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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1328762
審判番号 不服2015-15514  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-20 
確定日 2017-06-20 
事件の表示 特願2012-505274「高磁場耐性インターベンション針及び一体化された針追跡システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月28日国際公開、WO2010/122443、平成24年10月11日国内公表、特表2012-523882、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成22年4月13日(パリ条約による優先権主張2009年4月20日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって,平成26年5月16日付けで拒絶理由が通知され,同年11月16日に手続補正がなされ,平成27年4月15日付けで拒絶査定がなされ,同年8月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正がなされたものである。
その後当審において平成28年6月15日付けで拒絶理由(以下,「一回目当審拒絶理由」という。)が通知され,同年12月14日に手続補正がなされ,当審において平成29年2月1日付けで拒絶理由(以下,「二回目当審拒絶理由」という。)が通知され,同年4月24日に手続補正がなさたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成27年4月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1?11に係る発明は,以下の引用文献A?Cに基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特表2007-504879号公報
B.特表2003-528684号公報(周知技術を示す文献)
C.特開2008-226969号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)

第3 当審拒絶理由の概要
1 一回目当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

拒絶の理由1(特許法第36条第6項第2号違反)について
本件出願は,請求項1,3,9,10及び11の記載に不備があるので,請求項1,3,9,10及び11,並びにそれらの請求項を直接又は間接的に引用する請求項の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

拒絶の理由2(特許法第29条第2項違反)について
本件出願の請求項1?9に係る発明は,以下の引用文献2に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
2.R R A Syms et.al. , Microengineered needle micro-coils for magnetic resonance spectroscopy, JOURNAL OF MICROMECHANICS AND MICROENGINEERING,Vol.16,No.12,2006,pages 2755-2764


2 二回目当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本件出願の請求項1?9に係る発明は,以下の引用文献1?3に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1:国際公開2005/024447号
2:一回目当審拒絶理由の引用文献2
3:特表2003-528684号公報

第4 本願発明
本願請求項1?2に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明2」という。)は,平成29年4月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1?2は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
高磁場におけるインターベンション用の装置を製造する方法において,
キャパシタを形成するステップと,
受動LC回路が設けられるように前記キャパシタに接続されるインダクタを形成するステップであって,前記LC回路はSiウエハの上に実現され,前記LC回路が,MRIユニットの磁場により駆動され,前記MRIユニットより感知されることができる応答磁場を生じるインダクタ・キャパシタ共振器である,ステップと,
前記LC回路を一体的に含む針先端部を分離するようにSiウエハをダイスカットして,前記LC回路を一体的に含む針先端部分を形成するステップと
細長いシャフトに前記分離された針先端部分を前記LC回路と一緒に固定するステップと,
を有する,
方法。
【請求項2】
前記装置に感知素子を設けるステップを有する,請求項1に記載の方法。」

第5 特許法第29条第2項違反について 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。
(1-ア)
「1 . An interventional instrument for use in an interventional procedure performed on an associated subject ( 12 ) and monitored by magnetic resonance imaging, the interventional instrument including:
an element ( 10 ) adapted for insertion into the associated subject ( 12 ) for performing the interventional procedure;
an optical fiber ( 36 ) arranged to deliver light to a selected location ( 14 ) on the element ( 10 ); and
a resonant circuit ( 22 ) disposed at the selected position ( 14 ) on the element ( 10 ), the resonant circuit ( 22 ) including a coil ( 32 , 32 ′) having a coil inductance and a light-sensitive metal-insulator-semiconductor capacitor ( 30 ) optically coupled with the optical fiber ( 36 ) and having a selectable capacitance determined by an intensity of light delivered thereto by the optical fiber ( 36 ), a selected resonance frequency of the resonant circuit ( 22 ) being determined by the coil inductance and the selected capacitance, the selected resonance frequency being selectable by adjusting the light intensity to correspond to a tuned resonance frequency detected by the magnetic resonance imaging. 」(CLAIM 1)
(当審訳:【請求項1】 磁気共鳴イメージングによるモニタ下で被検者(12)に施されるインターベンショナル処置に使用するためのインターベンショナル器具であって,該インターベンショナル器具が:
前記インターベンショナル処置を行なうために前記被検者(12)内に挿入可能としたエレメント(10)と;
該エレメント(10)における選択された部位(14)まで光を伝達するための光ファイバ(36)と;
前記エレメント(10)における前記選択された部位(14)に配置された共振回路(22)とを具え,該共振回路(22)が,コイルインダクタンスを有するコイル(32,32’)と,前記光ファイバ(36)に光学的に結合された金属‐絶縁体‐半導体型の感光性コンデンサ(30)とを含み,該コンデンサ(30)が,これに対して前記光ファイバ(36)により伝達される光の強度により決定される,選択可能なキャパシタンスを有し,さらに,前記共振回路(22)の選択された共振周波数が,前記コイルインダクタンスと,前記選択されたキャパシタンスとにより決定され,かつ,該選択された共振周波数が,前記磁気共鳴イメージングで検出された,同調された共振周波数に対応するよう,前記光の強度調整により選択可能であるインターベンショナル器具。」

(1-イ)
「The following relates to the interventional medical arts. It finds particular application in catheter tracking for interventional procedures in conjunction with magnetic resonance imaging, and will be described with particular reference thereto. However, it also finds application in monitoring other types of interventional procedures in a magnetic resonance environment. 」
(当審訳: 本発明はインターベンショナル医療技術に関するものである。本発明は,特に,磁気共鳴イメージングと併せて行なわれるインターベンショナル処置のためのカテーテルトラッキングに適用可能であり,以下ではその適用例について記述する。しかしながら,本発明は,磁気共鳴環境下における他種のインターベンショナル処置をモニタするために適用することも可能である。)(公報第1頁第1?5行)

(1-ウ)
「During interventional procedures monitored by magnetic resonance imaging, a catheter or other interventional instrument is inserted into a subject and manipulated to perform one or more selected interventional tasks. Examples of such interventional procedures include biopsy, fluid injection, physiological monitoring, balloon angioplasty, radio frequency catheter ablation, insertion of a temporary cardiac pacemaker, or the like. During the interventional procedure, the subject is imaged by a magnetic resonance imaging scanner at least within the interventional region. Advantageously, these procedures are minimally invasive, typically involving insertion of a catheter into a vein, an artery, a bladder duct, or another fluid conduit within the subject However, the catheter or other instrument is typically not directly imaged by the magnetic resonance imaging scanner. To provide guidance for manipulating the catheter inside of the subject, a tracking mechanism is needed. The tip tracking mechanism preferably operates in conjunction with the magnetic resonance imaging so that a position of the catheter tip is indicated in or superimposed on the reconstructed magnetic resonance images or so that the co-ordinates of the catheter tip are measured in order to set position of the slice being imaged automatically to contain the catheter tip. 」(公報第1頁第6?19行)
(当審訳: 磁気共鳴イメージングによりモニタされるインターベンショナル処置の間,カテーテル等のインターベンショナル器具は被検者の体内に挿入され,一種又はそれ以上のインターベンショナル処置を施すよう操作される。この種のインターベンショナル処置としては,生検,液体注入,生理学的モニタリング,バルーンによる血管形成,カテーテルを使用してのラジオ周波数による切除,一時的な心臓ペースメーカの挿入等が例示される。このようなインターベンショナル処置の間,被検者は,少なくともインターベンショナル処置領域内で,磁気共鳴イメージングスキャナにより撮像される。有利なことに,これらの処置は,被検者に対する侵襲が最小であり,多くの場合には被検者体内における静脈,動脈,胆嚢管,その他の流体通路に対するカテーテルの挿入を含むものである。しかしながら,カテーテル等の器具は,一般的には磁気共鳴イメージングスキャナにより直接的に撮像できるものではない。被検者体内におけるカテーテルの操作をガイドするため,カテーテル先端部のトラッキング機構が必要とされる。先端部トラッキング機構は,好適には,磁気共鳴イメージングと関連して作動させることにより,カテーテル先端部の位置を再構成イメージ内に若しくは当該イメージに重ねて示し,又はカテーテル先端部の座標を測定して,イメージングの行なわれているスライスの位置を,カテーテル先端部が自動的に含まれるようにセットする。」

(1-エ)
「With continuing reference to FIG. 1 and with further reference to FIG. 2 , The tip tracking device 20 includes a resonant circuit 22 (represented by an equivalent circuit diagram in FIG. 2 ) designed to have a selectable resonance frequency that is optically selected to correspond to a tuned resonance frequency of magnetic resonance excitation produced by the magnetic resonance imaging scanner 16 . The resonant circuit 22 in the tuned state responds to the radio frequency excitation and produces a magnetic resonance response signal that is detected by the magnetic resonance imaging scanner 16 and imaged in the reconstructed image of the slice 24 containing the tip tracking device 20 . The resonant circuit 22 includes a light sensitive metal-insulator-semiconductor capacitor 30 and an inductive coil 32 electrically connected together to define a resonant LC circuit. The coil 32 has an inductance Lcoil which is typically of order a few nanohenries. (公報第7頁第1?11行)
(当審訳: 図1及び図2を参照して,先端部トラッキング装置20は共振回路22(図2の等価回路図により表わす。)を含み,この共振回路22は,磁気共鳴イメージングスキャナ16により発生させた磁気共鳴励起の同調された共振周波数に対応させるべく光学的に選択された共振周波数を有するように設計されている。共振回路22は,同調状態ではラジオ周波数励起に応答し,磁気共鳴応答信号を発生させるものであり,この磁気共鳴応答信号は,磁気共鳴イメージングスキャナ16により検出され,先端部トラッキング装置20を含むスライス24の再構成イメージ中にイメージ化されるものである。共振回路22は,金属‐絶縁体‐半導体型の感光性コンデンサ30と,誘導コイル32とを含み,これらは電気的に接続されて共振LC回路を構成している。コイル32のインダクタンスLcoilは,典型的には数ナノヘンリーのオーダである。)

上記下線を付した事項を整理すると,上記引用文献1には,次の発明が記載されていると認められる。
「磁気共鳴イメージングによるモニタ下で被検者(12)に施される,生検を例示として含むインターベンショナル器具であって,該インターベンショナル器具が:
前記インターベンショナル処置を行なうために前記被検者(12)内に挿入可能としたエレメント(10)と;
該エレメント(10)における選択された部位(14)まで光を伝達するための光ファイバ(36)と;
前記エレメント(10)における前記選択された部位(14)に配置された先端部トラッキング装置(20)となる共振回路(22)とを具え,該共振回路(22)が,コイルインダクタンスを有するコイル(32,32’)と,前記光ファイバ(36)に光学的に結合された金属‐絶縁体‐半導体型の感光性コンデンサ(30)とを含み,該コンデンサ(30)が,これに対して前記光ファイバ(36)により伝達される光の強度により決定される,選択可能なキャパシタンスを有し,さらに,前記共振回路(22)の選択された共振周波数が,前記コイルインダクタンスと,前記選択されたキャパシタンスとにより決定され,かつ,該選択された共振周波数が,前記磁気共鳴イメージングで検出された,同調された共振周波数に対応するよう,前記光の強度調整により選択可能であるインターベンショナル器具,の何らかの製造方法。」(以下,「引用発明」という。)

2.引用文献2について
引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

(2-ア)
「A process for batch fabrication of low-cost needle-shaped micro-coils for magnetic resonance (MR) spectroscopy is demonstrated. The conductors are embedded inside a cross-section designed to avoid the signal cancellation effects that can occur with completely immersed detectors. Simple models are developed for the sensitivity of an immersed coil and for the electrical performance of coils on silicon substrates.

Conductors are fabricated on oxidized Si by electroplating metals inside a deep photoresist mould, and then capped with a thick layer of plastic.」(2755頁Abstractの1?8行)
)(当審訳:磁気共鳴(MR)分光法のための低コストの針状マイクロコイルのバッチ製造のためのプロセスが示されている。導体は,完全浸漬型検出器で起こり得る信号相殺効果を回避するために設計された断面内に埋設される。単純なモデルは,浸漬されたコイルの感度について,シリコン基板上にコイルの電気的性能のために開発されている。
導体は,フォトレジスト・モールドの内部深くの電気めっきによる金属により酸化Si上に製造され,その後プラスチックの厚い層でキャップされる。)

(2-イ)
「1. Introduction
In this paper, we describe a needle-shaped coil designed for direct insertion into tissue. Such a coil could be used in the resection of (for example) brain tumours under MR guidance. Here the surgeon is seeking to confirm whether he (or she) has removed all the malignant tissue that is present, and is using the differing distributions of metabolites between normal and malignant tissues as markers [3, 4]. In recent biopsy practice, 12 or more insertions have been required per operation, each requiring a different coil. Because typical costs for conventional coils are in excess of $100, there is a strong case for the development of low-cost, batch-fabrication methods based on planar processing. 」(2755頁右欄下から18行?下から7行」(当審訳:1.イントロダクション
この論文において,我々は,組織への直接挿入のために設計された針状のコイルを記載している。このようなコイルは,MR誘導下の(例えば)脳腫瘍の切除の際に使用され得る。ここで,外科医は,彼(または彼女)が存在するすべての悪性組織を除去したかどうかを確認しようとしており,正常組織と悪性組織の異なる代謝産物の分布をマーカーとして使用する[3],[4]。最近の生検の慣行では,手術当たり12個以上の挿入が要求され,一つ一つが異なるコイルを必要とする。
従来のコイルの一般的なコストは100ドルを超えているため,プレーナ処理に基づく低コストのバッチ製造方法の開発が強く求められている。」

(2-ウ)
「4. Fabrication and testing
In this section, we describe the layout, fabrication and testing of prototypes based on plastic-capped coils on Si. Although the plastic obviously contains protons, we assume that these will not generate a signal without the specialized techniques of solid-state MR [26].
4.1. Layout
Needles were formed with the cross-section in figure 3(a). The conductor width and height were wm = 100 μm and tm = 18 μm, respectively. The conductor separation was 2a = 1 mm, while the needle width was 2w = 1.3 mm, so that the cross-section was close to the square discussed earlier. The substrate and plastic thicknesses were t_(S) = 550 μm and t_(C) = 500 μm, so that h ≒ t_(S) ≒ t_(C). Layouts were as shown in figure 4(a). 」(2759頁左欄5?16行)(当審注:二重波線を「≒」と表記した。)(当審訳:4.製造及び試験
このセクションにおいて,我々は,Si上のプラスチックキャップされたコイルに基づくプロトタイプのレイアウト,製造及び試験を記載している。プラスチックは,明らかにプロトンを含んでいるが,本発明者らは,これらが固体状態のMR[26]の特殊技術を必要とせずに信号を発生しないと仮定する。
4.1.レイアウト
図3(a)に示す断面を持つ針が形成された。
導体の幅及び高さは,wm=100μm,tm=18μmであった。
導体の間隔は,2a=1mmであり,針の幅は2w=1.3mmであったので,断面は前述の正方形に近かった。
基板とプラスチック厚さは,t_(S)=550μm,t_(C)=500μmであり,h≒t_(S)≒t_(C)となる。レイアウトは,図4(a)に示すとおりであった。)

(2-エ)
「4.2. Fabrication
Prototypes were formed using the two-mask fabrication process shown in figure 4(b). 」(2759頁右欄1?3行)(当審訳:4.2.製造
プロトタイプは,図4(b)に示す2マスク製造プロセスを用いて形成した。)

(2-オ)
図4


(2-カ)
図4(a)より,コイルを備えたシリコン針が見てとれる。

3.引用文献3について
引用文献3には,「組織生検および処置の装置および方法」に関する技術事項が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,両者は次の一致点で一致し,相違点で相違する。

(一致点)
「高磁場におけるインターベンション用の装置の何らかの製造方法。」

(相違点)
本願発明1は,「キャパシタを形成するステップと,
受動LC回路が設けられるように前記キャパシタに接続されるインダクタを形成するステップであって,前記LC回路はSiウエハの上に実現され,前記LC回路が,MRIユニットの磁場により駆動され,前記MRIユニットより感知されることができる応答磁場を生じるインダクタ・キャパシタ共振器である,ステップと,
前記LC回路を一体的に含む針先端部を分離するようにSiウエハをダイスカットして,前記LC回路を一体的に含む針先端部分を形成するステップと
細長いシャフトに前記分離された針先端部分を前記LC回路と一緒に固定するステップと,
を有する」のに対して,引用発明はそのような特定がされていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると,「LC回路を一体的に含む針先端部を分離するようにSiウエハをダイスカットして,前記LC回路を一体的に含む針先端部分を形成するステップ」は,上記引用文献1?3には記載されておらず,本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって,他のステップについて判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2は,本願発明1を限定した発明であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定についての判断
「LC回路を一体的に含む針先端部を分離するようにSiウエハをダイスカットして,前記LC回路を一体的に含む針先端部分を形成するステップ」は原査定における引用文献A?Cには記載されておらず,本願優先日前における周知技術でもないので,本願発明1?2は,当業者であっても,原査定における引用文献A?Cに基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第8 一回目当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号違反)についての判断
平成29年4月24日付けの補正により,請求項1?9は削除されたが,その前の平成29年2月1日付けの補正により,請求項1及び10が補正され,請求項1?11は明確になった。

第9 むすび
以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-07 
出願番号 特願2012-505274(P2012-505274)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮澤 浩姫島 あや乃  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
信田 昌男
発明の名称 高磁場耐性インターベンション針及び一体化された針追跡システム  
代理人 笛田 秀仙  

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