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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B29C |
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管理番号 | 1329381 |
審判番号 | 訂正2017-390024 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-03-28 |
確定日 | 2017-06-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4047108号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4047108号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第4047108号(請求項の数2。以下、「本件特許」という。)は、平成14年9月5日の出願であって、平成19年11月30日に特許権の設定登録がなされた。 そして、平成29年3月28日(受理日:平成29年3月29日)に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 審判請求の趣旨及び訂正内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 そして、その訂正内容は、以下のとおりと認める。 1.訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1において、「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」と記載されているものを、 「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」に訂正する(下線は合議体による。以下同様。)。 2.訂正事項2 本件特許明細書の【0007】において、「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」と記載されているものを、 「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」に訂正する。 第3 当審の判断 1.一群の請求項について 訂正事項1に係る訂正前の請求項1及び2について、請求項2は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正前の請求項1及び2に対応する本件訂正後の請求項1及び2は、特許法126条第3項に規定する関係を有する一群の請求項である。 訂正事項2は、訂正事項1に伴って本件特許明細書の【0007】に記載されている請求項1に対応する部分について訂正するものであるから、訂正後の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2を含めた一群の請求項1及び2の全てに関係する。 したがって、本件特許明細書に係る訂正は、特許法第126条第4項の規定に適合する。 2.訂正事項1 (1)訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る発明は、シート移送手段が「樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構」を備えていることを特定している。 ここで、昇降機構において、樹脂シートを上下方向に移動させるための具体的な部材、及び、樹脂シートの上下方向の移動と他の部材との位置関係が特定されていない。 そこで、訂正後の請求項1に、シート移送手段が「シートガイド」を備えていること、及び昇降機構が「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする」との限定を加えることにより、樹脂シートを上下方向に移動させるための具体的な部材、及び、樹脂シートの上下方向の移動と他の部材との位置関係を特定することにより、訂正前の請求項1に係る発明を限定するものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項2に記載される事項については何ら訂正するものではないから、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に判断される。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の追加について 本件特許明細書には、以下のとおり記載されている。 摘示ア「【0015】 一方のシート移送手段20Aは、ダイ14やポンチ15の取り付け・交換作業等を行い易くするために、前記トリミング機10の一側面10aに設けられた固定軸17にフレーム21を支持させて横方向に開閉可能に設けられている。そのフレーム21には、シートガイド30の昇降機構25を設ける。」 摘示イ「【0016】 昇降機構25は、4本のネジ軸26をフレーム21に回転自由に設けられたナット体(図示せず)に螺合し、各ナット体に固定されたプーリー(図示せず)とサーボモータ27の駆動軸に固定されたプーリーとにタイミングベルト(図示せず)を掛け渡し、そのサーボモータ27の駆動によって各ナット体を一斉に回転させることにより、ネジ軸26の上端に取り付けられたシートガイド30を上下方向に移動させるように構成されている。」 摘示ウ「【0009】 【発明の作用及び効果】 (請求項1及び2の発明) 例えば、樹脂シートの下側に成形品が形成されていて、その成形品の高さが所定寸法より小さい(言い換えれば、成形品が一方のシート移送手段のシートガイドやトリミング機のダイに干渉する虞がない)場合には、成形装置から繰出される樹脂シートをキャメルバックを使用しないで一方のシート移送手段にセットする。 しかして、両シート移送手段のシートガイドが上昇した状態にて、樹脂シートは送り機構によりトリミング機に搬入されてから、シートガイドと一緒に下降する。これにより、成形品は成形手段のダイ上に載置され、ダイと一対に設けられたポンチ(又は押し切り刃)の下降動作により打ち抜き(又は切り抜き)加工を施される。ついで、両シート移送手段のシートガイドが上昇して元の高さに復帰すると、トリミング処理後の樹脂シート(スクラップシート)は、送り機構によりトリミング機のダイに対して1ピッチだけ移送される。そして、再びシートガイドが下降して次の成形品がダイ上に載置される。 かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。」 摘示エ「【0024】 両方のシート移送手段20A,20Bのシートガイド30,30が上昇した状態にて、樹脂シートSは他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりトリミング機10に搬入され、シートガイド30,30と一緒に下降される。これにより、樹脂シートSに形成された成形品aはダイ14の上に載置される。ついで、ポンチ15の下降動作により打ち抜き加工が施されると、シートガイド30,30が昇降機構25の作動により上昇して元の高さに復帰する。トリミング処理後の樹脂シートSは、他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりダイ14に対して1ピッチ分だけ移送される。そして、再びシートガイド30,30が下降して次の成形品aをダイ14の上に載置させる。 かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。」 まず、訂正事項1におけるシート移送手段が「シートガイド」を備えていることは、上記摘示ア及びイの記載(特に下線部)に基づくものであることは明らかである。 次に、訂正事項1における「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構」について検討する。 上記摘示アないしエの記載(特に下線部)の記載からみて、 シート移送手段には、シートガイドの昇降機構が設けられており、昇降機構はシートガイドを上下方向に移動させるように構成されていること、 シートガイドが上昇した状態にて、樹脂シートは送り機構によりトリミング機に搬入されてから、シートガイドと一緒に下降し、これにより、成形品は成形手段のダイ上に載置されていることがいえる。 すなわち、昇降機構はシートガイドを上下方向に移動可能とするものであって、シートガイドが上昇した状態で、樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、(樹脂シートが)シートガイドと一緒に下降することにより、成形品がダイ上に載置されており、成形品は、樹脂シートに形成されたものであるから、「成形品がダイ上に載置される」ことは、「樹脂シートがダイ上に載置される」ことと同義であるといえる。 そうすると、訂正事項1における「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構」についても、上記摘示アないしエの記載(特に下線部)に基づくものであることは明らかである。 よって、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更について 上記訂正事項1は、上記(1)の理由から明らかなように、発明を特定するための事項を直列的に付加して訂正前の請求項1に係る発明を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 訂正事項1は、訂正前の請求項2に記載される事項については何ら訂正するものではないから、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に判断される。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に適合するものである。 (4)独立特許要件について 本件特許は審査段階において、平成19年8月16日付拒絶理由通知で、請求項1及び2は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由が通知されたが、平成19年10月17日提出の手続補正書により当該拒絶理由は解消し、また、特許法第29条等のその他の拒絶の理由をも発見しないため、平成19年11月9日付けで特許査定に至ったものである。 よって、訂正前の本件特許には拒絶の理由を発見しないのであって、訂正前の請求項1を減縮する訂正事項1自体についても、特許法第36条、特許法29条等のその他の拒絶の理由を発見しない。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に適合するものである。 3.訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正事項2は単に本件明細書の【0007】の記載内容を、訂正事項1の記載内容に一致させるだけのものであるから、訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加について 訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(2)と同様に判断され、訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(3)と同様に判断され、訂正事項1で述べたことから明らかなように、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(4)と同様に判断され、訂正事項2は特許法第126条第7項に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3?7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 樹脂シートのトリミング装置 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、熱成形装置によって樹脂シートに多数形成される成形品を打ち抜き又は切り抜くための樹脂シートのトリミング装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来の一般的な樹脂シートのトリミング装置は、樹脂シートに形成された成形品をダイとポンチ等の切断手段によって打ち抜き又は切り抜くためのトリミング機と、熱成形装置から繰出される成形済みの連続状樹脂シートをトリミング機にほぼ水平方向に案内するシートガイド手段と、トリミング処理後の樹脂シート(スクラップシート)をトリミング機から間欠的に搬出する送り手段と、それらの上方に配置されたキャメルバックとから構成されている。また、そのシートガイド手段については、トリミング機に対して樹脂シートの入口側に、送り手段については樹脂シートの出口側に夫々配置されている。 【0003】 上記トリミング装置においては、樹脂シートの上側又は下側に形成される成形品の大きさや高さ等の形態上の相違を考慮して、熱成形装置から繰出される樹脂シートを直接にシートガイド手段を介してトリミング機に搬入しトリミング処理を施す方法と、樹脂シートをキャメルバックに載せて反転させた状態でシートガイド手段を介してトリミング機に搬入しトリミング処理を施す方法、の二つの方法の何れかが採用されている。ところが、前者と後者におけるトリミング処理方法では、樹脂シートの進行方向が全く逆向きとなるために、前者から後者の方法又は後者から前者の方法に切り替える場合には、その都度、人力によりトリミング機全体を180度回転させてシートガイド手段を樹脂シートの進行方向の上流側に向くように転換しなければならない。しかし、トリミング機全体の重量が大きく、配線等の付帯設備の取り回しなどの理由から、その方向転換作業は多くの労力と時間を要して煩わしいものとされている。 【0004】 そこで、本件出願人は、上記トリミング機の方向転換を自動化する反転装置を特開2000-343158号公報にて提案している。また、シートガイド手段と送り手段をトリミング機から独立した構成としておき、トリミング機を据え付けたままで向きを変えずに、それらの配置を逆に取り替えることにより、キャメルバックを使用する場合と使用しない場合の何れの方法においても、少ない労力で容易に対応することができるトリミング装置について、特許第2747466号として登録している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 特開2000-343158号公報により開示された「トリミング機の自動反転装置」では、押釦装置の操作で方向転換作業を迅速に行うことは可能ではあるが、例えば、キャメルバックの支持構造、設置スペースなどの関係からこの構造を採用できないケースもある。また、特許第2747466号の特許公報に記載の「樹脂シートのトリミング装置」については、キャメルバックを使用する際に、少なくともシートガイド手段と送り手段の転換作業を行うことは免れ得ないと言えよう。 【0006】 この発明の目的は、トリミング機を据え付けたままで関連設備の転換作業等を不要とし、キャメルバックを使用するか否かにかかわらず、何れのトリミング処理作業についても迅速に円滑に行うことが可能な樹脂シートのトリミング装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、成形装置から繰出される連続状の樹脂シートを間欠的にほぼ水平方向に移送するシート移送手段と、その樹脂シートに形成された成形品を切断手段によって打ち抜き又は切り抜くトリミング機と、それらの上方に配置されたキャメルバックとを備えた樹脂シートのトリミング装置であって、 前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、かつ、据え付けられた同トリミング機に対して樹脂シートの進行方向の上流側及び下流側の両位置に夫々設けられ、一方のシート移送手段には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックを使用しないでトリミング機に搬入し、他方のシート移送手段には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックに載せて反転させた状態でトリミング機に搬入するように構成したことを特徴とする。 【0008】 同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の樹脂シートのトリミング装置において、前記樹脂シートの下側に形成される成形品の高さが、前記シート移送手段のシートガイド又はトリミング機のダイにより規制される所定寸法より小さい場合には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックを使用しないで一方のシート移送手段を介してトリミング機に搬入し、他方、前記樹脂シートの下側に形成される成形品の高さが、前記シート移送手段のシートガイド又はトリミング機のダイにより規制される所定寸法より大きい場合には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックに載せて反転させた状態で他方のシート移送手段を介してトリミング機に搬入するように構成したことを特徴とするものである。 【0009】 【発明の作用及び効果】 (請求項1及び2の発明) 例えば、樹脂シートの下側に成形品が形成されていて、その成形品の高さが所定寸法より小さい(言い換えれば、成形品が一方のシート移送手段のシートガイドやトリミング機のダイに干渉する虞がない)場合には、成形装置から繰出される樹脂シートをキャメルバックを使用しないで一方のシート移送手段にセットする。 しかして、両シート移送手段のシートガイドが上昇した状態にて、樹脂シートは送り機構によりトリミング機に搬入されてから、シートガイドと一緒に下降する。これにより、成形品は成形手段のダイ上に載置され、ダイと一対に設けられたポンチ(又は押し切り刃)の下降動作により打ち抜き(又は切り抜き)加工を施される。ついで、両シート移送手段のシートガイドが上昇して元の高さに復帰すると、トリミング処理後の樹脂シート(スクラップシート)は、送り機構によりトリミング機のダイに対して1ピッチだけ移送される。そして、再びシートガイドが下降して次の成形品がダイ上に載置される。 かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。 【0010】 また、樹脂シートの下側に成形品が形成されていて、その成形品の高さが所定寸法より大きい(言い換えれば、成形品が一方のシート移送手段のシートガイドやトリミング機のダイに干渉する虞がある)場合には、成形装置から繰出される樹脂シートをキャメルバックにセットする。 この場合、樹脂シートはキャメルバックに載せられて反転するので、成形品は上側にされた状態にて他方のシート移送手段を介してトリミング機に搬入される。 以後のトリミング装置の動作については、前項に述べた内容に準ずるので、説明を省く。なお、ダイとポンチについては、成形品の形態に合わせたものと交換する必要がある。 【0011】 この樹脂シートのトリミング装置は、トリミング機を据え付け固定したままで方向変換をさせる必要がなく、関連設備の転換作業等についても不要であり、キャメルバックを使用する場合と使用しない場合の何れのトリミング処理作業についても迅速に円滑に行うことが可能である。 【0012】 【発明の実施の形態】 以下に、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1はトリミング装置の全体を示す側面図、図2は図1のA-A線断面図、図3はポンチとダイによる成形品のトリミング加工を示す説明図である。 【0013】 図1に示すように、本発明の樹脂シートのトリミング装置は、連続状の樹脂シートSの下側に形成された成形品aの周縁部を切断手段によって打ち抜くトリミング機10と、図示しない熱成形装置から繰出される樹脂シートSを該トリミング機10に間欠的にほぼ水平方向に移送する一方のシート移送手段20A及び他方のシート移送手段20Bと、それらの上方に配置されたキャメルバック50とを備えている。その一方のシート移送手段20Aについては、トリミング機10に対して左側に、他方のシート移送手段20Bについては、トリミング機10に対して右側に夫々配置されている。 【0014】 トリミング機10は、床面に据え付けされる門形フレーム11の内方にブロック状のベッド12を水平方向に設け、図示しないボールネジとナット体を用いるネジ送り機構やクランク機構等の駆動により、ベッド12の上方に対向させて配置されたテーブル13を上下方向に移動自在とする公知の構造とされている。14はベッド12上に取り付けられたダイ、15はテーブル13の下面に取り付けられた円筒形のポンチである。しかして、このトリミング機10では、図3に示すように、ポンチ15の上下運動によりダイ14に載置される樹脂シートSに形成された成形品aの周縁部が打ち抜かれる。トリミングされた成形品aは下方に排出されて滞留し、一定数毎に押し出し装置18によって搬出コンベア19上に押し出されるように設けられている。 【0015】 一方のシート移送手段20Aは、ダイ14やポンチ15の取り付け・交換作業等を行い易くするために、前記トリミング機10の一側面10aに設けられた固定軸17にフレーム21を支持させて横方向に開閉可能に設けられている。そのフレーム21には、シートガイド30の昇降機構25を設ける。 【0016】 昇降機構25は、4本のネジ軸26をフレーム21に回転自由に設けられたナット体(図示せず)に螺合し、各ナット体に固定されたプーリー(図示せず)とサーボモータ27の駆動軸に固定されたプーリーとにタイミングベルト(図示せず)を掛け渡し、そのサーボモータ27の駆動によって各ナット体を一斉に回転させることにより、ネジ軸26の上端に取り付けられたシートガイド30を上下方向に移動させるように構成されている。 【0017】 シートガイド30は、枠体31上に数個の帯板状のガイド板32を平行に列設し、各ガイド板32の上面に細長い滑り片33をバネ弾力によって押圧するように設けている。また、その枠体31の両側には、連続状の樹脂シートSを間欠的に移送するための送り機構35を夫々設けている。その送り機構35は、樹脂シートSの側縁の下面を支承するための駆動ローラ36と、該樹脂シートの上面を押圧するための押さえローラ37と、その駆動ローラ36を回転駆動するサーボモータ(図示せず)とにより構成されている。 【0018】 しかして、この一方のシート移送手段20Aは、ガイド板32と滑り片33の間に挿入されるトリミング処理前の樹脂シートを案内してトリミング機10に搬入し、又はトリミング処理後の樹脂シートを送り機構35の回転駆動によりトリミング機10から搬出するように構成されている。 【0019】 他方のシート移送手段20Bは、前記トリミング機10の他側面10bに設けられた固定軸17にフレーム21を支持させて横方向に開閉可能に設けられている。このシート移送手段20Bについては、上述した一方のシート移送手段20Aとほぼ同一の構成とされている。よって、それと同一構成部分については、一方のシート移送手段20Aの説明に用いた符号をそのまま流用して詳しい説明を省く。 【0020】 なお、樹脂シートSを間欠移送させるときには、トリミング処理後の樹脂シート側(樹脂シートの進行方向の下流側)となる他方のシート移送手段20Bの送り機構35(若しくは一方のシート移送手段20Aの送り機構35)を作動させるのが一般的である。 【0021】 キャメルバック50はほぼ山形形状とされていて、本体51の一側51a寄りの下部52を前記トリミング機10の天部10cに載せて固定されている。53は本体51の一側51aに軸支されて上下方向に回転可能に設けられた入口側ガイドフレームである。その入口側ガイドフレーム53には、樹脂シートSを後方に繰出すための送り機構55が設けられている。しかして、このキャメルバック50は、図1(ロ)に示すように、熱成形装置から繰出される樹脂シートSを入口側ガイドフレーム53から本体51へと移送し、成形品aの上下位置を反転させた状態にて他方のシート移送手段20Bに導くように設けられている。 【0022】 つぎに、この樹脂シートのトリミング装置の動作とその取り扱い方について説明する。 (イ)樹脂シートSの下側に成形品aが形成されていて、その成形品aの高さが所定寸法より小さい場合には、成形装置から繰出される樹脂シートSを一方のシート移送手段20Aにセットする。この場合、一方のシート移送手段20Aは上流側となり、他方のシート移送手段20Bは下流側に位置することになる。 【0023】 なお、実施例では、成形品aの高さは30mm程度を目安としており、それ以上大きい場合には、一方のシート移送手段20Aのシートガイド30やトリミング機10のダイ14に成形品aが干渉する虞があるので、後述するキャメルバック50を用いる方法を採用することになる。 【0024】 両方のシート移送手段20A,20Bのシートガイド30,30が上昇した状態にて、樹脂シートSは他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりトリミング機10に搬入され、シートガイド30,30と一緒に下降される。これにより、樹脂シートSに形成された成形品aはダイ14の上に載置される。ついで、ポンチ15の下降動作により打ち抜き加工が施されると、シートガイド30,30が昇降機構25の作動により上昇して元の高さに復帰する。トリミング処理後の樹脂シートSは、他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりダイ14に対して1ピッチ分だけ移送される。そして、再びシートガイド30,30が下降して次の成形品aをダイ14の上に載置させる。 かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。 【0025】 (ロ)樹脂シートSの下側に成形品aが形成されていて、その成形品aの高さが所定寸法より大きい場合には、成形装置から繰出される樹脂シートSをキャメルバック50にセットする。この場合、他方のシート移送手段20Bが上流側となり、一方のシート移送手段20Aは下流側に位置することになる。 しかして、樹脂シートSはキャメルバック50に載せられて反転するので、成形品を下側から上側にされた状態にて他方のシート移送手段20Bを介してトリミング機10に搬入される。以後のトリミング装置の動作については、前項に述べた内容に準ずるので、説明を省く。 【0026】 以上に述べたとおり、この樹脂シートのトリミング装置によれば、トリミング機を据え付け固定したままで方向変換をさせる必要がなく、キャメルバックを使用する場合と使用しない場合の何れのトリミング処理作業についても迅速に円滑に行うことができる利点がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】トリミング装置の全体を示す側面図 【図2】図1のA-A線断面図 【図3】ポンチとダイによる成形品のトリミング加工を示す説明図 【符号の説明】 S・・・樹脂シート a・・・成形品 10・・・トリミング機 12・・・ベッド 13・・・テーブル 14・・・ダイ 15・・・ポンチ 20A・・・一方のシート移送手段 20B・・・他方のシート移送手段 25・・・昇降機構 30・・・シートガイド 32・・・ガイド板 35・・・送り機構 50・・・キャメルバック (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 成形装置から繰出される連続状の樹脂シートを間欠的にほぼ水平方向に移送するシート移送手段と、その樹脂シートに形成された成形品を切断手段によって打ち抜き又は切り抜くトリミング機と、それらの上方に配置されたキャメルバックとを備えた樹脂シートのトリミング装置であって、 前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、かつ、据え付けられた同トリミング機に対して樹脂シートの進行方向の上流側及び下流側の両位置に夫々設けられ、一方のシート移送手段には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックを使用しないでトリミング機に搬入し、他方のシート移送手段には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックに載せて反転させた状態でトリミング機に搬入するように構成したことを特徴とする樹脂シートのトリミング装置。 【請求項2】 前記樹脂シートの下側に形成される成形品の高さが、前記シート移送手段のシートガイド又はトリミング機のダイにより規制される所定寸法より小さい場合には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックを使用しないで一方のシート移送手段を介してトリミング機に搬入し、他方、前記樹脂シートの下側に形成される成形品の高さが、前記シート移送手段のシートガイド又はトリミング機のダイにより規制される所定寸法より大きい場合には、前記成形装置から繰出される樹脂シートを前記キャメルバックに載せて反転させた状態で他方のシート移送手段を介してトリミング機に搬入するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートのトリミング装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-05-15 |
結審通知日 | 2017-05-18 |
審決日 | 2017-06-02 |
出願番号 | 特願2002-260224(P2002-260224) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(B29C)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 一宮 里枝 |
特許庁審判長 |
小野寺 務 |
特許庁審判官 |
原田 隆興 藤原 浩子 |
登録日 | 2007-11-30 |
登録番号 | 特許第4047108号(P4047108) |
発明の名称 | 樹脂シートのトリミング装置 |
代理人 | 三宅 始 |
代理人 | 三宅 始 |