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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1328332 |
審判番号 | 不服2016-7138 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-16 |
確定日 | 2017-06-06 |
事件の表示 | 特願2013-546389「補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法及びコンテンツストリームを補足コンテンツとともにディスプレイ上に表示するためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月28日国際公開、WO2012/088332、平成26年 3月13日国内公表、特表2014-506415、請求項の数(26)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 経緯 本願は、2011年(平成23年)12月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年12月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成26年11月 5日:拒絶理由の通知 平成27年 5月11日:手続補正 平成27年11月11日:拒絶理由の通知 平成28年 1月15日:手続補正 平成28年 2月 9日:拒絶査定 平成28年 2月16日:拒絶査定の謄本の送達 平成28年 5月16日:拒絶査定不服審判の請求 平成28年 5月16日:手続補正 第2 原査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] この出願の請求項1?26に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2006-41573号公報 引用文献2:特開2002-262225号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2010-218385号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開2009-65551号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特表2006-505207号公報(周知技術を示す文献) 引用文献6:特開2002-305730号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 1 本願請求項1?26に係る発明 本願請求項1?26に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明26」という。)は、平成27年5月11日付け、平成28年1月15日付け、平成28年5月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法であって、 番組のコンテンツストリームを受け取るステップと、 受け取ったコンテンツストリームをサンプリングして、サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するステップと、 前記メディア識別子をコンテンツサーバに送信するステップと、 前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから補足コンテンツを取り出すステップと、 前記コンテンツストリームを、該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするステップと、 を含むことを特徴とする方法。 【請求項2】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかったコンテンツ単位を定義する、 ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかった前記コンテンツ単位内の位置を定義する、 ことを特徴とする請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記補足コンテンツが、前記双方向機能にアクセスするためのトリガを定義する、 ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記双方向機能が、前記トリガによって作動するアプリケーションにより提供される、 ことを特徴とする請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記メディア識別子を判別するステップは、前記コンテンツストリームの一部をサンプリングして当該サンプル部分の指紋を生成し、生成された指紋に基づき前記サンプル部分を分析して前記コンテンツストリームに含まれるコンテンツのメディア識別子を判別する、 ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。 【請求項7】 前記コンテンツストリームが、第1のチャネルを介して受け取られ、前記補足コンテンツが、第2のチャネルを介して取り出される、 ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一項に記載の方法。 【請求項8】 前記第1のチャネルが、アナログオーディオ/ビデオ、デジタルオーディオ/ビデオ、ケーブル、衛星、又はインターネットから成る群から選択された通信により定義され、 前記第2のチャネルが、インターネット通信により定義される、 ことを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項9】 コンテンツサーバがディスプレイに補足コンテンツを提供する方法であって、 コンテンツストリームのメディア識別子を使用して補足コンテンツを判別するステップを含み、前記メディア識別子が、前記コンテンツストリームをサンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで判別されるものであり、 前記補足コンテンツをレンダリングモジュールに送信するステップをさらに含み、前記レンダリングモジュールが、前記コンテンツストリームを、該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングする、 ことを特徴とする方法。 【請求項10】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかったコンテンツ単位を定義する、 ことを特徴とする請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかった前記コンテンツ単位内の位置を定義する、 ことを特徴とする請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記補足コンテンツが、前記双方向機能にアクセスするためのトリガを定義する、 ことを特徴とする請求項9に記載の方法。 【請求項13】 前記双方向機能が、前記トリガによって作動するアプリケーションにより提供される、 ことを特徴とする請求項12に記載の方法。 【請求項14】 前記メディア識別子の判別が、前記コンテンツストリームの一部をサンプリングして当該サンプル部分の指紋を生成するステップと、前記生成された指紋に基づき前記サンプル部分を分析して前記コンテンツストリームに含まれるコンテンツのメディア識別子を判別するステップとを含む ことを特徴とする請求項9?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項15】 コンテンツストリームを補足コンテンツとともにディスプレイ上に表示するためのシステムであって、 前記補足コンテンツを提供するためのコンテンツサーバと、 コネクテッドインターフェイスモジュールを含むインターフェイス装置と、 を備え、前記コネクテッドインターフェイスモジュールが、 (a)番組のコンテンツストリームを受け取り、受け取ったコンテンツストリームをサンプリングし、該サンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するためのセンサモジュールと、 (b)前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから前記補足コンテンツを取り出すための補足コンテンツモジュールと、 (c)前記コンテンツストリームを、該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするためのレンダリングモジュールと、 を含む、 ことを特徴とするシステム。 【請求項16】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかったコンテンツ単位を定義する、 ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。 【請求項17】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかった前記コンテンツ単位内の位置を定義する、 ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 前記補足コンテンツが、前記双方向機能にアクセスするためのトリガを定義する、 ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。 【請求項19】 前記双方向機能が、前記トリガによって作動するアプリケーションにより提供される、 ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。 【請求項20】 前記メディア識別子の判別は、前記コンテンツストリームの一部をサンプリングして当該サンプル部分の指紋を生成し、前記生成された指紋に基づき前記サンプル部分を分析して前記コンテンツストリームに含まれるコンテンツのメディア識別子を判別すること、によって実行される ことを特徴とする請求項15?19のいずれか一項に記載のシステム。 【請求項21】 コンテンツストリームを補足コンテンツとともにディスプレイ上に表示するためのシステムであって、 前記補足コンテンツを提供するためのコンテンツサーバと、 コネクテッドインターフェイスモジュールを含むディスプレイと、 を備え、前記コネクテッドインターフェイスモジュールが、 (a)番組のコンテンツストリームを受け取り、受け取ったコンテンツストリームをサンプリングし、該サンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するためのセンサモジュールと、 (b)前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから前記補足コンテンツを取り出すための補足コンテンツモジュールと、 (c)前記コンテンツストリームを、該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするためのレンダリングモジュールと、 を含む、 ことを特徴とするシステム。 【請求項22】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかったコンテンツ単位を定義する、 ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。 【請求項23】 前記メディア識別子が、前記サンプル部分が見つかった前記コンテンツ単位内の位置を定義する、 ことを特徴とする請求項22に記載のシステム。 【請求項24】 前記補足コンテンツが、前記双方向機能にアクセスするためのトリガを定義する、 ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。 【請求項25】 前記双方向機能が、前記トリガによって作動するアプリケーションにより提供される、 ことを特徴とする請求項24に記載のシステム。 【請求項26】 前記メディア識別子の判別は、前記コンテンツストリームの一部をサンプリングして当該サンプル部分の指紋を生成し、この生成された指紋に基づいて前記サンプル部分を分析して前記コンテンツストリームに含まれるコンテンツのメディア識別子を判別すること、によって実行される ことを特徴とする請求項21?25のいずれか一項に記載のシステム。」 2 本願発明1の分説 本願発明1を分説すると、次のとおりである。 (本願発明1) 「(A)補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法であって、 (B)番組のコンテンツストリームを受け取るステップと、 (C)受け取ったコンテンツストリームをサンプリングして、サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するステップと、 (D)前記メディア識別子をコンテンツサーバに送信するステップと、 (E)前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから補足コンテンツを取り出すステップと、 (F)前記コンテンツストリームを、該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするステップと、 (G)を含むことを特徴とする方法。」 ((A)?(G)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。) 「【0111】 次に、図7のフローチャートを参照して、テレビジョン受像機14が実行する、コンテンツ受信処理について説明する。 【0112】 ステップS21において、アンテナ51は、上述した図6のステップS11の処理により配信されてきた放送波(すなわち、放送コンテンツ)を受信する。ステップS22において、チューナ52は、ステップS21の処理で受信された放送コンテンツをチューニングし、所定のチャンネルの受信波を選択する。ステップS23において、復調部53は、ステップS22の処理で選択された所定のチャンネルの受信波を復調する。 【0113】 ステップS24において、画像処理部71は、ステップS23の処理で復調されたデータに対して所定の画像処理を施す。出力部72は、画像処理が施されたデータから出力データを生成する。ステップS25において、特徴量演算部55は、ステップS24の処理で生成された出力データから特徴量を算出する。ステップS26において、関連コンテンツ情報取得部56は、ステップS25の処理で算出された特徴量を認証処理部57に供給し、配信装置12との間で認証処理を行うように要求するとともに、認証された場合には、関連コンテンツを取得するための情報の配信を要求する。認証処理部57は、関連コンテンツ情報取得部56からの要求に基づいて、ネットワーク13を介して配信装置12にアクセスし、配信装置12との間で認証処理を行う。 【0114】 ステップS27において、認証処理部57は、配信装置12との間で認証されたか否かを判定し、認証されたと判定した場合、ステップS28に進み、関連コンテンツ情報取得部56から供給された特徴量をネットワーク13を介して配信装置12に送信する。この特徴量を受信した配信装置12は、データベース36から、特徴量に関連付けられている格納アドレス情報および鍵情報を検索し、配信する(その詳細は、図8のフローチャートを参照して後述する)。 【0115】 ステップS29において、関連コンテンツ情報取得部56は、ステップS28の処理で送信された特徴量に基づいて、配信装置12よりネットワーク13を介して配信されてきた格納アドレス情報および鍵情報を取得する。ステップS30において、関連コンテンツ取得部58は、ステップS29の処理で取得された格納アドレス情報に基づいて、認証処理部57、およびネットワーク13を介して配信装置12に対し、関連コンテンツの配信を要求する。この要求を受信した配信装置12は、受信要求に含まれる格納アドレス情報に基づいて、記憶部33から対応する関連コンテンツを検索し、配信する(その詳細は、図8のフローチャートを参照して後述する)。 【0116】 ステップS31において、関連コンテンツ取得部58は、ステップS30の処理による配信要求に応じて、配信装置12よりネットワーク13を介して配信されてきた関連コンテンツを取得する。復号部59は、ステップS29の処理で取得された鍵情報を用いて関連コンテンツを復号する。ステップS32において、合成部73は、ステップS24の処理で生成された出力データ(放送コンテンツ)、および、ステップS31の処理で復号されたデータ(関連コンテンツ)を合成し、ディスプレイやスピーカなどに出力する。 【0117】 ステップS27において、配信装置12との間で認証されなかったと判定された場合、ステップS33に進み、合成部73は、ステップS24の処理で生成された出力データ(放送コンテンツ)をディスプレイやスピーカなどに出力する。すなわち、配信装置12との間で認証されなかった場合(不正な視聴者である場合)、放送コンテンツに連動する関連コンテンツを取得することができないため、誰もが視聴可能な放送コンテンツのみが出力される。 【0118】 以上のコンテンツ受信処理により、テレビジョン受像機14は、受信した放送コンテンツ(CMを含む)を正常に再生した場合に特徴量を算出し、その特徴量に基づいて、関連コンテンツの格納アドレス情報および鍵情報を取得することができ、さらに格納アドレス情報に基づいて、放送コンテンツに連動する関連コンテンツを新たに取得することができる。」 (2)引用文献1に記載された発明 段落【0111】?【0118】には、テレビジョン受信機が実行するコンテンツ受信処理が記載されている。このコンテンツ受信処理を方法の発明として認定する。この発明を以下「引用発明」という。 段落【0112】によると、配信された放送コンテンツを受信し、受信された放送コンテンツをチューニングし、所定のチャンネルの受信波を選択するから、引用発明は、「配信された放送コンテンツを受信し、受信された放送コンテンツをチューニングし、所定のチャンネルの受信波を選択するステップ」を含む。 段落【0112】、【0113】によると、選択された所定のチャンネルの受信波を復調し、復調されたデータに対して所定の画像処理を施し、画像処理が施されたデータから出力データを生成し、生成された出力データから特徴量を算出する。 段落【0114】によると、特徴量を配信装置に送信し、配信装置は特徴量に関連付けられている格納アドレス情報および鍵情報を検索し、配信する。 段落【0115】によると、配信されてきた格納アドレス情報および鍵情報を取得する。 以上より、引用発明は、「選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データから算出された特徴量に基づいて格納アドレス情報を取得するステップ」を含むといえる。 段落【0115】によると、配信装置に対し、関連コンテンツの配信を要求する。ここで、要求には格納アドレス情報が含まれるから、格納アドレス情報を配信装置に送信するといえる。 したがって、引用発明は、「格納アドレス情報を配信装置に送信するステップ」を含むといえる。 段落【0115】、【0116】によると、配信装置は、格納アドレス情報に基づいて、関連コンテンツを検索し、配信する。そして、配信装置より配信されてきた関連コンテンツを取得する。 したがって、引用発明は、「格納アドレス情報を使用して配信装置から関連コンテンツ情報を取得するステップ」を含むといえる。 段落【0116】によると、生成された出力データ(放送コンテンツ)と関連コンテンツを合成して、ディスプレイに出力するから、引用発明は、「生成された出力データ(放送コンテンツ)と関連コンテンツを合成して、ディスプレイに出力するステップ」を含むといえる。 上記のようなステップを含む方法は、「関連コンテンツをディスプレイ上に表示する方法」といえる。 以上まとめると、引用発明は次のとおりである。 (引用発明) 「(a)関連コンテンツをディスプレイ上に表示する方法であって、 (b)配信された放送コンテンツを受信し、受信された放送コンテンツをチューニングし、所定のチャンネルの受信波を選択するステップと、 (c)選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データから算出された特徴量に基づいて格納アドレス情報を取得するステップと、 (d)格納アドレス情報を配信装置に送信するステップと、 (e)格納アドレス情報を使用して配信装置から関連コンテンツ情報を取得するステップと、 (f)生成された出力データ(放送コンテンツ)と関連コンテンツを合成して、ディスプレイに出力するステップと、 (g)含むことを特徴とする方法。」 なお、(a)?(g)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。 2 引用文献2?4について (1)引用文献2の記載事項 「【0023】切り出した放送データ素片は,その後の処理を平滑的に処理するために,一時的にデータキュー112に蓄えられる。データキュー112から取り出した放送データ素片について,ID検出部113にて関連コンテンツを取得するためのIDを生成する。IDは,その放送データ素片と関連放送コンテンツを関係付けるものであればよい。例えばIDは,放送チャンネルと放送時間であってもよく,また電子番組表などを照会して得た番組録画予約用コード(Gコード)とその番組が始まってからの相対時間であってもよい。また,IDは,放送コンテンツ自体に電子透かし技術などによって埋め込まれているコンテンツを識別するID(コンテンツID)であっても構わない。さらに,それらのIDが1つの放送データ素片に対して,複数個付けられても構わない。いずれにしても,IDの生成方法とそのID体系(IDのタイプ)に沿って関連コンテンツを提供する装置が用意されているとする。」 (2)引用文献3の記載事項 「【0024】 [2.言語情報] 図2は、視聴コンテンツの言語情報LI1の例を示す図である。 同図に示すように、視聴コンテンツの言語情報LI1は、コンテンツ時刻情報としての番組の放送開始時刻、シーン特定情報としてのタイムコード、及び、当該タイムコードに対応付けられたテキストの文章データを含んでいる。なお、コンテンツ時刻情報として、番組の放送開始時刻の代わりに、コンテンツの配信時刻、コンテンツまたは当該言語情報LI1の作成時刻の情報を用いてもよい。また、同図では、文章データとして音声認識結果が記述されているが、字幕、原稿、概要説明、メタデータなどであってもよい。また、シーン特定情報は、放送時刻を示す情報や、番組開始、あるいは、コンテツ再生開始からの経過時間などの時間情報とすることができる。」 (3)引用文献4の記載事項 「【0040】 具体的には、ユーザ端末1は、再生しているコンテンツのID、ユーザが指定した要素に対応する要素識別情報(特定の動画のフレーム情報、フレーム中の位置情報、特定の音声再生位置を示す時間情報)を、コンテンツ配信データから抽出し、これを指定情報とする。そして、抽出した指定情報を、パケット化するなどしてコンテンツ情報管理サーバ2への送信データに再構成し、インターネット10を介してコンテンツ情報管理サーバ2に送信する。」 (4)周知技術1 引用文献2の段落【0023】の記載、引用文献3の段落【0024】の記載、引用文献4の記載等をみると、「コンテンツ内の時間的位置を表す情報を配信装置に送付して関連コンテンツを取得する」技術は周知の技術と認められる。 3 引用文献5?6について (1)引用文献5の記載事項 「【0008】 他のアプリケーションドメインは、ウォータマーキングプロセスにより、認識できない方法でマルチメディア信号の実際のコンテンツにリンクされた、情報伝送用のチャネルの提供に関する。特にこれは、送信チャネルの存在および/または長期間の継続性が保障されない場合に、コンテンツの変換符号化や継続的な配信のために有用である。次に、このサイドチャネルは、その容量に応じてあらゆる有用な情報を送信するために使用することができる。例えば、これは、後で付加価値のあるサービスや付随的な情報(文字多重放送サービスや字幕等)の提供に使用し得るウォータマーキングがなされたコンテンツ(コンテンツ識別子やコンテンツエレメントの記述)を記述するメタデータの挿入を含むことができる。ここで再び重要なことは、コンテンツが種々の方法で、主に変換符号化で操作された後に抽出することができ、従って堅調なウォータマーキングシステムを有することである。」 (2)引用文献6の記載事項 「【0034】 ウォータマークをビデオ画像に埋め込む画像プロセッサ100は、強度アダプタ180と、ウォータマーク埋込器120とを備える。ウォータマーク埋込器120は、ウォータマークを、ソース110から生成されたビデオ画像115に埋め込むように構成され、画像ウォータマーク付き画像125を生成する。ビデオ画像に埋め込まれるウォータマークは、UMIDを表すデータ175から形成されている。データ175は、例えば様々なメタデータのアイテムを表する。また、データ175は、例えばUMIDである。一般的に、メタデータアイテムは、ビデオ画像のコンテンツを識別する。なお、コンテンツ、又は画像の他の属性を識別する異なる種類のメタデータを、ウォータマークを形成するために用いることがでることは明らかである。好ましい実施例では、ウォータマーク埋込器120は、強度アダプタ180からの特別な適用強度185に基づいて、UMIDをビデオ画像115に埋め込む。強度アダプタ180は、ビデオ画像115に対するウォータマークの強度を決定する。適用強度は、ウォータマーク付き画像125を見る人に対する知覚可能ないかなる影響も最小限にしながら、ウォータマークを回復できるように決定される。ウォータマークを埋め込んだ後、画像は、伝送、蓄積、あるいは例えば画像を圧縮符号化する等の方法により更なる処理が施される。この後続する処理及び伝送は、図1においては線122として、概略的に示されている。」 (3)周知技術2 引用文献5の段落【0008】の記載、引用文献6の段落【0034】の記載等をみると、「コンテンツに該コンテンツを識別するメタデータを埋め込み、該メタデータを抽出することでコンテンツの識別を可能とする」技術は、周知の技術と認められる。 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 構成要件Aと構成aとを対比する。 引用発明の「関連コンテンツ」は、本願発明1の「補足コンテンツ」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法」として一致する。 イ 構成要件Bと構成bとを対比する。 引用発明は、「配信された放送コンテンツを受信し、受信された放送コンテンツをチューニングし、所定のチャンネルの受信波を選択する」ものであり、「放送コンテンツ」は「番組」といえ、「配信された放送コンテンツ」は「ストリーム」として配信されるから、引用発明は、「番組のコンテンツストリームを受け取るステップ」を含むといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「番組のコンテンツストリームを受け取るステップ」を含む点で一致する。 ウ 構成要件Cと構成cとを対比する。 引用発明の「格納アドレス情報」は、構成eのように、「格納アドレス情報を使用して「配信装置から関連コンテンツ情報を取得する」ために使用されるものであるから、本願発明1の「メディア識別子」に相当する。 また、引用発明の「選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データから算出された特徴量に基づいて格納アドレスを取得する」ことは、「コンテンツを形成するデータに基づいて、コンテンツのメディア識別子を判別する」といえる。 さらに、「選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データから算出された特徴量」における「選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データ」は、「受け取ったコンテンツストリームをサンプリング」したものといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「受け取ったコンテンツストリームをサンプリングして、サンプル部分に含まれるデータであって、コンテンツを形成するデータに基づいて、コンテンツのメディア識別子を判別するステップ」を含む点で共通する。 しかしながら、本願発明1は、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」のに対し、引用発明は、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」ものではない点で相違する。 エ 構成要件Dと構成dとを対比する。 引用発明の「配信装置」は、本願発明1の「コンテンツサーバ」に相当する。 また、上記ウのとおり、引用発明の「格納アドレス」は、本願発明1の「メディア識別子」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記メディア識別子をコンテンツサーバに送信するステップ」を含む点で一致する。 オ 構成要件Eと構成eとを対比する。 引用発明の「格納アドレス情報」、「配信装置」、「関連コンテンツ情報」は、それぞれ、本願発明1の「メディア識別子」、「コンテンツサーバ」、「補足コンテンツ」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから補足コンテンツを取り出すステップ」を含む点で一致する。 カ 構成要件Fと構成fとを対比する。 引用発明の「生成された出力データ(放送コンテンツ)と関連コンテンツを合成して、ディスプレイに出力する」ことは、「前記コンテンツストリームを、前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングする」ことといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記コンテンツストリームを、前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするステップ」を含む点で共通する。 しかしながら「前記補足コンテンツ」が、本願発明1においては、「該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する」前記捕捉コンテンツであるのに対し、引用発明においては、「該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する」前記捕捉コンテンツではない点で相違する。 キ 構成要件Gと構成gとを対比すると、「方法」として一致する。 ク 以上より、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。 (一致点) 補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法であって、 番組のコンテンツストリームを受け取るステップと、 受け取ったコンテンツストリームをサンプリングして、サンプル部分に含まれるデータであって、コンテンツを形成するデータに基づいて、コンテンツのメディア識別子を判別するステップと、 前記メディア識別子をコンテンツサーバに送信するステップと、 前記メディア識別子を使用して前記コンテンツサーバから補足コンテンツを取り出すステップと、 前記コンテンツストリームを、前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするステップと、 を含むことを特徴とする方法。 (相違点1) 「コンテンツのメディア識別子を判別するステップ」が、 本願発明1は、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」のに対し、 引用発明は、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」ものではない点 (相違点2) 「前記コンテンツストリームを、前記補足コンテンツとともに前記ディスプレイ上にレンダリングするステップ」における「前記補足コンテンツ」が、 本願発明1においては、「該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する」前記捕捉コンテンツであるのに対し、 引用発明においては、「該コンテンツストリームの受け取り中にインターネット通信を提供する双方向機能へのアクセスを提供する」前記捕捉コンテンツではない点 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討する。 本願発明1は、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」ものであって、「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定」することと、「サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定」することにより、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するもの、すなわち、メタデータに基づいてコンテンツを特定すること、及び、コンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することの2段階の特定をすることで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別するものである。 一方、引用発明は、「選択された所定チャンネルの受信波から生成された出力データから算出された特徴量に基づいて格納アドレス情報を取得する」ものであって、メタデータに基づいてコンテンツを特定すること、及び、コンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することの2段階の特定をすることで、「メディア識別子」に相当する「格納アドレス情報」を判別するものではない。 他の引用文献をみても、メタデータに基づいてコンテンツを特定すること、及び、コンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することの2段階の特定により、特定したコンテンツのメディア識別子を判別することを開示するものはない。 したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項から、相違点1に係る本願発明1の「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」という構成を容易に想到することはできない。 よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2?8について 本願発明2?8も、本願発明1の「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」という同一の構成を有しているから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明9?14について 本願発明9は、本願発明1をコンテンツサーバがディスプレイに捕捉コンテンツを提供する方法としたものであり、「前記メディア識別子が、前記コンテンツストリームをサンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで判別される」という本願発明1の相違点1に係る構成と同様の構成を有するものである。 したがって、本願発明9は、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 本願発明10?14も、本願発明9の「前記メディア識別子が、前記コンテンツストリームをサンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで判別される」という同一の構成を有しているから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明15?20について 本願発明15?20は、本願発明1?6に対応する「システム」の発明であり、本願発明1の「サンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで、特定したコンテンツのメディア識別子を判別する」に対応する構成を有しているから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明21?26について 本願発明21?26は、本願発明9?14に対応する「システム」の発明であり、本願発明9の「前記メディア識別子が、前記コンテンツストリームをサンプリングしたサンプル部分に含まれるメタデータに基づいてコンテンツを特定した後、サンプル部分に含まれるデータであって、特定したコンテンツを形成するデータに基づいて、特定したコンテンツにおけるサンプル部分の位置を特定することで判別される」に対応する構成を有しているから、本願発明9と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 上記第3?第5のとおり、本願発明1?26は、原査定において引用された引用文献1?6に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-05-24 |
出願番号 | 特願2013-546389(P2013-546389) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 後藤 嘉宏、赤穂 州一郎、曽我 亮司 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 篠原 功一 |
発明の名称 | 補足コンテンツをディスプレイ上に表示する方法及びコンテンツストリームを補足コンテンツとともにディスプレイ上に表示するためのシステム |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |