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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B60B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60B
管理番号 1329496
審判番号 不服2016-6234  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-26 
確定日 2017-07-04 
事件の表示 特願2015-502877号「車両用ホイール」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月4日国際公開、WO2014/132850、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)2月19日(優先権主張 2013年2月28日 日本)を国際出願日とする出願であって、平成27年2月12日に、特許協力条約34条の補正の写しが提出され、平成27年10月27日付けで拒絶理由が通知され、平成27年12月25日に意見書、手続補正書が提出されたが、平成28年1月20日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。これに対し、平成28年4月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、当審において平成29年2月22日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」」という。)が通知され、平成29年4月27日に意見書、手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成29年4月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の前記外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
前記ウェル部の前記外周面側に配置される底板と、この底板との間で副気室を形成する上板とを有する、前記周方向に長手の本体部と、
前記本体部の前記幅方向の両側部のそれぞれで前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
前記本体部の長手方向に沿った中央線上で前記上板と前記底板とが部分的に窪んで前記上板と前記底板とを結合する結合部と、
前記本体部の長手方向の端部から前記周方向に突出するように設けられ、前記副気室と前記タイヤ空気室とを連通する連通孔が内側に形成される突出部と、
を有し、
前記突出部は前記本体部の前記幅方向における前記結合部よりも前記縁部側に偏倚して設けられているものであって、縁部に隣接して設けられていることを特徴とする車両用ホイール。」

なお、本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2008-120222号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1a)「【0001】
本発明は、タイヤ空気室内の気柱共鳴(空洞共鳴)に伴う騒音を低減する車両用ホイールに関するものである。」
(1b)「【0009】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、副気室部材をホイールのタイヤ空気室側に固定した車両用ホイールであって、前記副気室部材は、中空パイプを加工してなるもので、前記中空パイプの両端部を潰し加工することによりその内部に形成される副気室と、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、を有して形成され、前記連通孔は、前記潰し加工をした箇所の一部に設けられ、この箇所の外側端部において一端が前記タイヤ空気室に開口し、他端が前記副気室に開口する空洞によって形成されていることを特徴とする。」
(1c)「【0024】
図3(a)は、中空パイプ(加工前の副気室部材)を示す斜視図であり、(b)は、副気室部材を示す斜視図である。また、図4は、副気室部材を取り付けた車両用ホイールの側面断面図である。
【0025】
副気室部材13は、図3(b)に示すように、全体としてウェル部11c(図2参照)の周面に沿うような湾曲形状に形成された中空部材である。副気室部材13は、内部に形成された副気室SCと、両端部に形成されたフランジ部13a,13aと、一方のフランジ部13aの一部に形成された連通孔13bと、を有している。副気室SCの容積は、約20?300ccに設計されている。また、連通孔13bは、フランジ部13aの幅方向一方側に寄せられて設けられており、図4に示すように、一端がタイヤ空気室MCに開口し、他端が副気室SCに開口する空洞によって所定の長さ(例えば、1?30mm)および所定の開口部断面積(例えば、1?200mm^(2))を有して形成されている。所定の長さは、連通孔13bが形成されたフランジ部13aの長さと略同一であって、後記するレゾネータの共鳴周波数を求める式(式1)により、適宜設定される。
【0026】
この副気室部材13は、図3(a)に示す円形の中空パイプPを加工(プレス一体成形)することで形成される。ここで、中空パイプPは、特に限定するものではないが、その壁厚が約0.3?1.6mmの薄肉なものを用いることが好ましい。これにより、軽量化を図ることができる。また、中空パイプPの長さは、ウェル部11cの周長の約1/4とする。さらに、中空パイプPの材質としては、鉄、アルミニウム合金、ステンレス等の一般的な金属材料や熱可塑性樹脂、その他のプラスチックス等を用いることができる。例えば、中空パイプPの材料として錆びに弱い金属材料を用いる場合は、形成前に予め表面処理を施しておくことが好ましい。
【0027】
図3(b)に示す副気室部材13は、このような中空パイプP(図3(a)参照)の一方の端部に連通孔13b用の円柱状の治具(図示せず)を挿入した状態で、その長さ方向の端部Pa,Paを潰し加工するとともに、ウェル部11c(図2参照)の周面に沿うように全体として湾曲させることで、形成される。すなわち、中空パイプPを潰し加工することにより、端部Pa,Paがフランジ部13a,13aとなる。また、治具によって連通孔13bが所定の長さおよび開口部断面積を有して形成される。また同時に、その内部に副気室SCが形成される。この加工により、連通孔13bと副気室SCが同時に形成され、連通孔13bをドリルなどの切削工具や打抜き用の工具等で形成する必要がないため、工数を削減することができる。
【0028】
図4に示すように、副気室部材13は、フランジ部13a,13a上の部位S1,S2(図3(b)も参照)において、フランジ部13a,13aとウェル部11cとがスポット溶接(二枚スポット溶接)されることで、リム11に固定されている。なお、副気室部材13の結合方法は、スポット溶接に限定されず、アーク溶接等の他の溶接、摩擦攪拌接合、接着剤による結合や、ボルトとナットによる締結、カシメ等、一般的な工業製品の結合方法を用いることができる。また、このような副気室部材13は、リム11のウェル部11cの周方向に沿って、4つ取り付けられている。これにより、車両用ホイール10において4つの副気室SCが形成される。なお、副気室SCの数は、3つ以下であってもよいが、消音効率を向上させるためには4つ以上であることが好ましい。このように副気室部材13が取り付けられることで、連通孔13bを介して副気室SCとタイヤ空気室MCとが連通する。
【0029】
以上、説明した副気室SCと連通孔13bは、ヘルムホルツ・レゾネータを構成する。次の(式1)は、このレゾネータの共鳴周波数を求める式である。」

2.したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「ヘルムホルツ・レゾネータを構成する副気室部材13をホイールのタイヤ空気室MC側に固定した車両用ホイール10であって、
前記副気室部材13は、中空パイプを加工してなるもので、前記中空パイプの両端部Pa,Paを潰し加工することによりフランジ部13a,13aとするとともに、その内部に副気室SCと、前記副気室SCと前記タイヤ空気室MCを連通する連通孔13bと、を有し、前記連通孔13bは、前記フランジ部13aの幅方向一方側に寄せられて設けられ、この箇所の外側端部において一端が前記タイヤ空気室MCに開口し、他端が前記副気室SCに開口する空洞によって形成されており、
前記副気室部材13は、フランジ部13a,13a上の部位S1,S2において、フランジ部13a,13aとウェル部11cがスポット溶接されることで、リム11に固定されている、
車両用ホイール10。」

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「車両用ホイール10」は、本願発明1の「車両用ホイール」に相当する。また、引用発明の「副気室部材13」および「タイヤ空気室MC]は、本願発明1の「副気室部材」および「タイヤ空気室」に相当する。そして、引用発明の「副気室部材13」は「ホイールのタイヤ空気室MC側」であって、ホイールのウェル部11cに取付けられている(段落【0022】、図2)。したがって、引用発明の「ヘルムホルツ・レゾネータを構成する副気室部材13をホイールのタイヤ空気室MC側に固定した車両用ホイール10であって」は、本願発明1の「タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に固定した車両用ホイールであって」に相当する。
イ 引用発明の「副気室部材13」は「その内部に副気室SCと、前記副気室SCと前記タイヤ空気室MCを連通する連通孔13bと、を有し」ているものであり、引用発明の「連通孔13b」は副気室とタイヤ空気室を連通している。また引用発明の「連通孔13bは、」「この箇所の外側端部において一端が前記タイヤ空気室MCに開口し、他端が前記副気室SCに開口する空洞によって形成されており」、この空洞は、副気室部材13の長手方向の端部から突出するように設けられている(図1、3(b)、5-7)。したがって、引用発明の「前記副気室部材13は、」「その内部に副気室SCと、前記副気室SCと前記タイヤ空気室MCを連通する連通孔13bと、を有し、」「この箇所の外側端部において一端が前記タイヤ空気室MCに開口し、他端が前記副気室SCに開口する空洞によって形成され」るという構成で、本願発明1の「前記副気室部材は、」「前記本体部の長手方向の端部から前記周方向に突出するように設けられ、前記副気室と前記タイヤ空気室とを連通する連通孔が内側に形成される突出部と、を有」する構成に相当する。
ウ 引用発明の「連通孔13bは、前記フランジ部13aの幅方向一方側に寄せられて設けられ」ているから、本願発明1の「前記突出部は前記本体部の前記幅方向における前記結合部よりも前記縁部側に偏倚して設けられているものであって、縁部に隣接して設けられている」こととの対比において、「前記突出部は前記本体部の前記幅方向に偏倚して設けられている」限度で一致する。
エ 上記ア-ウより、本願発明1と引用発明との一致点および相違点は次のとおりである。
<一致点>
「タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に固定した車両用ホイールであって、
前記副気室部材は、
前記本体部の長手方向の端部から前記周方向に突出するように設けられ、前記副気室と前記タイヤ空気室とを連通する連通孔が内側に形成される突出部と、
を有し、
前記突出部は前記本体部の前記幅方向に偏倚して設けられている、
車両用ホイール。」
<相違点1>
本願発明の「副気室部材」は、「前記本体部の長手方向に沿った中央線上で前記上板と前記底板とが部分的に窪んで前記上板と前記底板とを結合する結合部と、」「を有し」ているのに対し、引用発明の副気室部材13は、そのような構成を有していない点。
<相違点2>
本願発明1の「車両用ホイール」は、「前記ウェル部の前記外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、前記第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、を備え」、「前記副気室部材は、前記ウェル部の前記外周面側に配置される底板と、この底板との間で副気室を形成する上板とを有する、前記周方向に長手の本体部と、前記本体部の前記幅方向の両側部のそれぞれで前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と」「を有し、」「前記突出部は前記本体部の前記幅方向における前記結合部よりも前記縁部側に偏倚して設けられているものであって、縁部に隣接して設けられている」のに対し、引用発明の「車両用ホイール10」は、本願発明1の「第1の縦壁面」および「第2の縦壁面」に相当する構成を備えておらず、「前記副気室部材13は、中空パイプを加工してなるもので、前記中空パイプの両端部Pa,Paを潰し加工することによりフランジ部13a,13aとするとともに、その内部に副気室SCと、前記副気室SCと前記タイヤ空気室MCを連通する連通孔13bと、を有し、」「前記副気室部材13は、フランジ部13a,13a上の部位S1,S2において、フランジ部13a,13aとウェル部11cがスポット溶接されることで、リム11に固定されている」ものであり、「前記連通孔13bは、前記フランジ部13aの幅方向一方側に寄せられて設けられ」ている点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2008-279873号公報)の、【請求項1】、段落【0001】、段落【0015】-【0031】と図3の記載内容、および、同じく原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2012-51397号公報)の、【請求項1】、段落【0021】-【0025】と図3、5-7の記載内容から、上記引用文献3、5には、次の技術的事項が記載されているといえる。
「副気室部材を車両用ホイールに固定するために、車両用ホイールのウェル部に、第1の縦壁面と第2の縦壁面とを備えるとともに、副気室部材に、前記第1の縦壁面と第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部を形成する技術。」
ここで、引用発明の副気室部材13は、「中空パイプを加工してなるもので、前記中空パイプの両端部Pa,Paを潰し加工することによりフランジ部13a,13aとするとともに、」「フランジ部13a,13a上の部位S1,S2において、フランジ部13a,13aとウェル部11cがスポット溶接されることで、リム11に固定されている」ものである。したがって、副気室部材13を車両用ホイール10に固定するための構成、すなわち、引用発明の、車両用ホイール10のウェル部に第1の縦壁面と第2の縦壁面とを備えるとともに、副気室部材13に、前記第1の縦壁面と第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部を形成することによって、副気室部材13を車両ホイール10に固定する構成とするという、引用文献3、5に記載の上記技術的事項を採用する動機付けがない。
また、引用文献3、5には、副気室部材内部の副気室とタイヤ空気室とを連通する連通孔を、副気室部材の幅方向両端の縁部に隣接して設ける構成は記載されていないしその示唆もないから、仮に、引用文献3、5に記載の上記技術的事項を引用発明に適用し得たとしても、上記相違点1に係る本願発明1の構成に至らない。
イ 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2012-45971号公報)にも、引用文献3、5に記載の上記技術的事項と同様な技術的事項が記載されている(【請求項1】、段落【0013】、【0020】、図1?9)。
したがって、引用文献4に記載の技術的事項を引用発明に適用する動機付けがないこと、仮に引用文献4に記載の技術的事項を引用発明に適用しても相違点1に係る本願発明1の構成に至らないことは、上記アでの説示と同様である。
ウ 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2008-279911号公報)の【請求項1】、段落【0022】-【0024】、図4、5、10、11の記載内容から、引用文献2には、「底板15のかしめ代15aを箱体14の縁部14a側に折り返してかしめることにより副気室部材13を形成し、そして副気室部材13の連通孔13bが、そのかしめ部分に近接して設けられている」という技術的事項が記載されているといえる。
しかし、引用文献2に記載の副気室部材13もホイール10のウェル部11cにスポット溶接されているものであり(段落【0020】、【0031】)、引用文献3、5に記載の上記技術的事項を引用発明に適用する動機付けがないのと同様に、引用文献2に記載の上記技術的事項を引用発明に適用する動機付けがない。しかも、引用文献2に記載の副気室部材13の連通孔13bも、副気室部材13の幅方向両端の、底板15のかしめ代15aを折り返してかしめた部分に近接して設けられてはいるものの隣接してはいないし、その示唆もないという点でも引用文献3、5に記載の技術的事項と同じである。
エ 上記ア-ウのとおりであるから、引用発明において相違点2に係る本願発明1の構成となすことは、引用文献2-5に記載の技術的事項に基き、当業者が容易に想到し得たものということはできない。
そして、相違点2に係る本願発明1の構成を有することによって、本願発明1は、明細書に記載の「第1の縦壁面16aに係止されて、この第1の縦壁面16aに強く拘束される縁部14a側に偏倚するように管体18が設けられている。これによりこの車両用ホイール1は、従来の車両用ホイールの副気質(合議体注:「室」の誤記と認められる)部材10(図7参照)と異なって、管体18に遠心力が掛かった際の副気室部材10の変形をより効果的に防止する。」(段落【0061】)という格別な効果を奏するものといえる。
オ 以上のとおりであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明および引用文献2-5に記載された事項に基き、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2-4について
本願発明2-4は本願発明1を減縮したものであるから、本願発明1が上記1.に説示のとおり引用発明および引用文献2-5に記載された事項に基き、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないとするのと同様の理由により、引用発明および引用文献2-5に記載された事項に基き、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 原査定についての判断
平成29年4月27日付けの手続補正により補正された請求項1-4は、「副気室部材」の「突出部は」「縁部に隣接して設けられている」という発明特定事項を有する。そして、この発明特定事項を有する本願発明1-4が、引用文献1に記載の引用発明および引用文献2-5に記載された事項に基き、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは、上記「第4」に説示のとおりである。
したがって、請求項1-2、7に係る発明(本願発明1-2、4に対応する)は、引用文献1-3、5に記載された発明ないし技術的事項に基き、また、請求項3に係る発明(本願発明3に対応する)は、引用文献1-5に記載された発明ないし技術的事項に基き、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとする、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
当審では、請求項1-4においては、「突出部」の位置、特に偏倚の程度が限定されていないため、発明の解決しようとする課題を解決し得ないものが、請求項1-4に係る発明として含まれるから、請求項1-4の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶の理由を通知した。
これに対して、平成29年4月27日付けの手続補正において、請求項1に対して、「縁部に隣接して設けられている」と、突出部の位置、偏倚の程度を限定する補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-4は、当業者が引用発明および引用文献2-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-20 
出願番号 特願2015-502877(P2015-502877)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60B)
P 1 8・ 537- WY (B60B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岡▲さき▼ 潤柳元 八大  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
尾崎 和寛
発明の名称 車両用ホイール  
復代理人 内田 雅一  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  

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