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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1329477
審判番号 不服2016-15598  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-19 
確定日 2017-07-04 
事件の表示 特願2012-257297「表示装置、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 9日出願公開、特開2014-106592、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月26日の出願であって、平成28年1月7日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月8日付けで意見書が提出され、同年7月15日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年3月22日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年5月23日付けで手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成28年7月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1、2、9-12に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2010-061416号公報
B.国際公開第2011/077501号
C.特開2008-048248号公報(周知技術を示す文献)
D.特表2012-529873号公報(周知技術を示す文献)
E.特開2006-048438号公報


第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1、10に係る発明は、以下の引用文献1-3のいずれかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献1-5に基いて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.本願請求項1-10に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

引用文献等一覧
1.秀作フリーソフト徹底解説 このフリーソフトがスゴイ!!,Windows100% 第15巻 第11号,日本,株式会社晋遊舎,2012年10月13日,P.40?43(当審において新たに引用した文献)
2.“最新版オープンソースグループウェア「Aipo7」をリリース。”,[online],2012年 6月 1日,株式会社エイムラック,[2017年3月21日検索],インターネット (当審において新たに引用した文献)
3.長谷川正太郎,“エイムラック、無料グループウェア"Aipo"シリーズの最新版「Aipo7」を公開”,[online],2012年 6月 4日,株式会社インプレス,[2017年3月21日検索],インターネット (当審において新たに引用した文献)
4.特開2007-058660号公報(当審において新たに引用した文献)(周知技術を示す文献)
5.特開2008-048248号公報(拒絶査定時の引用文献C)(周知技術を示す文献)


第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成29年5月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-8は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
自表示装置を利用する第1ユーザと、他表示装置を利用する一または複数の第2ユーザとが登録されたグループにおいて、前記第1ユーザの操作に応じて自表示装置から送信するメッセージと、前記第2ユーザの操作に応じて他表示装置から送信されたメッセージとを時系列に表示する第1画面を表示部に表示させる制御部と、
前記第1ユーザまたは前記第2ユーザの何れかのユーザの指示に基づいて、前記グループ内のユーザ間で共有が可能なスケジュール情報を登録する登録部と、
を備え、
前記制御部は、
前記登録部が登録した前記スケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、前記スケジュール情報を通知する第1メッセージを前記第1画面に表示させる第1指示と、音または振動を利用したアラート情報を出力部に出力させる第2指示とを行うとともに、
前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記操作子の表示開始時には、前記第2指示を有効とするように前記操作子を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2指示を有効とするように前記操作子を前記表示部に表示させている場合に、前記アラート情報を前記出力部に出力させる指示を行い、
前記第2指示を無効とするように前記操作子を前記表示部に表示させている場合に、前記アラート情報を前記出力部に出力させる指示を行わない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記登録部は、
前記第1ユーザ及び前記第2ユーザのうちの一部または全部を前記スケジュール情報に対応する第3ユーザとして選択可能に登録する
ことを特徴とする請求項1から2のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
自表示装置を利用するユーザが前記第3ユーザである場合には前記第2指示を有効とするように前記操作子を前記表示部に表示させ、
自表示装置を利用するユーザが前記第3ユーザではない場合には前記第2指示を無効とするように前記操作子を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記登録部が登録した前記スケジュール情報を表示する第2画面を前記表示部に表示させるとともに、前記第2指示を有効にするか否かを選択する操作子を前記スケジュール情報に対応付けて前記第2画面に表示させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1ユーザのみが登録されたグループにおいて前記第1ユーザの操作に応じて自表示装置から送信するメッセージを時系列に表示する第3画面を前記表示部に表示させるとともに、前記第1ユーザの指示に基づいて前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す前記第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第3画面に表示させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
表示装置に含まれるコンピュータに、
前記表示装置を利用する第1ユーザと、他表示装置を利用する一または複数の第2ユーザとが登録されたグループにおいて、前記第1ユーザの操作に応じて前記表示装置から送信するメッセージと、前記第2ユーザの操作に応じて他表示装置から送信されたメッセージとを時系列に表示する第1画面を表示部に表示させるステップと、
前記第1ユーザまたは前記第2ユーザの何れかのユーザの指示に基づいて、前記グループ内のユーザ間で共有が可能なスケジュール情報を登録させるステップと、
前記登録された前記スケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、前記スケジュール情報を通知する第1メッセージを前記第1画面に表示させる第1指示と、音または振動を利用したアラート情報を出力部に出力させる第2指示とを行うステップと、
前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させるステップと、
を実行させるためのプログラム。」


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
当審拒絶理由通知に引用した引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「A タイムライン
『Aipo』上でやり取りしたメッセージや登録された情報は、すべてタイムラインに表示される。
B スケジュール
自分のスケジュールを登録したり、他ユーザーのスケジュールを確認できる。」(p.40「グループ内で起こるさまざまな予定をひと目で把握!!」の欄の中段)

(2)「タイムライン上部にはメッセージを投稿できるウインドウが搭載されている。このウインドウから投稿したメッセージはメンバーのタイムラインにも自動的に表示されるので、ちょっとした近況報告やコミュニケーションに役立つ。」(p.41「基本01 タイムラインからメッセージを投稿する」の欄の中段)

(3)「Aipoでは自分のスケジュールを登録したり、メンバーが登録したスケジュールをひとつのページで確認することができる。予定の追加方法は簡単で、画面右側にある『スケジュール』をクリックし、予定を反映させたい日時をドラッグで指定するだけ。スケジュールの詳細も自由に追加できるので、新しい予定がある場合はここから登録しよう。なお、メンバーが追加した予定も、この『スケジュール』メニューから確認できる。ユーザーによって異なるカラーで表示されるので見やすい。」(p.41「基本02 スケジュールを管理&共有する」の欄の中段-右段)

したがって、上記引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。

「複数のユーザーが登録されたグループにおいて、タイムラインに投稿したメッセージやスケジュールを共有する方法。」

2.引用文献2について
当審拒絶理由通知に引用した引用文献2には、次の事項が記載されている。

「2012年6月1日、最新版オープンソースグループウェア『Aipo7』をリリースいたします。
グループウェア『Aipo』:http://www.aipo.com/
■「タイムライン」機能の追加
新機能『タイムライン』を追加しました。
twitterやfacebookのように社内のコミュニケーションに利用できるほか
スケジュールの登録時や掲示板への投稿時など、Aipo内での活動が
タイムラインへ報告され、その活動へコメントを行えます。
社内の活動や情報、ニュースがタイムラインへ集約されるため、
タイムライン一つを見ることで社内の状況を把握することができます。」

したがって、上記引用文献2には次の発明が記載されていると認められる。

「スケジュールの登録時や掲示板への投稿時などの活動がタイムラインへ報告され、社内の活動や情報、ニュースがタイムラインへ集約されるため、タイムライン一つを見ることで社内の状況を把握することができる方法。」

3.引用文献3について
当審拒絶理由通知に引用した引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「(株)エイムラックは1日、インストールするだけですぐに使える本格的な無料グループウェア“アイポ(Aipo)”シリーズの最新版となる『Aipo7』を公開した。最新版の主な変更点は、メッセージやコメントなどをTwitterやFacebookのように表示する“タイムライン”機能が追加されたこと。
タイムライン機能では、メッセージやコメントを投稿できるだけでなく、予定やToDoを追加・編集した際にも通知が自動で投稿される。また、メッセージにファイルを添付できるほか、ワンクリックでメッセージに“いいね!”を付加することも可能。タイムライン機能を使うことで、職場のコミュニケーションや情報伝達がスムーズに行えるだろう。」(下線は当審で付した。以下、同様。)

(2)「本ソフトは、Windows XP/Server 2003/7および64bit版のServer 2008/7などに対応するフリーソフトで、現在同社のWebサイトや窓の杜ライブラリからダウンロードできる。」

また、引用文献3には、以下に示す図面が掲載されている。


上記引用文献3の記載、上掲の図面及びこの分野の技術常識を考慮すると次のことがいえる。

A.上記(1)、(2)の記載及び上掲の図面によれば、グループウェア「Aipo7」は、Windows(登録商標)が動作する一般的なコンピュータに向けたソフトウェアであって、同ソフトウェアは、上掲の図面のような画面をコンピュータの表示装置に表示するものであるといえる。

B.上掲の図面によれば、グループウェア「Aipo7」の表示画面は、左段、中段、右段の大きく3つに分かれており、このうち、中段は「タイムライン」が表示される部分であって、田村涼子、木村一郎、山田太郎の3名が投稿したメッセージ等が表示されている。そして、右段は、「スケジュール」が表示される部分であって、同じく田村涼子、木村一郎、山田太郎の3名のスケジュールが共有できるように表示されている。
ここで、これら3名のユーザは「タイムライン」及び「スケジュール」を共有するための「グループ」を形成しているといえる。

C.上記(1)の「タイムライン機能では、メッセージやコメントを投稿できるだけでなく、予定やToDoを追加・編集した際にも通知が自動で投稿される。」との記載及び上掲の図面の中段の「タイムライン」における、15時36分付けの「田村涼子 予定『企画会議』を編集しました。」との表示画面上の記載によれば、グループウェア「Aipo7」の「タイムライン」は、投稿されたメッセージやコメントを表示するだけでなく、上掲の図面の右段の「スケジュール」の追加・編集内容、具体的には追加・編集されたスケジュールのタイトルを含むスケジュールが追加・編集された旨のメッセージ、をも表示するものといえる。

以上を総合すると、上記引用文献3には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数のユーザが登録されたグループにおいて、各ユーザが投稿したメッセージやコメントを表示するタイムラインを表示し、
前記ユーザは、前記グループで共有可能なスケジュールを追加・編集でき、
前記スケジュールが追加・編集されると、追加・編集されたスケジュールのタイトルを含むスケジュールが追加・編集された旨のメッセージをタイムラインに表示する、
表示装置。」

4.引用文献4について
当審拒絶理由通知に引用した引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、必要な情報が必要なタイミングおよび形式で通知される端末装置およびイベント報知方法を提供することを目的とする。」(段落【0006】)

(2)「【0026】
以下、本発明の実施形態の端末装置について、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
【0027】
まず、本実施形態におけるリマインダ登録過程について概説する。図1は本発明の第1の実施形態における端末装置100の処理フローを含む概略図である。端末装置100において、あらかじめ設定されたスケジュールデータ111からキーワード(時間キーワード、イベントキーワード等)が抽出される(ステップS101)。そして後述するリマインダタイプ検索パターンリスト112(表3参照)に基づいて、抽出されたキーワードからイベントの通知方法を指定するリマインダタイプ(表4参照)が判定される(ステップ102)。リマインダタイプ検索パターンリスト112は、ユーザによるパターンの更新も可能である。そして後述するリマインダリスト113(表6参照)にリマインダが登録される(ステップS103)。
【0028】
次に、端末装置100の一例として、携帯電話端末200を取り上げる。図2は本発明の第1の実施形態における携帯電話端末200のブロック図である。携帯電話端末200は、スケジュールデータ保持部210、制御部220、リマインダリスト作成用リスト230、リマインダリスト240、操作部250、表示部260、リンガ270およびLED280を有する。」(段落【0026】-【0028】)

(3)「【0041】
また、リマインダタイプリスト234は、キーワード抽出手段222によって抽出されたキーワードに基づいて、ユーザへのスケジュールの通知タイミングと表現形式が指定されたリストである。例えば、指定の時間に確実に気づかせる必要があるもの(アポイントメントなど)、一定時間内のどこかで確実に気づかせる必要があるもの(忘れ物防止など)、空き時間を活用させたいもの(時間ができたら実行することなど)等に分類される。リマインダタイプを示したリマインダタイプリストの一例を表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
また、リマインダ表現形式リスト235は、リマインダタイプによって定められた表示形式が記載されたリストである。具体的には、音、バイブ(振動パターンなど)、光(色、点滅パターンなど)、テキスト表示、アイコン点灯、メールメッセージ表示、着信応答で音声メッセージ、音声読み上げなどがある。また、スケジュール期限までに複数回の通知を行う場合は、スケジュール期限までの時間に応じて、リマインダの表現形式を変更するようにしてもよい。リマインダ表現形式235の一例を表5に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
また、リマインダリスト240は、リマインダ作成手段224によって作成され、各スケジュールに設定されている時間、イベントおよびリマインダタイプリスト234の内容に基づいて、リマインダ制御手段225によって実施されるイベントの動作を示したリストである。リマインダリスト240の一例を表6に示す。
【0046】
【表6】

」(段落【0041】-【0046】)

(4)「【0051】
次に、各イベント毎に判定されたリマインダタイプに応じて、リマインダリスト作成手段224はリマインダリスト240を作成する(ステップS304)。そしてリマインダリスト240に登録されている所定の時間になり次第、リマインダ制御手段225はリマインダリスト上に指定された通知を実施する(ステップS305)。」(段落【0051】)

したがって、上記引用文献4には次の発明が記載されていると認められる。

「ユーザがあらかじめ設定したスケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、可視表示、音又は振動による通知を行う方法。」

5.引用文献5について
当審拒絶理由通知に引用した引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0053】
図14は、この携帯電話機のアラーム出力制御の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。携帯電話機102はスピーカ128から何らかのアラームが出力される事象が発生するのを監視している(ステップS281)。既に説明したように、このような事象とは、着信時の呼出音や電子メールの受信時の通知音、スケジューラで設定した時刻の到来、バッテリ124の残量が残り少なくなったとき、通信のエラー等のあらゆる事象を含んでいる。
【0054】
アラームが出力される事象が発生すると(ステップS281:Y)、電話制御部121は現在場所の読み出しを行う(ステップS282)。現在場所の読み出しとは携帯電話機102が位置を移動させていない場合等の所定の場合には、メモリ134にキャッシュされた最近のデータを読み出す場合を含んでおり、必ずしも通信衛星111や基地局113を使用してその都度、現在位置を取得する操作を必要とするものではない。
【0055】
携帯電話機102の現在位置が取得されたら、特定場所登録部135の登録内容と照合して携帯電話機102の特定場所を特定する(ステップS283)。たとえば携帯電話機102を所持したユーザ101がABC急行線に乗車しているものと判別された場合には、「通勤電車」が特定場所であると特定される。特定場所が特定されたら電話制御部121は場所別アラーム登録部136から特定された特定場所のアラームのオン・オフ状態を読み出す(ステップS284)。そして、更に優先スケジュール登録部137に格納されている優先すべき例外事項の読み出しを行う(ステップS285)。
【0056】
電話制御部121は優先スケジュール登録部137の読み出し結果から該当する事象が優先すべき例外事項に該当するか否かを判別する(ステップS286)。たとえば「会社、仕事場所」についてはアラームが「オフ」に設定されているが、現在のアラームについての事象が図11に示した時間帯とか、図12に示した着信電話番号によるものとか、あるいは図13に示した会議スタート時刻を知らせるものであるかといった判別が行われる。
【0057】
この結果、該当する事象が優先すべき例外事項に該当する場合には(ステップS286:Y)、ステップS284の読み出し結果としてのアラームのオン・オフを反転させる(ステップS287)。「会社、仕事場所」について平日の12時半にアラームの事象が発生した場合には、アラームが「オフ」であったものが反転されて「オン」となる。これに対して優先すべき例外事項に該当しなかった場合(ステップS286:N)、たとえばこの例で平日の13時にアラームの事象が発生した場合には、アラームが「オフ」のままとなる。
【0058】
次のステップS288では、このような処理後のアラームが「オン」となっているかどうかの判別が行われる。「オン」となっていればスピーカ128から所定のアラーム音が出力されることになる(ステップS289)。アラームが「オフ」となっていればアラームはスピーカ128から出力されない(エンド)。アラームが「オン」となっている場合の音は、アラームの種類によって異なることは当然である。」(段落【0053】-【0058】)

(2)「【0061】
更に実施例では音としてのアラームのオン・オフのみを行ったが、アラームの「オフ」については各種の変更が可能である。たとえば、アラームの音量を十分低下させて他人に迷惑を掛けない程度の音を代わりに出力させるようにしてもよい。また、音としてのアラームを出力しない場合に代わりにバイブレータを振動させてよいことは当然である。」(段落【0061】)

したがって、上記引用文献5には次の発明が記載されていると認められる。

「ユーザがあらかじめ設定したスケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、音又は振動による通知を行う方法。」


第6 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明(引用文献3に記載の発明)とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「表示装置」は、「複数のユーザ」がそれぞれ利用することが想定されており、前記「複数のユーザ」のうち、ある1ユーザ(本願発明1の「第1ユーザ」に相当する。)に着目すれば、そのユーザーにとって、自身が利用する表示装置は「自表示装置」であり、自身以外のユーザ(本願発明1の「第2ユーザ」に相当する。)が利用する表示装置は「他表示装置」であるということができる。
そして、引用発明の「タイムライン」は、「各ユーザが投稿したメッセージやコメントを表示する」ものであるから、本願発明1の「前記第1ユーザの操作に応じて自表示装置から送信するメッセージと、前記第2ユーザの操作に応じて他表示装置から送信されたメッセージとを時系列に表示する第1画面」に相当する。
また、引用発明が、タイムラインを表示装置に表示するため「制御部」といい得る構成を有することは明らかである。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「自表示装置を利用する第1ユーザと、他表示装置を利用する一または複数の第2ユーザとが登録されたグループにおいて、前記第1ユーザの操作に応じて自表示装置から送信するメッセージと、前記第2ユーザの操作に応じて他表示装置から送信されたメッセージとを時系列に表示する第1画面を表示部に表示させる制御部」を有する点で一致する。

イ.引用発明が、「前記ユーザは、前記グループで共有可能なスケジュールを追加・編集でき」るようにするため、スケジュールを登録するための「登録部」といい得る構成を有することは明らかである。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記第1ユーザまたは前記第2ユーザの何れかのユーザの指示に基づいて、前記グループ内のユーザ間で共有が可能なスケジュール情報を登録する登録部」を有する点で一致する。

ウ.引用発明は、「前記スケジュールが追加・編集されると、追加・編集されたスケジュールのタイトルを含むスケジュールが追加・編集された旨のメッセージをタイムラインに表示する」ものであって、引用発明の「スケジュールのタイトル」は、「スケジュール情報の少なくとも一部」にほかならないから、本願発明1の「前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させる」構成と、「前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部とを前記第1画面に表示させる」点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。

(一致点)
「自表示装置を利用する第1ユーザと、他表示装置を利用する一または複数の第2ユーザとが登録されたグループにおいて、前記第1ユーザの操作に応じて自表示装置から送信するメッセージと、前記第2ユーザの操作に応じて他表示装置から送信されたメッセージとを時系列に表示する第1画面を表示部に表示させる制御部と、
前記第1ユーザまたは前記第2ユーザの何れかのユーザの指示に基づいて、前記グループ内のユーザ間で共有が可能なスケジュール情報を登録する登録部と、
を備え、
前記制御部は、
前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部とを前記第1画面に表示させる
ことを特徴とする表示装置。」

(相違点1)
本願発明1は、「前記登録部が登録した前記スケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、前記スケジュール情報を通知する第1メッセージを前記第1画面に表示させる第1指示と、音または振動を利用したアラート情報を出力部に出力させる第2指示とを行う」との構成を有するのに対して、引用発明においては、このような構成が特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させる」構成を有するのに対して、引用発明においては、「第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて」表示させることが特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
上記第5の4.及び5.で述べたとおり、引用文献4及び5には、それぞれ「ユーザがあらかじめ設定したスケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、可視表示、音又は振動による通知を行う方法。」及び「ユーザがあらかじめ設定したスケジュール情報に基づいたタイミングに応じて、音又は振動による通知を行う方法。」が記載されている。
しかしながら、相違点2に係る本願発明1の「(音または振動を利用したアラート情報を出力部に出力させる)第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて」通知を可視表示させる点が記載されておらず、引用発明に、引用文献4又は5に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点2に係る本願発明1の構成とはならない。

そして、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献1及び2にも記載されておらず、示唆もされていない。
また、相違点2に係る本願発明1の構成が、本願出願前に周知技術であったとも認められない。

したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献1、2、4、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

また、平成29年5月23日付けの手続補正により、当審拒絶理由通知の理由3(特許法第36条第6項第2号)は解消した。

2.請求項2-8について
本願発明2-7は、本願発明1をさらに限定したものであり、本願発明8は、本願発明1のカテゴリーを表示装置の発明からプログラムの発明に変更したものであるので、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明及び引用文献1、2、4、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定についての判断
平成29年5月23日付けの補正により、補正後の請求項1は、「前記登録部が前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させる」という技術的事項を有し、また、請求項8は「前記スケジュール情報を登録したことに応じて、前記スケジュール情報を登録したことを示す第2メッセージと、前記スケジュール情報の少なくとも一部と、前記第2指示を有効とするか否かを選択する操作子とを対応付けて前記第1画面に表示させるステップ」という技術的事項を有するものとなった。これら技術的事項は、原査定における引用文献A-Eには記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-8は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-19 
出願番号 特願2012-257297(P2012-257297)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古河 雅輝  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 土谷 慎吾
稲葉 和生
発明の名称 表示装置、およびプログラム  
代理人 小林 淳一  
代理人 森 隆一郎  
代理人 志賀 正武  
代理人 西澤 和純  

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