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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1328901
審判番号 不服2016-16723  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-08 
確定日 2017-06-28 
事件の表示 特願2013-31130「電動車両用電力コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月4日出願公開、特開2014-160611、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月20日の出願であって、平成28年6月10日付けで拒絶理由が通知され、同年8月2日に手続補正がされ、同年8月15日付け(発送日:8月24日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年11月24日に前置報告され、同年12月21日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1 理由1(新規性)について
(1)請求項1に係る発明について:刊行物1
刊行物1には、図1,2に対応して次の発明が記載されている。
「電動車両に接続される電力コネクタ(10)であって、前後方向に直線的にのび(軸線60)、接続時に前記電動車両に前端が対向するハウジング(40,48)と、前記ハウジングの側面に設けたロック操作部(30)と、前記ハウジングの後端の中央ではなく前記ロック操作部の反対側に偏心した位置から、前記前後方向とは異なる方向に、斜めに引き出されたケーブル(12:図1,2)とを含む電動車両用電力コネクタ。」

よって、請求項1に係る発明は刊行物1に記載された発明である。

(2)請求項2に係る発明について:刊行物1
刊行物1記載の発明における「パッド30」は、レバー機構の一部である。

2 理由2(進歩性)について:刊行物1-5
(1)請求項1,2に係る発明について:刊行物1
・理由1における指摘参照。

(2)請求項3,4に係る発明について:刊行物1、2
・刊行物2の図2には、握りを考慮して「解除ボタン(52)」に「凹部(結果的に最後部に凸部)」を形成することが記載されている。

(3)請求項5,6に係る発明について:刊行物1-4
・指による操作性向上のため、ハウジング周囲に「凹部(刊行物3:首部1b)」、「凸部(刊行物4:handle 26)」を形成することは、周知の技術手段である。

(4)請求項7に係る発明について:刊行物1-5
・刊行物5における「電線ホルダ(20)」のように、2つ割り部材の係合により、最終部材を構成することは、コネクタの技術分野における周知の技術手段である。

刊行物一覧
1.特開2012-134123号公報
2.特開2012-195215号公報
3.実願平4-80351号(実開平6-38174号)のCD-ROM(周知の技術手段を示す刊行物)
4.米国特許第5480314号明細書(周知の技術手段を示す刊行物)
5.特開2002-352901号公報(周知の技術手段を示す刊行物)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正のうち、請求項1において、発明を特定するために必要な事項である、ハウジングについて、前後方向に直線的に「のびる部分のみで構成され」るとの限定を付し、かつ「直線的にのびた」との限定を付することは、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、請求項1における上記事項は願書に最初に添付した図面の図1に示されているから、いわゆる新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成28年11月8日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。
「【請求項1】
電動車両に接続される電力コネクタであって、前後方向に直線的にのびる部分のみで構成され、接続時に前記電動車両に前端が対向するハウジングと、前記直線的にのびたハウジングの側面に設けたロック操作部と、前記直線的にのびたハウジングの後端の中央ではなく前記ロック操作部の反対側に偏心した位置から、前記前後方向とは異なる方向に、斜めに引き出されたケーブルとを含むことを特徴とする電動車両用電力コネクタ。
【請求項2】
前記ロック操作部は可動なレバーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電動車両用電力コネクタ。
【請求項3】
前記レバーは、後端に凹部を有することを特徴とする、請求項2に記載の電動車両用電力コネクタ。
【請求項4】
前記レバーは、後端に凸部を有することを特徴とする、請求項2に記載の電動車両用電力コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、略円筒形状の外周面を有し、前記外周面の前記ケーブルを引き出した部分の前方に凹部を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の電動車両用電力コネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、略円筒形状の外周面を有し、前記外周面の前記ケーブルを引き出した部分の前方に凸部を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の電動車両用電力コネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記前後方向に互いに平行にのびた二つの外装部品と、二つの外装部品の前端に組み付けられた一つの端部品とを含み、前記二つの外装部品は、後端を引っ掛けにより互いに結合され、かつ、前端を前記端部品により互いに結合されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の電動車両用電力コネクタ。」

第5 刊行物
1 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物1(特開2012-134123号公報)には、「充電コネクタ」に関し、図面(特に、図1ないし図4参照)とともに以下の事項が記載されている。

「【0007】
図1は、ケーブル12の一端部に位置し、はめ込みコネクタ即ち電気レシーバ14に接続するように設計された電気コネクタ10を示す。ほとんどの場合、電気レシーバ14は、(補助のガスエンジンの有無に係わらず)電気自動車20に取り付けられる。このシステムは、自動車電気セル即ちバッテリを急速に充電するために必要な電流を流すように設計され、且つ電気コネクタは、数ポンド(約900乃至4000g)の重さを有すると思われる。電気コネクタは、この電気コネクタの形状から判り易く、且つ電気コネクタを機械的に係合し、取り外すという方法で、保持され、接続されるように設計されている。即ち、使用者が、頂上の一部分に親指Tを伸ばして、電気コネクタの底面22の一部分に他の指(人差し指I,中指M,薬指R及び小指Zから成る親指でない複数の指)を伸ばして電気コネクタを把持する。さらに、使用者が、電気コネクタを把持しているとき、掌用のパッド30は、ラッチ32を操作するように使用者の掌Pで機械的に押し下げられる。この結果、電気レシーバに挿入及び取り外しの過程で、使用者がラッチに注意を払うことなく、電気コネクタが、保持され、その後に電気レシーバから取り外される。
【0008】
電気コネクタは、ポリマでモールド成形され、前部42と、後部44と、中間部46と、を備えたボディ40を有する。ラッチ32は、前方の接続部分48に対して平行にボディの前部から突出し、電気レシーバのキャッチ50に係合することが可能である。掌用のパッドは、水平方向Lに延びている軸52を中心として回動可能に取り付けられ、下方向Dにこのラッチ32を付勢するように上向きUに付勢されている。この掌用のパッドの後部は、ボディの上面33の上方側へ約1/4インチ(約0.64センチメートル)に重なってある。使用者がボディの頂上54の一部分に伸ばした親指及び底面22の一部分に伸ばした他の指で電気コネクタを把持しているときには、パッド後部84を押し下げて、その結果、電気レシーバのキャッチ50と係合するようにラッチの準備をしてラッチを機械的に操作するように、使用者の掌が、掌用のパッドに載せられて、パッド後部84を押し下げる。
【0009】
図2に図示されるように、ボディの後部44と電気ケーブル12の前部とは、下方D及び後方Rへと延びている軸62沿って延び、ボディの前部42は、主前側軸(±10°)軸60に沿って延びている。この軸62は、主前側軸60から約45°(45°±15°)の俯角Aへ延びている。(図3に図示されるように)ボディは、各々の軸に沿った、ほぼ等しい(どちらも他方に対して2倍以上ではない)横幅及び鉛直高さを有する。ボディの底面22は、ボディの下方に約数インチ(1/2インチ(約1.27センチメートル)乃至2インチ(約5.08センチメートル)まで)の距離68のところに設定された横軸66を中心に内方に湾曲した大きな湾曲部64を有する。この湾曲部64の前端部80において、前記ボディは、断面C-Cで各々が約2×1/4インチ(好ましくは、1.75インチ(約4.45センチメートル)乃至2.75インチ(約6.98センチメートル))である幅と高さを有する。図3では、親指と人差し指がある上に直径2×1/4インチ(約5.71センチメートル)の仮想の円70を示している。平均的な大きさの手(例えば、親指先と人差し指の先との間に6インチ(約15.24センチメートル)の距離)は、ボディ中間部の周囲でボディ中間部の180°以上を包むことが可能である。
【0010】
図3に図示されるように、ボディの前部42は、軸60に沿って見ると、大きく円形の底部を有し、頂上で直立したリッジ(ridge)72と、このリッジの対向した両側に形成された1対のなだらかな内方の溝即ち奥まった部分74、76と、を有する。後部44は、直径約1.7インチ(約4.32センチメートル)の円形である。ボディの長さの中間面での湾曲と、ボディの後端部から下方及び後方へ延びたケーブルと、を有するような、この形状は、頂上で掌用のパッドと共に電気コネクタを把持し、且つ他の指が前記ボディの底面に伸ばしながら前記1対の溝の1つに親指を置くということを電気コネクタに手を伸ばしている使用者に分かり易くする。前記ように、使用者の握りがしっかり締まるときに、このような電気コネクタの握りが、使用者の掌で掌用のパッドを押し下げることを生じさせる。
【0011】
図4は、図1乃至3と同様に電気コネクタであるが、前記電気コネクタ10より長い後部102を有する本発明の他の実施の形態である電気コネクタ100の左側面を示す。この電気コネクタ100は、後部80に代って、内方に湾曲したボディの湾曲部64の前端部82(図5)で、人差し指I及び親指Tで容易に把持される電気コネクタを可能にしている。掌用のパッド104は、さらに後方へ延びているように比較的長いので、この電気コネクタ100は、図1若しくは図4のようにして容易に把持されることが可能である。使用者の手首に近い部分を挟む可能性を最小にするように、どちらの電気コネクタでも、掌用のパッドの後端部84、106が、符号110でケーブルが外に出るボディの後部から2×1/4インチ(約5.71センチメートル)の範囲にある。手首に近い部分を挟むなんてことは、ありえないことである。掌用のパッド104が押し下げられない場合には、掌用のパッド104の後部が、ボディから約1/4インチ(約0.64センチメートル)上方側に突出している。
【0012】
使用者は、図1若しくは4に図示されるように、電気コネクタを把持し、はめ込みコネクタ即ち電気レシーバ14に向かって電気コネクタを動かし、握りを開放する。電気レシーバに電気コネクタを保持するように、ラッチは、ばねの力によって機械的に操作されている。電気コネクタを取り外すために、使用者は、電気コネクタを把持し、このときにラッチを解除するために掌用のパッドを押し下げ、電気レシーバから電気コネクタを引き抜く。
【0013】
かくして、如何に電気コネクタを把持するべきかを明確にし、且つ電気コネクタを機械的に係合し、はめ込みコネクタから取り外すような本発明は、使用者の手で把持し、はめ込みコネクタに挿入されることが可能である電気コネクタを有する。電気コネクタは、特に自動車のバッテリ充電器として有用であるが、他への応用にも有用である。掌用のパッドは、電気コネクタのボディに装着され、ボディの頂上にあるので、使用者が握手するように電気コネクタを把持しているときに、掌用のパッドが、押し下げられる。ボディは、前部、後部、及び中間部がある。前部は、主前側軸に沿って延びており、後部は、水平から約45°の俯角へ延びている下方及び後方軸に沿って延びている。ボディの中間部は、横軸に対して内方に湾曲した底面を有する。この形状は、頂上のリッジの一部分及びなだらかな溝の底部に向かう一部分へ伸びた親指と、湾曲した底面の一部分に伸びた親指以外の複数の指と、でコネクタを把持することを使用者に容易にする。電気コネクタは、通常、内方に湾曲した底面の前端部若しくは後端部を人差し指で把持される。」

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明1に則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「電気自動車20に接続される電気コネクタ10であって、主前側軸60方向に直線的に延びるボディ40の前部42及び及び接続部分48、並びに主前側軸60方向とは異なる軸62方向に延びるボディ40の後部44を有し、接続時に前記電気自動車20に前端が対向する接続部分48及びボディ40と、前記接続部分48及びボディ40の上面33に設けた掌用のパッド30と、前記接続部分48及びボディ40の後端から、主前側軸60方向とは異なる軸62方向に、斜めに引き出されたケーブル12とを含む電気コネクタ10。」


2 その他の刊行物
前置報告において周知技術を示す文献として引用された刊行物3(実願平4-80351号〔実開平6-38174号〕のCD-ROM、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物3)の図5には、ボディ1を直線的にのびる部分のみで構成することが示されている。また、同刊行物4(米国特許第5480314号明細書、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物4)のFIG.1ないしFIG.3には、housing(ハウジング)12を直線的にのびる部分のみで構成することが示されている。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「電気自動車20」は前者の「電動車両」に相当し、以下同様に、「電気コネクタ10」は「電力コネクタ」に、「接続部分48及びボディ40」は「ハウジング」に、「掌用のパッド30」は「ロック操作部」に、「ボディ40の上面33」は「ハウジングの側面」に、「主前側軸60方向」は、「前後方向」に、「軸62方向」は「異なる方向」に、「ケーブル12」は「ケーブル」に、「電気コネクタ10」は電気自動車20に接続されることから「電動車両用電力コネクタ」にそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「電動車両に接続される電力コネクタであって、接続時に前記電動車両に前端が対向するハウジングと、前記ハウジングの側面に設けたロック操作部と、前記ハウジングの後端から、前記前後方向とは異なる方向に、斜めに引き出されたケーブルとを含む電動車両用電力コネクタ。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
よって、本願発明1は、引用発明と同一ではない。

〔相違点〕
本願発明1は、ハウジングが「前後方向に直線的にのびる部分のみで構成され」、ケーブルが「ハウジングの後端の中央ではなく前記ロック操作部の反対側に偏心した位置」から引き出されるのに対して、引用発明は、接続部分48及びボディ40が主前側軸60方向とは異なる軸62方向に延びるボディ30の後部44を有し、ケーブル12が接続部分48及びボディ40の後端から引き出される点。


(2)相違点についての判断
そこで、相違点について検討する。

刊行物1の段落【0001】及び段落【0002】には、背景技術として、「電気コネクタは、高電流を流し、且つ数ポンド(約900乃至4000g)の重量を有するので、自然で明確な方法で扱い易いようなコネクタを提供することが、望まれている。この形式の電気コネクタは、親指もしくは人差し指で操作されるトリガによって制御されるラッチを有する。多くの人は、これら電気コネクタの操作の仕方に困惑させられる。」ことが記載されている。
また、刊行物1の段落【0013】には、さらに、「かくして、如何に電気コネクタを把持するべきかを明確にし、且つ電気コネクタを機械的に係合し、はめ込みコネクタから取り外すような本発明は、使用者の手で把持し、はめ込みコネクタに挿入されることが可能である電気コネクタを有する。電気コネクタは、特に自動車のバッテリ充電器として有用であるが、他への応用にも有用である。掌用のパッドは、電気コネクタのボディに装着され、ボディの頂上にあるので、使用者が握手するように電気コネクタを把持しているときに、掌用のパッドが、押し下げられる。ボディは、前部、後部、及び中間部がある。前部は、主前側軸に沿って延びており、後部は、水平から約45°の俯角へ延びている下方及び後方軸に沿って延びている。ボディの中間部は、横軸に対して内方に湾曲した底面を有する。この形状は、頂上のリッジの一部分及びなだらかな溝の底部に向かう一部分へ伸びた親指と、湾曲した底面の一部分に伸びた親指以外の複数の指と、でコネクタを把持することを使用者に容易にする。電気コネクタは、通常、内方に湾曲した底面の前端部若しくは後端部を人差し指で把持される。」ことが記載されている。

これらの記載からみて、引用発明は、自然で明確な方法で扱い易いようなコネクタを提供し、如何に電気コネクタを把持するべきかを明確にすることを課題とし、その課題を解決するために、「主前側軸60方向に直線的に延びるボディ40の前部42及び及び接続部分48、並びに主前側軸60方向とは異なる軸62方向に延びるボディ30の後部44」を備えたものである。
そうすると、仮に前後方向に直線的にのびる部分のみで構成されるハウジングが周知技術であるとしても、引用発明においては、上記課題を解決しなければならないことから、引用発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

仮に、上記が容易に想到し得たとしても、引用発明のボディ40を直線的にのびる部分のみで構成したものは、ケーブル12が、ボディ40への取り付け位置から判断して、主前側軸60方向、すなわち直線的にのびる部分のみで構成されるボディ40の後端の中央から引き出されるものとなり、直線的にのびた「ハウジングの後端の中央ではなく前記ロック操作部の反対側に偏心した位置」から引き出されるものにはならない。

また、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願時に頒布された刊行物2(特開2012-195215号公報)、刊行物3(実願平4-80351号〔実開平6-38174号〕のCD-ROM)、刊行物4(米国特許第5480314号明細書)、及び刊行物5(特開2002-352901号公報)には、相違点に係る本願発明1の発明特定事項に関する記載はない。
そうしてみると、引用発明に、刊行物2ないし刊行物5及び上記周知技術を適用して、相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者が引用発明、刊行物1ないし刊行物5及び上記周知技術に基いて容易に発明することができたとはいえない。

2 本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様に、引用発明と同一ではなく、また、当業者が引用発明、刊行物1ないし刊行物5及び上記周知技術に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

第7 原査定について
1 理由1(新規性)について
審判請求時の補正により、本願発明1及び2は「前後方向に直線的にのびる部分のみで構成され」るハウジングという事項を備えるものとなっており、原査定において引用された刊行物1に記載されたものと同一ではない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

2 理由2(進歩性)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし7は「前後方向に直線的にのびる部分のみで構成され」るハウジングという事項を備えるものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された刊行物1ないし5に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-16 
出願番号 特願2013-31130(P2013-31130)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01R)
P 1 8・ 575- WY (H01R)
P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前田 仁  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 内田 博之
滝谷 亮一
発明の名称 電動車両用電力コネクタ  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐々木 敬  

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