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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1329433
審判番号 不服2016-11421  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-29 
確定日 2017-07-07 
事件の表示 特願2014-238698「情報処理装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月30日出願公開、特開2016- 99931、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯
1.手続
本願は、平成26年11月26日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成27年10月30日(起案日)
手続補正 :平成27年12月18日
拒絶査定 :平成28年 4月20日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年 7月29日

2.査定
原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。

本願の各請求項に係る発明(平成27年12月18日付け手続補正書による)は、下記引用例に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用例1:荻原勇一、外3名,“UDに配慮した観光情報システムにおけるCMSの開発”,第73回(平成23年)全国大会講演論文集(4),一般社団法人情報処理学会,2011年3月2日,p.4-639?4-640
引用例2:特開2011-145801号公報
引用例3:特開2007-241903号公報(周知技術を示す文献)
引用例4:特開2004-272363号公報(周知技術を示す文献)
引用例5:特開平7-182434号公報(拒絶査定時に新たに引用された文献;周知技術を示す文献)
引用例6:特開2014-32030号公報(拒絶査定時に新たに引用された文献;周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成27年12月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。((A)ないし(J)は当審において付与した。以下「構成要件(A)」等として引用する。)

【請求項1】
(A)市町村コードに応じて用意された複数の言語毎のウェブサイトのURLが関連づけられた管理情報を記憶する記憶部と、
(B)前記記憶部に記憶された前記管理情報を参照して案内対象物に付され、前記市町村コードが含められることで情報量を減らし、コードパターンが簡易化された二次元コードを読み取る読み取り装置により取得された市町村コードに関するウェブサイトへのURLを抽出し、前記言語毎のウェブサイトへのリンクを示す標識を前記読み取り装置に表示する処理部と、
(C)を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
(D)前記管理情報は、案内場所を識別する名所・名品コードを備え、
(E)前記処理部は、前記市町村コードに含まれる名所・名品コードに一致する管理情報を参照する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
(F)前記標識は、前記言語に対応する国の国旗である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
(G)コンピュータに、
(H)市町村コードに応じて用意された複数の言語毎のウェブサイトのURLが関連づけられた管理情報を参照して案内対象物に付され、前記市町村コードが含められることで情報量を減らし、コードパターンが簡易化された二次元コードを読み取る読み取り装置により取得された市町村コードに関するウェブサイトへのURLを抽出し、
(I)前記言語毎のウェブサイトへのリンクを示す標識を前記読み取り装置に表示する、
(J)処理を実行させることを特徴とするプログラム。

第4 引用例、引用発明等
(1)引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1-1)
「1.はじめに
観光地では,高齢者,障害者,外国人を含む様々な人に配慮したUD(ユニバーサルデザイン)の考え方が重視され,携帯電話を用いたUD観光情報システムの研究がなされている。
UD観光情報システムは,ユーザの位置と特性に応じて観光情報を提供するシステムである。このシステムの課題として,多様なユーザ特性に応じてコンテンツを作成・管理するためにコンテンツの煩雑化をまねき,作成・管理に膨大な量力を必要とする点や,他の観光地での適用,履歴データの活用などが上げられている。
そこで本研究では,観光地でのUD観光情報システム導入を簡易化するためにコンテンツ管理システム(以降,CMS)の設計と開発を行った。そして,岩手県の平泉町にある毛越寺と奥州市にあるえさし藤原の郷で試験運用を行った。」(4-639ページ左欄1行-17行)

(1-2)
「2.システム設計・開発
2.1.(略)
2.2.システム概要
本システムの構成を図1に示す。観光情報を管理・提供するために,位置情報管理部,情報提供部,コンテンツ管理部,分析部から構成した。ユーザの利用端末は携帯電話とし,観光客の位置検出は,ICタグ,QRコード,GPSを利用する。また,観光地を,○1エリア(市町村レベルの広範囲な観光地域,例:岩手県奥州市),○2ゾーン(エリア内にある観光施設,例:奥州市のえさし藤原の郷),○3スポット(ゾーン内にある比較的広い範囲の観光資源,例:えさし藤原の郷内の加羅御所),○4サブスポット(スポット内にある狭い範囲の観光資源,例:加羅御所の寝殿)の4種類に構造化して情報を登録する。」(4-639ページ左欄18行-右欄8行)(電子情報処理組織では、○の中に数字が入った文字は表示することができないので、○の中に数字の1が入った文字は、○1、○の中に数字の2が入った文字は、○2のように表記する。)

(1-3)
「2.3.機能
以下にUD観光情報CMSの各部を説明する。
(1)位置情報管理部
各ゾーン,スポット,サブスポットの位置情報をGoogle Maps上で登録・管理する。管理画面を図2に示す。地図上のマーカの位置は、QR,ICタグ,GPSでの位置取得場所を表している。
(2)情報提供部
観光客のユーザ特性と位置に応じて適切な観光情報を提供する。ブラウザ上で観光情報を閲覧できるように,iPhoneやAndroid携帯といったスマートフォンを含む3キャリアへの対応を行っている。携帯電話による情報提供は,ユーザの位置と特性に応じて,UD支援機能,解説機能,クイズ機能,トイレ案内機能等があり,音声による情報提供が可能となっている。また,カラーUDの観点にも配慮している。
(3)コンテンツ管理部
車いす利用者や視覚障害者,聴覚障害者,外国人,高齢者,子供,健常者といったユーザ特性に応じたコンテンツを登録・管理できる機能である。特性に応じた画像,音声,解説文,クイズ等のコンテンツを管理でき,情報提供部の画像や解説文の配置(順序)を設定できる。また,プレビュー機能を搭載している。
(4)分析部
運用ログから各ゾーン,スポットへのアクセス状況を分析し,地図上にユーザ特性ごとの利用者統計と回遊行動を可視化する。」(4-639ページ右欄下から21行-4-640ページ左欄8行)




図1の記載も参酌すると、上記引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「観光客のユーザ特性と位置に応じて適切な観光情報(UD支援機能,解説機能等のコンテンツ)を提供可能であって、
観光客の位置検出には、携帯電話で読み取ったQRコードを利用し、観光地は、i.エリア(市町村レベルの広範囲な観光地域,例:岩手県奥州市),ii.ゾーン,iiiスポット,ivサブスポットに構造化して情報を登録するものであり、
ユーザ特性には、ユーザが外国人であるかを含み、
観光情報(観光情報サーバから提供されるコンテンツ)は、ユーザの携帯電話にブラウザ上で閲覧可能である、
観光情報サーバ。」

(2)引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例2には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0001】
本発明は多国語対応インフォメーション装置に関し、観光やビジネスのため外国へ訪れる外国人を主たる対象として、頻度の多い質問事項に対し、自らが項目を選択することで案内を行なうことができる多国語インフォメーション装置に関する。

【実施例1】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施の一例を日本に設置される外国人用のインフォメーション装置として図面を参照して説明する。図中1は本発明を実施した多国語対応インフォメーション装置を示し、据置台2上に略矩形の平板状としたケーシング3が一体に設けられた構成となっている。
【0014】
前記したケーシング3の前面中央には表示部4が設けられ、この表示部4の最上部には、この装置がインフォメーションであることを示す旨の表示がなされている。その表示の下方はタッチパネル5とされ、そのタッチパネル5には複数の国、地域ごとの言語で表示された選択用の個別タッチパネル6、6‥が羅列されている。
【0015】
このタッチパネル5の下方には、画像表示部7が設けられており、日本各地観光地の風景やホテルの写真あるいは動画が表示されるようになっている。
【0016】
また、前記した表示部4の下方、即ち、ケーシング3の最下部には種々の情報をプリントアウトして持ち帰ることができるようにしたプリンター8が設けられており、さらに、表示部4の上方、即ち、ケーシング3の最上部には情報を音声として告知することができるスピーカ9が設けられ、このスピーカ9では各言語別による操作方法や簡単な日本語の挨拶等の発音も流されるものとなっている。
【0017】
前記したタッチパネル5における選択の個別タッチパネル6、6‥は、本実施例では英語、中国語、フランス語、韓国語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、アラビア語、加えて日本語バージョンも選択できるものとしている。この日本語バージョンは日本語に堪能な外国人や当該地に不案内な日本人の使用も可能とするものである。
【0018】
この各種の個別タッチパネル6、6‥から任意のものを一つ選択してタッチすると、次からは全てのテキストが、選択された言語で表示される。例えば、英語を選択すると、タッチパネル5には複数、実施例では12種類のコンテンツ10、10‥が選択用タッチパネルとして表示され、画像表示部7には現在地が地図上で表示されるものとなっている。

したがって、上記引用例2には、「外国人用のインフォメーション装置において、表示部に英語、中国語、フランス語、韓国語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、アラビア語等の個別タッチパネルを備え、これをタッチすると次からは全てのテキストが、選択された言語で表示される」という技術的事項が記載されていると認められる。

(3)引用例3について
【0008】
本発明のプレートは、縦方向と横方向に情報を持つマトリックス方式のQRコード等の2次元コードが印刷された用紙を取り付けたもので、このプレートを観光地や空港・鉄道やバスのターミナル等の交通拠点・宿泊施設・販売店などの各所に配布して読み取りやすい位置に設置する。設置場所は、その携帯電話機の携帯電話事業者のサービスエリア内に限定される。2次元コードにはサーバへのアクセス先であるURLと観光地の情報を示すWebページの識別情報(識別コード又はURL)が暗号・符号化されている。2次元コードの内容は日時指定で自動切り替えして不正アクセスを防止する。また、2次元コードは用紙に印刷したものの他、ディスプレイ装置で2次元コードの内容を例えば分単位に変更表示し、より厳しく不正アクセスを防止できるようにしてもよい。

【0016】
データベース4は、端末製造番号・会員番号・付与ポイント数・観光地を示す識別コード・地点コード・アクセス日時からなる回遊履歴データ4aと、携帯電話機6の製造番号・会員番号からなる端末テーブル4bと、登録した観光客の属性データ・会員番号からなる会員テーブル4cと、観光地を示す識別コード・観光地を紹介するWebページ・観光情報番号・サービスポイント数からなる観光情報テーブル4dと、地点確認番号(無い場合もある)からなる地点情報テーブル4eとで構成されている。地点確認番号は随時変更可能である。

したがって、上記引用例3には、「データベース4(観光情報テーブル4d)に、観光地を示す識別コード・観光地を紹介するWebページ・観光情報番号等を有している」という技術的事項が記載されていると認められる。

(4)引用例4について
【0004】
同様な例は、インターネット上のWEBページにも見られる。同一内容のコンテンツを複数の言語に翻訳して公開しているページでは、先のCD端末の例と同様に、コンテンツのある言語に関して対応する国旗アイコン又は言語名アイコンを表示している。表示部分は対応する言語で記述されたコンテンツへのリンクである場合が多く、CD端末同様、国旗アイコンや言語名アイコンをクリックするとその言語で記述されたコンテンツのページに切り替わる。

したがって、上記引用例4には、「対応する言語のアイコン(標識)として国旗アイコンを表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

(5)引用例5、引用例6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例5には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0010】そして、データ区分手段によって、上記入力手段から入力されたデータを有効データと無効データとに区分し、第1のパターン発生手段によって、この区分された有効データから所定フォーマットの情報伝達パターンを発生し、また第2のパターン発生手段によって、上記区分された有効データの属性毎のデータ長を示すデータから上記情報伝達パターンを発生する。つまり、例えば、上記入力された文字情報の内、生年月日を数値表示し、都道府県及び市区町村を、例えばJIS X-0401,X-0402に定められたコードに従って表記するが、氏名及び本籍、現住所の市区町村以下の住所表記を分離して、無効データである空白(スペース)を削除してバーコードに格納する。この時、氏、名、及び住所表記がそれぞれ何文字で構成されているかを示すデータもバーコード化して付加する。

【0048】都道府県情報1221は、都道府県を2桁の10進数で示し、都道府県コードは、例えば、JIS X-0401に準拠するものとする。ただし、外国籍は、99(3939H)で示す。例えば、北海道は01(3031H)、東京は13(3133H)となる。
【0049】市区町村情報1222は、市区町村を3桁の10進数で示し、市区町村コードは、例えば、JIS X-0402に準拠するものとする。例えば、渋谷区は113(313133H)、八王子市は201(323031H)となる。

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例6には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0026】
個体識別コード13中、左から5桁目までは地域コードである。この地域コード中、左2桁はJIS X 0401、JIS X 0402にて規定される都道府県コード、続く3桁は市区町村コードを示している。例えば、福島県の一部については次の通りとなる。
広野町 07541
楢葉町 07542
富岡町 07543
川内村 07544
大熊町 07515
双葉町 07546
浪江町 07548
・・・・・・・・・

【0030】
そして、識別符1には、バーコード14が表記されており、本実施形態では、前述した個体識別コード13が1次元バーコード化されている。バーコードには、1次元のみならず2次元バーコードを使用し、より多くの情報量を持たせることも可能である。

したがって、上記引用例5、引用例6には、「都道府県、市町村を表すために、JISには所定のコードが規定されている」という周知の技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1-1)構成要件(A)について
引用発明では、「観光情報(観光情報サーバから提供されるコンテンツ)は、ユーザの携帯電話にブラウザ上で閲覧可能である」から、携帯電話から観光情報サーバのURLにアクセスすることで、観光情報を得ていることは明白であり、また、「観光客のユーザ特性と位置に応じて適切な観光情報(UD支援機能,解説機能等のコンテンツ)を提供可能で」あるから、上記観光情報は、観光客のユーザ特性と位置に応じて異なることが想定でき、このような異なるコンテンツ(観光情報)に、アクセスできるようにするためには、異なるURLを用いることも普通に行われている。
してみると、引用発明の「観光客のユーザ特性と位置に応じて適切な観光情報(UD支援機能,解説機能等のコンテンツ)を提供」することは、「位置の情報に応じて用意されたウェブサイトのURLにアクセスすることで観光情報を提供」することといえるから、位置の情報とウェブサイトのURLが関連づけられていることは開示されている。
もっとも、上記関連づけのための構成が、本願発明1では「市町村コードに応じて用意された複数の言語毎のウェブサイトのURLが関連づけられた管理情報を記憶する記憶部」であるのに対し、引用発明では、上記具体的な記憶部の構成が開示されていない点で相違する。

(1-2)構成要件(B)について
引用発明のQRコードは、案内を行う位置を示すものであるから、案内を行う対象に付されていることは明白である。
また、引用発明では、図1も参酌すると、携帯電話から、位置情報とユーザ情報とを観光情報サーバに送ることで、観光情報を得ており、上記観光情報は、(1-1)で検討したように、ウェブサイトのURLにアクセスすることにより得るのであるから、位置情報に応じたウェブサイトのURLも得て(抽出して)いる。さらに、上記位置情報は携帯電話で読み取ったQRコードから得ることも記載されている。すなわち、携帯電話で読み取ったQRコードから得た位置情報に応じてウェブサイトのURLを得る(抽出する)ことで、当該URLにアクセスすることにより観光情報を得ているといえる。
以上の引用発明における観光情報を得る処理と、本願発明1の構成要件(B)とを対比すれば、引用発明の「(案内を行う対象に付されている)QRコード」、「携帯電話」が、本願発明1の「(案内対象物に付された)二次元コード」、「読み取り装置」に対応し、「案内対象物に付された二次元コードを読み取る読み取り装置により取得されたウェブサイトへのURLを抽出し、情報を表示するという処理を行っている(すなわち当該処理部を有する)」点で、引用発明は、本願発明1と対応している。
もっとも、上記(1-1)における相違点と関連して、本願発明1では「前記記憶部に記憶された前記管理情報を参照して」の構成を有するのに対し、引用発明では当該構成を有さず、「二次元コード」が、本願発明1では「前記市町村コードが含められることで情報量を減らし、コードパターンが簡易化された二次元コード」であるのに対し、引用発明では、当該特定事項を有さず、「読み取り装置により取得された位置情報」が、本願発明1では、「読み取り装置により取得された市町村コード」であるのに対し、引用発明では、「市町村コード」の特定事項を有さず、「情報を前記読み取り装置に表示する」の「情報」が、本願発明1では、「前記言語毎のウェブサイトへのリンクを示す標識」であるのに対し、引用発明では、「観光情報(のコンテンツそのもの)」である点で相違する。

(1-3)構成要件(C)について
引用発明の観光情報サーバは、情報処理装置と称してもよいことは明らかであるから、この点で本願発明1と引用発明とに相違はない。

(1-4)まとめ(一致点・相違点)
以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
位置の情報とウェブサイトのURLが関連づけられ、
案内対象物に付された二次元コードを読み取る読み取り装置により取得された位置情報に関するウェブサイトへのURLを抽出し、情報を前記読み取り装置に表示する処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。

(相違点)
相違点1
位置の情報とウェブサイトのURLを関連づける具体的な構成が、本願発明1では「市町村コードに応じて用意された複数の言語毎のウェブサイトのURLが関連づけられた管理情報を記憶する記憶部」であるのに対し、引用発明では、当該具体的な構成について特定されていない点
相違点2
本願発明1では「前記記憶部に記憶された前記管理情報を参照して」の構成を有するのに対し、引用発明では当該構成を有さない点
相違点3
「二次元コード」が、本願発明1では「前記市町村コードが含められることで情報量を減らし、コードパターンが簡易化された二次元コード」であるのに対し、引用発明では、当該特定事項を有さない点
相違点4
「読み取り装置により取得された位置情報」が、本願発明1では、「読み取り装置により取得された市町村コード」であるのに対し、引用発明では、「市町村コード」の特定事項を有さない点
相違点5
「情報を前記読み取り装置に表示する」の「情報」が、本願発明1では、「前記言語毎のウェブサイトへのリンクを示す標識」であるのに対し、引用発明では、「観光情報のコンテンツそのもの」である点

(2)相違点についての判断
上記相違点1、相違点5について検討する。
上記相違点は、本願発明1では、「外国旅行者への観光に関する情報の提供可能性を高めることを目的と」(本願明細書【0005】)し、「端末装置のモニタ3aには、URL管理サーバ4から受信した表示用データに含まれる国旗に基づき表示された国旗31a?31jを示す画面30が表示され」(同【0025】)、「旅行者が画面30に表示された国旗31a?31jを選択(クリック)することで、対応する外国語の観光ウェブサイトのURLにジャンプするようになっている」、「このシステム1によれば、観光地に訪れた外国人は、観光地に関する情報を容易に取得することができる」 (同【0026】)としたものである。
この点に関して、引用発明では、「観光客のユーザ特性と位置に応じて適切な観光情報を提供可能であって」、「ユーザ特性には、ユーザが外国人であるかを含」んでいるから、外国人に対して、何らかの対処を行うことは、想定できるが、具体的な構成として、相違点1、相違点5の構成を採用することは、容易とはいえない。
また、引用例2には、上記第4(2)で検討したように、「外国人用のインフォメーション装置において、表示部に英語、中国語、フランス語、韓国語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、アラビア語等の個別タッチパネルを備え、これをタッチすると次からは全てのテキストが、選択された言語で表示される」という事項が開示されているが、上記引用例2に記載された発明は、「外国人用のインフォメーション装置」そのものの発明であって、「観光情報サーバ」が「携帯電話に」情報を表示する、引用発明とは、そもそもの構成が異なり、引用発明に、引用例2に記載された事項を組み合わせても、上記相違点1、相違点5の具体的な構成を容易に想到することができたとはいえない。
さらに、拒絶理由通知書で通知した他の引用例について検討しても、引用例3は、本願発明2に対して、引用例4は、本願発明3に対してそれぞれ引用したものであり、また、引用例5、引用例6は本願出願前周知の市町村コードについて開示したものであるから、上記相違点1、相違点5に関する事項について開示はない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし引用例6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1の記載を引用し、さらに限定する構成を有する発明であるから、上記相違点1、相違点5に係る構成を備えており、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし引用例6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の相違点1、相違点5に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし引用例6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-4は、当業者が引用発明及び引用例2ないし引用例6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-21 
出願番号 特願2014-238698(P2014-238698)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山下 剛史山本 雅士谷川 智秀  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 渡邊 聡
貝塚 涼
発明の名称 情報処理装置およびプログラム  
代理人 井上 真一郎  

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