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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21S
審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 F21S
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 F21S
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F21S
管理番号 1329649
審判番号 不服2015-11282  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-16 
確定日 2017-07-18 
事件の表示 特願2013-231651号「平板表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日出願公開、特開2014- 32971号、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年11月7日(パリ条約による優先権主張2002年3月8日、大韓民国)に出願した特願2002-323401号の一部を平成21年10月9日に新たな特許出願とした特願2009-235545号の一部を、さらに平成25年11月8日に新たな特許出願としたものであって、平成26年8月29日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月26日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年2月9日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年6月16日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成28年7月15日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由1」という。)の通知がされ、同年10月20日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月24日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由2」という。)の通知がされ、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定は、この出願の請求項1ないし14に係る発明は、以下の引用文献AないしFに基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、特に後記「第4」に示した本願発明1及び本願発明9に対応する請求項1に係る発明及び請求項10に係る発明については、引用文献C、引用文献B及び引用文献Eから当業者が容易に発明をすることができたというものである。
<引用文献一覧>
引用文献A 特開平9-147618号公報
引用文献B 特開平11-202329号公報
引用文献C 特開2002-6142号公報
引用文献D 実願平4-8003号(実開平5-69734号)のCD-ROM
引用文献E 特開平10-232385号公報
引用文献F 特開2001-109390号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由1
当審拒絶理由1は、概略、以下の理由1ないし理由3である。
[理由1]
この出願は、明細書の発明の詳細な記載が、下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないというものである。
[理由2]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
[理由3]
この出願の請求項1ないし14に係る発明は、以下の引用文献1ないし5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、特に、後記「第4」に示した本願発明1及び本願発明9に対応する請求項1に係る発明及び請求項10に係る発明について、引用文献1及び2から、当業者が容易に発明をすることができたというものである。
<引用文献一覧>
引用文献1 特開2002-6142号公報(原査定で引用した引用文献C)
引用文献2 特開2001-35235号公報(当審拒絶理由1で新たに引用した文献)
引用文献3 実願平4-8003号(実開平5-69734号)のCD-ROM(原査定で引用した引用文献D)
引用文献4 特開平9-147618号公報(原査定で引用した引用文献A)
引用文献5 特開2001-109390号公報(原査定で引用した引用文献F)

2 当審拒絶理由2
当審拒絶理由2は、この出願の請求項1ないし13に係る発明は、同一出願人が同日出願した出願(特願2015-120965号)の発明(特許第5956657号公報の特許請求の範囲の請求項1ないし7、9ないし14に記載された発明)と同一と認められるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
なお、平成28年10月20日付け手続補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項8が削除されたことにより、補正前の請求項9ないし14は、補正後の請求項8ないし13にそれぞれ繰り上げられ、特許請求の範囲は、請求項1ないし13となっている。

第4 本願発明
この出願の請求項1ないし13に係る発明(以下「本願発明1ないし13」という。)は、平成29年4月28日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりの発明であり、本願発明1及び本願発明9は以下のとおりの発明であると認められる。
「【請求項1】
光を生成する光源ユニットと、
前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む導光板と、
収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記側壁の一部が前記溝の方向に折れ曲がり当該溝と結合する第1突出部を含む収納容器と、を含むことを特徴とするバックライトアセンブリ。」
「【請求項9】
光を生成する光源ユニットと、
前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む導光板と、
前記光の入力を受けて画像を表示する表示ユニットと、
収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記側壁の一部が前記溝の方向に折れ曲がり当該溝と結合する第1突出部を含む収納容器と、を含むことを特徴とする表示装置。」
なお、本願発明2ないし8は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明10ないし13は、本願発明9を減縮した発明である。

第5 当審拒絶理由1についての判断
1 理由1及び2について
平成28年10月20日付け手続補正により特許請求の範囲が補正され、その後、平成29年4月28日付け手続補正によりさらに特許請求の範囲が補正され、理由1及び2は解消された。

2 理由3について
(1)引用文献1に記載された事項等
引用文献1には、面光源装置及び画像表示装置に関し、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審で付与した。以下同様。
(1a)「【請求項2】 フレーム内に光源とシクロオレフィン系樹脂材料製の導光板を収容し、前記光源の光を前記導光板の光源に対向する側面から前記導光板の内部に入射させ、その入射光を前記導光板の出射面から面状に出射させる面光源装置において、
前記導光板の前記光源に対向する側面に対して略直交する一対の幅方向側面には位置決め用凹所を形成し、
前記フレームには前記位置決め用凹所に係合する位置決め用突起を形成し、
前記位置決め用凹所の前記位置決め用突起に当接する面を前記幅方向側面から引っ込めたことを特徴とする面光源装置。
【請求項3】 前記請求項2に記載の面光源装置と、この面光源装置から出射された面状の光で照明される画像表示部とを備えたことを特徴とする画像表示装置。」
(1b)「【0012】(面光源装置及び画像表示装置の概略構成)これらの図に示すように、面光源装置1は、フレーム3内に反射シート4及びシクロオレフィン系熱可塑性樹脂製の導光板5が順次収容されると共に、導光板5の一方の側面(入射面)6に沿うように蛍光ランプ(光源)7及びランプリフレクター8が収容されており、導光板5の出射面(図4中上面)10に対向するように光制御部材11が配置されている。・・・」
(1c)「【0013】(フレーム)フレーム3は、ポリカーボネート(PC)を射出成形することにより所望の形状に形成された白色の枠体であり、線状の蛍光ランプ7及びランプリフレクター8を収容するランプ収容部13と、出射面10の形状が略矩形形状の導光板5を収容する導光板収容部14とが形成されている。又、このフレーム3は、導光板収容部14とランプ収容部13との境界部分の両端部に、導光板5の位置決め用凹所15に係合する略矩形形状の位置決め用突起16がそれぞれ形成されている(図1及び図2参照)。
【0014】又、フレーム3の導光板支持面17の端縁(図5中太線表示部)18には、図5及び図6(a)に示すようにR面取り20を施すか、または図5及び図6(b)に示すように端縁18のシャープエッジを跨いでテープ21を貼着するようになっている。」
(1d)「【0016】(導光板)・・・導光板5は、その入射面6に略直交する一対の幅方向側面25a,25aの入射面6側端部に、フレーム3の位置決め用突起16の側壁26a,26bに沿うように係合する位置決め用凹所15,15がそれぞれ形成されている。そして、この位置決め用凹所15は、一方の幅方向側面25aから他方の幅方向側面25a側へ向かって延びる位置決め面27を備えており、この位置決め面27をフレーム3の位置決め用突起16の側壁26aに当接させることにより、導光板5と蛍光ランプ7間の距離を適正に保つという位置決め機能を発揮し、導光板5が蛍光ランプ7に衝突するのを阻止する。尚、導光板5の一対の幅方向側面25a,25aとこれらに対向するフレーム3の導光板収容部14の側壁28a,28aにより、導光板5の幅方向のずれ動きが阻止される。又、導光板5の位置決め用凹所15の位置決め面27とフレーム3の位置決め用突起16の側壁26a、及び導光板5の入射面6に対して反対側の側面25bとこれに対向するフレーム3の導光板収容部14の側壁28bにより、蛍光ランプ7の長手方向(図1の幅方向)に対して直交する方向への導光板5のずれ動きが阻止される。」
(1e)以下の図1ないし3、9、10が記載されている。

引用文献1には以下の事項が記載されていることが明らかである。
(i)上記摘示(1a)より、「フレーム内に光源とシクロオレフィン系樹脂材料製の導光板を収容し、前記光源の光を前記導光板の光源に対向する側面から前記導光板の内部に入射させ、その入射光を前記導光板の出射面から面状に出射させる面光源装置において、
前記導光板の前記光源に対向する側面に対して略直交する一対の幅方向側面には位置決め用凹所を形成し、
前記フレームには前記位置決め用凹所に係合する位置決め用突起を形成し、
前記位置決め用凹所の前記位置決め用突起に当接する面を前記幅方向側面から引っ込めた面光源装置」が記載されていること。
(ii)上記摘示(1c)(1d)及び(1e)の図1?3より、「フレーム」には、「導光板支持面17」、「導光板収容部14の側壁28a,28a,28b」が形成されていること。
(iii)上記摘示(1a)より、「上記(i)の面光源装置と、この面光源装置から出射された面状の光で照明される画像表示部とを備えた画像表示装置」が記載されていること。
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
[引用発明1]
「フレーム内に光源とシクロオレフィン系樹脂材料製の導光板を収容し、前記光源の光を前記導光板の光源に対向する側面から前記導光板の内部に入射させ、その入射光を前記導光板の出射面から面状に出射させる面光源装置において、
前記導光板の前記光源に対向する側面に対して略直交する一対の幅方向側面には位置決め用凹所を形成し、
前記フレームには前記位置決め用凹所に係合する位置決め用突起を形成し、
前記位置決め用凹所の前記位置決め用突起に当接する面を前記幅方向側面から引っ込めた面光源装置であって、
前記フレームには、導光板支持面17、導光板収容部14の側壁28a,28a,28bが形成されている面光源装置。」
[引用発明2]
「フレーム内に光源とシクロオレフィン系樹脂材料製の導光板を収容し、前記光源の光を前記導光板の光源に対向する側面から前記導光板の内部に入射させ、その入射光を前記導光板の出射面から面状に出射させる面光源装置において、
前記導光板の前記光源に対向する側面に対して略直交する一対の幅方向側面には位置決め用凹所を形成し、
前記フレームには前記位置決め用凹所に係合する位置決め用突起を形成し、
前記位置決め用凹所の前記位置決め用突起に当接する面を前記幅方向側面から引っ込めた面光源装置であって、
前記フレームには、導光板支持面17、導光板収容部14の側壁28a,28a,28bが形成されている面光源装置と、
この面光源装置から出射された面状の光で照明される画像表示部とを備えた画像表示装置。」

(2)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、バックライトに関し、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)「【0009】バックライト2は、図1に示す斜視図に加えて、図2に平面図、図3に図2の S-S断面図を示すように、導光板6、線状光源7、反射シート8、端子保持部9、ケース10を備えて構成している。」
(2b)「【0010】導光板6は、アクリルなどの透光性で平面四角形状の板材を用いて構成し、隣り合う2つの隅6a,6bに、面取によって形成した傾斜辺6c,6dを有している。線状光源7は、この導光板6の前記2つの隅6a,6bを含む3辺6e,6f,6gに対向するように配置した平面形状がU字状の冷陰極管で構成している。線状光源7は、中央直線部7aとその両端に左右直線部7b,7cを備えることによって、前記隅6a,6bと対応するL字部を備えている。前記中央直線部7aには、シリコンゴムなどの弾性並びに耐熱性のある管状のスペーサ11を、前記導光板6と線状光源7との間に一定の間隔を維持するために配置している。
【0011】端子保持部9は、前記線状光源7の端子部7d,7e並びにそのリード線7f,7gを保持するもので、線状光源7が配置されない導光板6の残りの辺6hに対面して、ケース10にボス9aなどを利用して係止している。この保持部9には、導光板6を付勢するための付勢手段を構成する弾性片9b、9cを一体に形成している。反射シート8は、導光板6の裏面を覆う白色系の薄膜シートで構成している。このシート8の縁は、線状光源7の周囲を覆いながら導光板6の表面に至っている。これらを収納するケース10は、アルミニウムなどの金属を板金加工して上面が開放した箱型形状としている。このケース10には、導光板6を位置きめするための2種類の爪を10a、10bと10c,10dをケース10の一部を切起こすことによって一体的に形成している。一方の爪10a,10bは、前記隅6a,6bの傾斜辺6c,6dと対向するように配置した斜め方向の爪であり、他方の爪10c,10dは、導光板6の残りの辺6dと対向し、かつ、その辺の両端に形成した微小窪みに配置される爪である。」
(2c) 以下の図1及び3が記載されている。

上記摘示(2a)ないし(2c)によれば、引用文献2には、「導光板6、線状光源7と、当該導光板6を収納するケース10とを含み、当該ケース10には、当該導光板6を位置決めするための爪10a,10b,10c,10dがその一部を切起こすことにより一体的に形成される、バックライト2」が記載されているといえる(以下「引用文献2に記載された事項」ということがある。)。

(3)対比・判断
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明1の「光源の光」は、光源により生成される光であることは明らかであるから、かかる「光源」は、本願発明1の「光を生成する」、「光源ユニット」に相当するといえる。
b 引用発明1の「シクロオレフィン系樹脂材料製」の「導光板」は、「光源の光」が「導光板の光源に対向する側面」から「導光板の内部に入射」して、「その入射光」が、「導光板の出射面から面状に出射」するものであるから、本願発明1の「前記光をガイド」する「導光板」に相当するといえる。
また、引用発明1の「導光板」は、「導光板の光源に対向する側面に対して略直交する一対の幅方向側面」を有し、かかる「一対の幅方向側面」には、「位置決め用凹所」が形成され、かかる「位置決め用凹所」の「面」は、「前記幅方向側面から引っ込め」られているから、引用発明1のかかる「一対の幅方向側面」及び「位置決め用凹所」は、それぞれ本願発明1の「対向する両側面」及び「内部に向かうように陥没された」「溝」に相当するといえる。
そうすると、引用発明1の上記「導光板」は、本願発明1の「前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む」「導光板」に相当するといえる。
c 引用発明1の「フレーム」は、「フレーム内に光源」と「導光板を収容」するものであるから収納空間を有していることが明らかであり、かかる収納空間は、「フレーム」に形成されている「導光板支持面17」、「導光板収容部14の側壁28a,28a、28b」等で定められていることも明らかであるから、引用発明1の「導光板支持面17」、「導光板収容部14の側壁28a,28a、28b」は、それぞれ本願発明1の「底面」及び「複数の側壁」に相当するといえる。
そして、引用発明1の「フレーム」には、「前記位置決め用凹所に係合する位置決め用突起」が形成されているから、引用発明1の「前記位置決め用凹所に係合する」「位置決め用突起」が形成された「フレーム」と、本願発明1の「前記側壁の一部が前記溝の方向に折れ曲がり当該溝と結合する第1突出部を含む収納容器」とは、「収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記溝と結合する第1突出部を含む」「収納容器」という構成の限度で共通するといえる。
d 引用発明1の「面光源装置」は「フレーム内に光源」と「導光板」を「収容」するものであるから、本願発明1の「バックライトアセンブリ」に相当するといえる。
以上を総合すると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりといえる。
[一致点1]
「光を生成する光源ユニットと、
前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む導光板と、
収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記溝と係合する第1突出部を含む収納容器と、を含むバックライトアセンブリ。」
[相違点1]
第1突出部が、本願発明1では、「前記側壁の一部が前記溝の方向に折り曲がり当該溝と結合する」ものとして構成されているのに対し、引用発明1では、そのように特定されていない点。

(イ)判断
上記「(2)」のとおり、引用文献2には、「導光板6、線状光源7と、当該導光板6を収納するケース10とを含み、当該ケース10には、当該導光板6を位置決めするための爪10a,10b,10c,10dがその一部を切起こすことにより一体的に形成される、バックライト2」が記載されているといえる。
引用発明1の「フレーム」は、上記摘示(1c)に「フレーム3は、ポリカーボネート(PC)を射出成形することにより所望の形状に形成された白色の枠体であり」と記載されているように、樹脂の射出成形により形成されたものであるから、「フレーム」に形成される「位置決め用突起」についても「フレーム」の他の部分と一体成形されたものといえる。
そうすると、樹脂の射出成形によって一体成形された「位置決め用突起」を、引用文献2の技術事項における「導光板6を位置決めするための爪10a,10b,10c,10d」のように、ケース10の一部を切起こすことにより一体的に形成するように構成する動機付けは存在しないといえ、加えて、樹脂成形品からなるフレーム3の一部を切起こすことにより位置決め用突起を形成することは技術的に困難なことともいえる。
また、引用文献2の技術事項における「導光板6を位置決めするための爪10a,10b,10c,10d」は、図1、図2を参照すると、ケース10の底面の一部を切起こすことにより一体的に形成されるものと把握できるものであるところ、本願発明1の「第1突出部」は、収納容器の側壁の一部が折れ曲がったものとして構成されているものであり、収納容器の底面の一部を折り曲げて形成されているものでないから、前記「爪」とは、導光板を位置決めするためのものである点では共通するといえるが、その具体的態様において違いがある。
そして、かかる具体的態様の違いにより、仮に引用発明1に引用文献2の技術事項を適用したとしても、本願発明1の収納容器の底面に相当するフレームの導光体支持面の一部を切起こして位置決め用突起とする構成が得られるにすぎず、上記相違点1に係る本願発明1の構成に至らないといえる。
以上より、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1及び引用文献2の技術事項から、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。
(ウ)小括
よって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

イ 本願発明9について
(ア)本願発明9と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2の「面光源装置」は、上記アの本願発明1と引用発明1との対比を踏まえると、本願発明9の「光を生成する光源ユニットと、前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む導光板と、収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記溝と結合する第1突出部を含む収納容器」を含む構成の限度で共通するといえる。
b 引用発明2の「この面光源装置から出射された面状の光で照明される画像表示部」は、技術的にみて、本願発明9の「前記光の入力を受けて画像を表示する表示ユニット」に相当するといえる。
c 引用発明2の「面光源装置」と「画像表示部」とを備えた「画像表示装置」は、本願発明9の「表示装置」に相当するといえる。
以上を総合すると、本願発明9と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりといえる。
[一致点2]
光を生成する光源ユニットと、
前記光をガイドし、対向する両側面において内部に向かうように陥没された溝を含む導光板と、
前記光の入力を受けて画像を表示する表示ユニットと、
収納空間を定義する底面及び複数の側壁、前記溝と係合する第1突出部を含む収納容器と、を含む表示装置。」
[相違点2]
第1突出部が、本願発明9では、「前記側壁の一部が前記溝の方向に折り曲がり当該溝と結合する」ものとして構成されているのに対し、引用発明2では、そのように特定されていない点。
(イ)判断
上記相違点2は上記相違点1と同じであるから、上記「ア(イ)」で判断したとおり、相違点2に係る本願発明9の構成は、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。
(ウ)小括
本願発明9は、引用発明2及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

ウ 本願発明2ないし8、10ないし13について
本願発明2ないし8と引用発明1、本願発明10ないし13と引用発明2とをそれぞれ対比すると、上記相違点1又は相違点2と同様な相違点が存在するところ、上記引用文献3ないし5は、本願発明1及び本願発明9に対して引用する文献ではないから、上記「ア(イ)、イ(イ)」において判断したところによれば、本願発明2ないし8は、引用発明1、引用文献2の技術事項、及び引用文献3ないし5の記載事項に基いて、本願発明10ないし13は、引用発明2、引用文献2の技術事項、及び引用文献3ないし5の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第6 当審拒絶理由2についての判断
平成29年4月28日付け手続補正により、特許請求の範囲が補正され、補正後の請求項1ないし13に係る発明(本願発明1ないし13)と上記特願2015-120965号の特許請求の範囲の請求項1ないし7、9ないし14に記載された発明とは同一といえなくなった。

第7 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定で引用された引用文献Cは上記引用文献1と同じであるから、本願発明1ないし13とかかる引用文献Cに記載された発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1又は2と同様の点で相違するといえる。
ここで、原査定で引用された引用文献B(特開平11-202329号公報)には、図1等を参照すると、金属製下シールドケースに導光板37が配置している構成が記載されているといえるが、導光板37を位置決めするための突起のような構成は記載されていない。また、引用文献E(特開平10-232385号公報)には、段落【0050】?【0054】,図2、図3、図5、図6等を参照すると、金属板20に形成されたカシメ片60a?60kが記載されているが、かかるカシメ片はバス基板4、ロウ基板6、メイン基板11を位置決め等するためのものといえ、導光板19を位置決めするためのものとはいえず、加えて、金属板20には、そもそも側壁があるかも不明である。
したがって、引用文献B及びEには、上記相違点1に係る本願発明1の構成や上記相違点2に係る本願発明9の構成は記載も示唆もされていないといえる。
なお、原査定で引用された引用文献A、D及びFは、本願発明1及び本願発明9に対して引用する文献ではなく、いずれの文献にも、上記相違点1に係る本願発明1の構成や上記相違点2に係る本願発明9の構成は記載も示唆もされていないといえる。
よって、本願発明1ないし13は、引用文献AないしFに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
以上より、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし13は、引用文献AないしF及び引用文献1ないし5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-03 
出願番号 特願2013-231651(P2013-231651)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F21S)
P 1 8・ 4- WY (F21S)
P 1 8・ 536- WY (F21S)
P 1 8・ 537- WY (F21S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 則夫柿崎 拓  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 島田 信一
和田 雄二
発明の名称 平板表示装置  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  

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