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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12M
管理番号 1328614
審判番号 不服2016-9786  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-30 
確定日 2017-05-25 
事件の表示 特願2011-152134「容器の蓋部材、当該蓋部材を備えた容器および容器セット」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月16日出願公開、特開2012- 29691〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯、本願発明
本願は、平成23年7月8日(国内優先権主張 平成22年7月8日)の出願であって、 平成28年3月28日に拒絶査定がなされ、同年6月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付の手続補正書が提出されたものである。
本願の請求項1?17に係る発明は、平成28年6月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載の事項により特定される発明であり、そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載される以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
蓋部材であって、
培養容器または遠沈管である容器に嵌合し、開口部を有する本体部と、
連結部により前記本体部に連結され、かつ、前記連結部を回転軸として力が加えられることで前記開口部の閉塞または開放が行われる蓋部と、を含み、
前記蓋部は、
前記連結部により前記本体部に連結された円板蓋と、
前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の方向へ延出して設けられた、前記蓋部を前記本体部に係止する係止部と、
前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向へ突出して設けられ、かつ、前記開放のための力が加えられる、突出量3ミリメートル以上の突出部と、を含むことを特徴とする容器の蓋部材。」

第2 原査定の概要
原査定は、請求項1に係る発明は、引用例2または引用例2および4に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

第3 当審の判断
1.引用例2
拒絶査定において引用された、米国特許出願公開第2006/0024205号明細書(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、英語から日本語への翻訳、下線は当審による。

(1-1)
「本発明の背景
[0002]1.発明の分野
[0003]本発明は、管のような、研究用容器に用いられるフリップトップキャップに関する。
[0004]2.関連技術の説明
[0005]多くの研究プロセスで、管やフラスコのような容器内で保存および/または培養された組織や細胞が必要とされる。・・・・
[0006]多くの研究プロセスで、管の中の組織や細胞は無菌であることが求められる。したがって、一般的には、管はその上部開口を密封するためのキャップを備えている。しかし、菅の中の組織や細胞にアクセスするためには、そのたびごとにキャップを取り外さなければならない。」

(1-2)「


(図1、図2、図3)

(1-3)
「詳細な説明
[0026] 本発明のキャップは、図1-10の数字10によって特定される。キャップ10は樹脂により一体成形されており、本体12と、これにヒンジ16によって一体に連結された蓋14を含む。ヒンジ16によって、蓋14は、図1-4に示す完全に開いた位置と図5および6に示す完全に閉じた位置の間のおよそ180°の間を回転できる。・・・・」

(1-4)
「[0027] 本体12は、円形の外周20と、外周20と同心円の開口22からなる、通常は平坦な上部壁18を含む。短い円筒状の内壁24は、上部壁18にある円形の開口22と同心円状に、上部壁18から下方に伸びる。こうして、円形の開口22と内壁24は本体12の内面に接する短い同心円状の密封表面26を規定する。
[0028]本体12は、上部壁18の外周20から下に伸びる、内壁24と同心円状の外壁28をさらに含む。図1および3に示すように、外壁28は内側に整列したねじ山30を有する。
[0029]蓋14は実質上平坦な上部壁32を含み、これはヒンジ16により本体12に一体化されている上部壁18に接合される。このように、蓋14の上部壁32は、ヒンジ16に規定され、本体12の上部壁18と関係する回転軸xにより回転することができる。蓋14の上部壁32は、内側と外側の表面34と36と向かい合う。図1-3に示すように、蓋14が開いた状態では内側表面36は上向きである。しかしながら、蓋14が図5および6の閉じた状態では、上部壁32の内側表面36は下向きとなり、本体12の上部壁18に向き合う。
[0030]実質上円筒状のスカート38は、上部壁32の内側表面36から垂直に伸びており、図5および6に示される閉じた位置に蓋14を回転させると本体12の密閉表面26ともに、密閉係合を形成する。・・・・」

(1-5)
「[0032]蓋14は、蓋14の上部壁32に規定される実質上平坦な面にあり、覆い44から大きく外側に伸びたタブ50および52をさらに含む。タブ50および52は、ヒンジ16から間隔を置いた周方向に配置される。・・・・」

(1-6)
「[0033]・・・・望ましくは、タブ50および52の最大の伸長は、0.2-0.4インチの範囲である。一つ以上のタブが蓋14の他の場所に配置でき、タブは他の構成とすることができる。例えば、タブ50と52は全く反対にすることができ、また、センターライン“c”の方向へ伸ばしてもよい。さらにまた、蓋14はタブ以外の構造的、表面的な構成によって開けられる。例えば、蓋14の外部に粗面、リブ、溝、ぎざぎざ等を設けることができる。」

(1-7)
「[0039]蓋14はタブ50と52の一つだけを備えることができる。」

2.引用例4
拒絶査定において引用された、実願昭58-91103号(実開昭59-196444号)のマイクロフィルム(以下、「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審による。
(2-1)




(2-2)
「10は前記キャップ本体lに装着される蓋体で、実施例の場合、ヒンジ部11によってキャップ本体lに開閉自在に取り付けてある。図において、蓋体10の開口内周壁12は前記キャップ本体1の係止環体9に嵌着するように構成しであると共に、開口内周壁12に三個所にわたって突設した係合突起部13が前記係止環体9の係止突起部9aに弾性的に咬合するように構成してある。14はヒンジ部11の反対側に突設した開放用の取手である。」(第3頁第14行?第4頁第3行)

3.引用発明
上記(1-1)?(1-5)より、引用例2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「組織や細胞の培養容器の上部開口に取り付けるキャップであって、
開口22を有する本体12と、ヒンジ16によって本体12に一体に連結された蓋14を含み、
ヒンジ16に規定される回転軸xにより、蓋14は回転することができ、
蓋14の回転によって開口22の閉塞・開放が行われ、
蓋14は、ヒンジ16から間隔を置いた周方向に配置されたタブ50およびタブ52を有し、タブ50およびタブ52には、前記開放のための力が加えられる、培養容器のキャップ。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「組織や細胞の培養容器の上部開口に取り付けるキャップ」は、本願発明の「培養容器または遠沈管である容器に嵌合」する「容器の蓋部材」に相当する。
引用発明の「開口22」「本体12」「ヒンジ16」「蓋14」はそれぞれ本願発明の「開口部」「本体部」「連結部」「円盤蓋」に相当するから、引用発明の「開口22を有する本体12と、ヒンジ16によって本体12に一体に連結された蓋14を含み、ヒンジ16に規定される回転軸xにより、蓋14は回転することができ、蓋14の回転によって開口22の閉塞・開放が行われ」は、本願発明の「開口部を有する本体部と、連結部により前記本体部に連結され、かつ、前記連結部を回転軸として力が加えられることで前記開口部の閉塞または開放が行われる蓋部と、を含み」、「前記蓋部は、前記連結部により前記本体部に連結された円板蓋と、・・・を含む」に相当すると認められる。
また、引用発明の「ヒンジ16から間隔を置いた周方向に配置されたタブ50およびタブ52を有し、タブ50およびタブ52には、前記開放のための力が加えられる」は、本願発明の「前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向へ突出して設けられ、かつ、前記開放のための力が加えられる突出部と、を含む」と、「前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向へ突出して設けられ、かつ、前記開放のための力が加えられる、突出部と、を含む」点で共通すると認められる。

以上から、両者は、
「蓋部材であって、
培養容器または遠沈管である容器に嵌合し、開口部を有する本体部と、
連結部により前記本体部に連結され、かつ、前記連結部を回転軸として力が加えられることで前記開口部の閉塞または開放が行われる蓋部と、を含み、
前記蓋部は、
前記連結部により前記本体部に連結された円板蓋と、
前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向へ突出して設けられ、かつ、前記開放のための力が加えられる突出部と、を含むことを特徴とする容器の蓋部材。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、「前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向へ突出して設けられ、かつ、前記開放のための力が加えられる、突出量3ミリメートル以上の突出部」と特定されており、突出部について「前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向」へ突出しており、かつ、「突出量3ミリメートル以上」と特定されているのに対して、引用発明のタブ50およびタブ52は、開放のための力が加えられる突出部ではあるが、突出方向がそのような方向ではなく、突出量も特定されていない点。
(相違点2)
本願発明では「前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の方向へ延出して設けられた、前記蓋部を前記本体部に係止する係止部」を有することが特定されているのに対し、引用発明では特定されていない点。

5.判断
(相違点1)について
上記(1-6)には、タブ50および52をセンターライン“c”の方向へ伸ばしてもよいこと(A)が記載されており、この「センターライン“c”の方向」は、本願発明にいう「前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向」に相当する方向であると認められる。
そうすると、上記(A)の教示から、引用発明において、タブ50および52を含む全体をセンターライン“c”の方向に伸ばした態様とすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、タブ50および52の全体をセンターライン“c”の方向に伸ばした場合、突出部が「前記開口部の中心を通りかつ前記連結部の前記回転軸に垂直な断面において、前記閉塞の状態の前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の内側から外側への方向」へ伸びた状態となるのは明らかであり、突出部の突出量について、3ミリメートル以上などと特定することも、当業者が適宜なし得ることである。
また、上記(1-6),(1-7)には、タブ50および52を一つだけにすることや、タブ50および52を蓋14の他の場所に配置すること、タブは他の構成とすることができること(B)も記載されている。
引用発明のタブ50および52は、蓋14を開放するために力が加えられる部材であるから、蓋14の回転の支点である回転軸xから離れた場所に設ける必要があることは、当業者であれば明らかである。実際、引用発明と同じく開口を有する本体に開閉可能に連結された蓋を含むキャップに関する引用例4には、センターライン“c”の方向に該当する場所に「突設した開放用の取手14」を有するキャップが記載されており(上記(2-2))、引用発明において、タブを配置する他の場所として、センターライン“c”の方向は、当業者が容易に選択する場所であるといえる。
そうすると、上記(B)の教示から、引用発明において、タブ50および52に代えて、センターライン“c”の方向にタブを一つだけ設けた態様とすることも、当業者が容易になし得ることである。
そして、上記(1-6)には、タブ50および52の最大の伸長は、0.2-0.4インチの範囲であることが記載されていることから、この態様の場合にも、タブの伸長は0.2-0.4インチの範囲とされると考えられるから、上記態様のタブの最大の突出量はおよそ5-10ミリメートルと換算され、これは「突出量3ミリメートル以上」と重複する。
つまり、本願発明にいう突出方向や突出量の特定は、当業者が容易になし得るものである。
以上のとおり、相違点1は当業者が容易になし得ることである。

(相違点2)について
本願発明の「前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の方向へ延出して設けられた、前記蓋部を前記本体部に係止する係止部」にいう「容器の方向へ延出」とは、本願の図面に示される係止部460と係止リブ330の構造をみても、蓋部が閉じた状態での蓋から下方向への延出であるか、円板蓋の中心方向への延出であるかが明らかでない。
そこでまず、下方向への延出である場合について検討する。
上記(1-4)に「[0030]実質上円筒状のスカート38は、上部壁32の内側表面36から垂直に伸びており、図5および6に示される閉じた位置に蓋14を回転させると本体12の密閉表面26ともに、密閉係合を形成する。」と記載されており、円筒状のスカート38は蓋14が閉じた状態では下方向へ延出し、本体12の密閉表面26に係合して蓋14を密閉するものであるから、円筒状のスカート38は本願発明の係止部に相当すると認められる。
したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。
次に、中心方向への延出である場合について検討する。
引用発明のような、開口を有する本体に開閉可能に連結された蓋を含むキャップにおいて、蓋が簡単に開いてしまわないようにするための係止構造を設けることは、周知技術であると認められる。
そして、引用例4には、本体側の係止環体9の係止突起部9aと、蓋側の係合突起部13とが咬合する係止構造を備えた、開口を有する本体に開閉可能に連結された蓋を含むキャップが記載されており(上記(2-2))、上記「係合突起部13」は、蓋が閉じた状態で容器のある方向、円板蓋の中心方向へ延出するように設けられていると認められる。
そうすると、引用発明において、引用例4に記載された係止構造を設けることは当業者が容易になし得ることであり、引用例4に記載された係止構造は、本願発明にいう「前記円板蓋から、前記閉塞の状態の前記容器の方向へ延出して設けられた、前記蓋部を前記本体部に係止する係止部」を有する構造であると認められる。
したがって、相違点2は当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明において、引用例2または引用例2、4から予測できない効果が奏されたとは認められない。

6.審判請求人の主張について
審判請求人は審判請求書において、以下の主張をしている。
「引用文献等1および引用文献等2には、tab 50, 52は、[0032]に記載のようにそれぞれ離間した位置から延出しており、[0036]に記載のようにhinge 16に直交するCenterline Cに対してoffset positionに位置しており、[0040]に記載のようにCenterline Cに対してもっとoffset positionに位置してよいし、もっと離間していてもよいことが記載されています。
・・・・
したがって、引用文献等1および引用文献等2に記載されたtab 50, 52がCenterline Cから外れた位置に設けられることでCenterline C上ではtab 50, 52として突出する部材を排除していることに対し、本発明の突出部は、開口部の中心を通りかつ連結部の回転軸に垂直な断面(つまり引用文献等1および引用文献等2におけるCenterline Cに相当する線)上で突出させている点で異なります。
・・・・
しかも、引用文献等1および引用文献等2が[0010]に記載のように開封時のコンタミネーション防止を目的としているところ、tab 50, 52の構造を上述のように互いに離間させcenterline Cに対するoffset positionに設けるという技術的手段により、[0036]に記載のように、親指で空けるときに、親指が当該offset positionにあてがわれることになり、opening 22の真上を横切らないようにし、これによってコンタミネーションを防止しています。
このように、引用文献等1および引用文献等2には、コンタミネーション防止という目的を達成する関係上、開封時にopening 22の真上を横切る可能性があるcenterline C上にtab 50. 52を設けることは忌避されるべきことであり、tab 50, 52をcenterline Cを外して設けることが必須であることが記載されています。
つまり、引用文献等1および引用文献等2には、開口部の中心を通りかつ連結部の回転軸に垂直な断面(つまり引用文献等1および引用文献等2におけるCenterline Cに相当する線)上で突出するように設けられる突出部を必須とする本発明への想到を阻害する事項が記載されています。」

しかし、上記5で検討したとおり、引用例2には、タブ50および52をセンターライン“c”の方向へ伸ばすことや、タブを他の場所に配置することが明記されている。
したがって、引用例2の一部に審判請求人の指摘する記載があったとしても、相違点1が容易想到であることに変わりはない。
なお、突出部(タブ)をcenterline C上に有する本願発明において、審判請求人が指摘するコンタミネーションの問題が回避されているとは認められない。

7.上申書の補正案について
審判請求人は、平成28年11月25日付け上申書において補正案を示しているので、以下検討する。
上申書の補正案では、請求項1において、さらに、
「前記本体部が、前記閉塞の状態において前記開口部周囲から前記蓋部側へ延びる立ち壁からなる液だれ防止部を有し、
前記蓋部が、前記閉塞の状態において前記立ち壁を挟持して前記立ち壁に接触するように設けられた凹部を有すること」が特定されている。
これに対し、引用例2には、
「[0029]・・・・図1-3に示すように、蓋14が開いた状態では内側表面36は上向きである。しかしながら、蓋14が図5および6の閉じた状態では、上部壁32の内側表面36は下向きとなり、本体12の上部壁18に向き合う。
[0030]実質上円筒状のスカート38は、上部壁32の内側表面36から垂直に伸びており、図5および6に示される閉じた位置に蓋14を回転させると本体12の密閉表面26ともに、密閉係合を形成する。」と記載されている。
そして、上記「上部壁18」、「密閉表面26」および外周20から構成される部分は、補正案の「前記閉塞の状態において前記開口部周囲から前記蓋部側へ延びる立ち壁からなる液だれ防止部」と「前記閉塞の状態において前記開口部周囲の立ち壁からなる液だれ防止部」である点で共通し、上記「内側表面36」、「スカート38」および覆い44の内側面から構成される凹部は、補正案の「前記閉塞の状態において前記立ち壁を挟持して前記立ち壁に接触するように設けられた凹部」に相当すると認められる。
引用例2の「上部壁18」、「密閉表面26」および外周20から構成される部分は、開口部周囲から蓋部側へ延びる構造のものではないが、引用例2と同じく、開口を有する本体に開閉可能に連結された蓋を含むキャップに関する引用例4の第2図にも記載されるように、液だれ防止部に相当する部材(注出筒体4および弾性開口部5)が開口部周囲から蓋部側へ延びる構造のものも知られているから、引用例2に記載されたキャップにおいて、液だれ防止部に該当する部分の構造を開口部周囲から蓋部側へ延びる構造をとすることは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、上記補正案に記載された発明も、引用例2および4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

8.小活
よって、本願発明は引用例2または引用例2および4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、この出願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-21 
結審通知日 2017-03-28 
審決日 2017-04-10 
出願番号 特願2011-152134(P2011-152134)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C12M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉門 沙央里布川 莉奈飯室 里美  
特許庁審判長 大宅 郁治
特許庁審判官 中島 庸子
三原 健治
発明の名称 容器の蓋部材、当該蓋部材を備えた容器および容器セット  
代理人 特許業務法人 クレイア特許事務所  
代理人 特許業務法人 クレイア特許事務所  

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