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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01B
管理番号 1328259
審判番号 不服2016-5136  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-07 
確定日 2017-05-08 
事件の表示 特願2011-6180「農作業機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年8月2日出願公開、特開2012-143219〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年1月14日の出願であって、平成26年8月14日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年10月16日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年5月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、これに対して、同年7月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年1月21日付けで前記平成27年7月16日付けの手続補正を却下する決定とともに拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がなされたものである。

第2 平成28年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年4月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の記載を補正することを含むものであり、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
なお、審判請求人は、審判請求書において、本件補正による特許請求の範囲の補正は、補正前の請求項1、5を削除するとともに、補正前の請求項2に発明特定事項を付加して補正後の請求項1としたものである旨主張する(【本願発明が特許されるべき理由】の「(b)補正の説明」欄を参照。)。

補正前(平成26年10月16日付け手続補正書):
「【請求項2】
機体と、
この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記耕耘体は、
前記機体に回転可能に設けられた回転軸と、
この回転軸の外周面に突設され、第1耕耘爪取付部および第2耕耘爪取付部を有するフランジと、
前記第1耕耘爪取付部に取付手段にて脱着可能に取り付けられた第1耕耘爪と、
前記第2耕耘爪取付部に取付手段にて脱着可能に取り付けられ、前記第1耕耘爪とは異なる形状の第2耕耘爪と、
前記フランジに設けられ、前記第1耕耘爪を前記第1耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第1耕耘爪用目印と、
前記フランジに設けられ、前記第2耕耘爪を前記第2耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第2耕耘爪用目印とを有する農作業機であって、
前記フランジのうち前記第1耕耘爪取付部に対応する位置および前記第2耕耘爪取付部に対応する位置には、互いに所定距離だけ離れた対をなすボルト挿通用孔が形成され、
前記第1耕耘爪および前記第2耕耘爪には、前記ボルト挿通用孔と対向するボルト挿通用孔が形成され、
前記取付手段は、平板と、この平板の長手方向両端部に固定され互いに所定距離だけ離れた対をなす固定ボルトと、この各固定ボルトに螺合されるナットとを有し、
前記固定ボルトが前記第1耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第1耕耘爪が前記フランジの前記第1耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられ、かつ、前記固定ボルトが前記第2耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第2耕耘爪が前記フランジの前記第2耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられている
ことを特徴とする農作業機。」

補正後(平成28年4月7日付け手続補正書):
「【請求項1】
機体と、
この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記耕耘体は、
前記機体に回転可能に設けられた回転軸と、
この回転軸の外周面に突設され、第1耕耘爪取付部および第2耕耘爪取付部を有するフランジと、
前記第1耕耘爪取付部に取付手段にて脱着可能に取り付けられた第1耕耘爪と、
前記第2耕耘爪取付部に取付手段にて脱着可能に取り付けられ、前記第1耕耘爪とは異なる形状の第2耕耘爪と、
前記フランジの前記第1耕耘爪取付部に設けられ、前記第1耕耘爪を前記第1耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第1耕耘爪用目印と、
前記フランジの前記第2耕耘爪取付部に設けられ、前記第2耕耘爪を前記第2耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第2耕耘爪用目印とを有する農作業機であって、
前記フランジのうち前記第1耕耘爪取付部に対応する位置および前記第2耕耘爪取付部に対応する位置には、互いに所定距離だけ離れた対をなすボルト挿通用孔が形成され、
前記第1耕耘爪および前記第2耕耘爪には、前記ボルト挿通用孔と対向するボルト挿通用孔が形成され、
前記取付手段は、平板と、この平板の長手方向両端部に固定され互いに所定距離だけ離れた対をなす固定ボルトと、この各固定ボルトに螺合されるナットとを有し、
前記固定ボルトが前記第1耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第1耕耘爪が前記フランジの前記第1耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられ、かつ、前記固定ボルトが前記第2耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第2耕耘爪が前記フランジの前記第2耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられており、
前記第1耕耘爪の色と前記第2耕耘爪の色とが、互いに異なっている
ことを特徴とする農作業機。」(下線は補正箇所を示すものである。)

2 補正の目的及び新規事項の追加の有無
本件補正の請求項1に係る補正(以下、単に「本件補正」という。)は、請求項1(補正前の請求項2)に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1耕耘爪用目印」及び「第2耕耘爪用目印」を設ける箇所を「フランジ」の「第1耕耘爪取付部」及び「第2耕耘爪取付部」に限定するとともに、「第1耕耘爪」及び「第2耕耘爪」の構成を「前記第1耕耘爪の色と前記第2耕耘爪の色とが、互いに異なっている」構成に限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物は、次のとおりである。

特開2001-95305号公報(以下「引用例1」という。)
実願昭57-124057号(実開昭59-29104号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)
実願昭62-106429号(実開昭64-11605号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という。)
特開2010-104268号公報(以下「周知例1」という。)
特開平9-285203号公報(以下「周知例2」という。)
特開2006-230306号公報(以下「周知例3」という。)

また、本願補正発明に関連する技術を開示する、本願出願日前に頒布された刊行物として、次のものもある。

特開2005-176636号公報(以下「周知例4」という。)

ア 引用例1
(ア)引用例1に記載の事項
引用例1には、次の事項が記載されている。

「【0009】
農用トラクタの機体1後部には、トップリンク2,左右のロワーリンク3,3を介して代掻き装置4を連結し、左右のリフトアーム5,5,リフトロッド6,6により、代掻き装置4を昇降自在に連結している。
【0010】
代掻き装置4は、機体1側から動力の伝達される伝動ケース7、伝動ケース7から左右両側方に延出している左・右ビーム(図示省略)、左ビーム(図示省略)の外端部に連結されているサイド伝動ケース9、右ビーム(図示省略)の端部に連結されているサイドプレート(図示省略)、前記サイド伝動ケース9及びサイドプレートの下端部に軸架されている耕耘軸10、耕耘軸10に取り付けられている耕耘爪11、ロータ板爪12、伝動ケース7に取り付けられているマスト13、耕耘爪11の上部を被覆する主カバー14、耕耘爪11の後部を被覆するリヤーカバー15、リヤーカバー15の押圧装置(図示省略)等により、構成されている。
・・・・
【0013】
小径の耕耘軸10には所定間隔置きにフランジ16,16,…を多数取り付けている。このフランジ16,16,…には、左耕耘爪11L及び右耕耘爪11Rを回転方向にずらして交互に、例えば、2組取り付けている。
・・・・
【0016】
この実施例では、前記のように、小径の耕耘軸10に所定間隔置きに取り付けられているフランジ16,16,…には、大径の左耕耘爪11Lと右耕耘爪11Rを回転方向にずらせて交互に2組取り付けると共に、左・右耕耘爪11L,11Rの回転方向中間に位置するように、小径の板状のロータ板爪12,12,…を取り付けた構成であるので、フランジ16,16,…間を小径な耕耘軸10と板状のロータ板爪12とで連結する軽量なものでありながら、左・右耕耘爪11L,11R取付用のフランジ16,16,…を強固なものとすることができ、また、放射方向の内周側板部12aに屈折部12bを介して回転方向後位側に傾斜する外周側傾斜板部12cを接続してロータ板爪12を構成し、ロータ板爪12を左・右耕耘爪11L,11Rよりも小径に構成したので、代掻き装置の沈下を防止しながら、ロータ板爪12の耕耘抵抗を少なくし、藁屑類を良好に埋め込み、左・右耕耘爪11L,11Rでの耕耘土塊を良好に砕土・均平し、整地性を向上させることができる。」

(イ)引用例1の認定
上記(ア)で摘記した事項からみて、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「農用トラクタの機体1側から動力の伝達される伝動ケース7と、伝動ケース7から左右両側方に延出している左・右ビームと、左ビームの外端部に連結されているサイド伝動ケース9と、右ビームの端部に連結されているサイドプレートと、前記サイド伝動ケース9及びサイドプレートの下端部に軸架されている耕耘軸10と、耕耘軸10に所定間隔置きにフランジ16,16,…を多数取り付け、このフランジ16,16,…のそれぞれに回転方向にずらして交互に2組取り付けられている左耕耘爪11Lと右耕耘爪11Rと、ロータ板爪12と、左耕耘爪11Lと右耕耘爪11Rとからなる耕耘爪11の上部を被覆する主カバー14と、耕耘爪11の後部を被覆するリヤーカバー15と、リヤーカバー15の押圧装置とを備えた、
代掻き装置4。」

イ 引用例2
(ア)引用例2に記載の事項
引用例2には、次の事項が記載されている。

a 明細書第1頁第8?9行
「この考案は、耕耘機の耕耘軸に多数間隔的に取付ける耕耘爪に関するものである。」
b 明細書第2頁第16行?第3頁第2行
「この考案は上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、表面全休に視認性が良い色彩の付帯層を設けることにより、爪面における損傷度の早期発見が容易になって、耕耘中における障害や二次損傷等が一掃され、これによって耕耘作業の安全と能率向上を図ることができる耕耘爪を提供することにある。」
c 明細書第3頁第15行?第4頁第17行
「この耕耘爪を図示しない耕耘機の回転軸に多数間隔的に取付けた場合、その各耕耘爪が耕耘機使用の環境周辺に対して顕著な色彩となる原色系の塗料、例えば耕耘機の周辺における土壌や、この耕耘機と土壌の背景となる草木に比して明確に区分が可能となる色彩の塗料(一例として赤色あるいはスカイブルー)が、上記原形爪1の製作時に均一な厚みにより塗布されて、焼付け等の加工手段によりこの原形爪1の表面全城に所定厚みの付帯層5として一体的に設けられ、全体として一括体の耕耘爪Aに構成されている。
上記の構成により耕耘爪Aを、この耕耘爪Aの装備を必要とする図示しない耕耘機の回転軸に、あらかじめ軸上に設置されている取付部材に対する前記取付孔3からのボルトの挿入とその締付けにより多数間隔に取付けて、この耕耘機を稼働した場合、各耕耘爪Aの表面全域には、原色系の色彩で、この耕耘機の周辺土壌やその土壌の背景となる草木と明確に区分できる焼付け塗装による付帯層5が均一に設けられているため、各個毎の爪面4における摩耗の度合が常に円滑迅速に確認できて、適正な摩耗時期における爪の交換が可能となる。」
d 明細書第5頁第13?20行
「なお上記の実施例においては主に同一種類の原形爪1に特定の色彩による付帯層5を設けるようにしたが、この考案の耕耘爪は上記の実施例に限定することなく、例えば異種毎の原形爪に、色彩別の付帯層をそれぞれ設けて複数種の耕耘爪を構成することにより、色彩の識別により一目で耕耘爪の種類が判断できて、多品種の管理が一層有利に行えるという特徴が得られる。」
e 明細書第6頁第13?17行
「さらに、異種の爪ごとに色彩の異なった層を形成するようにすれば、異種の爪であることが一目で分かり、一つの耕耘軸に異種の爪を決められた箇所に取付けることも用意(審決注:「容易」の誤記である。)なり、又部品管理上も有利である。」

(イ)引用例2の認定
上記(ア)で摘記した事項からみて、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「耕耘機の回転軸に多数間隔的に取付けた耕耘爪において、
耕耘爪には、異種の耕耘爪ごとに色彩を異ならせるように、赤色やスカイブルーなどの塗料を塗布して、異種の耕耘爪であることが色彩の識別により一目で分かり、一つの耕耘軸に異種の耕耘爪を決められた箇所に取付けることを容易にした、
耕耘爪。」

ウ 引用例3
(ア)引用例3に記載の事項
引用例3には、次の事項が記載されている。

a [産業上の利用分野](明細書第1頁第10?11行)
「この考案は、耕耘爪を装着するためのホルダーに関する。」
b [従来の技術](明細書第1頁末行?第2頁第4行)
「この耕耘爪は左用107と右用109とに区別されており取付けには注意が必要であり、この耕耘爪の取付のためにロータリ耕耘装置カバーに左右配列表示が第6図に示すように(略図)平面的に表示されていた。」
c [考案が解決しようとする問題点](明細書第2頁第15?18行)
「この考案は上記の問題に鑑み創案されたもので左右の耕耘爪の誤装着を防止すると共に品質の保護を向上させることができるホルダーの提供を目的とする。」
d [問題点を解決するための手段](明細書第2頁末行?第3頁第3行)
「上記目的を達成するためにこの考案は耕耘爪を装着するために耕耘軸に設けられたホルダーにおいて、前記ホルダー端面に表示手段を設けたことを特徴とするホルダー。」
e [作用](明細書第3頁第5?6行)
「ホルダー端面に表示手段を設けることにより耕耘爪を取付ける際の誤装着を防止する。
g [実施例](明細書第3頁第12行?第5頁第19行)
「ホルダーは、右用1と左用3とにより構成されており、ロ-タリ耕耘装置(図示しない)に設けられた耕耘軸(図示しない)の円周上に所定間隔で複数配列されると共に、この複数配列されたホルダーが軸方向に所定間隔に溶接により取付けられている。前記右用1のホルダーの端面5には第1図に示すように開口部7が設けられ横断面は略矩形状を成している。前記端面5には右用であることを示す頭文字であるRと製造年月日等が刻印されている。前記開口郎7には第2図に示すように右用耕耘爪9が挿入係止されている。
一方の左用3のホルダーの端面11には第3図に示すように前記右用1のホルダーに設けられた開口部7と同形状なる開口部13が設けられている。前記端面11には左用であることを示す頭文字Lと製造年月日等が刻印されている。前記開口部13は第4図に示すように左用耕耘爪15が挿入係止されている。
つぎに上記実施例の作用について説明する。
まずホルダーが右用1であるか左用3であるかを端面5,11にそれぞれ刻印された頭文字R,Lにより判断する。刻印がRならば間口部7に取付方向を間違わぬように右用耕耘爪9を挿入係止させる。刻印Lの場合も同様にして左用耕耘爪15を挿入係止させる。このため左右の配列はホルダー端面に表示されたR,Lにより視認判断できると共に、ホルダーの側面等に表示した場合のように一方向でしか視認できないのとは違い、端面に表示してあるため何れの方向からでも、最も容易に且つ確実に視認することができる。このため覗きこんだり、確認作業を必要としないため、作業性は向上する。また製造年月日等も表示してあるので、問題等が発生した時に、加工条件等の履歴が判明できるので要因の把握と対策を敏速にとることができる。このためユーザに対する品質向上させることができる。
なお、この考案は上記一実施例に限定されるものではない。例えば第5図に示すようにホルダー17の開口部19の形状が異なる場合にも前記実施例と同様な構成により同様な効果を得ることができる。
ホルダーの端面に頭文字R,Lを刻印したがR,Lのかわりに点を刻印し、この点の刻印位置を左用と右用とで変えて表示することもできる。
刻印で文字等を表示したが字の形状は文字(日本語、外国語)数字、摸様何れでも仕様(審決注:「使用」の誤記である。)可能であり、浮き出し、プリント等の何れでも表示することができる。」
h [考案の効果](明細書第6頁第10?18行)
「以上より明らかなようにこの考案の構成によれば、ホルダーの端面に表示手段を設けたことにより、例えばホルダーの左右配列を表示すれば何れの方向からでも、最も容易に且つ確実に視認することができる。このため覗きこんだり、確認作業を必要としないため作業性が向上すると共に耕耘爪を取付ける際の誤装着を防止することができる。また例えば製造年月日等を表示することにより品質の保証を向上させることができる。」

(イ)引用例3の認定
上記(ア)で摘記した事項からみて、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。

「ロ-タリ耕耘装置に設けられた耕耘軸の円周上に所定間隔で複数配列されると共に、軸方向に所定間隔に取付けられている、耕耘爪が挿入係止されるホルダーにおいて、
右用耕耘爪9が挿入係止される右用1のホルダーの端面5には、右用であることを示す頭文字であるRが刻印されており、
左用耕耘爪15が挿入係止される左用3のホルダーの端面11には、左用であることを示す頭文字であるLが刻印されており、
ホルダーが右用1であるか左用3であるかを端面5,11にそれぞれ刻印された頭文字R,Lにより判断できるようにした、ホルダー。」

エ 周知例1
(ア)周知例1に記載の事項
周知例1には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を耕耘する耕耘ロータリの耕耘軸に耕耘爪を取り付けるための耕耘爪締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場を耕耘する耕耘ロータリの耕耘軸に耕耘爪を取り付ける構造としては、耕耘爪の基部に設けられた一対の連通孔から耕耘軸に固着されたフランジに設けられた一対の各爪取付孔にボルトを挿通してナットと螺合して耕耘爪の基部をフランジに固着する構造が知られている。
【0003】
この耕耘爪取付構造によれば、フランジに耕耘爪を取り付けるには、2本のボルトのそれぞれを耕耘爪の基部に設けられた一対の連通孔に挿通するとともに、フランジに設けられた一対の爪取付孔に挿通する。そして、フランジから突出したボルトにナットを螺合してフランジを介して耕耘爪を締め付ける。このナットを螺合操作する際に、ボルトがナットと共回りしないように、ボルトの頭部を押さえ付ける必要がある。この押さえ付け作業は、作業者にとって煩わしく、耕耘爪の取り付け作業の作業性を低下させている。
【0004】
そこで、押さえ付け作業が不要な耕耘爪取付装置が提案されている(特許文献1及び2参照)。特許文献1に記載の耕耘爪取付装置は、結合板の両端部にボルトの軸部を挿通可能に形成された挿通孔に軸部を通してボルトの頭部を結合板に溶接して構成されている。
【0005】
特許文献2に記載の耕耘爪取付装置は、座金体の両側部に形成された挿通孔にボルトが固定されたものである。ボルトは、その軸部のボルト頭部側に挿通孔の内径よりも僅かに大径のローレット軸部が設けられ、ローレット軸部の周面にはローレット目が形成されている。このローレット軸部を挿通孔に圧入することで、ボルトが座金体に固定されている。」
「【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の耕耘爪締結装置は、耕耘軸に設けられたフランジに耕耘爪を取り付ける耕耘爪締結装置であって、前記耕耘爪の基部に間隔を有して設けられた複数の連通孔のそれぞれから前記フランジに設けられ前記耕耘軸の外周の外側に配置された複数の爪取付孔に挿通されてナットと螺合して前記耕耘爪の基部を前記フランジに固定する複数のボルトと、前記複数のボルトの軸部が挿通可能な複数の挿通孔を有した結合板を備え、前記ボルトは、この頭部に繋がる軸部の頭部側端部の少なくとも周囲に凹部を有し、前記結合板の前記挿通孔に前記ボルトの軸部を挿通し、前記挿通孔の外周部をプレス加工して前記凹部内に塑性流動させた前記結合板の部分を入り込ませて前記ボルトと前記結合板とが一体的に結合されていることを構成要件とする。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る耕耘爪締結装置について、図1から図6を参照して説明する。耕耘爪締結装置1は、図5(説明図)に示すように、耕耘軸80に設けられたフランジ81に耕耘爪85を取り付けるためのものである。この耕耘爪締結装置1は、耕耘爪85の基部85aに長手方向に間隔を有して設けられた一対の連通孔85b,85cからフランジ81に設けられ耕耘軸80の外周の外側に設けられた一対の各爪取付孔82,83に挿通されてナット40(図6参照)と螺合して耕耘爪85の基部85aをフランジ81に固着する2本のボルト10と、2本のボルト10と一体的に結合される結合板20とを備えてなる。」
「【0020】
次に、この耕耘爪締結装置1を用いて耕耘爪85を耕耘軸80に設けられたフランジ81に固定する方法について説明する。先ず、図5に示すように、耕耘爪85の基部85aをフランジ81の一対の爪取付孔82,83に対向配置し、耕耘爪85の基部85aに設けられた一対の連通孔85b,85cと一対の爪取付孔82,83を連通状態にする。そして、耕耘爪締結装置1の2本のボルト10を一対の連通孔85b,85cから一対の各爪取付孔82,83に挿通させる。そして、図6(断面図)に示すように、爪取付孔82,83から突出した軸部10aの先端部にスプリングワッシャ50を介してナット40を螺合して、耕耘爪85の基部85aを締め付けて耕耘爪85をフランジ81に固定する。」

オ 周知例2
(ア)周知例2に記載の事項
周知例2には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耕耘爪取付装置に係り、たとえば、圃場を耕耘するロータリ耕耘体の多数の耕耘爪を取付けるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の耕耘爪取付装置としては、特開平6-335302号公報に記載されているように、耕耘軸のフランジに複数の耕耘爪を放射状に配設するとともに、この各耕耘爪にボルト頭部の回動阻止部を有する座金板をそれぞれ当接し、この各座金板から前記各耕耘爪及びフランジに2本のボルトをそれぞれ挿通し、この各ボルトのボルト頭部を前記回動阻止部に当接した状態でこの各ボルトにナットをそれぞれ締め付けてフランジに複数の耕耘爪を放射状に突設する構成が知られている。」
「【0004】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で座金体に対してボルトを確実に固定でき、耕耘爪の取付け及び取り外しが容易で、ボルトに締め付けるナットと反対側でボルト頭部を押さえ付ける回り止め操作を必要とせず、耕耘爪の着脱交換作業を軽減できる耕耘爪取付装置を提供することを目的とするものである。」
「【0017】
また、11は前記伝動ケース3とブラケットとの下端部間に回転自在に軸架されたロータリ作業体11で、このロータリ作業体11は、前記伝動ケース3とブラケットとの下端部間に回転自在に軸架された耕耘軸12を有し、この耕耘軸12には軸方向に所定の間隔をおいて多数の円盤状のフランジ13が一体に固着されている。
【0018】
前記各フランジ13には前記耕耘軸12を中心として複数の耕耘爪14を放射状に取り付ける2個を一組とする複数組の爪取付孔15がそれぞれ内外側部に離間して形成されている。また、前記複数の耕耘爪14は、前記各フランジ13に当接する板状の基端部16を有し、この基端部16には前記フランジ13の2個を一組とする爪取付孔15にそれぞれ連通する2個の連通孔17を有するとともに、この基端部16に連続して伸長した縦切刃部18及び先端部に湾曲した横切刃部19を有している。
【0019】
また、20は前記複数の耕耘爪14の基端部16を前記フランジ13に着脱自在に固着する固着具で、この固着具20は、金属製の座金体21と、この座金体21に取り付ける金属製の2本のボルト22と、この2本のボルト22にワッシャ23を介してそれぞれ着脱自在に螺着する金属製のナット24とを有している。」
「【0023】
つぎに、前記座金体21に前記2本のボルト22を連結する場合には、前記押当板25の両側部の挿通孔26に前記2本のボルト22をねじ軸部32から挿入するとともに、この2本のボルト22のローレット軸部31をそれぞれ軸方向から強制的に圧入することにより、この両側部の挿通孔26に2本のボルト22のローレット軸部31が互いに、あるいはその一方が塑性変形して圧着され座金体21の両側部に2本のボルト22がそれぞれ一体に固定される。
【0024】
そして、座金体21の両側部には2本のボルト22が回動不能にかつ抜け止め不能に一体に固定されるが、この2本のボルト22のボルト頭部29が両側部の挿通孔26の開口縁部28にそれぞれ当接されることにより、このボルト頭部29にて2本のボルト22が更に確実に抜け止め支持される。」
「【0027】
つぎに、前記座金体21の押当板25の表面部には前記両側部の挿通孔26の間に位置して前記2本のボルト22の長さ、この2本のボルト22のねじ軸部32のピッチ、この2本のボルト22の間の間隔等2本のボルト22のサイズ等を表示する表示部36が形成されている。
【0028】
すなわち、ロータリ作業体11の機種や耕耘爪14によって、その耕耘爪14をフランジ13に取り付けるボルト22の長さや間隔が相違するので、これらの相違に対応するために各種のボルト22が用意されるが、これらのボルト22を2本一組として押当板25の両側部に固定し、その押当板25の表示部36に2本のボルト22のサイズを表示することにより、ロータリ作業体11の機種や耕耘爪14に応じた固着具20が容易に選択される。したがって、耕耘爪14の取り付け作業が容易となる。」

カ 周知例3
(ア)周知例3に記載の事項
周知例3には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を耕耘する耕耘ロータリの耕耘軸に耕耘爪を取り付けるための耕耘爪締結装置に関する。」
「【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の耕耘爪締結装置は、耕耘軸に設けられたフランジに耕耘爪を取り付ける耕耘爪締結装置であって、耕耘爪の基部に設けられた一対の連通孔からフランジに設けられた一対の各爪取付孔に挿通されてナットと螺合して耕耘爪の基部をフランジに固着する2本のボルトと、2本のボルトと一体的に結合される結合板とを備え、該結合板は、両側部にボルトのボルト軸部を挿通する挿通孔を有し、ボルト頭部の座面又は結合板のボルト頭部の座面に対向する対向面に溶接用突起を設け、結合板の挿通孔にボルトのボルト軸部を挿通して、溶接用突起を対向面又はボルト頭部の座面に溶着させて、2本のボルトと結合板とが一体的に結合されていることを特徴とする。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る耕耘爪締結装置について、図1から図4を参照して説明する。耕耘爪締結装置1は、図1に示すように、耕耘軸80に設けられたフランジ81に耕耘爪85を取り付けるためのものであり、耕耘爪85の基部86に設けられた一対の連通孔87,88からフランジ81に設けられた一対の各爪取付孔82,83に挿通されてナットと螺合して耕耘爪85の基部86をフランジ81に固着する2本のボルト10と、2本のボルト10と一体的に結合される結合板30とを備えてなる。
【0016】
ボルト10は、図2(a)(側面図)及び(b)(裏面図)に示すように、市販品と同一形状であり、先端部に雄ねじ11aを形成したボルト軸部11と、この基端部に繋がったボルト頭部13とを有してなる。ボルト頭部13は六角形状を有して、スパナやメガネレンチの使用を可能にしている。
【0017】
結合板30は、両側部にボルト10のボルト軸部11を挿通する挿通孔31を有し、ボルト頭部13の座面13aに対向する対向面32に溶接用突起34が設けられている。溶接用突起34は、これをボルト頭部13の座面13aに圧接させた状態でボルト10及び結合板30間に大電流を流すと、溶解してボルト頭部13の座面13aに溶着するいわゆるスポット溶接における接続部として機能する。なお、図面ではボルト頭部13の座面13aに溶着する溶接用突起34を3つ設けた場合を示したが、溶接用突起34の数は、接合強度、コスト等との関係を考慮して適宜決められるものである。
【0018】
結合板30の挿通孔31にボルト10のボルト軸部11を挿通して、溶接用突起34をボルト頭部13の座面13aに溶着させると、図2(c)(断面図)に示すように、2本のボルト10と結合板30とが一体的に結合された耕耘爪締結装置1が完成する。
【0019】
次に、この耕耘爪締結装置1を用いて耕耘爪85を耕耘軸80に設けられたフランジ81に固定する方法について説明する。先ず、耕耘爪85の基部86をフランジ81の一対の爪取付孔82,83に対向配置して、耕耘爪85の基部86に設けられた一対の連通孔87,88と一対の爪取付孔82,83とを連通させる。そして、耕耘爪締結装置1の2本のボルト10を一対の連通孔87,88から一対の各爪取付孔82,83に挿通させる。そして、爪取付孔82,83から突出したボルト軸部11の先端部にナット40を螺合して、耕耘爪85の基部86を締め付けて耕耘爪85をフランジ81に固着する。
【0020】
ここで、結合板30の両側部にボルト10が溶着されて結合板30と一体となって回り止め固定されているので、2本のボルト10は耕耘爪85の連通孔87,88からフランジ81の各爪取付孔82,83に同時に挿通される。また、この2本のボルト10にナット40をそれぞれに強く締め付けてもこの2本のボルト10が回ることはなく、各ボルトのボルト頭部13を押さえ付ける必要もないため、フランジ81に耕耘爪85を固着する作業時間を大幅に短縮することができる。また、耕耘爪の交換作業のように前述した耕耘ロータがフリーな状態(例えば、PTOクラッチが切断されて耕耘ロータがフリーに回転できる状態)の方が作業し易いような場合、手作業でナット40を締め付けようとすると、その反動で耕耘ロータが回転して作業がやり難くまた危険であるが、ボルト頭部13は六角形状をしているので、スパナやメガネレンチの使用が可能であり、ボルト頭部13にスパナ等を係合させることで、耕耘ロータの回動を規制することができ、安全に耕耘爪の交換作業を行うことができる。
【0021】
このようにして、耕耘軸80のフランジ81に耕耘爪85を固着する際には、耕耘爪85を固着するボルト10を2本1組として同時に耕耘爪85の基部86とフランジ81に装着でき、ボルト10を1本ずつ装着する必要がない。このため、フランジ81に対する耕耘爪85の装着を簡単な操作で短時間に行うことができる。
【0022】
またボルト10は結合板30に対して溶着によって結合されているので、その結合強度は強いとともに、信頼性も高い。従って、ボルト10の回り止め機能が低下する事態を未然に防止することができ、その結果、フランジ81に対する耕耘爪85の装着作業を常に簡単な操作で行うことができる。
【0023】
なお、溶接用突起34は、図3(a)(側面図)に示すように、ボルト頭部13の座面13aに設けてもよい。このように、溶接用突起34をボルト頭部13の座面13aに設けることで、前述した溶接用突起34を結合板30に設けた場合と同様に、溶接用突起34の溶着によって図3(c)(側面図)に示す2本のボルト10を結合板30に固着した耕耘爪締結装置1を形成することができ、また前述した図2(c)に示す耕耘爪締結装置1と同様の効果(耕耘爪装着操作の容易化、ボルト10の回り止め機能の高い信頼性)を得ることができる。
【0024】
また図4(a)(側面図)及び(b)(平面図)に示すように、ボルト頭部13の側面に座面13aに延びる溶接用切り欠き部14を設け、溶接用切り欠き部14と結合板30との間をすみ肉溶接して、2本のボルト10と結合板30とを一体的に結合してもよい。このようにすると、前述した図2(c)に示す耕耘爪締結装置1と同様の効果(耕耘爪装着操作の容易化、ボルト10の回り止めの高い信頼性)を得ることができるとともに、市販品のボルトのボルト頭部に溶接用切り欠き部14を加工するだけでよいので、コストの上昇を抑制することができる。また、溶接部16は溶接用切り欠き部14内に略収まるので、ボルト頭部13にスパナ等の工具の装着が可能であり、PTOクラッチが切断されて耕耘ロータがフリーに回転できる状態になっても、耕耘ロータの回動を規制して耕耘爪の装着作業を行うことができる。」

キ 周知例4
(ア)周知例4に記載の事項
周知例4には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなど走行機体の後方に装備させるロータリ耕耘作業機などの耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耕耘装置に用いる耕耘爪には、右用及び左用の2種類が存在し、耕耘爪軸に設けたホルダに誤組しないように取り付ける必要がある(爪の付け替えには多大な時間がかかるため)。
【0003】
そこで、ホルダの左右側面を非対象に形成して右用もしくは左用の爪を誤組することなく取り付けるようにしたものがある。(例えば特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】実開平4-55202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ホルダの左右いずれかの側面を確認してから爪を取り付ける必要が生じるため、誤組は防止することができるものの取り付けに時間がかかるという不具合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、耕耘爪軸のホルダに耕耘爪を挿入固定させる耕耘装置において、耕耘爪を挿入させるホルダの爪挿入孔の少なくとも1組の対向する辺形状を異ならせると共に、耕耘爪基部の辺形状をホルダの爪挿入孔の辺形状と同形状とさせたものである。
【0007】
また、ホルダの爪挿入孔の少なくとも1辺に凸部または凹部を設けると共に、耕耘爪基部に爪挿入孔の凸部または凹部に対応する凹部または凸部を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
而して本発明によれば、耕耘爪軸のホルダに耕耘爪を挿入固定させる耕耘装置において、耕耘爪を挿入させるホルダの爪挿入孔の少なくとも1組の対向する辺形状を異ならせると共に、耕耘爪基部の辺形状をホルダの爪挿入孔の辺形状と同形状とさせたことによって、ホルダの爪挿入孔の形状を確認するだけで右用或いは左用を瞬時に正確に判断して、従来に比べて耕耘爪の取付け時間の短縮化を図ると共に、耕耘爪の誤組を確実に防止して取付性を向上させるものである。
【0009】
また、ホルダの爪挿入孔の少なくとも1辺に凸部または凹部を設けると共に、耕耘爪基部に爪挿入孔の凸部または凹部に対応する凹部または凸部を設けたことによって、爪挿入孔或いは挿入基部の1辺に凸部或いは凹部を設けるだけの簡単な構成手段で、耕耘爪の誤組を確実に防止して、正確な耕耘爪の交換など容易に可能とさせるものである。」
「【0018】
また、図8に示すものは、爪ホルダ26の爪挿入部に耕耘爪16の湾曲方向に合わせた矢印36の刻印(図8(1))、記号或いは文字37の刻印(図8(2))、図形目印38の刻印(図8(3))、各種色39による着色(図8(4))など施す一方、耕耘爪16の挿入基部30にも同様の刻印や着色など施して、耕耘爪16の湾曲方向に合わせた爪ホルダ26への取付けを行わせるものである。」

(2)対比
ア 本願補正発明と引用発明1とを対比する。
イ 「代掻き」は「農作業」であるから、引用発明1の「代掻き装置4」は本願補正発明の「農作業機」に相当する。
ウ 引用発明1の「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とは異なる形状であるので、引用発明1の「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」は、本願補正発明の「第1耕耘爪」と「第1耕耘爪とは異なる形状の第2耕耘爪」にそれぞれ相当する。
エ 引用発明1の「農用トラクタの機体1側から動力の伝達される伝動ケース7と、伝動ケース7から左右両側方に延出している左・右ビームと、左ビームの外端部に連結されているサイド伝動ケース9と、右ビームの端部に連結されているサイドプレートと、前記サイド伝動ケース9及びサイドプレートの下端部に軸架されている耕耘軸10と、耕耘軸10に所定間隔置きにフランジ16,16,…を多数取り付け、このフランジ16,16,…のそれぞれに回転方向にずらして交互に2組取り付けられている左耕耘爪11Lと右耕耘爪11Rと、・・・・を備えた」との構成からは、「伝動ケース7」、「左・右ビーム」、「サイド伝動ケース9」及び「サイドプレート」とからなる構成は、「耕耘軸10」や該「耕耘軸10」に取り付けられている「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」を回転可能に支えていると解されるので、引用発明1の「伝動ケース7」、「左・右ビーム」、「サイド伝動ケース9」及び「サイドプレート」とからなる構成は、本願補正発明の「機体」に相当し、同様に、「サイド伝動ケース9及びサイドプレートの下端部に軸架されている耕耘軸10」は「機体に回転可能に設けられた回転軸」に、「耕耘軸10に所定間隔置きに」「多数取り付け」た「フランジ16,16,…」は「回転軸の外周面に突設され「フランジ」にそれぞれ相当する。また、引用発明1の「フランジ16,16,…」は、「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とを取り付けるので、「耕耘爪取付部」を有することは明らかであり、「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」は何かしらの「取付手段」により、「フランジ16,16,…」に取り付けられていると解される。
オ 上記ウ及びエを踏まえると、引用発明1の「耕耘軸10」と「フランジ」と「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とからなる構成は、「機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体」を構成しているといえる。
カ したがって、両者は 次の一致点で一致し、相違点1ないし4で相違する。

(一致点)
「機体と、
この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
前記耕耘体は、
前記機体に回転可能に設けられた回転軸と、
この回転軸の外周面に突設され、第1耕耘爪取付部および第2耕耘爪取付部を有するフランジと、
前記第1耕耘爪取付部に取付手段にて取り付けられた第1耕耘爪と、
前記第2耕耘爪取付部に取付手段にて取り付けられ、前記第1耕耘爪とは異なる形状の第2耕耘爪とからなる、
農作業機。」

(相違点1)
本願補正発明は、「耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え」ているのに対し、
引用発明1は、その特定がない点。

(相違点2)
耕耘爪の取付構造に関して、
本願補正発明は、「前記フランジのうち前記第1耕耘爪取付部に対応する位置および前記第2耕耘爪取付部に対応する位置には、互いに所定距離だけ離れた対をなすボルト挿通用孔が形成され、前記第1耕耘爪および前記第2耕耘爪には、前記ボルト挿通用孔と対向するボルト挿通用孔が形成され、前記取付手段は、平板と、この平板の長手方向両端部に固定され互いに所定距離だけ離れた対をなす固定ボルトと、この各固定ボルトに螺合されるナットとを有し、前記固定ボルトが前記第1耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第1耕耘爪が前記フランジの前記第1耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられ、かつ、前記固定ボルトが前記第2耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記第2耕耘爪が前記フランジの前記第2耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられて」いるのに対し、
引用発明1は、「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」は「フランジ16,16,…のそれぞれに回転方向にずらして交互に2組取り付けられている」が、そのような取付構造を備えていない点。

(相違点3)
本願補正発明は、「前記フランジの前記第1耕耘爪取付部に設けられ、前記第1耕耘爪を前記第1耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第1耕耘爪用目印と、前記フランジの前記第2耕耘爪取付部に設けられ、前記第2耕耘爪を前記第2耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第2耕耘爪用目印とを有する」のに対し、
引用発明1は、そのような構成を有していない点。

(相違点4)
本願補正発明は、「前記第1耕耘爪の色と前記第2耕耘爪の色とが、互いに異なっている」のに対し、
引用発明1は、そのような構成を有していない点。

(3)相違点1の判断
引用発明1は、耕耘爪11の後部を被覆するリヤーカバー15と、リヤーカバー15の押圧装置とを備えている。
そして、リヤーカバー15は押圧装置を備えているから、リヤーカバー15は土を押圧する作用を奏するものであると解されるので、整地作業をするものといえる。
加えて、平成28年1月21日付けの補正却下の決定で引用された特開2009-268361号公報に、「本発明は、ロータリ作業体の上方を覆う上部カバーの後端部に上下方向に回動自在に支持されたエプロンと、エプロンの後端部に上下方向に回動自在に支持されたレベラーを備えた耕耘作業機に関し、特に、エプロンを持ち上げてロック可能な耕耘作業機に関するものである。」(段落【0001】)、「ロータリ作業体15の上側は、上部カバー17によって覆われている。上部カバー17は、ロータリ作業体15の前側から後方側に延び、上部カバー17の後端部には、エプロン20が上下方向に回動自在に取り付けられている。」(段落【0029】)、「エプロン20は後端側が上部カバー17の後端から斜め下方へ延び、エプロン20の後端部20aは左右方向に略直線状に形成されて、耕土表面を平らに整地する。・・・・」(段落【0030】)と記載されているように、ロータリ作業体(耕耘体)のエプロン(リヤーカバー)によって整地作業を行うことは、本件出願前から周知であるから、引用発明1の「リヤーカバー15」を整地作業するものと解することは合理的であるといえる。また、耕耘体の後方で整地作業をする整地体を備えることは、設計的な事項であるといえる。
よって、相違点1は実質的な相違ではない。仮にそうでないとしても、引用発明1において、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)相違点2の判断
ア 周知技術について
周知例1ないし3に記載された事項(上記(1)エないしカを参照。)を踏まえると、「回転軸の外周面に突設されたフランジの耕耘爪取付部に耕耘爪を取り付ける構成において、フランジの耕耘爪取付部に対応する位置には、互いに所定距離だけ離れた対をなすボルト挿通用孔が形成され、耕耘爪には、前記ボルト挿通用孔と対向するボルト挿通用孔が形成され、取付手段は、平板と、この平板の長手方向両端部に固定され互いに所定距離だけ離れた対をなす固定ボルトと、この各固定ボルトに螺合されるナットとを有し、前記固定ボルトが前記耕耘爪の前記ボルト挿通用孔および前記フランジの前記ボルト挿通用孔に挿通され、この挿通された固定ボルトに前記ナットが螺合され、このナットの螺合により前記耕耘爪が前記フランジの前記耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けること」は、本件出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)であるといえる。
また、周知例1の段落【0003】【0004】、周知例2の段落【0004】、及び、周知例3の段落【0021】の記載事項から、上記周知技術は、耕耘爪の取り付け作業を容易(簡単)にし、当該作業を軽減するものであるといえる。
イ 引用発明1への周知技術の適用について
耕耘作業機において、耕耘爪の取り付け構造をどのようなものとするかは、当業者が適宜に決定し得ることであり、また、引用発明1においても、耕耘爪の取り付け作業を容易(簡単)にしようとする課題は当然にあるといえるので、引用発明1の「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とをフランジにそれぞれ取り付ける構造として、上記周知技術を適用して、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)相違点3の判断
ア 引用例3について
引用例3には、上記(1)ウ(イ)で述べたように引用発明3が記載されていると認められる。
そして、引用発明3の「右用耕耘爪9」と「左用耕耘爪15」は本願補正発明の「第1耕耘爪」と「第2耕耘爪」に相当し、同様に、「右用耕耘爪9が挿入係止される右用1のホルダーの端面5」と「左用耕耘爪15が挿入係止される左用3のホルダーの端面11」は「第1耕耘爪取付部」と「第2耕耘爪取付部」に、「右用であることを示す頭文字であるR」と「左用であることを示す頭文字であるL」は「第1耕耘爪を前記第1耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第1耕耘爪用目印」と「第2耕耘爪を前記第2耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第2耕耘爪用目印」にそれぞれ相当する。
よって、引用発明3の「右用耕耘爪9が挿入係止される右用1のホルダーの端面5には、右用であることを示す頭文字であるRが刻印されており、左用耕耘爪15が挿入係止される左用3のホルダーの端面11には、左用であることを示す頭文字であるLが刻印されており、ホルダーが右用1であるか左用3であるかを端面5,11にそれぞれ刻印された頭文字R,Lにより判断できるようにした」ことは、本願補正発明の「第1耕耘爪取付部に設けられ、前記第1耕耘爪を前記第1耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第1耕耘爪用目印と、」「第2耕耘爪取付部に設けられ、前記第2耕耘爪を前記第2耕耘爪取付部に取り付けるようにするための第2耕耘爪用目印とを有する」ことに相当する。
イ 引用発明1への引用発明3の適用について
引用発明1においても、引用発明2(上記(1)イ(ア)d、eを参照。)や引用発明3(上記(1)ウ(ア)c、hを参照。)と同様に、「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とをそれぞれの取付部(取付箇所)に正しく取り付けるとともに、その作業を容易(簡単)にしようとする課題は当然にあるといえるので、引用発明1の「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」のそれぞれのフランジの取付部に引用発明3を適用して、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 予備的見解
周知例4(上記(1)キを参照。)に「従来、耕耘装置に用いる耕耘爪には、右用及び左用の2種類が存在し、耕耘爪軸に設けたホルダに誤組しないように取り付ける必要がある」(段落【0002】)と記載されているように、右耕耘爪と左耕耘爪とをそれぞれの取付箇所に正しく取り付けるようにするとの課題は、本件出願前から周知の課題であるといえる。
そして、右耕耘爪と左耕耘爪のそれぞれの取付部に、右耕耘爪用であることを示す目印と左耕耘爪用であることを示す目印を設けることは、引用発明3の他に引用例4(特に段落【0018】)にも記載されているから、本件出願前から周知であるといえる。
そうすると、引用発明1において、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、周知技術の付加に過ぎない。

(6)相違点4の判断
ア 引用例2について
引用例2には、上記(1)イ(イ)で述べたように引用発明2が記載されていると認められる。
そして、引用発明2の「異種の耕耘爪」は、形状の異なる耕耘爪を少なくとも2つ有することが明らかであるから、本願補正発明の「第1耕耘爪」と「第2耕耘爪」に相当する。また、引用発明2の「色彩を異ならせる」とは、赤色やスカイブルーなどの色を異ならせることと解される。
よって、引用発明2の「耕耘爪には、異種の耕耘爪ごとに色彩を異ならせるように、赤色やスカイブルーなどの塗料を塗布して、異種の耕耘爪であることが色彩の識別により一目で分かり、一つの耕耘軸に異種の耕耘爪を決められた箇所に取付けることを容易にした」ことは、本願補正発明の「前記第1耕耘爪の色と前記第2耕耘爪の色とが、互いに異なっている」ことに相当する。
イ 引用発明1への引用発明2の適用について
引用発明1においても、引用発明2(上記(1)イ(ア)d、eを参照。)や引用発明3(上記(1)ウ(ア)c、hを参照。)と同様に、「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」とをそれぞれの取付部(取付箇所)に正しく取り付けるとともに、その作業を容易(簡単)にしようとする課題は当然にあるといえるので、引用発明1の「左耕耘爪11L」と「右耕耘爪11R」に引用発明2を適用して、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 予備的見解
周知例4(上記(1)キを参照。)に「従来、耕耘装置に用いる耕耘爪には、右用及び左用の2種類が存在し、耕耘爪軸に設けたホルダに誤組しないように取り付ける必要がある」(段落【0002】)と記載されているように、右耕耘爪と左耕耘爪とをそれぞれの取付箇所に正しく取り付けるようにするとの課題は、本件出願前から周知の課題であるといえる。
そして、右耕耘爪と左耕耘爪とに異なる着色を施すことは、引用発明2の他に引用例4(特に段落【0018】)にも記載されているから、本件出願前から周知であるといえる。
そうすると、引用発明1において、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、周知技術の付加に過ぎない。

(7)むすび
したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2、引用発明3、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、拒絶査定時の平成26年10月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2の[理由]の1の「補正前」のとおりのものである。

2 引用例及び周知例に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び3、周知例1ないし3の記載事項は、前記第2の3(1)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記第2の1の本願補正発明から、「第1耕耘爪用目印」及び「第2耕耘爪用目印」を設ける箇所を「フランジ」の「第1耕耘爪取付部」及び「第2耕耘爪取付部」に限定する構成、及び、「第1耕耘爪」と「第2耕耘爪」に係る限定事項である「前記第1耕耘爪の色と前記第2耕耘爪の色とが、互いに異なっている」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の3(2)ないし(7)に記載したとおり、引用発明1、引用発明3、及び、周知技術、並びに、本件補正で限定された事項に係る引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、本件補正で限定された事項に係る判断(引用発明2に基づく点)を除き同様の理由で、引用発明1、引用発明3、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明3、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-02 
結審通知日 2017-03-08 
審決日 2017-03-22 
出願番号 特願2011-6180(P2011-6180)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01B)
P 1 8・ 575- Z (A01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 隆一  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 小野 忠悦
住田 秀弘
発明の名称 農作業機  
代理人 樺澤 襄  
代理人 樺澤 聡  
代理人 山田 哲也  
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