したがって,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第3項の規定に適合する。

2.訂正事項Aについて
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項11には,「コントローラにより,第一フローテーブルエントリーをネットワーク装置に送信し,前記第一フローテーブルエントリーは,第一フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第一重要性情報を含み,前記第一重要性情報は,フローテーブルにおける第二フローテーブルエントリーの第二重要性情報及び前記第一フローテーブルエントリーの前記第一重要性情報に従って,前記ネットワーク装置のフローテーブルにアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しない場合,前記第一フローテーブルエントリーを前記フローテーブルに追加するかどうかを判断するために,前記ネットワーク装置により用いられ;」(下線は強調のため当審で付与した。)と記載されており,この記載では,「ネットワーク装置」と最初の「フローテーブル」との関係が不明瞭となっていたところ,訂正事項A1は,最初の「フローテーブル」を「前記ネットワーク装置のフローテーブル」と訂正することで,両者の関係を明瞭にするものである。
さらに,最初の「フローテーブル」と2番目の「前記ネットワーク装置のフローテーブル」とは同じ「フローテーブル」を意味することが明らかであるから,訂正事項A2は,最初の「フローテーブル」の記載を「前記ネットワーク装置のフローテーブル」に訂正する訂正事項A1と整合するために,2番目の「前記ネットワーク装置のフローテーブル」を「前記フローテーブル」に訂正するものである。
そうすると,訂正事項A1及び訂正事項A2は,いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえるから,訂正事項Aは,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(2)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正前の請求項11自身に,「前記ネットワーク装置のフローテーブル」と記載されているように,「フローテーブル」が「前記ネットワーク装置のフローテーブル」であることは,訂正前の請求項11に記載された事項であるから,請求項11についての訂正事項Aは,特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であるといえ,特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではないこと
上記(2)のとおり,訂正事項Aは,訂正前の請求項11自身に記載された範囲内の訂正であるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立して特許を受けることができるものであること
上記(1)のとおり,訂正事項Aは,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから,特許法第126条第7項に規定された要件の判断は必要でない。

3.訂正事項Bについて
(1)訂正の目的について
「フローテーブルエントリー送信方法」という方法の発明である訂正前の請求項11には,「コントローラにより,第一フローテーブルエントリーをネットワーク装置に送信し,(中略)
前記コントローラにより,前記第一フローテーブルエントリーを生成し,」と記載されており,その記載の順序に従うと,「第一フローテーブルエントリー」について,コントローラが第一フローテーブルエントリーをネットワーク装置に送信した後に,前記コントローラが前記第一フローテーブルエントリーを生成するとの解釈を含み得る点で,処理の順序が不明瞭となっていた。
そこで,訂正事項Bは,「前記コントローラにより,前記第一フローテーブルエントリーを生成し,」を,「前記第一フローテーブルエントリーは前記コントローラにより生成され,」と訂正することで,コントローラは,該コントローラにより生成された第一フローテーブルエントリーを送信すること,すなわち,第一フローテーブルエントリーを生成した後に送信することを明瞭にするものである。
そうすると,訂正事項Bは,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(2)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正前の請求項11自身に「前記コントローラにより,前記第一フローテーブルエントリーを生成し」と記載され,当該記載において,「第一フローテーブル」に「前記」が付加されており,「前記」が指示する「フローテーブル」は,前記コントローラによりネットワーク装置に送信される「フローテーブル」であることが明らかであるから,訂正前の請求項11の記載から,コントローラは該コントローラにより生成された第一フローテーブルエントリーを送信することが読み取れる。
よって,請求項11についての訂正事項Bは,訂正前の請求項11自身に記載された範囲内の訂正であるから,特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではないこと
上記(2)のとおり,訂正事項Bは,訂正前の請求項11自身に記載された範囲内の訂正であるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立して特許を受けることができるものであること
上記(1)のとおり,訂正事項Bは,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから,特許法第126条第7項に規定された要件の判断は必要でない。

第5 まとめ
以上のとおりであるから,本件訂正審判の請求に係る訂正事項A及び訂正事項Bは,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり,また特許法第126条第3項,第5項及び第6項の規定に適合する。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御及び転送が分離した集中型システムに用いるパケット処理方法であって、
パケット処理装置により、コントローラにより送信されている第一フローテーブルエントリーを受信し、前記第一フローテーブルエントリーは、第一フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第一重要性情報を含み;
フローテーブルにアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しなければ、前記パケット処理装置により、前記フローテーブルに第二フローテーブルエントリーが存在するかどうかを判断し、前記第二フローテーブルエントリーは、第二フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第二重要性情報を含み、前記第二重要性情報により示される重要性は、前記第一重要性情報により示される重要性よりも低く;及び
前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在すれば、前記パケット処理装置により、前記フローテーブルにおける前記第二フローテーブルエントリーを削除し、前記パケット処理装置により、前記第一フローテーブルエントリーを前記フローテーブルに追加することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一フローテーブルエントリーは、フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報を含み、前記第一フローテーブルエントリーは、前記第一重要性情報を運ぶために用いられる新しく追加されたフィールドを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一及び第二重要性情報は、フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報及びフローテーブルエントリーのマッチング回数情報のうちの少なくとも一つをそれぞれ含み、
前記フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報により示される優先度が高ければ高いほど、対応するフローの重要性が高く;及び
前記フローテーブルエントリーのマッチング回数情報により示される回数が多ければ多いほど、対応するフローの重要性が高い、方法。
【請求項4】
請求項1?3のうち何れか一つに記載の方法であって、
前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在しなければ、前記コントローラにエラーメッセージを送信し、前記フローテーブルに、前記第一フローテーブルエントリーを追加するためのアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しないことを示すことを更に含む、方法。
【請求項5】
請求項1?4のうちの何れか一つに記載の方法であって、
前記制御及び転送が分離した集中型システムは、オープンフローシステムを含む、方法。
【請求項6】
制御及び転送が分離した集中型システムに用いるパケット処理装置であって、
コントローラにより送信されている第一フローテーブルエントリーを受信するように構成された受信器であって、前記第一フローテーブルエントリーは、第一フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第一重要性情報を含む、受信器;及び
フローテーブルにアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しなければ、前記フローテーブルに第二フローテーブルエントリーが存在するかどうかを判断するように構成された処理器であって、前記第二フローテーブルエントリーは、第二フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第二重要性情報を含み、前記第二重要性情報により示される重要性は、前記第一重要性情報により示される重要性よりも低く、前記処理器は、前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在すれば、前記フローテーブルにおける前記第二フローテーブルエントリーを削除し、前記第一フローテーブルエントリーを前記フローテーブルに追加する、処理器を含む、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記第一フローテーブルエントリーは、フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報を含み、前記第一フローテーブルエントリーは、前記第一重要性情報を運ぶために用いられる新しく追加されたフィールドを更に含む、装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置であって、
前記第一及び第二重要性情報は、フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報及びフローテーブルエントリーのマッチング回数情報のうちの少なくとも一つをそれぞれ含み、
前記フローテーブルエントリーのマッチング優先度情報により示される優先度が高ければ高いほど、対応するフローの重要性が高く;及び
前記フローテーブルエントリーのマッチング回数情報により示される回数が多ければ多いほど、対応するフローの重要性が高い、装置。
【請求項9】
請求項6?8のうち何れか一つに記載の装置であって、
前記処理器は、さらに、
前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在しなければ、前記コントローラにエラーメッセージを送信し、前記フローテーブルに、前記第一フローテーブルエントリーを追加するためのアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しないことを示すように構成される、装置。
【請求項10】
請求項6?9のうちの何れか一つに記載の装置であって、
前記制御及び転送が分離した集中型システムは、オープンフローシステムを含む、装置。
【請求項11】
フローテーブルエントリー送信方法であって、
コントローラにより、第一フローテーブルエントリーをネットワーク装置に送信し、前記第一フローテーブルエントリーは、第一フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第一重要性情報を含み、前記第一重要性情報は、前記ネットワーク装置のフローテーブルにおける第二フローテーブルエントリーの第二重要性情報及び前記第一フローテーブルエントリーの前記第一重要性情報に従って、前記フローテーブルにアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しない場合、前記第一フローテーブルエントリーを前記フローテーブルに追加するかどうかを判断するために、前記ネットワーク装置により用いられ;
前記第一フローテーブルエントリーは前記コントローラにより生成され、前記第一フローテーブルエントリーは、優先度情報を運ぶフィールドと、前記第一重要性情報を運ぶ新しく追加されたフィールドとを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記コントローラにより、前記ネットワーク装置の前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在しなければ、前記第一フローテーブルエントリーを追加するためのアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しないことを示すために用いられるエラーメッセージを受信することを更に含む、方法。
【請求項13】
コントローラであって、
第一フローテーブルエントリーをネットワーク装置に送信するように構成された送信器であって、前記第一フローテーブルエントリーは、第一フローテーブルエントリーの重要性を示すために用いられる第一重要性情報を含み、前記第一重要性情報は、フローテーブルにおける第二フローテーブルエントリーの第二重要性情報及び前記第一フローテーブルエントリーの前記第一重要性情報に従って、前記ネットワーク装置のフローテーブルにアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しない場合、前記第一フローテーブルエントリーを前記フローテーブルに追加するかどうかを判断するために、前記ネットワーク装置により用いられる、送信器;
前記第一フローテーブルエントリーを生成するように構成された処理器であって、前記第一フローテーブルエントリーは、優先度情報を運ぶフィールドと、前記第一重要性情報を運ぶ新しく追加されたフィールドとを含む、コントローラ。
【請求項14】
請求項13に記載のコントローラであって、
前記ネットワーク装置の前記フローテーブルに前記第二フローテーブルエントリーが存在しなければ、前記第一フローテーブルエントリーを追加するためのアイドルフローテーブルエントリーリソースが存在しないことを示すために用いられるエラーメッセージを受信するように構成された受信器を更に含む、コントローラ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のコントローラ及び請求項6?10のうちの何れか一つに記載のパケット処理装置を含む、パケット処理システム。
【請求項16】
コンピュータに、請求項1?5のうちの何れか一つに記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
コンピュータに、請求項1?5のうちの何れか一つに記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータに、請求項11又は12に記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
コンピュータに、請求項11又は12に記載の方法を実行させるためのプログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-04-12 
結審通知日 2017-04-17 
審決日 2017-04-28 
出願番号 特願2015-48938(P2015-48938)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 速水 雄太  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山中 実
中野 浩昌
登録日 2016-12-09 
登録番号 特許第6055009号(P6055009)
発明の名称 パケット処理方法、装置及びシステム  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

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